JP3152771B2 - マレイミドの製造方法 - Google Patents

マレイミドの製造方法

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  • Pyrrole Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマレイミドの製造方法に
関し、更に詳しくはN−無置換マレインアミド酸エステ
ルを出発原料として高収率、高純度かつ経済的に対応す
るN−無置換マレイミドを製造する方法に関する。本発
明におけるマレインアミド酸エステルおよびマレイミド
とはそれぞれN−無置換マレインアミド酸エステルおよ
びN−無置換マレイミドを意味する。
【0002】マレイミドは、例えば耐熱性が要求される
合成樹脂の原料のほかに、医薬、農薬などの中間原料と
して有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】マレイミドの製造に関しては多くの方法
が知られている。例えば、米国特許第3,899,50
9号明細書には、マレイン酸または炭化水素混合マレイ
ン酸とアンモニアとを気相で脱水触媒の存在下に反応さ
せる連続式再循環型製造方法が記載されている。ヨーロ
ッパ特許第82620号公報には、可変原子価金属酸化
物からなる酸化触媒の存在下における1,3−ブタジエ
ンとアンモニアとのアンモオキシデーションによる製造
方法、また特開昭60−188367号公報には、スク
シンイミドを特定な触媒の存在下に酸化的脱水素して製
造する方法が記載されている。しかし、これら方法はい
ずれも収率が低いうえに、操作が複雑であり、コストが
高くなるなどの欠点を有している。
【0004】また、無水マレイン酸にフラン、シクロペ
ンタジエンなどを反応させてディールスアルダー付加物
を生成させ、これをアンモニアで処理してイミド化合物
に変換し、さらに熱分解してマレイミドを得る方法も公
知である。しかし、この方法は工程が複雑で工業的な実
施には適していない。
【0005】最も一般的なマレイミドの製造方法はマレ
インアミド酸を脱水剤により脱水環化する方法である。
例えば、ドイツ特許第1934791号公報には、オル
トリン酸を脱水剤として用いたマレイミドの製造方法が
開示されている。しかし、この方法は収率が低いなどの
欠点を有している。特開昭50−126659号公報記
載の方法においては、脱水剤として塩化アセチル、塩化
ベンゾイル、塩化チオニル、五酸化リンなどを使用する
が、これら脱水剤はいずれも水分との反応性が高いた
め、取り扱いにくく、また腐食性も強い。このため、こ
の方法は作業性が低く、設備費も高くなって工業的実施
には適していない。特開昭64−7148号公報には、
脱水剤として塩化シアヌルを、また溶媒としてN,N−
ジメチルホルムアミドを用いてマレイミドを製造する方
法が開示されている。しかし、この方法は、高価で、し
かも毒性のある塩化シアヌルやジメチルホルムアミドを
用いていることから、工業的実施に適しているとはいえ
ない。また、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性
極性溶媒は沸点が高いため製品マレイミドから分離除去
することが困難であるなどの欠点もある。
【0006】一方、N−置換マレイミド誘導体の製造方
法に関しては、例えば特開昭62−215563号公報
には、マレイン酸モノエステルとイソシアネート化合物
とを反応させてマレインアミド酸モノエステルを生成さ
せた後、高真空条件下にこれを加熱により脱アルコール
反応を行って閉環イミド化させることによりN−置換マ
レイミドを製造する方法が開示されている。しかし、こ
の方法は、原料イソシアネート化合物が比較的高価であ
り、また脱アルコール反応を行う際に10-3〜10-5
mHgという高真空を必要とするため、このような真空
条件を実現するために高性能の真空ポンプおよびそれに
付随する装置などの設備投資に莫大な費用がかかること
から、工業的にはまったく不利な方法である。なお、こ
の方法においては、マレインアミド酸モノエステルの脱
アルコール反応の際、生成するアルコールはトラップで
凝集分離し、一方反応生成物のN−置換マレイミド化合
物は反応液を水中に分散して沈澱物として析出させてい
る(同公報の実施例1参照)。
【0007】また、特開平3−118362号公報に
は、N−置換マレインアミド酸モノエステルを酸触媒お
よび過加熱水蒸気の存在下に、脱アルコール反応により
閉環イミド化を行いN−置換マレイミドを製造する方法
が開示されている。しかし、この方法は過加熱水蒸気を
使用する点で単に加熱して脱アルコール反応を行う方法
に比べて経済的に不利という欠点がある。この方法は回
分式でも連続式でも行うことができ、回分式の場合、マ
レインアミド酸エステルと酸触媒との混合物を反応器に
導入し、これに過加熱水蒸気を接触させて脱アルコール
反応を行っている(同公報の第5頁左上欄参照)。ま
た、連続方式によれば、反応混合物を水蒸気とともに反
応容器から取り出し、冷却によって生成N−置換マレイ
ミドを得ている(同公報の実施例1参照)。
【0008】また、特開平3−173866号公報に
は、N−置換マレインアミド酸モノエステル、酸触媒お
よび不活性な溶媒とアルコールとの混合物を加熱して、
脱アルコール反応により閉環イミド化を行いN−置換マ
レイミドを製造する方法が開示されている。この方法に
おいては、加熱撹拌しつつ還流下で脱アルコール反応を
行った後、反応液を冷却して先ず水層(酸触媒)を分離
し、次いで有機層からN−置換マレイミドを分離してい
る(同公報の実施例1参照)。
【0009】また、特開平3−184956号公報に
は、N−置換マレインアミド酸類を酸触媒の存在下にア
ルコールと反応させてエステル化し、得られたN−置換
マレインアミド酸エステル類を不活性な溶媒中で酸触媒
の存在下に加熱して脱アルコール反応を行わせることに
よりN−置換マレイミド類を製造する方法であって、特
に脱アルコール反応による閉環イミド化工程において反
応系中に重合防止剤を添加することを特徴とするN−置
換マレイミド類の製造方法が開示されている。この方法
による閉環イミド化工程においては、生成するアルコー
ルを使用した溶媒とともに共沸除去し、減少した溶媒を
逐次補充することにより反応系内の溶媒量を一定に保っ
ている(同公報の第6頁右下欄参照)。また、反応液を
冷却した後水洗して先ず水層(酸触媒)を分離し、次い
で有機層からN−置換マレイミドを分離している(同公
報の実施例1参照)。
【0010】さらに、特開平4−221365号公報に
は、N−置換マレインアミド酸モノエステルを溶媒中で
無機酸および/または有機酸のアルカリ金属塩からなる
触媒の存在下に閉環イミド化するN−置換マレイミドの
製造方法が開示されている。この方法においては、室温
(25℃)で反応を行い、反応終了後に触媒をろ過によ
り分離し、得られた反応液からN−置換マレイミドを分
離している(同公報の実施例1参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記特開
平3−184956、同4−221365および同4−
290868号各公報に記載のN−置換マレインアミド
酸エステルおよびN−置換マレイミドの製造方法をマレ
インアミド酸エステルおよびマレイミドの製造に適用し
たところ、これら公報に記載されているN−置換マレイ
ンアミド酸エステルおよびN−置換マレイミドの収率に
比べて著しく低い結果しか得られなかった。
【0012】この原因について、本発明者らの研究によ
れば、次のことが判明した。
【0013】(1)エステル化反応に関しては、公知の
方法による場合、原料として用いるN−置換マレインア
ミド酸は反応に用いられる溶媒に完全に溶解して均一な
溶液を形成するのに対して、マレインアミド酸はほとん
ど溶解せず、マレインアミド酸結晶と溶媒とのスラリー
になってしまう。このため、N−置換マレインアミド酸
のエステル化反応は順調に進行し、N−置換マレインア
ミド酸エステルは高い収率で得られるのに対して、マレ
インアミド酸のエステル化反応はほとんど進行せず、結
果として低い収率でしかマレインアミド酸エステルを得
ることはできない。
【0014】(2)イミド化反応に関しては、N−置換
マレインアミド酸エステルは公知文献に示されているよ
うな条件で容易に脱アルコール反応を起こし対応するN
−置換マレイミドを生成するのに対して、マレアミド酸
エステルを同条件下で反応させるとマレイン酸ジエステ
ル、マレイン酸モノエステルなどが副生してしまい目的
とするマレイミドをほとんど得ることができない。
【0015】(3)公知のN−置換マレイミドの製造方
法においては、脱アルコール反応後の反応液から酸触媒
を除去するために反応液を水洗しているが、マレイミド
の製造の場合には、生成マレイミドが有機層から水層へ
移行してしまい有機層にはほとんど残存しなくなる。こ
のため、酸触媒とマレイミドとの分離ができないだけで
なく、水層中でマレイミドが加水分解されてしまいマレ
イン酸アンモニウム塩となってしまう。
【0016】上記(1)〜(3)に示すようにN−置換
マレインアミド酸からN−置換マレイミドへの反応はマ
レインアミド酸からマレイミドへの反応とその内容をま
ったく異にするものであり、前述した公知の技術をその
ままマレイミドの製造に適用しても目的とするマレイミ
ドを収率よく得ることはできなかった。
【0017】このようなN−置換マレインアミド酸、N
−置換マレインアミド酸エステル、N−置換マレイミド
などのN−置換化合物とマレインアミド酸、マレインア
ミド酸エステル、マレイミドなどのN−無置換化合物と
の化学的性質の差については、N−無置換化合物は、N
−置換化合物に比べ、その分子内に持つ活性水素が1つ
多いためと推定されている。
【0018】また、この構造上の差異は、次のような物
理的性質の差となって現れてきていると考えられる。
【0019】(1)マレインアミド酸は、N−置換マレ
インアミド酸に比べ、分子極性が大幅に高くなり、一般
の有機溶媒に難溶となる。
【0020】(2)マレインアミド酸、マレイミドなど
のN−無置換化合物は、N−置換化合物に比べて、著し
く活性が高い。このため、アルコール、水などと反応し
易く、生成するマレインアミド酸エステルだけでなく、
マレイミドも反応液内で種々の反応を起こして多くの不
純物を副生することになり、目的とするマレイミドを高
い収率で得ることができない。
【0021】(3)マレイミドは水に対する溶解度が高
く、容易に水に溶けるようになる。このように、N−置
換化合物とN−無置換化合物とは、その化学的性質およ
び物理的性質がまったく異なり、化学反応上からは、こ
れらはまったく別の化合物といっても過言ではない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、マレ
インアミド酸エステルを出発原料とし、脱アルコール反
応により閉環イミド化して高収率、高純度かつ経済的に
対応するマレイミドを製造する方法を提供することであ
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、マレインアミド酸エステルの脱アルコール反応によ
る閉環イミド化の際に、生成するアルコールが極めて複
雑な副反応、例えば目的生成物のマレイミドとの反応に
よるマレインアミド酸エステルの生成、マレインアミド
酸エステルの分解によるマレインアミド酸ジエスエルの
生成およびマレイミドのアンモニア付加体などの生成を
引き起こすこと、すなわちこれら一連の副反応の主たる
原因は脱アルコール反応により生成するアルコールその
ものにほかならないことが判明した。さらに検討を進め
たところ、脱アルコール反応中に反応系内のアルコール
濃度を特定範囲内に調整すると、閉環イミド化にほとん
ど影響を及ぼすことなく、上記のような副反応を効果的
に防止でき、前記目的が達成できることが判明した。
【0024】すなわち、本発明は、一般式(1):
【0025】
【化2】
【0026】(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を
示す)で表されるマレインアミド酸エステルを不活性有
機溶媒中で酸触媒の存在下、反応系中のアルコール濃度
を3重量%以下に保持しながら、脱アルコール反応を行
わせて閉環イミド化することを特徴とするマレイミドの
製造方法である。
【0027】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0028】上記一般式(1)においてRは炭素数1〜
8の直鎖または分岐アルキル基を示し、具体例としては
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、アミル基、sec−アミル基、イ
ソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘ
プチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基など
を挙げることができる。本発明で用いる一般式(1)で
表されるマレインアミド酸エステルの具体例としては、
マレインアミド酸メチルエステル、マレインアミド酸エ
チルエステル、マレインアミド酸n−プロピルエステ
ル、マレインアミド酸イソプロピルエステル、マレイン
アミド酸n−ブチルエステル、マレインアミド酸イソブ
チルエステル、マレインアミド酸sec−ブチルエステ
ル、マレインアミド酸tert−ブチルエステル、マレ
インアミド酸アミルエステル、マレインアミド酸sec
−アミルエステル、マレインアミド酸イソアミルエステ
ル、マレインアミド酸n−ヘキシルエステル、マレイン
アミド酸イソヘキシルエステル、マレインアミド酸n−
ヘプチルエステル、マレインアミド酸n−オクチルエス
テル、マレインアミド酸2−エチルヘキシルエステルな
どを挙げることができる。これらマレインアミド酸エス
テルはアルコールとマレインアミド酸とから公知の方法
により容易に調製することができる。
【0029】本発明で用いる不活性有機溶媒の具体例と
しては、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルな
どのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジオ
キサンなどのケトン類、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪
族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水
素類、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭
化水素類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲ
ン化炭化水素、テトラヒドロフランなどのフラン類、ス
ルホランなどのスルホラン類、ジメチルスルホキシドな
どのオキシド類などを挙げることができる。これらは単
独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用することも
できる。
【0030】不活性有機溶媒の使用量は、出発原料のマ
レインアミド酸エステルの1〜50重量倍、特に2〜2
0重量倍とするのが好ましい。
【0031】本発明で用いる酸触媒については特に制限
はなく、この種の反応に一般に用いられている酸触媒を
使用することができるが、特に硫酸、無水硫酸、メタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、オルトリン酸、メタ
リン酸、ピロリン酸、亜リン酸、次亜リン酸などが好適
に用いられる。この酸触媒は、反応液からの分離が容易
になるなどの理由により、固体担体に担持して使用する
のが好ましい。
【0032】上記固体担体としては、無機担体および有
機担体のいずれも使用することができる。無機担体とし
ては、カオリン類、クレー、滑石、チョーク、石英、ベ
ントナイト、モンモリロナイト、ケイソウ土などの天然
鉱物類、ケイ酸、ケイ酸塩、アルミナ、活性炭、石膏、
ベンガラ、酸化チタン、シリカ、シリカ−アルミナ、酸
化ジルコニウムなどの合成鉱物類、方解石、大理石、軽
石、海泡石、ドロマイトなどの天然岩石などを挙げるこ
とができる。また、有機担体としては、ポリフルオロカ
ーボン、ポリスチレン、フェノール樹脂などを挙げるこ
とができる。これら固体担体の中でも、ケイソウ土、シ
リカゲルなどの多孔質担体は、良好な結果が得られるこ
とから、特に好適に使用される。固体担体の形状につい
ては、粉状、球状、ハニカム状など適宜選択することが
できる。酸触媒の固体担体への担持量については、使用
する固体担体の種類により異なるが、通常、0.5〜5
00重量%であり、特に5〜200重量%とするのが好
ましい。
【0033】酸触媒の固体担体への担持方法については
特に制限はなく、一般に用いられている含浸法、吹き付
け法などのいずれの方法も採用することができる。酸触
媒を直接固体担体に担持させても、あるいは有機溶媒ま
たは水に溶解して溶液として担持させてもよい。この担
持触媒の使用形態については特に制限はなく、撹拌式反
応釜に粉状触媒の形で添加して用いることもできるし、
また流通式反応管に粒状触媒の形で充填して固定床とし
て用いることもできる。
【0034】酸触媒の使用量は(固体担体に担持して使
用する場合は担持した酸分として)原料のマレインアミ
ド酸エステルに対して2〜400モル%、好ましくは2
0〜200モル%である。
【0035】本発明の方法によれば、脱アルコール反応
により生成するアルコールの反応系中の濃度、すなわち
反応液中のアルコール濃度を3重量%以下、好ましくは
1重量%以下に調整しながら脱アルコール反応を行う。
反応液中のアルコール濃度を上記範囲内に調整するため
には、反応温度を適宜選択して、生成するアルコールを
使用した不活性有機溶媒とともに反応系外へ留去すれば
よい。
【0036】このように生成アルコールを不活性有機溶
媒とともに反応系外へ留去することを考慮して、反応温
度は50〜180℃、特に70〜150℃の範囲とする
のが好ましい。また、不活性有機溶媒の使用量は、前記
のとおり、出発原料の1〜50重量倍、特に2〜20重
量倍とするのが好ましい。反応時間は、反応液濃度など
により変わるので一概に特定できないが、0.5〜20
時間、好ましくは2〜10時間である。なお、本発明の
脱アルコール反応は常圧でも、あるいは減圧または加圧
下でも実施することができるが、通常、常圧で上記温度
範囲で行うのがよい。
【0037】本発明の脱アルコール反応には、重合防止
剤を使用してもよい。この重合防止剤としては、一般に
重合防止剤として使用されているものであればいずれも
使用することがでる。具体例としては、フェノール、メ
トキシフェノール、tert−ブチルカテコール、ハイ
ドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、チオジ
プロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステア
リル、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチ
ルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカル
バミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、
ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸ナトリウ
ム、サリチル酸フェニル、フェノチアジン、2−メルカ
プトベンズイミダゾール、トリフェニルホスファイトな
どを挙げることができる。
【0038】本発明においては、生成するアルコールを
不活性有機溶媒とともに反応系外に留去するが、これら
留去物は冷却などの従来公知の方法により捕集すること
ができる。不活性有機溶媒とともに反応系外に留去した
アルコールは不活性有機溶媒から分離して再び原料とし
て用いることができるし、また不活性有機溶媒も反応系
に循環使用することもできる。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0040】実施例1 温度計、水分離器を備えた冷却管および撹拌機を備えた
500mlフラスコにマレインアミド酸メチルエステル
12.9g(0.1モル)、トルエン103.2gおよ
びジブチルジチオカルバミン酸銅0.01gを仕込み、
これにシリカ担体(商品名:マイクロビーズシリカ4
B、富士デビソン(株)製、平均粒径150μm)にオ
ルソリン酸を担持した触媒(オルソリン酸担持量33重
量%)2.0gを加え、100℃で撹拌下に3時間脱ア
ルコール反応を行った。この間、反応により生成し、蒸
発するアルコールは系外に留去した。反応終了時におけ
る反応液中のアルコール濃度は0.3重量%であった。
反応液をろ過して触媒をろ別した。ろ液をガスクロマト
グラフィーで分析したところ、原料マレインアミド酸メ
チルエステルの対して55.0モル%の収率でマレイミ
ドが得られたことが分かった。
【0041】実施例2〜4 実施例1において、反応温度、触媒の量および溶媒の種
類を変えた以外は実施例1と同様の方法でマレインアミ
ド酸メチルエステルの脱アルコール反応を行った。結果
を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例5 温度計、水分離器を備えた冷却管および撹拌機を備えた
500mlのフラスコにマレインアミド酸メチルエステ
ル12.9g(0.1モル)、トルエン103.2gお
よびジブチルジチオカルバミン酸銅0.01gを仕込
み、これに実施例1で使用したと同じシリカ担体に濃硫
酸を担持した触媒(濃硫酸担持量33重量%)2.0g
を加え、110℃で撹拌下に3時間脱アルコール反応を
行った。この間、反応により生成し、蒸発するアルコー
ルは系外に留去した。反応終了時における反応液中のア
ルコール濃度は0.3重量%であった。反応液をろ過し
て触媒をろ別した。ろ液をガスクロマトグラフィーで分
析したところ、原料マレインアミド酸メチルエステルに
対して48.0モル%の収率でマレイミドが得られたこ
とが分かった。
【0044】比較例1 特開平3−184956号公報記載のN−置換マレイン
アミド酸からN−置換マレイミドを製造する方法に準じ
て、マレインアミド酸からマレイミドを製造した。
【0045】温度計、水分離器を備えた冷却管、トルエ
ン供給管および撹拌機を備えた500ml四つ口フラス
コにマレインアミド酸23.0g(0.2モル)、トル
エン180ml、イソブチルアルコール55.3g
(0.6モル)および濃硫酸2.0mlを仕込み、加熱
撹拌下、減圧することにより反応温度を80℃に保ち、
反応より生成する水をトルエンとともに系外に留去しな
がら1時間エステル化反応を行った。この際、反応液は
スラリー状であった。次いで、減圧を解き、80℃のま
までフラスコ内にp−メトキシフェノール0.1gを添
加した。常圧のまま再び加熱を開始して、トルエンが還
流を始めた時点からトルエン供給管より180ml/h
の速度でトルエンをフラスコ内に供給するとともに、水
分離器より180ml/hの速度でトルエンの抜き出し
を行った。この際、反応系はスラリー状であり、一部塊
状固体があった。反応終了後、ろ過を行い、ろ取した固
体を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、
3.2モル%マレイミドが得られ、有機層をガスクロマ
トグラフィーにより分析した結果、マレイミドが6.0
モル%得られたことが分かった。マレイミドの出発原料
として使用したマレインアミド酸に対する収率は9.2
モル%にすぎなかった。
【0046】比較例2 特開平3−173866号公報記載のN−置換マレイン
アミド酸モノエステルからN−置換マレイミドを製造す
る方法に準じて、マレインアミド酸エステルからマレイ
ミドを製造した。
【0047】温度計、水分離器を備えた冷却管および撹
拌機を備えた200ml三つ口フラスコにマレインアミ
ド酸メチルエステル12.9g(0.1モル)、トルエ
ン90ml、メチルアルコール32.0g(1.0モ
ル)および濃硫酸1.0mlを仕込み、加熱撹拌しつつ
還流下で3時間撹拌を続けて脱アルコール反応を行っ
た。反応終了後、高速液体クロマトグラフィーで反応液
を分析してマレイミドの生成量を測定した。マレイミド
の出発原料として使用したマレインアミド酸メチルエス
テルに対する収率は10.0モル%にすぎなかった。
【0048】比較例3 特開平4−221365号公報記載のN−置換マレイン
アミド酸エステルからN−置換マレイミドを製造する方
法に準じて、マレインアミド酸エステルからマレイミド
を製造した。
【0049】温度計、水分離器を備えた冷却管および撹
拌機を備えた200ml三つ口フラスコにマレインアミ
ド酸メチルエステル12.9g(0.1モル)、メチル
アルコール90mlおよび炭酸ナトリウム0.8gを加
え、室温(25℃)で3時間撹拌を続けて脱アルコール
反応を行った。反応終了後、触媒をろ過して除去した。
次に、高速液体クロマトグラフィーで反応液を分析して
マレイミドの生成量を測定した。マレイミドの出発原料
として使用したマレインアミド酸メチルエステルに対す
る収率は27.9モル%にすぎなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、反応液中のアル
コール濃度を低く調整することにより、生成アルコール
に起因する複雑な副反応を抑え、マレイミドを高収率で
製造することができる。
【0051】本発明における脱アルコール反応は、従来
公知の脱水剤を用いた脱水環化反応に比べて極めて容易
に進行するので、本発明の方法によれば、脱水剤を用い
る従来法より効率よくマレイミドを製造することができ
る。
【0052】本発明の方法によって得られるマレイミド
は非常に純度が高く、特別の精製工程を必要とするもの
でないから、生産コストを大幅に削減することが可能と
なり、このため本発明の方法によれば低コストでマレイ
ミドを製造することができる。
【0053】本発明の方法は、酸触媒として固体担体に
担持して使用した場合、触媒の分離回収が容易となり、
経済的に有利となる。
【0054】
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 207/448 B01J 27/02 B01J 27/16 B01J 31/02 103 C07B 61/00 300 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表さ
    れるマレインアミド酸エステルを不活性有機溶媒中で酸
    触媒の存在下、反応系中のアルコール濃度を3重量%以
    下に保持しながら、脱アルコール反応を行わせて閉環イ
    ミド化することを特徴とするマレイミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸触媒が、硫酸、無水硫酸、メタンスル
    ホン酸、ベンゼンスルホン酸、オルトリン酸、メタリン
    酸、ピロリン酸、亜リン酸および次亜リン酸から選ばれ
    た少なくとも1種の酸を固体担体に担持したものである
    請求項1記載のマレイミドの製造方法。
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TWI522347B (zh) * 2011-03-24 2016-02-21 Nippon Catalytic Chem Ind A N-phenylmaleimide compound and a copolymer composition obtained using the same

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