JP3129669U - ラス網およびこれを用いた建築物の外壁構造 - Google Patents

ラス網およびこれを用いた建築物の外壁構造 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度でモルタルの付着性に優れ、かつ低コストなラス網を提供する。
【解決手段】網部2の網目形状が六角形状に形成されると共に、上下方向に沿って延在した複数の第1凸条3が型成形されたラス網1である。
【選択図】図1

Description

本考案は、ラス網およびこれを用いた建築物の外壁構造に関する。
木造軸組工法等で構築される建築物の外壁内には、モルタル層の保持力を高めることを目的として、また外壁の強度アップを目的としてラス網が組み込まれるのが通例である。ラス網としては、JIS A 5505に規定のメタルラス、JIS G 3351に規定のエキスパンドメタルなどが公知である。メタルラスとしては、平ラス、コブラス、波形ラス、リブラスなどがある。
ここで、外壁構造としては、例えば、柱や構造面材等からなる躯体外壁面に所定間隔で取り付けられた縦胴縁と、縦胴縁の外面に、例えばステープルやタッカー等の取り付け具で防水シートを介して取り付けられたラス網と、ラス網に塗工されたモルタル層とで構成されるものが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
特許3825771号公報
近年、建築物の耐震性向上を目的として外壁強度を高めることが求められ、また建築物の断熱性や防音性向上を目的として、モルタル層の厚みが増大する傾向にある。
外壁構造に組み込むラス網として平ラスを用いた場合、モルタルの付着性を高めることはできるものの、外壁強度を高める効果はさほど期待できない。また、コブラスや波形ラスを用いた場合、平ラスを用いた場合に比べて外壁強度を高めることは可能であるが、コブ部分や波部分等の盛り上がった部分とその他の部分との高低差が比較的大きいためにモルタル厚が不均一になり易く、かかるモルタル厚の不均一に起因してモルタル層にクラックが生じ易いという問題がある。
また、リブラスは、網部と、断面V字形状等をなす金属板で形成されたリブ部とが交互に配列された形態を呈するものであり、コブラス、波形ラスを用いる場合よりも外壁強度を高めることができる。しかしながらリブ部が金属板で形成されているために、当該リブ部におけるモルタルの付着性、すなわちモルタル層の保持力が低いという問題がある。また、リブラスは、網部とリブ部を交互に連結することにより製造されるため、コブラスや波形ラスを製造する場合に比べて製造工程の増加によるコスト増が避けられないものとなる。そのため、リブラスは一般に高価であり、外壁の施工コストが増大するという問題もある。
本考案は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高強度でモルタルの付着性に優れた低コストなラス網を提供し、これにより耐震性や断熱性に優れた外壁構造を低コストに構築可能とすることにある。
上記課題を解決するため、本考案では、建築物の外壁構造に用いられるラス網であって、網目を六角形状に形成すると共に、ラス網の上下方向に沿って複数の第1凸条を型成形したことを特徴とするラス網を提供する。
上記のように、網目を六角形状とすれば、網目を一般的な四角形状(菱形形状)とした場合に比べて、各網目のボンド点(接続部)を長くすることができるので強度が高まる。また、ラス網の上下方向に沿って複数の第1凸条を設けたことから、ラス網の強度は一層高まり、従って高強度な外壁構造を構築することができる。その一方で、第1凸条は網部に型成形されるから、リブラスのリブ部で問題となったモルタルの付着性低下を回避することができ、しかもかかる特徴を有するラス網が低コストに得られる。
六角形状の網目は、正六角形状とすることも可能であるが、第1凸条の長手方向に延在した長六角形状とするのが望ましい。かかる長六角形状とすることにより、正六角形状とした場合よりもボンド点を長くすることができ、一層強度を高めることができるからである。
上記構成のラス網には、第1凸条と交差するように、ラス網の左右方向に沿って複数の第2凸条を型成形することもできる。かかる構成とすれば、ラス網の強度およびモルタルの付着性をより一層高めることができる。また、第2凸条は型成形され、つまり第1凸条を型成形するのと同時に型成形することができるから、かかる高強度のラス網が低コストに得られる。
上記構成のラス網に外装材を塗工してなる外壁構造であれば、ラス網が上述した種々の特徴点を有するものであるから、モルタルの付着性および外壁の強度を同時に高めることができる。従って、断熱性や防音性、また耐震性を高めた外壁構造を構築することができ、しかも、この種の外壁構造を低コストに構築することが可能となる。
以上より、本考案によれば、高強度でモルタルの付着性に優れたラス網を低コストに提供することができる。従ってこのラス網を用いれば、断熱性や防音性、さらには耐震性に優れる外壁構造が低コストに構築可能となる。
以下、本考案の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)(b)は、本考案にかかるラス網1の一例を示すものである。同図に示すラス網1は網部2のみで構成され、常温引伸切断法で製造されたメタルラスである。ラス網1には、その上下方向(長辺方向)に沿って複数(図示例は3条)の第1凸条3が等間隔で形成されている。もちろん第1凸条3は、2条あるいは4条以上形成することもでき、さらに、各第1凸条3の離間距離も任意に設定することができる。これらは、要求品質に応じて任意に設定することができる。
網部2の形状(網目形状)は図2にも拡大して示すように、六角形状、より具体的には、網目が第1凸条3の長手方向に延在する長六角形状に形成されている。すなわち、網部2は、その長径方向(L)および短径方向(l)が、ラス網1の長辺方向および短辺方向とそれぞれ平行になるように形成されている。例えば、L×l=25mm×10mmとされる。
本実施形態では第1凸条3の断面形状が、図1(b)に示すように、略円弧状に形成されている。この第1凸条3は、例えば、第1凸条3の断面形状に対応した断面形状を有する金型を用いて、平ラスにプレス加工することにより型成形される。なお、第1凸条3の断面形状は円弧状に限定されるものではなく、V字形状等、その他任意の形状とすることができる(図示は省略)。
以上に示すように、本考案にかかるラス網1では網目形状が六角形状に形成されているので、網目形状を一般的な四角形状(菱形形状)とした場合に比べて各網目のボンド点を長くすることができ、その分強度を高めることができる。また、ラス網1の上下方向(長辺方向)に沿って複数の第1凸条3を設けたので、ラス網1の強度を一層高めることができる。なお、本実施形態では、網目形状を第1凸条3の長手方向に延在する長六角形状としたので、網目形状を正六角形とする場合よりもボンド点を長くすることができ、一層強度の高いラス網1とすることができる。従って、かかる構成のラス網1を用いれば外壁を高強度化することができ、耐震性に優れる外壁構造を構築することが可能となる。
一方、第1凸条3は、網部2のみからなるラス網1を型成形して得られるので、リブ部を金属板で形成したリブラスで問題となったモルタルの付着性低下を回避することができる。従って、モルタルを厚塗りすることが可能となり、断熱性や防音性に優れた外壁構造を構築することが可能となる。
また、リブラスにモルタルを塗工した場合には、網部とリブ部におけるモルタルの乾燥速度の相違に起因して、両部の境界部付近でクラックが生じ易くなるという問題もある。これに対して本考案にかかるラス網1を用いれば、リブ部に対応した第1凸条3が網部2で構成されていることから、かかる乾燥速度の相違に起因したクラックの発生を効果的に防止することが可能となる。
なお、第1凸条3は型成形されるので、リブラスを製造する際に問題となった製造工程の増大を招くことなく、上記種々の特徴を有するラス網1が低コストに得られる。
また、第1凸条3は網部2で構成されていることから、本考案にかかるラス網1は、第1凸条3に対応するリブ部を金属板で形成したリブラスに比べて軽量化される。従って、本考案にかかるラス網1であれば、外壁施工時の作業性を高めることもできる。
なお、図示例では第1凸条3をラス網1の長辺方向に沿って設けた構成としたが、第1凸条3は、ラス網1の短辺方向に沿って設けることもできる。
図3(a)(b)は、本発明にかかるラス網の第2実施形態を示すものである。同図に示すラス網11が、図1に示すラス網1と異なる主な点は、第1凸条3と交差するようにラス網11の左右方向に沿って複数の第2凸条4が型成形されている点にある。かかる構成とすれば、第1凸状3を型成形するのと同時に、第1凸条3と交差する第2凸条4が型成形されるから、特段のコスト増を生じることなく一層高強度かつモルタルの付着性に優れたラス網を得ることができる。なお、図示例では、第1凸条3および第2凸条4をそれぞれ3条ずつ設けた構成としているが、第1凸条3および第2凸条4の数は要求される強度等に応じて任意に設定することができる。これ以外の構成は、第1実施形態に準じるので、共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
以上の説明では、ラス網1,11を常温引伸切断法で製造されるメタルラスとしたが、ラス網1は、冷間切延法で製造されるエキスパンドメタルとしてもよい。
次に、建築物の外壁構造の一例を図4に示す。同図に示す外壁構造は、主に木質系家屋(木造軸組工法)の外壁構造として採用されるものであり、図1に示すラス網1を用いた外壁構造を概念的に示すものである。
同図に示す外壁構造は、建築物の躯体21と、躯体21の外壁面に取り付けられた防水紙等の防水シート22と、防水シート22の外面に所定間隔で複数取り付けられた支持部材(胴縁ともいう)23と、タッカー等の留め付け具によって支持部材23の外面に取り付けられたラス網1と、ラス網1に塗工されたモルタル層25とで構成される。なお図示は省略しているが、モルタル層25の外壁面には、樹脂やセラミックなどからなり、外壁に耐水性を付加する塗膜層が形成される場合もある。隣接する支持部材23間には通気層24が形成される。
上記の外壁構造に用いるラス網1は上述した種々の特徴を有するものであるから、モルタル層25を厚塗りして断熱性や防音性に優れた外壁構造となり、また、耐震性に優れた外壁構造となる。しかもこの外壁構造は低コストに得られる。
以上、本考案の実施形態について説明を行ったが、本考案は前述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことである。本考案の範囲は、実用新案登録請求の範囲によって示され、さらに実用新案登録請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
(a)図は、本考案の第1実施形態にかかるラス網の平面図、(b)図は(a)図の下面図である。 図1(a)の一部拡大図である。 (a)図は、本考案の第2実施形態にかかるラス網の平面図、(b)図は(a)図の側面図である。 本考案にかかるラス網を用いた建築物の外壁構造を概念的に示す断面図である。
符号の説明
1,11 ラス網
2 網部
3 第1凸条
4 第2凸条
21 躯体
25 モルタル層

Claims (4)

  1. 建築物の外壁内に組み込まれるラス網であって、
    網目を六角形状に形成すると共に、ラス網の上下方向に沿って複数の第1凸条を型成形したことを特徴とするラス網。
  2. 前記六角形状の網目を、前記第1凸条の長手方向に延在した長六角形状としたことを特徴とする請求項1に記載のラス網。
  3. 前記第1凸条と交差するようにラス網の左右方向に沿って複数の第2凸条を型成形したことを特徴とする請求項1又は2に記載のラス網。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のラス網に、モルタルを塗工してなる建築物の外壁構造。
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JPH0622474U (ja) * 1992-08-27 1994-03-25 トヨタ車体株式会社 ドア用ハンドル
JP2014043660A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Kajima Corp 網材構造体

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