JP3131820B2 - β”−アルミナ焼結体の製造方法 - Google Patents

β”−アルミナ焼結体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、β"−アルミナ焼結体
の製造方法に関するものである。更に詳しくは、Na−
S電池、Na−溶融塩電池、AMTEC(AlkaliMetal
Thermo-Electric Convertor)、SOxセンサ−等に好適
な、Na+イオン導電抵抗の初期値が低く安定であり、
しかも緻密で高強度なβ"−アルミナ焼結体の安価な製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Na−S電池等に使用される固体電解質
として好適なβ"−アルミナ焼結体を得る方法として、
次のような方法が提案されている。1つは、一般にゼ−
タプロセスと呼ばれている方法で、例えば特公昭57−
15063号公報に記載され、以下の工程からなるもの
である。(1)ナトリウム塩粉末とアルミナ粉末とを所
定量混合し仮焼して、β−アルミナ(Na2O・XAl2
3(9≦X≦11))とβ"−アルミナ(Na2O・XA
23(5≦X≦7))とからなる混合物を合成後、粉
砕する。(2)リチウム塩粉末とアルミナ粉末とを所定
量混合し仮焼して、Li2O・5Al23(ゼ−タリチ
ウムアルミネート)を合成後、粉砕する。(3)両者を
有機溶媒中で混合し、粉砕してスラリ−を作製し、スラ
リ−を噴霧乾燥して成形用顆粒を得る。このゼ−タプロ
セスでは、仮焼の工程が最低2回必要であり、さらに焼
成工程とアニール工程を含めると最低でも合計4回の加
熱工程が必要となる。また有機溶媒を使用する混合、粉
砕工程も多くなり、さらにそのために特殊な設備が必要
となるなど製造コストが高くなる。
【0003】その他、大幅に製造コストを低減するため
の方法として提案されたSSSDプロセス(SlurrySolut
ion Spray Drying)と呼ばれる方法がある。これは、水
溶性のナトリウム塩と、同じく水溶性のリチウム塩とを
水溶媒中に完全溶解し、さらにアルミナ粉末を加えてス
ラリ−を調製し、このスラリ−を噴霧乾燥して成形用顆
粒を得る方法である(D.W.Johnson,Jr.et al.,Am.Cram.
Soc.Bull.,58,849-1979)。しかし、このSSSDプロセ
スで製作した成形用顆粒を加圧成形し、焼成したβ"−
アルミナ焼結体は、β"−アルミナ生成率や機械的強度
がともに低く、またNa+イオン導電抵抗の初期値が高
く不安定であり、Na−S電池等の固体電解質としては
不満足なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のゼ−タプロセス
あるいはこれに類似する方法は、混合、仮焼、粉砕等の
工程が多く、しかもLi2O・5Al23などの特定組
成のアルカリアルミネ−トを生成するために緻密な焼成
スケジュ−ル管理が必要になるなど、コストを低減する
ことが困難であった。またSSSDプロセスでは大幅な
コストの低減が期待できるものの、このプロセスで得ら
れるβ"−アルミナ焼結体の密度、機械的強度、Na+
オン導電抵抗等の特性値は不十分なものである。
【0005】本発明は、ゼ−タプロセスよりも大幅に工
程を減らし、しかも簡易に製造を可能とする上に、高密
度、高強度のβ"−アルミナ焼結体を得ることを目的と
する。また、SSSDプロセスよりもβ"−アルミナ生
成率を高め、Na+イオン導電抵抗の初期値が低いβ"−
アルミナ焼結体を得ることも目的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】かかる事情を鑑み、本発
明者らが鋭意検討を行った結果、SSSDプロセスにお
いてNa−S電池等に好適なβ"−アルミナ焼結体が得
られない原因が、リチウム源の添加方法にあることを見
いだし、本発明を完成させるに至ったものである。すな
わち、上記目的を達成するための請求項1の発明は、
(1)アルミナ粉末または熱処理によりアルミナとなる
アルミニウム化合物粉末と、ナトリウム化合物粉末と、
安定化剤として、Li2O・xAl23(1≦x≦4)
で表される組成からなるリチウムアルミネ−ト化合物粉
末とを含む水性のスラリ−を調製する工程と、(2)該
スラリ−を噴霧乾燥し、成形用顆粒とする工程と、
(3)該成形用顆粒を加圧成形し、所定の形状の成形体
とする工程と、(4)該成形体を焼成する工程とを有す
ることを特徴とするβ"−アルミナ焼結体の製造方法を
要旨とする。
【0007】
【0008】請求項2の発明は、前記Li2O・xAl2
3(1≦x≦4)で表される組成からなるリチウムア
ルミネ−ト化合物粉末が予め1000℃以上で仮焼され
たものであることを特徴とする、請求項1に記載のβ"
−アルミナ焼結体の製造方法を要旨とする。
【0009】請求項3の発明は、前記Li2O・xAl2
3(1≦x≦4)で表される組成からなるリチウムア
ルミネ−ト化合物粉末の平均粒径が3μm以下であるこ
とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のβ"−ア
ルミナ焼結体の製造方法を要旨とする。
【0010】アルミナ粉末原料としてα−アルミナ粉
末、γ−アルミナ粉末が使用できる他、加熱処理により
アルミナに変化する水酸化アルミニウム等の粉末も使用
できる。なお、リチウムアルミネ−ト化合物以外の無機
原料に粉砕工程を必要としないようにするため、アルミ
ナ粉末原料は平均粒径が3μm以下の粉末を使用するこ
とが好ましい。
【0011】ナトリウム化合物は、SSSDプロセスの
ように必ずしも水に完全溶解させる必要はなく、粉末あ
るいは顆粒形状のナトリウム化合物で、スラリ−中に均
一分散するものならば固形分として存在しても特に問題
ない。具体的には炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢
酸ナトリウム、蓚酸ナトリウム等の粉末及び顆粒が使用
できる。しかし、無機原料の混合時におけるナトリウム
成分の偏析は、β"−アルミナ焼結体の強度を低下させ
る原因となる大きさ100μm以上の空隙の発生源とな
ることから、水溶性のナトリウム化合物を使用した方が
好ましい。
【0012】リチウムアルミネ−ト化合物中のLi2
に対するAl23のモル比(X)を1以上4以下とした
のは以下の理由による。すなわち、X=0としてリチウ
ム塩にLi2Oという水溶性の化合物を選択すると、S
SSDプロセスと同方法となり優れた特性のβ"−アル
ミナ焼結体は得られない。0<X<1の範囲では、リチ
ウムアルミネ−ト化合物中にAl23成分と未反応のL
2O成分が存在することや、化学的に不安定なLi5
lO4が存在するため、得られたβ"−アルミナ焼結体の
特性はSSSDプロセスのものと比較して優位性が少な
い。
【0013】またXの値が4より大きくなると、アルミ
ナ粉末と微量のリチウム塩粉末との混合が不十分と成り
易く、その結果Li成分の不均質な仮焼体となる可能性
がある。そのようなLi成分の不均質な仮焼体を用いて
成形用顆粒とし、成形体を作製すると、焼成の際にリチ
ウム成分の偏析によるβ"−アルミナ粒子の異常粒成長
が発生し、β"−アルミナ焼結体の強度低下を引き起す
可能性がある。また同時にβ"−アルミナ生成率の低下
も起こり、β"−アルミナ焼結体の電気的特性も劣るこ
ととなる。さらにスラリ−調製時点において、安定化剤
として必要なリチウム源を確保するために添加すべきリ
チウムアルミネ−ト化合物の無機原料に占める割合も高
くなるため、コスト低減に対して不利となり好ましくな
い。
【0014】なお、リチウムアルミネ−ト化合物のLi
2Oに対するAl23のモル比Xを1〜3とし、またその
粒度分布が狭く、平均粒径が1μm以下となるように粉
砕したリチウムアルミネ−ト化合物粉末を用いるのが特
に好ましい。これは、リチウム成分がサブミクロンサイ
ズで分散した成形用顆粒が得られ、β"−アルミナの生
成反応とβ"−アルミナ焼結反応が均一進行し、β"−ア
ルミナ焼結体がとりわけ微細な組織を持ち、よって機械
的強度が高く、かつNa+イオン電導性の優れた焼結体
となるためである。
【0015】リチウム原料とアルミニウム原料とからな
るリチウムアルミネ−ト化合物を得る際の仮焼温度を1
000℃以上とした理由は以下の理由による。1000
℃未満では、未反応のα−アルミナが残留したり、化学
的に不安定なβ−LiAlO2が残留し、焼結体中のβ"
−アルミナ生成率を低下させる原因となるからである。
よって、1000℃以上で仮焼したリチウムアルミネ−
ト化合物:Li2O・XAl23(1≦X≦4)、具体的に
は結晶相がγ-LiAlO2の単相あるいはγ-LiAl
2とLiAl58との混合相であるリチウムアルミネ
−ト化合物が、β"−アルミナ生成率の高いβ"−アルミ
ナ焼結体を得るためには重要である。
【0016】リチウムアルミネ−ト化合物を仮焼によっ
て作製する場合に使用するリチウム原料は、アルミナ原
料と仮焼して使用するため、SSSDプロセスで規定す
るような水溶性の塩類である必要はない。例えば炭酸リ
チウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、蓚酸リチウム等
の粉末及び顆粒が使用でき、またそれらの混合物も使用
できる。特にアルミナ原料との混合を均一化するため
に、粒度分布が狭く、平均粒径が1μm以下の粉末ある
いは顆粒が望ましい。
【0017】
【作用】SSSDプロセスの様に、ナトリウム塩、リチ
ウム塩、アルミナ粉末の3成分からなる混合物を加熱処
理してβ"−アルミナの合成と焼結を同時に行うと、9
00〜1300℃の昇温過程でアルミナとナトリウムと
の間で起こるβ−アルミナ化、あるいはβ"−アルミナ
化の反応の初期段階をリチウム成分が阻害する。このた
め、SSSDプロセスで得られる焼結体は、β"−アル
ミナ生成率と焼結性がともに低く、Na−S電池等に好
適なβ"−アルミナ焼結体とはならない。これに対して
本発明では、リチウムアルミネ−ト化合物:Li2O・X
Al23(1≦X≦4)を用いることにより、β"−アルミ
ナの(構造)安定化剤であるリチウム成分がアルミナ成
分と化合物を形成しているため、少なくとも仮焼温度で
ある1000℃までは化学的に安定な形となり、それよ
り低温でのアルミナとナトリウムとの間で起こるβ−ア
ルミナ化、さらにβ−アルミナからβ"−アルミナへの
反応の初期段階を阻害することがなくなる。そのため、
β"−アルミナ生成率が高く、Na+イオン電導性に優れ
た特性を有するβ"−アルミナ焼結体が得られる。
【0018】また本発明では、β"−アルミナ焼結体の
微量成分であるリチウム塩のみをリチウムアルミネ−ト
化合物として使用し、主成分であるアルミナ原料とナト
リウム塩はそのままスラリ−中へ混合し、反応焼結す
る。すなわち、β"−アルミナ粉末を出発原料として使
用しないため、大気中の水分と反応し分解し易いβ"−
アルミナの粉末に対する取扱いの配慮が必要でなくな
る。
【0019】
【実施例】以下に、本発明の範囲の実施例および本発明
の範囲外のものについても比較例として記載する。工業
的に二次電池の固体電解質としてβ"−アルミナ焼結体
を用いる場合には、通常は有底円筒状(片端を封じたチ
ュ−ブ形状)の焼結体を使用する。そこで、各実施例、
各比較例ともに、スラリ−を調製した後は、同一条件で
噴霧乾燥、造粒し、成形圧1.5×103Kg/cm2
CIP(冷間静水圧プレス)にて有底円筒状の成形体と
し、適宜焼成温度を変化させて有底円筒状のβ"−アル
ミナ焼結体とし、それぞれ評価を行った。なおβ"−ア
ルミナ焼結体の寸法は、収縮率が各例で異なり若干のバ
ラツキが生じるものの、有底円筒状で内径22mmφ×
外径25mmφ×50mmLのサイズとなるようにし
た。
【0020】なお各例のβ"−アルミナ焼結体の評価
は、以下の方法で行った。 焼結体密度:エタノ−ルを用いたアルキメデス法で測
定した。 β"−アルミナ生成率:各β"−アルミナ焼結体を粉砕
し、粉末X線回折測定を行い、得られたデータのβ"相
(01 11)のピーク強度Iβ"とβ相(01 7)のピーク強度I
βから次の式で算出した。 β"−アルミナ生成率(%)=Iβ"/(Iβ"+Iβ)
×100 圧環強度:有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体から幅
3mmのリング状体を10本切り出し、径方向に1軸圧縮
加圧したときのリング状体の破壊強度の平均値を算出し
た。 比抵抗値:アルゴン雰囲気、350℃のグロ−ブボッ
クス中で有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体の円筒内側
と円筒外側に金属ナトリウムを接触させ、該焼結体部の
抵抗値を4端子法で測定した。
【0021】実施例1〜4実施例1、2、3、4は、リ
チウムアルミネ−ト化合物:Li2O・XAl23のモル
比Xをそれぞれ1、2、3、4とした例である。その製
造工程を図1に示すとともに、その製造工程のフロ−チ
ャ−トに従って噴霧乾燥までを行った。出発原料として
α−アルミナ粉末、炭酸ナトリウム粉末、炭酸リチウム
粉末を用意した。炭酸ナトリウム、炭酸リチウムは試薬
特級の粉末を用い、α−アルミナは、純度99.9%、
平均粒径2μmの粉末を用いた。
【0022】リチウムアルミネ−ト化合物の合成は以下
の方法で行った。炭酸リチウム粉末とα−アルミナ粉末
のモル比をそれぞれ変化させて、全量が500gとなる
ように秤量し、容積5リットルのロッキングミキサ−に
入れ、1時間の乾式混合を行った。混合した粉末をマグ
ネシア質の容器に入れ、1200℃で2時間の熱処理で
仮焼した後、振動ミルで粉砕して酸化リチウムとアルミ
ナのモル比がそれぞれ異なる平均粒径1.5μmのリチ
ウムアルミネ−ト化合物粉末とした。
【0023】
【表1】
【0024】スラリ−は、仕込重量組成がアルミナ、酸
化ナトリウム、酸化リチウム換算でそれぞれ90.25
%、9.0%、0.75%となるようにし、合計で1K
gとなるように調製した。α−アルミナ、炭酸ナトリウ
ム、リチウムアルミネ−ト化合物の粉末と水1Kgとを
容積10リットルのポットに入れ、さらにアルミナ質球
石とバインダとを加えて2時間混合した。こうして調製
したスラリ−をスプレ−ドライヤ−で噴霧乾燥して、造
粒し、100メッシュ篩で造粒粉をふるい分けした。次
いで上記の成形条件で有底円筒状の成形体とし、高純度
マグネシア容器内に設置し、1570℃で焼成した。昇
温速度は5℃/分とし、最高温度で60分間保持し、5
℃/分で降温した。
【0025】こうして得られた有底円筒状のβ"−アル
ミナ焼結体を、上記の試験方法で評価した。その結果を
表1に示す。実施例1〜4のβ"−アルミナ焼結体はす
べて、焼結体密度が3.21g/cm3以上、圧環強度
も272MPa以上と高く、またβ"−アルミナ生成率
は92%以上であり、さらに比抵抗値も4.2Ω・cm
以下であり、Na−S電池等の固体電解質としては十分
なものであった。
【0026】比較例1比較例1は、リチウムアルミネ−
ト化合物:Li2O・XAl23のモル比Xを0.5とし
た例である。モル比を変えた他は実施例1と同じ方法で
有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体を作製し、評価し
た。得られたβ"−アルミナ焼結体は、焼結体密度が
3.14g/cm3、圧環強度も178MPaと低く、
またβ"−アルミナ生成率は69%であり、さらに比抵
抗値も7.3Ω・cmと高く、Na−S電池等の固体電
解質としては不十分なものであった。
【0027】比較例2〜4比較例2、3、4は、リチウ
ムアルミネ−ト化合物:Li2O・XAl23のモル比X
をそれぞれ5、10、20とした例である。モル比を変
えた他は実施例1と同じ方法で有底円筒状のβ"−アル
ミナ焼結体を作製し、評価した。得られたβ"−アルミ
ナ焼結体は、焼結体密度が3.16g/cm3以下、圧
環強度も213MPa以下と低く、またβ"−アルミナ
生成率は71%以下であり、さらに比抵抗値も7.1Ω
・cm以上であり、Na−S電池等の固体電解質として
は不十分なものであった。
【0028】比較例5、6比較例5、6は、ゼ−タプロ
セスを用いてβ"−アルミナ焼結体を作製した例であ
る。その製造工程を図2にフロ−チャ−トとして示すと
ともに、それに従って噴霧乾燥まで行った。ナトリウム
アルミネ−ト化合物としてNa2O・5.25Al23を作
製するため、平均粒径2μmのα−アルミナ粉末と試薬
特級の炭酸ナトリウム粉末をそれぞれ所定量を秤量し、
全量が500gとなるようにした。これを容積5リット
ルのロッキングミキサーに入れ、1時間の乾式混合を行
った。混合した粉末をマグネシア質の容器に入れ、12
50℃で2時間の熱処理で仮焼した後、振動ミルで粉砕
して平均粒径1.5μmのNa2O・5.25Al23なるナ
トリウムアルミネ−ト化合物粉末とした。
【0029】リチウムアルミネ−ト化合物としてLi2
O・5Al23(ゼ−タリチウムアルミネ−ト)を作製
するため、平均粒径2μmのα−アルミナ粉末と試薬特
級の炭酸リチウム粉末を原料としてそれぞれ所定量を秤
量し、全量が500gとなるようにした。これを容積5
リットルのロッキングミキサーに入れ、1時間の乾式混
合を行った。混合した粉末をマグネシア質の容器に入
れ、1250℃で2時間の熱処理で仮焼した後、振動ミ
ルで粉砕して平均粒径1.5μmのLi2O・5Al23
なるリチウムアルミネ−ト化合物粉末とした。
【0030】作製したリチウムアルミネ−ト化合物粉末
とナトリウムアルミネ−ト化合物粉末と平均粒径2μm
のα−アルミナ粉末を、仕込重量組成がアルミナ、酸化
ナトリウム、酸化リチウム換算でそれぞれ90.25
%、9.0%、0.75%で合計が1Kgとなるように
秤量した。これらを20リットルポットにアルミナ質球
石とともに投入し、乾式で20時間粉砕した。得られた
混合粉末1Kgと、有機溶媒としてアセトンを1Kg
と、バインダ−としてPVB(ポリビニルブチラ−ル)
を5gと、アルミナ質球石とを容積10リットルのポッ
トに入れ、2時間混合しスラリ−とした。スラリ−をス
プレ−ドライヤ−で乾燥、造粒し、100メッシュ篩で
ふるい分けした。以後は、焼成温度を比較例5では15
80℃、比較例6では1610℃する他は実施例1と同
様に焼成及び加工を行い、作製したβ"−アルミナ焼結
体を評価した。作製したβ"−アルミナ焼結体は比較例
5では比抵抗値が8.1Ω・cm、比較例6では5.2
Ω・cmと実施例1〜4に比べて高い値であった。
【0031】比較例7、8比較例7、8はSSSDプロ
セスを示す図3のフロ−チャ−トに従ってβ"−アルミ
ナ焼結体を作製した例である。リチウム塩、ナトリウム
塩としてはそれぞれ水溶性の酢酸リチウム、酢酸ナトリ
ウムを用い、アルミナ原料と仕込組成については実施例
1と同一条件とした。なお酢酸リチウム、酢酸ナトリウ
ムは試薬特級を用意した。
【0032】はじめにα−アルミナ粉末、酢酸ナトリウ
ム粉末、酢酸リチウム粉末を所定量でかつ合計で1Kg
となるように秤量し、溶媒として水1Kg、アルミナ質
球石、バインダ−とともに容積10リットルのポットに
入れ、4時間混合してスラリ−とした。次にスラリ−を
スプレ−ドライヤ−で噴霧乾燥を行って造粒し、100
メッシュ篩でふるい分けした。以後は、焼成温度を比較
例7では1580℃、比較例8では1600℃する他は
実施例1と同様に焼成及び加工を行い、作製したβ"−
アルミナ焼結体を評価した。作製したβ"−アルミナ焼
結体は比較例7では切断中に焼結体が崩壊する程脆く、
強度が不十分であった。一方、比較例8でも圧環強度が
120MPaと低く、一方、比抵抗値が9.0Ω・cm
と高く不満足なものであった。
【0033】実施例5、6実施例5、6はリチウムアル
ミネ−ト化合物のモル比X=2とし、その仮焼温度をそ
れぞれ1400℃、1000℃と変えた他は実施例2と
同様に有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体を作製し、評
価した例である。その結果を表2に示す。仮焼により、
リチウムアルミネ−ト化合物としてγ−LiAlO2
LiAl58が生成していた。また得られたβ"−アル
ミナ焼結体はいずれも、Na−S電池等の固体電解質と
しては十分なものであった。
【0034】
【表2】
【0035】比較例9実施例9はリチウムアルミネ−ト
化合物のモル比X=2とし、その仮焼温度を900℃と
した例である。仮焼温度が不十分なため、仮焼体にはβ
-LiAlO2が残留していた。この仮焼体を用い、焼成
温度を1580℃に変える他は実施例2と同様に有底円
筒状のβ"−アルミナ焼結体を作製し、評価した。得ら
れたβ"−アルミナ焼結体はβ"−アルミナ生成率が70
%と低く、また比抵抗値が6.6Ω・cmと高く、Na
−S電池等の固体電解質としては不十分なものであっ
た。
【0036】比較例10実施例10はリチウムアルミネ
−ト化合物のモル比X=2とし、その仮焼温度を800
℃とした例である。仮焼温度が不十分なため、仮焼体に
はβ-LiAlO2、α−アルミナが残留していた。この
仮焼体を用い、焼成温度を1590℃に変える他は実施
例2と同様に有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体を作製
し、評価した。得られたβ"−アルミナ焼結体はβ"−ア
ルミナ生成率が65%、強度は156MPaと低く、一
方、比抵抗値は7.8Ω・cmと高いものであり、Na
−S電池等の固体電解質としては不十分なものであっ
た。
【0037】実施例7実施例7は、1200℃で仮焼し
たモル比X=2のリチウムアルミネ−ト化合物をジェッ
トミルに投入し、平均粒径0.7μmに調製した例であ
る。リチウムアルミネ−ト化合物粉末を平均粒径を0.
7μmとした他は、実施例2と同様に有底円筒状のβ"−
アルミナ焼結体を作製し、評価した。その結果を表3に
示す。得られたβ"−アルミナ焼結体はβ"−アルミナ生
成率が100%であり、圧環強度も356MPaと高
く、さらに比抵抗値は3.1Ω・cmと低く、Na−S
電池等の固体電解質としては特に優れたものであった。
【0038】
【表3】
【0039】実施例8実施例8は、仮焼したモル比X=
2のリチウムアルミネ−ト化合物を振動ミルで平均粒径
3.0μmに調製した例である。リチウムアルミネ−ト
化合物粉末を平均粒径を3.0μmとした他は、実施例
2と同様に有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体を作製
し、評価した。得られたβ"−アルミナ焼結体はβ"−ア
ルミナ生成率が92%、圧環強度は262MPa、比抵
抗値は4.0Ω・cmであり、他の実施例の中では若干
特性が劣るものであった。このようにリチウムアルミネ
−ト化合物粉末の平均粒径が3μm以下で、さらにより
小さい平均粒径であることが好ましいことがわかる。
【0040】比較例11比較例11は、仮焼したモル比
X=2のリチウムアルミネ−ト化合物を乳鉢で粉砕し、
平均粒径を4.2μmに調製した例である。リチウムア
ルミネ−ト化合物粉末を平均粒径を4.2μmとした他
は、実施例2と同様に有底円筒状のβ"−アルミナ焼結
体を作製し、評価した。得られたβ"−アルミナ焼結体
はβ"−アルミナ生成率が85%、圧環強度は151M
Paと低く、一方、比抵抗値は5.2Ω・cmと高いも
のであり、Na−S電池等の固体電解質としては不十分
なものであった。
【0041】比較例12比較例12は、仮焼したモル比
X=2のリチウムアルミネ−ト化合物を未粉砕のまま使
用した例である。その平均粒径は5.8μmであった。
リチウムアルミネ−ト化合物粉末を未粉砕のままとし、
また焼成温度を1800℃とする他は、実施例2と同様
に有底円筒状のβ"−アルミナ焼結体を作製し、評価し
た。得られたβ"−アルミナ焼結体はβ"−アルミナ生成
率が77%、圧環強度は166MPaと低く、一方、比
抵抗値は8.2Ω・cmと高いものであり、Na−S電
池等の固体電解質としては不十分なものであった。
【0042】
【発明の効果】本発明は、アルミナ原料とナトリウム源
とリチウム源とを用いてβ"−アルミナ焼結体を製造す
るにあたり、予め別途に混合、1000℃以上で仮焼し
たリチウムアルミネ−ト化合物:Li2O・XAl2
3(1≦X≦4)を用いるため、β"−アルミナ生成率が高
く、電気的及び機械的特性に優れたβ"−アルミナ焼結
体が得られる。
【0043】また本発明は、β"−アルミナ焼結体の微
量成分であるリチウム塩のみをリチウムアルミネ−ト化
合物として使用し、主成分であるα−アルミナ原料とナ
トリウム源はそのまま水性のスラリ−中に混合する。こ
のためゼ−タプロセスと比較するとナトリウムアルミネ
−トを合成する工程を省略でき、仮焼、粉砕工程を経る
原料粉末を重量比で、従来の1〜10%程度に減らすこ
とができる。さらに有機溶剤を使用しくてもよいなどの
利点があり、総じて大幅な製造工程の簡略化が可能とな
り、製造コストの低減効果はきわめて大となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のβ"−アルミナ焼結体の製造方法を示
すフロ−チャ−ト。
【図2】 ゼ−タプロセスの製造方法を示すフロ−チャ
−ト。
【図3】 SSSDプロセスの製造方法を示すフロ−チ
ャ−ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/113 H01M 10/39

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)アルミナ粉末または熱処理により
    アルミナとなるアルミニウム化合物粉末と、ナトリウム
    化合物粉末と、安定化剤として、Li2O・xAl23
    (1≦x≦4)で表される組成からなるリチウムアルミ
    ネート化合物粉末とを含む水性のスラリーを調製する工
    程と、 (2)該スラリーを噴霧乾燥し、成形用顆粒とする工程
    と、 (3)該成型用顆粒を加圧成形し、所定の形状の成形体
    とする工程と、 (4)該成形体を焼成する工程とを有することを特徴と
    するβ”−アルミナ焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記Li2O・xAl23(1≦x≦
    4)で表される組成からなるリチウムアルミネート化合
    物粉末が予め1000℃以上で仮焼されたものであるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のβ”−アルミナ焼結
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記Li2O・xAl23(1≦x≦
    4)で表される組成からなるリチウムアルミネート化合
    物粉末の平均粒径が3μm以下であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のβ”−アルミナ焼結体の
    製造方法。
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