JPH0898871A - 薬品包装用多層ポリマーアロイシート - Google Patents

薬品包装用多層ポリマーアロイシート

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JPH0898871A
JPH0898871A JP6235222A JP23522294A JPH0898871A JP H0898871 A JPH0898871 A JP H0898871A JP 6235222 A JP6235222 A JP 6235222A JP 23522294 A JP23522294 A JP 23522294A JP H0898871 A JPH0898871 A JP H0898871A
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JP
Japan
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styrene
copolymer
layer
dodecene
polymer alloy
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Application number
JP6235222A
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English (en)
Inventor
Ichiro Matsui
一郎 松居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 物性バランス、外観、透明性、成形性、防湿
性、耐衝撃性に優れるとともに、フィルム・シート等の
成形加工性に優れ、耐油性が良好であり皮脂等によるス
トレスクラックなどの問題が無く、酸素ガスバリアー性
にも優れた新規な薬品包装用多層ポリマーアロイシート
を提供する。 【構成】 常温での各々の屈折率の差が0.03以内で
ある、非晶性ポリオレフィンとスチレン系エラストマー
とを配合してなる中間層、ポプロピレンからなる外層、
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂からなる酸
素ガスバリアー層を、外層/酸素ガスバリアー層/中間
層/酸素ガスバリアー層/外層、または外層/酸素ガス
バリアー層/中間層/外層の順に積層してなることを特
徴とする薬品包装用多層ポリマーアロイシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、押出成形等により透明
性を必要とする薬品包装用シートあるいは、フィルム等
として利用できる新規な薬品包装用多層ポリマーアロイ
シートに関するものである。更に詳しくは、相溶性に優
れる特定の非晶性ポリオレフィンと特定のエラストマー
とを組み合わせることにより得られる、物性バランス、
外観、透明性、成形性、防湿性、耐衝撃性に優れた新規
なシートであり、一般にPTPと称される固形剤包装用
に使用される薬品包装用多層ポリマーアロイシートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】医薬品包装の分野で、固形剤包装用とし
て一般に用いられているPTP包装用シートには、従来
からポリ塩化ビニル(以下、PVCと略記する)樹脂か
らなるシートが用いられる。PVC樹脂シートは、PT
P包装に要求される特性をほぼ満足する優れたシートで
あるが、防湿特性が劣るため、高防湿を必要とする製剤
に対しては、PTP包装をした後、更にアルミ箔を含む
構成のフィルムによりピロー包装を行うか、あるいはP
VC樹脂シートにポリ塩化ビニリデン(以下、PVDC
と略記する)樹脂をコーティングした複合シートを用い
ることで防湿性を補う方法がとられてきた。しかし、こ
れらの方法は、工数が増え、包材のコストアップにつな
がっている。また、最近の脱PVCの動向とPVC樹脂
より防湿性が優れているということよりポリプロピレン
(以下、PPと略記する)樹脂からなるシートも用いら
れているが、PPは成形性が悪く、非常に高防湿性を必
要とする製剤については防湿性が不足しており、使用可
能な範囲がかなり限定されているのが現状である。非晶
性ポリオレフィンは、機械的強度、成形性、透明性、寸
法安定性に優れ、特に防湿性においては非常に優れた特
性を持っているが、非常に脆く、押出成形等により作製
したシートあるいはフィルムは、実用的には耐衝撃性が
不足している。又、非晶性ポリオレフィンは、非晶性で
あるが故に耐油性が悪く、ストレスのかかった状態で皮
脂等がシート表面につくと微細なクラックが生じるとい
う欠点がある。この非晶性ポリオレフィンの欠点を改良
の為、種々の検討が行われているが、非晶性ポリオレフ
ィンの特性をすべて損なわず強靭化されたものはなく、
非晶性ポリオレフィンの特徴、中でも特に優れた透明性
・防湿性・成形性を損なわず強靭化することが望まれて
いる。又、製剤の中には水分だけではなく、酸素ガス等
によっても薬効が損なわれるものも多く、酸素等のガス
バリアー性をも合わせ持ったシートが望まれるようにな
ってきており、従来のPVC樹脂シートでは対応できて
いない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、非晶性ポリ
オレフィン(A)とスチレン系エラストマー(B)とを
配合し、分散粒子径を微細にすることにより、物性バラ
ンス、外観、透明性、成形性、防湿性、耐衝撃性に優れ
るとともに、フィルム・シート等の成形加工性に優れ、
さらに少なくとも片面にポリプロピレン(C)からなる
樹脂層を積層することにより、耐油性が良好であり皮脂
等によるストレスクラックなどの問題が無く、またエチ
レン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる樹脂層を積
層することにより、酸素ガスバリアー性にも優れた新規
な薬品包装用多層ポリマーアロイシートを提供すること
を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】一般に、二種以上の樹脂
を組み合わせた場合に、透明性良好なものを得るために
は、各々の樹脂の屈折率が近いものを選ぶこと、相溶性
の良好な樹脂の組み合わせを選び、分散粒子径をできる
だけ微細に分散させることが必要である。しかし、樹脂
の組み合わせで互いに相溶し合う場合はまれであり、ほ
とんどの場合得られたブレンド物はいずれのポリマーよ
りも特性が劣るケースが大多数である。そこで様々な検
討を行った結果、特定の非晶性ポリオレフィン(A)と
常温での屈折率が非常に近く、相溶性の良好な特定のエ
ラストマー(B)との組み合わせで、分散粒子径を微分
散させることにより、非晶性ポリオレフィンの特徴、中
でも特に優れた透明性・防湿性・成形性を損なわず強靭
化することが可能となり、物性バランス、外観、透明
性、成形性、防湿性、耐衝撃性に優れた新規なポリマー
アロイシートが得られ、更にポリプロピレン(C)から
なる外層を積層することにより、耐油性、耐薬品性が優
れ、またエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からな
る樹脂層を積層することにより、酸素ガスバリアー性に
も優れた新規な薬品包装用多層ポリマーアロイシートが
得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】即ち本発明は、常温での各々の屈折率の差
が0.03以内である、非晶性ポリオレフィン(A)と
スチレン系エラストマー(B)とを配合してなる中間
層、ポプロピレン(C)からなる外層、エチレン−酢酸
ビニル共重合体けん化物樹脂(D)からなる酸素ガスバ
リアー層を、外層/酸素ガスバリアー層/中間層/酸素
ガスバリアー層/外層、または外層/酸素ガスバリアー
層/中間層/外層の順に積層してなることを特徴とする
薬品包装用多層ポリマーアロイシートである。本発明に
おける多層シートの製造方法としては、特に限定するも
のではないが、数台の押出機により樹脂を溶融押出して
多層ダイ、あるいはフィードブロックに導いてシート化
する共押出法や、各層を形成する単層のシートまたはフ
ィルムを適当な接着剤を用いて貼り合わせるドライラミ
ネート法、その他の方法が用いられる。なお、共押出法
により多層シートを形成する場合には、各樹脂層の間に
適当な接着性樹脂層を設けたほうが好ましい。
【0006】本発明に、用いられる非晶性ポリオレフィ
ン(A)とは、環状オレフィン構造を有する重合体であ
り、その構造及び性質より非晶性ポリオレフィンと言え
る。非晶性ポリオレフィンの例としては、以下の様な物
が挙げられる。例えば、下記の一般式で表される非晶性
重合体である。 (ただし、式中nは1以上の正の整数、mは1以上の正
の整数、R1は水素原子、ハロゲン原子、CH3CH
2基、又はC642基を表し、R2は水素原子、炭化水
素基、アルコキシ基、ハロゲン化炭化水素基又はハロゲ
ン原子を示す。また、Xはシクロペンタジエンないしそ
の誘導体とノルボルナジエンないしその誘導体との付加
反応物もしくはその水素添加物、又はジシクロペンタジ
エンないしその誘導体とエチレンとの付加反応物を表
す。)
【0007】シクロペンタジエンないしその誘導体とノ
ルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物の水素
添加物、又はジシクロペンタジエンないしその誘導体と
エチレンとの付加反応物の一般式は下記に示すものであ
る。
【化1】 (ただし、式中nは1以上の正の整数であり、R1 〜R
12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び炭
化水素基より選ばれる原子もしくは基を示し、R9 〜R
12は、互いに結合して単環又は多環を形成していてもよ
い。)
【0008】上記、シクロペンタジエンないしその誘導
体とノルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物
の水素添加物、又はジシクロペンタジエンないしその誘
導体とエチレンとの付加反応物としては、例えば、テト
ラシクロ−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ−3
−ドデセン、8−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−プロピルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ブチル
テトラシクロ−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ−3−
ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、
2,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8,
9−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチル
−9−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、11,12
−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、2,7,9−
トリメチルテトラシクロ−3−ドデセン、9−エチル−
2,7−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、9−イ
ソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ−3−ド
デセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシク
ロ−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメ
チルテトラシクロ−3−ドデセン、5,8,9,10−
テトラメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリ
デンテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリデン−9
−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリデン
−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリ
デン−9−イソプロピルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、8−n−プロピリデンテトラシクロ−3−ドデセ
ン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ−
3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテト
ラシクロ−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−
イソプロピルテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−プ
ロピリデン−9−ブチルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−イソプロピリデンテトラシクロ−3−ドデセン、8
−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ−3−ド
デセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシク
ロ−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプ
ロピルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロピリ
デン−9−ブチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ク
ロロテトラシクロ−3−ドデセン、8−ブロモテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ−3−
ドデセン、8,9−ジクロロテトラシクロ−3−ドデセ
ン、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン、12−メチルヘ
キサシクロ−4−ヘプタデセン、12−エチルヘキサシ
クロ−4−ヘプタデセン、12−イソブチルヘキサシク
ロ−4−ヘプタデセン、1,6,10−トリメチル−1
2−イソブチルヘキサシクロ−4−ヘプタデセン、オク
タシクロ−5−ドコセン、15−メチルオクタシクロ−
5−ドコセン、15−エチルオクタシクロ−5−ドコセ
ン、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチ
ルペンタシクロ−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチル
ペンタシクロ−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチ
ルペンタシクロ−4−ヘキサデセン、ヘプタシクロ−5
−エイコセン、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン、ペ
ンタシクロ−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペン
タシクロ−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタ
シクロ−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペン
タシクロ−4−ペンタデセン、ペンタシクロ−4,10
−ペンタデカジエン等が挙げられる。
【0009】シクロペンタジエンないしその誘導体とノ
ルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物の水素
添加物、又はジシクロペンタジエンないしその誘導体と
エチレンとの付加反応物は、エチレン、ブタジエン、又
はスチレン誘導体と反応し、共重合体となり、非晶性ポ
リオレフィンとなる。ここで使用されるスチレン誘導体
としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチ
レン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−
クロルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチ
レン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p
−クロロエチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチ
レンなどが用いられる。
【0010】また、非晶性ポリオレフィン(A)の他の
例としては、テトラシクロ−3−ドデセンないしその誘
導体とビシクロヘプト−2−エンないしその誘導体から
なる開環重合体である下記の一般式の様なものも挙げら
れる。
【化2】 (ただし、式中nは0又は1以上の正の整数、mは1以
上の正の整数であり、R 〜R4 は、水素原子、又は
炭化水素基である。)
【0011】上記、テトラシクロ−3−ドデセンないし
その誘導体の例としては、テトラシクロ−3−ドデセ
ン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、
2,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、1
1,12−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、2,
7,9−トリメチルテトラシクロ−3−ドデセン、9−
エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ−
3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシク
ロ−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチル
テトラシクロ−3−ドデセン、9−イソブチル−11,
12−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、5,8,
9,10−テトラメチルテトラシクロ−3−ドデセン、
8−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチルテ
トラシクロ−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ
−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ−3−ドデ
セン、8−ステアリルテトラシクロ−3−ドデセン、
8,9−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−メ
チル−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−シ
クロヘキシルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソブ
チルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ブチルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ−3
−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ
−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピ
ルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチリデン−9−
ブチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−プロピリ
デンテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−プロピリデ
ン−9−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−n−
プロピリデン−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセ
ン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシ
クロ−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチ
ルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロピリデン
テトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−
9−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−イソプロ
ピリデン−9−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8
−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ−
3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテト
ラシクロ−3−ドデセン等が挙げられる。
【0012】また、ビシクロヘプト−2−エンないしそ
の誘導体の例としては、ビシクロヘプト−2−エン、6
−メチルビシクロヘプト−2−エン、5,6−ジメチル
ビシクロヘプト−2−エン、1−メチルビシクロヘプト
−2−エン、6−エチルビシクロヘプト−2−エン、6
−n−ブチルビシクロヘプト−2−エン、6−イソブチ
ルビシクロヘプト−2−エン、7−メチルビシクロヘプ
ト−2−エン等が挙げられる。
【0013】非晶性ポリオレフィン(A)は、70〜1
70℃の範囲の熱変形温度を有しており、使用される用
途により最適なものを選ぶことが可能であり、PTP包
装用シート等の真空成形性を要求される用途では、熱変
形温度が100℃以下のものを用いることが好ましい。
【0014】次に、本発明で用いられるスチレン系エラ
ストマー(B)とは、室温で弾性体である重合体材料を
いう。その具体例としては、ブタジエン−スチレン共重
合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト
共重合体などすべて含まれる)及びその水添物、スチレ
ン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水添ス
チレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、
イソプレン−スチレン共重合体、水添スチレン−イソプ
レン共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチ
レン共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプレン−
スチレン共重合体(SEPS)などが挙げられる。中で
も本発明で、非晶性ポリオレフィン(A)との相溶性が
良好で、好ましく用いられるスチレン系エラストマー
は、SEBS,SEP,SEPS,水添スチレン−ブタ
ジエン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)
であり、中でも好ましいスチレン含量は、10〜80重
量%であり、更に好ましくは、30〜70重量%であ
り、より好ましいのは、40〜70重量%である。ま
た、これらのスチレン系エラストマーの中で、互いに相
溶性の良好な2種類以上のものを溶融混練することによ
り、両者を非常に微細に分散させることが可能であり、
実質上分子レベルで完全相溶させることにより、非晶性
ポリオレフィンとの屈折率の差が0.01以下、好まし
くは屈折率の差のない新規なエラストマーを作製するこ
とが可能となる。更にこのエラストマーを用いることに
より、非常に透明性に優れ、非晶性ポリオレフィン
(A)の欠点(特に耐衝撃性)を改良した新規なポリマ
ーアロイを得ることが可能となった。
【0015】本発明による薬品包装用ポリマーアロイシ
ートにおいて、非晶性ポリオレフィン(A)とスチレン
系エラストマー(B)の配合比率は、99重量%:1重
量%〜80重量%:20重量%である。非晶性ポリオレ
フィン(A)の含量が80重量%より少ない場合は、成
形加工性、防湿性、剛性が十分でなく、99重量%より
多い場合は、耐衝撃性において好ましい性質が得られな
い。また更に防湿性を重視する場合においては、非晶性
ポリオレフィン(A)とスチレン系エラストマー(B)
の配合比率が、99重量%:1重量%〜90重量%:1
0重量%が好ましく、更に好ましくは99重量%:1重
量%〜95重量%:5重量%である。又、常温での各々
の屈折率の差は、0.03以内である必要があり、更に
好ましくは、0.02以内であり、より好ましくは、
0.01以内のものである。
【0016】また更に、非晶性ポリオレフィン(A)と
スチレン系エラストマー(B)を、例えば二軸混練機等
で溶融混練することにより、非晶性ポリオレフィン
(A)中でスチレン系エラストマー(B)を微分散させ
ることにより透明性・耐衝撃性等のさらなる向上が図れ
る。好ましくは、分散粒子径が肉眼で確認できる限界
(すなわち可視光線の波長)である0.3μm以下にす
ることにより非常に良好なポリマーアロイシートを得る
ことが可能になる。
【0017】本発明におけるポリプロピレン樹脂層
(C)には、プロピレンのホモポリマー及びエチレン−
プロピレン共重合体、あるいはこれらのブレンド物の中
から適当なものが用いられる。さらに、結晶核剤、石油
樹脂等を適量添加しても差し支えない。また、積層方法
がドライラミネート等の場合には、これらの樹脂から一
般に作製されるフィルムあるいはシートで、延伸されて
いないものが好ましい。本発明におけるエチレン−酢酸
ビニル共重合体けん化物樹脂層(D)には、エチレン含
有率が25〜75モル%で、共重合体中の酢酸ビニルに
対するけん化度が90%以上のものが用いられる。また
(C)層と同様に、積層方法がドライラミネート等の場
合には、これらの樹脂から一般に作製されるフィルムあ
るいはシートで、延伸されていないものが好ましい。
【0018】各樹脂層には、必要に応じて基本的性質を
損なわない範囲で添加剤、例えば染顔料、安定剤、可塑
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、充
填剤等も添加することができる。本発明のシートの全体
厚みについては特に限定するものではないが、0.2〜
0.5mmの範囲であり、特に0.25〜0.40mm
の範囲がPTP用包材の厚みとしては適当である。各層
厚みについても特に限定するものではないが、非晶性ポ
リオレフィン(A)とスチレン系エラストマー(B)と
を配合してなる中間層およびエチレン−酢酸ビニル共重
合体けん化物樹脂(D)からなる酸素ガスバリアー層の
厚みについては、要求される防湿性やガスバリヤー性に
応じて必要な厚みに設計する必要がある。またポリプロ
ピレン樹脂(C)からなる外層の厚みについては0.0
05〜0.03mmが適当である。これより薄いとPT
P成形機での機械適性が悪くなり、また厚いと中間層お
よび酸素ガスバリアー層の厚みが薄くなってしまい、必
要とする防湿性とガスバリヤー性がが得られないことが
ある。
【0019】
【実施例】以下実施例により、本発明を説明するが、こ
れは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるもの
ではない。実施例及び比較例において、ポリマーアロイ
物樹脂を得るのに配合に用いた非晶性ポリオレフィン
(A)およびスチレン系エラストマー(B)の各成分を
以下に示す。 《非晶性ポリオレフィン(A)》 ・APO APL−6509T[三井石油化学工業(株)製;nD=1.5353] 《スチレン系エラストマー(B)》 ・SEPS セプトン2104[クラレ(株)製;nD=1.5445] ・SEPS セプトン2002[クラレ(株)製;nD=1.5054] ・SEBS タフテックH1041[旭化成工業(株)製;nD=1.5011] ・SEBS タフテックH1071[旭化成工業(株)製;nD=1.4958] ・S−1;nD=1.5331 セプトン2104[クラレ(株)製;nD=1.544
5]とセプトン2002[クラレ(株)製;nD=1.5
054]とを、76重量%:24重量%で配合し、二軸
混練機により溶融混練し、実質上完全相溶させたものを
ペレット化して新規なエラストマーを作製した。 ・S−2;nD=1.5300 セプトン2104[クラレ(株)製;nD=1.544
5]とタフテックH1041[旭化成工業(株)製;nD
=1.5011]とを、80重量%:20重量%で配合
し、二軸混練機により溶融混練し、実質上完全相溶させ
たものをペレット化して新規なエラストマーを作製し
た。 ・S−3;nD=1.4958 セプトン2002[クラレ(株)製;nD=1.505
4]とタフテックH1071[旭化成工業(株)製;nD
=1.4958]とを、50重量%:50重量%で配合
し、二軸混練機により溶融混練し、実質上完全相溶させ
たものをペレット化して新規なエラストマーを作製し
た。
【0020】(実施例1〜6、及び比較例1〜3)すべ
ての成分を表1及び表2に示す配合比率で十分ドライブ
レンドし、二軸混練機により溶融混練したものをペレッ
ト化し、T−ダイによる押出成形により中間層となる
0.23mm厚みのシートを作製した。表中の屈折率に
ついては、デジタル屈折率計RX−2000[(株)アタ
ゴ製]により、シート状態での23℃の屈折率の測定を
行った。
【0021】 表 1 実 施 例 1 2 3 4 5 6 配合(重量部) APO 95.0 95.0 98.5 95.0 81.0 95.0 SEPS 5.0 SEPS 5.0 S−1 1.5 5.0 19.0 S−2 5.0 屈折率の差 0.0 092 0.0299 0 .0022 0.0022 0.0022 0.0053
【0022】
【0023】上記単層シートの両面をコロナ放電処理し
た後、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂フィ
ルム[(株)クラレ製 エバールフィルムEF−F 厚み
0.012mm]および無延伸ポリプロピレンフィルム
[東セロ(株)製 CP無延伸ポリプロピレンフィルム
EC 厚み0.02mm]を、ウレタン系接着剤[武田
薬品工業(株)製 タケラックA−385/タケネートA
−50/酢酸エチル配合比 6:1:8.5]を介し
て、ドライラミネート法でラミネートし、トータル0.
3mm厚の外層/酸素ガスバリアー層/中間層/酸素ガ
スバリアー層/外層の層構成の多層シートを作製した。
【0024】(実施例7)実施例4と同材料、同配合の
ポリマーアロイ材料を中間層に用い、ポリプロピレン樹
脂として、三井ポリプロ JHH−G[三井東圧化学
(株)製]、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂
としてエバール EP−F 101[(株)クラレ製]、
および接着層として、APL−6509Tとセプトン2
104とセプトン2002とを50:38:12の比率
で溶融混練したものを用い、外層/接着層/酸素ガスバ
リアー層/接着層/中間層/接着層/酸素ガスバリアー
層/接着層/外層の層構成の0.3mm厚みの多層シー
トを共押出法により作製した。なお、各層厚みは、20
/3/10/3/228/3/10/3/20μmとし
た。
【0025】(比較例4)実施例4と同材料、同配合の
ポリマーアロイ材料をTダイから溶融押出しし0.3m
m厚みの単層シートを作製した。(比較例5)実施例4
と同材料、同配合のポリマーアロイ材料をTダイから溶
融押出しした単層シートを中間層とし、実施例1と同じ
無延伸ポリプロピレンフィルムを外層として用い、外層
/中間層/外層の層構成のトータル0.3mm厚の多層
シートを実施例1と同様の方法でドライラミネート法に
より作製した。
【0026】実施例1〜7および比較例1〜5のシート
について下記に示す方法で評価を行った。 (光線透過率、及びHAZE)ASTM−D1003に
より測定した。 (防湿性)JIS−Z0208に基づいて条件B、即ち
温度40℃、相対湿度90%で測定した。 (酸素透過度)JIS−K−7126に基づいてB法
(等圧法)により測定した。 (引張試験)ASTM−D638により測定した。 (外観)目視により判定した。 (耐油性)5mm角のシートをn−ヘプタン中に浸漬
し、23℃で3日間放置後の外観変化(膨潤等)、軟化
の程度、透明性の変化等を評価し、変化のない物を○、
変化した物を×とした。 (耐ストレスクラック)シートをを40mm×15mm
の短冊状にカットし、図1に示すコの字型の治具にアー
チ形にセットし、アーチの頂上部(▼印)に「皮脂」を
塗布、シート1の変化を目視で観察した。変化のない物
を○、クラックの生じた物を×とした。 (デュポン衝撃試験)JIS−K−7211に準拠した
方法で、23℃および−20℃で測定した。
【0027】以上の評価結果を表3および表4に示し
た。 表 3 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 光線透過率(%) 91 89 91 91 91 92 90 HAZE (%) 5 6 3 5 5 3 4 透湿度 (g/m2・24Hr・0.3mm) 0.33 0.34 0.30 0.33 0.38 0.34 0.34 酸素透過度 (cm3/m2・24Hr・atm) 0.31 0.32 0.31 0.31 0.31 0.31 0.40 引張強度 MD 4.8 4.5 4.9 4.9 4.3 4.7 5.0 (kgf/cm2) TD 4.6 4.6 4.8 5.1 4.2 4.8 5.0 外観 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐油性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐ストレスクラック ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ デュポン衝撃値 23℃ 32 70 20 34 89 38 37 (kgf・cm) -20℃ 6 12 4 7 20 8 7
【0028】 表 4 比 較 例 1 2 3 4 5 光線透過率(%) 91 89 87 92 92 HAZE (%) 3 19 15 4 4 透湿度 (g/m2・24Hr/0.3mm) 0.30 0.34 0.33 0.25 0.32 酸素透過度 (cm3/m2・24Hr・atm) 0.31 0.32 0.31 0.31 85 引張強度 MD 4.7 4.6 4.5 4.8 4.8 (kgf/cm2) TD 4.7 4.5 4.5 5.1 5.0 外観 ○ ○ ○ ○ ○ 耐油性 ○ ○ ○ × ○ 耐ストレスクラック ○ ○ ○ × ○ デュポン衝撃値 23℃ 7 38 62 12 34 (kgf・cm) -20℃ 2 10 12 6 6
【0029】
【発明の効果】本発明による薬品包装用多層ポリマーア
ロイシートは、通常の熱可塑性シートに用いられている
加工方法、例えば押出成形、ドライラミネート等によ
り、容易にシート等に加工され、防湿特性、透明性、剛
性、耐傷付性、耐衝撃性、耐薬品性、耐水性等の物性の
バランスがきわめて良好でかつ、フィルム、シート等成
形加工時の外観及び成形性が優れ、さらに耐油性が良好
であり皮脂等によるストレスクラックなどの問題が無
く、また酸素ガスバリアー性にも優れた新規な薬品包装
用多層ポリマーアロイシートである。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐ストレスクラックを評価する治具の断面図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/28 102 9349−4F 27/32 C 9349−4F // B65D 83/04 D C08L 23/00 LCH 25/00 LDS

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温での各々の屈折率の差が0.03以
    内である、非晶性ポリオレフィン(A)とスチレン系エ
    ラストマー(B)とを配合してなる中間層、ポプロピレ
    ン(C)からなる外層、エチレン−酢酸ビニル共重合体
    けん化物樹脂(D)からなる酸素ガスバリアー層を、外
    層/酸素ガスバリアー層/中間層/酸素ガスバリアー層
    /外層、または外層/酸素ガスバリアー層/中間層/外
    層の順に積層してなることを特徴とする薬品包装用多層
    ポリマーアロイシート。
  2. 【請求項2】 非晶性ポリオレフィン(A)とスチレン
    系エラストマー(B)との配合比率が、99重量%:1
    重量%〜80重量%:20重量%であることを特徴とす
    る請求項1記載の薬品包装用多層ポリマーアロイシー
    ト。
  3. 【請求項3】 非晶性ポリオレフィン(A)が、シクロ
    ペンタジエンないしその誘導体とノルボルナジエンない
    しその誘導体との付加反応物と、エチレン、ブタジエ
    ン、又はスチレン誘導体から選ばれた1種以上の不飽和
    単量体との共重合体又は、その水素添加物であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の薬品包装用多層ポリマ
    ーアロイシート。
  4. 【請求項4】 非晶性ポリオレフィン(A)が、ジシク
    ロペンタジエンないしその誘導体とエチレンとの付加反
    応物と、エチレン、ブタジエン、又はスチレン誘導体か
    ら選ばれた1種以上の不飽和単量体との共重合体又は、
    その水素添加物であることを特徴とする請求項1又は2
    記載の薬品包装用多層ポリマーアロイシート。
  5. 【請求項5】 非晶性ポリオレフィン(A)が、テトラ
    シクロ−3−ドデセンないしその誘導体とビシクロヘプ
    ト−2−エンないしその誘導体からなる開環重合体の水
    素添加物であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    薬品包装用多層ポリマーアロイシート。
  6. 【請求項6】 スチレン系エラストマー(B)が、ブタ
    ジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロッ
    ク共重合体、グラフト共重合体)及びその水添物、スチ
    レン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水添
    スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEB
    S)、イソプレン−スチレン共重合体、水添スチレン−
    イソプレン共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン
    −スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプ
    レン−スチレン共重合体(SEPS)より選ばれた2種
    以上のエラストマーにより、非晶性ポリオレフィン
    (A)と同等の屈折率に調製されたものであることを特
    徴とする請求項1又は2記載の薬品包装用多層ポリマー
    アロイシート。
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Cited By (5)

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