JP3156805B2 - 餅生地の製造方法 - Google Patents

餅生地の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は餅生地の製造方法に関す
るもので、詳しくは蒸米工程に入る前の米にマイクロ波
照射を行ない、続く蒸米工程における蒸し条件の管理が
容易で、蒸米機内の米の付着を防止できるようにした餅
生地の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、餅生地は以下のような方法で製造
されていた。
【0003】すなわち、精米したもち米をまず洗米し、
に2時間程度浸漬する。次いで、これを水切りしてか
ら、約 105℃程度の蒸気で蒸し、水分含量を40〜42%と
する。
【0004】こうして得られた蒸米は、餅つき(又は練
り)工程を経て、適当な粘弾性を有するつきたて餅にな
り、またあられ、おかき等の米菓の製造にも用いられて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来
は、水漬、水切り後、蒸米工程に入るが、この蒸米工程
における蒸し条件の管理及び蒸米機内の米の付着が問題
となっていた。
【0006】すなわち、蒸米工程における蒸し条件の管
理は餅生地の物性を決める重要因子で、特に水分管理が
ポイントとなる。蒸米工程における米の水分含量は一般
には40〜42%の範囲に保つのが好ましいとされている。
【0007】しかるに、従来一昼夜水に浸漬、静置し、
水切りした米の水分含量は、34〜36%の範囲で、これを
蒸し機により蒸米し、米の水分含量を40〜42%とし、練
り工程により餅生地としていた。しかし、蒸米により餅
生地を製造する水分含量とするには、蒸し条件の管理が
非常に難しく、熟練者の経験と勘に頼らざるを得ないの
が現状であった。蒸米した米は、40〜42%の範囲外とな
る場合があり、40%未満の米が混入すると、均一な餅生
地とならない。そのため、蒸米の時、最低40%とするた
め、過剰の水分含量となるように蒸米するのが一般的で
あった。そのため42%を超える米が混入するようにな
り、この42%を超えた米は、蒸米機の側壁へ付着してし
まう。この付着した米は、洗浄しないでそのままにして
おくと、褐変したり、味の変化、および汚染の原因とな
っていた。この汚染等を防止するための蒸米機に付着し
た米を取り除く作業は面倒な作業であった。
【0008】本発明はかかる従来の問題に鑑みなされた
もので、均一な餅生地が容易に従来よりも短時間で得ら
れ、しかも蒸米機内での米の付着を防止できる餅生地の
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、精米したもち米を洗米し、水に
浸漬した後、水を切り、次いで、これをマイクロ波照射
装置に導入し、ここでマイクロ波を照射して品温を50
〜60℃とした後、品温が30℃以下となるように冷却
してから蒸米することを特徴としている。
【0010】このような本発明にあっては、蒸米工程に
入る前の米にマイクロ波を照射することにより、これに
続く蒸米工程における蒸し条件をほぼ一定に設定でき、
その管理が容易になる。また、米の水分含量を40〜42%
の範囲に保つことが可能となり、蒸米機の側壁に付着す
る不都合を防止できる。
【0011】以下、本発明を詳述する。
【0012】図1は本発明に係る餅生地の製造方法の工
程を示す図である。
【0013】まず、精米したもち米を洗米し、これを水
に所定時間浸漬した後、水を切る。この精米1、洗米
2、水漬3、及び水切り4の一連の工程は通常行われて
いる方法をそのまま実施できる。
【0014】本発明では水切りした米をマイクロ波照射
装置に導入し、ここでマイクロ波照射5を行なう。この
マイクロ波照射5は例えば図2に示したようなコンベア
式のマイクロ波照射装置を用いて行なうことができる。
該装置によれば、水切りした米をホッパー11から投入
し、これをベルトコンベア12にてマイクロ波照射部1
3内へ連続的に移送する。ここで、所定のマイクロ波照
射を行ない、さらにベルトコンベア12にて移送し、同
時に冷却して、次の蒸米工程へ入る。
【0015】ところで、水切りした米の水分含量は一般
に34%〜36%の範囲内である。この米を餅生地にするた
めには、蒸米により米の水分含量を40〜42%の範囲とす
る。ここで、水分含量が42%を超えると、蒸米工程にお
いて蒸米機の側壁に米が付着したままで長時間滞留し、
褐変や味の変化を来たしてしまう。
【0016】従って、本発明では、マイクロ波の照射条
件は、水切りした米を連続的に投入するときの移送量に
もよるが、例えば、約1000kg/時で移送した場合を考え
ると、マイクロ波の照射出力を20kWとすると、照射時間
は1〜3分程度、このときの品温は約50〜60℃であるこ
とが望ましい。品温が60℃を超えると米の中のでんぷん
が析出したり、米の表面が変質する問題が生じる。ま
た、マイクロ波照射によりある程度加熱された状態の米
をそのまま蒸米するとべとべとの状態で望ましい餅生地
が得られないため、マイクロ波照射後、一旦品温を約30
℃以下に下げることが必要となる。品温を下げるには自
然放冷でもかまわないが、米の水分含量が変化しないよ
う出来るだけ速かに冷却する方が望ましい。
【0017】このようなマイクロ波照射を行なうことに
よって、蒸米工程で米の含水分を40〜42%の範囲内に米
全体をほぼ均一に調整することができ、しかも、きわめ
て短時間で蒸米による米の含水分調整が行える。
【0018】こうしてマイクロ波照射5を終え、冷却6
された米は、次の蒸米工程7へ入る。蒸米の方法は通常
行われている蒸米と全く同様にして行えばよいが、前述
の通り、蒸米工程における蒸し条件はほぼ一定に設定し
ても、40〜42%の範囲内の水分含量とすることができ
る。したがって、蒸し条件の管理が容易で、均一な餅生
地の製造が可能になる。さらに、蒸米中の蒸米機内での
米の付着も防止できる。
【0019】蒸米7を終えて、餅つき(又は練り)工程
8を経て、適当な粘弾性を有するつきたて餅になり、ま
た、あられ、おかき等の米菓製造用の生地としても用い
られる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。
【0021】本発明の工程に従い、水分約10〜15%の精
白米を洗米し、水漬した後、水切りして、これを図2に
示すようなマイクロ波照射装置に連続的に投入した。な
お、米の水分含量は34〜36%であった。具体的には、約
1000kg/時でベルトコンベア上を移送させながら、マイ
クロ波照射を行なった。照射出力を20kW、照射時間を1
分とし、照射中の品温は約50〜60℃に保った。マイクロ
波照射後、速やかに品温が約30℃になるように冷風を吹
きつけ、冷却を行なった。なお、この冷却の際、米の表
面が蒸れないようにした。
【0022】次に、上記のようにして得られた米を蒸米
機へ投入し、 100〜 105℃の温度で15〜20分間の蒸米を
行なった。
【0023】蒸米後、冷風により冷却を行ない、餅生地
用の蒸米を得たが、褐変や味の変化等は全くみられなか
った。また、水分含量は40〜42%に調整することが出来
た。この米を練り操作し、餅生地を得た。この餅生地は
均一なものであった。
【0024】なお、蒸米中においては、蒸米機内での米
の付着は見られず、従来の如く長時間滞留によって生じ
る褐変、付着による汚染を防止することができた。
【0025】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の餅
生地の製造方法によれば、蒸米工程に入る前の米にマイ
クロ波を照射することにより、これに続く蒸米工程にお
ける蒸し条件をほぼ一定に設定でき、蒸し条件の管理が
容易で、均一な餅生地の製造が可能になった。
【0026】また、マイクロ波照射により、蒸米処理を
短い時間で行えるため(従来約30分)、全体として均一
な餅生地を短時間で製造することが可能になった。
【0027】またさらに、蒸米中における蒸米機内での
米の付着を防止できるので、従来のような米の付着によ
る長時間滞留によって生じる褐変や味の変化、および汚
染をまったくなくすことが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の餅生地の製造方法の工程を示す図であ
る。
【図2】本発明に用いるマイクロ波照射装置の一例を示
す概略構成図である。
【符号の説明】
11 ホッパー 12 ベルトコンベア 13 マイクロ波照射部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精米したもち米を洗米し、水に浸漬した
    後、水を切り、次いで、これをマイクロ波照射装置に導
    入し、ここでマイクロ波を照射して品温を50〜60℃
    した後、品温が30℃以下となるように冷却してから
    蒸米することを特徴とする餅生地の製造方法。
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