JP3419243B2 - シリカ微分散ポリイミドエナメル線 - Google Patents

シリカ微分散ポリイミドエナメル線

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JP3419243B2
JP3419243B2 JP09543897A JP9543897A JP3419243B2 JP 3419243 B2 JP3419243 B2 JP 3419243B2 JP 09543897 A JP09543897 A JP 09543897A JP 9543897 A JP9543897 A JP 9543897A JP 3419243 B2 JP3419243 B2 JP 3419243B2
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enameled wire
polyimide
silica
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finely dispersed
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敦司 森川
和則 鈴木
健次 浅野
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はシリカ微分散ポリイ
ミドエナメル線に関するものである。更に詳述すれば本
発明は変性ポリイミド前駆体溶液を導体上に塗布、焼き
付けして成るシリカ微分散ポリイミドエナメル線に関す
るものである。 【0002】 【従来の技術】近年における産業技術の進歩は誠に目覚
ましいものがある。電気機器の分野においてもより高性
能の電気機器の開発が要求されている。当然ながらこの
ような高度な特性が要求される電気機器の巻線コイル用
エナメル線は一段と優れた各種特性が要求されている。
例えば、航空宇宙産業分野、エネルギー産業分野、原子
力産業分野、自動車機器分野等においては一段と優れた
耐熱性を有するエナメル線が要求されている。 【0003】現在、155℃〜180℃クラス/20,
000hrsの耐熱エナメル線としてはポリエステルイ
ミドエナメル線、また180℃〜200℃クラス/2
0,000hrsの耐熱エナメル線としてはポリアミド
イミドエナメル線、そしてまた220℃〜240℃クラ
ス/20,000hrsの耐熱エナメル線としてはポリ
イミドエナメル線等が用いられている。 【0004】しかし前記した航空宇宙産業分野、エネル
ギー産業分野、原子力産業分野、自動車機器分野等にお
いては250℃以上/20,000hrsの耐熱エナメ
ル線が要求されるようになってきている。 【0005】このような現在実用されている耐熱エナメ
ル線ではこのような250℃以上/20,000hrs
の耐熱性の要求に応えることができない。 【0006】ところでポリイミド前駆体溶液に無機物質
を添加することは特公昭42−19350号公報等で公
知である。そしてポリイミド前駆体溶液に無機物質、例
えばシリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、マイ
カ粉等を添加して成る無機物質添加ポリイミド前駆体溶
液を導体上に塗布、焼き付けして成る無機物質添加ポリ
イミドエナメル線は耐熱性か優れていることが知られて
いる。 【0007】しかしシリカ、アルミナ、マグネシア、酸
化チタン、マイカ粉等を添加して成る無機物質添加ポリ
イミド前駆体溶液は、本質的にポリイミド前駆体溶液に
溶解しないシリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタ
ン、マイカ粉等が簡単に沈降してしまうことからその溶
液安定性が極めて悪いのが難点である。このため溶液安
定性が悪い無機物質添加ポリイミド前駆体溶液を導体上
に塗布、焼き付けするエナメル線製造作業性がよくな
い。 【0008】また、耐熱性を向上させるためにシリカ、
アルミナ、マグネシア、酸化チタン、マイカ粉等の添加
量を増量して成る無機物質添加ポリイミド前駆体溶液を
導体上に塗布、焼き付けして成る無機物質添加ポリイミ
ドエナメル線は目的とする耐熱性が向上するが、無機物
質がエナメル線の外観を悪化させ、更に可撓性、巻線
性、導体への密着性等が著しく悪化するという難点があ
る。 【0009】このような訳で250℃以上/20,00
0hrsの耐熱性を有し、しかも可撓性、巻線性、導体
への密着性等が優れた耐熱エナメル線が要望されてい
る。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に立
って為されたものであって、その目的とするところは前
記した従来技術の欠点を解消し、250℃以上/20,
000hrsの耐熱性を有し、しかも可撓性、巻線性、
導体への密着性等が優れた耐熱エナメル線を提供するこ
とにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、ポリイミド前駆体溶液にテトラアルコキシシラ
ン、純水を溶解して成る全成分が完全に溶解した変性ポ
リイミド前駆体溶液を導体上に塗布、焼き付けすること
により、ポリイミド樹脂中にシリカ微粒子を生成させた
ことを特徴とするシリカ微分散ポリイミドエナメル線に
ある。 【0012】ポリイミド前駆体溶液にテトラアルコキシ
シラン、純水を溶解して成る変性ポリイミド前駆体溶液
は全成分が完全に溶解した溶液であり、溶液の安定性が
優れている。 【0013】このように溶液安定性が優れていることか
らこの変性ポリイミド前駆体溶液は導体上への塗布、焼
き付け作業性も優れている。この変性ポリイミド前駆体
溶液は導体上へ塗布、焼き付けすることにより、配合し
てあるテトラアルコキシシランと純水とがゾルゲル反応
してシリカ微粒子が生成する。そしてこの生成したシリ
カ微粒子はポリイミド樹脂中に均一に分散し、それによ
り外観が均一で優れた可撓性と耐熱性とを有するシリカ
微分散ポリイミドエナメル線を得ることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明においてポリイミド前駆体
溶液としてはポリアミド酸溶液である。このようなポリ
アミド酸溶液としては4,4´−ジアミノジフェニルエ
ーテルとピロメリット酸無水物とを極性有機溶剤、例え
ばN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメ
チルホルムアミド等の中で反応して得られる。市販のポ
リイミド前駆体溶液としてはデュポン社のPyre M
L、東レ社のトレニース3000等がある。 【0015】本発明においてテトラアルコキシシランと
してはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等
がある。 【0016】本発明においては特殊特性の向上のために
シランカップリング剤等の分散剤を添加しても良い。 【0017】 【発明の効果】本発明のシリカ微分散ポリイミドエナメ
ル線の実施例及び比較例について説明する。 【0018】(実施例1)デュポン社のPyre ML
塗料の1,500gに、テトラエトキシシランを305
g、純水を225gを加え、それからホモジナイザーに
より攪拌して完全に溶解させるとにより実施例1の変性
ポリイミド前駆体溶液を得た。 【0019】次に、このようにして得られた実施例1の
変性ポリイミド前駆体溶液を導体径φ0.5mmの銅線上
に塗布、焼き付けし、エナメル皮膜厚さ20μmの実施
例1のシリカ微分散ポリイミドエナメル線を得た。 【0020】図1はかくして得られた実施例1のシリカ
微分散ポリイミドエナメル線の横断面を示したものであ
って、1は導体、2はエナメル皮膜である。 【0021】(実施例2)東レ社のトレニース3000
を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のシリ
カ微分散ポリイミドエナメル線を得た。 【0022】(実施例3)テトラメトキシシランを23
0gとした以外は実施例1と同様にして、実施例3のシ
リカ微分散ポリイミドエナメル線を得た。 【0023】(比較例1)デュポン社のPyre ML
塗料を導体径φ0.5mmの銅線上に塗布、焼き付けし、
エナメル皮膜厚さ20μmの比較例1のポリイミドエナ
メル線を得た。(比較例2)東レ社のトレニース300
0を用いた以外は比較例1と同様にして、比較例2のポ
リイミドエナメル線を得た。 【0024】(比較例3)デュポン社のPyre ML
塗料の2,000gに、平均粒径1μmのアルミナ粒子
を100g加え、それからホモジナイザーにより攪拌し
て比較例3のアルミナ分散ポリイミド前駆体溶液を得
た。 【0025】次に、このようにして得られた比較例3の
アルミナ分散ポリイミド前駆体溶液を導体径φ0.5mm
の銅線上に塗布、焼き付けし、エナメル皮膜厚さ20μ
mの比較例3のアルミナ分散ポリイミドエナメル線を得
た。 【0026】(特性試験)次に、このようにして得られ
た実施例及び比較例のエナメル線について特性試験を行
った。 【0027】特性試験はJIS−C3003に準じて行
った。 【0028】表1はかくして得られた特性試験結果を示
したものである。 【0029】 【表1】 【0030】表1から判るように比較例1のポリイミド
イナメル線は245℃/20,000hrsの耐熱性で
あり、250℃以下/20,000hrsの耐熱性であ
る。また、比較例2のポリイミドイナメル線も245℃
/20,000hrsの耐熱性であり、250℃以下/
20,000hrsの耐熱性である。 【0031】そして比較例3は塗料の安定性が悪くて分
離し、そして得られたアルミナ分散ポリイミドエナメル
線も265℃/20,000hrsの耐熱性を示したも
のの可撓性が10倍径巻き付け合格レベルと悪く、その
上耐摩耗性、導体への密着性も悪い。 【0032】これに対して実施例1〜3は塗料安定性が
優れ、そして得られたシリカ微分散ポリイミドエナメル
線も耐熱性が280℃/20,000hrsと優れ、更
に可撓性や密着性等も優れた結果を示した。 【0033】 【発明の効果】本発明のシリカ微分散ポリイミドエナメ
ル線用塗料は塗料安定性が優れ、そしてその塗料を導体
上へ塗布、焼き付けするには塗装作業性が優れ、更にそ
の塗布、焼き付けて得られたシリカ微分散ポリイミドエ
ナメル線は耐熱性が280℃/20,000hrsと優
れ、更に可撓性や密着性等も優れており、工業上有用で
ある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例1のシリカ微分散ポリイミドエ
ナメル線の横断面を示したものである。 【符号の説明】 1 導体 2 エナメル皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−138442(JP,A) 特開 昭60−147470(JP,A) 特開 平3−93107(JP,A) 特開 平5−151824(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/29 H01B 3/30

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】ポリイミド前駆体溶液にテトラアルコキシ
    シラン、純水を溶解して成る全成分が完全に溶解した
    性ポリイミド前駆体溶液を導体上に塗布、焼き付けする
    ことにより、ポリイミド樹脂中にシリカ微粒子を生成さ
    せたことを特徴とするシリカ微分散ポリイミドエナメル
    線。
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