JP3127163B2 - 溶融型感熱転写記録用インクシ−トおよび画像記録体 - Google Patents

溶融型感熱転写記録用インクシ−トおよび画像記録体

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JP3127163B2
JP3127163B2 JP03110602A JP11060291A JP3127163B2 JP 3127163 B2 JP3127163 B2 JP 3127163B2 JP 03110602 A JP03110602 A JP 03110602A JP 11060291 A JP11060291 A JP 11060291A JP 3127163 B2 JP3127163 B2 JP 3127163B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融型感熱転写記録用イ
ンクシートおよびその溶融型感熱転写記録用インクシー
トを使用して作製される画像記録体に関し、さらに詳し
くは、優れた改竄防止性を有する画像記録体を製造する
ことのできる溶融型感熱転写記録用インクシ−トおよび
改竄をしたことが容易に判明する画像記録体に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、身
分証明書、運転免許証、会員証等に多くのIDカードが
使用されている。IDカードには通常、カード所持者を
確認するための人物画像以外に、各種の記載事項とがあ
る。各種の記載事項とは、例えば身分証明書において
は、例えば本人の住所、氏名、生年月日、所属部署、有
効年月日等であり、運転免許証においては、例えば本人
の生年月日、氏名、免許証番号、免許種別等である。こ
れらの記載事項は、文字、数字あるいは記号等で記載さ
れているので、文字、数字あるいは記号等を文字情報含
有画像と称される。
【0003】近年、OCR性を持たせるという理由か
ら、あるいは記録速度を大きくしたり品質向上のため
に、溶融型感熱転写方式により文字情報含有画像を形成
してなるIDカ−ドが出現している。この溶融型感熱転
写方式とは、一般に、支持体上に受像層を形成してなる
受像シ−トの受像層と、非昇華性色素を含有するインク
層を支持体上に有する溶融型感熱転写記録用インクシ−
トのインク層とを重ね合わせ、イメ−ジワイズに加熱す
ることにより、溶融したインク層の一部を受像層側に移
動させ、もって受像層上に文字情報画像を形成する方法
を言う。この場合、この文字情報含有画像は、受像層表
面に前記インク層の一部が溶融付着した状態で形成され
ている。
【0004】IDカードにおいて重要なことは、IDカ
ードの偽造あるいは変造が絶対的に防止されねばならな
いことである。IDカードにつき、何故に偽造変造がな
されてはならないのかその理由は説明を要しない程明ら
かである。しかしながら、前述のように支持体と溶融型
感熱転写方式により形成した文字情報含有画像を受像層
表面から削り取り、削り取った後に例えば黒インキ等に
より他の文字等を書き込むことにより簡単に偽造変造さ
れてしまう。
【0005】IDカ−ドの性質上、文字情報含有画像は
絶対に変造されてはならないものである。また、自動車
免許証は一定の公的機関のみから発行されるものであっ
て、決して前記公的機関以外によって自由に作成された
り、偽造されてはならないものである。こうしたIDカ
−ドを初めとする各種画像記録カ−ドについては、偽造
変造を完全に防止することのできる技術の開発が、今や
重要な課題の一つとなっている。
【0006】本発明は上記の事情に基いてなされたもの
である。本発明の目的は、優れた改竄防止性を有する画
像記録体を製造することのできる溶融型感熱転写記録用
インクシ−トおよび改竄防止性を有する画像記録体を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、支持体と、この支持体上に
積層され、文字情報含有画像を有する受像層とを有する
画像記録体であって、該文字情報含有画像が、非昇華性
色素と昇華性色素とを同時に含有する溶融熱転写可能な
インク層を支持体上に積層してなる溶融型感熱転写記録
用インクシ−トからインク層が熱転写記録されることで
同時に形成された受像層上の熱溶融型熱転写記録画像
と、該画像と同一の文字情報画像が前記受像層中に拡散
した昇華色素画像とからなることを特徴とする改竄防止
機能を有する画像記録体であり、また、請求項に記載
の発明は、請求項に記載の画像記録体の受像層の表面
に透明保護層を有する画像記録体であり、請求項に記
載の発明は、請求項または請求項に記載の画像記録
体の受像層が、昇華性色素と反応してキレ−ト化合物を
形成する金属イオン含有化合物を含有する画像記録体で
あり、請求項に記載の発明は、請求項2に記載の画像
記録体の透明保護層が、昇華性色素と反応してキレ−ト
化合物を形成する金属イオン含有化合物を含有する画像
記録体である。
【0008】以下、図面を参照しながら本発明を説明す
る。図1および図2は、本発明の好ましい実施態様の画
像記録体を示すもので、本発明はそれらに限定されな
い。図1に示す画像記録体は支持体1aの片面に受像層
1bを設けている。そして、その受像層1bの所定表面
に溶融型熱転写方式により文字情報含有画像2が形成さ
れる。受像層の表面に形成された文字情報含有画像2中
に含まれる昇華性色素の一部は、受像層1b内に拡散し
て染み込んでいる。支持体1aの反対側の面には筆記層
3が設けられる。
【0009】図2は本発明の他の実施態様である画像記
録体を示す。この画像記録体においては、支持体1aの
片面に受像層1bを有する。受像層1bの所定表面に
は、溶融型感熱転写方式により形成された文字情報含有
画像2を有する。文字情報含有画像2の色素の一部は受
像層内に拡散して染み込んでいる。文字情報含有画像2
を形成した受像層1bの表面には透明保護層4を形成す
る。この透明保護層4の受像層1bに近い層内にも、文
字情報含有画像2に含まれる昇華性色素の一部が、拡散
して染み込んでいる。
【0010】図1および図2のいずれの画像記録体にお
いても、溶融型感熱転写方式により形成された文字情報
含有画像に含まれる昇華性色素が受像層内あるいは保護
層内に拡散しているので、受像層表面に融着している文
字情報含有画像を削り取っても、その削り取った後の受
像層には昇華性色素による文字情報含有画像が残留す
る。したがって、削り取った後の受像層に他の画像形成
手段により文字情報含有画像を形成しても、削り取る以
前の文字情報含有画像が昇華性色素により残留している
から、改竄されたことが容易に判明する。したがって、
このような溶融型感熱転写記録用インクシートを使用し
て作成された画像記録体は、不正使用者において改竄の
意欲を喪失させる。
【0011】この様に、改竄をしても容易にその改竄事
実が判明するが故に改竄意欲を失わせるという意味で改
竄防止性に優れた画像記録体は、本発明の溶融型感熱転
写記録用受像シートを使用することにより作成される。
以下、前記二つの実施態様を含めて、基材、文字情報含
有画像、透明保護層、その他について、順に詳細に説明
する。
【0012】A.基材 本発明における好適な基材としては、画像記録体を製造
するに際して、少なくとも溶融型感熱転写方式で文字情
報含有画像を形成することができる限り特にその構造、
材質等については制限がない。本発明の画像記録体を自
動車免許証等のIDカードとする場合には、IDカード
には通常、人物画像等の階調情報含有画像とそのIDカ
ード所持者やIDカード発行所に特有の情報を文字、図
形、記号等で表現してなる文字情報含有画像都が設けら
れる。階調情報含有画像は昇華性色素で形成するのが有
利であり、文字情報含有画像は溶融型感熱転写方式で形
成するのが有利である。したがって、IDカード作成の
ためには、その基材は昇華性色素を受容する受像層とこ
の受像層を支持する支持体とで形成するのが好ましい。
【0013】画像記録体をIDカードとして使用する場
合、その機械的強度を維持するために同種あるいは異種
のシートを積層してなる基材を使用することもできる。
さらには、視認可能な層に、同種のIDカードに共通の
情報を印刷してなる基材を使用することも可能であり、
また、IDカードそのものの偽造・変造を防止する対策
として、透かしを入れるなどの、物理的手段による確認
可能な偽造防止用の特殊加工を施してなる基材を使用す
ることも可能である。
【0014】基材の一般的な構成としては、支持体上に
受像層を積層してなる層構成を挙げることができる。こ
の場合、受像層は支持体の片面あるいは両面に設けても
よく、また支持体の全面に設けてもよく、あるいは所望
の部分のみに設けてもよい。また、本発明における基材
の他の態様として、支持体自体が文字情報含有画像を好
適に形成することができ、しかも昇華性色素による階調
情報含有画像を好適に形成することができる材質で形成
されているときには、この支持体自体を基材とすること
もできる。
【0015】本発明に用いる基材の形状としては特に制
限はなく、種々のサイズおよび種々の形態(シ−ト状の
ものやブロック状のものなど)を挙げることができる。
たとえば、IDカ−ド類を作製する場合には、予めその
カ−ドサイズに加工された形状の基材を用いてもよく、
あるいは本発明の画像記録体の製造工程のいずれかの時
点において、基材原反を所望のカ−ドサイズに切断して
よい。
【0016】なお、前記基材には、必要に応じてエンボ
ス、サイン、ICメモリ−、光メモリ−、磁気記録層、
他の印刷等が設けられていてもよい。これらは、本発明
の画像記録体の製造工程のいずれかの時点(たとえば、
前記透明保護層を形成後など)において、さらには製造
後に設けることが可能である。
【0017】また、白抜け防止、感度向上のために例え
ば特開昭60−236794号公報、特開昭61−25
8793号公報に記載されたように、支持体の表面にク
ッション層あるいは断熱材層を設けても良い。 (A.1)支持体 支持体としては、たとえば紙、コート紙、および合成紙
(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙
とはり合せた複合材料)等の各種紙類、白色の塩化ビニ
ル系樹脂シート、白色のポリエチレンテレフタレートベ
ースフィルム、透明のポリエチレンテレフタレートベー
スフィルム、ポリエチレンナフタレートベースフィル
ム、ABSベースフィルム、ASベースフィルム、ポリ
プロピレンベースフィルム、ポリエチレンベースフィル
ム等のプラスチックフィルムないしシート、各種の金属
で形成されたフィルムないしシート、各種のセラミック
ス類で形成されたフィルムないしシート等を挙げること
ができる。
【0018】支持体中には、後の工程で形成される画像
の鮮明性を高めるために、予め白色顔料たとえばチタン
ホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウ
ム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加
されているのが好ましい。さらにまた、画像記録体を自
動車免許証等のIDカードとするのであれば、支持体
を、前記白色顔料と後述する塩化ビニル系樹脂との組成
物からなるシートもしくはフィルムで構成するのが一般
的である。
【0019】基材を支持体と受像層との積層体として形
成するときには、その支持体の厚みは通常100〜1,
000μm、好ましくは100〜800μmである。
【0020】支持体の厚みは通常100〜1,000μ
m、好ましくは200〜800μmである。前記支持体
には必要に応じてエンボス、サイン、ICメモリ−、光
メモリ−、磁気記録層、他の印刷等を設けることができ
る。
【0021】(A.2)受像層 前記支持体の表面に形成する受像層は、バインダーと各
種の添加剤とで形成することができるし、場合によって
は受像層をバインダーのみから形成することもできる。
本発明では、さらにこの受像層に、後述する昇華性色素
と反応してキレ−ト化合物を形成する金属イオン含有化
合物が含有されていることが好ましい。本発明における
受像層は、溶融型感熱転写により文字情報含有画像を形
成するので、熱溶融性インクおよび/または保護層との
接着性が良好でなければならない。かかる特別な性質を
受像層に付与するには、後述するように、バインダーお
よび各種の添加剤の種類およびそれらの配合量を適宜に
調整することが必要である。
【0022】以下、受像層を形成する成分について詳述
する。 (A.2.1)バインダー 本発明における受像層用のバインダーは、通常に知られ
ている昇華型感熱転写記録受像層用のバインダ−を適宜
に用いることができる。バインダーとしては、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、アクリル系樹脂、各種の耐熱性樹脂などさまざまの
バインダーを挙げることができる。
【0023】バインダーの種類の選択は任意であるが、
画像保存性などの点において、塩化ビニル系樹脂が好ま
しい。前記塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル
樹脂と塩化ビニル共重合体とを挙げることができる。こ
の塩化ビニル共重合体としては、塩化ビニルをモノマー
ユニットとして50モル%以上の割合で含有する塩化ビ
ニルと他のコモノマーとの共重合体を挙げることができ
る。
【0024】前記他のコモノマーとしては、たとえば酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、や酢酸ビニル、牛脂酸
ビニルなどの脂肪酸のビニルエステル類、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリ
ル酸もしくはメタアクリル酸およびそのアルキルエステ
ル類、マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸および
そのアルキルアルキルエステル類、メチルビニルエーテ
ル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニ
ルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビ
ニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル等を挙げる
ことができる。さらに、前記コモノマーとして、エチレ
ン、プロピレン、アクリロニトリル、メタアクリロニト
リル、スチレン、クロロスチレン、イタコン酸およびそ
のアルキルエステル類、クロトン酸およびそのアルキル
エステル類、ジクロロエチレン、トリフロロエチレンな
どの他ハロゲン化オレフィン類、シクロペンテン等のシ
クロオレフィン類、アコニット酸エステル類、ビニルベ
ンゾエート、ベンゾイルビニルエーテル等を挙げること
ができる。
【0025】塩化ビニル共重合体は、ブロック共重合
体、グラフト共重合体、交互共重合体、ランダム共重合
体の何れであっても良い。また、場合によっては、シリ
コン化合物などの剥離機能を有するものとの共重合体で
あっても良い。前記塩化ビニル系樹脂の他に、ポリエス
テル系樹脂も昇華型感熱転写用受像層に好適なバインダ
−として用いることができる。
【0026】本発明に使用することのできるポリエステ
ル系樹脂としては、特開昭58−188695号公報、
特開昭62−244696号公報に記載されている化合
物を挙げることができる。また、ポリカーボネート系樹
脂もバインダーとして使用することができ、たとえば、
特開昭62−169694号公報に記載の各種の化合物
を使用することができる。
【0027】前記耐熱性樹脂としては耐熱性がよく、極
度に軟化点あるいはガラス転移点(Tg)の低い樹脂で
なく、前記塩化ビニル系樹脂と適度に相溶し、実質的に
無色である限り公知の各種の耐熱性樹脂を使用すること
ができる。ここで言う「耐熱性」とは耐熱保存した場合
に樹脂そのものが黄変などの着色を起こさず、物理的強
度が極端に劣化しないことを指す。上記条件を満たす耐
熱性樹脂としてはフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリ
ア樹脂、ケトン樹脂などがあげられるが、中でも尿素ア
ルデヒド樹脂、ケトン樹脂が特に好ましい。 容易に入
手することのできる尿素アルデヒド樹脂を挙げると、た
とえばラロパールA81、ラロパールA101(BAS
F社製)などが、ケトン樹脂としてはラロパールK80
(BASF社製)などがある。
【0028】(A.2.2)添加剤 受像層には、剥離剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定
剤、フィラー(無機微粒子、有機樹脂粒子)、顔料を添
加しても良い。また増感剤として可塑剤、熱溶剤などを
添加しても良い。溶融文字を転写せしめる受像層が、顔
画像など昇華性インクの受像層を兼ねるのであれば溶融
文字の転写を阻害しない程度に剥離剤を添加したり、ま
た溶融文字の転写を阻害しない剥離剤の添加が効果的で
ある。
【0029】剥離剤は、感熱転写記録用インクシートと
受像層との剥離性を向上させることができる。このよう
な剥離剤としては、シリコーンオイル(シリコーン樹脂
と称されるものも含む。);ポリエチレンワックス、ア
ミドワックス、テフロンパウダー等の固型ワックス類;
弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等が挙げられ、中
でもシリコーンオイルが熔融文字の転写や、場合によっ
ては透明保護層の転写を阻害しない等の点で好ましい。
【0030】好ましい変性シリコーンオイルとしては、
ポリエステル変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変
性ポリエステル樹脂)、アクリル変性シリコン樹脂(も
しくは、シリコン変性アクリル樹脂)、ウレタン変性シ
リコン樹脂(もしくは、シリコン変性ウレタン樹脂)、
セルロース変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性
セルロース樹脂)、アルキッド変性シリコン樹脂(もし
くは、シリコン変性アルキッド樹脂)、エポキシ変性シ
リコン樹脂(もしくは、シリコン変性エポキシ樹脂)な
どを挙げることができる。
【0031】すなわち、主鎖中にポリシロキサン樹脂を
含有し、ブロック状にポリエステルを共重合せしめてな
るポリエステル変性シリコン樹脂、ポリエステル主鎖に
結合する側鎖としてジメチルポリシロキサン部分を有す
るシリコン変性ポリエステル樹脂、ジメチルポリシロキ
サンとポリエステルとのブロック共重合体、交互共重合
体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等も、変性シ
リコーンオイルまたは樹脂として使用することができ
る。
【0032】特に、本発明においては、熱溶融性インク
の転写性、保護層の転写性、を考慮して、受像層用のバ
インダーと相溶性の良好な剥離剤を添加することが望ま
しい。例えば、塩化ビニル系樹脂をバインダーとして使
用するのであれば、ポリエステル変性シリコン樹脂が組
み合わせとして好ましい。
【0033】代表的なポリエステル変性シリコン樹脂と
しては、たとえばジオールと二塩基酸との共重合体もし
くはカプロラクトンの開環重合体であるポリエステルと
ジメチルポリシロキサンとのブロック共重合体(ジメチ
ルポリシロキサンの両末端または片末端が上記ポリエス
テル部分でブロックされている、あるいは逆に上記ポリ
エステルがジメチルポリシロキサンでブロックされてい
る共重合体を含む。)、あるいは上記ポリエステルを主
鎖として側鎖に(ジメチル)ポリシロキサンを結合せし
めてなる共重合体を挙げることができる。
【0034】これらの単純添加型のシリコーンオイルの
添加量は、その種類に応じて様々に変化することがある
から一律に決定することができないが、一般的にいう
と、通常、受像層におけるバインダーに対して0.5〜
50重量%であり、好ましくは1〜20重量%である。
硬化反応型のシリコーンオイルとしては、反応硬化型、
光硬化型、触媒硬化型等が挙げられる。
【0035】反応硬化型シリコーンオイルとしては、ア
ミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変性シリコーンオ
イルとを反応硬化させたものがある。また、触媒硬化型
あるいは光硬化型シリコーンオイルとしてはKS−70
5F−PS、KS−705F−PS−1、KS−770
−PL−3[いずれも触媒硬化型シリコーンオイル:信
越化学工業(株)製]、KS−720、KS−774−
PL−3[いずれも光硬化型シリコーンオイル:信越化
学工業(株)製]等が挙げられる。
【0036】これら硬化型シリコーンオイルの添加量は
受像層用バインダーの0.5〜30重量%が好ましい。
なお、受像層の表面の一部に、上記剥離剤を適当な溶媒
に溶解あるいは分散させて塗布した後、乾燥させる等に
よって剥離剤層を設けることもできる。
【0037】次に前記酸化防止剤としては、特開昭59
−182785号、同60−130735号、特開平1
−127387号公報等に記載の酸化防止剤、および写
真その他の画像記録材料における画像耐久性を改善する
ものとして公知の化合物を挙げることができる。
【0038】前記UV吸収剤および光安定剤としては、
特開昭59−158287号、同63−74686号、
同63−145089号、同59−196292号、同
62−229594号、63−122596号、同61
−283595号、特開平1−204788号などの公
報に記載の化合物、および写真その他の画像記録材料に
おける画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を
挙げることができる。
【0039】前記フィラーとしては、無機微粒子や有機
樹脂粒子を挙げることができる。この無機微粒子として
はシリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白
土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、有機微
粒子としてはフッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、ア
クリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げ
ることができる。これらの無機・有機樹脂粒子は比重に
より異なるが、0.1〜70重量%の添加が好ましい。
【0040】前記顔料としては、代表例としてチタンホ
ワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シ
リカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土
などを挙げることができる。前記可塑剤としてはフタル
酸エステル類(例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジブ
チル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシルなど)、
トリメリット酸エステル類(例えばトリメリット酸オク
チルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、ト
リメリット酸イソデソルエステルなど)、ピロメリット
酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル類、
アジピン酸エステル類(アジピン酸ジオクチル、アジピ
ン酸メチルラウリル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、アジピン酸エチルラウリルなど)、その他オレイン
酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステ
ル類、セバチン酸エステル類、クエン酸エステル類、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステア
リン酸エポキシ類、さらには、リン酸トリフェニル、リ
ン酸トリクレジルなどの正リン酸エステル類、トリフェ
ニルホスファイト、トリス・トリデシルホスファイト、
ジブチル・ハイドロジエン・ホスファイトなどの亜燐酸
エステル類、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチ
ルフタリルブチルグリコレートなどのグリコールエステ
ル類などが挙げられる。なお、可塑剤の過度の添加は画
像の保存性を劣化させるので、可塑剤の添加量は、通
常、受像層におけるバインダーに対して0.1〜30重
量%の範囲である。
【0041】(A.2.3)金属イオン含有化合物 本発明では、前記受像層および後述する透明保護層に、
昇華性色素と反応してキレ−ト化合物を形成する金属イ
オン含有化合物が含有されていることが好ましい。受像
層中に金属イオン含有化合物が含有されていると、受像
層中に拡散して来た昇華性色素とこの金属イオン含有化
合物とがキレートを形成して安定化するので、昇華性色
素による画像の安定性、保存性がより一層高まる。この
金属イオンは多価金属イオンである。
【0042】前記多価金属イオンとしては、周期律表の
第I〜第VIII族に属する2価および多価の金属が挙げら
れ、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、M
n、Mn、Ni、Sn、TiおよびZnが好ましく、特
にNi、Cu、Cr、CoおよびZnが好ましい。これ
らの多価金属イオンを供給する金属イオン含有化合物
(以下、メタルソースと称することもある。)として
は、多価金属の無機または有機の塩および多価金属の錯
体が挙げられ、中でも有機酸の塩および錯体が好まし
い。
【0043】具体例を挙げると、Ni2+、Cu2+、Cr
2+、Co2+およびZn2+と酢酸等との低級脂肪酸の塩、
ステアリン酸のような高級脂肪酸の塩、あるいは安息香
酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸の塩などが挙げ
られる。また、下記一般式で表わされる錯体も好ましく
用いることができる。
【0044】 [M(Q1l (Q2m (Q3np+(Z- )p ただし、上式中、Mは多価金属イオン、好ましくはNi
2+、Cu2+、Cr2+、Co2+、Zn2+を表わす。Q1
2 、Q3 は各々Mで表わされる多価金属イオンと配位
結合可能な配位化合物を表わし、互いに同じであっても
異なっていてもよい。
【0045】これらの配位化合物としては、たとえばキ
レート化学(5)(南江堂)に記載されている配位化合
物から選択することができる。Zは有機アニオンを表わ
し、具体的にはテトラフェニルホウ素アニオンやアルキ
ルベンゼンスルホン酸アニオン等を挙げることができ
る。
【0046】l(アルファベットのエル小文字)は1、
2または3を表わし、mは1、2または0を表わし、n
は1または0を表わすが、これらは前記一般式で表わさ
れる錯体が4座配位か、6座配位かによって決定される
か、あるいはQ1 、Q2 、Q 3 の配位子の数により決定
される。pは1または2を表わすが、好ましくは2であ
る。pが2である場合は、Q1、Q 2、Q3 で表わされ
る配位化合物の配位基はアニオン化されていることはな
い。
【0047】また、特公昭36−11535号、特開昭
55−48210号、同55−129346号の各公報
に記載されているメタルソースを用いることもできる。
メタルソースの添加量は、画像記録体の熱拡散性色素の
付量に依存し、たとえば、組み合わせて用いるイエロ
ー、マゼンタ、シアンの各1m2 当り総合計モル量の
0.5〜5倍が好ましい。
【0048】(A.3)筆記層 支持体の受像層形成面とは反対側の表面に、筆記層を形
成しても良い。この画像記録体を自動車免許証等のID
カードとする場合には、筆記層を設けることが特に好ま
しい。筆記層を形成しておくと、そのIDカードに種々
の情報を筆記することができて便利であるからである。
本発明における筆記層に関する説明は、特開平1−20
5155号公報の第4頁右上欄第14行から第4頁右下
欄第2行までに記載の「書き込み層」に関する説明をも
って代え、その詳細な説明を省略する。
【0049】(A.4)受像層の形成 本発明における受像層は、受像層を形成する成分を溶媒
に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、
その受像層用塗工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥
する塗工法によって製造することができる。また、前記
受像層を形成する成分を有する混合物を溶融押出し、支
持体の表面にラミネートするラミネート法等によっても
製造することができる。
【0050】前記塗工法に用いる溶媒としては、水、ア
ルコール、メチルエチルケトン、トルエン、ジオキサ
ン、シクロヘキサノンなど、従来から公知の溶媒を挙げ
ることができる。前記ラミネート法を採用するときに
は、共押出法を採用することもできる。
【0051】受像層は、支持体の表面全面に渡って形成
されていても良いし、また支持体の表面の一部に形成さ
れていても良い。
【0052】支持体の表面に形成される受像層の厚み
は、一般に2〜50μm、好ましくは3〜20μm程度
である。一方、受像層が自己支持性であるが故に受像層
そのものが支持体である場合には、受像層の厚みは60
〜200μm、好ましくは90μm〜150μm程度で
ある。
【0053】なお、基材においては、感熱転写記録用イ
ンクシートのインク層との融着防止をより効果的にする
ため、受像層の表面に剥離剤(前記シリコン樹脂、変性
シリコン樹脂、シリコンオイル膜またはその硬化体)を
含有する剥離層がさらに積層されていても良い。この剥
離層の厚みは、通常0.03〜2.0μmである。
【0054】また、本発明においては、支持体と受像層
との間にクッション層あるいはバリヤー層を設けること
もできる。クッション層を設けると、ノイズが少なく
て、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録する
ことができる。
【0055】クッション層を構成する材質としては例え
ばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ブタ
ジエンラバー、エポキシ樹脂等が挙げられる。クッショ
ン層の厚さは通常、1〜50μm、好ましくは3〜30
umである。バリヤー層を設けると昇華性色素の支持体
への拡散が防げ、支持体内での昇華性色素の滲みなどを
防止することができる。バリヤー層を構成する材質とし
ては例えばゼラチン、カゼインなどの親水性バインダ
ー、Tgの高いポリマーなどが挙げられる。
【0056】B.文字情報含有画像 画像記録体である例えばIDカード等においては、一定
の情報を有する各種の文字、図形、記号等が画像として
記録される。このような文字、図形、記号等の画像は通
常黒色等の単色で形成される。したがって、単色で形成
された文字、図形、記号等の画像は文字情報含有画像と
して把握することができる。
【0057】この文字情報含有画像は、以下に詳述する
溶融型感熱転写記録用インクシートを用いて、受像層に
形成することができる。 (B.1)溶融型感熱転写記録用インクシ−ト 本発明の溶融型感熱転写記録用インクシ−トは、支持体
とその表面に形成された熱溶融性インク層とを有する。
なお、この溶融型感熱転写記録用インクシ−トは、その
特性を損なわない範囲内で他の層を有していても良い。
たとえば、前記熱溶融性インク層と支持体との間に剥離
層が設けられていても良く、またこの剥離層と支持体と
の間に中間層などが積層されていてもよく、また、最外
層にインク保護層を設けるなど前記熱溶融性インク層の
上に他の層が積層されていても良い。さらに、前記剥離
層や熱溶融性インク層は、必要に応じて、多層構造にさ
れていてもよい。
【0058】次に、この溶融型感熱転写記録用インクシ
−トの構成について、支持体、剥離層、熱溶融性インク
層の順に説明する。 (B.1.1)支持体 溶融型感熱転写記録用インクシ−トにおける支持体は、
良好な耐熱強度を有するとともに寸法安定性の高いこと
が望ましい。その材料としては、たとえば、特開昭63
−193886号公報の第2頁左下欄第12行から第1
8行に記載のフィルムないしシートを使用することがで
きる。
【0059】支持体の厚みは、通常、30μm以下、好
ましくは2〜30μmの範囲内である。支持体の厚みが
30μmを超えると、熱伝導性が劣化して、印字品質の
低下を招くことがある。なお、この溶融型感熱転写記録
用インクシ−トにおいて、支持体の裏面側の構成につい
ては任意であり、たとえばスティッキング防止層等のバ
ッキング層を設けても良い。
【0060】(B.1.2)熱溶融性インク層 熱溶融性インク層は、基本的に熱溶融性化合物、熱可塑
性樹脂、非昇華性色素および昇華性色素から構成され
る。 −熱溶融性化合物− 前記熱溶融性化合物としては、通常この種の溶融型感熱
転写記録用インクシ−トの熱溶融性インク層に使用され
るものを任意に使用することができ、具体的には、たと
えば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の
熱可塑性樹脂の低分子量物、特開昭63−193886
号公報の第4頁左上欄第8行から同頁右上欄第12行ま
でに例示の物質を挙げることができ、さらにこれらの他
に、ロジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジン変性グリ
セリン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性ポリエ
ステル樹脂、ロジン変性フェノ−ル樹脂およびエステル
ガム等のロジン誘導体、ならびにフェノ−ル樹脂、テル
ペン樹脂、ケトン樹脂、シクロペンタジエン樹脂および
芳香族炭化水素樹脂などを挙げることができる。
【0061】なお、これらの熱溶融性化合物は、分子量
が通常、10,000以下、特に、5,000以下で、
融点もしくは軟化点が50〜150℃の範囲にあるもの
が好ましい。前記熱溶融性化合物は、一種単独で使用し
てもよいし、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0062】−熱可塑性樹脂− 前記熱溶融性インク層の成分として使用される前記熱可
塑性樹脂としては、通常この種の溶融型感熱転写記録用
インクシ−トの熱溶融性インク層に使用されるものなど
各種のものが使用可能であり、たとえば、特開昭63−
193886号公報の第4頁右上欄第5頁左上欄第18
行に例示の物質を挙げることができる。
【0063】−昇華性色素− この昇華性色素としては、前記金属イオン含有化合物と
反応しない色素と、前記金属イオン含有化合物と反応し
てキレ−ト化合物を生成するキレ−ト色素とを挙げるこ
とができる。前記金属イオン含有化合物と反応しない昇
華性色素としては、下記のシアン色素、マゼンタ色素、
イエロー色素を挙げることができる。
【0064】前記シアン色素としては、特開昭59−7
8896号公報、同59−227948号公報、同60
−24966号公報、同60−53563号公報、同6
0−130735号公報、同60−131292号公
報、同60−239289号公報、同61−19396
号公報、同61−22993号公報、同61−3129
2号公報、同61−31467号公報、同61−359
94号公報、同61−49893号公報、同61−14
8269号公報、同62−191191号公報、同63
−91288号公報、同63−91287号公報、同6
3−290793号公報などに記載されているナフトキ
ノン系色素、アントラキノン系色素、アゾメチン系色素
等が挙げられる。
【0065】前記マゼンタ色素としては、特開昭59−
78896号公報、特開昭60−30392号公報、特
開昭60−30394号公報、特開昭60−25359
5号公報、特開昭61−262190号公報、特開昭6
3−5992号公報、特開昭63−205288号公
報、特開昭64−159号、特開昭64−63194号
公報等の各公報に記載されているアントラキノン系色
素、アゾ色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。
【0066】イエロー色素としては、特開昭59−78
896号公報、特開昭60−27594号公報、特開昭
60−31560号公報、特開昭60−53565号公
報、特開昭61−12394号公報、特開昭63−12
2594号公報等の各公報に記載されているメチン系色
素、アゾ系色素、キノフタロン系色素、アントライソチ
アゾール系色素が挙げられる。
【0067】また、昇華性色素として特に好ましいの
は、開鎖型または閉鎖型の活性メチレン基を有する化合
物をp−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−
アミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応
により得られるアゾメチン色素およびフェノールまたは
ナフトール誘導体またはp−フェニレンジアミン誘導体
の酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体の
とのカップリング反応により得られるインドアニリン色
素である。
【0068】次に、キレ−ト色素としては、前述した金
属イオン含有化合物と、錯形成可能な基を有している色
素化合物であれば特に限定的ではないが、下記一般式
(化1)または(化2)で表わされる色素化合物が好ま
しい。
【0069】
【化1】
【0070】ただし、一般式(化1)中、X1 は少くと
も一つの環が5〜7個の原子から構成されている芳香族
の炭素環又は複素環を完成するのに必要な原子の集まり
を表わし、かつアゾ結合に結合する炭素の隣接位の少な
くとも1つが(a)炭素原子、(b)窒素原子、酸素原
子もしくはイオウ原子であり、X2 は少なくとも1つの
環が5〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環
又は複素環を完成するのに必要な原子の集まりを表わ
し、Gはキレート化基を表わす。
【0071】
【化2】
【0072】ただし、一般式(化2)中、X1 は一般式
(化1)で定義されたものと同義であり、Z1 は電子吸
引基を表わし、Z2 はアルキル基又はアリール基を表わ
す。前記一般式(化1)び一般式(化2)示される熱拡
散性色素の具体例は、特開昭59−78893号、同5
9−109394号、同60−2398号等の各公開公
報に記載されているものを挙げることができ、代表例と
しては下記一般式(化3〜9)に示す化合物を挙げるこ
とができる。
【0073】
【化3】
【0074】
【化4】
【0075】
【化5】
【0076】
【化6】
【0077】
【化7】
【0078】
【化8】
【0079】
【化9】
【0080】これらの色素は上記公報に開示された合成
方法に準じて製造することができる。昇華性色素含有イ
ンク層に含有される昇華性色素は、形成しようとする画
像が単色であるならば、イエロー色素、マゼンタ色素、
およびシアン色素の何れであっても良い。また、形成し
ようとする画像の色調によっては、前記三種の色素のい
ずれか二種以上もしくは他の昇華性色素を含んでいても
良い。前記昇華性色素の使用量は、通常、支持体1m2
当たり0.1〜20g、好ましくは0.2〜5gであ
る。前記各種の昇華性色素は、一種単独で使用してもよ
いし、必要に応じて、二種以上を併用してもよい。
【0081】−非昇華性色素− 非昇華性色素としては、通常使用されている無機顔料お
よび有機顔料などの顔料ならびに染料を使用することが
できる。無機顔料の例としては、二酸化チタン、カーボ
ンブラック、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミ
ウムおよび酸化鉄ならびに鉛、亜鉛、バリウムおよびカ
ルシウムのクロム酸塩などを挙げることができる。有機
顔料の例としては、アゾ系、チオインジゴ系、アントラ
キノン系、アントアンスロン系およびトリフェンジオキ
サジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔
料、例えば銅フタロシアニンおよびその誘導体ならびに
キナクリドン顔料がある。
【0082】有機染料の例としては、酸性染料、直接染
料、分散染料、油溶性染料および含金属油溶性染料など
を挙げることができる。非昇華性色素の熱溶融性インク
層中における含有量は、通常、0.1〜30重量%であ
り、好ましくは 0.1〜20重量%である。 −その他− また、熱溶融性インク層には、フッ素系界面活性剤を含
有させても良い。フッ素系界面活性剤の含有により、前
記熱溶融性インク層のブロッキング現象を防止すること
ができる。
【0083】また、転写した文字情報含有画像の先鋭
性、すなわち文字境界部の切れを良くするために有機微
粒子、無機微粒子、非相溶性樹脂を添加するのも効果的
である。前記熱溶融性インク層の膜厚は、通常、0.6
〜5.0μmであり、特に1.0〜4.0μmであるの
が好ましい。この熱溶融性インク層は、その形成成分を
有機溶媒に分散あるいは溶解して塗布する方法(有機溶
剤法)、加熱により熱可塑性樹脂などを軟化あるいは溶
融状態にして塗布する方法(ホットメルト塗布法)など
を採用して塗設されていても良いが、形成成分を水や有
機溶媒に分散もしくは溶解させたエマルジョン、もしく
は溶液などを用いて塗工されてなるのが好ましい。
【0084】前記熱溶融性インク層の塗設に用いる塗工
液中の層形成成分の合計の含有率は、通常は、5〜50
重量%の範囲内に設定される。また、塗布方法は、通常
の方法を利用して行なうことができる。塗布方法の例と
しては、ワイヤーバーを用いた方法、スクイズコート法
およびグラビアコート法などを挙げることができる。
【0085】また、熱溶融性インク層は、少なくとも一
層で設けられていることが必要であるが、たとえば着色
剤の種類および含有率、あるいは熱可塑性樹脂と熱溶融
性化合物との配合比率などの異なる二層以上の熱溶融性
インク層を積層して構成してもよい。 (B.1.3)剥離層 前記剥離層は、主に、その上に構成されている熱溶融性
インク層と支持体との接着力を調節する役割を果し、た
とえばサーマルヘッドなどによる支持体裏面(剥離層な
どの層が形成されていない側)からの加熱によりそれら
の層の支持体からの剥離を容易にする。
【0086】すなわち、剥離層は、その熱溶融性インク
層の支持体への膜付性、膜強度などの機械的性質を維持
し、かつ加熱直後に熱溶融性インク層が支持体から離脱
する際に、この熱溶融性インク層を基材上に速やかに剥
離転写せしめる。この剥離層は、前記熱溶融性化合物そ
れ自体で構成することもできるが、通常は、その熱溶融
性化合物および/または熱可塑性樹脂等のバインダー樹
脂などから構成することが好ましい。
【0087】前記剥離層の主成分として使用する前記熱
溶融性化合物は、公知のものなど各種のものを適宜に選
択して使用すればよく、その具体例としては、たとえ
ば、特開昭63−193886号公報の第4頁左上欄第
8行から同頁右上欄第12行までに例示の物質を使用す
ることができる。溶融型感熱転写記録用インクシ−トの
前記剥離層の主成分として使用する熱溶融性化合物は、
上記例示の各種の熱溶融性化合物のなかでも、その融点
もしくは軟化点が50〜100℃の範囲にあるマイクロ
クリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバ
ワックスなどが好ましい。その融点もしくは軟化点が、
あまり高すぎると、十分な剥離性が得られず、特に高速
印字における所望の剥離性等の特性が十分に発揮できな
いことがあり、一方、あまり低すぎると、通常の状態で
剥離するなどの支障をきたすことがある。
【0088】なお、これらの熱溶融性化合物は、一種単
独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前
記剥離層のバインダ−樹脂もしくはその成分として使用
される前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、公
知のこの種の熱溶融型転写記録用インクシートの剥離層
に使用されるもの等の各種のものを適宜選択して使用す
ればよい。
【0089】前記熱可塑性樹脂の具体例としては、たと
えば、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重
合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂
およびセルロース系樹脂などを挙げることができる。こ
のほか、たとえば、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、
石油系樹脂およびアイオノマー樹脂などの樹脂、天然ゴ
ム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴムおよびク
ロロプレンゴムなどのエラストマー類、エステルガム、
ロジンマレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂および水
添ロジン等のロジン誘導体、ならびにフェノール樹脂、
テルペン樹脂、シクロペンタジエン樹脂および芳香族系
樹脂等も場合に応じて使用可能である。
【0090】これらの中でも、エチレン−酢酸ビニル共
重合体もしくはエチレン−酢酸ビニル系共重合体等のエ
チレン系共重合体およびセルロ−ス系樹脂などが好まし
く、特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびセルロ
−ス系樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、一種
単独で使用してもよく、あるいは二種以上を併用しても
よい。本発明において、前記剥離層の成分として使用す
る熱可塑性樹脂は、前記例示の各種の熱可塑性樹脂の中
でも、その融点もしくは軟化点が、通常、50〜150
℃、特に60〜120℃の範囲にあるもの、あるいは二
種以上の混合によってその範囲になるものが好適に使用
される。
【0091】前記剥離層には、場合により適宜、色材を
含有させてもよい。前記剥離層に色材を含有させる場
合、その含量は、その剥離層を構成する全成分に対し
て、通常、30重量%以下、好ましくは、20重量%以
下の割合に設定するのが適当である。
【0092】この色材としては、通常の化合物を使用す
ることができ、「(B.1.2)熱溶融性インク層」の
欄において説明したのと同じ色材を使用することができ
る。前記剥離層には、前記成分のほかに、必要に応じて
この発明目的を阻害しない範囲で、さらに他の成分を適
宜含有させてもよい。この他の成分としては、たとえ
ば、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステ
ル、アミド類、ならびに高級アミン類などを挙げること
ができる。これらは、使用する場合には、一種単独で用
いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0093】前記剥離層の層厚は、通常は、0.2〜4
μmの範囲、好ましくは0.5〜2.5μmの範囲にす
るのが適当である。前記剥離層は、前記の成分の外に、
剥離性を調節するため界面活性剤を含むものであっても
よい。本発明で用いる代表的な界面活性剤の例として
は、ポリオキシエチレン鎖含有化合物を挙げることがで
きる。さらに、無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリ
カゲルなど)あるいは、オイル類(アマニ油鉱油など)
を添加することもできる。
【0094】C.文字情報含有画像の形成 前記溶融型感熱転写記録用インクシ−トを用いる溶融型
感熱転写方法は、通常の感熱転写記録方法と異なるもの
ではないが、熱源として最も典型的な熱ヘッドを使用す
る場合を例にして説明する。まず、溶融型感熱転写記録
用インクシ−トの熱溶融性インク層と基材の受像面とを
密着させ、必要に応じてさらに基材の背面からプラテン
によって熱パルスを与えつつ、熱ヘッドによって熱パル
スを与え、所望の印字ないし転写パターンに対応する熱
溶融性インク層を局部的に加熱する。
【0095】熱溶融性インク層の被加熱部は、その温度
が上昇し、速やかに軟化して基材の受像面に転写され
る。この際、熱溶融性インク層に含有されている昇華性
色素は受像面に近い受像層内部にまで染み込み、これに
よって改竄防止効果を奏することができる(改竄しよう
として受像層上の文字情報含有画像を剥取っても、受像
層内に色素が染み込んでいるので、改竄の目的が達成さ
れない)。なお、熱溶融性インク層に含有されている昇
華性色素がキレ−ト色素であり、かつ受像層に前記金属
イオン含有化合物が含有されていると、その金属イオン
と昇華性色素とがキレ−ト化合物を形成するので、昇華
性色素の受像層内での定着性が向上するという効果を奏
することができ、より優れた改竄防止効果を発揮するこ
とができる。
【0096】D.階調情報含有画像 本発明の画像記録体をIDカードとする場合には、その
IDカードには通常、人物画像等の階調情報含有画像が
形成される。その階調情報含有画像は、昇華型感熱転写
記録用インクシートを使用して受像層に形成される。 (D.1)昇華型感熱転写記録用インクシート 昇華型感熱転写記録用インクシートは、支持体とその上
に形成された昇華性色素含有インク層とで構成すること
ができる。
【0097】−昇華性色素含有インク層− 上記昇華性色素含有インク層は、基本的に昇華性色素と
バインダーとを含有する。 1.昇華性色素 昇華性色素としては、前記「(B.1.2)熱溶融性イ
ンク層」において説明したのと同じ昇華性色素を使用す
ることができる。その昇華性色素の詳細については、前
述してある通りなので説明を省略する。
【0098】2.バインダ− 昇華性色素含有インク層用のバインダーとしてはエチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロ
ース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアセトアセタール、スチレン
樹脂、スチレン共重合体樹脂、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体などのビニル
系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系
樹脂等が挙げられる。
【0099】これらの樹脂のうちでも耐酸性の優れたポ
リビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールある
いはセルロース系樹脂が好ましい。前記各種のバインダ
ーは、その一種を単独で使用することもできるし、また
その二種以上を併用することもできる。バインダーと前
記昇華性色素との重量比は、1:10〜10:1が好ま
しく、2:8〜8:2の範囲が特に好ましい。
【0100】3.その他の任意成分 さらに前記昇華性色素含有インク層には、本発明の目的
を阻害しない範囲で各種の添加剤を添加することができ
る。その添加剤としては、シリコン樹脂、シリコンオイ
ル(反応硬化タイプも可)、シリコン変性樹脂、フッ素
樹脂、界面活性剤、およびワックス類等の剥離性化合
物、金属微粉末、シリカゲル、金属酸化物、カーボンブ
ラック、および樹脂微粉末等のフィラー、バインダー成
分と反応可能な硬化剤(たとえばイソシアネート類やア
クリル類やエポキシ類等の放射線活性化合物)などを挙
げることができる。さらにまた、添加剤として転写を促
進するための熱溶融性物質、たとえばワックスや高級脂
肪酸エステルなどの、特開昭59−106997号公報
に記載の化合物を挙げることができる。
【0101】−支持体− 昇華型感熱転写記録用インクシートの支持体としては、
寸法安定性がよく、感熱ヘッドでの記録の際の熱に耐え
るものならば、何でもよいが、コンデンサー紙、グラシ
ン紙のような薄葉紙、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリサルフォン、ポリビニルアルコールセロファ
ン、ポリスチレンのような耐熱性のプラスチックフィル
ムを用いることができる。
【0102】支持体の厚さは、2〜10μmが好まし
く、また支持体にはバインダーとの接着性の改良や色素
の支持体側への転写、染着を防止する目的で下引層を有
していてもよい。さらに支持体の裏面(昇華性色素含有
インク層と反対側)には、ヘッドが支持体に融着やステ
ィッキング、シワの発生するのを防止する目的でスティ
ッキング防止層を設けてもよい。このスティッキング防
止層の厚みは通常、0.1〜1μmである。支持体の形
状については特に制限がなく、たとえば広幅のシートや
フィルム、細幅のテープやカードなど任意の形状があ
る。
【0103】 (D.2)昇華型感熱転写記録用インクシートの製造 昇華型感熱転写記録用インクシートは、昇華性色素含有
インク層を形成する前記各種の成分を溶媒に分散ないし
溶解して昇華性色素含有インク層形成用塗工液を調製
し、これを支持体の表面に塗工し、乾燥することにより
製造することができる。なお、前記バインダーは、一種
または二種以上を溶媒に溶解もしくはラテックス状に分
散させて用いる。
【0104】前記溶媒としては、水、アルコール類(例
えばエタノール、プロパノール)、セロソルブ類(例え
ばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、芳香族類
(例えばトルエン、キシレン、クロルベンゼン)、ケト
ン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エステ
ル系溶剤(たとえば酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、エ
ーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)、
塩素系溶剤(例えばクロロホルム、トリクロルエチレ
ン)等が挙げられる。
【0105】前記塗工には、従来から公知のグラビアロ
ールによる面順次塗り別け塗布法、押し出し塗布法、ワ
イヤーバー塗布法、ロール塗布法等を採用することがで
きる。昇華性色素含有インク層は、支持体の表面の全面
あるいは一部の表面に、単色の昇華性色素を含有する層
として形成されても良いし、また、バインダーとイエロ
ー色素とを含有するイエロー昇華性色素含有インク層、
バインダーとマゼンタ色素とを含有するマゼンタ昇華性
色素含有インク層およびバインダーとシアン色素とを含
有するシアン昇華性色素含有インク層が、平面方向に沿
って一定の繰り返しで支持体の表面の全面あるいは一部
の表面に形成されていても良い。
【0106】かくして形成された昇華性色素含有インク
層の膜厚は、通常、0.2〜10μmであり、好ましく
は、0.3〜3μmである。昇華型感熱転写記録用イン
クシートには、パーフォレーションを形成したり、ある
いは色相の異なる区域の位置を検出するための検知マー
クなどを設けることによって、使用時の便を図ることも
できる。
【0107】なお、昇華型感熱転写記録用インクシート
は、支持体とその上に形成されたインク層とからなる構
成に限られず、昇華性色素含有インク層の表面にその他
の層が形成されていても良い。例えば、感熱転写記録用
受像シートとの融着や昇華性色素の裏移り(ブロッキン
グ)を防止する目的でオーバーコート層を設けても良
い。
【0108】(D.3)階調情報含有画像の形成 階調情報含有画像の形成を形成するには、昇華型感熱転
写記録用インクシートの昇華性色素含有インク層と感熱
転写記録用受像シ−トの受像層とを重ねあわせ、昇華性
色素含有インク層と受像層とにイメージワイズに熱エネ
ルギーを与える。昇華性色素含有インク層中の昇華性色
素は、与えられた熱エネルギーに応じた量だけ気化ある
いは昇華し、受像層側に移行し、受容される。その結
果、受像層に階調情報含有画像の形成が形成される。
【0109】前記熱エネルギーを与える熱源としては、
サーマルヘッドが一般的であるが、このほかにレーザー
光、赤外線フラッシュ、熱ペンなどの公知のものを使用
することができる。熱エネルギーを与える熱源としてサ
ーマルヘッドを用いるときは、サーマルヘッドに印加す
る電圧あるいはパルス巾を変調することにより、与える
熱エネルギーを連続的にあるいは多段階に変化させるこ
とが好ましい。
【0110】熱エネルギーを与える熱源としてレーザー
光を用いるときは、レーザー光の光量や照射面積を変化
させることにより与える熱エネルギーを変化させること
ができる。この場合、レーザー光を吸収し易くするた
め、レーザー光吸収材料(例えば、半導体レーザーの場
合、カーボンブラックや赤外線吸収物質など)を昇華性
色素含有インク層中、もしくは昇華性色素含有インク層
近傍に存在せしめるとよい。
【0111】なお、レーザー光を用いるときは昇華型感
熱転写記録用インクシートと感熱転写記録用受像シート
とを充分に密着させて行なうとよい。音響光学素子を内
蔵したドットジェネレーターを用いれば網点の大小に応
じた熱エネルギーを与えることもできる。
【0112】E.透明保護層 本発明においては、溶融型感熱転写記録用インクシ−ト
を用いて文字情報含有画像を形成した受像層上に、さら
に透明保護層を設けることが好ましい。また、この透明
保護層は。文字情報含有画像を有する受像層の表面のみ
ならず、階調情報含有画像を有する受像層の表面をも被
覆しているのが好ましい。このような透明保護層を外層
に有する画像記録体は、単に画像の耐久性が向上するだ
けでなく、受像層から透明保護層内部に昇華性色素が染
み込むので、変造、偽造される恐れがない。つまり優れ
た改竄防止性を発揮することができる。
【0113】また、この透明保護層には、昇華性色素と
反応してキレ−ト化合物を形成することのできる金属イ
オン含有化合物を添加しておくことが好ましい。
【0114】その作用および効果等については、前記
「(C.2)文字情報含有画像の形成」の項で述べたの
と同様である。また、透明保護層を設けると、次のよう
な効果を奏することができる。すなわち、画像もしくは
画像記録体の保護性および耐久性等の向上のために紫外
線硬化保護層を被覆形成したい場合に、もし、紫外線硬
化性の樹脂を含有するコ−ティング剤を文字情報含有画
像を有する受像層上に直接に塗布すると、前記コ−ティ
ング剤中に存在する紫外線硬化性の樹脂や溶剤の作用に
よって、昇華性色素による文字情報含有画像が滲んだり
変色したりするなどの支障をきたし、鮮明な画像が得ら
れない。
【0115】それに対し、透明保護層を前記のように設
けると、少なくとも昇華性色素により形成された画像と
前記コ−ティング剤との接触が避けられる結果、その昇
華性色素の滲みおよび変色が防止され、形成された画像
をそのまま鮮明な状態に保護することができる。また、
前記紫外線硬化保護層形成時における紫外線照射による
昇華性色素の変質(分解や他の物質との反応を伴うこと
による変質と推定される。)や変色をも防止する為に
も、透明保護層は有効である。
【0116】(C.1)透明保護層の構成 このような要求を満たす透明保護層としては、特開昭6
3−183881号公報の第9頁左下欄第9行から第1
0頁左上欄第15行に記載の熱溶融性化合物と同公報の
第10頁左上欄第16行から第11頁左下欄第9行に例
示の熱可塑性樹脂とで形成することができる。また、本
発明ではこれらの熱溶融性化合物と熱可塑性樹脂に加え
て前記金属イオン含有化合物を用いることが好ましい。
【0117】透明保護層中には紫外線吸収剤を含有させ
ておくことも、階調情報含有画像を保護するのに有効で
ある。紫外線吸収剤としては、前記受像層の説明におい
て例示された化合物を挙げることができる。透明保護層
中におけるこれらの配合量は、化合物の種類によって相
違するので各化合物ごとに実験的に定めることができ
る。透明保護層の厚みは、外観、透明保護層の転写性、
場合によってはさらに紫外線硬化樹脂保護層の形成を考
慮して、通常0.5〜20.0μmであり、好ましくは
1.0〜10.0μmである。
【0118】(C.2)保護層形成用転写シート 文字情報含有画像を形成した基材上に透明保護層を形成
するには、保護層形成用転写シートを使用するのがよ
い。この保護層形成用転写シートは、支持体上に、剥離
層と、透明保護層と、必要に応じて設けられた接着層と
をこの順に積層することにより構成することができる。
【0119】F.紫外線硬化樹脂層 本発明の画像記録体においては、紫外線照射によって硬
化してなる実質的に透明な硬化保護層を、透明樹脂層を
有する受像層の全面に形成しても良い。紫外線硬化樹脂
層は、紫外線硬化性樹脂を含有するコーティング剤を上
記基材上に塗布し、紫外線を照射することにより、形成
することができる。
【0120】−コーティング剤− このコーティング剤は、紫外線硬化性のプレポリマーと
重合開始剤とを主成分とする組成物によって形成するこ
とができる。紫外線硬化性のプレポリマーとしては、1
分子内にエポキシ基を2個以上含有するプレポリマーを
挙げることができる。このようなプレポリマーとして
は、たとえば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポ
リグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシ
ジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポ
リグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリ
シジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジル
エーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ
化合物類およびエポキシ化ポリブタジエン類等が挙げら
れる。これらのプレポリマーは、その一種を単独で使用
することもできるし、また、その二種以上を混合して使
用することもできる。
【0121】コーティング剤中の、エポキシ基を1分子
内に2個以上有するプレポリマーの含有量は70重量%
以上であるのが好ましい。前記重合開始剤としては、カ
チオン重合開始剤が好ましく、具体的には芳香族オニウ
ム塩を挙げることができる。この芳香族オニウム塩とし
て、周期表第Va族元素の塩たとえばホスホニウム塩(た
とえばヘキサフルオロリン酸トリフェニルフェナシルホ
スホニウムなど)、第VIa 族元素の塩たとえばスルホニ
ウム塩(たとえばテトラフルオロホウ酸トリフェニルス
ルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルスルホ
ニウム、ヘキサフルオロリン酸トリス(4−チオメトキ
シフェニル)、スルホニウムおよびヘキシサフルオロア
ンチモン酸トリフェニルスルホニウムなど)、および第
VIIa族元素の塩たとえばヨードニウム塩(たとえば塩化
ジフェニルヨードニウムなど)を挙げることができる。
【0122】このような芳香族オニウム塩をエポキシ化
合物の重合におけるカチオン重合開始剤として使用する
ことは、米国特許第4,058,401号、同第4,0
69,055号、同第4,101,513号および同第
4,161,478号公報に詳述されている。好ましい
カチオン重合開始剤としては、第VIa 族元素のスルホニ
ウム塩が挙げられる。その中でも、紫外線硬化性と紫外
線硬化性の組成物の貯蔵安定性の観点からすると、ヘキ
サフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウムが好
ましい。
【0123】カチオン重合開始剤のコーティング剤中の
含有量は、3〜20重量%が好ましく、特に5〜12重
量%が好ましい。カチオン重合開始剤の含有量がコーテ
ィング剤の1重量%を越えないときには、紫外線を照射
したときに硬化速度が極端に遅くなることがあり、好ま
しくない。紫外線硬化性の樹脂としては、前記エポキシ
系硬化性樹脂に限られず、ラジカル重合性の樹脂、例え
ば単官能性あるいは多官能性アクリレート化合物等を挙
げることができる。コーティング剤中には、更に油類
(特にシリコーン油)、シリコーン−アルキレンオキシ
ド共重合体(たとえばユニオンカーバイド社から市販さ
れているL−5410)のような界面活性剤、シリコー
ン油含有脂肪族エポキシド類、3M社から市販されてい
るFO−171および3M社から市販されているFO−
430、大日本インキ株式会社から市販されているMe
gafac F−141のようなフルオロカーボン界面
活性剤等を含有させてもよい。
【0124】このコーティング剤中には、さらに、たと
えば、スチレン、パラメチルスチレン、メタクリル酸エ
ステル、アクリル酸エステル等のビニル単量体やセルロ
ース系、熱可塑性ポリエステル、フェニルグリシジルエ
ーテル、ケイ素含有モノエポキシド、ブチルグリシジル
エーテル等のモノエポキシド等が、この発明の効果を阻
害しない範囲で含有されていてもよい。
【0125】また、このコーティング剤中には、不活性
性成分として、たとえばタルク、炭酸カルシウム、、ア
ルミナ、シリカ、マイカ、硫酸バリウム、炭酸マグネシ
ウム、ガラス等の充填剤、染料、顔料、増粘剤、可塑
剤、安定剤、レベリング剤、カップリング剤、粘着付与
剤、シリコーン基含有活性剤、フルオロカーボン基含有
表面活性剤等の濡れ向上剤、その他の各種添加剤、さら
にコーティング剤の塗布中における流動性を改良するこ
とを目的として、前記カチオン重合開始剤とほとんど反
応しないアセトン、メチルエチルケトン、メチルクロラ
イド等の少量の溶剤を含有させても良い。
【0126】−塗布方法および塗布条件− 前記コーティング剤の受像層表面への塗布は、コーティ
ング剤、場合により溶剤等を加えるなどして適宜の粘度
に調整されたコーティング剤を、ダブルロールコータ、
スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコー
タ、スライドホッパー、スプレーコーティング等の通常
の方法にて受像層表面に塗布することにより、達成する
ことができる。
【0127】これらの適宜の塗布方法により、前記コー
ティング剤による塗布層が、受像層の表面に、通常0.
1〜30μm、好ましくは1〜14μmの厚みになるよ
うに、塗布される。塗布後に、前記コーティング剤によ
る塗布層に紫外線が照射され、コーティング剤中の紫外
線硬化性のプレポリマーの重合反応ないし硬化反応が進
行する。
【0128】ここで、紫外線というとき、これは紫外領
域の光を意味するばかりでなく、紫外領域の光を含む光
線をも含む意味である。したがって、紫外線の照射とし
て、太陽光線の照射、低圧水銀灯の照射、高圧水銀灯の
照射、超高圧水銀灯の照射、カーボンア−ク等の照射、
メタルハライドランプによる照射、キセノンランプの照
射等を挙げることができる。
【0129】紫外線を照射するときの雰囲気としては、
空気、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気が好ま
しい。紫外線の照射時間としては、紫外線領域の照射光
源の種類によって相違するのであるが、通常0.5秒〜
5分、好ましくは3秒〜2分である。通常、照射時間の
短い場合には照射強度の大きい大型の光源を必要とし、
照射時間が長い場合には照射強度の小さい光源を使用す
ることもできる。もっとも、照射強度の小さな光源では
硬化作用時間が長くなり、製造工程上有利ではない。し
かし、この発明では、200W以下の紫外線発生ランプ
を用いて、3秒から2分の照射によって、実用上十分な
強度を有する硬化被膜を形成することができる。
【0130】なお、硬化に際しては、紫外線の照射時ま
たは照射の前後において、コーティング剤の塗布膜を加
熱すると、硬化時間の短縮を図ることができる。そのよ
うな加熱をする場合、加熱温度は30〜80℃が好まし
い。紫外線照射前においては、前記加熱温度による加熱
時間は長くても短くても良いのであるが、紫外線照射後
においては、加熱時間は1分〜120分が好ましい。
【0131】
【実施例】次に本発明の実施例について具体的に詳述す
る。なお、以下において「部」とあるのは固形分の「重
量部」を示す。 (実施例1)(1)カードサイズの基材の製造 厚み450μmの硬質白色塩化ビニル樹脂シートの両面
に厚み150μm硬質透明塩化ビニル樹脂シートを熱溶
着することによって得られた、厚みが750μmである
幅広の白色塩化ビニル樹脂シートに、下記の組成を有す
る受像層用塗工液をワイヤーバー法により塗工し、溶剤
を乾燥除去することにより厚み4.0μmの受像層を形
成した。
【0132】 受像層用塗工液: 塩化ビニル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.9部 [東ソー(株)製、リューロンQC−640] 溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90.0部 (メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=8/2) シリコン樹脂(離型剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1部 [信越化学工業(株)製、X24 8300]。
【0133】次いで、受像層とは反対側の支持体表面に
下記の組成を有する筆記層用塗工液を塗布し、乾燥する
ことにより、厚み40μmの筆記層を形成した。こうし
て得られた幅広の受像シートを裁断することにより縦横
54.0mm×85.5mmのカードサイズの基材が得
られた。 筆記層用塗工液: コロイダルシリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.5部 ゼラチン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0部 硬膜剤(化10参照)・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90.0部。
【0134】
【化10】
【0135】 (2)熱溶融型感熱転写記録用インクシートの製造 支持体として厚み6μmのポリエチレンテレフタレート
シートのコロナ放電処理された表面に、カルナバワック
ス/EV210(三井デュポンポリケミカル(株)製、
95:5)の剥離層を0.5ミクロン設けた後に、下記
組成のインク層形成用塗工液をワイヤーバーコーティン
グ法により、乾燥後の厚みが1μmになるように塗布
し、その後に乾燥するとともに、コロナ処理されていな
い裏面にシリコーンオイル(X−41,403A,信越
シリコーン(株)製)をスポイトで1、2滴たらして全
面に広げ、背面処理コートを行って熱溶融型感熱転写記
録用インクシートを得た。
【0136】 インク層形成用塗工液: イエロー分散染料・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5部 [三井東圧染料(株)製、MS Yellow] エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・・・・・・・・・・・ 5部 [三井デュポンポリケミカル(株)社製、EV−40Y] カ−ボンブラック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35部 フェノール樹脂 35部 [荒川化学(株)製、タマノル526 35部 炭酸カルシウム 20部 メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・400部。
【0137】(3)画像記録体の製造 基材における受像層と熱溶融型感熱転写記録用インクシ
ートのインク層とを重ね合わせ、熱溶融型感熱転写記録
用インクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.
23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5msec、ド
ット密度16ドット/mmの条件で加熱することによ
り、受像層に文字情報画像を形成した。 (4)画像記録体の評価 記録した文字情報を、エタノールを含ませた綿棒にて擦
り、文字を除去した。文字を除去した箇所にイエロー染
料が残り改竄が困難であった。
【0138】(実施例2) 実施例1と同様にして画像記録体を製造した。次に厚み
6μmのポリエチレンテレフタレートシートの表面に、
下記の組成を有する透明保護層用塗工液をワイヤーバー
法により塗工し、乾燥することにより厚み3.0μmの
透明保護層を形成した。このポリエチレンテレフタレー
トシートの前記透明保層とは反対側の面に、以下の組成
を有するアンチスティッキング層用塗工液を塗布するこ
とにより、厚み0.6μmのアンチスティッキング層を
形成した。
【0139】 透明保護層用塗工液: ポリパラバン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.5部 [東燃石油化学(株)製、XT−4] シリコン樹脂粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5部 [東芝シリコーン(株)製、トスパール108] 1、4ジオキサン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90部。
【0140】 アンチスティッキング層用塗工剤: ニトロセルロース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0部 アクリルシリコン樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0部 [東亜合成化学工業(株)社製、サイマックUS270] メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・90.0部。
【0141】次に、前記画像記録体の文字情報画像を有
する受像層に、前記透明保護層を有するシ−トの透明保
護層を重ね、プレスローラーを用いて180℃、1秒間
熱をかけてから支持体を剥離することにより容易に受像
層上に透明保護層を転写し、記録画像の耐久性に優れた
カードを得ることが出来た。またこのカードを改竄しよ
うと試みた。すなわち、カードを80〜120°Cに加
熱して、ゆっくりと透明保護層を剥離した。溶融文字は
カードと透明保護層の両側に残っており、カード表面、
および透明保護層の内面に付着した文字をエタノールで
除去することが困難であった。
【0142】(実施例3)実施例2において、インク層
形成用塗工液中の昇華性色素の代わりにキレ−ト型昇華
性色素(化11)を用いたこと、受像層用塗工液に金属
イオン含有化合物(化12)を5部添加したこと、およ
び透明保護層用塗工液に金属イオン含有化合物(化1
2)を10部添加したことを除いて実施例2と同様にし
て保護層付き画像記録体を製造した。実施例2と同様、
改竄を試みたが色素が強固に受像層、あるいは透明保護
層に固着しており、金属イオン含有化合物を有しない場
合に比べてさらに改竄防止性が向上した。
【0143】
【化11】
【0144】
【化12】
【0145】(比較例1)実施例1において、インク層
形成用塗工液を調製するに当たり昇華性色素を用いなか
ったことを除き、実施例1と同様にして画像記録体を製
造し、その性能の評価を行なった。エタノールによって
簡単に文字を除去することが可能であった。
【0146】(比較例2)実施例2において、インク層
形成用塗工液を調製するに当たり昇華性色素を用いなか
ったことを除き、実施例2と同様にして画像記録体を製
造した。また実施例2と同様に改竄性を試したところ、
透明保護層は薄膜のため再使用が困難になったが、受像
層からは容易に文字が除去できた。
【0147】
【発明の効果】本発明の溶融型感熱転写記録用インクシ
−トは、昇華性色素と非昇華性色素とを含むインク層を
支持体上に積層してなり、また、本発明の画像記録体
は、支持体と、この支持体上に積層されるとともに上記
溶融型感熱転写記録用インクシ−トを用いて形成した文
字情報含有画像を有する受像層とを有する画像記録体で
ある。受像層には文字情報含有画像の昇華性色素が染み
込んでいるので、優れた改竄防止効果を発揮することが
できる。したがって、本発明の画像記録体は特に信頼性
の高いIDカ−ドとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す画像記録体の断面図
である。
【図2】本発明の他の実施態様を示す画像記録体の断面
図である。
【符号の説明】
1a 支持体 1b 受像層 2 文字情報含有画像 4 透明保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 腰塚 国博 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−158096(JP,A) 特開 昭63−144084(JP,A) 特開 平1−225596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/30 - 5/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、この支持体上に積層され、文
    字情報含有画像を有する受像層とを有する画像記録体で
    あって、該文字情報含有画像が、非昇華性色素と昇華性
    色素とを同時に含有する溶融熱転写可能なインク層を支
    持体上に積層してなる溶融型感熱転写記録用インクシ−
    トからインク層が熱転写記録されることで同時に形成さ
    れた受像層上の熱溶融型熱転写記録画像と、該画像と同
    一の文字情報画像が前記受像層中に拡散した昇華色素画
    像とからなることを特徴とする改竄防止機能を有する画
    像記録体
  2. 【請求項2】 前記受像層は、その表面に透明保護層を
    有する請求項に記載の画像記録体。
  3. 【請求項3】 前記受像層が、昇華性色素と反応してキ
    レート化合物を形成する金属イオン含有化合物を有する
    請求項または請求項に記載の画像記録体。
  4. 【請求項4】 前記透明保護層が、昇華性色素と反応し
    てキレ−ト化合物を形成する金属イオン含有化合物を有
    する請求項に記載の画像記録体。
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