JP3146203B1 - 薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法 - Google Patents
薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法Info
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Abstract
体型薄膜太陽電池モジュールの裏面保護カバーの開口か
ら端子ボックス等に該太陽電池の電力を供給する配線を
取り出す部分において裏面保護カバーに含まれる金属箔
と配線の接触トラブルを防ぐと共に当該部分での信頼性
を、簡便な構造で確保する。 【解決手段】 開口部分を配線の寸法より大きくすると
共に、該開口を完全に覆い配線を通す隙間を有する絶縁
シートの小片で配線の位置決めをする。該小片は裏面保
護カバーと太陽電池との間の空間において充填剤で完全
に充填されている。充填剤としてはエチレン・酢酸ビニ
ル共重合体など、裏面保護カバーとしてフッ素系樹脂フ
ィルムでアルミ箔をサンドイッチした構造が好適に用い
られる。
Description
ュール及びその製造方法に係わり、特に透明絶縁基板上
に光起電力素子が直接形成され構成された薄膜太陽電池
を単一あるいは少数組み合わせて構成される薄膜太陽電
池モジュールの電極取り出し構成及びその組み付け方法
に関する。
量の増大等の環境問題を解決する手段として太陽光発電
が盛んとなっており、シリコン等の半導体材料の使用量
が少ないと言う点で薄膜太陽電池が注目されている。
結晶基板を用いる太陽電池と比較して光を電力に変換す
る効率が数割低いという問題があり、特に日本などの太
陽電池を設置する場所が限られている環境においては、
太陽電池モジュールの占有する面積に対して発電に寄与
する面積を大きくすることがその効率のギャップを埋め
る手段として重要視されている。結晶基板を用いる太陽
電池の場合は結晶基板一枚に一つの太陽電池が形成され
ておりそれを数10枚接続して太陽電池モジュールを構
成しているが、それを配置するための隙間、接続された
太陽電池素子の電力を端子ボックス等の接続手段まで配
線の領域のために太陽電池モジュールの面積の内、実
際、発電に寄与する面積はその7割から8割である。こ
れに対して薄膜太陽電池モジュールでは透明絶縁基板に
直接太陽電池素子を形成し、基板上で接続する薄膜太陽
電池モジュール(以降、基板一体型太陽電池モジュール
と呼ぶ)が提案されており、発電領域の面積はモジュー
ル専有面積の9割程度まで実現可能である。
造、並びにその製造方法については、米国特許第429
2092号に開示されている。太陽電池ガラス等の透明
絶縁基板に透明導電膜を形成し、レーザ加工線によりス
トリップ状の個別の光起電力領域に分離し、その上にp
型、i型、n型のアモルファスシリコンを全面に製膜し
光起電力半導体層とする。最初の加工線と平行にずらし
た位置に隣の素子と接続するための接続溝をレーザ加工
にて作り。さらに裏面電極層を形成した後、接続溝と平
行かつ透明電極の分離溝と反対側に裏面電極分離溝を形
成する。これらの工程により一つの基板にストリップ状
の複数の光起電力素子が直列に接続された薄膜太陽電池
が形成される。
終端部あるいは途中にバス手段が設けられる。バス手段
は発電に寄与しない部分であるので光起電力素子より若
干狭いストリップ状の領域(バス領域)に、より電力を
集めやすい様に、良導体を設置する。良導体としては例
えば特開平3−171675に開示されている様にガラ
スフリット等の金属粒子を分散したペーストをその領域
に塗布する方法、あるいは特開平9−83001に開示
されている様に半田メッキ銅箔をセラミック用の半田で
接続する方法がある。
ルには、外部に電力を供給するための接続手段を持って
おり、その具体例として端子ボックスが用いられる。端
子ボックスはその中に端子を持っており、太陽電池モジ
ュール内部から引き出された線がその端子に接続されて
おり、その端子を介して電力ケーブルが接続される。
は、結晶基板太陽電池で用いられている透明支持体の上
に銅箔を基板と同平面で並べて接続する方法や、特開平
3−171675の様に透明絶縁基板上の主として周辺
部に存在する光起電力素子が存在しない領域にガラスフ
リット等の金属粒子を分散したペーストを線状に塗布し
て配線する方法、あるいは特開平9−326497には
素子を封止するための充填材の中でバス領域と外部に電
力を供給する手段を接続するための配線を半田メッキし
た銅箔等で行う方法がある。
方法を図2に紹介すると、薄膜太陽電池100上に正負
の電力を集めるバス領域3,3’を設け、それらの上に
は半田メッキ銅箔4,4’が設けられ、これらの半田メ
ッキ銅箔4,4’の間に外部に電力を供給するための接
続手段としての端子ボックスの電極取り出し部が配置さ
れる位置に対応して絶縁フィルム7を敷き、一端を半田
メッキ銅箔4,4’に接続した2本の半田メッキ銅箔
5,5’を絶縁フィルムの上にはわせて配線とする。続
いて、その上に被せられる裏面保護カバー13をガラス
基板1に密着させるための充填材のフィルム9とを該裏
面保護カバーとこの順序で重ねていく。この裏面カバー
13には電極取り出しの為の開口部が設けられており、
半田メッキ銅箔5,5’はその開口部から裏面カバーの
外側に導出され、この状態で真空ラミネーターを用いて
加熱圧着され固定される。
いて、図2の方法では組立は容易であるがこの方法で完
成したモジュール裏面の配線開口部近傍を観察すると、
裏面保護カバーの開口14の縁と半田メッキ銅箔5,
5’とが極めて高い確率で接触することが判明した。す
なわち、この構造では銅箔と開口の間には、それらの相
対的な位置関係を制限するものが、何も無いので成り行
きで開口の縁と接触するのである。このことは、裏面保
護カバーとしてTedler/Al/Tedlerの3
層構造シート等の金属材料を含むシートを用いる場合に
両極の配線5,5’が短絡する事故、あるいは、アルミ
フレームを用いる場合に裏面保護カバー中の金属層を介
してフレームに電力が漏電する事故を生じる可能性が極
めて大きく問題となっている。
の充填材を保護する手段、あるいは、開口からの水分の
進入を防ぐ手段が全くなされておらず、信頼性を著しく
下げる原因となっている。
を作った場合、30%前後の不良が生じており、また合
格品でもこれらの薄膜太陽電池モジュールを、湿度85
%、温度85℃の環境試験機に入れて1000時間経過
したときに観察したところ、この開口の近傍での水分の
進入が見られている。
され常時80℃程度まで温度が上昇するなど環境の影響
を受けやすい点、価格や販売形態から20年程度の耐用
年数を要求されている点など、極めて厳しい信頼性項目
を要求されている。これに対応するためには、信頼性の
保証されたもの以外の材料の使用を避けると共に、太陽
電池モジュール内部は充填材で完全に充填され空隙の無
い状態にする必要がある。
ると共に、太陽光発電の普及の為には価格面を安価に押
さえる必要があり、簡易な構造や方法で上記項目を実現
する必要がある。
たす解決手段を、特開平9−326497に開示した構
造を出発点として、日夜改良してきた結果、本発明に開
示する単純且つ明解な手段を見いだした。
池が形成された面を保護する充填材と保護カバーを含む
封止手段と、その薄膜太陽電池により発生した電力を外
部に供給するための接続手段とを含む薄膜太陽電池モジ
ュールにおいて、該配線と密着した開口を有するととも
に、裏面保護カバーの開口を完全に覆う単数あるいは複
数の絶縁物により、該配線が裏面保護カバー開口部に露
出した金属フィルムと接触することを防止している。
限している。配線の材料としては錫で被覆された銅の線
または箔を用いるとともに、絶縁物はフッ素系の樹脂フ
ィルム、あるいはガラスもしくは160℃耐熱の繊維の
不織布であり、該絶縁物が裏面保護カバーと太陽電池と
間の空間に設置される場合において充填材に埋設されて
いる。
体(EVA)、シリコーン、ポリビニールブチラール
(PVB)の何れかを用いている。
は前記充填材が、真空ラミネート法で用いられるエチレ
ン・酢酸ビニール共重合体(EVA)、ポリビニールブ
チラール(PVB)等の未硬化のシート状で供給され、
加熱により溶融し、熱架橋するタイプのものを用いる場
合では、バス領域から電力供給の為の接続手段(端子ボ
ックス)とを結ぶ配線が裏面カバーの開口を通して封止
の外部に出る部分において、配線を開口の中心近傍で固
定するために、裏面保護カバーを付ける前に、当該場所
に配線位置を固定する開口や切り込みを有するテドラー
/EVAの小片、あるいは不織布の小片を配置してい
る。
用いて説明する。ここに述べられる内容は形態を説明す
るものであり、これに限定されるものではなく、別の形
態をとるものであってもその技術思想を反映するもので
あれば、適用できるものである。 [薄膜太陽電池] 図3には、本発明で用いられる薄膜態様電池の一例の断
面図を、図4には上面図を示す。
としてはガラスや耐熱性のプラスチックが用いられる。
この基板上に基板の不純物がその上の層に拡散しない様
に例えばSiO2が形成される。この上に透明電極層が
形成される。
よって凹凸が形成される形に成長したSnO2が好適に
用いられる。その形成方法としては熱CVD法が一般的
である。
て溝18が設けられ、ストリップ状の個別領域17が形
成される。
導体層としてはアモルファスシリコンや、薄膜多結晶シ
リコン、CIS、CdTeなどの光起電力接合が適宜形
成される。また透明電極の材料もこれらの半導体に適し
たものが適宜選択される。
の接続の為の溝21が設けられる。
成される。裏面電極層としては、ZnOなどの透明導電
材料とAgなどの高光反射金属を組み合わせた電極が好
適に用いられる。
個別の電極23となる。この形態により透明電極と裏面
電極の間に半導体が挟まれた単位素子28が直列に接続
される。
電力を集めるためのバス領域3,3’が設けられる。こ
の領域には透明電極層を露呈させるための溝25が複数
設けられ、その部分に離散的にセラミック半田のバンプ
26が形成される。セラミック半田は透明電極やセラミ
ックと接合が可能になるように希土類を配合したもので
あり、千住金属などからセラソルザの商品名で市販され
ている。
されている。半田メッキ銅箔4は0.2mm前後の厚み
の幅数mmの銅箔を通常の共晶半田でコートしたもので
ある。このコートにより耐食性が改善されるのと、バン
プの上にこの銅箔を配置し銅箔の上から半田鏝で押さえ
るだけで容易に半田接続ができるという効果がある。そ
の結果、通常酸系の材料であるフラックスの不必要とな
り後で封止した際に残留しないので信頼性の面でも好適
である。
層が存在しない領域があるか、あるいは上の全ての層を
除去した溝を設けることで、電気的に絶縁すると共に、
この領域での充填材の付着力が増大する効果により、周
囲から空気や水分を隔離している。
と図6のように、基板の中央部にストリップ状の太陽電
池素子28の裏面電極が並んで見えて発電領域2を形成
し、その両端にバス領域3,3’があり、それらを取り
囲む周辺領域27が存在している。
‘は、充填剤が銅箔と素子面との隙間に充填するように
僅かな隙間を形成するように調整されて接続される。 [配線] 太陽電池モジュールから外部へ電力を供給するための手
段としての端子ボックスの位置は用途により任意に選定
できるが、現行市販されている結晶基板のモジュールの
場合においては短辺の中央近傍のガラス面端部より数cm
の場所に位置しているケースが多い。ここでは短辺中央
部5cmの場所に端子ボックスを配置するとして図5、図
6を用いて説明する。
域上3、3‘の半田メッキ銅箔4、4’の基板端から5
cmの位置に別の半田メッキ銅箔5、5‘を接続する。こ
の半田メッキ銅箔5、5’は端子ボックスの金具と接続
するのに最適なものを選ぶ。発明者の経験上は、バス領
域の半田メッキ銅箔4、4‘の幅は比較的長い引き回し
をするのに都合よく3mmより狭くするのがよく、半田バ
ンプとの半田の付着強度を1kg以上に確保する為には1
mmより広くするのが好ましい。また、端子ボックスまで
の接続用の半田メッキ銅箔5、5’は強度を確保するた
めにバス領域の半田メッキ銅箔より幅が広いことが望ま
しく、ボックス内部の接続端子の幅が7mm程度であるの
で5mm前後のものが好ましく用いられる。この銅箔の厚
みは作業性の利便から0.2mm以下の厚みが好ましい。
回し用の半田メッキ銅箔5,5’の接続は、接続する場
所で両者を重ね合わせ、押さえながら半田鏝で銅箔上の
半田を溶融させて半田付けする。半田付け強度は最低で
も1kgは必要であるが、この強度を確保するためには
半田メッキ銅箔上の半田厚みを50μm以上にする必要
があり好ましくは0.1mmあるものが望ましい。半田
の量を確保すると半田付け強度が増すので半田を追加す
ることも可能であるが、フラックス(半田用のヤニ)が
含まれると金属を腐食する危険性がある点、また半田を
供給する作業が繁雑になるため、半田メッキの厚みを確
保してメッキの半田のみで接続することが有効であるこ
とがわかっている。
原因は、銅箔の面が接触面に対して0.1mm以上の凹
凸があり、その凹凸を埋めるだけの半田が無いと半田接
合は面状ではなく点状になるためである。 [絶縁シート]バス領域から外部へ電力を供給するため
の接続手段までの配線と太陽電池の素子面の間には、充
填材に埋設された絶縁シート7が配置されている。
にエチレン・酢酸ビニール共重合体(EVA)が用いら
れる。また、裏面保護カバー13の材料としては、フッ
素系のフィルムが用いられ特にデュポン社のTedle
rが一般的であり、水分の透過を防止するためにTed
ler/Al箔/Tedlerの3層構造が好適に用い
られる。この組み合わせは、1980年代に米国のジェ
ット推進研究所(JPL)が結晶基板を用いた太陽電池
モジュールの材料・構造を総括的に検討した結果、最も
信頼性の高い組み合わせとして見いだされたものであ
り、以来20年間に渡ってほぼ業界標準として用いられ
ているものである。本発明ではこの組み合わせが好適に
用いられるが、この20年間各社より、より安価な、あ
るいいは信頼性を改善した代替品などが開発されつつあ
り、これらのものも適宜用いられる。
に信頼性の確認された材料を使用するのが好ましい。ま
た、絶縁を確保する為には金属を含まない方が良く、T
edlerの単体シートなどが好適な選択となるが、他
にはPETなどの安価な樹脂フィルム等も安全性を確保
できるなら使用することが可能である。
とが可能であるが、太陽電池には半導体及び裏面電極層
の存在しない部分があり、光入射側から見るとこの部分
が透けて見えるため、前記半田メッキ銅箔を隠蔽するた
めに、裏面保護カバーの充填材と触れる側の色調と同じ
ものを使用するのが好ましい。
子群(発電領域2)と半田メッキ銅箔5,5’とが接触
しない様に適宜、長さ及び幅が選択される。厚みとして
は、30μm?bP00μmのものが封止後にその部分が
突起とならない様に選択される。半田メッキ銅箔5,
5’の幅に対して絶縁シート7の幅は大きめにする必要
があり、作業的には5mmの半田メッキ銅箔に対して2
5mm以上あれば半田メッキ銅箔が万が一ずれた場合に
も絶縁を確保できる。図5(B)には、絶縁シート7と
それを挟む充填材6,8を示す。
述のEVAの場合は、熱可塑性のシートとして供給され
る。この場合は絶縁シートと同じ形状に加工して、絶縁
シートをサンドイッチの様に挟んで所定の位置にセット
する。これらのシートは、ずれない様に部分的にEVA
を溶融させて仮固定することも可能である。発明者らは
電気アイロン(表面にテフロン加工のあるもの)の中に
セットして(鏝面温度130℃)部分的に押さえること
でズレが生じないことを発見している。温度を高にセッ
トすると160℃以上となりEVAが変質が起こるので
温度設定には注意が必要となる。
に対して延伸方向に対して縮みやすい傾向があり、寸法
精度を確保するために、縮みにくい延伸方法(例えば二
軸延伸法)で作られた材料を用いる、あらかじめ熱収縮
を測定して縮みにくい方を寸法精度の必要な長手方向に
する、あるいは、予備的な加熱で寸法を安定化させてか
ら用いる等の対策が必要である。なお、絶縁シートと充
填材を設置するのは、半田メッキ銅箔5,5’設置の前
でも後でも実施の態様にあわせて選択できる。 [裏面保護カバーの設置]電力取り出し接続手段までの
半田メッキ銅箔5,5’を端子ボックス設置位置にて、
その端子ボックス側の端が基板に対して垂直になるよう
に折り曲げて、図5(C)に示す様に半田メッキ銅箔を
通すためのスリット10を開口した基板全面を覆う充填
材を被せる。EVAの場合は基板より若干大きめのサイ
ズのものを用いると前述の熱収縮に対して対策できる。
概略的には長さで2%〜5%大きめにするのが好まし
い。半田メッキ銅箔5,5’を通すためのスリット10
は銅箔の裏面カバーの外に出る部分以外については充填
材に覆われている必要があるため出来るだけ細くする必
要がある。
ける必要があるが、裏面保護カバー13としてTedl
er/Al箔/Tedler三層シートの様に金属層を
含むカバーを用いるときにおいては開口部分14で半田
メッキ銅箔5,5’と金属層とが電気的に接触すると、
太陽電池の出力の全てが金属層で短絡して出力が得られ
ない、あるいは、一方の極の銅箔と金属層とが接触した
場合でも、裏面保護カバー13の一部が後で設置するフ
レームや取り付け具と接触すると、漏電して安全上問題
となる。工業規格ではフレームや金具と端子間の絶縁耐
圧を1.5kV以上維持することが決められており、こ
れに適合する上でも前記接触を防ぐ対策が必要となって
くる。
3に設ける開口14を半田メッキ銅箔より大きくすると
ともに、保護カバーの開口より大きめでかつ半田メッキ
銅箔を通す穴あるいはスリットがあり充填材に埋設され
た別の絶縁物11を充填材の上に配置してから裏面保護
カバー13を設置する方法が採られている。
様に充填材のシートの上に保護カバーの穴より少し大き
めで切り込みのあるTedlerシート小片を半田メッ
キ銅箔の周りにセットし、さらにほぼ同じサイズのEV
Aシート小片12をセットしてから、保護カバーをセッ
トすればよい。
を出すとともに耐熱性テープで銅箔と保護カバーが接触
しない位置に仮固定することにより、真空ラミネート工
程でずれることなく、ショートしない様にすることが出
来る。図6(F)、図6(G)参照 [真空ラミネート工程]以上の工程にて組立てた太陽電
池モジュールは真空室がゴムのダイアフラムで上下に分
離された二重真空槽式ラミネーター(略称真空ラミネー
ター)で加熱圧着される。太陽電池モジュールはガラス
を下にした状態で装置にセットされる。
室を真空引きし太陽電池モジュールを脱気する。この時
の到達真空度は装置のカタログでは0.5torr程度
である。この間にEVAが溶融し内部の気泡等が除去さ
れる。次に上側の真空室に大気を導入することで大気圧
でモジュールを圧着する。そのまま、150℃程度まで
昇温しEVAを架橋させる。この架橋時間は1980年
頃は15分程度かかったが最近ではファーストキュア品
が販売され2分程度で架橋させることが可能である。
ュールは、基板周辺にはみ出した充填材や保護カバーを
除去するとともに、周辺枠や端子ボックスを所定の場所
に取り付けることで製品として完成する。
細部を図7(a)に示す。裏面保護カバー13の開口1
4より大きな絶縁シート小片11が充填材9とこのシー
ト小片を埋めるための充填材12により埋設されてい
る。絶縁シート小片の材質としては裏面フィルムと同種
類のものが好ましく導電層を含まないものを用いる。例
えば、裏面保護カバーとしてTedler/Al箔/T
edler三層シートを用いた場合は、Tedler単
体のシートを用いる。通常の場合、開口部で水蒸気バリ
ア性能は前記三層シートがこの部分で無い為に大幅に低
下する。この対策としてTedler/PET/Ted
ler三層シートなどの様に金属箔を含まず、水蒸気バ
リア性を有するシートを絶縁シート小片11用いること
も可能である。
いという性質を有していると共に、確実に絶縁が得られ
ることが判明している。また、CraneGlas23
0という特定の商品ではあるが前述のジェット推進研究
所の試験で良好な特性が得られることが証明されてい
る。もちろん、近年においては長繊維のグラスファイバ
ーとより信頼性の高いアクリルなどでバインドしたもの
があり、適宜選択できる。
用いる場合は、真空ラミネート工程で押さえられて体積
が小さくなることを考慮して樹脂フイルムより厚いもの
を使用する。好適には0.1〜0.4mmのものが用い
られる。裏面保護カバーの開口部の絶縁においては、ガ
ラス不織布の小片32を一枚設置するだけで充填材のシ
ートを用いる必要がない。ガラス不織布はその下の基板
サイズの充填材シート9のEVAが浸透するからであ
る。
様としてガラス不織布の小片32の代わりに充填剤シー
ト9と同じサイズのガラス不織布シートを配置すること
も可能である。近年、EVAシートの品種として不織布
シートと一体化したものが販売されておりこれを利用す
るとEVAシート9の設置の作業1工程で同時に本発明
の工程が実現する。さらに、この態様では、これまで説
明してきた半田メッキ銅箔等による配線や半田バンプが
何らか原因で突起となったものが裏面保護シートを損傷
して樹脂フィルム層を突き破り金属箔層と接触するのを
防止するという付随効果も期待できる。ガラス不織布の
単価は裏面保護カバーの材料の10%以下でありコスト
面でも比較的容易にこの態様を実現することができる。
料として腰があるので取り扱いが簡便であるので、本発
明の工程の簡略の面でも極めて有利であることが判っ
た。
(b)に示した。この場合、裏面保護カバーの開口より
少し大きめのガラス不織布の小片32が配置されてい
る。このシートは充填材9に含浸されている。
様を図8(c)に示す。
は水蒸気が透過しやすいのでその部分をバリアするもの
でカバーするひつようがある。そこでこの例ではバリア
性のあるシート34を被せている。材料としては前記の
Tedler/PET/Tedler三層シートや、単
純にPETあるいは、樹脂フィルムにSiO2等の無機
系の層をコートしたフィルム等も好適に用いられる。
バリア性のある樹脂35を開口部に配することも可能で
ある。この樹脂としては、ポッティング方式でモジュー
ル完成後に配置するゴム系の充填材や、シート状の接着
剤でバリア性のある樹脂が用いられる。前者としてはポ
リイソブチレンやウレタン等、後者の例としては、IC
のパッケージの封止に用いられるホットメルトタイプの
接着剤が好適に用いられるがこれらに限定されるもので
はない。
方法を用いることにより、裏面封止カバーとガラス基板
の間が構成部品と樹脂で充填され、空隙が全く生じない
構造の薄膜太陽電池モジュールを簡便に作ることが出来
た。また、本発明によれば配線と裏面封止カバーの接触
を防ぐことができた。以上の説明では材料として特定の
ものが用いられるが、他の材料についても同様に適用す
ることができる。また、バス領域が一対、端子ボックス
が一箇所設けられているもので説明しているが、この構
造に限定されるものではなく、例えば特開平3−171
675に開示されている様な一枚の基板に複数の直列接
続の集積太陽電池が存在し、それらを並列に一つの端子
ボックスに集める配線においても適用でき好ましい結果
が得られることはいうまでもない。
たアモルファスシリコン太陽電池をEVAとTedle
r/Al箔/Tedlerの3層構造フィルムを用いる
場合という特定の応用について詳細に述べる。 (実施例1)透明絶縁基板1として短辺50cm長辺1
00cm厚さ4mmの青板ガラスを用いた。このガラス
はプロセス中の熱割れや機械的な破壊を防ぐため切断面
の周辺を面取りしたものを用いている。
リアとしてSiO2を1000Å形成し透明導電層16
としてフッ素ドープのSnO2を10000Å形成し
た。その表面は結晶粒の頂角によって凹凸が形成されて
いる。
2高調波を用いてレーザ加工法で溝18を設けた。
モルファスシリコンカーバイドを100Å、i型アモル
ファスシリコンを3000Å、n型アモルファスシリコ
ンを300Å半導体層19として形成した。
起電力素子との接続の為の溝21が設けらた。
いてZnOを1000Å、Agを3000Å形成し裏面
電極層22とした。
第2高調波を用いて溝24を形成し個別の電極23を得
た。この形態により透明電極と裏面電極の間に半導体が
挟まれた単位素子28が直列に接続される。この単位素
子の幅は約10mmである。
両端に電力を集めるためのバス領域3,3’を5mmの
幅で設けた。正極のバス領域3’と負極のバス領域3と
の間隔は48cmであった。この領域には透明電極層を
露呈させるための溝25を複数設け、その部分に2cm
置きに超音波半田鏝を用いてセラソルザのバンプ26を
設けた。
m、半田厚み0.1mmの半田メッキ銅箔4を接続し
た。
スト法を用いて研磨し全ての上の層が存在しない領域を
設けた。
4’は、充填材が銅箔と素子面との隙間に充填するよう
に0.1mmの隙間を形成するように調整した。
4’の基板端から5cmの位置に長さ30cm幅5mm
の半田メッキ銅箔5,5’を接続した。この銅箔の厚み
と半田厚みは前述の半田メッキ銅箔と同じである。
所で両者を重ね合わせ、押さえながら半田鏝で銅箔上の
半田を溶融させて半田付けした。
素子の表面とを絶縁するために長さ48cm幅2.5c
mのサイズで0.4mm厚みのEVA6、0.05mm
厚みのTedler7、0.4mm厚みのEVA8を3
層重ねた状態のものを当該の隙間に挿入した。Tedl
er7の色は白のものを用いた。
開けて5mm幅の半田メッキ銅箔5,5’をその端子ボ
ックス側の端が基板に対して垂直になるように折り曲げ
た。銅箔の上から電気アイロン(表面にテフロン加工の
あるもの)の中にセットして(鏝面温度130℃)部分
的に押さえて仮固定した。
リット10を開口した幅52cm長さ104cmのEV
Aシート9をセットした。スリット10からは両極から
の半田メッキ銅箔を引き出した。
の切り込みのあるTedlerシート小片11を両方の
半田メッキ銅箔に切り込みを通す形でセットし、さらに
同じサイズのEVAシート小片12をセットした。裏面
保護カバーとして1cm角の穴14を開口したTedl
er/Al箔/Tedlerの3層構造フィルム13を
その開口から半田メッキ銅箔を出すようにして耐熱性テ
ープで銅箔と保護カバーが接触しない位置に仮固定し
た。
ネーター)でこれらをラミネートし本発明の薄膜太陽電
池モジュールを得た。
Al層との間に1500Vを1分間印加したところ絶縁
が出来ていることが判明した。
め、85℃85%の環境に1000時間放置した後、端
子と保護カバーの絶縁を測定したが問題ないことが判明
した。また、太陽電池モジュールの発電特性を測定した
が高温高湿試験の前後で全く変化しなかった。
が完全に保持されており、また、半田メッキ銅箔の取り
出し部分からの水分の進入は皆無であった。
陽電池を構成要素とする太陽電池のバス領域から端子ボ
ックスあるいはそれに相当する部分への配線のうち、裏
面保護カバー等で封止される内部から同カバーに設けら
れた開口部を通して配線を取り出す部分の信頼性を大幅
に改善することが本発明の技術で可能となった。
口部分に重ねるという極めて簡便な追加構造で、配線の
裏面保護カバー中の金属との接触が皆無のレベルまで低
減することが可能となった。
存在する全ての部分が充填材によって完全に埋められ、
それらが強固に接着されていることで、裏面保護カバー
の開口から水蒸気が透過した場合でも水分の凝集がおこ
ることはなく、腐食まで進展しない。従来技術の薄膜太
陽電池モジュールと比較して大幅に信頼性を改善するこ
とが、簡便な工程で実現できた。
で覆うことで、完全に水分の進入を防ぐことが可能にな
った。
空ラミネート法を用いた場合は、各シートを組み立て
て、アイロン等で仮固定し、真空ラミネーターに導入す
るだけで機能部分が完成する。特に裏面保護カバー開口
を覆う絶縁シートとして水蒸気に対するバリア性の高い
ものを利用した場合においては、従来では必要であり硬
化時間を要した開口周辺をシリコーン樹脂などでコーキ
ングする工程を省略することが可能となり、極めて利便
性が高い技術である。
であったが、裏面保護カバーの開口から太陽電池の電力
を取り出す配線が出てきて、カバーと太陽電池素子が充
填材で充填される構造のものであれば、本発明は適用で
きることは言うまでもない。
層斜視図
層斜視図
図
図。
(1)
(2)
(半田メッキ銅箔) 5,5’ バス領域と電力を外部に出すための接続手
段までの配線(半田メッキ銅箔) 6 絶縁シートを埋設する充填材 7 絶縁シート 8 絶縁シートと5の配線を埋設する充填材 9 充填材 10 5の配線を通すために充填材に設けられた開口 11 裏面保護カバーの開口と5の配線との接触を防
ぐ為の開口付きの別の絶縁シート 12 11の絶縁シートを埋設するための充填材 13 裏面保護カバー 14 5の配線を通すために裏面保護カバーに設置さ
れた開口 15 従来発明で用いた絶縁材 16 透明電極層 17 個別の透明電極 18 透明電極を個別化するための溝 19 半導体層 20 個別に分けられた半導体層 21 隣接した光起電力素子を接続するために半導体
層に設けられた溝 22 裏面電極層 23 個別の裏面電極 24 裏面電極を分離するための溝 25 バス領域にコンダクタンス増大手段を接続する
ための溝 26 半田バンプ 27 薄膜太陽電池周囲に設けられた絶縁領域 28 薄膜太陽電池を構成する個別の光起電力素子 32 ガラス不織布絶縁シート 33 キャップシート接着用充填材 34 キャップシート 35 水蒸気バリア性シーリング材 100 太陽電池素子
Claims (7)
- 【請求項1】透明絶縁基板上に、透明電極層、光起電力
薄膜半導体層、裏面電極層を含む層が順次形成され、複
数個の領域に分割されてなされる光起電力素子が電気的
に接続され、その接続の終端として電力を集めるバス領
域を有する薄膜太陽電池と、その薄膜太陽電池が形成さ
れた面を保護する充填材と金属フィルムを間に介在させ
た裏面保護カバーを含む封上手段と、その薄膜太陽電池
により発生した電力を外部に供給するための接続手段
と、該接続手段とバス領域を結ぶ配線と、該配線を通す
為に裏面保護カバーに設けられた開口を含む薄膜太陽電
池モジュールにおいて、該配線と密着した開口を有する
とともに、裏面保護カバーの開口を完全に覆う単数ある
いは複数の絶縁シート小片により、該配線が裏面保護カ
バー開口部に露出した金属フイルムと接触することを防
止することを特徴とする薄膜太陽電池モジュール。 - 【請求項2】請求項1に記載した配線と密着した開口を
有するとともに、裏面保護カバーの開口を完全に覆う単
数あるいは複数の絶縁シート小片が該配線の動きを制限
することを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池モ
ジュール。 - 【請求項3】前記配線が半田あるいは錫で被覆された銅
の線または箔であることを特徴とする請求項1記載の薄
膜太陽電池モジュール。 - 【請求項4】前記絶縁シート小片がフッ素系の樹脂フイ
ルム、あるいはガラスもしくは160℃耐熱の繊維の不織
布であり、該絶縁シート小片が裏面保護カバーと太陽電
池との間の空間に設置される場合において充填材に埋設
されていることを特徴とする請求項1記載の薄膜太陽電
池モジュール。 - 【請求項5】前記充填材が、エチレン・酢酸ビニール共
重合体(EVA)、シリコーン、ポリビニールブチラール(PV
B)の何れかであることを特徴とする請求項1記載の薄膜
太陽電池モジュール。 - 【請求項6】透明絶縁基板上に、透明電極層、光起電力
薄膜半導体層、裏面電極層を含む層が順次形成され、複
数個の領域に分割されてなされる光起電力素子が電気的
に接続され、その接続の終端として電力を集めるバス領
域を有する薄膜太陽電池を形成する工程と、 前記薄膜太陽電池とその薄膜太陽電池により発生した電
力を外部に供給するための接続手段との間をつなぐ配線
を形成する工程と、充填材とその充填材を全面を覆う、
前記充填材と対応する位置に開口を設けた裏面保護カバ
ーを敷設する工程と、 その開口より大きく前記配線を通す穴を有する絶縁シー
ト小片を開口近傍に配置する工程と、 少なくとも、薄絶縁カバーと薄膜太陽電池の間に空隙を
生じないように充填材を配置する工程とを含むことを特
徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造方法。 - 【請求項7】前記充填材が、真空ラミネート法で用いら
れるエチレン・酢酸ビニール共重合体(EVA)、ポリビニ
ールブチラール(PVB)等の未硬化のシート状で供給さ
れ、加熱により溶融し、熱架橋するタイプのものであっ
て、シート状の状態で充填材、配線、絶縁シート小片、
保護カバーを敷設、組立後、真空ラミネート法によって
固定することを特徴とする請求項6に記載の薄膜太陽電
池モジュールの製造方法。
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