JP3135621U - 建築物の外壁構造および通気層形成用下地材 - Google Patents

建築物の外壁構造および通気層形成用下地材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久寿命に優れる外壁構造を低コストに提供する。
【解決手段】建築物の外壁構造は、躯体1の外壁面に取り付けた第1防水シート3と、多数の凸部4a1を第1防水シート3側の表面に有し、第1防水シート3の外面側に設けた樹脂板4と、樹脂板4の外面側に設けたラス網5と、ラス網5に塗工したモルタル層7とを有する。外壁内部には、隣接する凸部4a1間に、上下左右方向に延びる通気層6が形成されている。ラス網5は、いわゆる平ラスである。
【選択図】図1

Description

本考案は、建築物の外壁構造、および外壁内に通気層を形成する下地材に関する。
近年、建築物の高気密・高断熱化に伴って、特に木質系建築物の外壁内部に結露(いわゆる内部結露)が発生するため、この内部結露の発生を抑制あるいは防止すべく、外壁内部に通気層を形成するのが通例となっている。
図4に公知の外壁構造を示す。同図に示す外壁構造は、所定間隔で設けられた複数の柱(間柱)101、および柱101の外面側に取り付けられた野地板(パネル)102からなる躯体103と、パネル102の外壁面に、平面視で、柱101と重ならない位置に所定間隔で取り付けられた支持部材としての縦胴縁104と、縦胴縁104の外面に、例えばステープル等、図示しない適宜の手段で防水シート(防水紙)105を介して取り付けられたラス網106と、該ラス網106に塗工されたモルタル層107とからなるものである。かかる外壁構造では、躯体103(パネル102)とモルタル層107との間に設けられた縦胴縁104間に通気層108が形成される(例えば、特許文献1参照)。
特許3825771号公報
上記の外壁構造では、ラス網106がパネル102の外面に間欠的に取り付けられた縦胴縁104で支持されるため、ラス網106自体が低強度(低剛性)であると、縦胴縁104のない部分、すなわち通気層108の形成部分において、ラス網106と一体化されたモルタル層107が外壁面と直行する方向(内外方向)に変位する場合がある。かかる内外方向の変位は、モルタル層107にクラック(ひび割れ)を生じさせ、外壁の耐久寿命を低下させる一因となる。そのため、図4に示す外壁構造で使用可能なラス網106は、所定間隔で上下あるいは左右方向に延在するリブを有し、JIS A5505に規定のラス網中で最も高強度な、いわゆる「リブラス」に限定される。しかしながら、リブラスは一般に高価であるから、コスト高が避けられないものとなる。また、上記構造では、モルタル層107を均一の厚みに塗工するのが難しく、この厚みの不均一がクラックの発生を助長するおそれもある。
また、上記の外壁構造の場合には躯体103を組み立てた後、ラス網106の取り付け工程およびモルタル層107の塗工工程(いわゆる左官工事)前に縦胴縁104の取り付け工程、すなわち更なる大工工事が別途必要となる。そのため、スムーズに左官工事に移行することができず、建築期間の長大化や工事コストの増大が避けられないものとなっている。
本考案の第1の課題は、低コストかつ耐久寿命に優れる外壁構造を提供することにある。また、本考案の第2の課題は、前記の外壁構造を構築するに際し、外壁工事期間の短縮や工事コストの低廉化を実現し得る下地材を提供することにある。
上記第1の課題を解決するため、本考案では、建築物の躯体外壁面に取り付けた第1防水シートと、多数の凸部を第1防水シート側の表面に有し、第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、樹脂板の外面側に設けたラス網と、ラス網に塗工したモルタル層と、を有することを特徴とする建築物の外壁構造を提供する。なお、本考案でいう防水シートは、防水性を有するシート状の部材を意図したものであり、防水紙の他、アスファルトフェルト等も含まれる。
上記の本考案にかかる外壁構造では、樹脂板が多数の凸部を第1防水シート側の表面に有するものであるから、隣接する凸部間に通気層を形成することができる。そのため、樹脂板は、躯体(パネル)外壁面の全面に亘って設けることができる。かかる構造であれば、ラス網の内面側全面を樹脂板さらにはパネルで支持することができるため、ラス網が局所的に内外方向に変位することはない。従って、上記本考案の構成であれば、ラス網として、いわゆる平ラスを使用することができ、外壁構造の低コスト化を図りつつも、必要十分な強度を有する外壁構造とすることができる。また、上記構成とすることにより、モルタル層を均一厚みに塗工することが容易になり、モルタル厚みの不均一に起因した外壁の耐久寿命の低下を抑制することが可能となる。さらに、樹脂板を躯体外壁面の全面に亘って設けることができるから、防水性を高めることもできる。
上記凸部は、樹脂板に中空気泡として一体形成することができる。かかる構成とすれば、断熱性を高めることができる他、凸部が緩衝部として機能するため、外壁の耐振動性(耐衝撃性)も高めることができる。
また、上記第1の課題を解決するため、さらに本考案では、建築物の躯体外壁面に取り付けた第1防水シートと、内部に通気路を有し、第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、樹脂板の外面側に設けたラス網と、ラス網に塗工したモルタル層と、を有することを特徴とする建築物の外壁構造を提供する。
かかる構成とすることにより、樹脂板の内部で通気層を形成することができるから、上述した構成と同様に、樹脂板は、躯体の外壁面全面に亘って設けることができる。そのため、かかる構成としても上述した構成と同様の作用効果を奏することができる。
上述した外壁構造の構成において、樹脂板とラス網との間に第2防水シートを設けることもできる。かかる構成とすることによって一層防水性を高めることができ、外壁の耐久寿命を一層増大させることが可能となる。
また、上記第2の課題を解決するため、本考案では、建築物の外壁内に通気層を形成する下地材であって、建築物の躯体外壁面に取り付けられる第1防水シートと、多数の凸部を第1防水シート側の表面に有し、第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、樹脂板の外面側に設けたラス網とを一体化してなることを特徴とする下地材を提供する。
上記のように、本願考案にかかる下地材は、第1防水シートと、多数の凸部を有する樹脂板と、ラス網とが一体化されたユニット構造をなすものである。従って、躯体の完成後、下地材を取り付ける1工程を経るだけでモルタル塗工工程(左官工事)に移行することができる。これにより、上述した外壁構造を構築するに際し、上記の各部材を順番に取り付ける場合に比べ、工事期間の短縮や工事コストの低廉化を実現することが可能となる。
樹脂板の凸部は、樹脂板に中空気泡として一体形成することができる。
また、上記第2の課題を解決するため、さらに本考案では、建築物の外壁内に通気層を形成する下地材であって、建築物の躯体外壁面に取り付けられる第1防水シートと、内部に通気路を有し、第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、樹脂板の外面側に設けたラス網とを一体化してなることを特徴とする下地材を提供する。
上述した下地材の構成において、樹脂板とラス網との間に、第2防水シートを設けることができる。
以上より、本考案によれば、低コストかつ耐久寿命に優れる外壁構造を提供することができる。
また、本考案にかかる下地材であれば、低コストかつ耐久寿命に優れる外壁を施工するに際して、工事期間の短縮や工事コストの低廉化を図ることができる。
以下、本考案の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本考案にかかる建築物の外壁構造を概念的に示す断面図である。同図に示す外壁構造は、主に木質系家屋の外壁構造として採用されるものであり、所定間隔で設けられた柱(間柱)1a、および柱1aの外面側に取り付けられたパネル1bからなる躯体1と、パネル1bの外壁面に図示しないタッカーやステープル等の留め付け具によって取り付けられ、外壁内部に通気層6を形成する下地材2と、下地材2の外面に塗工されたモルタル層7とで構成される。隣接する柱1a間には、断熱材が介装されている。
下地材2は、図1(b)にも一部を拡大して示すように、防水シート(第1防水シート)3、第1防水シート3の外面側に設けた樹脂板4、および樹脂板4の外面側に設けたラス網5を、例えばステープル等の図示しない適宜の手段で一体化したものである。
第1防水シート3は防水性に加え、透湿性を有するものが好ましく、例えばターポリン紙等の防水紙の他、アスファルトフェルトを用いることができる。
ラス網5はメタルラスであり、好ましくは防錆処理されたものが用いられる。本実施形態ではラス網5として、JIS A 5505に規定の平ラスを用いている。ラス網5、すなわち下地材2のサイズは例えば600mm×1800mm程度であり、外壁施工時にはそのままの状態、あるいは適宜のサイズに切断されて用いられる。ラス網5の網目形状に特段の限定はなく、菱形、亀甲形等、公知の網目形状を採用することができる。また、網目サイズは、モルタル層7の保持性、施工現場での切断容易性等を考慮して適宜のサイズに設定される。
樹脂板4は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の樹脂材料を主原料として形成され、多数の凸部4a1を第1防水シート3側の表面に有するものである。具体的に述べると、樹脂板4は、凹凸状をなす第1シート4aと、第1シート4aの外面側(底部側)に設けた平坦な第2シート4bとを一体形成したものであり、従って、凸部4a1は中空気泡である。そして、隣接する凸部4a1間に、上下左右方向および斜め方向に延在する通気層6が形成される。
次に、上記の構成からなる建築物外壁の施工手順を説明する。
まず、躯体1(パネル1b)の外壁面に、第1防水シート3を当接させるようにして下地材2を取り付ける。下地材2の取り付けは、例えば、図示しないステープル等の留め付け具を70mm間隔で打ち付けることによって行われる。もちろん、留め付け具の打ち付け間隔は、要求される強度等に応じて任意の値に設定することができる。次いで、下地材2のラス網5上にモルタル塗工を行い、ラス網5を埋設するようにしてモルタル層7を形成する。なお、モルタル層7の外面には、モルタル層7に耐水性を付与するための耐水性塗料を塗布してもよい。
以上のようにして、上下左右方向さらには斜め方向に通気可能な通気層6を内部に有し、内部結露の発生を効果的に抑制あるいは防止可能な建築物の外壁構造が得られる。
上記のように、本考案にかかる外壁構造では、ラス網5が、躯体1(パネル1b)の外壁面全面に亘って設けられた樹脂板4の外面側に設けられ、ラス網5は、樹脂板4さらにはパネル1bで内面側全面を支持されるから、ラス網5が局所的に内外方向に変位することはない。従って、ラス網5として平ラスを使用し、外壁構造の低コスト化を図りつつも、必要十分な強度を有する外壁構造とすることができる。また、かかる構成とすることにより、モルタル層7を均一厚みに塗工することが容易になり、モルタル層7厚みの不均一に起因してクラックが発生し、外壁の耐久寿命が低下するのを抑制することが可能となる。さらに、パネル1bの外壁面の全面に亘って樹脂板4が設けられていることから、防水性を高めることもできる。
また、樹脂板4に設けた凸部4a1は中空気泡であるから、断熱性や耐振動性も高めることができる。
また、本実施形態において、下地材2は、第1防水シート3と、多数の凸部4a1を有する樹脂板4と、ラス網5とが一体化されたユニット構造をなすものである。従って、躯体1の完成後、下地材2を取り付ける1工程を経るだけでモルタル塗工工程(左官工事)に移行することができる。これにより、上述した外壁構造を構築するに際し、上記の各部材を順番に取り付ける場合に比べ、工事期間の短縮や工事コストの低廉化を実現することが可能となる。
図2は、本考案にかかる建築物の外壁構造の第2実施形態を示すものである。同図に示す構成が、図1(a)に示す第1実施形態と異なる主な点は、樹脂板4とラス網5との間に、第2防水シート8を設けた点にある。かかる構成とすれば、一層防水性を高めることができ、外壁の耐久寿命を一層高めることができる。なお、図示例において、第2防水シート8は、第1防水シート3、樹脂板4、およびラス網5と共に一体化された下地材12に設けられている。そのため、第2防水シート8を設けることによる外壁施工時のコスト増は生じない。これ以外の構成は、第1実施形態に準じるので、共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図3は、本考案にかかる建築物の外壁構造の第3実施形態を示すものである。同図に示す構成が、図1(a)に示す第1実施形態と異なる主な点は、樹脂板14が、内部に通気路16を有し、これにより外壁内に通気層6が形成される点にある。通気路16は、同図に示すように上下方向に延在するものの他、図1に示す構成と同様に、上下左右および斜め方向に延在するものとすることができる。後者の構成は、例えば、図1(b)に示す第2シート4bを第1シート4aの内面側(第1シート4aの頂上部側)に設けたものとすることによって、またあるいは、図1(b)に示す樹脂板4の構成に加えて、第1シート4aの内面側に、さらに平坦な第3シートを一体形成することによって得ることができる(図示省略)。また、図示は省略するが、図2に示す第2実施形態と同様に、樹脂板14とラス網5との間に第2防水シート8を設けることもできる。これ以外の構成は、上述した実施形態に準じるので、共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
以上では、下地材2のラス網5として、平ラスを用いた構成について説明を行ったが、ラス網5として、いわゆるコブラス、波型ラスを使用することもできる。かかる構成とすれば、平ラスを用いる場合に比べ若干コスト増は生じるものの、ラス網5の強度が高まる分、モルタル層7の厚みを厚くして断熱性を一層高めることが、また、外壁の耐久寿命を一層高めることができる。
以上、本考案の実施形態について説明を行ったが、本考案は前述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことである。本考案の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
(a)図は、本考案にかかる建築物の外壁構造および下地材の第1実施形態を示す断面図、(b)図は、(a)図に示す下地材の一部斜視図である。 本考案にかかる外壁構造および下地材の第2実施形態を示す断面図である。 本考案にかかる外壁構造および下地材の第3実施形態を示す断面図である。 従来構成の外壁構造の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 躯体
1a 柱
1b パネル
2,12,22 下地材
3 第1防水シート
4,14 樹脂板
4a 第1シート
4a1 凸部
4b 第2シート
5 ラス網
6 通気層
7 モルタル層
16 通気路

Claims (8)

  1. 建築物の躯体外壁面に取り付けた第1防水シートと、
    多数の凸部を前記第1防水シート側の表面に有し、前記第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、
    前記樹脂板の外面側に設けたラス網と、
    前記ラス網に塗工したモルタル層と、
    を有することを特徴とする建築物の外壁構造。
  2. 前記凸部を、前記樹脂板に中空気泡として一体形成したことを特徴とする請求項1に記載の建築物の外壁構造。
  3. 建築物の躯体外壁面に取り付けた第1防水シートと、
    内部に通気路を有し、前記第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、
    前記樹脂板の外面側に設けたラス網と、
    前記ラス網に塗工したモルタル層と、
    を有することを特徴とする建築物の外壁構造。
  4. 前記樹脂板と前記ラス網との間に第2防水シートを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の建築物の外壁構造。
  5. 建築物の外壁内に通気層を形成する下地材であって、
    建築物の躯体外壁面に取り付けられる第1防水シートと、多数の凸部を前記第1防水シート側の表面に有し、前記第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、前記樹脂板の外面側に設けたラス網とを一体化してなることを特徴とする下地材。
  6. 前記凸部を、前記樹脂板に中空気泡として一体形成したことを特徴とする請求項5に記載の下地材。
  7. 建築物の外壁内に通気層を形成する下地材であって、
    建築物の躯体外壁面に取り付けられる第1防水シートと、内部に通気路を有し、前記第1防水シートの外面側に設けた樹脂板と、前記樹脂板の外面側に設けたラス網とを一体化してなることを特徴とする下地材。
  8. 前記樹脂板と前記ラス網との間に、第2防水シートを設けたことを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の下地材。
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JP2021017753A (ja) * 2019-07-22 2021-02-15 株式会社Bio craft 通気壁用水切りを用いた通気壁構造、及びその施工法

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