JP3131467B2

JP3131467B2 - カラー受像管

Info

Publication number: JP3131467B2
Application number: JP03193806A
Authority: JP
Inventors: 英治蒲原; 淳一木宮
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1991-08-02
Filing date: 1991-08-02
Publication date: 2001-01-31
Anticipated expiration: 2016-01-31
Also published as: JPH0541181A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管に係
り、特に電子銃の電極に磁化可能な磁性体を取付けて、
ネック外からこの磁性体を着磁して電子ビームの軌道を
補正することにより、蛍光体スクリーン上における静か
コンバーゼンスや色純度などを調整するカラー受像管に
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、図３に示すよう
に、パネル１およびこのパネル１に一体に接合されたフ
ァンネル２からなる外囲器を有し、そのファンネル２の
ネック３内に配設された電子銃４から放出される３電子
ビーム5B，5G，5Rをファンネル２の外側に装着された偏
向ヨーク６の発生する磁界により偏向し、上記パネル１
の内側に配置されたシャドウマスク７を介して、上記パ
ネル１の内面に形成された蛍光体スクリーン８を水平、
垂直走査することにより、この蛍光体スクリーン８上に
カラー画像を表示する構造に形成されている。

【０００３】この蛍光体スクリーン８上に描かれるカラ
ー画像の品位を良好にするためには、電子銃４から放出
される３電子ビーム5B，5G，5Rを蛍光体スクリーン８上
の一点に集中（静コンバーゼンス）させ、かつ３電子ビ
ーム5B，5G，5Rがそれぞれ蛍光体スクリーン８を構成す
る３色蛍光体層に正しくランディングして所定の色純度
が得られるようにすることが必要である。しかし実際に
製造されるカラー受像管は、電子銃４の組立誤差やカラ
ー受像管自体の組立誤差などにより、３電子ビーム5B，
5G，5Rの集中や３色蛍光体層に対する３電子ビーム5B，
5G，5Rのランディングがずれ、画面品位が劣化する。

【０００４】そのため、通常カラー受像管には、その静
コンバーゼンスやランディングずれを補正するために磁
石が取付けられる。図３に示したカラー受像管では、ネ
ック３の外側にその磁石９が取付けられている。通常こ
の磁石９は、環状磁性体の周縁に沿って２極、４極およ
び６極などの磁極を形成した２枚の磁石を１組とする３
組の永久磁石から構成され、各１組の磁石を回転して２
枚１組の磁極を適宜円周方向にずらすことにより、静コ
ンバーゼンスや色純度を調整するものとなっている。

【０００５】しかし、この２枚の磁石を１組とする３組
の永久磁石による静コンバーゼンスおよび色純度の調整
は、熟練を要しかつ調整にかなりの時間を要するばかり
でなく、調整作業が経験的なものであるため、正確かつ
十分に調整することが困難である。

【０００６】この外部磁石による問題点を補うものとし
て、特開昭５５−１０８１５４号公報、特開昭５５−１
３７６４９号公報などには、図４に示すように、電子銃
４の電極の外側に１個以上の磁化可能な環状磁性体11を
取付け、この環状磁性体11をネック３外から２極、４
極、６極、12極などに分極着磁して、同様に静コンバー
ゼンスや色純度を調整するカラー受像管が示されてい
る。

【０００７】しかしこのカラー受像管における環状磁性
体11は、電子銃４を構成する複数の電極を一体に固定す
る絶縁支持体12を外側から取巻くように配置されるた
め、ネック３内面に接近して位置する。しかも磁性体
は、材料特性上、表面が粗くかつ成形時に発生したバリ
などが多数存在するため、カラー受像管の動作時に耐電
圧が問題となる。すなわち、カラー受像管の動作時に各
電極に印加される電圧により、環状磁性体11とネック３
内面との間にスパーク放電が発生し、カラー受像管の駆
動回路を破壊したり、またそのスパーク放電のために、
静コンバーゼンスや色純度を最適に補正するように着磁
された磁性体の磁化特性が変化し、静コンバーゼンスや
色純度の調整が十分でなくなるなどの問題が発生するこ
とがある。また上記のように環状磁性体11を配置するた
めには、複数の電極を絶縁支持体12により一体に固定し
たのちに取付けなければならず、電子銃４の組立が繁雑
となり、製造コストが高くなる。

【０００８】また、上記カラー受像管とは別の構造とし
て、特開昭４７−２２６３３号公報には、電子銃の電子
ビーム放出端側に配置されるコンバーゼンス・カップの
底部外面に、磁化可能な環状磁性体を取付けたものが示
されている。

【０００９】さらにこの電子銃と同様のものとして、同
一平面上を通る一列配置の３電子ビームを放出するカラ
ー受像管の電子銃について、その電極を３電子ビームの
配列方向に長いほぼ矩形状とし、このほぼ矩形状の電極
に磁化可能なほぼ矩形環状の磁性体を配置することが考
えられている。

【００１０】特にこのほぼ矩形状の電極に磁化可能なほ
ぼ矩形環状の磁性体を配置する構造では、電子銃の複数
の電極を一体に固定する絶縁支持体は、磁性体の外側に
配置され、環状磁性体をネック内面から離して配置でき
るため、耐電圧上の問題を回避できる。また、あらかじ
め電極に環状磁性体を取付けておき、この環状磁性体の
取付けられた電極を用いて電子銃を組立てることができ
るので、図４に示した電子銃の繁雑な組立を避けて、環
状磁性体付き電子銃を比較的容易に組立てることができ
る。

【００１１】しかし、このようにあらかじめ電極に環状
磁性体を取付けておき、この環状磁性体の取付けられた
電極を用いて電子銃を組立てると、電極に溶着するする
ための絶縁支持体は、１１００℃程度の高温度に加熱さ
れるため、環状磁性体の磁気特性が変化するという問題
がある。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、カラー
受像管の静コンバーゼンスや色純度などを調整するため
に、同一平面上を通る一列配置の３電子ビームを放出す
る電子銃のほぼ矩形状の電極に磁化可能なほぼ矩形環状
の磁性体を取付けておき、この環状磁性体の取付けられ
た電極を用いて電子銃を組立て、この電子銃をネック内
に封止してカラー受像管を組立てたのちに、その環状磁
性体を着磁することが知られている。しかし、このよう
にあらかじめ電極に環状磁性体を取付けておき、この環
状磁性体の取付けられた電極を用いて電子銃を組立てる
と、電極を一体に固定する絶縁支持体は、溶着時、１１
００℃程度の高温度に加熱されるため、この絶縁支持体
の加熱により、環状磁性体の磁気特性が変化するという
問題がある。

【００１３】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、あらかじめ電極に静コンバーゼンスや色純
度の調整など、電子ビームの軌道を補正するための磁化
可能な環状の磁性体を取付けておき、この環状磁性体の
取付けられた電極を用いて電子銃を組立てても、環状磁
性体の磁気特性が変化しないようにすることを目的とす
る。

【００１４】

【課題を解決するための手段】ネック内にカソードおよ
びこのカソードに順次隣接して配列された複数個の電極
が絶縁支持体により一体に固定されてなる電子銃が配設
され、この電子銃の所定の電極に磁化可能な環状磁性体
が取付けられ、この磁性体を着磁して、電子銃から放出
される電子ビームの軌道を補正するカラー受像管におい
て、その環状磁性体の外側に絶縁支持体を配置し、かつ
この絶縁支持体の環状磁性体との対向部分に凹部を形成
した。

【００１５】

【作用】上記のように構成すると、あらかじめ電極に磁
化可能な環状磁性体が取付けておき、その後、この環状
磁性体が取付けられた電極を他の電極とともに絶縁支持
体により一体に固定することができる。しかもあらかじ
め電極に磁化可能な環状磁性体が取付けておいても、絶
縁支持体の環状磁性体との対向部分に凹部を形成したこ
とにより、高温度に加熱された絶縁支持体を電極に溶着
するときの温度の影響を軽減でき、環状磁性体の磁気特
性の変化を軽減できる。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００１７】図１にその一実施例であるカラー受像管を
示す。このカラー受像管は、パネル１およびこのパネル
１に一体に接合されたファンネル２からなる外囲器を有
し、そのパネル１内側に配置された多数の電子ビーム通
過孔の形成されたシャドウマスク７に対向して、パネル
１内面に、青、緑、赤に発光する３色蛍光体層からなる
蛍光体スクリーン８が形成されている。またファンネル
２のネック３内に電子銃20が配設されている。なお、６
はファンネル２の外側に装着された偏向ヨークである。

【００１８】上記電子銃20は、同一水平面上を通るセン
タービーム22G および一対のサイドビーム22B ，22R か
らなる一列配置の３電子ビーム22G ，22B ，22R を放出
するインライン型電子銃であり、図２に示すように、一
列配置の３個のカソードＫ（図面には１個のみ図示）、
このカソードＫを各別に加熱する３個のヒータ（図示せ
ず）、上記カソードＫ上に順次管軸（Ｚ軸）に沿って蛍
光体スクリーン方向に所定間隔離間して配列された第１
ないし第６グリッドG1〜G6およびその第６グリッドG6に
取付けられたコンバーゼンス・カップＣを有し、これら
カソードＫ、ヒータおよび第１ないし第６グリッドG1〜
G6が、ビードカラスからなる一対の絶縁支持体23により
一体に固定されている。その第１，第２グリッドG1，G2
は、それぞれ水平方向に長いほぼ矩形状の板状電極か
ら、また第３グリッドないし第６グリッドG3〜G6は、そ
れぞれ水平方向に長いほぼ矩形状の筒状電極からなり、
これら各電極G1〜G6には、上記３個のカソードＫに対応
して３個の電子ビーム通過孔が水平方向に一列配置に形
成されている。

【００１９】そして、この電子銃20には、その第５グリ
ッドG5の中間部外周側に、この第５グリッドG5の外周形
状と同形状の矩形環状に形成されたほぼ矩形環状の磁性
体24がこの第５グリッドG5を取巻くように取付けられて
いる。

【００２０】上記一対の絶縁支持体23は、上記ほぼ矩形
状に形成された板状および筒状電極の短径方向両側に矩
形環状の磁性体24を内側にして対向配置されている。そ
してこの矩形環状の磁性体24と対向する各絶縁支持体23
の内側面には、凹部25が形成されている。この凹部25と
しては、幅ｗ１を磁性体24の幅ｗ２の１．５倍程度、深
さｄを磁性体24に接触しない程度にするとよい。

【００２１】なお、この矩形環状の磁性体24は、あらか
じめ第５グリッドG5に溶接などの任意固定手段により取
付けておき、この第５グリッドG5をカソード支持体27お
よび他の電極とともに電子銃組立治具に組込んだのち、
上記磁性体24に対応する位置に凹部25の形成された絶縁
支持体23を加熱して溶着することにより電子銃20に組込
まれる。そしてその後、この電子銃をネック内に封止し
排気してカラー受像管を製造したのち、磁性体24に対応
してネック外に着磁装置を配置して、上記磁性体24をコ
ンバーゼンスずれや色純度補正に必要な２極、４極、６
極、１２極などの磁極を形成する。

【００２２】ところで、上記のようにほぼ矩形状の電極
に対して、この電極に取付ける磁性体24を同形状のほぼ
矩形環状とすると、あらかじめその電極に磁性体24を取
付けて他の電極とともに電子銃20を容易に組立てること
ができ、電子銃組立後に磁性体を取付ける場合の繁雑な
工程を省略でき、電子銃を低コストで製造することがで
きる。また磁性体24を一対の絶縁支持体23の内側に配置
でき、それにより磁性体24をネック３内面から離れて配
置できるため、磁性体がネック３内面に接近して配置さ
れた場合に生ずる耐電圧の劣化を防止できる。

【００２３】しかも絶縁支持体23の磁性体24に対応する
部分に凹部25を形成したことにより、あらかじめ磁性体
24の取付けられた電極を他の電極とともに、加熱された
絶縁支持体23の溶着より一体に固定しても、加熱による
磁性体24の磁気特性の変化を大幅に軽減するすることが
できる。したがってこのような電子銃20をカラー受像管
に組込むことにり、３電子ビーム22G ，22B ，22R の静
コンバーゼンスや色純度を精度よく補正することができ
る。

【００２４】なお、上記実施例では、第１ないし第６グ
リッドを有する電子銃の第５グリッドに磁性体を取付け
た場合について説明したが、この磁性体の配置は、上記
電子銃に限定されるものではなく、また磁性体の配置さ
れる電極も第５グリッド以外の他の電極でもよい。

【００２５】なおまた、上記実施例では、静コンバーゼ
ンスや色純度を調整する場合について説明したが、この
電子銃の電極に取付けられる磁性体は、静コンバーゼン
スや色純度の調整ばかりでなく、電子ビームの軸ずれに
起因する収差の補正など、要するに電子ビームの軌道補
正に利用できる。

【００２６】

【発明の効果】電子銃の電極に取付けられる磁化可能な
環状磁性体をその電極の外周と同形状に形成し、この環
状磁性体の外側に電子銃の複数個の電極を一体に固定す
る絶縁支持体を配置し、かつこの絶縁支持体の環状磁性
体との対向部分に凹部を形成すると、この環状磁性体の
取付けられた電極を他の電極とともに電子銃に容易に組
立てることができ、電子銃組立後に磁性体を取付ける場
合にくらべて容易に電子銃に容易に組立てることができ
る。また磁性体を絶縁支持体の内側に配置でき、磁性体
をネック内面から離れて配置できるため、磁性体がネッ
ク内面に接近して配置された場合に生ずる耐電圧の劣化
を防止できる。しかも絶縁支持体の磁性体に対応する部
分に凹部を形成したことにより、あらかじめ磁性体の取
付けられた電極を他の電極とともに、加熱された絶縁支
持体の溶着より一体に固定しても、加熱による磁性体の
磁気特性の変化を大幅に軽減するすることができ、３電
子ビームの静コンバーゼンスや色純度を精度よく補正す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例であるカラー受像管の構成
を示す図である。

【図２】その磁性体の取付けられた電子銃の構成を示す
図である。

【図３】磁性体がネックの外側に配置された従来のカラ
ー受像管の構成を示す図である。

【図４】磁性体がネックの内側に配置された従来のカラ
ー受像管の構成を示す図である。

【符号の説明】

２…ファンネル３…ネック８…蛍光体スクリーン 20…電子銃 23…絶縁支持体 24…環状磁性体 25…凹部 G1…第１グリッド G2…第２グリッド G3…第３グリッド G4…第４グリッド G5…第５グリッド G6…第６グリッドＫ…カソード

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01J 29/48 - 29/51

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ネック内にカソードおよびこのカソード
に順次隣接して配列された複数個の電極が絶縁支持体に
より一体に固定されてなる電子銃が配設され、この電子
銃の所定の電極に磁化可能な環状磁性体が取付けられ、
この環状磁性体を着磁して上記電子銃から放出される電
子ビームの軌道を補正するカラー受像管において、上記環状磁性体の外側に上記絶縁支持体が配置され、か
つこの絶縁支持体の環状磁性体との対向部分に凹部が形
成されていることを特徴とするカラー受像管。