JP3145219B2 - 美爪料 - Google Patents

美爪料

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JP3145219B2
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一郎 大枝
正雄 前川
克哉 小山
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化粧持ちの良い、水系
もしくはアルコール系またはその混合系の、爪に対する
安全性の高い美爪料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り美爪料は酢酸ブチル、酢酸エチル、トルエン等の有機
溶剤を使用したものであり、引火性があると共に塗布時
に溶剤臭を伴うものであった。さらに有機溶剤により
爪の脱脂が生じやすく、爪に対する安全性に問題があっ
た。
【0003】これに対し、有機溶剤を使用しない美爪料
が種々検討されており、特開昭54−28836号公
報、特公昭55−43445号公報、特公昭61−10
43号公報、特開平4−103510号公報、特開平4
−103512号公報、特開平4−103513号公
報、特開平4−103514号公報等により、ポリマー
エマルジョンを配合した美爪料が提案されている。
【0004】また、特開昭60−237010号公報、
特開平2−221214号公報、特開平4−10350
9号公報等により、水性樹脂を配合した美爪料が提案さ
れている。
【0005】しかし、いずれもアクリル系、ビニル系等
のエチレン性不飽和単量体のみを重合したリニア型のポ
リマーエマルジョンを配合しているために、耐水性や化
粧持ちが悪く、また軽い衝撃や摩擦により簡単に剥離、
もしくは磨耗してしまうという欠点があった。
【0006】本発明は、爪に対する安全性高く、さら
に化粧持ちの良い美爪料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる問題
を鑑みて鋭意研究の結果、一般式(I)で表されるアル
コキシシラン不飽和単量体とエチレン性不飽和単量体
とを含む共重合体を含有することにより、塗布後乾燥と
共に自己架橋してポリマーが三次元化することを見出だ
し、化粧持ちの良い、水系もしくはアルコール系また
その混合系の、爪に対する安全性の高い美爪料を得るに
至った。
【0008】
【化2】
【0009】すなわち本発明は、前記一般式(I)で表
されるアルコキシシラン不飽和単量体の一種以上と、エ
チレン性不飽和単量体の一種以上とを共重合してなる共
重合体において、共重合体中の前記アルコキシシラン不
飽和単量体組成が0.1〜50.0重量%である共重合
体を、固形分として1.0〜45.0重量%含有するこ
とにより、化粧持ちの良い、爪に対する安全性の高い、
水系もしくはアルコール系またはその混合系の美爪料を
提供するものである。
【0010】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に使用されるアルコキシシラン不飽和単量体は、乾
燥に伴う媒体量の減少により自己架橋してポリマーが三
次元化する単量体である。詳しくはアルコキシシラン不
飽和単量体が水もしくはアルコールの存在下で加水分解
されてシラノール基となり、このシラノール基が美爪料
塗布後の乾燥に伴う媒体量の減少により架橋反応を生じ
て三次元網状構造体被膜を形成させる。アルコキシシラ
ン不飽和単量体は、前記一般式(I)で表され、例え
ば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
【0011】記アルコキシシラン不飽和単量体は、生
成共重合中に0.1〜50.0重量%(以下、wt%と
略す)の割合になるように共重合させることが必要であ
る。すなわち、アルコキシシラン不飽和単量体が0.1
wt%未満では、これを配合した爪化粧料を塗布して得
られる被膜の三次元網状構造が弱く、また、耐水性にも
弱く、被膜が剥がれ易い。また、50.0wtを超え
ると自己架橋の反応性が鋭敏であり、水系もしくはアル
コール系またはその混合系に安定に存在しない。
【0012】また、アルコキシシラン不飽和単量体と共
に共重合させるエチレン性不飽和単量体としては、例え
ば、非イオン型のエチレン性不飽和単量体、アニオン型
のエチレン性不飽和単量体、カチオン型のエチレン性不
飽和単量体、両性型のエチレン性不飽和単量体の類があ
げられる。
【0013】非イオン型のエチレン性不飽和単量体とし
ては、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン
類、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、ビニルアセ
チレン、ジビニルアセチレン等のビニルアセチレン類、
塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化エチレン類、
スチレンメチルスチレン、ビニルスチレン等の置換ス
チレン類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の複素
環を含むビニル類、アクリル酸エチル、アクリル酸オク
チル等のアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキル
エステル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、酢酸ア
リル等のアリルエステル類、メチルビニルエーテル等の
ビニルエーテル類、メチルビニルケトン等のビニルケト
ン類、アクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル等
のアクリロニトリル類等があげられる。
【0014】アニオン型のエチレン性不飽和単量体とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸モノマー類、そ
れらの無水物および塩類、スチレンスルホン酸、2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽
和スルホン酸モノマー類、およびそれらの塩類、ビニル
ホスホン酸、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリ
レート等の不飽和リン酸モノマー類等があげられる。
【0015】カチオン型のエチレン性不飽和単量体とし
ては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステル(メタ)アクリルアミド類およびそのエピクロ
ルヒドリン付加物、N,N−ジメチルアミノスチレン、
N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキル
アミノ基を有するスチレン類、4−ビニルピリジン、2
−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、これらをハロ
ゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、アルキルまた
アリルスルホン酸、および硫酸ジアルキル等の四級化剤
で四級化したものがあげられる。
【0016】両性型のエチレン性不飽和単量体として
は、N−(スルホプロピル)−N−メタクリロイルオキ
シエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N
−カルボキシメチル−N−メタクリロイルオキシエチル
−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等があげられ
る。
【0017】これらのエチレン性不飽和単量体は単独で
共重合させても2種以上を併用して共重合させても良
い。記エチレン性不飽和単量体の種類およびその組成
は、生成共重合体が本発明の美爪料の媒体である水もし
くはアルコール類またはその混合系に可溶もしくは安定
な分散体となるように適宜選ばれ、美爪料への配合は固
形分10.0〜60.0wt%の溶液あるいは水性分散
体として使用するのが好ましい。もちろんエチレン性不
飽和単量体と共に、アミノ基やカルボン酸基を含む化合
物、本発明のアルコキシシラン不飽和単量体以外のシラ
ン化合物等のエチレン性不飽和単量体以外の化合物を付
加重合や縮重合させてブロック共重合体やグラフト共重
合体とすることも可能である。
【0018】また、本発明の美爪料の媒体は水、アルコ
ールおよびその混合系であり、アルコールとしては常温
で液体であるアルコールであれば何でも良く、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール、t−ブタノール等があげら
れる。
【0019】本発明の美爪料に配合されるアルコキシシ
ラン不飽和単量体とエチレン性不飽和単量体を含む
共重合体は、次のようにして製造される。まず、重合媒
体として水アルコールおよび水とアルコールの混合
物を用い、この媒体中に重合開始剤を添加し、さらにイ
オン型エチレン性不飽和単量体を共重合させる場合は、
この単量体が溶解するよう酸またはアルカリでpH調整
し、アルコキシシラン不飽和単量体およびエチレン性不
飽和単量体を60〜90℃で一括重合させるか、あるい
は1〜5時間かけて滴下して重合させ、水性分散体また
はアルコール溶液を得る。なお、必要であれば、予め、
分子量調節を目的としてラウリルメルカプタン、2−メ
ルカプトエタノール等の連鎖移動剤を添加する。また、
アルコールを含む媒体で重合を行い、水を加えた後アル
コールを蒸留等により留去して水媒体へ置換することに
より水分散体にすることも可能である。さらに、必要に
応じて、各種の添加剤、例えば界面活性剤、造膜助剤、
消泡剤、顔料、増粘防止剤等を適宜添加することがで
き、界面活性剤の適当な選択および強分散により、マイ
クロエマルジョンより更に微細な、平均粒径0.005
μm以下の分散体とすることもできる。
【0020】なお、上記製法において、重合開始剤とし
ては、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2´−アゾビスアミノジプロパン塩酸
塩、過硫酸アンモン等があげられる。
【0021】また、pH調整に使用する酸およびアルカ
リは、酸としては、例えば、酢酸、シュウ酸、コハク酸
等の有機酸や、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸があげら
れ、またアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等の金属水酸化物や、アンモニア、
2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエタ
ノールアミン等の有機アルカリがあげられる。
【0022】本発明の美爪料に配合されるアルコキシシ
ラン不飽和単量体とエチレン性不飽和単量体を含む
共重合体の美爪料への配合量は、固形分として1.0〜
45.0wt%である。1.0wt%未満であると、爪
化粧料を塗布して得られる被膜の形成能力が低いため、
耐水性に弱く、被膜の強度も低い。また、45.0wt
%をえると爪化粧料の粘度が増加し使用上好ましくな
い。
【0023】本発明の美爪料中には記共重合体以外に
顔料、染料、界面活性剤、可塑剤、粘度調整剤(ゲル化
剤)、防腐剤、香料等を適宜配合することができる。ま
た、さらには公知のエチレン性不飽和単量体を重合して
なるポリマーエマルジョンを適宜配合することも可能で
ある。
【0024】本発明の美爪料中に配合する顔料、染料と
しては化粧品に使用できる色剤であれば何でも良く、赤
色106号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、紫色
401号等の水溶性色素はそのまま溶解することができ
る。また赤色201号、赤色202号、赤色220
号、赤色226号、赤色104号の(1) アルミニウムレ
ーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニ
ウムレーキ、青色1号アルミニウムレーキ、黄色401
号、青色404号などの水不溶性色素や、酸化チタン、
ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョ
ウ、雲母チタン、マイカ、タルク等の無機顔料は適当な
界面活性剤を配合することにより分散できる。さらには
同様にしてナイロンパウダー、シルクパウダー、硫酸バ
リウム等も質感調整剤として配合することができる。
【0025】本発明の美爪料中に配合する界面活性剤は
顔料分散性の向上、分離安定性の向上を目的として配合
され、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、デカグリセリン脂肪酸エステル
等のノニオン界面活性剤、アルキル硫酸塩、N−アシル
アミノ酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルアン
モニウム塩等のアニオン界面活性剤、酢酸ベタイン、イ
ミダゾリニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤
などを適宜使用することができる。
【0026】本発明の美爪料中に配合する可塑剤は、共
重合体の製膜温度を調整するために配合するものであ
る。この可塑剤としては記効果を有するものであれば
何でも良く、例えば、フタル酸ジブチル、ブチルセロソ
ルブ、カンフル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン
酸アセチルトリブチル等の公知の可塑剤のほか炭酸プ
ロピレン、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−
1,3−モノイソブチレート等の低沸点のエステルも可
塑剤として使用することができる。
【0027】本発明の美爪料中に配合する粘度調整剤
(ゲル化剤)は、美爪料を塗布しやすい粘度に維持し、
また顔料の沈降を防止する目的で配合するものであり、
例えば、ベントナイト、塩化ジメチルジステアリルアン
モニウム処理ヘクトライト、塩化ベンジルジメチルステ
アリルアンモニウム処理ヘクトライト、ケイ酸アルミニ
ウムマグネシウム、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カルボ
キシメチルセルロース等の公知の粘度調整剤が使用でき
る。
【0028】また、本発明の美爪料中に配合する防腐剤
としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、パラ
オキシ安息香酸塩、デヒドロ酢酸塩等の公知の防腐剤を
使用すればよい。
【0029】
【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を更に詳
しく説明する。まず表1〜5に示すモノマー組成にて共
重合体を調整した。ここで表中の数値は全てwt%であ
る。 実施例における共重合体は、前述の方法にて製造
し、平均粒径約0.002μmの微細水性分散体を得
た。なお、重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニト
リル、pH調整に使用する酸およびアルカリは、酸とし
てはリン酸、またアルカリとしては水酸化ナトリウムを
使用した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】次に、表6〜9の組成により、各々の実施
例の美爪料を調した。ここで表中の数値は全てwt
である。この美爪料は、顔料や色素を界面活性剤と共に
ローラーミルにて粉砕練混し、その後、本発明の自己架
橋性官能基を有する共重合体溶液およびその他の成分
加え約60℃にて均一に混合した後、室温まで冷却して
製造した。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】さらに、表10の組成により、各々の比較
例の美爪料を調した。この美爪料も実施例の美爪料と
同様に、顔料や色素を界面活性剤と共にローラーミルに
て粉砕練混し、その後、他の成分と約60℃にて均一に
混合した後、室温まで冷却して製造した。
【0041】
【表10】
【0042】次いで下記の実用特性試験を実施し、その
結果を表11〜15に記載した。実用特性試験は、20
名の女性パネラーに美爪料を爪に塗布し、その化粧効果
を5段階評価(5:良い、4:やや良い、3:ふつう、
2:やや悪い、1:悪い)で評価し、その平均値をとっ
た。
【0043】
【表11】
【0044】
【表12】
【0045】
【表13】
【0046】
【表14】
【0047】
【表15】
【0048】表11〜15より、実施例はいずれも比較
例に比べて塗り易さと被膜持続性(化粧持ち)に優れて
いることが明らかである。
【0049】
【発明の効果】以上記載のように、本発明の水系もしく
はアルコール系またはその混合系の美爪料は、化粧持ち
の良い、爪に対する安全性の高い効果を有するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 克哉 大阪府箕面市船場西1丁目6番5号 カ ネボウ千里ビル カネボウ・エヌエスシ ー株式会社 技術研究所内 審査官 高原 慎太郎 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるアルコキシ
    シラン不飽和単量体の一種以上と、エチレン性不飽和単
    量体の一種以上とを共重合してなる共重合体において、
    共重合体中の前記アルコキシシラン不飽和単量体組成が
    0.1〜50.0重量%である共重合体を、固形分とし
    て1.0〜45.0重量%含有することを特徴とする水
    系もしくはアルコール系またはその混合系美爪料。 【化1】
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