JP3135414B2 - 高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シート - Google Patents

高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シート

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JP3135414B2 JP05099933A JP9993393A JP3135414B2 JP 3135414 B2 JP3135414 B2 JP 3135414B2 JP 05099933 A JP05099933 A JP 05099933A JP 9993393 A JP9993393 A JP 9993393A JP 3135414 B2 JP3135414 B2 JP 3135414B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、押出成形等によりシー
トあるいは、フィルム等として利用できる新規な高防湿
薬品包装用ポリマーアロイ多層シートに関するものであ
る。更に詳しくは外層と内層に相溶性に優れる特定の非
晶性ポリオレフィンと特定の高密度ポリエチレンとのポ
リマーアロイ、中間層に非晶性ポリオレフィンを組み合
わせることにより得られる、物性バランス及び外観、成
形性、防湿性、透明性、耐衝撃性、耐油性、耐薬品性に
優れた新規な高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シー
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】非晶性ポリオレフィンは、透明性、防湿
性、電気的性質、機械的強度、成形性、寸法安定性に優
れた特性を持っているが、非常に脆く、押出成形等によ
り作製したシートあるいはフィルムは、実用的には耐衝
撃性が不足しており、非晶性ポリオレフィンの特性を損
なわず強靭化することが望まれている。又、非晶性ポリ
オレフィンは、非晶性であるが故に耐油性が悪く、耐油
性を要求される食品等の用途に用いるには改良が必要で
ある。これらの欠点を改良の為、結晶性ポリマーとガラ
ス転移点の高いジシクロペンタジエンの開環重合体の水
素化物とを組み合わせた複合シートにする方法が特開平
4−272937号公報に例示されているが、この発明
の複合シートは耐衝撃性に優れるものの、成形性が悪く
防湿性に劣る結晶性樹脂がリッチなシートであり、又、
成形しにくいガラス転移点の高いジシクロペンタジエン
の開環重合体の水素化物を組み合わせおり、高防湿薬品
包装用シートとしては使用が困難なものであった。又、
非晶性ポリオレフィン(A)と高密度ポリエチレン
(B)とのポリマーアロイ複合シートでは、高密度ポリ
エチレンを用いるが故に透明性、防湿性が不足してい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、外層及び内
層が熱変形温度100℃以下の非晶性ポリオレフィンと
高密度ポリエチレンを配合したポリマーアロイ並びに中
間層が熱成形温度100℃以下の非晶性ポリオレフィン
にすることにより、成形加工性、剛性、耐傷付性、耐衝
撃性、耐油性、耐薬品性、耐水性、防湿性、透明性等の
物性のバランスがきわめて良好でかつ、フィルム、シー
ト等成形加工時の外観及び成形性の優れた新規な高防湿
薬品包装用ポリマーアロイ多層シートを提供することを
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、外層及び内層
が熱変形温度100℃以下の非晶性ポリオレフィン
(A)と高密度ポリエチレン(B)を配合したポリマー
アロイであり、中間層が非晶性ポリオレフィン(A)で
あることを特徴とする高防湿薬品包装用ポリマーアロイ
多層シートに関するものであり、好ましくは外層及び内
層が非晶性ポリオレフィン(A)と高密度ポリエチレン
(B)の配合比率が70重量%:30重量%〜40重量
%:60重量%並びに中間層が非晶性ポリオレフィンで
あり、高密度ポリエチレン(B)が密度0.940以上
であり、非晶性ポリオレフィン(A)がジシクロペンタ
ジエンとエチレン及び又はブタジエンとの共重合体の水
素添加物である高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シ
ートである。外層と内層のポリマーアロイは一般に、二
種以上の樹脂を組み合わせた場合に透明性良好なものを
得るために各々の樹脂の屈折率がほとんど同じものを選
ぶことと、分散粒子径をミクロに分散させることが考え
られる。本発明の場合は、外層と内層の樹脂としては屈
折率がほぼ同一で且つ防湿性、耐油性、耐薬品性が良好
であり、又同じポリオレフィン系樹脂のため相溶性に優
れる2種の樹脂を組み合わせ、中間層に成形性、防湿
性、透明性に優れる熱変形温度が100℃以下の非晶性
ポリオレフィン(A)を用いることによりはじめて成形
加工性、剛性、耐傷付性、耐衝撃性、防湿性、透明性、
耐油性、耐薬品性等の物性のバランスがきわめて良好で
かつ、フィルム、シート等成形加工時の外観及び成形性
の優れた新規な高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シ
ートが得られることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0005】本発明に、用いられる熱変形温度が100
℃以下の非晶性ポリオレフィン(A)とは、環状オレフ
ィン構造を有する重合体であり、その構造及び性質より
非晶性ポリオレフィンと言える。熱変形温度が100℃
以下の非晶性ポリオレフィンの例としては、下記の様な
物が挙げられる。例えば、一般式(1)で表されるジシ
クロペンタジエンの開環重合体またはその水添物があ
り、この開環重合体は、単量体としてジシクロペンタジ
エン又はその誘導体を使用し、環状オレフィンの公知の
開環重合法により製造することができる。また、この開
環重合体の水素添加物も通常の水素添加反応法を利用し
て得ることができる。本発明の場合、重合体単独でであ
っても良いが、ジシクロペンタジエンとエチレンやブタ
ジエンとの共重合体がより好ましい。
【0006】
【化1】
【0007】及びまた、一般式(2)または一般式
(3)で表される不飽和単量体からなる群から選ばれた
少なくとも一種の化合物等も挙げられる。これらは、シ
クロペンタジエン類と相応するオレフィン類、及び環状
オレフィン類とをディールス・アルダー反応で縮合させ
ることにより容易に製造される。(式中、n及びmはい
ずれも0もしくは正の整数であり、lは3以上の整数で
あり、R1 ないしR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原
子または炭素水素基を示す。)及びまた、一般式(4)
(式中、R1 は水素原子もしくはメチル基を示し、R2
はC1 〜C20の炭化水素基を示す。)及び(5)(R3
〜R6 は、水素原子またはR3 、R4 から構成されるC
1 〜C10のアルキリデン基を示す。)で表されるテトラ
シクロドデセン誘導体の開環重合体またはその水添物等
が挙げられる。及びまた、ノルボルナジエン類と、一般
式(6)(式中、R1 、R2 は、互いに独立して水素原
子、炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン化炭化水素基
またはハロゲン原子を示す。)で表されるスチレン誘導
体との共重合体である。上記の様なノルボルナジエン類
としては、無置換のノルボルナジエンまたは置換ノルボ
ルナジエンが用いられる。
【0008】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0009】具体的には、下記の様なノルボルナジエン
化合物が用いられる。ノルボルナジエン、5−メチルノ
ルボルナジエン、5−エチルノルボルナジエン、5−フ
ェニルノルボルナジエン、1−(または4−、または7
−)メチルノルボルナジエン、1−(または2−、また
は3−、または4−、または7−)ジメチルノルボルナ
ジエン。またスチレン誘導体としては、例えばスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、α−メチルスチレン、o−クロルスチレ
ン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、o−エ
チルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−クロロエチルスチレ
ン、p−メチル−α−メチルスチレンなどが用いられ
る。なお、これらは2種類以上の混合物としても使用で
きる。
【0010】本発明に、用いられる高密度ポリエチレン
(B)は、密度が0.94〜0.98(g/ml)のものであり、そ
の中でも0.96〜0.98(g/ml)のものが好ましく用いられ
る。また、透湿度は1.0(g/m2・24hr/0.1mm)以下のもの
であり、低いものが好ましく用いられる。また、屈折率
については組み合わせる非晶性ポリオレフィンの応じて
近いものが好ましく使用される。本発明による高防湿薬
品包装用ポリマーアロイ多層シートの外層、内層におい
て、熱変形温度が100℃以下の非晶性ポリオレフィン
(A)70〜40重量%好ましくは60〜45重量%、
高密度ポリエチレン(B)30〜60重量%好ましくは
40〜55重量%の範囲で配合しなければならない。更
に、必要に応じて基本的性質を損なわない範囲で相溶化
剤、添加剤、例えば染顔料、安定剤、可塑剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、充填剤及び柔軟
性を付与するエラストマー等も添加することもできる。
本発明による高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シー
トを製造する方法としては、特に指定を受けないが、共
押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法などに
より積層シートを製造し、真空成形法、圧空成形法等の
成形法により成形する事ができる。
【0011】
【実施例】以下実施例により、本発明を説明するが、こ
れは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるもの
ではない。なお、シートの特性測定には0.30mmの
T−ダイシートを使用し、光線透過率、及びHAZEは
ASTM−D1003により、透湿度はJIS−Z02
08に基づいて条件A、即ち温度40℃、相対湿度90
%での測定値であり、外観は目視により判定した。耐油
性については、5mm角で厚さ約300μのシートをn
−ヘプタン中に浸漬し、23℃で3日間放置後の外観変
化(膨潤等)、軟化の程度、透明性の変化等を評価し、
変化のない物を○、やや変化した物を△、変化した物を
×とした。またデュポン50%破壊衝撃試験はJIS−
K5400に基ずき、即ち先端R=1/4インチ、30
0gの錘の落下高さを5cmきざみに替えてシートに落
下させ、20回落下の結果よりシートの破壊が50%で
ある落下高さを測定した結果である。各特性値の結果は
表1に示した。
【0012】(A)成分としては、アペルAPL650
9[APO;熱変形温度72℃(ASTM D648
18.6Kg/cm2)三井石油化学工業(株)製]を使
用し、(B)成分としては、エースポリエチHD F6
080V[HDPE;密度0.961g/cm3(JI
S K6760)昭和電工(株)製]を使用した。 (実施例1)外層=30μ/中間層=240μ/内層=
30μの計300μの積層体で、外層、内層の配合率は
(A)成分50重量%、(B)成分50重量%、中間層
は(A)成分を使用した。 (実施例2)外層=10μ/中間層=280μ/内層=
10μの計300μの積層体で、外層、内層の配合率は
実施例1と同じもので、中間層は(A)成分を使用し
た。 (実施例3)外層=30μ/中間層=240μ/内層=
30μの計300μの積層体で、外層、内層の配合率は
(A)成分70重量%、(B)成分30重量%、中間層
は(A)成分を使用した。 (実施例4)外層=10μ/中間層=280μ/内層=
10μの計300μの積層体で、外層、内層の配合率は
実施例3と同じものを使用した。
【0013】(比較例)(A)成分として、アペルAP
L6509[APO;三井石油化学工業(株)製]を使用
した。(B)成分としては、エースポリエチHD F6
080V[HDPE;密度0.961g/cm3(JI
S K6760)昭和電工(株)製]を使用した。 (比較例1)(A)成分の300μ単層シート (比較例2)(A)成分70重量%、(B)成分30重
量%300μポリマーアロイ単層シート (比較例3)(A)成分50重量%、(B)成分50重
量%300μポリマアーアロイ単層シート
【0014】
【0015】
【発明の効果】本発明による高防湿薬品包装用ポリマー
アロイ多層シートは、通常の熱可塑性シートに用いられ
ている加工方法、例えば押出成形等により、容易にフィ
ルム、シート等に加工され、成形加工性、剛性、耐傷付
性、耐衝撃性、耐油性、耐薬品性、耐水性、透明性、防
湿性等の物性のバランスがきわめて良好でかつ、フィル
ム、シート等成形加工時の外観の優れた製品を与える。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層及び内層が熱変形温度100℃以下
    の非晶性ポリオレフィン(A)と高密度ポリエチレン
    (B)を配合したポリマーアロイであり、中間層が非晶
    性ポリオレフィン(A)であることを特徴とする高防湿
    薬品包装用ポリマーアロイ多層シート。
  2. 【請求項2】 外層及び内層が非晶性ポリオレフィン
    (A)と高密度ポリエチレン(B)の配合比率が70重
    量%:30重量%〜40重量%:60重量%であり、中
    間層が非晶性ポリオレフィンであることを特徴とする請
    求項1の高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シート。
  3. 【請求項3】 高密度ポリエチレン(B)が密度0.9
    40以上であることを特徴とする請求項1叉は2の高防
    湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シート。
  4. 【請求項4】 非晶性ポリオレフィン(A)がジシクロ
    ペンタジエンとエチレン及び又はブタジエンとの共重合
    体の水素添加物であることを特徴とする請求項1、2又
    3の高防湿薬品包装用ポリマーアロイ多層シート。
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