JP3162262B2 - 籾摺精米機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家庭用小型籾摺精米機
に関し、特に、籾摺部で得られた摺落物（玄米と籾殻の
混合物）から玄米を選別する選別装置の外に、藁屑や屑
米等と適性玄米を選別する屑除去装置を備えた籾摺精米
機に関する。

【０００２】

【従来の技術】家庭用の小型籾摺精米機は、ハウジング
内に、籾タンクと、そこから落下する籾粒の殻を剥ぎ玄
米と籾殻に摺り落とす衝撃式の脱桴装置を備えた籾摺部
と、この籾摺部から搬出された摺落物（玄米と籾殻の混
合物）を選別する選別部と、選別された玄米を一時貯留
する玄米タンクと、玄米タンクから落下する玄米を精白
する精米部を一体的に組み込んだ構成となっている。そ
して、籾タンクに投入された相当量の籾はその落とし口
より落下して籾摺部において脱桴された後、籾殻と玄米
は脱桴ファンによって搬送パイプ内を空気搬送されて選
別部内に入り、ここで玄米と籾殻とに風選される。籾殻
は吸引ファンで吸引されて排出パイプを介して機外に放
出されるようになっている。玄米は精米部の玄米タンク
に向けて搬出されて一時貯留される。そして玄米は玄米
タンクの落とし口より落下して精米部で精白される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
籾摺精米機にあっては、次のような問題点があった。 籾タンクには脱穀乾燥後の相当量の籾米が一挙に投
入されるようになっているが、この籾タンク内の相当量
の籾米の中にはある程度の混入率で稲芒，藁屑等の棒状
（長軸体）屑が混入している。脱穀装置等に芒除去装置
を付加したものもあるとは言え、不可避的に籾袋中に棒
状屑が混入してしまうからである。籾タンク内の棒状屑
が混入した籾米が籾摺部において脱桴された後、脱桴フ
ァンによって摺落物が搬送パイプを介して選別部へ空気
搬送され、選別部で風選されるようになっているが、籾
殻に比べて藁屑等の棒状屑は空気流に乗る程の浮遊性に
乏しいため、玄米に混入したまま押し流されて玄米タン
ク内へ入り込み、そのまま精米部へ送り込まれてしま
う。精米部に藁屑等の棒状屑が送り込まれると、精白ロ
ール部分で圧砕されて微細な屑になり、これが精白米に
混入したまま出口樋から排出されることになる。

【０００４】 籾タンク内に投入される籾粒には小
米，屑米等の不適性米が混入している。

【０００５】また、適性な籾でも籾摺部で破砕米が生じ
る場合もある。このような小粒屑は玄米タンク，精米部
を介して出口樋へ排出されてしまう。

【０００６】ところで、精白後に、微細な屑や小粒屑を
除去するための専用の除去装置を追加することは可能で
あるが、家庭用籾摺精米機とは別に装置を設けるので相
当のコスト高を招く。また、精白後の精米を除去装置へ
投入するための手間がかかる。他方、籾摺精米機に付帯
させた場合、籾摺精米機自体の大型化を招く。

【０００７】そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、簡易構成の棒状屑除去装置を設けることにより、棒
状屑の精米部への入り込みを防止できる製造コスト低廉
で手間の要らない籾摺精米機を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、籾を脱桴する籾摺部と、籾摺部で得られ
た摺落物から玄米と籾殻を選別する風選式の選別部と、
選別部で選別された玄米を精白する精米部と、選別部か
ら精米部への玄米送り経路の途中に、棒状屑を残して玄
米をふるい落とす棒状屑除去装置を備えた籾摺精米機に
おいて、上記棒状屑除去装置は、玄米流し傾斜面とその
下流側に傾斜して棒状屑を残して前記玄米をふるい落と
す玄米ふるい領域を備えた樋であって、この玄米ふるい
領域は、玄米流し傾斜面に連絡する傾斜底面に、傾斜方
向に縦格子が配向した矩形落とし開穴を市松状に配列し
てなり、上記樋の傾斜角度を調節する傾斜角度調整機構
を有することを特徴とする。

【０００９】

【００１０】

【００１１】

【００１２】

【００１３】

【作用】玄米流し傾斜面を滑り下る玄米は矩形落とし開
穴から落下するが、玄米に混入する棒状屑は寝たままそ
の長軸が傾斜方向に揃った状態で滑り下るため、矩形落
とし開穴に落ち込むこと無く、その先端側が横格子に架
かり、玄米ふるい領域を寝た状態でそのまま滑り下って
樋出口より排出される。短い棒状屑は傾斜角度を急傾斜
にしないと滑落し難く、上流側で玄米溜まりを生じ易く
なり、勢い巻き込み落下が生じ易い。傾斜角度調整機構
により、傾斜角度を急峻に設定することで短い棒状屑を
滑り落とすことができるものの、短い棒状屑は長い棒状
屑に比しその長軸が傾斜方向に揃い難く、棒状屑が玄米
ふるい領域上を滑り下る過程では、玄米の落下による巻
き込みや玄米量の重さにより、棒状屑の先端側が矩形落
とし開穴内に幾分でも沈み込むと、短い棒状屑の巻き込
み落下頻度が高い。しかし、次段の矩形落とし開穴の傾
斜方向に配向した縦格子は前段の縦格子間の中間に位置
し、横格子と縦格子がTの字状に交わっているため、長
軸が傾斜方向に揃い難い短い棒状屑の先端側は次段の縦
格子上に乗り上げ易くなっているので、短い棒状屑の巻
き込み落下を抑制することができる。ふるい格子穴を強
制的に揺動してふるい落とす揺動式ふるい機構では、ふ
るい格子穴に短い棒状屑がふるい落とされてしまう頻度
が高いのに対し、本発明の非揺動式ふるい機構では、短
い棒状屑の巻き込み落下を有効的に防止できると共に、
簡易な棒状屑除去装置を安価に提供できる。

【００１４】

【００１５】

【実施例】次に、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

【００１６】第１図及び第２図には、本例の籾摺精米機
の外形および内部構造を示してある。まず、第１図に示
すように、籾摺精米機１は、ほぼ縦長の直方体形状をし
た本体ユニット（本体ハウジング）２と、この本体ユニ
ット２の頂板２ａの隅部分に取り付けた截頭角錐台形状
の着脱型選別室ユニット３からなっている。本体ユニッ
ト２の前面には、電源スイッチ、精米部のタイマー調整
ツマミ、精米部から搬出された白米の出口樋７ｄ等が配
置されている。

【００１７】次に、第２図に示すように、本体ユニット
２は鋼板からなるハウジング４によってその外周が形成
されており、ハウジング４内には、その底面上に、脱桴
ファン５を備えた籾摺部６及び精米部７が併設されてい
る。籾摺部６の上方には、漏斗形状の籾タンク８が配置
され、その下端の落とし口８ａが籾摺部６の籾取り入れ
口６ａに接続されている。籾タンク８の上端開口８ｂは
図１に示す如くハウジング４の左半分を占めている。精
米部７はハウジング底面に固定した糠箱７ａと、この糠
箱７ａの上面に取り付けた精白室７ｂとを有し、この精
白室７ｂの上方に位置する玄米取り入れ口７ｃには、漏
斗形状の玄米タンク９の落とし口９ａが開口している。
玄米タンク９の上端開口９ｂは図１に示す如くハウジン
グ４の右半分を占めている。籾タンク８と玄米タンク９
とは間仕切り板２０で仕切られている。また、精白室７
ｂの白米出口７ｄは、上述したハウジング前面に開口し
ている。

【００１８】一方、選別室ユニット３も同様に鋼板から
なるハウジング１１によりその外周が形成されており、
ハウジング１１の内部には、風選式の選別室１２が取り
付けられている。この選別室１２の入口１２ａは、搬送
パイプ１３を介して籾摺部６に接続されている。また、
この選別室１２の底面には、ここで選別された玄米を搬
出する玄米出口樋１２ｂと、籾殻を排出する排出口１２
ｃとが併設されている。この排出口１２ｃは、排出パイ
プ１４を介して吸引ファン１５の吸引口に接続されてお
り、吸引ファン１５の吐出口は排出パイプ１６に接続さ
れている。この排出パイプ１６の先端は本体ハウジング
４の側面を貫通して機外に突出しており、その突出部に
はサイクロン１７が取り付けられている。

【００１９】本例の籾摺精米機では、図３及び図４に示
すように、籾タンク８及び玄米タンク９内の頂板２ａの
裏側部分において玄米出口樋１２ｂの真下から間仕切り
板２０に跨がる方向にかけて再選別装置たる屑除去装置
３０が設けられている。本例の屑除去装置３０は棒状屑
除去装置４０と小粒屑除去装置５０を併有している。

【００２０】棒状屑除去装置４０としては、選別室ユニ
ット３から玄米出口樋１２ｂより籾タンク８ｂ内の方向
に放出される玄米を受けてこれを直角方向へ変向する鋼
板製の上側樋４１を有しており、小粒屑除去装置５０と
しては、上側樋４１の玄米ふるい領域４２からふるい落
とされた玄米を玄米タンク９へ案内する鋼板製の下側樋
５１を有している。上側樋４１は下側樋５１の左端側に
ねじ込まれたねじ４１ａを中心にして回動可能で、下側
樋５１の角度範囲規定用長穴５１ａを介して固定された
角度調整ツマミ４１ｂを以て上側樋４１の傾斜角度の調
整が可能となっている。上側樋４１の底面４４は、玄米
出口樋１２ｂから放出される玄米を受けるための玄米流
し傾斜面４３と、その下流側に連続して傾斜し、棒状屑
を残して玄米をふるい落とす玄米ふるい領域４２を備え
ている。上側樋４１の玄米出口樋１２ｂ側の側面４５ａ
が低く、その対向側の側面４５ｂが高くなっている。本
例における玄米ふるい領域４２は、約１cm平方の矩形落
とし開穴４２ａが市松状に配列した格子ふるいとなって
いる。縦格子４２ｂの幅は約３mmで、横格子４２ｃの幅
は約２mmであり、７段格子となっている。上側樋４１の
出口には棒状屑を受け貯める２面開放の棒状屑回収箱４
６が着脱自在に設けられている。この回収箱４６の背面
には磁石（図示せず）が固着されており、玄米タンク９
の背面側のハウジング本体に着脱自在に取り付けられて
ようになっている。

【００２１】下側樋５１は、玄米を残して小粒屑をふる
い落とす小粒屑ふるい領域５２を有している。この小粒
屑ふるい領域５２は、長さ約１cm，幅約２mmのスリット
状落とし開穴５２ａの横並び列が繰り返し配列（５段配
列）されている。この小粒屑ふるい領域５２は上側樋４
１の玄米ふるい領域４２の真下に位置している。下側樋
５１の真下にはその小粒屑ふるい領域５２から落下する
小粒屑を受け貯める小粒屑回収箱５６が設けられてい
る。この回収箱５６は籾タンク８の背面側のハウジング
本体に取付けられた回収箱収容枠５７に対して着脱可能
の引出し式回収箱となっている。

【００２２】このような構造の籾摺精米機において、籾
タンク８に大量の籾を投入しその落とし口８ｂから籾摺
部６内に落とされた籾は籾殻が剥離されるた後、玄米と
籾殻との混合物（摺落物）は、脱桴ファン５によって搬
送パイプ１３を介して選別室ユニット３内の選別室１２
に送り込まれ、ここで、玄米と籾殻とに風選される。

【００２３】風選された籾殻は吸引ファン１５の吸引力
によって排出パイプ１４を介して吸引され、さらに後段
の排出パイプ１６及びサイクロン１７を介して機外に排
出される。

【００２４】他方、玄米の方は玄米出口樋１２ｂから放
出されるて本体ユニット内の玄米タンク９内へ導かれる
ようになっているが、直接玄米タンク９内へ放出される
のではなく、屑除去装置３０を介して導かれるようにな
っている。玄米出口樋１２ｂから排出された玄米は上側
樋４１の受け部としての玄米流し傾斜面４３へ落下しこ
こで直角方向に変向して流れ下る。玄米の流れに棒状屑
が含まれているときは、棒状屑も変向されて寝たままそ
の長軸が傾斜方向に揃った状態で滑り下る。玄米は玄米
ふるい領域４２の矩形落とし開穴４２ａでふるい落とさ
れるが、矩形落とし開穴４２ａよりもある程度長い棒状
屑は寝た状態で長軸が傾斜方向になっているので、この
落とし開穴４２ａに落ち込むこと無く、その先端が横格
子４２ｃに架かるため、玄米ふるい領域４２を寝た状態
で滑り下り、樋出口より棒状屑回収箱４６へ落下して回
収される。

【００２５】玄米に混ざった棒状屑がふるい領域５２の
下流側で止まってしまうと、これに玄米が溜まり、その
溜が格子４２ｂ，４２ｃ上の上流へある程度波及する
が、その玄米溜の重さで棒状屑が押し流される。ここ
で、ねじ４１ａ，角度調整ツマミ４１ｂは傾斜角度調整
機構を構成しているが、上側樋４１の傾斜角度をきつく
すると、玄米流下速度は速くなり、上記の玄米溜はより
上流側へ移行する。このため、棒状屑の滑りがこの上流
側に波及した玄米溜で阻止され易いので、比較的短い棒
状屑は落とし開穴４２ａに落ち込み易くなる。逆に、上
側樋４１の傾斜角度を緩くすると、玄米溜はより下流側
へ移行するため、ふるい領域４２全域を通過する棒状屑
の頻度が高くなる。このように上側樋４１の傾斜角度を
可変して、棒状屑の分級度合いを調整することができ
る。棒状屑の外形寸法だけでなく、湿気等により棒状屑
の重さも滑り速度に影響するため、この角度調整機構を
微調整することで、容易に棒状屑の分級が可能となって
いる。

【００２６】上側樋４１からふるい落とされた玄米は下
側樋５２に当たり、その小粒屑ふるい落とし領域５２を
流れ下る。この小粒屑ふるい落とし領域５２では適性な
玄米よりも小粒の物がスリット状落とし開穴５２ａから
ふるい落とされ、回収箱５６に回収され、適性な玄米は
その領域５２を流れ下り、玄米タンク９の空間へ放出さ
れる。本例における下側樋５２の小粒屑ふるい落とし領
域５２は上側樋４１の棒状屑ふるい落とし領域４２の真
下に設けられているので、樋の長さを短くすることがで
き、精米機自体の小型化に寄与している。

【００２７】このように、本例では、選別室３から玄米
タンク９までに玄米の流路中に、屑を除去する屑除去装
置３０が設けられている。従って、タンク８，９の上部
空間を有効活用しているので、精米機自体のコンパクト
に構成できる。また、回収箱４６，５８の収容も嵩張ら
ずに済む。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る棒状
屑除去装置は、玄米流し傾斜面とその下流側に傾斜して
棒状屑を残して玄米をふるい落とす玄米ふるい領域を備
えた樋であって、この玄米ふるい領域は、玄米流し傾斜
面に連絡する傾斜底面に、傾斜方向に縦格子が配向した
矩形落とし開穴を市松状に配列してなり、上記樋の傾斜
角度を調節する傾斜角度調整機構を有することを特徴と
するものであるから、次の効果を奏する。

【００２９】本発明においては、次段の矩形落とし開穴
の傾斜方向に配向した縦格子は前段の縦格子間の中間に
位置し、横格子と縦格子がTの字状に交わっているた
め、長軸が傾斜方向に揃い難い短い棒状屑の先端側は次
段の縦格子上に乗り上げ易くなっているので、短い棒状
屑の巻き込み落下を抑制することができる。ふるい格子
穴を強制的に揺動してふるい落とす揺動式ふるい機構で
は、ふるい格子穴に短い棒状屑がふるい落とされてしま
う頻度が高いのに対し、本発明の非揺動式ふるい機構で
は、短い棒状屑の巻き込み落下を有効的に防止できると
共に、簡易な棒状屑除去装置を安価に提供できる。

【００３０】

【００３１】

【００３２】

【００３３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る籾摺精米機を示す外観斜
視図である。

【図２】同実施例に係る籾摺精米機の内部構造を示す断
面図である。

【図３】同実施例に係る籾摺精米機における屑除去装置
を示す斜視図である。

【図４】同屑除去装置を示す正面図である。

【符号の説明】

１…籾摺精米機 ２…本体ユニット（本体ハウジング） ２ａ…頂板 ３…着脱型選別室ユニット ４…ハウジング ５…脱桴ファン ６…籾摺部 ６ａ…籾取り入れ口 ７…精米部 ７ａ…糠箱 ７ｂ…精白室 ８…籾タンク ８ａ…落とし口 ８ｂ，９ｂ…上端開口 ９…玄米タンク ９ａ…落とし口 ２…選別室 １１…ハウジング １２…選別室 １２ａ…入口 １２ｂ…玄米出口樋 １２ｃ…排出口 １３…搬送パイプ １４…排出パイプ １７…サイクロン ２０…間仕切り板 ３０…屑除去装置 ４０…棒状屑除去装置 ４１…上側樋 ４１ａ…ねじ ４１ｂ…角度調整ツマミ ４２…玄米ふるい領域 ４２ａ…矩形落とし開穴 ４２ｂ…縦格子 ４２ｃ…横格子 ４３…玄米流し傾斜面 ４４…底面 ４５ａ，４５ｂ…側面 ４６…棒状屑回収箱 ５０…小粒屑除去装置 ５１…下側樋 ５１ａ…角度範囲規定用長穴 ５２…小粒屑ふるい領域 ５２ａ…スリット上落とし開穴 ５６…小粒屑回収箱 ５７…回収箱収容枠。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B02B 1/00 - 7/02 109

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 籾を脱桴する籾摺部と、該籾摺部で得ら
   れた摺落物から玄米と籾殻を選別する風選式の選別部
   と、前記選別部で選別された前記玄米を精白する精米部
   と、前記選別部から前記精米部への玄米送り経路の途中
   に、棒状屑を残して前記玄米をふるい落とす棒状屑除去
   装置を備えた籾摺精米機において、 前記棒状屑除去装置は、玄米流し傾斜面とその下流側に
   傾斜して棒状屑を残して前記玄米をふるい落とす玄米ふ
   るい領域を備えた樋であって、前記玄米ふるい領域は、
   前記玄米流し傾斜面に連絡する傾斜底面に、傾斜方向に
   縦格子が配向した矩形落とし開穴を市松状に配列してな
   り、前記樋の傾斜角度を調節する傾斜角度調整機構を有
   することを特徴とする籾摺精米機。