JP2020057726A - ソレノイド - Google Patents

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岡田 信秀
Nobuhide Okada
信秀 岡田
洋子 増岡
Yoko Masuoka
洋子 増岡
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【課題】通電時において被吸着物の特定の部位に磁束の流れが集中せず十分な推力が得られ、かつ、低コストで製造可能な直動型ソレノイドを提供する。【解決手段】ソレノイド10では、プランジャ40が摺動開始位置からストローク全体の半分又はほぼ半分の位置までを摺動しているときには、第2のコイル31のみによって推力が生成されるが、ストローク全体の半分又はほぼ半分の位置から摺動終了位置までを摺動しているときには、第1のコイル30と第2のコイル31とによって推力が生成されるので、プランジャ40が摺動し終わる位置に至るまで十分な推力が得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、直動型のソレノイドに関し、特にストローク長が長い構成を有するソレノイドに関する。
ストローク長が長い、いわゆるロングストローク・ソレノイドにおいては、推力を低下させずにストローク長をさらに長くするために、様々な構成のものが発明されている。図16は、従来技術に係るソレノイドの断面図である。図16において、70はソレノイド、71はベース、72は軸受支持部、73は圧入部、74は補助磁極部、75は小径円柱状面、76は凹型円錐台状面、77は大径円柱状面、78はプランジャ、79は円錐台状部、80は小径部、81は大径部、82は凸型円錐台状面、83はケース、84は蓋部材、85はコイル、86はコイルボビン、87はシャフト、88は軸受である。
図16は、特開2006−303090号公報で開示されているロングストローク・ソレノイドである。図16に示すように、ソレノイド70は、一般的な直動型ソレノイドと比べて、ケース83の径に対してプランジャ78の中心軸方向における長さが相当に長く形成されており、非常に長いストローク長が得られる構成になっている。プランジャ78は、コイル85に通電していないときには、プランジャ78に接続されたシャフト87の全体又はほぼ全体がベース71の内部に隠れる位置、つまり、図16に示す位置よりもかなり上方に位置している。ベース71は、ケース83の外部に配置されると共に軸受88を支持する軸受支持部72、ケース83に対して圧入される圧入部73、及び、プランジャ78の中心軸方向に沿って蓋部材84側に延びるように形成された補助磁極部74の3つの部分を備えている。
また、ベース71は、軸受支持部72から補助磁極部74までを貫くように延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔の内周面は、軸受88を圧入するための小径円柱状面75、蓋部材84側に向かって漸次拡径する円錐状の傾斜面として形成された凹型円錐台状面76、及び、補助磁極部74の内周面であると共に小径円柱状面75よりも径が大きい大径円柱状面77の3つの部分を備えている。さらに、ベース71の凹型円錐台状面76よりも蓋部材84側に位置する部分は、コイル85に通電したときに磁路となる。特に、補助磁極部74は、蓋部材84側に長く延びていることから、コイル85への通電開始当初において、プランジャ78とベース71との間を流れる磁束量を増加させ、推力を増大させる作用を持っている。
プランジャ78は、コイル85が巻回されたコイルボビン86の中空部に挿通されており、シャフト87を介して軸受88に摺動可能に支持されている。また、プランジャ78では、全体が略円柱状に形成された大径部81よりもシャフト87側の部分は、大径部81よりも径が小さい円柱状に形成された小径部80となっている。小径部80よりもシャフト87側の部分は、円錐台状に形成された円錐台状部79になっている。円錐台状部79の凸型円錐台状面82は、ベース71の凹型円錐台状面76に対応するように形成されると共に、先端部の穴にはシャフト87を支持する軸受88が嵌合されている。
以上の構成を持つソレノイド70において、コイル85に通電すると、主としてプランジャ78の凸型円錐台状面82とベース71の補助磁極部74との間に磁路が生成される。プランジャ78は、この磁路によってベース71に吸引され、負荷装置に設けられた図示していないバネの弾性力に抗してベース71に向かって摺動する。

プランジャ78が摺動して行くと、円錐台状部79及び小径部80がベース71の補助磁極部74に進入して行き、プランジャ78の円錐台状部79とベース71の凹型円錐台状面76との間の距離が小さくなる。この動きに従って、円錐台状部79と凹型円錐台状面76との間の磁束量が大きくなり、これらの間の磁束によって推力が生成されるようになる。一方、円錐台状部79及び小径部80と補助磁極部74との間の磁束は、プランジャ78の摺動方向に対して直交又はほぼ直交するので、プランジャ78の推力にはならない。したがって、ストロークの前半においては、円錐台状部79及び小径部80と補助磁極部74とが推力を生成する上で大きな役割を果たし、後半においては、円錐台状部79と凹型円錐台状面76とが推力を生成する上で大きな役割を果たす。このようにして、ソレノイド70を大型化させず、かつ、消費電力を抑えながら、ロングストローク・ソレノイドを実現している。
ところで、上述のような構成のロングストローク・ソレノイドにおいては、ストローク長をさらに長くして行く上で課題があった。すなわち、ベース71の補助磁極部74のように、ストロークの前半において磁路となる部分をプランジャ側にさらに延長して行くと、プランジャがベースに接近するにつれて磁束の大半がプランジャの中心軸に対して直交又はほぼ直交するようになる。プランジャの中心軸に対して直交又はほぼ直交する磁束は、推力に寄与しないので、負荷装置から加わる力によっては、推力の不足からプランジャの摺動が途中で停止することになる。
特開2006−303090号公報
本発明は、上述の課題を解決するために、ストローク長が長い構成を有する直動型のソレノイドにおいて、通電時において被吸着物の特定の部位に磁束の流れが集中せず十分な推力が得られ、かつ、低コストで製造可能なソレノイドを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、磁性材から、かつ、略円筒形状に形成されると共に、第1の開口部及び第2の開口部を備えたケースと、前記ケースの内部に、かつ、前記第1の開口部に近い位置に配置されると共に、略円筒形状に形成された第1のコイルと、 前記ケースの内部に、かつ、前記第2の開口部に近い位置に配置されると共に、略円筒形状に形成された第2のコイルと、 前記ケースの内部に、かつ、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に介在するように配置された補助磁極と、前記第1のコイル及び前記第2のコイルに挿通されると共に、略円柱形状又は略円筒形状に形成された基体部を備えたプランジャと、前記ケースの前記第2の開口部を閉止するように設けられると共に、中央に前記プランジャの前記基体部を挿通した貫通孔が形成された蓋部材を有し、前記プランジャは、中心軸方向において、前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側の端部が前記第2のコイルの中間又はその近傍となる位置から前記第1のコイルの中間又はその近傍となる位置までの範囲を摺動可能になされ、前記蓋部材は、前記貫通孔の周辺部分と前記プランジャの前記基体部との間隙が前記補助磁極と前記プランジャの前記基体部との間隙よりも小さくなるように設けられ、前記第1のコイルと前記第2のコイルとは、アンペアターンが等しく、又は、ほぼ等しくなされると共に、前記プランジャの摺動開始時に前記第2のコイルのみが通電され、前記中心軸方向において前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側の端部が前記補助磁極を配置した位置に到達したときに前記第1のコイルと前記第2のコイルとに通電されるようになされた、又は、前記プランジャの摺動開始時に前記第1のコイルと前記第2のコイルとが同時に、若しくは、ほぼ同時に通電されるようになされたことを特徴とするソレノイドである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記プランジャは、前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側に設けられると共に、前記ケースの前記第1の開口部側に向って突出した略円錐台状に形成されたコニカル部をさらに備え、前記ケースの前記第1の開口部を閉止するように設けられると共に、前記プランジャの前記コニカル部に対向した凹状の略円錐台状面が形成された逆コニカル部を備えたベースをさらに有していることを特徴とするソレノイドである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ベースは、中央に前記中心軸方向に延びる貫通孔が形成され、前記ベースの前記貫通孔の内部に設けられた軸受と、前記プランジャに接続されると共に、前記軸受に支持されて摺動するシャフトとをさらに有していることを特徴とするソレノイドである。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記ケースは、略円筒形状に形成されると共に、第1の開口部及び第2の開口部を備えた第1のケース構成部材及び第2のケース構成部材からなり、前記ベースは、前記ケースの前記第1のケース構成部材の前記第1の開口部を閉止するように設けられ、前記蓋部材は、前記ケースの前記第2のケース構成部材の前記第2の開口部を閉止するように設けられ、前記補助磁極は、略円環板状に形成されると共に、前記ケースの前記第1のケース構成部材の前記第2の開口部と、前記ケースの前記第2のケース構成部材の前記第1の開口部とに対して挿入された状態で固定されていることを特徴とするソレノイドである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記補助磁極は、略C字板状に形成されると共に、前記ケースの中間又はその近傍となる位置に配置されていることを特徴とするソレノイドである。
請求項1に記載の発明によれば、プランジャの摺動の開始位置から前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側の端部が補助磁極を配置した位置に到達するまでは、第2のコイルのみに通電しているので、第2のコイルによってプランジャ、補助磁極、ケース、蓋部材を経由してプランジャに戻る磁束が生成される。さらに、前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側の端部が補助磁極を配置した位置からプランジャの摺動の終了位置までは、第1のコイルと第2のコイルとに通電しているので、第2のコイルによってプランジャ、補助磁極、ケース、蓋部材を経由してプランジャに戻る磁束が生成され、第1のコイルによってプランジャ、ケース、補助磁極を経由してプランジャに戻る磁束が生成される。第1のコイルと第2のコイルとによって生成される磁束の方向は、補助磁極において逆方向となるが、これらのコイルとのアンペアターンが等しく又はほぼ等しくなされているので、補助磁極における2つの磁束は相殺又はほぼ相殺される。くわえて、プランジャと補助磁極とのエアギャップがプランジャと蓋部材とのエアギャップよりも大きいので、磁束が補助磁極を流れにくくなり、補助磁極を流れる2つの磁束が完全に相殺されていない場合においても、補助磁極を流れる磁束の影響を小さくすることができる。したがって、補助磁極における磁束は、実質的に流れていないことになり、プランジャ、ケース、蓋部材を経由してプランジャに戻る磁束のみとなる。つまり、プランジャが摺動開始位置からストローク全体の半分又はほぼ半分の位置までを摺動しているときには、第2のコイルのみによって推力が生成されるが、ストローク全体の半分又はほぼ半分の位置から摺動終了位置までを摺動しているときには、第1のコイルと第2のコイルとによって推力が生成されるので、プランジャが摺動し終わる位置に至るまで十分な推力が得られる。くわえて、プランジャの摺動当初から第1のコイルと第2のコイルとに同時に、又は、ほぼ同時に通電しても、プランジャがストローク全体の半分又はほぼ半分の位置まで摺動したときに、補助磁極における2つの磁束が相殺されるので、この通電手順においても同様の効果が得られる。
請求項2に記載の発明によれば、磁束がプランジャのコニカル部とベースの逆コニカル部を経由して流れるようになるので、ベースを設けない構成よりもさらに強い推力が得られる。
請求項3に記載の発明によれば、ベースのうち、ケースの外部にある部分は、負荷装置への接続のためにプランジャの中心軸方向に沿って大きく突出させることが多いので、貫通孔も長いものとなる。したがって、長いストローク長に対応した長い軸受を圧入して固定することが容易に実現できると共に、プランジャの摺動がさらに安定したものになる。
請求項4に記載の発明によれば、補助磁極は、第1のケース構成部材の第2の開口部と第2のケース構成部材の第1の開口部とに対して固定されているので、補助磁極を第1のケース構成部材と第2のケース構成部材との接続部材とすることができ、ソレノイドの組立が容易になる。
請求項5に記載の発明によれば、補助磁極をCリングと同様の形状にしたので、補助磁極を略円筒状の長いケースの中間位置まで挿入する作業を容易にすることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの通電状態における断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの非通電状態における断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(1)である。 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(2)である。 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(3)である。 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(4)である。 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(5)である。 本発明の第1の実施の形態に即した実施例における磁束密度の解析結果を示す説明図である。 第1の実施の形態に即した実施例と比較例との推力を比較したグラフである。 第1の実施の形態に即した実施例の推力の特徴を比較したグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドの通電状態における断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る補助磁極を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る補助磁極を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドの通電状態における断面図である。 本発明の第4の実施の形態に即した実施例における磁束密度の解析結果を示す説明図である。 従来技術に係るソレノイドの断面図である。
まず、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの通電状態における断面図である。図1において、10はソレノイド、14はプランジャ近傍磁極群、15は補助磁極、16は内周面、20はベース、21は軸受支持部、22は圧入部、23は圧入深さ規定部、24は逆コニカル部、25は凹型円錐台状面、26は貫通孔、27は蓋部材、28は圧入深さ規定部、29は貫通孔、30は第1のコイル、31は第2のコイル、32は第1のコイルボビン、33は第2のコイルボビン、40はプランジャ、41は基体部、42はコニカル部、43は凸型円錐台状面、44はシャフト固定用孔、45は環状溝、46はシャフト、47は軸受、48は止め輪、49は緩衝輪、50はケース、51は第1のケース構成部材、52は第2のケース構成部材、53は境界面、56は第1の開口部、57は第2の開口部、58は第2の開口部、59は第1の開口部である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの非通電状態における断面図である。図2において用いた符号は、すべて図1と同じものを示す。さらに、図12は、本発明の第1の実施の形態に係る補助磁極を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。図12において用いた符号は、すべて図1と同じものを示す。
なお、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10の説明において、「先端側」とは、ベース20を設けている側、つまり、図1及び図2において下端に近い部分を示すものとし、「基端側」とは、蓋部材27を設けている側、つまり、図1及び図2において上端に近い部分を示すものとする。また、「中心軸」とは、プランジャ40の中心軸を示すものとするが、この実施の形態に係るソレノイド10においては、プランジャ40の中心軸と、補助磁極15、ベース20、第1のコイル30、第2のコイル31、蓋部材27、シャフト46、軸受47及びケース50の中心軸はそれぞれ一致しているので、以下の説明において「中心軸」と記載した場合には、これら全ての構成部品に共通する中心軸を意味することになる。くわえて、本発明の第2乃至第4の実施の形態に係るソレノイドの説明においても、「先端側」、「基端側」及び「中心軸」は、それぞれソレノイド10と同様のものを示すものとする。
本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10は、ケース50の径に対して、相対的にストローク長が相当長い構成を有している。すなわち、ソレノイド10は、図2に示すように、通電していない状態においてプランジャ40が蓋部材27から大きく突出した状態となり、通電時によって図1に示すところまで摺動する。また、ソレノイド10は、プランジャ40との間に直接的な磁路が生成されるプランジャ近傍磁極群14として、補助磁極15、ベース20及び蓋部材27を有している。さらに、プランジャ40との間に直接的な磁路は生成されないが、プランジャ近傍磁極群14を磁気的に互いに接続する磁極としてケース50を有している。すなわち、ソレノイド10は、可動的な磁極であるプランジャ40に対して、補助磁極15、ベース20、蓋部材27及びケース50という4つの固定的な磁極が設けられている。
また、ソレノイド10は、中心軸方向においてほぼ中間となる位置に補助磁極15が設けられており、さらに、補助磁極15の先端側に第1のコイル30が配置されると共に、補助磁極15の基端側に第2のコイル31が配置されている点に大きな特徴がある。すなわち、第1のコイル30及び第2のコイル31のように、直列方向に配置した2つのコイルの間に、補助磁極15のような円環板状の補助磁極や永久磁石を設ける構成は、通常は、プランジャを両方向に摺動させることができる2方向型ソレノイドにおいて採用される構成である。しかし、ソレノイド10は、1方向のみに摺動させるソレノイドであるにも関わらず、2方向型ソレノイドに一見似ている構造を採用している。
以下にソレノイド10の各部の構成について詳しく説明する。補助磁極15は、後述するように、第2のコイル31のみに通電しているときに磁路として機能するが、第1のコイル30と第2のコイル31との両方に通電しているときには、磁路として実質的に機能しないようになされている。また、補助磁極15は、図12に示すように、円環板状に形成されており、補助磁極15は、ケース50を構成する第1のケース構成部材51の第2の開口部58と、第2のケース構成部材52の第1の開口部59との両方に対して圧入されている。したがって、補助磁極15は、第1のケース構成部材51及び第2のケース構成部材52に対して強固に固定されている一方、第1のケース構成部材51と第2のケース構成部材52との接続部材として機能している。また、第1のケース構成部材51の第2の開口部58の近傍部分と、第2のケース構成部材52の第1の開口部59の近傍部分とは、中心軸方向における補助磁極15の長さの半分だけ内周面側を切削して、他の部分よりも肉厚を薄くしている。このように切削することによって補助磁極15の圧入を容易にすると共に、あらかじめ設定した深さだけ圧入できるようにしている。なお、本発明においては、磁路を構成する部材において、補助磁極と他の磁路を構成する部材との間に意図的に間隙を設けて、補助磁極周辺の間隙が磁路で最も磁気抵抗が大きい部分、つまり、磁路のボトルネックになるようにしている。したがって、ソレノイド10を装着する環境において、特段の振動や衝撃が加わることがない場合には、補助磁極15と第1のケース構成部材51及び第2のケース構成部材52とが密着していなくてもよい。このような場合、例えば、補助磁極15を第1のケース構成部材51及び第2のケース構成部材52に対してロウ付けや接着剤によって固定してもよい。
さらに、補助磁極15は、プランジャ40の基体部41との間隙が蓋部材27の貫通孔29とプランジャ40の基体部41との間隙よりもかなり大きくなるように設定されている。これは、補助磁極15の内周面16と基体部41との間隙を大きくすることにより、この領域がソレノイド10の磁路において最も磁気抵抗が高くなるように、つまり、意図的にボトルネックのような構成にしている。これに対して、2方向型ソレノイドでは、無用な磁気抵抗をできる限り低減するために、補助磁極15とほぼ同じ位置にある中間磁極とプランジャとの間隙をできる限り狭くした構成にしている。したがって、この意図的に間隙を設けた構成は、プランジャ近傍磁極群14と一見似た磁極を持つ2方向ソレノイドと明確に異なる本発明独自のものと言える。
ベース20は、図1及び図2に示すように、ケース50から外部に大きく突出した軸受支持部21、ケース50に圧入される圧入部22、ケース50に圧入できないように形成された圧入深さ規定部23、及び、プランジャ40のコニカル部42に対向すると共に、凹陥部の形状がコニカル形状に形成された逆コニカル部24を備えている。軸受支持部21は、ケース50から大きく突出しており、負荷装置に対して組み込み可能な形状に形成されている。また、ベース20は、中心軸に沿って、軸受支持部21から逆コニカル部24までを貫くように貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、軸受47を圧入によって固定するための孔であり、図から判別が難しいが、中間近傍の部位に、下方側の径が僅かに大きくなるような段差部が形成されており、この段差部によって軸受47の圧入深さを規定している。
圧入部22は、ケース50を構成する第1のケース構成部材51の第1の開口部56を閉止するように、第1の開口部56に圧入して固定されている。圧入深さ規定部23は、その径が第1のケース構成部材51の径よりも僅かに大きくなるように形成されており、圧入部22を圧入する工程において、圧入の完了する位置を規定するために形成されたものである。逆コニカル部24は、プランジャ40側に突出するように形成されている。また、逆コニカル部24の外周面は円筒形状である一方、内周面は凹型円錐台状面25、つまり、凹陥したコニカル形状に形成されている。凹型円錐台状面25の中心軸方向における傾斜角は、プランジャ40のコニカル部42の凸型円錐台状面43の傾斜角と同じであり、いわゆるコニカル型ソレノイドとしての特性が得られる。なお、軸受支持部21の外径及び中心軸方向における長さ、並びに、圧入部22、圧入深さ規定部23及び逆コニカル部24の中心軸方向における長さは、適宜変更可能であり、さらに、貫通孔26に段差部を形成せず、貫通孔26の全体にわたって非常に長い軸受が圧入されるようにしてもよい。
蓋部材27は、磁性材から形成されて磁路の一部となると共に、ケース50を構成する第2のケース構成部材52の第2の開口部57を閉止する蓋として、第2の開口部57に圧入して固定されている。また、第2の開口部57に圧入する工程において、圧入の完了する位置を規定するために圧入深さ規定部28が形成されている。さらに、蓋部材27は、その中央に中心軸に沿って延びる貫通孔29が形成されており、プランジャ40の基体部41が挿通されている。なお、貫通孔29とプランジャ40の基体部41との間隙は、できる限り小さくすることが望ましく、例えば、基体部41と補助磁極15の内周面16との間隙が1.2mmである場合、貫通孔29と基体部41との間隙は0.4mm、あるいは、これ以下とすることが望ましい。すなわち、本発明では補助磁極周辺の間隙が磁路のボトルネックになるようにする必要があるが、貫通孔29と基体部41との間隙が大きいと、補助磁極周辺の間隙が磁路のボトルネックとして作用せず、本発明の効果が低減する場合があることによる。
ケース50は、中心軸方向に分割された第1のケース構成部材51と第2のケース構成部材52とによって構成されており、互いの中心軸が一致するように補助磁極15を圧入することによって接続されている。したがって、第1のケース構成部材51と第2のケース構成部材52との境界面53は、補助磁極15の外周側に位置することになるので、境界面53からの塵埃の進入は補助磁極15によって防止される。なお、第2のケース構成部材52に対しては、第1のコイル30及び第2のコイル31に接続されたリード線を外部に導出するための小孔が形成されるが、記載を省略する。
第1のコイル30と第2のコイル31とは、互いのアンペアターン(AT:アンペア回数)が等しくなるように、コイルワイヤを第1のコイルボビン32と第2のコイルボビン33とにそれぞれ同じターン数となるように巻回して形成されている。なお、例えば、コイルワイヤとリード線とを結線するための空間を確保するなどの理由から、第1のコイル30と第2のコイル31とのアンペアターンが僅かに相違していても、後述する本発明の効果は一定程度得られるが、2つのコイルのアンペアターンは等しいことが望ましい。第1のコイルボビン32と第2のコイルボビン33とは、第1のケース構成部材51と第2のケース構成部材52との内部にそれぞれ配置されている。また、第1のコイルボビン32はベース20の圧入部22と補助磁極15とによって挟持され、第2のコイルボビン33は補助磁極15と蓋部材27とによって挟持されているので、それぞれ所定の位置に強固に保持されている。
プランジャ40は、第1のコイル30及び第2のコイル31に挿通されると共に、先端側、つまり、ケース50の第1のケース構成部材51の第1の開口部56側となるコニカル部42が先端側に向かって漸次縮径する略円錐台状に形成されている。また、コニカル部42よりも基端寄りである基体部41が円柱状に形成されている。基体部41は、非常に長いストローク長に対応するために、中心軸方向においてケース50に近い長さに形成されている。なお、中心軸に近い部分にほとんど磁束が生成されないので、円筒状に形成してもよい。コニカル部42は、コニカル型の特性を得るために外周面を凸型円錐台状面43としている。前述のように、プランジャ40はストローク長が長いので、コニカル部42と基体部41との境界部分が第2のコイル31の中間近傍となる位置から第1のコイル30の中間近傍となる位置までの広い範囲を摺動する。
また、コニカル部42の先端面には、シャフト46を圧入して固定するために、シャフト固定用孔44が形成されている。また、基体部41は、基端側で、かつ、プランジャ40がいずれの位置にあっても蓋部材27の貫通孔29の内部に進入しない部位に環状溝45が形成されている。環状溝45には、止め輪48が固定されており、さらに、基体部41に挿通されると共に、止め輪48と蓋部材27との間に介在するように配置された緩衝輪49が設けられている。止め輪48は、第1のコイル30及び第2のコイル31への通電によってプランジャ40がベース20に非常に接近したときに、緩衝輪49に突き当たることによって摺動が停止するようになされている。言い換えれば、止め輪48は、コニカル部42が凹型円錐台状面25に突き当たることによって、コニカル部42が凹型円錐台状面25にはまり込んで離脱できなくなることを防止するために、凸型円錐台状面43が凹型円錐台状面25に接触する前に停止させるものである。また、緩衝輪49は、衝撃を吸収し、衝突音を低減するために設けられている。
なお、凸型円錐台状面43とベース20の凹型円錐台状面25は、推力特性を調整するために円錐台状面の基端側又は途中に非常に幅が狭い段差面を形成してもよい。また、円錐台状面を形成する領域を数段又はそれ以上の段数の階段状に形成し、全体として円錐台状面に近似した形状にしてもよい。さらに、プランジャ40に対して接続されるシャフト46に代えて、プッシャや、弁体への連結棒などを設けても良い。
続けて、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(1)である。また、図4は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(2)である。さらに、図5は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(3)である。くわえて、図6は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(4)である。また、図7は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのコイルへの通電手順と磁束の状態を示す説明図(5)である。図3乃至図7において用いた符号は、すべて図1と同じものを示す。さらに、図8は、本発明の第1の実施の形態に即した実施例における磁束密度の解析結果を示す説明図である。くわえて、図9は、第1の実施の形態に即した実施例と比較例との推力を比較したグラフである。また、図10は、第1の実施の形態に即した実施例の推力の特徴を比較したグラフである。なお、図3乃至図7に記載した磁束は、磁束密度が高い主要な流れを示したものであり、磁束密度が非常に低い磁束はその記載を省略している。また、図9及び図10において、横軸の「ストローク」は、プランジャ40とベースとの距離(間隙)を示している。
前述のように、第1のコイル30及び第2のコイル31に通電していないときには、プランジャ40は、プランジャ40が蓋部材27から大きく突出して図2に示すところに位置している。本発明では、この状態からプランジャ40を摺動させるために、まず第2のコイル31にのみ通電する。第2のコイル31にのみ通電すると、図3に示すように、プランジャ40から補助磁極15、ケース50、蓋部材27を経由してプランジャに戻る磁束が生成される。この磁束によって、プランジャ40のコニカル部42が補助磁極15に吸引される推力が生成される。この推力によって、プランジャ40が中心軸方向においてプランジャ40のコニカル部42と基体部41との境界部分が補助磁極15の位置まで摺動すると、図4に示すように、基体部41の外周面と補助磁極15の内周面16とが対向した状態になる。そうすると、基体部41の外周面と補助磁極15の内周面16との間にも磁束が生成されるが、この磁束は中心軸に対して直交する又はほぼ直交する方向の流れになるので、プランジャ40の推力にはほとんど寄与しない。
そこで、本発明では、プランジャ40の基体部41の外周面と補助磁極15の内周面16とが対向したときに、第1のコイル30と第2のコイル31との両方に通電する。そうすると、第1のコイル30に通電したことによって、プランジャ40から、ベース20、ケース50、補助磁極15を経由してプランジャ40に戻る磁束が生成される。第1のコイル30によって生成された磁束と第2のコイル31によって生成された磁束とは、これらのコイルのアンペアターンが等しく又はほぼ等しくなされているので、生成される磁界の強さも等しく又はほぼ等しくなる。また、第1のコイル30によって生成された磁束と第2のコイル31によって生成された磁束とは、プランジャ40において同じ方向、つまり、図5に示すように、プランジャ40の基端側から先端側に向かって流れる。
しかし、補助磁極15における磁束は、互いに逆方向となる。逆方向の磁束は互いに打ち消し合うことになるので、補助磁極15には実質的に磁束が流れない又はほとんど流れない状態になる。ひいては、プランジャ40の基体部41の外周面と補助磁極15の内周面16との間に、実質的に磁束が流れない又はほとんど流れないので、プランジャ40を摺動方向でなく補助磁極15に向かって吸引するサイドフォースを生じない又はほとんど生じないことになる。このサイドフォースは、例えば、プランジャ40に接続されたシャフト46を軸受47のいずれかの部分に強く押し付けて、無用な摩擦抵抗を生じる。本発明では、このような摩擦抵抗をほとんど生じないので、摩擦抵抗による推力の低下を相当に低減することが可能となる。
さらに、補助磁極15において、2方向の磁束の強さに僅かな差があって、打ち消されずにいずれかの方向への磁束が残ったとしても、プランジャ40から、ベース20、ケース50、蓋部材27を経由してプランジャ40に流れる磁束と比較すると、無視しても問題のない程度の僅かなものであり、新たな課題になるようなものではない。プランジャ40がさらに摺動して、図6に示すところまで進むと、第1のコイル30と第2のコイル31とによって生成された磁束は、実質的に補助磁極15を経由しない一方、プランジャ40とベース20とに流れるので、推力の低下は緩やかなとなる。最後には、図7に示すように、止め輪48が緩衝輪49に突き当たって、プランジャ40の摺動が停止する。なお、特に図示しないが、第1のコイル30及び第2のコイル31との通電、非通電の切り替えは、例えば、タイマによって第1のコイル30と第2のコイル31との通電開始時間に差を設ける方法や、ソレノイド10の周辺に設けた磁気センサ利用した検出回路によって、プランジャ40の位置を検出し、プランジャ40が第1のコイル30に通電すべき位置に達したときに、制御回路によって通電する第1のコイル30に方法などがある。
ところで、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10では、プランジャ40の摺動開始時に第2のコイル31のみが通電され、プランジャ40の中心軸方向においてプランジャ40のコニカル部42と基体部41との境界部分が補助磁極15を配置した位置まで到達したときに第1のコイル30と第2のコイル31とに通電されるようになされている。このような構成は、例えばソレノイド10に対する負荷の大きさがソレノイド10の動作するごとに変化する場合や、プランジャ40の摺動位置を検出するセンサを設けることができない場合には、採用することが困難になる場合がある。なぜならば、コニカル部42と基体部41との境界部分が補助磁極15を配置した位置まで到達した瞬間を予測、又は、検出することができないので、第1のコイル30及び第2のコイル31を通電するタイミングが得られないからである。実は、このタイミングが得られない環境下で使用されることも多く、上述の通電手順以外の手順も必要となる。そこで、ソレノイド10に対する負荷の大きさがソレノイド10の動作するごとに変化する場合や、プランジャ40の摺動位置を検出するセンサを設けることができない場合には、プランジャ40の摺動開始時に第1のコイル30と第2のコイル31に同時に通電するようにすることが望ましい。すなわち、第1のコイル30と第2のコイル31に同時に通電すると、消費電力が大きくなるが、プランジャ40が図6に示すところまで進んだときに、第1のコイル30と第2のコイル31とによって生成された磁束が実質的に補助磁極15を経由しないという作用は得られる。また、例えば、プランジャ40の摺動開始時の衝撃音を低減するために、第1のコイル30と第2のコイル31とに同時に通電を開始するではなく、第1のコイル30への通電開始を僅かに遅らせてもよい。
以上のような本発明の効果は、図8からも確認できる。図8は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10に相当する実施例(解析モデル)における磁束密度の変化を線の間隔で示したものであり、(1)から(4)までプランジャの各摺動位置における磁束密度を解析している。この実施例では、第1のコイル30と第2のコイル31とに同時通電する構成としている。特に注目すべきは、(3)及び(4)であり、第1のコイルに通電してから、補助磁極を経由する磁束が非常に少ないことが分かる。また、図9は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10に相当する実施例と、この実施例から補助磁極のみを除去した比較例との推力を比較した実験結果である。ストローク長を20mmとし、図9から分かるように、プランジャの作動範囲の開始点の20mmからプランジャが補助磁極を通過するプランジャの作動範囲の中央点付近を越えるまで、補助磁極のない比較例よりも推力が明らかに向上していることが分かる。また、プランジャの先端がプランジャの作動範囲の中央点付近を通過してからプランジャの作動範囲の最終点までは、比較例より推力は劣るもののその差はわずかで、実用上無視できる程度であり、第1のコイル30と第2のコイル31とによる補助磁極の打消し作用が有効に機能していることが分かる。よって、この実施例は、補助磁極がない比較例よりも推力が明らかに向上していることが分かる。
さらに、本発明の効果は、図10からも明確に理解できる。図10において、「第1のコイルのみ」と記載された折れ線は、第1のコイル30のみに通電してプランジャ40を摺動させたときの推力を示している。また、「第2のコイルのみ」と記載された折れ線は、第2のコイル31のみに通電してプランジャ40を摺動させたときの推力を示している。さらに、「第1のコイル+第2のコイル」は、「第1のコイルのみ」の推力と「第2のコイルのみ」の推力を加算したものである。「本発明の実施例」における推力を示す折れ線は、「第1のコイルのみ」の推力と「第2のコイルのみ」の推力を加算した折れ線よりも明らかに推力が大きく、特に、プランジャ40の先端が補助磁極を越えたプランジャの作動範囲の中央点付近からプランジャの作動範囲の最終点の0mmまでの区間では、その差が大きく現れている。したがって、いずれかのコイルに単独通電した場合に比較して、第1のコイルと第2のコイルとによって生成される磁束が推力に対して極めて顕著に寄与していることが分かる。言い換えると、本発明によれば、補助磁極15を上述のような構成にしたことによって、第1のコイル30と第2のコイル31とに対して個別に通電したときに発生する推力の和を大きく超えた、想定できないような推力が得られる。
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10においては、プランジャ40が摺動開始位置からストローク全体の半分又はほぼ半分の位置までを摺動しているときには、第2のコイルのみ31によって推力が生成されるが、ストローク全体の半分又はほぼ半分の位置から摺動終了位置までを摺動しているときには、第1のコイル30と第2のコイル31とによって推力が生成されるので、プランジャ40が摺動し終わる位置に至るまで十分な推力が得られる。さらに、プランジャ40を中心軸に直行する方向に引っ張る力、つまり、推力に寄与しない余分な力があまり生成されない。また、ベース20のうち、ケース50の外部にある部分は、負荷装置への接続のためにプランジャ40の中心軸方向に沿って大きく突出させることが多いので、貫通孔26も長いものとなる。したがって、長いストローク長に対応した長い軸受を圧入して固定することが容易に実現できる。さらに、補助磁極17は、第1のケース構成部材51の第2の開口部58と第2のケース構成部材52の第1の開口部59とに対して圧入するので、補助磁極15を略円筒状の長いケースの中間位置まで圧入するという困難性の高い作業を行わずにソレノイド10の組立を実行できる。くわえて、プランジャ40やベース20、補助磁極15を複雑な形状に加工する必要もなく、低コストで製造することができる。
続けて、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドの通電状態における断面図である。図11において、11はソレノイド、17は補助磁極、19は内周面、55はケース、60は第1の開口部、61は第2の開口部であり、その他の符号は図1と同じものを示す。また、図13は、本発明の第2の実施の形態に係る補助磁極を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。図13において、18は切れ目であり、その他の符号は図1と同じものを示す。
本発明の第2の実施の形態に係るソレノイド11は、補助磁極17及びケース55が第1の実施の形態に係るソレノイド10と異なっている。すなわち、補助磁極17は、図13(a)及び(c)に示すように、切れ目18を設けて略C字板状に形成している。また、ケース55は、図11に示すように、中心軸方向に分割されていない。したがって、補助磁極17はケース55の中間又はその近傍まで深く圧入して固定することになるが、切れ目18の部分が狭くなるように補助磁極17全体が撓むので、ケース55に容易に圧入できる。また、ケース55の第1の開口部60にはベース20が圧入され、第2の開口部61には蓋部材27が圧入される。以上に説明していない各部の構成は、ソレノイド10と同じである。
ソレノイド11は、補助磁極17を略C字板状に形成したことによって、ケース55に容易に圧入できる上に、部品点数を削減することができる。なお、ソレノイド10では、補助磁極15を第1のケース構成部材51及び第2のケース構成部材52に対して強固に固定しているので、外部からの衝撃に特に強い構造となっているが、補助磁極17は補助磁極15ほど強固に固定されていないので、外部からの衝撃があまり大きくない用途に好適と言える。なお、ソレノイド10の補助磁極15と同様に、補助磁極17とケース55とが密着している必要はないので、例えば、補助磁極17をケース55に対して手作業で簡単に挿入できるような径にしてもよい。この場合、補助磁極17は、第1のコイルボビン32と第2のコイルボビン33とによって所定位置に保持されるようにする。
さらに、本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。図14は、本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドの通電状態における断面図である。図14において、12はソレノイド、34はベース、35は軸受支持部、36は圧入部、37は圧入深さ規定部、38は円環状突出部、39は貫通孔、64はプランジャ、65は基体部、66は円環状突出部、67はシャフト固定用孔、68は先端面、69は環状溝であり、その他の符号は図1及び図11と同じものを示す。
本発明の第3の実施の形態に係るソレノイド12は、プランジャ64とベース34とをいわゆるフラット型に近い形状にしたものである。すなわち、プランジャ64は、コニカル部を設けず、先端面68の周辺領域を中心軸に対して直交する平坦面とし、先端面68の中央に円環状突出部66を設けている。円環状突出部66は、先端面68を完全な平坦面とせず、ベース34に対応する凸部を設けることによって、推力特性を改善するために設けている。シャフト固定用孔67は、シャフト46を圧入して固定するためのものである。なお、基体部65及び環状溝69は、ソレノイド11の基体部41及び環状溝45と同じ形状である。また、ベース34は、円環状突出部66に対向するように38は円環状突出部38を形成し、中央の凹陥部に円環状突出部66が進入可能な形状に形成されている。なお、ベース34の軸受支持部35、圧入部36、圧入深さ規定部37及び貫通孔39は、ソレノイド10の軸受支持部21、圧入部22、圧入深さ規定部23及び貫通孔26と同じ形状である。また、これら以外の構成は、ソレノイド11と同じである。
以上の構成を有するソレノイド12において、第1のコイル30及び第2のコイル31に同時通電する、又は、前述のように第2のコイル31と第1のコイル30との順に通電することによって、プランジャ64の先端面68、つまり、中心軸方向において基体部65のケース55の第1の開口部60側の端部が補助磁極17を配置した位置に到達したときに、補助磁極において第1のコイルと第2のコイルとによって生成される2つの磁束は相殺又はほぼ相殺されるという作用が得られる。したがって、フラット型に近いソレノイド12においても、補助磁極17が本発明の第1又は第2の実施の形態に係るソレノイドと同様に作用して、プランジャ64に対して中心軸に直行する方向に引っ張る力があまり加わらないという効果がある。
ところで、直動型のソレノイドにおいては、ベースを設けず、プランジャがケースから大きく突出するような構成にしたものも少なくない。本発明においては、このようにベースを設けないソレノイドにおいても好ましく適用できる。図15は、本発明の第3の実施の形態に即した実施例における磁束密度の解析結果を示す説明図である。図15において、62はプランジャ近傍磁極群、63はプランジャを示す。本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドおいては、図15に示すように、プランジャ近傍磁極群62の中にベースが存在しない、つまり、ベースを設けていない。したがって、プランジャ63は、図示していない2つのコイルに通電したときに、プランジャ近傍磁極群62の下方に大きく突出する。このように構成したソレノイドにおいても、補助磁極が本発明の第1又は第2の実施の形態に係るソレノイドと同様に作用して、プランジャに対して中心軸に直行する方向に引っ張る力があまり加わらないという効果がある。
本発明は以上に説明した内容に限定されるものではなく、例えば、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10において、補助磁極15を半円環板状の2つの構成部材からなるものとし、第1のコイルボビン32と第2のコイルボビン33とを、補助磁極15とプランジャ40との間隙となる空間において接続された一体のコイルボビンとし、このコイルボビンの側方から15を2つの補助磁極の構成部材をはめ込み、さらに2つの補助磁極の構成部材を接着剤で一体とする、あるいは、2つの補助磁極の構成部材に互いに嵌合可能な部分を形成しておき、2つの補助磁極の構成部材をコイルボビン越しに嵌合する、別の例として、特殊な推力特性を得るために、第1のコイル30と第2のコイル31とのアンペアターンに多少の差を設けると共に、第1のコイルボビン32と第2のコイルボビン33との中心軸方向における長さに大きな差を設けるなど、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々の構成にすることが可能である。
10 ソレノイド
11 ソレノイド
12 ソレノイド
14 プランジャ近傍磁極群
15 補助磁極
16 内周面
17 補助磁極
18 切れ目
19 内周面
20 ベース
21 軸受支持部
22 圧入部
23 圧入深さ規定部
24 逆コニカル部
25 凹型円錐台状面
26 貫通孔
27 蓋部材
28 圧入深さ規定部
29 貫通孔
30 第1のコイル
31 第2のコイル
32 第1のコイルボビン
33 第2のコイルボビン
34 ベース
35 軸受支持部
36 圧入部
37 圧入深さ規定部
38 円環状突出部
39 貫通孔
40 プランジャ
41 基体部
42 コニカル部
43 凸型円錐台状面
44 シャフト固定用孔
45 環状溝
46 シャフト
47 軸受
48 止め輪
49 緩衝輪
50 ケース
51 第1のケース構成部材
52 第2のケース構成部材
53 境界面
55 ケース
56 第1の開口部
57 第2の開口部
58 第2の開口部
59 第1の開口部
60 第1の開口部
61 第2の開口部
62 プランジャ近傍磁極群
63 プランジャ
64 プランジャ
65 基体部
66 円環状突出部
67 シャフト固定用孔
68 先端面
69 環状溝
70 ソレノイド
71 ベース
72 軸受支持部
73 圧入部
74 補助磁極部
75 小径円柱状面
76 凹型円錐台状面
77 大径円柱状面
78 プランジャ
79 円錐台状部
80 小径部
81 大径部
82 凸型円錐台状面
83 ケース
84 蓋部材
85 コイル
86 コイルボビン
87 シャフト
88 軸受

Claims (5)

  1. 磁性材から、かつ、略円筒形状に形成されると共に、第1の開口部及び第2の開口部を備えたケースと、
    前記ケースの内部に、かつ、前記第1の開口部に近い位置に配置されると共に、略円筒形状に形成された第1のコイルと、
    前記ケースの内部に、かつ、前記第2の開口部に近い位置に配置されると共に、略円筒形状に形成された第2のコイルと、
    前記ケースの内部に、かつ、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に介在するように配置された補助磁極と、
    前記第1のコイル及び前記第2のコイルに挿通されると共に、略円柱形状又は略円筒形状に形成された基体部を備えたプランジャと、
    前記ケースの前記第2の開口部を閉止するように設けられると共に、中央に前記プランジャの前記基体部を挿通した貫通孔が形成された蓋部材を有し、
    前記プランジャは、中心軸方向において、前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側の端部が前記第2のコイルの中間又はその近傍となる位置から前記第1のコイルの中間又はその近傍となる位置までの範囲を摺動可能になされ、
    前記蓋部材は、前記貫通孔の周辺部分と前記プランジャの前記基体部との間隙が前記補助磁極と前記プランジャの前記基体部との間隙よりも小さくなるように設けられ、
    前記第1のコイルと前記第2のコイルとは、アンペアターンが等しく、又は、ほぼ等しくなされると共に、前記プランジャの摺動開始時に前記第2のコイルのみが通電され、前記中心軸方向において前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側の端部が前記補助磁極を配置した位置に到達したときに前記第1のコイルと前記第2のコイルとに通電されるようになされた、又は、前記プランジャの摺動開始時に前記第1のコイルと前記第2のコイルとが同時に、若しくは、ほぼ同時に通電されるようになされたことを特徴とするソレノイド。
  2. 前記プランジャは、前記基体部の前記ケースの前記第1の開口部側に設けられると共に、前記ケースの前記第1の開口部側に向って突出した略円錐台状に形成されたコニカル部をさらに備え、
    前記ケースの前記第1の開口部を閉止するように設けられると共に、前記プランジャの前記コニカル部に対向した凹状の略円錐台状面が形成された逆コニカル部を備えたベースをさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
  3. 前記ベースは、中央に前記中心軸方向に延びる貫通孔が形成され、
    前記ベースの前記貫通孔の内部に設けられた軸受と、
    前記プランジャに接続されると共に、前記軸受に支持されて摺動するシャフトとをさらに有していることを特徴とする請求項2に記載のソレノイド。
  4. 前記ケースは、略円筒形状に形成されると共に、第1の開口部及び第2の開口部を備えた第1のケース構成部材及び第2のケース構成部材からなり、
    前記ベースは、前記ケースの前記第1のケース構成部材の前記第1の開口部を閉止するように設けられ、
    前記蓋部材は、前記ケースの前記第2のケース構成部材の前記第2の開口部を閉止するように設けられ、
    前記補助磁極は、略円環板状に形成されると共に、前記ケースの前記第1のケース構成部材の前記第2の開口部と、前記ケースの前記第2のケース構成部材の前記第1の開口部とに対して挿入された状態で固定されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のソレノイド。
  5. 前記補助磁極は、略C字板状に形成されると共に、前記ケースの中間又はその近傍となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のソレノイド。
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