JPH07216149A - 新規相溶化剤及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

新規相溶化剤及び熱可塑性樹脂組成物

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JPH07216149A
JPH07216149A JP30124794A JP30124794A JPH07216149A JP H07216149 A JPH07216149 A JP H07216149A JP 30124794 A JP30124794 A JP 30124794A JP 30124794 A JP30124794 A JP 30124794A JP H07216149 A JPH07216149 A JP H07216149A
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JP
Japan
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amorphous polyolefin
weight
polyamide
dodecene
thermoplastic resin
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Pending
Application number
JP30124794A
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English (en)
Inventor
Sadafumi Furukawa
禎史 古川
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 分子内にカルボン酸無水物基及び/又はカル
ボン酸基を有する変性非晶性ポリオレフィン(A)とポ
リアミド(B)からなる混合物を溶融反応させてなる新
規相溶化剤(D)、並びに非晶性ポリオレフィン(C)
又は非晶性ポリオレフィン(C)とポリアミド(B)か
らなる混合物に対して、改質剤として該相溶化剤(D)
を添加し、溶融混練されてなる熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 本発明による新規相溶化剤を使用することに
より得られる組成物は、通常の熱可塑性樹脂に用いられ
ている加工方法、例えば射出成形、押し出し成形等によ
り、容易に成形品やフィルム、シートに加工され、物性
バランス及び外観、成形性、防湿性、透明性、耐衝撃
性、耐熱性に優れた製品を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の非晶性ポリオレ
フィンとポリアミドに対し良好な相溶性を示す新規な相
溶化剤と新規な相溶化剤を用いることにより得られ、射
出成形等によりICトレー成形品等として、又押出成形
等により透明性を必要とするシートあるいは、フィルム
等としても十分利用できる物性バランス及び外観、成形
性、防湿性、透明性、耐衝撃性、耐熱性に優れた新規な
熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非晶性ポリオレフィンは、耐熱性、電気
的性質、機械的強度、成形性、透明性、防湿性、寸法安
定性に優れた特性を持っているが、非常に脆く、射出成
形等により作製した成形品や押出成形等により作製した
シートあるいはフィルムは、実用的には耐衝撃性が不足
しており、非晶性ポリオレフィンの特性を損なわず強靭
化することが望まれている。又、非晶性ポリオレフィン
は、非晶性であるが故に耐油性が悪く、耐油性を要求さ
れる食品等の用途に用いるには改良が必要である。これ
らの欠点を改良の為、結晶性ポリマーとガラス転移点の
高いジシクロペンタジエンの開環重合体の水素化物とを
組み合わせた複合シートにする方法が特開平4−272
937に例示されているが、この発明の複合シートは耐
衝撃性については改善効果を有しているものの、単に二
種のポリマーをブレンドしただけのものであり機械特
性、透明性等の面で不十分なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、非晶性ポリ
オレフィン(C)とポリアミド(B)の両方の樹脂に対
し良好な相溶性を示す新規な相溶化剤と、新規な相溶化
剤を用いることにより得られる耐熱性、電気的性質、機
械的強度、成形性、透明性、防湿性、寸法安定性等の物
性のバランスに優れた新規な熱可塑性樹脂組成物を提供
することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】一般に、二種以上の樹脂
を組み合わせた場合に互いに完全相溶し合う場合はまれ
であり、ほとんどの場合得られたブレンド物はいずれの
ポリマーよりも特性が劣るケースが大多数である。本発
明の場合は、非晶性ポリオレフィンとポリアミドという
異種の樹脂を用いているためかなり相溶性は悪く、単に
ブレンドしただけでは両ポリマーの界面接着が不十分で
あるため、機械特性、透明性などの面で不十分なもので
あった。この欠点を改良するには、両ポリマーの相溶性
を改善し、界面での密着性を向上する必要があるため種
々検討した結果、両ポリマーに対し良好な相溶性を示す
新規な相溶化剤を添加し、更に溶融混練することによ
り、界面の接着性が著しく向上し、耐熱性、電気的性
質、機械的強度、成形性、防湿性、透明性、寸法安定性
等の物性のバランスに優れた新規な熱可塑性樹脂が得ら
れることを見いだし本発明を完成するに至った。即ち本
発明は、分子内にカルボン酸無水物基及び/又はカルボ
ン酸基を有する変性非晶性ポリオレフィン(A)とポリ
アミド(B)からなる混合物を溶融反応させてなること
を特徴とする新規相溶化剤であり、非晶性ポリオレフィ
ン(C)又は非晶性ポリオレフィン(C)とポリアミド
(B)からなる混合物に対して、改質剤として分子内に
カルボン酸無水物基及び/又はカルボン酸基を有する変
性非晶性ポリオレフィン(A)とポリアミド(B)から
なる混合物を溶融反応させてなる相溶化剤(D)を添加
し、溶融混練されてなることを特徴とする熱可塑性樹脂
組成物である。
【0005】本発明における熱変形温度が100℃以下
の非晶性ポリオレフィン樹脂層(A)に用いられるもの
は、環状オレフィン構造を有する重合体であり、その構
造及び性質より非晶性ポリオレフィンと言える。熱変形
温度が100℃以下の非晶性ポリオレフィンの例として
は、下記の様な物が挙げられる。例えば、下記の一般式
で表される非晶性重合体である。 (ただし、式中nは1以上の正の整数、mは1以上の正
の整数、R1 は水素原子、ハロゲン原子、CH3CH
2基、又はC642基を表し、R2は水素原子、炭化水
素基、アルコキシ基、ハロゲン化炭化水素基又はハロゲ
ン原子を示す。また、Xはシクロペンタジエンないしそ
の誘導体とノルボルナジエンないしその誘導体との付加
反応物もしくはその水素添加物、又はジシクロペンタジ
エンないしその誘導体とエチレンとの付加反応物を表
す。)
【0006】シクロペンタジエンないしその誘導体とノ
ルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物の水素
添加物、又はジシクロペンタジエンないしその誘導体と
エチレンとの付加反応物の一般式は下記に示すものであ
る。
【化1】 (ただし、式中nは1以上の正の整数であり、R1 〜R
12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び炭
化水素基より選ばれる原子もしくは基を示し、R9 〜R
12は、互いに結合して単環又は多環を形成していてもよ
い。)
【0007】上記、シクロペンタジエンないしその誘導
体とノルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物
の水素添加物、又はジシクロペンタジエンないしその誘
導体とエチレンとの付加反応物としては、例えば、テト
ラシクロ−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ−3
−ドデセン、8−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−プロピルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ブチル
テトラシクロ−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ−3−
ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、
2,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8,
9−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチル
−9−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、11,12
−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、2,7,9−
トリメチルテトラシクロ−3−ドデセン、9−エチル−
2,7−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、9−イ
ソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ−3−ド
デセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシク
ロ−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメ
チルテトラシクロ−3−ドデセン、5,8,9,10−
テトラメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリ
デンテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリデン−9
−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリデン
−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリ
デン−9−イソプロピルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、8−n−プロピリデンテトラシクロ−3−ドデセ
ン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ−
3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテト
ラシクロ−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−
イソプロピルテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−プ
ロピリデン−9−ブチルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−イソプロピリデンテトラシクロ−3−ドデセン、8
−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ−3−ド
デセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシク
ロ−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプ
ロピルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロピリ
デン−9−ブチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ク
ロロテトラシクロ−3−ドデセン、8−ブロモテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ−3−
ドデセン、8,9−ジクロロテトラシクロ−3−ドデセ
ン、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン、12−メチルヘ
キサシクロ−4−ヘプタデセン、12−エチルヘキサシ
クロ−4−ヘプタデセン、12−イソブチルヘキサシク
ロ−4−ヘプタデセン、1,6,10−トリメチル−1
2−イソブチルヘキサシクロ−4−ヘプタデセン、オク
タシクロ−5−ドコセン、15−メチルオクタシクロ−
5−ドコセン、15−エチルオクタシクロ−5−ドコセ
ン、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチ
ルペンタシクロ−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチル
ペンタシクロ−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチ
ルペンタシクロ−4−ヘキサデセン、ヘプタシクロ−5
−エイコセン、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン、ペ
ンタシクロ−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペン
タシクロ−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタ
シクロ−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペン
タシクロ−4−ペンタデセン、ペンタシクロ−4,10
−ペンタデカジエン等が挙げられる。
【0008】上記シクロペンタジエンないしその誘導体
とノルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物、
又はジシクロペンタジエンないしその誘導体とエチレン
との付加反応物と反応するものは、エチレン、ブタジエ
ン、又はスチレン誘導体から選ばれた1種以上の不飽和
単量体であり、その中でスチレン誘導体としては、例え
ばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−ク
ロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレ
ン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エ
チルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロエチ
ルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレンなどが用
いられる。尚これらは2種類以上の混合物としても使用
できる。
【0009】また、非晶性ポリオレフィン(A)の他の
例としては、テトラシクロ−3−ドデセンないしその誘
導体とビシクロヘプト−2−エンないしその誘導体から
なる開環重合体の水素添加物であり、下記の一般式の様
なものも挙げられる。
【化2】 (ただし、式中nは0又は1以上の正の整数、mは1以
上の正の整数であり、R1〜R4は、水素原子、又は炭化
水素基である。)
【0010】上記、テトラシクロ−3−ドデセンないし
その誘導体の例としては、テトラシクロ−3−ドデセ
ン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、
2,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、1
1,12−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、2,
7,9−トリメチルテトラシクロ−3−ドデセン、9−
エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ−
3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシク
ロ−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチル
テトラシクロ−3−ドデセン、9−イソブチル−11,
12−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、5,8,
9,10−テトラメチルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチルテ
トラシクロ−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ
−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ−3−ドデ
セン、8−ステアリルテトラシクロ−3−ドデセン、
8,9−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−メ
チル−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−シ
クロヘキシルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソブ
チルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ブチルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ−3
−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ
−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピ
ルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリデン−9−
ブチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−プロピリ
デンテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−プロピリデ
ン−9−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−
プロピリデン−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチ
ルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロピリデン
テトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−
9−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロ
ピリデン−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8
−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ−
3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテト
ラシクロ−3−ドデセン等が挙げられる。
【0011】また、ビシクロヘプト−2−エンないしそ
の誘導体の例としては、ビシクロヘプト−2−エン、6
−メチルビシクロヘプト−2−エン、5,6−ジメチル
ビシクロヘプト−2−エン、1−メチルビシクロヘプト
−2−エン、6−エチルビシクロヘプト−2−エン、6
−n−ブチルビシクロヘプト−2−エン、6−イソブチ
ルビシクロヘプト−2−エン、7−メチルビシクロヘプ
ト−2−エン等が挙げられる。
【0012】変性非晶性ポリオレフィン(A)のベース
樹脂及び非晶性ポリオレフィン(C)は、70〜170
℃の範囲の熱変形温度を有しているが、耐熱性を要求さ
れる用途には、熱変形温度が100℃以上のものを用い
ることが好ましい。本発明の相溶化剤の原料として用い
られる変性非晶性ポリオレフィン(A)は、不飽和カル
ボン酸又はその誘導体を、上記のベース樹脂にグラフト
共重合することにより得られる。本発明に用いられる不
飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、アク
リル酸、メタアクリル酸、又はマレイン酸、フマール酸
等の不飽和ジカルボン酸及びそれらの酸ハライド、アミ
ド、イミド、酸無水物、エステル等の誘導体が挙げら
れ、これらの中でもマレイン酸、ナジック酸又はこれら
の酸無水物が好適に用いられる。変性非晶性ポリオレフ
ィン(A)のベース樹脂に不飽和カルボン酸又はその誘
導体をグラフト共重合させる方法としては、公知の種々
の方法を用いることが出来、例えば、変性非晶性ポリオ
レフィン(A)のベース樹脂に不飽和カルボン酸又はそ
の誘導体及び有機ペルオキシド、有機ペルエステル、ア
ゾ化合物等の重合開始剤を添加し、溶融混練し共重合さ
せる方法あるいは溶媒に溶解させ、加熱反応により共重
合させる方法等が挙げられる。
【0013】本発明の相溶化剤の原料として用いられる
ポリアミド(B)は、市販されているものであり、例え
ば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12などのポ
リラクタム類、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナ
イロン6,12などのジカルボン酸とジアミンとから得
られるポリアミド類、ナイロン6/6,12、ナイロン
6/6,6/6,10、ナイロン6/6,6/6,1
2、ナイロン6/6T(T;テレフタル酸成分)などの
共重合ポリアミド類、またはこれらの混合物などの高ア
ミノ末端ポリアミドが挙げられる。中でも、柔軟なもの
の方が好ましく用いられる。本発明の相溶化剤は、分子
内にカルボン酸無水物基及び/又はカルボン酸基を有す
る変性非晶性ポリオレフィン(A)90重量%〜10重
量%とポリアミド(B)10〜90重量%からなる組成
物を加圧ニーダーあるいはバンバリーミキサーにて20
0〜300℃で5〜30分溶融反応させることにより得
られる。溶融混練の際、顕著なトルクの上昇が認められ
ること、及び混練物の赤外吸収スペクトルを調べた結
果、原料に含まれるカルボン酸無水物基及び/又はカル
ボン酸基、アミノ基の特性吸収が消失していることか
ら、変性非晶性ポリオレフィン(A)の分子中のカルボ
ン酸無水物基及び/又はカルボン酸基とポリアミド
(B)のアミノ基との間で反応が生じているものと考え
られる。
【0014】本発明の相溶化剤において変性非晶性ポリ
オレフィン(A)とポリアミド(B)とは、90:10
〜10:90重量%、好ましくは70:30〜30:7
0重量%、更に好ましくは60:40〜40:60重量
%の範囲で配合される。ポリアミド(B)および変性非
晶性ポリオレフィン(A)の配合比率が10重量%を下
回ると相溶性の改善効果が低下する。また、変性非晶性
ポリオレフィン(A)の屈折率は、1.53〜1.55
のものが好ましく、ポリアミド(B)との常温での屈折
率の差は、0.02以内であることが好ましい。本発明
の熱可塑性樹脂組成物において、非晶性ポリオレフィン
(C)100重量部に対し本発明の相溶化剤を1〜50
重量部の範囲で配合しなければならない。相溶化剤の添
加量が、1重量部より少ない場合は、耐衝撃性の改善効
果が不十分であり、50重量部より多い場合は、吸水率
及び寸法安定性において好ましい性質が得られない。ま
た、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、非晶性ポリ
オレフィン(C)95〜50重量%、ポリアミド(B)
5〜50重量%からなる混合物100重量部に対し本発
明の相溶化剤を0.1〜20重量部の範囲で配合しなけ
ればならない。(C)成分の含量が50重量%より少な
い場合は、成形加工性、寸法安定性、剛性が十分でな
く、95重量%より多い場合は、耐衝撃性において好ま
しい性質が得られない。又、相溶化剤の配合量が0.1
重量部を下回ると、相溶性の改善効果が不十分となり、
又20重量部を上回ると、相溶性が良くなりすぎ特性が
低下する。また、非晶性ポリオレフィン(C)の屈折率
は、1.53〜1.55のものが好ましく、変性非晶性
ポリオレフィン(A)、ポリアミド(B)各々の常温で
の屈折率の差は、0.02以内であることが好ましい。
【0015】このように非晶性ポリオレフィン(C)と
ポリアミド(B)の混合物100重量部に対し本発明の
相溶化剤を0.1〜20重量部の範囲で配合し、更に溶
融混練することにより、両ポリマーの相溶性が向上し、
界面での接着性、機械特性、透明性などが著しく向上し
たが、この理由は、本発明の相溶化剤が、同一分子内に
両ポリマーの成分を有している為、これが界面活性剤的
な働きをすることにより、界面での密着性良好なミクロ
相分離構造をとることが可能になったためと考えられ
る。更に、必要に応じて基本的性質を損なわない範囲
で、添加剤、例えば染顔料、安定剤、可塑剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、充填剤及び柔軟
性を付与するエラストマー等も添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂成
形品に用いられている加工方法、例えば射出成形や押し
出し成形等により、容易に成形品あるいはフィルム、シ
ート等に加工される。
【0016】
【実施例】以下実施例により、本発明を説明するが、こ
れは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるもの
ではない。本実施例で使用する相溶化剤を以下の例に従
って合成した。 《相溶化剤(イ)の合成》非晶性ポリオレフィン樹脂
(アペルAPL6509;三井石油化学工業(株)製)1
00重量部に対し無水マレイン酸5重量部、ジクミルペ
ルオキシド(以下DCPと略す)1重量部をヘンシェル
ミキサーで十分混合した後、二軸混練機にて約240℃
で溶融混練しグラフト反応させ変性非晶性ポリオレフィ
ンを得た。この樹脂の無水マレイン酸グラフト量を調べ
たところ1.4%の無水マレイン酸がグラフトされてい
る(酸無水物g当量:約0.14mmol/g)ことが
分かった。この変性非晶性ポリオレフィン100重量部
にナイロン6/6,6(5033B;宇部興産 製)3
0重量部を加え、ヘンシェルミキサーで十分混合した
後、加圧ニーダーーにて約240℃で20分間溶融混練
し、ロールでシート化した後室温まで冷却し、シートペ
レタイザーでペレット化して本発明の相溶化剤(イ)を
得た。相溶化剤(イ)の赤外吸収スペクトルを調べた結
果、原料に含まれる酸無水物基、アミノ基の特性吸収が
消失しており、酸無水物基とアミノ基との間に反応が生
じたものと考えられる。 《相溶化剤(ロ)の合成》非晶性ポリオレフィン樹脂
(アペルAPL6013;三井石油化学工業(株)製)1
00重量部に対し無水マレイン酸4重量部、DCP1重
量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸混練
機にて約260℃で溶融混練しグラフト反応させ変性非
晶性ポリオレフィンを得た。この樹脂の無水マレイン酸
グラフト量を調べたところ1.0%の無水マレイン酸が
グラフトされている(酸無水物g当量:約0.1mmo
l/g)ことが分かった。この変性非晶性ポリオレフィ
ン100重量部にナイロン12(3014U;宇部興産
製)100重量部を加え、ヘンシェルミキサーで十分
混合した後、加圧ニーダーにて約260℃で15分間溶
融混練し、ロールでシート化した後室温まで冷却し、シ
ートペレタイザーでペレット化して本発明の相溶化剤
(ロ)を得た。相溶化剤(ロ)の赤外吸収スペクトルを
調べた結果、原料に含まれる酸無水物基、アミノ基の特
性吸収が消失しており、酸無水物基とアミノ基との間に
反応が生じたものと考えられる。
【0017】実施例及び比較例を以下示す。引張試験は
ASTM−D638、曲げ試験はASTM−D790、
アイゾット衝撃試験はASTM−D256によって測定
した結果である。また、成形品のソリについては、縦1
50mm、横300mm、厚み1mmの平板をハイトマ
スターで測定評価した。また、シートの特性測定には
0.25mmのT−ダイシートを使用し、光線透過率、
及びHAZEはASTM−D1003により、防湿度は
JIS−Z0208に基づいて条件A、即ち温度25
℃、相対湿度90%での測定値であり、外観は目視によ
り判定した。耐油性については、5mm角で厚さ約25
0μのシートをn−ヘプタン中に浸漬し、23℃で3日
間放置後の外観変化(膨潤等)、軟化の程度、透明性の
変化等を評価し、変化のない物を○、やや変化した物を
△、変化した物を×とした。配合組成及び各特性値の結
果は、表1,2に示した。
【0018】(実施例1〜2)(C)成分としては、ア
ペルAPL6509[APO;熱変形温度 70℃
(ASTM D648 18.6Kg/cm2 )三井石
油化学工業(株)製]を使用し、(B)成分としては、5
033B[PA;宇部興産(株)製]を、又相溶化剤と
して相溶化剤(イ)を使用した。 (実施例3〜4)(C)成分としては、アペルAPL6
013[APO;熱変形温度 110℃(ASTM
D648 18.6Kg/cm2 )三井石油化学工業
(株)製]を使用し、(B)成分としては、3014U
[PA;宇部興産(株)製]を、又相溶化剤として相溶
化剤(ロ)を使用した。 (実施例5〜6)(C)成分としては、アペルAPL6
509[APO;熱変形温度 70℃(ASTM D
648 18.6Kg/cm2 )三井石油化学工業(株)
製]を使用し、改質剤として相溶化剤(イ)を使用し
た。
【0019】(比較例1)(C)成分としては、アペル
APL6509[APO;熱変形温度 70℃(AS
TM D648 18.6Kg/cm2 )三井石油化学
工業(株)製]を使用した。 (比較例2)(C)成分としては、アペルAPL601
3[APO;熱変形温度 110℃(ASTM D6
48 18.6Kg/cm2 )三井石油化学工業(株)
製]を使用した。 (比較例3〜4)(C)成分としては、アペルAPL6
509[APO;熱変形温度 70℃(ASTM D
648 18.6Kg/cm2) 三井石油化学工業(株)
製]を使用し、(B)成分としては、5033B[PA
;宇部興産(株)製]を使用した。 (比較例5〜6)(C)成分としては、アペルAPL6
013[APO;熱変形温度 110℃(ASTM
D648 18.6Kg/cm2 )三井石油化学工業
(株)製]を使用し、(B)成分としては、3014U
[PA;宇部興産(株)製]を使用した。
【0020】
【0021】
【0022】
【発明の効果】本発明による新規相溶化剤を使用するこ
とにより得られる組成物は、通常の熱可塑性樹脂に用い
られている加工方法、例えば射出成形、押し出し成形等
により、容易に成形品やフィルム、シートに加工され、
物性バランス及び外観、成形性、防湿性、透明性、耐衝
撃性、耐熱性に優れた製品を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 45/00 LKB 77/00 LQS

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にカルボン酸無水物基及び/又は
    カルボン酸基を有する変性非晶性ポリオレフィン(A)
    とポリアミド(B)からなる混合物を溶融反応させてな
    ることを特徴とする新規相溶化剤。
  2. 【請求項2】 変性非晶性ポリオレフィン(A)90重
    量%〜10重量%とポリアミド(B)10重量%〜90
    重量%からなる混合物を溶融反応させてなる請求項1記
    載の新規相溶化剤。
  3. 【請求項3】 変性非晶性ポリオレフィン(A)とポリ
    アミド(B)の常温での屈折率の差が、0.02以内で
    ある請求項1又は2記載の新規相溶化剤。
  4. 【請求項4】 非晶性ポリオレフィン(C)に、改質剤
    として分子内にカルボン酸無水物基及び/又はカルボン
    酸基を有する変性非晶性ポリオレフィン(A)とポリア
    ミド(B)からなる混合物を溶融反応させてなる相溶化
    剤(D)を添加し、溶融混練されてなることを特徴とす
    る熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 非晶性ポリオレフィン(C)とポリアミ
    ド(B)からなる混合物に対して、改質剤として分子内
    にカルボン酸無水物基及び/又はカルボン酸基を有する
    変性非晶性ポリオレフィン(A)とポリアミド(B)か
    らなる混合物を溶融反応させてなる相溶化剤(D)を添
    加し、溶融混練されてなることを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 非晶性ポリオレフィン(C)100重量
    部に対して改質剤として相溶化剤(D)を1〜50重量
    部添加し、溶融混練されてなる請求項4記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 非晶性ポリオレフィン(C)95重量%
    〜50重量%とポリアミド(B)5重量%〜50重量%
    からなる混合物100重量部に対して、相溶化剤(D)
    を0.1〜20重量部添加し、溶融混練されてなる請求
    項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 相溶化剤(D)が、変性非晶性ポリオレ
    フィン(A)90重量%〜10重量%とポリアミド
    (B)10重量%〜90重量%からなる混合物である請
    求項4、5、6又は7記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 変性非晶性ポリオレフィン(A)、ポリ
    アミド(B)及び非晶性ポリオレフィン(C)各々の常
    温での屈折率の差が、0.02以内である請求項4、
    5、6、7又は8記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 非晶性ポリオレフィン樹脂層(A)
    が、シクロペンタジエンないしその誘導体とノルボルナ
    ジエンないしその誘導体との付加反応物と、エチレン、
    ブタジエン、又はスチレン誘導体から選ばれた1種以上
    の不飽和単量体との共重合体、又はその水素添加物であ
    ることを特徴とする請求項4、5、6、7、8又は9記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 非晶性ポリオレフィン樹脂層(A)
    が、ジシクロペンタジエンないしその誘導体とエチレン
    との付加反応物と、エチレン、ブタジエン、又はスチレ
    ン誘導体から選ばれた1種以上の不飽和単量体との共重
    合体であることを特徴とする請求項4、5、6、7、8
    又は9記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 非晶性ポリオレフィン樹脂層(A)
    が、テトラシクロ−3−ドデセンないしその誘導体とビ
    シクロヘプト−2−エンないしその誘導体からなる開環
    重合体の水素添加物であることを特徴とする請求項4、
    5、6、7、8又は9記載の熱可塑性樹脂組成物。
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