JP3142305B2 - 光重合性粘着剤組成物および粘着剤製品 - Google Patents

光重合性粘着剤組成物および粘着剤製品

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JP3142305B2
JP3142305B2 JP03129326A JP12932691A JP3142305B2 JP 3142305 B2 JP3142305 B2 JP 3142305B2 JP 03129326 A JP03129326 A JP 03129326A JP 12932691 A JP12932691 A JP 12932691A JP 3142305 B2 JP3142305 B2 JP 3142305B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリレート系の光重
合性粘着剤組成物及び粘着剤製品に関し、さらに詳しく
は、高速反応条件においても粘着特性および生産性を共
に高水準に保持できる光重合粘着剤組成物の配合、なら
びにそれより得られた粘着剤製品に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系ポリマーからなる粘着剤製品
として、例えば、アクリル系粘着剤、アクリル系粘着テ
ープ、アクリル系粘着シート、両面粘着テープ、発泡体
類の粘着加工製品などがよく知られている。
【0003】アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマー
を主成分としているため、耐光性、耐候性、耐油性など
に優れており、また、プラスチックフィルムや紙などを
表面基材としたアクリル系粘着テープは、粘着力、凝集
力などの粘着性能、および耐熱性、耐候性などの耐老化
性能に優れているため、広く使用されている。
【0004】これらの粘着剤製品として代表的なアクリ
ル系粘着テープを例にとると、該粘着テープは、一般
に、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタク
リル酸エステルなどのアクリレート系モノマーを主成分
とするビニル系モノマーを、有機溶剤で溶液重合して得
られる粘着剤溶液、または、水系で乳化重合して得られ
るエマルジョンを、基材に塗布または含浸し、これを加
熱乾燥して製造されている。
【0005】上記の製造方法のうち、粘着剤溶液を用い
る場合は、基材に塗布または含浸した粘着剤溶液を高温
で乾燥するのに多大なエネルギーが消費され、また、溶
剤による大気汚染を防止するために、大規模な回収装置
が必要である。しかも、溶剤は引火しやすいため、安全
保持のために充分な安全装置を必要とする。
【0006】一方、エマルジョンを用いる場合は、水を
蒸発させるには、溶剤を用いる場合よりもさらに大きな
エネルギーを必要とし、また、性能面でも重合時に混入
する乳化剤により耐水性が低下する。しかも、水溶性モ
ノマーが使用できないため、モノマー種が限定され、粘
着テープに要求される多種多様なニーズへの対応性が乏
しいという欠点があった。
【0007】ところで、米国特許第4,181,752
号明細書には、アクリレート系モノマーを主成分とする
ビニル系モノマーにベンゾインメチルエーテルのような
光重合開始剤を含有させた溶剤不含の光重合性液状組成
物を用い、この組成物に波長300〜400nmの紫外線
を0.1〜7mW/cm2 の光強度で照射して、上記ビニ
ル系モノマーを重合させることにより、アクリル系粘着
テープを製造する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この方法は、紫外線の
光強度を低下することにより上記ビニル系モノマーによ
る重合体の高分子量化を果たし、それにより粘着力およ
び凝集力を高めたものである。そして、この方法によれ
ば、溶剤を用いることなく粘着テープを製造できるた
め、前記の有機溶剤や水の使用に伴う問題点は解消され
る。
【0009】ところが、この方法では、重合反応速度が
遅いため、これを実用化するには生産性が低いという難
点がある。言い換えれば生産性を高めるべく反応を高速
化すると、分子量が低下し、所要の性能を有した製品が
得られない。
【0010】また、上記の問題を解決するための方法と
して、特開平2−60981号公報には、ランプ強度を
2段もしくは多段に変えることにより、高分子量物の生
成と生産性の向上とを同時に満足するという提案もあ
る。しかし、この方法でも生産性はまだ不十分である。
【0011】本発明の目的は、光重合開始剤を含みかつ
溶剤を実質的に含まない粘着剤製品製造用の光重合性
着剤組成物であって、粘着特性と生産性とを共に高水準
に保持したアクリル系粘着剤製品を製造することができ
る新規な光重合性粘着剤組成物を提供することにある。
【0012】本発明の今1つの目的は、該光重合性組成
物を用いたアクリル系粘着剤製品を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
すべく工夫されたもので、モノマー成分として、アクリ
レート系モノマーとビニル化合物系モノマー(ただし、
N−ビニル−2−ピロリドンは除く)にさらに酢酸ビニ
ルを第三の不可欠成分として含有せしめ、さらに多官能
ビニル化合物からなる架橋剤を第四の不可欠成分として
含有せしめることにより、粘着特性と生産性とを共に高
水準に保持したアクリル系粘着剤製品を得ることができ
るという知見を得て完成されたものである。
【0014】すなわち、本発明による光重合性粘着剤
成物は、 (a) アルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸
アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル
からなる群から選択される少なくとも1種のアクリレー
ト系モノマー60〜98重量%と、 (b) アクリレート系モノマー(a) と共重合可能な不飽
和二重結合を有するビニル化合物系モノマー(ただし、
N−ビニル−2−ピロリドンは除く)2〜40重量%
と、 (c) アクリレート系モノマー(a) とビニル化合物系モ
ノマー(b) の総和100重量部に対して1〜10重量部
配合される酢酸ビニルと、5重量部以下の範囲で配合さ
れる多官能ビニル化合物からなる架橋剤と、 (d) 光重合開始剤0.001〜5重量部とを含む光重
合性粘着剤組成物である。
【0015】以下、本発明による光重合性粘着剤組成物
を構成する各成分および同組成物の光重合方法について
説明する。
【0016】酢酸ビニル 本発明においては、上記アクリレート系モノマー(a) と
ビニル化合物系モノマー(b) (ただし、N−ビニル−2
−ピロリドンは除く)とのモノマー組成物系にさらに酢
酸ビニルを第三の不可欠成分として含有せしめる。
【0017】一般にラジカル重合においては、反応速度
(モノマー消失速度)は開始ラジカル生成速度の0.5
乗に比例する。そして得られる高分子の平均分子量はこ
の開始ラジカル生成速度の0.5乗に反比例する。そこ
で多くの市販開始剤について反応完結に必要な時間と得
られたポリマーの分子量をプロットしたところ、活性の
異なる開始剤構造による差異は殆どなく、得られた各点
は一つの直線上に集束した。つまり、上記の反応理論は
初期反応速度について成り立つのみならず、多くの塊重
合系の反応完結についても成り立つことがわかった。
【0018】一方、粘着性能を充分に発現するために
は、重量平均分子量で30万以上の高分子が必要であ
る。しかし、このような高性能粘着剤製品を光重合によ
り製造する場合、生産性を高めるためにランプ強度の増
強や開始剤量の増加により高速反応条件を設定すると、
上記の理論に従い生成物の分子量の低下をきたし、所期
の高性能が得られない。
【0019】これに対し、本発明のように酢酸ビニルを
含有する反応性組成物は、それを含有しない組成物に対
して上記と同等の反応速度条件でも高分子量のポリマー
を生成せしめることができる。しかも、酢酸ビニルの配
合割合は特定の範囲に限定されているので、粘着剤製品
の粘着性能を低下させない。その結果、高性能の光重合
粘着剤製品を高速度に生産できる。
【0020】本発明の原理の詳細は不明であるが、不可
欠成分として含有される酢酸ビニルは主成分のアクリル
モノマー残存量が5%となる段階まで殆ど消費されてお
らず、その後の照射段階で急速に消費されること、また
この時主成分のアクリレート系モノマーの消費速度が加
速されていることから、低いQ値を有する酢酸ビニルは
アクリレート系モノマーとの共存系において共重合され
難く、反応後期で一度ラジカルとなってからはその高い
活性によって成長反応速度を促進しているであろうと推
察される。
【0021】酢酸ビニルの配合量は、アクリレート系モ
ノマー(a) とビニル化合物系モノマー(b) の総和100
重量部に対して1〜10重量部の範囲に限定される。1
重量部未満では酢酸ビニルによる反応促進効果が充分に
発揮されず、10重量部を超えると粘着剤製品の粘着性
能を低下させるおそれがあるからである。酢酸ビニルの
配合量の特に好ましい範囲は、アクリレート系モノマー
(a) とビニル化合物系モノマー(b) の総和100重量部
に対して2〜5重量部である。
【0022】アクリレート系モノマー アクリレート系モノマーは本発明組成物のモノマー主成
分であり、公知の光重合アクリル粘着剤製品の製造に用
いられるものである。
【0023】アクリレート系モノマーとしては、アルキ
ル基の炭素数が1〜14、好ましくは4〜12のアクリ
ル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエス
テルが用いられる。これらのアクリレート系モノマーの
具体例としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどを
挙げることができる。
【0024】これらモノマーは、それぞれ単独でまたは
2種以上を組み合わせて用いられる。粘着性と凝集性の
バランスなどから、通常、ホモポリマーのガラス転移温
度が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルを主成
分とし、コモノマーとして、低級アルキル基の(メタ)
アクリル酸エステルや下記のビニル系モノマーを用いる
ことが好ましい。
【0025】ビニル系モノマー アクリレート系モノマーと共重合可能な他のビニル系モ
ノマー(ただし、N−ビニル−2−ピロリドンは除く)
としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ
ルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N
−置換アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリル
アミド、ヒドロキシエチルメタクリレートなどを例示す
ることができる。
【0026】これらのビニル系モノマーの中で特に好ま
しいものはアクリル酸である。アクリル酸およびN−ビ
ニル−2−ピロリドンは、上記の酢酸ビニルと同様、そ
れ自身重合反応促進効果がありかつ促進反応時の分子量
低下作用が小さいという特性を有する。
【0027】アクリル酸およびN−ビニル−2−ピロリ
ドンは、生成される粘着剤製品のガラス転移温度および
界面極性に大きな影響を与えるので、その配合量は所望
する性能の発現のために限定される。しかし、アクリル
粘着剤製品の応用範囲が広く種々の粘着性能の発現が必
要である現実からみて、このように生産性は高いがある
特定の性能しか発現できない配合系は不利である。この
点、酢酸ビニルは、粘着性能への影響度が比較的小さ
く、種々の性能のために配合された主成分モノマー系が
本来の性能を変動させることなしに、生産性のみを向上
させ得る点で、優れている。
【0028】また、ガラス転移温度の低い重合体を形成
するビニル系モノマー、例えば、テトラヒドロフルフリ
ルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレー
ト、ポリプロピレングリコールアクリレート、ふっ素ア
クリレート、シリコンアクリレートなどのビニル系モノ
マーも用いることができる。
【0029】光重合開始剤 単官能光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒド
ロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロ
ピル)ケトン[ダロキュアー2959:メルク社製];
α−ヒドロキシ−α,α' −ジメチルアセトフェノン
[ダロキュアー1173:メルク社製];メトキシアセ
トフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセト
フェノンなどのアセトフェノン系開始剤;ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどの
ベンゾインエーテル系開始剤;ベンジルジメチルケター
ルなどのケタール系開始剤;その他、ハロゲン化ケト
ン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナートな
どを例示することができる。
【0030】架橋剤 本発明の光重合性組成物においては、粘着剤製品に耐熱
性や高温での凝集力などを付与するために、上記の酢酸
ビニルと共に、多官能ビニル化合物からなる架橋剤を第
四の不可欠成分として含有させる。
【0031】このような架橋剤としては、例えば、ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、その他エポキシアクリレート、
ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなど
が用いられる。
【0032】かかる架橋剤は、一般に、前記モノマー成
(a) および(b) 100重量部に対して、5重量部以下
の範囲で含有させる。架橋剤の使用により、光重合反応
の過程で重合体分子間に架橋結合が生じ、粘着剤製品の
耐熱性が向上する。粘着剤製品が粘着テープの場合に
は、高温での凝集力が増加し、高温での保持力が向上す
る。
【0033】タッキファイアー 本発明による光重合性組成物には、粘着付与樹脂と呼ば
れるタッキファイアーを配合してもよい。
【0034】ここで用いられるタッキファイアーとして
は、ロジン系樹脂、変成ロジン系樹脂、テルペン樹脂、
テルペンフェノール樹脂、芳香族変成テルペン樹脂、C
5 およびC9 系石油樹脂、クマロン樹脂などがある。
【0035】その他の添加剤 本発明による光重合性粘着剤組成物には、増粘剤やチキ
ソトロープ剤、増量剤や充填剤などの通常用いられる添
加剤を配合してもよい。
【0036】増粘剤としては、アクリルゴム、エピクロ
ルヒドリンゴムなどが用いられる。
【0037】チキソトロープ剤としては、コロイドシリ
カ、ポリビニルピロリドンなどが用いられる。
【0038】増量剤としては、炭酸カルシウム、酸化チ
タン、クレーなどが用いられる。
【0039】充填剤としては、ガラスバルン、アルミナ
バルン、セラミックバルンなどの無機中空体;ナイロン
ビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機球
状体;塩化ビニリデンバルン、アクリルバルンなどの有
機中空体;ポリエステル、レーヨン、ナイロンなどの単
繊維などが用いられる。
【0040】光重合プロセス条件 光照射に用いられるランプとしては、光波長400nm以
下に発光分布を有するものが用いられ、その例としては
低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、
ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェ
ーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ
る。この中でも超高圧水銀灯は開始剤の活性波長領域の
光を効率よく発光し、得られる高分子の粘着性能を架橋
により低下させるような短波長の光や、反応組成物を加
熱蒸発させるような長波長の光を多く発光しないために
好ましい。特にこのランプの効果はランプに循環水のジ
ャケットを付設したいわゆる水冷式において発揮され
る。
【0041】上記ランプによる反応性組成物への照射強
度は、得られるポリマーの重合度を左右する因子であ
り、目的製品の性能毎に適宜制御される。通常のアセト
フェノン基を有する開裂型の開始剤を配合した場合、照
度は0.1〜100mw/cm2 の範囲が好ましい。
【0042】本発明における光重合は、空気中の酸素ま
たは反応性組成物中に溶解する酸素により阻害される。
そのため、光照射は酸素の反応阻害を消去し得る手法を
用いて実施されねばならない。その手法の1つとして、
反応性組成物をポリエチレンテレフタレートやテフロン
製のフィルムによって覆い酸素との接触を断ち、光はこ
のフィルムを通して該組成物へ照射する方法がある。ま
た、窒素ガスや炭酸ガスのような不活性なガスにより酸
素を置換した雰囲気において、光透過性の窓を通して組
成物に光を照射してもよい。後者の方法において反応性
組成物の重合を転化率が99.7%以上になる程度まで
充分に完結されるためには、この照射雰囲気の酸素濃度
は5000ppm 以下である必要がある。該組成物の光照
射によって得られた高分子生成物の分子量は、雰囲気酸
素濃度の増加とともに低下する。完全にイナートな雰囲
気での重合による生成物の分子量と同程度の分子量にす
るためには雰囲気酸素濃度は1000ppm 以下である必
要がある。さらに該反応性組成物の極薄い表層部分は重
合体内部よりも酸素による反応阻害を受け易く凝集力が
低下する。この表層部分が内部と同程度に凝集性を有す
るためには、雰囲気酸素濃度は300ppm 以下であるこ
とが望ましい。
【0043】光照射をイナートゾーンにおいて行なう場
合、その雰囲気酸素濃度を低レベルに保つために、この
ゾーンに常に一定量の不活性ガスが導入される。この導
入ガスにより、反応性組成物表面には気流が発生しモノ
マー蒸発が起こる。この蒸発レベルを低く抑制するのに
必要な気流速度は、このゾーン内を基材と共に移動され
る該組成物との相対速度が1m/sec 以下であることが
好ましく、さらに好ましくは0.1m/sec 以下であ
る。気流速度を0.1m/sec 程度にするならば気流に
よる蒸発は実質的に抑えられる。
【0044】
【作用】本発明の配合組成物は、酢酸ビニルの反応促進
効果により該モノマー以外の成分から得られる粘着剤製
品本来の性能を低下させることなく、反応速度を高め得
るため、高性能の粘弾性製品の光重合生産性を大幅に改
良することができる。さらに、多官能ビニル化合物から
なる架橋剤を併用することにより、粘着剤製品の耐熱性
が向上し、粘着剤製品が粘着テープの場合には、高温で
の凝集力が増加し、高温での保持力が向上する。
【0045】また、ランプ強度を2段もしくは多段に変
えることにより、さらに大幅な生産性の向上を果たすこ
とができる。
【0046】
【実施例】つぎに、本発明を具体的に説明するために、
本発明の一例を示す実施例およびこれとの比較を示す比
較例および参考例をいくつか挙げ、さらに得られた各
着剤製品の性能試験結果を示す。
【0047】参考例1 2−エチルヘキシルアクリレート95g、アクリル酸5
g、光重合開始剤(メルク社製、商品名「ダロキュア1
173」)1.0g、アクリルゴム2.0g(東洋ゴム
社製、商品番号「PS250」)および酢酸ビニル4g
を均一になるまで攪拌混合した。得られた反応性組成物
を35μmの厚みとなるようにコンマコータでテープ状
基材に塗工した。酸素濃度300ppmのイナートゾー
ンで超高圧水銀灯を線源として用い、その照射面のラン
プ強度が8mw/cm2 (365nmに最大感度を有す
る光強度測定器UVR−1(東京光学機械社製)にて測
定した強度値)となるようにランプ高さを設定した。こ
の状態で1分、2分、3分および4分、紫外線照射を行
ない、各段階で得られたテープサンプル中の残存モノマ
ーと4分照射後のサンプルの分子量を測定した。 反応時間(分) 残存モノマー(%) 重量平均分子量 1分 2.8 − 2分 1.0 − 3分 0.20 − 4分 0.10 24万 参考例2 参考例1 の配合から酢酸ビニルを除いた点以外は参考例
と同じようにしてテープサンプルを作成した。また
考例1と同様に1分、2分、3分および4分照射後のサ
ンプル中の残存モノマーと4分後のサンプルの分子量を
測定した。
【0048】 反応時間(分) 残存モノマー(%) 重量平均分子量 1分 3.0 − 2分 1.2 − 3分 0.55 − 4分 0.20 23万参考例1 の測定結果と参考例2の測定結果との比較から
わかるように、参考例1によれば、得られたポリマーの
分子量を実質上変えることなく、反応完結に必要な時間
を短縮することができた。
【0049】比較例1〜5 2−エチルヘキシルアクリレート95g、アクリル酸5
g、光重合開始剤(メルク社製、商品名「ダロキュア1
173」)0.5gおよびアクリルゴム2.0g(東洋
ゴム社製、商品番号「PS250」)を均一になるまで
攪拌混合した。さらに比較例1および2において架橋剤
としてヘキサンジオールジアクリレートを0.09gお
よび0.13gそれぞれ添加した。得られた各々の反応
性組成物を35μmの厚みとなるようにコンマコータで
テープ基材に塗工した。酸素濃度300ppmのイナー
トゾーンで超高圧水銀灯を線源として用い、その照射面
のランプ強度が8mw/cm2 (365nmに最大感度
を有する光強度測定器UVR−1(東京光学機械社製)
にて測定した強度値)になるようにランプ高さを設定し
た。この状態で重合完結に必要な時間として5分間照射
を行なった。また比較例3〜5においては、架橋剤とし
てヘキサンジオールジアクリレートを0.09g、0.
13gおよび0.2gそれぞれ添加したこと、および、
ランプ強度を20mw/cm2 としてその重合完結に必要
な最低限の時間として1.5分間照射を行なったこと以
外は、上記比較例1および2と同様に行った。
【0050】こうして得られた粘着テープサンプルにつ
いて残存モノマー量、保持力およびsp粘着力を測定し
た。
【0051】 比較例 架橋剤量 残存モノマー 保持力 sp粘着力 重合完結時間 (hr) (g/25mm) (分) 1 0.09 0.28 100 1200 5.0 2 0.13 0.30 100 1050 5.0 3 0.09 0.33 0.4 1200 1.5 4 0.13 0.29 1.0 1000 1.5 5 0.2 0.3 0.5 700 1.5 注:保持力100とは保持力試験において100時間以
上重りが落下しなかったことを示す。保持力はJIS
Z 0237により測定した値である。
【0052】上記測定結果からわかるように、本発明の
配合系でなくても架橋剤を使用し重合完結時間を5分程
度にし反応を緩慢に制御した場合は、粘着剤製品に充分
粘着性能を発現させることができる。しかし、重合完
結時間が長いために生産性が著しく悪い。また、重合完
結時間が1.5分程度になるように反応を高速に制御し
た場合は生産性はよいが、そこでは架橋剤を使用しても
充分な保持力が得られなくなる。
【0053】実施例1〜3 反応性組成物に酢酸ビニル4gをさらに加え、ランプ強
度を12mw/cm2とし、重合完結に必要な時間を
1.5分にしたこと以外は比較例3〜5と同じようにし
粘着テープサンプルを作成した。各サンプルについて
残存モノマー量、保持力およびsp粘着力を測定した。
【0054】 実施例 架橋剤量 残存モノマー 保持力 sp粘着力 重合完結時間 (hr) (g/25mm) (分) 1 0.09 0.30 24 1100 1.5 2 0.13 0.29 100 1050 1.5 3 0.2 0.30 100 900 1.5 上記測定結果からわかるように、酢酸ビニルおよび架橋
を配合した系では、反応時間が1.5分と高速化され
た場合において粘着力および保持力共に高性能である
着剤製品を作成できた。
【0055】
【発明の効果】本発明の光重合性組成物によれば、酢酸
ビニルの反応促進効果によって高性能の高分子が生成す
るようなマイルドな反応条件下でも反応後期での重合完
結時間が短縮され、結果としてこのような高分子量のポ
リマーを得るのに必要な時間を短縮できる。
【0056】こうした重合時間の短縮により高性能の
着剤製品の生産性を高めることができる。しかも、酢酸
ビニルは、他のモノマーの特性により発現される幅広い
粘着性能を阻害することがなく、さらに多官能ビニル化
合物からなる架橋剤の使用により粘着性能が向上し、
の結果、本発明による組成物は幅広い粘着性能を発現し
得る能力を保持することができる。粘着特性と生産性と
を共に高水準に保持することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) アルキル基の炭素数が1〜12で
    あるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸ア
    ルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1
    種のアクリレート系モノマー60〜98重量%と、 (b) アクリレート系モノマー(a) と共重合可能な不飽
    和二重結合を有するビニル化合物系モノマー(ただし、
    N−ビニル−2−ピロリドンは除く)2〜40重量%
    と、 (c) アクリレート系モノマー(a) とビニル化合物系モ
    ノマー(b) の総和100重量部に対して1〜10重量部
    配合される酢酸ビニルと、5重量部以下の範囲で配合さ
    れる多官能ビニル化合物からなる架橋剤と、 (d) 光重合開始剤0.001〜5重量部とを含む光重
    合性粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物に紫外線を照射す
    ることによって得られるアクリル系粘着剤製品。
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