JP3137432B2 - 自己保持型ソレノイド - Google Patents

自己保持型ソレノイド

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JP3137432B2
JP3137432B2 JP04154437A JP15443792A JP3137432B2 JP 3137432 B2 JP3137432 B2 JP 3137432B2 JP 04154437 A JP04154437 A JP 04154437A JP 15443792 A JP15443792 A JP 15443792A JP 3137432 B2 JP3137432 B2 JP 3137432B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的安定状態の保持
及び前記安定状態からの変化を電磁的に駆動する装置、
例えば、弁棒操作装置とか電磁継電器等に使用する自己
保持型ソレノイドの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から可動鉄心を吸引方向に付勢動作
させると、その付勢力を解いても吸引状態が保持でき、
又、逆に、可動鉄心の原位置復帰に際しては、前記と逆
方向の付勢力を付与して復帰させるようにした、所謂自
己保持型のソレノイドは、今日種々の構造のものが提案
され、弁棒操作装置等の駆動源として幅広く使用されて
いる。
【0003】そして、前記自己保持型ソレノイドにおい
て、例えば、特公平2−36043号公報に示されてい
るものが通常よく知られている。図9によりその概略構
造を説明すると、図9において、磁性材料からなる固定
鉄心1は、磁極面S側を固定鉄心1側に固定した永久磁
石2の磁束xの作用により、同じく磁性材料からなる可
動鉄心3をそれぞれ相対応する磁極面4,5とで吸引し
て機械的安定状態にある。次に、前記固定鉄心1に巻回
した2つの電磁コイル6a,6bのうち、一方の電磁コ
イル6aに通電を行い、永久磁石2に対して反撥する磁
束yを、可動鉄心3→永久磁石2→固定鉄心1からなる
磁路内に誘起させ、前記可動鉄心3を固定鉄心1の磁極
面4,5と反撥させて固定鉄心1の他方の磁極面7,8
との吸引状態側に移動させる。可動鉄心3はその移動
後、電磁コイル6aの通電を断っても、永久磁石2の磁
束xの作用により吸引状態が保持される。つづいて、こ
の機械的安定状態から可動鉄心3を前記磁極面4,5と
の吸引状態に復帰させる場合は、電磁コイル6bに通電
を行うことにより、可動鉄心3を原位置に復帰させるよ
うにした、即ち、機械的双安定状態で構成されている。
【0004】然るに、前記構成のソレノイドにおいて
は、前記動作原理の説明で明らかなように、次に示すよ
うな問題点があった。 (1)、前記双安定タイプのソレノイドは、可動鉄心の
原位置復帰に際して復帰用ばねの力を必要としないもの
の、電磁コイルは2個必要とし、かつ、可動鉄心の移動
に際しては、常に片側の電磁コイルのみに通電を行い可
動鉄心の反撥により作動させていたので、2つの電磁コ
イルを効果的に使用することが難しく不経済であるばか
りでなく、ソレノイドの大形化、複雑化を招く大きな要
因となっていた。
【0005】(2)、又、前記双安定タイプのソレノイ
ドは、可動鉄心に繋がる負荷が一定していれば効果的に
作動させることができるが、負荷の力が大きく変動する
ようなとき、例えば、負荷が浴槽の排水栓のような場
合、即ち、浴槽の排水栓は、浴槽内の水位が上昇するに
つれて、排水栓に加えられる水圧(荷重)は順次増大す
る。従って、前記双安定のソレノイドにおいては、前記
のように、負荷が変動すると、可動鉄心の吸引力に落ち
込み現象が生じて負荷に対応することができなくなる場
合がある。即ち、吸引力が負荷に追随することが難し
く、ソレノイドの使用機器を誤作動させるおそれがあっ
た。このため、この種ソレノイドでは、前記の落ち込み
現象を防ぐために、即ち、機械的安定状態を維持するう
えから、強力な起磁力を備えた永久磁石を必要とする問
題があった。
【0006】(3)、しかし、前記永久磁石の起磁力を
必要以上に強くすると、可動鉄心が固定鉄心の磁極面に
吸引したとき、可動鉄心は大きな力で磁極面と衝突する
こととなる結果、前記吸引時に大きな衝撃音が発生し、
これにより、ソレノイドを使用する機器の種類によって
は、機器の使用者に衝撃音による不快感を与えるという
問題があった。
【0007】(4)、更に、前記永久磁石の起磁力を必
要以上に強くした場合、可動鉄心を一方の磁極面から他
方の磁極面に移動する際、即ち、永久磁石の起磁力を解
除するに際しては、永久磁石の磁束を軽減させるため
に、電磁コイルに永久磁石の磁束に反撥する磁束を生じ
させるための大電流を通電してアンペアターンを大きく
する必要があった。しかし、電磁コイルに通電する前記
電流を不用意に増大させると、即ち、永久磁石の磁束を
打消したりする以上の電流を通電すると、可動鉄心は、
前記電磁コイルに通電することによって生ずる磁束によ
って、磁極面に吸引されたまま他方の磁極面に移動でき
なくなる場合があった。従って、電磁コイルに通電する
電流値はおのずと限度があり、その関係式は次に示す
【数1】 によって表すことができる。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、 Fr:ソレノイドの磁極面4,
5に生じるラッチング保持力 Fm:ソレノイドの磁極面7,8に作用している力 K :定数 Φm:永久磁石の磁束 Φi:電磁コイルへの通電によって生ずる磁束 W :可動鉄心に付設される負荷 をそれぞれ示す。従って、前記
【数1】式で判るように、Φiの値をΦm近づけるよう
に電流の増大をはかれば、図9で示す磁極面4,5に作
用する可動鉄心3の保持力が0となる前に、他方の磁極
面7,8に作用する吸引力が打勝って可動鉄心3を移動
させることができる。従って、前記図9で示す構成のソ
レノイドにおいては、ソレノイド自体を正常に作動させ
るには、電磁コイルに通電する電流値をΦi≦Φmの範
囲で設定する必要があるため、ソレノイドの作動によっ
て得られる推力(トルク)はおのずと限度があり、この
結果、前記項番(2)で述べたように、負荷が変動した
り、大きなトルクを必要とする機器には採用が難しいと
いう問題があった。
【0010】本発明は、前記の種々の問題点に鑑み、可
動鉄心の吸引力の落ち込みを防ぎ、かつ、該可動鉄心を
固定鉄心に対して負荷部材の存在により緩衝的に吸引保
持させることにより、吸引時の衝撃力を軽減して衝撃音
の発生を抑制可能とし、しかも、省エネ効果の優れた自
己保持型ソレノイドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために、中空円筒状の磁気ヨークと、磁気ヨー
クの内側にその軸方向に沿って磁性材料からなる磁気ス
ペーサを介して挿設した吸引及び反撥の2つのコイルを
差動接続して設けた電磁コイルと、前記電磁コイルの内
側に一対の磁性部材の間に永久磁石を介在させて前記磁
気ヨークの軸心に沿って移動可能に挿入した可動鉄心
と、前記可動鉄心の下側から電磁コイルの下部にかけて
配置された可動鉄心の吸引・復帰の各作動を行わせる固
定鉄心と、更に、前記可動鉄心の上部側において電磁コ
イル上に配置した補助ヨークとからなり、前記吸引コイ
ルに通電を行った場合は、磁気ヨーク→磁気スペーサ→
可動鉄心→空隙→固定鉄心→磁気ヨークとの間で第1の
磁路を、又、反撥コイルに通電したときは、磁気ヨーク
→補助ヨーク→可動鉄心→永久磁石→磁気スペーサ→磁
気ヨークとの間で第2の磁路を設けるようにして構成し
たので、その作用は次に示すとおりである。
【0012】
【作用】本発明は、電磁コイルを吸引用コイルと反撥用
コイルとに分離して形成し、可動鉄心の吸引及び復帰に
際しては、前記2つのコイルに通電を行うことにより、
磁気ヨークと可動鉄心と固定鉄心との間で、補助ヨーク
の利用により2つの磁路を構成し、可動鉄心の吸引時と
復帰時は、それぞれ前記2つの磁路を使用して可動鉄心
を小電力で大きな吸引力を得て作動させることができる
ので至便である。又、可動鉄心の吸引・復帰に際して
は、それぞれ可動鉄心と補助ヨークとの反撥・吸引作用
が有効に利用できるため、可動鉄心の移動を迅速に行わ
せることができる。
【0013】その上、電磁コイルを構成する吸引コイル
と反撥コイルは差動接続してあるため、コイルには巻始
めと巻終りの引出し線のみしか存在しないので、巻線作
業に手間が少々かかる反面、コイル自体は小形に巻回す
ることができるため、磁気ヨーク内の狭隘な場所にでも
容易に収容することが可能となり、自己保持型ソレノイ
ドを小形・軽量に製作することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の自己保持型ソレノイドを、浴
槽の排水口を開閉する排水栓の駆動手段として使用した
実施例を図1ないし図7によって説明する最初に、図
3,図4において11は浴槽で、その浴槽11の底部に
は排水口12が開口されている。13は浴槽11上部の
エプロンa内において、浴槽11の側面から底部にまた
がって配管した排水管で、排水口12とは連通口14を
介して連通している。15は排水口12を開閉する排水
栓で、その外周縁の下方には排水口12の内周面に係合
するための案内ガイド16が一体的に形成されている。
17は前記排水栓15の裏面に垂設した支軸で、この支
軸17には排水管13内において、操作レバー18が枢
着されている。前記操作レバー18は図4で示すよう
に、ほぼ逆へ字形に形成した偏平な梃子杆19と連結杆
20とによって構成されている。そして、前記連結杆2
0には、梃子杆19との枢支部付近において、両者が上
向には回動するが、逆方向には回動しないように図示し
ない回り止め部材が一体的に形成されている。
【0015】21は浴槽11のエプロンa内側の最上部
に取付けた排水栓15作動用の駆動源となる本発明の自
己保持型ソレノイド(以下、単にソレノイドという)を
示すもので、その構造を図1により説明する。22は中
空円筒状の磁気ヨークで、内部には胴央部分に補助ヨー
クの役目を果す磁気スペーサ23を介して電磁コイル2
4が嵌挿保持されている。そして、前記電磁コイル24
は図1及び図5で示すように、反撥用のコイル24a
と、吸引用のコイル24bとからなり、最初にボビンd
にコイル導体を正方向に所定回数巻回して吸引コイル2
4bを設け、次に、別のボビンcにコイル導体を前記と
は巻回方向を逆にして、前記吸引コイル24bと同じ巻
回数だけ巻回して反撥コイル24aを設けることによっ
て電磁コイル24を構成するもので、即ち、前記吸引コ
イル24bと反撥コイル24aは、コイル導体を連続巻
回し、両者を差動接続することにより構成されている。
【0016】次に、25は前記電磁コイル24内に上下
動可能に挿入した可動鉄心で、図1で示すように、下方
となる固定鉄心26側に第1の磁性部材eを反対側の上
方には第2の磁性部材fをそれぞれ備え、かつ、前記第
1,第2の磁性部材e,f間に永久磁石27を介在させ
て形成されている。そして、前記可動鉄心25はその下
方端、即ち、第1の磁性部材eの下部には、磁気ヨーク
22の下部開口端に嵌着した固定鉄心26中央の透孔2
6aを貫通させてソレノイドの下方に突出する非磁性体
の可動ロッド28が螺着され、又、可動鉄心25の上方
端には第2の磁性部材f及び永久磁石27を貫通して第
1の磁性部材eの上部側に螺着した非磁性体の手動操作
棒29を、可動鉄心25からソレノイド21の上方に突
出することにより構成されている。なお、固定鉄心26
は磁気ヨーク22の下部開口端の内側に嵌合係止させた
あと、磁気ヨーク22の開口端縁を円周かしめ等の手段
によって固定鉄心26が抜脱するのを防ぐ。
【0017】30は可動鉄心25の上部側方において、
図1,2に示すように、電磁コイル24の反撥コイル2
4a上に前記可動鉄心25の移動を妨げないように、か
つ、該可動鉄心25に遊嵌して乗載した補助ヨークで、
この補助ヨーク30は可動鉄心25が吸引される前の状
態では、図1で示すように、可動鉄心25の第2の磁性
部材fと対応する位置で、又、図2で示すように、可動
鉄心25が固定鉄心26に吸引したときは、第2の磁性
部材fとは対応しない、即ち、少し間隔を保つ位置で配
置されている。31は図1で示すように、前記補助ヨー
ク30上に載置した補助ヨーク30の固定を兼ねる可動
鉄心25のストッパーで、非磁性材料により、可動鉄心
25と対応する部分を上方に膨出して帽子状にプレス加
工して形成したもので、このストッパー31は、その周
縁の水平な鍔縁を補助ヨーク30の上端に係載し、前記
鍔縁の外周縁から磁気ヨーク22の上部開口端内側に設
けたリング溝32aに止輪32を嵌着することにより、
前記補助ヨーク30は固定鉄心26との間で、電磁コイ
ル24及び磁気スペーサ23を介して固定支持される。
33は可動鉄心25の第2の磁性部材f上に貼着した緩
衝材で、可動鉄心25が原位置復帰したとき、ストッパ
ー31との接衝により生ずる衝撃力を軽減するものであ
る。34は磁気ヨーク22の下部開口端の下側から固定
鉄心26に止着した可動ロッド28の軸受部材で、この
軸受部材34と可動鉄心25との間には、可動鉄心25
の固定鉄心26に対する吸引力が解除されたとき、可動
鉄心25を原位置に戻すための復帰ばね35が挿入され
ている。36は手動操作棒29の頂部に取付けた操作摘
み、37は電磁コイル24のリード線である。
【0018】又、前記ソレノイド21を浴槽11に取付
ける場合は、図3に示すように、浴槽11のエプロンa
の上部開口gを利用してソレノイド21を挿入し、これ
を図示しないナット等の締付部材を用いてエプロンa内
の取付板40に止着して垂設し、更に、前記ソレノイド
21の取付後、エプロンaの図示しない点検口(排水管
にもあり)を利用してソレノイド21の可動ロッド28
と、あらかじめ、エプロンaの開口gを利用してソレノ
イド21の取付前に、排水管13内に挿入しておいた操
作レバー18の最上端と接離可能な駆動ロッド41とを
軸継手等を用いて連結することにより、前記ソレノイド
21と排水栓15とを、前記駆動ロッド41,操作レバ
ー18を介して駆動可能に結合する。なお、図3中・4
2はエプロンaの開口gに取外し自在に被着したゴム等
耐水性に富む材料からなるカバー体である。
【0019】次に、本発明ソレノイド21の動作につい
て説明する。最初に、浴槽11に張っている残湯を排水
口12から排水管13に排水する場合について説明す
る。先ず、排水口12を開く場合は、図6で示すよう
に、例えば、ソレノイド21の通電回路に設けた操作ス
イッチSを投入して、電磁コイル24に正方向電流を直
流電源Eより供給する。前記通電により、図6で示すよ
うに、電磁コイル24の一方のコイルを形成する吸引コ
イル24bには、正方向電流が、又、他方の反撥コイル
24aは吸引コイル24bと差動接続されている関係
上、逆方向の電流が通電されることとなる。このため、
図1で示すように、吸引コイル24b側においては、可
動鉄心25の第1の磁性部材e→空隙→固定鉄心26→
磁気ヨーク22→磁気スペーサ23によって第1の磁路
が形成され、又、反撥コイル24a側には、可動鉄心2
5の第2の磁性部材f→永久磁石27→磁気スペーサ2
3→磁気ヨーク22→補助ヨーク30によって第2の磁
路が形成される。
【0020】この結果、可動鉄心25は、前記第1及び
第2の磁路内を流れる磁束(電磁コイル24への通電に
よって誘起される磁束Φiと永久磁石27の磁束Φm)
による吸引作用により、固定鉄心26側に復帰ばね35
の力に抗して移動して該固定鉄心26に吸引される。そ
して、前記可動鉄心25の吸引作用に際し、反撥コイル
24a側に位置する第2の磁路においては、反撥コイル
24aに通電されるさ逆方向の電流により、第2の磁路
内を流れる永久磁石27の磁束(可動鉄心の吸引を助長
する磁束)は、Φa分だけ軽減される。この結果、可動
鉄心25はその吸引作動のスタート段階では、第2の磁
性部材fと補助ヨーク30との間で永久磁石27の磁束
によって生ずる吸引作用により緩やかなスタートとな
る。しかし、前記第2の磁性部材fが補助ヨーク30か
ら引き離される位置まで移動(可動鉄心が中間地点まで
移動(降下)したとき)すると、可動鉄心25と補助ヨ
ーク30との間で反撥作用が生じ、可動鉄心25は前記
の反撥作用により急速移動して固定鉄心26に吸引され
ることとなる(図8のP点参照)。
【0021】前記の現象(反撥作用)は、吸引コイル2
4bと反撥コイル24aとが互いに差動接続されている
関係上、可動鉄心25はその可動範囲(ストローク)の
ほぼ中間地点に達すると(図8のP点)、吸引コイル2
4bと反撥コイル24aに対する磁気回路におけるパー
ミアンスはほぼ同等となるため、前記2つのコイル24
a,24bの合成インダクタンスも周知の如く相殺され
ることとなる。このため、前記合成インダクタンスが小
さくなると、その時定数も必然的に小さくなり、合成イ
ンダクタンスの小さな自己インダクタンス回路では、過
度現象は短時間で終了するので、可動鉄心25を瞬間的
に吸引することが可能となり、通電時間及び吸引速度を
短縮することができる。
【0022】そして、前記可動鉄心25の吸引後、操作
スイッチSを解放して電磁コイル24への通電を断つ
と、永久磁石27の磁束が第1の磁路内に透過され続け
るため、可動鉄心25はその吸引状態が保持される。
【0023】前記のように、可動鉄心25が作動する
と、可動ロッド28は図3で示すように、下方に移動
し、駆動ロッド41を押し下げ、この駆動ロッド41と
接離する操作レバー18の上端を押圧する。すると、操
作レバー18は排水管13の水平部分において横方向
(図4の右方向)に槓動して、その他方端に枢着した排
水栓15を押し上げて開栓し、浴槽11内の残湯を排水
口12から排水管13内に排水させる。
【0024】次に前記浴槽11内の残湯を排水する場
合、排水口12を閉塞する排水栓15には、残湯による
水圧が荷重となって加えられており、前記排水栓15を
開栓するには、前記開栓時の水圧を上回る吸引力がソレ
ノイド21に必要となる。従って、ソレノイド21は次
【数2】 式で表される吸引力が得られるように設計すればよいこ
とになる。
【0025】
【数2】
【0026】ここで、 Fs:ソレノイドの吸引力 K :定数(ソレノイドの吸引時) Φm:永久磁石の磁束 Φi:電磁コイルに通電を行うことによって生ずる磁束 Φa:第2の磁路に流れる永久磁石の磁束 Wo:排水栓開閉時の合成荷重 Ws:復帰ばねの付勢力 を示すものである。なお、本例では、電磁コイル24に
通電する電流を、開栓時は閉栓時にくらべ約2倍(2Φ
i)となるように設計した例で説明する。
【0027】従って、排水栓15の開栓に際しては、前
記排水栓15に加わる荷重を想定してソレノイド21
が、前記荷重に打勝つ吸引力を得ることができるように
構成することにより、電磁コイル24に短時間通電を行
うと、排水栓15は迅速に開栓して浴槽11内の水を排
水口12から排水管13内に排水する。前記、排水口1
2の開口により排水が開始されると、排水栓15の荷重
は、水圧がかからなくなるため急激に軽減されることと
なる。この結果、ソレノイド21の可動鉄心25は固定
鉄心26に吸引直後における吸引力を保持させることな
く、電磁コイル24の通電を断った場合でも、復帰ばね
35の力に打勝って永久磁石27の磁束により吸引状態
を維持することができる。従って、ソレノイド21への
通電を断っても排水口12は開口状態を維持して排水が
良好に続行することが可能となるばかりか、排水作業は
ソレノイド21を小電力で駆動させることができるの
で、排水栓15の駆動源における省エネ効果を向上させ
ることができる。
【0028】次に、浴槽11の残湯を排水したあと、排
水口12を排水栓15により閉栓する場合について説明
する。この場合、排水栓15には荷重が全く加えられて
いないので、ソレノイド21の可動鉄心25を原位置に
復帰させることにより、排水栓15はその自重により降
下して排水口12を閉塞するようになっている。従っ
て、ソレノイド21の可動鉄心25の吸引力を解除する
には、可動鉄心25を固定鉄心26に吸引保持させてい
る永久磁石27の吸引力を、復帰ばね35の力が打勝つ
ように軽減させればよい。
【0029】このため、可動鉄心25の吸引力解除に際
しては、図7で示すように、操作スイッチSを投入して
電磁コイル24に吸引時とは逆方向の電流を直流電源E
から短時間供給する。この結果、吸引コイル24b側の
第1の磁路内には永久磁石27の磁束を打消す磁束が誘
起されるため、永久磁石27による可動鉄心25に対す
る吸引力は軽減する。この結果、可動鉄心25は復帰ば
ね35の力が永久磁石27の吸引力に打勝つと原位置に
復帰する。そして、前記逆方向の電流の通電は短時間で
あるため、可動鉄心25は、その復帰途中(この時点で
は電磁コイル24への通電は断たれている)において、
第2の磁性部材fが補助ヨーク30に順次近付くにつれ
て前記第2の磁性部材fには、反撥コイル24a側の第
2の磁路内において永久磁石27の磁束による吸引作用
が働くことになる結果、可動鉄心25は復帰ばね35の
付勢力と相まって、急速に原位置に復帰することにな
る。そして、前記可動鉄心25の原位置復帰に際して
は、永久磁石27の磁束を軽減するだけでよいので、電
磁コイル24には吸引時に比べ小電流を通電すればよい
ので、省エネ化をはかることができる。その上、前記第
2の磁路内においては、可動鉄心25が原位置に近付く
につれて吸引作用が働くため、復帰ばね35はそのばね
圧力の比較的小さなものを選択することができる利点も
ある。
【0030】次に、停電時等において、排水栓15を手
動で開閉する場合は、図1,2で示すソレノイド21の
手動操作棒29に取付けた操作摘み36を手動操作して
可動鉄心25を固定鉄心26側に押動すると、可動鉄心
25は復帰ばね35の力に抗して押し下げられ、固定鉄
心26に永久磁石27の吸引力を利用して吸引される。
前記可動鉄心25の吸引により、前記のように、可動ロ
ッド28を介して駆動ロッド41が降下して排水栓15
を上動させ、排水口12を前記同様に開口する。これに
より、停電時等においても容易に排水栓15の開栓を行
うことが可能となる。又、可動鉄心25の吸引を解除す
る場合は、操作摘み36を手で持ち、これを永久磁石2
7の吸引力に逆って上方に引き上げることにより、可動
鉄心25を原位置に迅速・容易に手動操作することがで
きる。
【0031】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、通電によ
り可動鉄心を駆動させる電磁コイルは、吸引用のコイル
と反撥用のコイルとに分離して形成し、可動鉄心の吸引
時は、その吸引途中において、該可動鉄心と補助ヨーク
との反撥作用を有効利用して、可動鉄心を前記2つのコ
イルに同時通電させることと相まって小電力で大きな吸
引力により駆動させることができるので、即ち、可動鉄
心の吸引途中における落ち込み減少を防いで作動させる
ことが可能となるため、浴槽の排水栓等負荷の荷重が変
動しやすい負荷部材の駆動源として有用のソレノイドを
提供することが可能である。しかも、前記本発明の構成
によるソレノイドにおいて、可動鉄心が固定鉄心に吸引
する際に生ずる衝撃音は、可動鉄心が負荷部材と連接さ
れていることにより緩和することができ、更に、可動鉄
心が原位置復帰する場合に生ずる衝撃音も、ソレノイド
上部に設けた緩衝材により吸収することが可能となるた
め、ソレノイドの作動時に発生する衝撃音を効果的に規
制することができる。
【0032】又、本発明においては、可動鉄心の復帰に
際しても、吸引している可動鉄心と電磁コイル上に配置
した補助ヨークとの間に所定の間隔が設定されているの
で、可動鉄心は吸引が解かれて復帰ばねの力で原位置に
復帰する途中において、補助ヨークとの間で永久磁石の
吸引力による吸引作用が働くため、可動鉄心は小さな復
帰ばねの力でも迅速・容易に原位置復帰させることがで
きる。また、このときも、小電力で永久磁石の磁束を軽
減すればよいので、可動鉄心は吸引時の作動と相まって
小電力で、かつ、短時間に作動させることが可能とな
り、ソレノイドの使用機器を円滑・良好に駆動させるこ
とができる。しかも、可動鉄心を原位置に復帰させた場
合、可動鉄心の上部は補助ヨークに遊嵌されている関係
上、永久磁石の吸引力は可動鉄心を固定鉄心に吸引させ
たときのように大きな吸引力(この場合、可動鉄心の下
面が直接固定鉄心と接触することにより可能となる)が
得られず、復帰ばねの力を利用して押上げられているの
で、例えば、浴槽の排水栓を開栓するために、可動鉄心
を停電時等に操作摘みを手動で降下させる場合、永久磁
石の吸引力が弱いため復帰ばねの力に打ち勝つ力で操作
摘みを押動すればよいので、ソレノイドの手動操作は大
きな力を要することなく簡易に行うことができるととも
に、通電により操作する場合においても、前記したよう
にソレノイド自体を小電力で駆動させることができ、利
便である。
【0033】更に、電磁コイルは吸引コイルと反撥コイ
ルとを差動接続して形成してあるので、コイル自体はそ
の製作途中で巻回方向を変更する必要はあるものの、巻
線途中で接続個所を設けることなく巻回することができ
るため、電磁コイルの引出し線の引出しが容易に行い
得、これにより、磁気ヨーク内の狭隘な場所に2つのコ
イルを収容保持することができるため、この種ソレノイ
ドを小形・軽量に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自己保持型ソレノイドの作動前(復帰
時)の状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の自己保持型ソレノイドの作動後(吸引
後)の状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明のソレノイドを浴槽の排水栓を自動開閉
する装置に実施した例を示す浴槽の要部縦断面図であ
る。
【図4】本発明のソレノイドを復帰させることにより排
水栓が閉塞した状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明のソレノイドに組込まれている電磁コイ
ルの結線状態を示す説明図である。
【図6】本発明のソレノイドにおける可動鉄心の吸引時
における磁束の流れを示す説明図である。
【図7】本発明のソレノイドにおける可動鉄心の復帰時
における磁束の流れを示す説明図である。
【図8】本発明の自己保持型ソレノイドの特性を示す特
性図である。
【図9】従来の自己保持型ソレノイドの構造を概略的に
示す説明図である。
【符号の説明】
21 自己保持型ソレノイド 22 磁気ヨーク 24 電磁コイル 24a 反撥コイル 24b 吸引コイル 25 可動鉄心 26 固定鉄心 27 永久磁石 28 可動ロッド 30 補助ヨーク 35 復帰ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮島 武秀 愛知県春日井市愛知町1番地 愛知電機 株式会社内 審査官 植松 伸二 (56)参考文献 特開 昭57−198611(JP,A) 実開 昭56−94013(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 7/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空円筒状の磁気ヨークと、磁気ヨーク
    の内側にその軸方向に沿って磁性材料からなる磁気スペ
    ーサを介して挿設した吸引及び反撥の2つのコイルを差
    動接続して設けた電磁コイルと、前記電磁コイル間に介
    挿された一対の磁性部材の間に永久磁石を介在させて前
    記磁気ヨークの軸心に沿って移動可能に挿入した可動鉄
    心と、前記可動鉄心の下面から電磁コイルの下部にかけ
    て配置された可動鉄心の吸引・復帰の各動作を行わせる
    固定鉄心と、前記可動鉄心の上部側において電磁コイル
    上に可動鉄心を遊嵌して配置した補助ヨークと、更に、
    前記可動鉄心の下面と磁気ヨークとの間に挿入した可動
    鉄心復帰用のばねとを具備して構成したことを特徴とす
    る自己保持型ソレノイド。
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