JP2000016864A - ベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents

ベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造方法

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JP2000016864A
JP2000016864A JP10189373A JP18937398A JP2000016864A JP 2000016864 A JP2000016864 A JP 2000016864A JP 10189373 A JP10189373 A JP 10189373A JP 18937398 A JP18937398 A JP 18937398A JP 2000016864 A JP2000016864 A JP 2000016864A
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alumina
beta
lithium
sintered body
slurry
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Hideki Uematsu
秀樹 上松
Hiroki Sugiura
宏紀 杉浦
Toru Shimamori
融 島森
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機溶剤を用いない安全性の高い製造方法に
よって、ナトリウム硫黄電池の固体電解質として好適な
ベータアルミナ質セラミックス焼結体を得る。 【構成】 乾式法を用いて得られた仮焼物の粉砕粉に、
水に可溶な有機リチウム塩の水溶液を添加・調製した水
系スラリを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベータアルミナ質セラ
ミックス焼結体の製造方法に関する。更に詳しくは、ナ
トリウム硫黄電池、ナトリウム溶融塩電池、熱電変換装
置、AMTEC(Alkali Metal Ther
mo−Electric Convertor)、SO
xセンサ等に好適な高強度のベータアルミナ質焼結体に
関する。
【0002】
【従来の技術】本願発明に係るベータアルミナ質焼結体
とは、NaO・xAl(x=5〜11)の組成
式で表されるものをいい、高いナトリウムイオン伝導性
を有することで知られている。ベータアルミナには、β
−アルミナ(理論組成式;Na O・11Al
とβ”−アルミナ(理論組成式;NaO・5.3Al
)の2種類の結晶形が存在するが、β”−アルミ
ナの方がナトリウムイオン伝導度が高いため、ナトリウ
ム硫黄電池、ナトリウム溶融塩電池、各種センサ用の固
体電解質として使用されている。β”−アルミナは準安
定物質であるため、通常はLiOやMgOを安定化剤
として添加している。
【0003】ナトリウム硫黄電池においては、ベータア
ルミナ質焼結体は有底円筒状の固体電解質管として用い
られており、該電池の陰極活性物質である金属ナトリウ
ムと陽極活性物質である硫黄(多硫化ナトリウム)との
セパレーターとしての役目も果たしている。しかし、ベ
ータアルミナ質焼結体からなる固体電解質管には、電池
の組立工程あるいは運転中に様々な応力が掛かってお
り、過大な応力を受けた場合、破損が生じ、上記の両活
性物質が直接接触することにより急激な発熱反応が起こ
る恐れがある。それゆえ、ベータアルミナ質焼結体に
は、ナトリウムイオン伝導性以外にも高い機械的強度が
要求される。
【0004】現在、様々なベータアルミナ質焼結体の製
造方法が知られている。例えば、特公昭57−1506
3号公報に示される、いわゆる「ゼータプロセス」と呼
ばれる方法である。この製造方法は、アルミナ原料とナ
トリウム原料とを混合、焼成して得られた仮焼粉に、ア
ルミナ原料とリチウム原料とを混合、焼成して得られる
ゼータリチウムアルミネート(理論組成式;LiO・
5Al)仮焼粉を混合、成形、焼結してベータア
ルミナ質焼結体を得る方法である。
【0005】また、大幅に製造コストを低減する方法と
して提案されたSSSDプロセスと呼ばれる方法がある
(D.W.Johnson,Jr.et al.,A
m.Chem.Soc.Bull.,58,849−1
979)。これは、水溶性のナトリウム塩と、同じく水
溶性のリチウム塩とを水溶媒中に完全に溶解した後、さ
らにアルミナ粉末を加えてスラリを調製し、このスラリ
を噴霧乾燥して成形顆粒を得る方法である。
【0006】さらに、α−アルミナとナトリウム源とを
仮焼して得たβ”−アルミナとβ−アルミナの混合粉
に、スラリ調製の段階で溶媒に可溶なリチウム源を添加
する方法が、特開平6−116016号公報に開示され
ている。
【0007】一方、β”−アルミナには、その結晶構造
に基づき劈開性があるため、β”−アルミナ単体では高
強度の焼結体が得られないといった問題点がある。これ
を解決する方法としては、ベータアルミナに正方晶ジル
コニアを添加して破壊靭性および強度を向上させる方法
が、米国特許第4358516号に開示されている。さ
らに、Li2O、Na2OおよびAl2O3よりなるリ
チア安定化β”−アルミナに対して、3〜8mol%の
Y2O3を固溶したジルコニアを1〜7.5体積%含有
させたベータアルミナ質固体電解質が、特開平5−17
209号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち、
特公昭57−15063号公報に開示されている方法
は、ベータアルミナ仮焼粉およびゼータリチウムアルミ
ネート仮焼粉を合成する必要があるため、仮焼工程が最
低2回、更に焼成工程とアニール工程を含めると最低で
も合計4回の加熱・焼成工程が必要となる。また、有機
溶媒を使用した混合工程や、仮焼粉の粉砕工程があるた
め、さらに特殊な設備が必要となるなど、製造コストが
高くなる要因となっている。
【0009】また、上記のSSSDプロセスでは、水に
可溶なナトリウム化合物原料およびリチウム化合物原料
を溶解した水溶液中にアルミナ原料粉末を分散させてス
ラリを調製し、このスラリを用いて造粒、成形、そして
焼成を行なうことで、β”−アルミナの合成とその焼成
とを同時に行なう、いわゆる「反応焼成」を行なってい
る。この反応焼成の弊害としては、スラリに同時添加し
たリチウムが、ナトリウムよりも先にアルミナと反応し
て、β−アルミナ化あるいはβ”−アルミナ化を阻害す
るため、SSSDプロセスを用いて製作したベータアル
ミナ質固体電解質は、β”−アルミナ生成率、機械的強
度、ナトリウムイオン伝導率といった基本特性が十分な
ものとはいえなかった。
【0010】上記の反応焼成の弊害を防止する手段とし
て、予めアルミナ原料とナトリウム原料とを混合、仮焼
してベータアルミナ仮焼粉を調製した後、該仮焼粉と溶
媒に可溶なリチウム原料とを混合してスラリを調製し、
該スラリを乾燥、粉砕、成形、焼成して、ベータアルミ
ナ質固体電解質を得る方法が、前期の特開平6−116
016号公報に開示されている。しかし、この方法で
は、アルミナ原料とナトリウム原料との混合工程および
ベータアルミナ仮焼粉の粉砕工程に有機溶媒を用いた湿
式混合を行なっている。更に、スラリの調製にも有機溶
媒を用いている。したがって、製造装置として特殊な設
備が必要になり、やはり製造コストが高くなる要因にな
っている。
【0011】上記の特開平6−116016号公報に
は、スラリの調製用の溶媒として水を用い、リチウム原
料として水溶性のリチウム塩を用いてもよい、と記載さ
れているが、ベータアルミナの構成元素であるナトリウ
ムは水との反応性に富む性質があるため、アルミナとナ
トリウム原料とを混合、乾燥する際にナトリウムの偏析
を生じたり、ベータアルミナ仮焼粉の粉砕時にナトリウ
ムが水に溶出して焼結体の組成の不均一や原料の仕込み
の組成からズレを生じてしまい、特性の安定したベータ
アルミナ質固体電解質を得ることが難しくなる。
【0012】これら諸問題を解決するために、本発明者
等は、特開平9−221356号公報に開示したベータ
アルミナ質焼結体の製造方法を提案した。しかし、種々
の検討を重ねるうちに、該公報の第3請求項において
は、スラリの調製に用いる溶媒に対する溶解度の低いリ
チウム化合物を用いた場合、溶媒量を増やしてスラリ中
の粉末濃度を低くしないと完全に溶解できない、あるい
は、スラリの粘度が高くなる、といった課題が明らかに
なった。
【0013】また、ベータアルミナ質焼結体の強度向上
のためにジルコニアを添加する方法は、前述したように
米国特許第4358516号、特開平5−17209号
公報に開示されているが、そのマトリックスとなるβ”
−アルミナ系の固体電解質の製造方法は、上述したゼー
タプロセスおよびSSSDプロセスあるいは、これらに
類似した方法に基づいており、個々のプロセスの問題点
を解消するものではない。本発明では、これらの課題を
解決し、且つ、大量生産に適した合理的で安全な製造方
法を用いて、ナトリウムイオン伝導性や機械的強度とい
った固体電解質に必要な基本特性に優れたベータアルミ
ナ質焼結体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1発明のベータアルミ
ナ質セラミックス焼結体の製造方法は、アルミナ原料と
ナトリウム化合物原料とを乾式混合して原料混合物を得
る工程と、該原料混合物を仮焼してベータアルミナ仮焼
物を得る工程と、該仮焼物を乾式粉砕して粉砕物を得る
工程と、該粉砕物と水溶性のリチウム化合物原料を含む
水溶液とを混合して水系スラリを得る工程と、該スラリ
を乾燥・造粒・成形したのち焼結する工程と、を少なく
とも備えたベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造
方法であって、上記リチウム化合物の15〜25℃の水
100gに対する溶解度をS[単位;モル/100gH
O]、上記リチウム化合物1モル中に含まれるリチウ
ム元素のモル数をLとした場合において、以下の数式1
に示す関係式を満たすようなリチウム化合物原料を用い
ることを特徴とする。
【0015】
【数1】S×L≧1
【0016】上記の数式1に規定する関係式を満たす溶
解度Sとリチウム元素1モル中に含まれるリチウム元素
のモル数Lを有する水溶性のリチウム化合物原料を用い
ることにより、水系スラリを調合する際に必要な溶媒と
しての水の添加量を最小限に抑えることができる。数式
1の左辺である「S×L」とは、15〜25℃の水10
0g中に溶解・飽和したリチウム化合物に含まれるリチ
ウム元素のモル量[単位;モル/100gHO]を表
す。これが1以上になるようなリチウム化合物を用いれ
ば、β”−アルミナの合成に必要な量のリチウム化合物
をスラリに容易に溶解することができる。具体的には、
酢酸リチウム、ギ酸リチウム、塩化リチウム、シュウ素
酸リチウム、硝酸リチウム、クエン酸リチウム等を用い
ることができる。表1に代表的なリチウム化合物の溶解
度S、リチウム元素のモル数LおよびS×Lの値を示
す。
【0017】
【表1】
【0018】ところで、ベータアルミナ用のスラリを調
製する際、作業性の目安となるスラリの粉末濃度は70
重量部である。本発明の範囲外のリチウム化合物を用い
た場合、スラリの粉末濃度が70重量部以下であれば、
β”−アルミナの合成に必要な量のリチウム化合物をス
ラリに溶解することができるが、スラリの噴霧乾燥時の
作業性を考えると、スラリの粉末濃度を45重量部以下
にすることが好ましかった。しかし、スラリの水分量が
増すほど、β”−アルミナからのナトリウムの溶出量が
増加して、前述したような諸問題が発生する可能性が高
くなるので、できればスラリの粉末濃度を高くできるこ
とが望まれていた。本発明では、数式1の関係式を満た
すようなリチウム化合物を用いることにより、スラリの
粉末濃度が50重量部以上になってもスラリの調製およ
び乾燥噴霧が容易にできるようになった。ちなみに、ス
ラリにリチウム化合物を添加する方法としては、上記の
水溶性のリチウム塩そのものを添加する以外にも、スラ
リ調製の溶媒である水に水溶性の酸を溶解させ、この酸
性水溶液に塩基性リチウム化合物を添加する方法も可能
である。例えば、水に硝酸を溶解させ、さらに炭酸リチ
ウムを添加して反応させて、硝酸リチウムを生成させる
方法である。また、水にベータアルミナ粉砕粉を分散さ
せた後、水にリチウム化合物を溶解させた水溶液を添加
する方法でもよい。
【0019】また、本発明では、スラリ調製に至る前の
工程において一切溶媒を用いない、いわゆる乾式による
混合および粉砕(以下、それぞれ、乾式混合および乾式
粉砕という)を行なっている。このため、混合時にベー
タアルミナ仮焼粉を長時間水にさらしたり、粉砕時にナ
トリウム分が溶出しやすい破断面を水にさらすことがな
いので、湿式混合や湿式粉砕をした場合と比較してナト
リウム分の溶出量を抑えることができる。ちなみに、用
いるα−アルミナの平均粒径としては、0.5〜4μm
が望ましく、さらに望ましくは1〜2μm、最も望まし
くは1.7〜2.2μmである。粉砕後の仮焼粉の平均
粒径としては、0.5〜3μmが望ましく、さらに望ま
しくは1〜2μm、最も望ましくは1.7〜1.9μm
である。また、本発明の製造方法を用いれば、従来法と
比較して大幅な工程削減が可能となり、製品の製造コス
トを低減することができる。具体例をあげると、前記し
た特開平6−116016号公報に開示された工程は1
0段階あるのに対して、本発明による工程は7段階で済
むため、工程削減と併せて、納期短縮の効果も得られ
る。本発明の工程を図1に、特開平6−116016号
公報に開示された工程を図2にそれぞれ示す。
【0020】第2発明のベータアルミナ質セラミックス
焼結体の製造方法は、第1発明のより好ましい範囲を例
示したものであり、前記リチウム化合物原料として有機
酸リチウム塩を用いることを特徴とする。具体的には、
酢酸リチウム、ギ酸リチウム、クエン酸リチウムといっ
た水溶性の有機酸のリチウム塩を用いることができる。
これらは炭酸リチウムや硫酸リチウムといった一般的な
無機リチウム塩と比較しても水への溶解度が大きく、ス
ラリ調製時の水の添加量を最小限に抑えることが可能で
あるため好ましい。特に酢酸リチウムは最も水に対する
溶解度が高く、スラリの粉末濃度を70重量部にしても
作業性の良好なスラリが得られる。その他にも、数式1
の関係式を満たすものであれば、他の有機酸のリチウム
塩も使用可能である。また、高分子鎖に複数のカルボキ
シル基(−COOH)を有する水溶性の高分子化合物の
リチウム塩も上記の「有機酸のリチウム塩」として使用
可能である。有機酸のリチウム塩は、他の無機リチウム
化合物と異なり、焼成中に有害なガスを発生することが
ないため、特別な処理設備が不要である。有機酸のリチ
ウム塩を添加する方法としては、上記の有機酸のリチウ
ム塩そのものを添加する以外にも、スラリ調製の溶媒で
ある水に水溶性の有機酸を溶解させ、この酸性水溶液に
塩基性リチウム化合物を添加する方法も可能である。例
えば、水に酢酸を溶解させ、さらに炭酸リチウムを添加
して反応させて、酢酸リチウムを生成させる方法であ
る。また、水にベータアルミナ粉砕粉を分散させた後、
水にリチウム化合物を溶解させた水溶液を添加する方法
でもよい。
【0021】第3発明のベータアルミナ質セラミックス
焼結体の製造方法は、前記水系スラリを得る工程におい
て、イットリアを固溶した部分安定化ジルコニアを添加
することを特徴とする。ベータアルミナは前述したよう
に、結晶構造中にナトリウムイオンの伝導面である「コ
ンダクションプレーン」と呼ばれる原子密度の低い層が
存在しているが、この層には劈開性がある。そのため、
ベータアルミナの多結晶体は脆く、強度向上のためにベ
ータアルミナとの反応性を有しない安定化ジルコニアあ
るいは部分安定化ジルコニアを添加する手段が多く提案
されている。ジルコニアは、ベータアルミナ中ではベー
タアルミナの粒子間に存在しており、焼成中のベータア
ルミナ粒子の粒成長をコントロールするものと考えられ
る。しかし、従来技術に見られる湿式混合・湿式粉砕を
行なった場合には、前述したナトリウムやリチウムの偏
析等の欠陥が発生しやすくないり、そこを起点にベータ
アルミナ粒子の異常粒成長を引き起こす。すると、ジル
コニア添加によるベータアルミナ粒子の粒成長のコント
ロールの効果が抑制されてしまい、その結果、ベータア
ルミナの機械的強度の低下を引き起こす。したがって、
本発明のように乾式混合・乾式粉砕といった乾式の調合
工程に基づいてナトリウムやリチウムの偏析を抑制し
た、均一な素地の作製方法を用いることにより、ジルコ
ニア添加の充分な効果を引き出すことが可能になる。
【0022】第4発明のベータアルミナ質セラミックス
焼結体の製造方法は、前記水系スラリを得る工程におい
て、単斜晶の非安定化ジルコニアと、該非安定化ジルコ
ニアを部分安定化ジルコニアにするために必要な量のイ
ットリアと、を添加することを特徴とする。本発明は、
第3発明のベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造
方法を、製造コストをより低減できるようにしたもので
ある。一般に、イットリア安定化ジルコニアは、非安定
化ジルコニアとイットリアを別々に購入する場合よりも
高価であり、製造コストを低減する際に不利である。そ
こで本発明では、スラリ調製時には単斜晶の非安定化ジ
ルコニアと、該非安定化ジルコニアを部分安定化ジルコ
ニアにするために必要な量のイットリアとを添加してお
き、焼成時にイットリアを非安定化ジルコニアに固溶さ
せてベータアルミナの焼成と同時にイットリア部分安定
化ジルコニアを生成させて、目的を達成するものであ
る。
【0023】第5発明のベータアルミナ質セラミックス
焼結体の製造方法は、第3発明乃至第4発明において、
ベータアルミナ100重量部に対するジルコニア元素の
含有量を、イットリアを固溶した部分安定化ジルコニア
換算で10重量部以下とすることを特徴とする。本発明
は、第3発明乃至第4発明に記載のベータアルミナ質セ
ラミックス焼結体の製造方法について、より好ましい範
囲を例示したものである。前述したように、ジルコニア
の添加によりベータアルミナの機械的強度を向上できる
わけであるが、ジルコニアはナトリウムイオン伝導性の
無い材料なので、あまり添加しすぎると、ベータアルミ
ナ固体電解質のナトリウムイオン伝導性の低下を招く。
したがって、ナトリウム硫黄電池、ナトリウム溶融塩電
池、AMTEC、SOxセンサ等に要求される高ナトリ
ウムイオン伝導性のベータアルミナ固体電解質用途に
は、ジルコニアの添加量は10重量部以下に抑えること
が望ましい。
【0024】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。本実施例で作製したベータアルミナの組成比は全
て、酸化物換算にてAl:NaO:LiO=9
0.4:8.85:0.75になるように原料を調合し
た。工程の説明は、原則として(1)ベータアルミナ仮
焼粉の作製、(2)スラリの調製、(3)有底円筒状成
形体の作製、(4)有底円筒状ベータアルミナ焼結体の
作製の順で行なっているが、ゼータプロセスおよびSS
SDプロセスについては、工程の関係上、それぞれ
(5)と(6)に独立して一連のプロセスを説明する。 (1)ベータアルミナ仮焼粉の作製 .乾式混合+乾式粉砕によるベータアルミナ仮焼粉の
作製 α−アルミナ(平均粒径;2μm)および炭酸ナトリウ
ム(試薬一級)をロッキングミキサに投入し、乾式にて
18時間混合を行ない、混合原料粉末を得た。該混合原
料粉末を高純度マグネシア製のルツボに充填し、124
0℃で4時間加熱し、仮焼物を得た。該仮焼物を解砕機
により解砕後、振動ミルを用いて乾式にて4時間粉砕を
行い、平均粒径1.8μmのベータアルミナ仮焼粉を得
た。
【0025】.湿式混合+乾式粉砕によるベータアル
ミナ仮焼粉の作製 α−アルミナ(平均粒径;2μm)および炭酸ナトリウ
ム(試薬一級)をボールミルに投入し、水を溶媒に用い
て18時間混合を行なった。その後溶媒を乾燥・除去し
て、混合原料粉末を得た。該混合原料粉末を高純度マグ
ネシア製のルツボに充填し、1240℃で4時間加熱
し、仮焼物を得た。該仮焼物を解砕機により解砕後、振
動ミルを用いて乾式にて4時間粉砕を行い、平均粒径
1.8μmのベータアルミナ仮焼粉を得た。
【0026】.乾式混合+湿式粉砕によるベータアル
ミナ仮焼粉の作製 α−アルミナ(平均粒径;2μm)および炭酸ナトリウ
ム(試薬一級)をロッキングミキサに投入し、乾式にて
18時間混合を行ない、混合原料粉末を得た。該混合原
料粉末を高純度マグネシア製のルツボに充填し、124
0℃で4時間加熱し、仮焼物を得た。該仮焼物を解砕機
により解砕後、水を溶媒として振動ミルを用いて乾式に
て4時間粉砕を行い、平均粒径1.8μmのベータアル
ミナ仮焼粉を得た。
【0027】.湿式混合+湿式粉砕によるベータアル
ミナ仮焼粉の作製 α−アルミナ(平均粒径;2μm)および炭酸ナトリウ
ム(試薬一級)をボールミルに投入し、水を溶媒に用い
て18時間混合を行なった。その後溶媒を乾燥・除去し
て、混合原料粉末を得た。該混合原料粉末を高純度マグ
ネシア製のルツボに充填し、1240℃で4時間加熱
し、仮焼物を得た。該仮焼物を解砕機により解砕後、水
を溶媒として振動ミルを用いて乾式にて4時間粉砕を行
い、平均粒径1.8μmのベータアルミナ仮焼粉を得
た。
【0028】(2)スラリの調製 .スラリの調製 水溶性のリチウム化合物としては、表2の試料番号1〜
試料番号8に示したものを用いた。各リチウム化合物お
よびバインダを、所定の粉末濃度になるように秤量した
水に溶解させた。ちなみに、スラリの粉末濃度は、表2
に示すようにリチウム化合物の種類によって40〜70
重量部と異なるが、どれもリチウム添加量が酸化物換算
で0.75重量部になるように添加した。ベータアルミ
ナ粉砕粉を添加後、スラリを充分に混合した後、水への
ナトリウムの溶出量を評価するため、pHメータにより
スラリのpHを測定した。その後、400メッシュのふ
るい(目開き37μm)を用いて、振動ふるい機で粗大
粒子、粗大不純物を除去し、スラリの調製を完了した。
【0029】.部分安定化ジルコニアを添加したスラ
リの調製 水溶性のリチウム化合物としては、表3の試料番号1〜
試料番号15に示したものを用いた。各リチウム化合物
およびバインダを、粉末濃度で70重量部になるように
秤量した水に溶解させた。リチウム化合物は、リチウム
添加量が酸化物換算で0.75重量部になるように添加
した。その後、ベータアルミナ粉砕粉、イットリアを3
モル%固溶したイットリア部分安定化ジルコニアを、表
3に示すように0〜12重量部の範囲で添加した。スラ
リを充分に混合した後、水へのナトリウムの溶出量を評
価するため、pHメータによりスラリのpHを測定し
た。その後、400メッシュのふるい(目開き37μ
m)を用いて、振動ふるい機で粗大粒子、粗大不純物を
除去し、スラリの調製を完了した。
【0030】.非安定化ジルコニア+イットリアを添
加したスラリの調製 水溶性のリチウム化合物としては、酢酸リチウムを用い
た。酢酸リチウムおよびバインダを、粉末濃度で70重
量部になるように秤量した水に溶解させた。酢酸リチウ
ムは、リチウム添加量が酸化物換算で0.75重量部に
なるように添加した。その後、表4に示すように、ベー
タアルミナ粉砕粉、非安定化ジルコニアとイットリア
を、イットリア添加量で3モル%になる配合比で添加し
た。また、スラリを充分に混合した後、水へのナトリウ
ムの溶出量を評価するため、pHメータによりスラリの
pHを測定した。その後、400メッシュのふるい(目
開き37μm)を用いて、振動フルイ機で粗大粒子、粗
大不純物を除去し、スラリの調製を完了した。
【0031】(3)有底円筒状成形体の作製 スラリをスプレードライヤーを用いて乾燥、造粒して、
造粒粉末を得た。該造粒粉末をCIP法(冷間静水圧プ
レス法)により、成形圧力1500kg/cm で有底
円筒状に成形した。成形体の寸法は、外径54mm×内
径48mm×全長480mmとした。
【0032】(4)有底円筒状ベータアルミナ焼結体の
作製 有底円筒状成形体の焼成は、原則、以下の条件で行なっ
た。 焼成条件;昇温5℃/分→1600℃×30分→降温1
0℃/分 但し、部分安定化ジルコニアを添加した系では、以下の
ように焼成温度は1590℃とした。 焼成条件;昇温5℃/分→1590℃×30分→降温1
0℃/分 有底円筒状ベータアルミナ焼結体は、各条件ごとに20
本ずつ作製した。
【0033】(5)ゼータプロセスによる有底円筒状ベ
ータアルミナ焼結体の製造 .ゼータプロセス α−アルミナ(平均粒径;2μm)および炭酸ナトリウ
ム(試薬一級)をボールミルに投入し、アセトンを溶媒
に用いて4時間混合を行なった。その後溶媒を乾燥・除
去して、混合原料粉末を得た。該混合原料粉末を高純度
マグネシア製のルツボに充填し、1240℃で4時間加
熱し、仮焼物を得た。一方、α−アルミナ(平均粒径;
2μm)および酢酸リチウム(試薬一級)をボールミル
に投入し、アセトンを溶媒に用いて4時間混合を行なっ
た。その後溶媒を乾燥・除去して、混合原料粉末を得
た。該混合原料粉末を高純度マグネシア製のルツボに充
填し、1240℃で4時間加熱し、ゼータリチウムアル
ミネート仮焼物を得た。得られた前記仮焼物とゼータリ
チウムアルミネート仮焼物を所定の組成比になるように
秤量して、ボールミルによりアセトン溶媒中で4時間混
合、粉砕した。次いでバインダを加えて、さらに2時間
混合した後、400メッシュのふるい(目開き37μ
m)を用いて、振動フルイ機で粗大粒子、粗大不純物を
除去し、スラリの調製を完了した。その後、該スラリを
スプレードライヤを用いて乾燥、造粒し、次いで100
メッシュのふるい(目開き150μm)を用いてふるい
分けして造粒粉末を得た。該造粒粉末をCIP法(冷間
静水圧プレス法)により、成形圧力1500kg/cm
で有底円筒状に成形した。成形体の寸法は、外径54
mm×内径48mm×全長480mmとした。有底円筒
状成形体の焼成は、以下の条件で行なった。 焼成条件;昇温5℃/分→1600℃×30分→降温1
0℃/分 有底円筒状ベータアルミナ焼結体は、各条件ごとに20
本ずつ作製した。
【0034】.ゼータプロセス+部分安定化ジルコニ
ア添加 α−アルミナ(平均粒径;2μm)および炭酸ナトリウ
ム(試薬一級)をボールミルに投入し、アセトンを溶媒
に用いて4時間混合を行なった。その後溶媒を乾燥・除
去して、混合原料粉末を得た。該混合原料粉末を高純度
マグネシア製のルツボに充填し、1240℃で4時間加
熱し、仮焼物を得た。一方、α−アルミナ(平均粒径;
2μm)および酢酸リチウム(試薬一級)をボールミル
に投入し、アセトンを溶媒に用いて4時間混合を行なっ
た。その後溶媒を乾燥・除去して、混合原料粉末を得
た。該混合原料粉末を高純度マグネシア製のルツボに充
填し、1240℃で4時間加熱し、ゼータリチウムアル
ミネート仮焼物を得た。得られた前記仮焼物とゼータリ
チウムアルミネート仮焼物を所定の組成比になるように
秤量して、ボールミルによりアセトン溶媒中で4時間混
合、粉砕した。次いでイットリアを3モル%固溶したイ
ットリア部分安定化ジルコニア10重量部とバインダを
加えて、さらに2時間混合した後、400メッシュのふ
るい(目開き37μm)を用いて、振動フルイ機で粗大
粒子、粗大不純物を除去し、スラリの調製を完了した。
その後、該スラリをスプレードライヤを用いて乾燥、造
粒し、次いで100メッシュのふるい(目開き150μ
m)を用いてふるい分けして造粒粉末を得た。該造粒粉
末をCIP法(冷間静水圧プレス法)により、成形圧力
1500kg/cmで有底円筒状に成形した。成形体
の寸法は、外径54mm×内径48mm×全長480m
mとした。有底円筒状成形体の焼成は、以下の条件で行
なった。 焼成条件;昇温5℃/分→1590℃×30分→降温1
0℃/分 有底円筒状ベータアルミナ焼結体は、各条件ごとに20
本ずつ作製した。
【0035】(6)SSSDプロセスによる有底円筒状
ベータアルミナ焼結体の製造 .SSSDプロセス α−アルミナ(平均粒径;2μm)、酢酸リチウム(試
薬一級)、炭酸ナトリウム(試薬一級)およびバインダ
をボールミルに投入し、アセトンを溶媒に用いて4時間
混合を行なった。水へのナトリウムの溶出量を評価する
ため、pHメータによりスラリのpHを測定した。その
後、400メッシュのふるい(目開き37μm)を用い
て、振動フルイ機で粗大粒子、粗大不純物を除去し、ス
ラリの調製を完了した。スラリをスプレードライヤーを
用いて乾燥、造粒して、造粒粉末を得た。該造粒粉末を
CIP法(冷間静水圧プレス法)により、成形圧力15
00kg/cm で有底円筒状に成形した。成形体の寸
法は、外径54mm×内径48mm×全長480mmと
した。有底円筒状成形体の焼成は、以下の条件で行なっ
た。 焼成条件;昇温5℃/分→1600℃×30分→降温1
0℃/分 有底円筒状ベータアルミナ焼結体は、各条件ごとに20
本ずつ作製した。
【0036】.SSSDプロセス+部分安定化ジルコ
ニア添加 α−アルミナ(平均粒径;2μm)、酢酸リチウム(試
薬一級)、炭酸ナトリウム(試薬一級)、イットリアを
3モル%固溶したイットリア部分安定化ジルコニア10
重量部およびバインダをボールミルに投入し、アセトン
を溶媒に用いて4時間混合を行なった。水へのナトリウ
ムの溶出量を評価するため、pHメータによりスラリの
pHを測定した。その後、400メッシュのふるい(目
開き37μm)を用いて、振動フルイ機で粗大粒子、粗
大不純物を除去し、スラリの調製を完了した。スラリを
スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒して、造粒粉末
を得た。該造粒粉末をCIP法(冷間静水圧プレス法)
により、成形圧力1500kg/cm で有底円筒状に
成形した。成形体の寸法は、外径54mm×内径48m
m×全長480mmとした。有底円筒状成形体の焼成
は、以下の条件で行なった。 焼成条件;昇温5℃/分→1590℃×30分→降温1
0℃/分 有底円筒状ベータアルミナ焼結体は、各条件ごとに20
本ずつ作製した。
【0037】(7)β”−アルミナ生成率の測定 .仮焼粉のβ”−アルミナ生成率の測定 仮焼粉のβ”−アルミナ生成率(以下、β”化率ともい
う)は、以下のように測定した。まず、仮焼粉を平均粒
径1μmに粉砕した後、X線回折法にて分析を行なっ
た。次に、得られたX線回折線のピークのうち、β”相
(0 1 11)のピーク強度Iβ”と、β相(0 1
7)のピーク強度Iβと、α−アルミナ相(1 1
3)のピーク強度Iαおよびアルミン酸ソーダ相(1
0 0)のピーク強度IAから、以下の数式2により算
出した。結果を表2および表3に併記した。
【0038】
【数2】β”−アルミナ生成率(%)=100×Iβ”
/(Iβ”+Iβ+Iα+IA)
【0039】.焼結体のβ”−アルミナ生成率の測定 焼結体のβ”−アルミナ生成率(以下、β”化率ともい
う)は、以下のように測定した。まず、焼結体を平均粒
径1μmに粉砕した後、X線回折法にて分析を行なっ
た。次に、得られたX線回折線のピークのうち、β”相
(0 1 11)のピーク強度Iβ”と、β相(0 1
7)のピーク強度Iβと、α−アルミナ相(1 1
3)のピーク強度Iαおよびアルミン酸ソーダ相(1
0 0)のピーク強度IAから、上記の数式2により算
出した。結果を表2、表3および表4に併記した。
【0040】(8)α−アルミナ残存率の測定 .仮焼粉のα−アルミナ残存率の測定 仮焼粉のα−アルミナ残存率(以下、α残存率ともい
う)は、以下のように測定した。まず、仮焼粉を平均粒
径1μmに粉砕した後、X線回折法にて分析を行なっ
た。次に、得られたX線回折線のピークのうち、β”相
(0 1 11)のピーク強度Iβ”と、β相(0 1
7)のピーク強度Iβと、α−アルミナ相(1 1
3)のピーク強度Iαおよびアルミン酸ソーダ相(1
0 0)のピーク強度IAから、以下の数式3により算
出した。結果を表2および表3に併記した。
【0041】
【数3】α−アルミナ生成率(%)=100×Iα/
(Iβ”+Iβ+Iα+IA)
【0042】.焼結体のα−アルミナ残存率の測定 焼結体のα−アルミナ残存率(以下、α残存率ともい
う)は、以下のように測定した。まず、焼結体を平均粒
径1μmに粉砕した後、X線回折法にて分析を行なっ
た。次に、得られたX線回折線のピークのうち、β”相
(0 1 11)のピーク強度Iβ”と、β相(0 1
7)のピーク強度Iβと、α−アルミナ相(1 1
3)のピーク強度Iαおよびアルミン酸ソーダ相(1
0 0)のピーク強度IAから、上記の数式3により算
出した。結果を表2、表3および表4に併記した。
【0043】(9)アルミン酸ソーダ生成率の測定 .仮焼粉のアルミン酸ソーダ生成率の測定 仮焼粉のアルミン酸ソーダ生成率は、以下のように測定
した。まず、仮焼粉を平均粒径1μmに粉砕した後、X
線回折法にて分析を行なった。次に、得られたX線回折
線のピークのうち、β”相(0 1 11)のピーク強度
Iβ”と、β相(0 1 7)のピーク強度Iβと、α
−アルミナ相(1 1 3)のピーク強度Iαおよびア
ルミン酸ソーダ相(1 0 0)のピーク強度IAか
ら、以下の数式4により算出した。結果を表2および表
3に併記した。
【0044】
【数4】アルミン酸ソーダ生成率(%)=100×IA
/(Iβ”+Iβ+Iα+IA)
【0045】.のアルミン酸ソーダ生成率の測定 仮焼粉のアルミン酸ソーダ生成率は、以下のように測定
した。まず、仮焼粉を平均粒径1μmに粉砕した後、X
線回折法にて分析を行なった。次に、得られたX線回折
線のピークのうち、β”相(0 1 11)のピーク強度
Iβ”と、β相(0 1 7)のピーク強度Iβと、α
−アルミナ相(1 1 3)のピーク強度Iαおよびア
ルミン酸ソーダ相(1 0 0)のピーク強度IAか
ら、上記の数式4により算出した。結果を表2、表3お
よび表4に併記した。
【0046】(10)焼結体の相対密度の測定 作製した焼結体の密度をアルキメデス法により得られた
密度Aと、原料組成から算出した理論密度Tとから、以
下の数式5により相対密度を算出した。データには、各
条件ごと20本の測定値の平均値を用いた。結果を表
2、表3および表4に併記した。
【0047】
【数5】相対密度=100×T/A
【0048】(11)ナトリウムイオン伝導率の測定 ナトリウムイオン伝導率(以下、比抵抗ともいう)の測
定は、以下のように行なった。すなわち、アルゴン雰囲
気中、350℃のグローブボックス中で、有底管状ベー
タアルミナ焼結体の円筒内側と円筒外側とに金属ナトリ
ウムを接触させ、抵抗値を4端子法で測定した。データ
には、各条件ごと10本の測定値の平均値を用いた。結
果を表2、表3および表4に併記した。
【0049】(12)内圧破壊強度の測定 内圧破壊強度(以下、内圧強度ともいう)の測定は、以
下のように行なった。すなわち、有底管状ベータアルミ
ナ焼結体の円筒内壁面全体に均一に圧力をかけていき、
破壊した時点における印加圧力Pと焼結体の内半径
1、外半径r2とから、以下の数式6から近似的に算出
される。データには、各条件ごと10本の測定値の平均
値を用いた。結果を表2、表3および表4に併記した。
【0050】
【数6】内圧破壊強度=P×(r2 +r1 )/(r2
−r1
【0051】表2は、第1発明および第2発明の実施例
である試料番号1〜試料番号5と、比較例である試料番
号6〜試料番号13についての結果を示す。ベータアル
ミナ仮焼粉のβ”化率を比較すると、本発明の乾式によ
る混合、粉砕よりも、湿式による混合、粉砕を行なった
方がβ”化率が高い。しかし、最終的な焼結体で比較す
ると、本発明の乾式による混合、粉砕の方がβ”化率が
高い結果となった。ベータアルミナ仮焼粉のα残存率と
アルミン酸ソーダ生成率を比較すると、本発明の乾式に
よる混合、粉砕の方が、湿式による混合、粉砕を行なっ
た場合よりもα残存率とアルミン酸ソーダ生成率ともに
低い。これは、乾式によりナトリウムの溶出、偏析が抑
えられ、その結果、α−アルミナとナトリウムとが高効
率で反応したものと推察される。スラリのpHの測定結
果では、SSSDプロセスが最もアルカリ性が高く、続
いて湿式混合+湿式粉砕、湿式粉砕、湿式混合、乾式混
合+乾式粉砕の順でアルカリ性が低くなった。アルカリ
性の高いスラリ程、ナトリウム成分がスラリ中に溶出し
ていることを示すものであり、このようなアルカリ性の
高い条件下では、通常用いられる分散剤や結合剤が効果
的に作用しなくなり、スラリ粘度が増加するといった問
題が生じ易くなり好ましくない。したがって、スラリの
アルカリ性を最も低くできる本発明の乾式混合+乾式粉
砕が最も好ましい。比抵抗を比較すると、数式1のS×
Lの値が1以上である試料番号1〜試料番号5の比抵抗
が2.6〜2.9Ωcmと、他の比較例よりも低いこと
が分かる。特に、S×Lが4.55と最も大きい試料番
号1では、比抵抗が2.6Ωcmと、他の実施例よりも
低いことが分かる。内圧強度においても、数式1のS×
Lの値が1以上である試料番号1〜試料番号5が131
〜146MPaと良好である。S×Lが4.55と最も
大きい試料番号1では、内圧強度においても、145M
Paと良好である。相対密度に関しても、数式1のS×
Lの値が1以上である試料番号1〜試料番号5では9
9.5〜99.8%と良好である。特に、S×Lが4.
55と最も大きい試料番号1では、99.8%と最も良
好である。表2によれば、リチウム化合物としてシュウ
素酸リチウム(S×L=1.34)、硝酸リチウム(S
×L=1.06)、塩化リチウム(S×L=1.96)
といった無機リチウム塩を用いた場合と、リチウム化合
物として酢酸リチウム(S×L=4.55)、ギ酸リチ
ウム(S×L=1.15)といった有機酸リチウム塩を
用いた場合の方が、上記の各特性値が良好な結果を示し
ていることがわかる。この理由の詳細は不明であるが、
有機酸リチウム塩を用いた方が、無機リチウム塩を用い
た場合よりも、焼結体に残存する不可避不純物が少ない
からと推察される。以上の結果より、S×Lが1以上
の、水に対するリチウムイオンの溶解度の良好なリチウ
ム化合物を用いれば、スラリの粉末濃度を高く維持で
き、さらに、良好な特性を有するベータアルミナ焼結体
が得られる。
【0052】
【表2】
【0053】表3は、第3発明および第5発明の実施例
である試料番号1〜試料番号7、試料番号9〜試料番号
12と、比較例である試料番号8、試料番号13〜試料
番号17についての結果を示す。相対密度を比較する
と、本発明の実施例である試料番号1〜試料番号7、試
料番号9〜試料番号12では、99.8〜99.9%と
良好であるのに対して、比較例である試料番号8、試料
番号13〜試料番号17では、82.3〜99.7%と
低い傾向にある。β”化率を比較すると、本発明の実施
例である試料番号1〜試料番号7、試料番号9〜試料番
号12では、99.5〜99.9%と良好であるのに対
して、比較例である試料番号8、試料番号13〜試料番
号17では、65.3〜99.9%と低い傾向がみられ
る。試料番号1〜試料番号8は、ジルコニアの添加量を
0〜12重量部に振った結果である。本発明の実施例で
ある試料番号1〜試料番号7では、比抵抗が2.6〜
3.4Ωcmと実用範囲内であるが、ジルコニアの添加
量を12重量部とした試料番号8では4.0Ωcmとな
り、実用範囲を越える結果となった。また、本発明の範
囲外である試料番号13〜試料番号17では、比抵抗は
3.9〜4.4Ωcmと実用範囲を殆ど上回る結果とな
った。さらに、内圧強度を比較すると、ジルコニア添加
量が増えるにつれて、内圧強度が高まることがわかる。
しかし、比抵抗値との兼ね合いから、やはり10重量部
までに抑えることが望ましい。試料番号9〜12は、ジ
ルコニア添加量を10重量部に固定してリチウム化合物
の種類を振ったものであるが、水に対するリチウムの溶
解度の高いもの程、比抵抗、内圧強度共に良好になる傾
向が分かる。また、本発明の範囲外である試料番号13
〜試料番号17では、特に比抵抗の面で低い特性を示す
結果となった。
【0054】
【表3】
【0055】表4は、第4発明および第5発明の実施例
である試料番号1〜試料番号7についての結果を示す。
相対密度を比較すると、本発明の実施例である試料番号
1〜試料番号7では、全て99.9%と良好である。
β”化率を比較すると、ジルコニア未添加の試料番号1
で99.5%と最も低く、添加量が増えるにつれて高く
なり、ジルコニア添加量が8重量部以上の試料番号6、
試料番号7で99.9%となっている。比抵抗について
は、2.6〜3.4Ωcmと実用範囲内であるが、ジル
コニアの添加量が増えるにつれて比抵抗が上昇してい
く。本発明においても、比抵抗値との兼ね合いから、ジ
ルコニア添加量はやはり10重量部までに抑えることが
望ましい。内圧強度については、145〜220MPa
と実用範囲内であり、ジルコニアの添加量が増えるにつ
れて強度が上昇していくが、比抵抗値との兼ね合いか
ら、ジルコニア添加量はやはり10重量部までに抑える
ことが望ましい。
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、従来法の課題を解決
し、且つ、大量生産に適した合理的で安全な製造方法を
用いて、ナトリウムイオン伝導性や機械的強度といった
固体電解質に必要な基本特性に優れたベータアルミナ質
焼結体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明によるベータアルミナ質セラミック焼
結体の製造方法の流れを示す説明図。
【図2】従来法によるベータアルミナ質セラミック焼結
体の製造方法の流れを示す説明図。
【図3】第3発明によるベータアルミナ質セラミック焼
結体の製造方法の流れを示す説明図。
【図4】第2発明によるベータアルミナ質セラミック焼
結体の製造方法の流れを示す説明図。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA02 AA03 AA12 AA17 AA36 BA03 CA01 GA03 GA08 5H029 AJ02 AJ11 AJ14 AK05 AL13 AM15 BJ02 CJ01 CJ02 CJ06 CJ08 DJ17 EJ03 EJ05 HJ01 HJ10 HJ14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ原料とナトリウム化合物原料と
    を乾式混合して原料混合物を得る工程と、 該原料混合物を仮焼してベータアルミナ仮焼物を得る工
    程と、 該仮焼物を乾式粉砕して粉砕物を得る工程と、 該粉砕物と水溶性のリチウム化合物原料を含む水溶液と
    を混合して水系スラリを得る工程と、 該スラリを乾燥・造粒・成形したのち焼結する工程と、
    を少なくとも備えたベータアルミナ質セラミックス焼結
    体の製造方法であって、 上記リチウム化合物の15〜25℃の水100gに対す
    る溶解度をS[単位;モル/100gHO]、上記リ
    チウム化合物1モル中に含まれるリチウム元素のモル数
    をLとした場合において、 以下の関係式を満たすようなリチウム化合物原料を用い
    ることを特徴とするベータアルミナ質セラミックス焼結
    体の製造方法。 S×L≧1
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のベータアルミナ質セラ
    ミックス焼結体の製造方法であって、 前記リチウム化合物原料が有機酸リチウム塩であること
    を特徴とするベータアルミナ質セラミックス焼結体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至請求項2に記載のベータア
    ルミナ質セラミックス焼結体の製造方法であって、 前記水系スラリを得る工程において、イットリアを固溶
    した部分安定化ジルコニアを添加することを特徴とする
    ベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項2に記載のベータア
    ルミナ質セラミックス焼結体の製造方法であって、 前記水系スラリを得る工程において、単斜晶の非安定化
    ジルコニアと、 該非安定化ジルコニアを部分安定化ジルコニアにするた
    めに必要な量のイットリアと、を添加することを特徴と
    するベータアルミナ質セラミックス焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3乃至請求項4に記載のベータア
    ルミナ質セラミックス焼結体の製造方法であって、 ベータアルミナ100重量部に対するジルコニア元素の
    含有量を、イットリアを固溶した部分安定化ジルコニア
    換算で10重量部以下とすることを特徴とするベータア
    ルミナ質セラミックス焼結体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100399758B1 (ko) * 2000-11-17 2003-09-29 한국에너지기술연구원 알칼리 금속 열전발전용 베타투프라임-알루미나 분말 및고체전해질 제조방법
JP2013183070A (ja) * 2012-03-02 2013-09-12 Sumitomo Electric Ind Ltd 支持基板の製造方法および支持基板、ならびに半導体ウェハの製造方法

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