JP3143212B2 - 無機絶縁電線 - Google Patents

無機絶縁電線

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JP3143212B2
JP3143212B2 JP04162660A JP16266092A JP3143212B2 JP 3143212 B2 JP3143212 B2 JP 3143212B2 JP 04162660 A JP04162660 A JP 04162660A JP 16266092 A JP16266092 A JP 16266092A JP 3143212 B2 JP3143212 B2 JP 3143212B2
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健三 武内
岡田  健
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昭和電線電纜株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温度、高真空の過酷
な環境下で使用される無機絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高い耐熱性が要求される用途に
は、ポリイミドやフッ素系樹脂などの耐熱性有機樹脂を
被覆した絶縁電線が使用されてきた。しかるに、近年、
300℃を越える過酷な温度環境下、高真空下で使用して
も絶縁特性や機械特性などが低下することのない絶縁電
線の要求があり、このような用途には、耐熱温度がたか
だか 200℃前後の従来の有機樹脂を被覆した絶縁電線で
は、耐熱性やガスの放出性の点で不十分であった。
【0003】このような中で、近時、ステアリン酸やオ
クチル酸などの有機酸の金属塩や、金属アルコキシドな
どを原料として熱分解法により、導体上に絶縁性の無機
被膜、たとえばSi、Al、Zr、Mgなどの金属酸化膜を形成
した、いわゆるセラミック巻線と呼ばれる無機絶縁電線
が開発され、従来の有機系耐熱絶縁電線よりはるかに高
い温度下、高い真空度下での使用が期待できることから
注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
無機絶縁電線は、原料を導体上に塗布するための塗布液
の調製が困難で、均一で十分な膜厚を有する電気特性の
良好な無機絶縁被膜を安定して形成することが難しいた
め、信頼性に乏しいという問題があった。すなわち、有
機酸の金属塩では、これを溶解する溶剤が限られる、高
濃度の調製が困難である、塗布液の粘度が時間の経過と
ともに変化するなどの問題があり、また、金属アルコキ
シドでは、金属アルコキシドを加水分解して重合させ、
水酸化物もしくは酸素で架橋したゾル状の塗布液を調製
しなければならず、いずれの場合も、均一で膜厚の十分
な電気特性に優れた絶縁被膜を得ることが困難であっ
た。
【0005】本発明はこのような従来技術の課題に対処
してなされたもので、耐熱性に優れ、また、ガスの放出
が少ないうえ、膜厚も均一かつ十分で優れた電気特性を
安定して有する無機絶縁被膜を具備した高信頼性の無機
絶縁電線を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
無機絶縁電線を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、下記
に示すような特定の有機酸のAl塩と、金属セッケンを併
用することにより、上記目的が達成されることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の無機絶縁電線は、導体
上に、 (a)一般式
【化2】 (式中、R1 は炭素数 1〜20の炭化水素基、R2 はメチ
ル基またはエチル基)で表されるアルミニウム塩と、
(b)金属セッケンの混合物の熱分解により形成された
金属酸化物からなる無機絶縁被膜を具備したことを特徴
とするものである。 (a)のアルミニウム塩として
は、上記一般式で表されるアルミニウム塩のうち、特
に、R1 の炭素数が 1〜17のものが、緻密で高い絶縁耐
圧が得られることから好ましい。なお、R1 の炭素数が
20を越えるものでは、成膜後も有機分が残りガスが発生
しやすくなり、高真空下での使用に不適当となる。
【0008】また、(b)の金属セッケンとしては、公
知のものの中から任意に選択して使用されてよいが、オ
クチル酸Si、オクチル酸Mg、ナフテン酸Zrのように常温
で液体のものが、混合の容易性、成膜性の点から好まし
い。オクチル酸Alのような常温で固体のものを使用する
場合には、適当な溶剤に溶解して使用することが望まし
い。
【0009】これらは、いずれも 1種を単独で使用して
もよく、 2種以上を混合して使用するようにしてもよ
い。
【0010】本発明の金属酸化物からなる無機絶縁被膜
は、このような(a)および(b)の各成分を用いて、
たとえば次のようにして形成することができる。すなわ
ち、まず、(a)のアルミニウム塩に、(b)の金属セ
ッケンを混合して塗布液を調製する。(a)のアルミニ
ウム塩は、原液をそのまま用いるようにしてもよいが、
適当な溶剤で濃度80%以下に希釈して用いることが望ま
しい。これは、原液乃至80%を超える高濃度のものは安
定性に欠けるためで、特に、上記一般式中、R1 の炭素
数が 5以下のものは、濃度80%を越える高濃度液で使用
することは実際上困難である。なお、アルミニウム塩
は、アルコール系、エーテル系、芳香族系など、公知の
任意の有機溶剤にゲル化することなく良く溶解して、任
意の濃度の希釈液に調製することができる。
【0011】また、(b)の金属セッケンは、前述した
ように、常温で液体のものは原液をそのまま、常温で固
体のものは適当な溶剤にできるだけ高濃度に溶解して、
(a)のアルミニウム塩と混合することが望ましい。な
お、この(b)の金属セッケンは、(a)のアルミニウ
ム塩単独で成膜した場合の、被膜中のピンホールの発生
を抑え、被膜の絶縁耐圧を向上させる効果を有するもの
と考えられる。(b)の金属セッケンの混合比は、使用
する原液もしくは溶液として、塗布液全体の15〜50%と
なる範囲が適している。これは、15%未満ではピンホー
ルの発生を十分に抑制することができず、また、逆に50
%を越えると成膜性が低下するようになるからである。
【0012】次いで、このようにして調整した塗布液
を、ディップコート、フェルトコートなど通常の方法で
導体上に塗布した後、加熱焼成を行う。焼成温度は、 4
00〜800 ℃程度が適当で、 400℃より低いと含有成分の
熱分解が十分に進まずに有機分が被膜中に残留し、これ
が電線を高温、高真空下で使用した場合に外部に徐々に
排出してくるおそれがある。逆に 800℃より高いと熱分
解が急速に起こり、被膜が導体上から剥離するおそれが
ある。この加熱焼成によって、アルミニウム塩および金
属セッケンが分解し、有機分が溶剤とともに揮散除去さ
れ、ピンホールのない緻密で、膜厚も均一な金属酸化物
からなる無機絶縁被膜が形成される。この無機絶縁被膜
は、常用耐熱温度1000℃と極めて優れた耐熱性を有して
おり、かつ、絶縁特性にも優れている。また、被膜中の
有機分の残存率が低いため、ガスを放出するおそれがほ
とんどなく、さらに、焼結されていないので可とう性も
良好である。なお、この塗布および加熱焼成工程は、必
要に応じて複数回繰り返され、所要の厚さの無機絶縁被
膜が形成される。
【0013】本発明に使用する導体としては、上記加熱
焼成温度範囲内で導体の電気抵抗があまり低下すること
のない耐熱性に優れたものが好ましく、たとえばAg線、
Au線、Pt線、Ni線、Cu線、これらの合金線またはこれら
をメッキしたCu線、あるいは、ステンレスやAlを被覆し
たCu線などが例示される。
【0014】
【作用】このように、本発明の無機絶縁電線において
は、特定のアルミニウム塩と金属セッケンを併用したこ
とにより、ピンホールのない緻密で、膜厚も均一かつ十
分な、金属酸化物からなる無機絶縁被膜を安定に形成す
ることができ、耐熱性に優れ、ガスの放出も少ない無機
絶縁電線であって、その電気特性を向上かつ安定化する
ことができる。したがって、 300℃を越える過酷な温度
環境下、高真空下で使用可能な絶縁電線として、高い信
頼性を有したものとなる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例を記載する。
【0016】実施例1、2 Al -ジ-n- ブトキシドモノエチルアセトアセテートの50
%溶液(溶剤 日石 7号ソルベント(商品名)、表中50
%Alアセテートと略記)と、オクチル酸Mgの70%溶液
(溶剤 キシレン)とを重量比 1:1の割合で混合して塗
布液を調製した。次いで、この塗布液を 1mmφのNi線
に、ディップ法(実施例1)もしくはスポンジ含浸法
(実施例2)により塗布し、 550℃、10分間の条件で焼
付けて、膜厚10μmの絶縁被膜を形成して無機絶縁電線
を得た。得られた無機絶縁電線の外観および電気特性を
表1に示す。
【0017】実施例3、4 塗布液として、Al -ジ-n- ブトキシドモノエチルアセト
アセテートの80%溶液(溶剤 日石 7号ソルベント、表
中80%Alアセテートと略記)と、オクチル酸Si原液と、
ナフテン酸Zr原液とを重量比 3:1:1の割合で混合して調
製したものを用いた以外は、実施例1、2と同様にし
て、 1mmφのNi線に塗布し焼付けて、膜厚10μmの絶縁
被膜を形成して無機絶縁電線を得た。得られた無機絶縁
電線の外観および電気特性を表1に示す。
【0018】比較例1、2 塗布液として、Al -ジ-n- ブトキシドモノエチルアセト
アセテートの50%溶液を単独で用いた以外は、実施例
1、2と同様にして 1mmφのNi線に塗布し焼付けて、膜
厚10μmの絶縁被膜を形成して無機絶縁電線を得た。得
られた無機絶縁電線の外観および電気特性を表1に示
す。
【0019】比較例3、4 オクチル酸Alと解こう剤のアセチルアセトンAlとを、ト
ルエンと2-エトキシエタノールとの混合溶剤(混合比
2:1)に、濃度がそれぞれ25%、2 %となるように溶解
して調製した塗布液を、実施例1、2と同様にして 1mm
φのNi線に、ディップ法(実施例1)もしくはスポンジ
含浸法(実施例2)により塗布し焼付けたが、 1回の塗
布焼付けでは、表1に示したように、膜厚 1〜2 μmの
絶縁被膜が形成されたにすぎなかった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明の無機絶縁電線は、特定のアルミニウム塩と金属セ
ッケンの混合物の併用により、ピンホールのない緻密
で、均一かつ十分な膜厚を有する金属酸化物からなる無
機絶縁被膜が形成されるので、耐熱性に優れ、ガスの放
出が少なく、しかも良好かつ安定した電気特性を有した
ものとなる。したがって、 300℃を越える過酷な温度環
境下、高真空下で使用する絶縁電線として極めて有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/02 C09D 5/25 H01B 3/10 H01B 7/29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体上に、 (a)一般式 【化1】 (式中、R1 は炭素数 1〜20の炭化水素基、R2 はメチ
    ル基またはエチル基)で表されるアルミニウム塩と、
    (b)金属セッケンの混合物の熱分解により形成された
    金属酸化物からなる無機絶縁被膜を具備したことを特徴
    とする無機絶縁電線。
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