JP3205017B2 - 画像記録体の製造方法 - Google Patents

画像記録体の製造方法

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JP3205017B2
JP3205017B2 JP28896691A JP28896691A JP3205017B2 JP 3205017 B2 JP3205017 B2 JP 3205017B2 JP 28896691 A JP28896691 A JP 28896691A JP 28896691 A JP28896691 A JP 28896691A JP 3205017 B2 JP3205017 B2 JP 3205017B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像記録体の製造方法に
関し、さらに詳しくは、画像の耐久性と定着着とに優れ
た画像記録体を簡便に短い工程で製造することのできる
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、自
動車免許証等の免許証類、身分証明証、写真付会員証、
認証識別カード、写真付名刺等で代表される各種IDカ
ードが普及するようになった。これらのIDカードに
は、しばしば本人確認用に顔画像がその表面に形成され
ている。この顔画像は階調を有するので階調情報含有画
像とも称される。なお、階調情報含有画像は顔画像に限
らず、階調を有する画像を含有する限り階調情報含有画
像と称される。また、これらのIDカードには、IDカ
ード所持者に関する事項やその他の必要な情報が文字、
図形、記号等により形成されている。これらの文字、図
形、記号等に階調はなく、また一色で形成されている。
したがって、これら文字、図形、記号等の画像は、文字
情報含有画像と称される。
【0003】従来、文字情報含有画像と階調情報含有画
像とを有するIDカード等の画像記録体においては、階
調情報含有画像は銀塩写真法により形成され、文字情報
含有画像は熱溶融型感熱転写記録方式により形成されて
いる。しかしながら、銀塩写真法により階調情報含有画
像を形成するには、露光、現像、定着、漂白、水洗等の
複雑な工程を要する。したがって、大量かつ迅速にID
カードを作成する現場においては、銀塩写真法で階調情
報含有画像を形成する方式は必ずしも適切な手法とは言
い難い。
【0004】このような事情のもとに、本発明者らは美
麗な画像を有するIDカードの大量かつ迅速な製造に関
して鋭意研究を行い、その結果、以下に概説するような
IDカードの新規な製造方法を開発した。すなわち、支
持体の全面に渡って受像層を有する画像記録体における
この受像層に昇華型感熱転写記録方式により階調情報含
有画像を形成し、次いで必要な情報を記述した文字情報
含有画像を例えば熱溶融型感熱転写記録方式あるいは昇
華型感熱転写記録方式により形成する。更に前記階調情
報含有画像の表面に透明保護層を例えばホットスタンプ
方式により積層し、さらに受像層全面に渡って紫外線硬
化性樹脂を塗布してこれに紫外線照射をすることにより
硬化保護膜を形成する。このようにしてIDカードを製
造する。
【0005】しかしながら、このIDカードの製造法は
改竄防止性や記録情報の保存性などを極端に考慮したも
のであるから、多種類の転写シートが要求されることに
なり、実に複雑な工程になる。工程が複雑であると、そ
の保守、点検が煩雑になると共に、使い切った転写シー
トを補充するのも煩雑である。大量かつ迅速にIDカー
ドを製造しなければならない現場においては、できるだ
けその製造工程は簡略化され、保守点検の必要性の少な
い、新規な画像記録体の製造方法が望まれている。本発
明は前記の事情に基づいてなされたものである。すなわ
ち、本発明の目的は、短い工程で画像の耐久性と定着性
とに優れたIDカード等の画像記録体を簡便に製造する
ことができる画像記録体の製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため
の請求項1に記載の本発明は、画像記録体用基材の受像
層に熱拡散性色素で階調情報含有画像を形成した後に、
同一支持体上に熱溶融性インク層および透明保護層を有
する感熱転写シートと、前記階調情報含有画像を形成し
たサーマルヘッドとは異なるサーマルヘッドとを用い
て、前記受像層表面に文字情報含有画像と、少なくとも
階調情報含有画像を有する受像層表面に透明保護層とを
形成し、前記透明保護層を含む前記受像層表面にさらに
紫外線硬化性塗布液を塗布し、この塗布液に紫外線を照
射することにより紫外線硬化樹脂層を形成することを特
徴とする画像記録体の製造方法である。
【0007】カードとして使用する場合、その機械的強
度を維持するために同種あるいは異種の素材で形成され
たシートを積層してなる基材を使用することもできる。
さらには、視認可能な層に、同種の他のカードに共通の
情報を印刷してなる基材を使用することもでき、また、
カードそのものの偽造・変造を防止する対策として、透
かしを入れるなどの、物理的手段による確認可能な偽造
防止用特殊加工を施してなる基材を使用することもでき
る。
【0008】基材の一般的な構成としては、支持体上に
受像層を積層してなる基材を挙げることができる。この
場合、受像層を支持体の片面あるいは両面に設けてもよ
く、また支持体の全面に設けてもよく、あるいは所望の
部分のみに設けてもよい。また、この受像層は階調情報
含有画像および文字情報含有画像を形成する場合に、熱
拡散性色素を良好に受容することができるように調製さ
れた第1の受像層と、熱溶融性インクを良好に接着する
ことのできるように調製された第2の受像層とを、支持
体の所定の面上にそれぞれ区別して設けてもよい。な
お、前記基材には、必要に応じて、エンボス、サイン、
ICメモリ−、光メモリ−、磁気記録層、他の印刷等が
設けられていてもよい。これらは、本発明の画像記録体
の製造工程のいずれかの時点(たとえば、前記透明保護
層を形成後など)において、さらには製造後に設けるこ
とが可能である。また、白抜け防止、感度向上のために
例えば特開昭60−236794号公報、特開昭61−
258793号公報に記載されたように、支持体の表面
にクッション層あるいは断熱材層を設けても良い。
【0009】(1)支持体 前記基材の支持体としては、たとえば紙、コート紙、お
よび合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、
それらを紙とはり合せた複合材料)等の各種紙類、白色
の塩化ビニル系樹脂シート、白色のポリエチレンテレフ
タレートベースフィルム、透明のポリエチレンテレフタ
レートベースフィルム、ポリエチレンナフタレート、A
BSベースフィルム、ASベースフィルム、ポリプロピ
レンベースフィルム、ポリスチレンベースフィルム等の
各種プラスチックフィルムないしシート、各種の金属で
形成されたフィルムないしシート、各種のセラミックス
類で形成されたフィルムないしシート等を挙げることが
できる。
【0010】支持体中には、後の工程で形成される画像
の鮮明性を高めるために、白色顔料たとえばチタンホワ
イト、炭酸マグネシウム、サンカ亜鉛、硫酸バリウム、
シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加され
ているのが好ましい。さらにまた、画像記録体を自動車
免許証等のIDカードとするのであれば、支持体を、前
記白色顔料と後述する塩化ビニル系樹脂との組成物から
なるシートもしくはフィルムで構成するのが一般的であ
る。
【0011】基材を支持体と受像層との積層体として形
成するときには、その支持体の厚みは通常100〜1,
000μm、好ましくは100〜800μmである。支
持体の厚みは通常100〜1,000μm、好ましくは
200〜800μmである。前記支持体には必要に応じ
てエンボス、サイン、ICメモリ−、光メモリ−、磁気
記録層、他の印刷等を設けることができる。
【0012】(2)受像層 前記支持体の表面に形成する受像層は、バインダーと必
要に応じて添加される各種の添加剤と金属イオン含有化
合物とで形成することができる。また、場合によっては
受像層をバインダーのみから形成することもできる。 1.バインダー 受像層のバインダーとしては、通常に知られている昇華
型感熱転写記録用のバインダーを適宜に用いることがで
きる。主なバインダーとしては、塩化ビニル系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル
系樹脂、各種の耐熱性樹脂などさまざまのバインダーを
使用することができる。
【0013】ただし、本発明によって形成される画像に
つき、実際的要求(たとえば発行されるIDカードに所
定の耐熱性が要求されるなど)が存在するのであれば、
そのような要求項目を満たすようにバインダーの種類あ
るいは組み合わせを考慮することが必要になる。画像の
耐熱性を例にすると、60℃以上の耐熱性が要求される
のであれば、熱拡散性色素のにじみを考慮して、Tgが
60℃以上であるバインダーを使用するのが好ましい。
【0014】バインダーの種類の選択は任意であるが、
画像保存性などの点において、塩化ビニル系樹脂が好ま
しい。ポリ塩化ビニル単体は自己支持性の受像層とする
ことができ、非常に実用的である。また前記塩化ビニル
系樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂のほかに塩化ビニ
ル共重合体とを挙げることができる。この塩化ビニル共
重合体としては、塩化ビニルをモノマーユニットとして
50モル%以上の割合で含有する塩化ビニルと他のコモ
ノマーとの共重合体を挙げることができる。
【0015】前記他のコモノマーとしては、たとえば酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、や酢酸ビニル、牛脂酸
ビニルなどの脂肪酸のビニルエステル類、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリ
ル酸もしくはメタアクリル酸およびそのアルキルエステ
ル類、マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸および
そのアルキルアルキルエステル類、メチルビニルエーテ
ル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニ
ルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビ
ニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル等を挙げる
ことができる。さらに、前記コモノマーとして、エチレ
ン、プロピレン、アクリロニトリル、メタアクリロニト
リル、スチレン、クロロスチレン、イタコン酸およびそ
のアルキルエステル類、クロトン酸およびそのアルキル
エステル類、ジクロロエチレン、トリフロロエチレンな
どの他ハロゲン化オレフィン類、シクロペンテン等のシ
クロオレフィン類、アコニット酸エステル類、ビニルベ
ンゾエート、ベンゾイルビニルエーテル等を挙げること
ができる。
【0016】塩化ビニル共重合体は、ブロック共重合
体、グラフト共重合体、交互共重合体、ランダム共重合
体の何れであっても良い。また、場合によっては、シリ
コン化合物などの剥離機能を有するものとの共重合体で
あっても良い。前記塩化ビニル系樹脂の他に、ポリエス
テル系樹脂も昇華型感熱転写用の受像層の形成材料とし
て好適に用いることができる。本発明に使用することの
できるポリエステル系樹脂としては、特開昭58−18
8695号公報、特開昭62−244696号公報に記
載されている化合物を挙げることができる。また、ポリ
カーボネート系樹脂もバインダーとして使用することが
でき、たとえば、特開昭62−169694号公報に記
載の各種の化合物を使用することができる。
【0017】2. 添加剤 受像層には、剥離剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定
剤、フィラー(無機微粒子、有機樹脂粒子)、顔料を添
加しても良い。また増感剤として可塑剤、熱溶剤などを
添加しても良い。剥離剤は、後述する感熱転写用インク
シートと受像層との剥離性を向上させることができる。
このような剥離剤としては、シリコーンオイル(シリコ
ーン樹脂と称されるものも含む。);ポリエチレンワッ
クス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固型ワッ
クス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等が挙げ
られ、中でも変性シリコーンポリマーが好ましい。
【0018】変性シリコンポリマーとしては、ポリエス
テル変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性ポリエ
ステル樹脂)、アクリル変性シリコン樹脂(もしくは、
シリコン変性アクリル樹脂)、ウレタン変性シリコン樹
脂(もしくは、シリコン変性ウレタン樹脂)、セルロー
ス変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性セルロー
ス樹脂)、アルキッド変性シリコン樹脂(もしくは、シ
リコン変性アルキッド樹脂)、エポキシ変性シリコン樹
脂(もしくは、シリコン変性エポキシ樹脂)などを挙げ
ることができる。
【0019】また、受像層の表面の一部に、上記剥離剤
を適当な溶媒に溶解あるいは分散させて塗布した後、乾
燥させる等によって剥離剤層を設けることもできる。な
お、シリコーンなどの剥離剤は保護層との接着性を考慮
し、全然使用しないかあるいはできるだけ少量添加する
ことが好ましい。次に前記酸化防止剤としては、特開昭
59−182785号、同60−130735号、特開
平1−127387号公報等に記載の酸化防止剤、およ
び写真その他の画像記録材料における画像耐久性を改善
するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【0020】前記UV吸収剤および光安定剤としては、
特開昭59−158287号、同63−74686号、
同63−145089号、同59−196292号、同
62−229594号、63−122596号、同61
−283595号、特開平1−204788号などの公
報に記載の化合物、および写真その他の画像記録材料に
おける画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を
挙げることができる。
【0021】前記フィラーとしては、無機微粒子や有機
樹脂粒子を挙げることができる。この無機微粒子として
はシリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白
土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、有機微
粒子としてはフッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、ア
クリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げ
ることができる。これらの無機・有機樹脂粒子は比重に
より異なるが、0.1〜70重量%の添加が好ましい。
【0022】前記顔料としては、代表例としてチタンホ
ワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シ
リカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土
などを挙げることができる。前記可塑剤としてはフタル
酸エステル類(例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジブ
チル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシルなど)、
トリメリット酸エステル類(例えばトリメリット酸オク
チルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、ト
リメリット酸イソデソルエステルなど)、ピロメリット
酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル類、
アジピン酸エステル類(アジピン酸ジオクチル、アジピ
ン酸メチルラウリル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、アジピン酸エチルラウリルなど)、その他オレイン
酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステ
ル類、セバチン酸エステル類、クエン酸エステル類、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステア
リン酸エポキシ類、さらには、リン酸トリフェニル、リ
ン酸トリクレジルなどの正リン酸エステル類、トリフェ
ニルホスファイト、トリス・トリデシルホスファイト、
ジブチル・ハイドロジエン・ホスファイトなどの亜燐酸
エステル類、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチ
ルフタリルブチルグリコレートなどのグリコールエステ
ル類などが挙げられる。なお、可塑剤の過度の添加は画
像の保存性を劣化させるので、可塑剤の添加量は、通
常、受像層におけるバインダーに対して0.1〜30重
量%の範囲である。
【0023】前記熱溶剤としては、テルピネオール、メ
ントール、1,4−シクロヘキサンジオール、フェノー
ル等のアルコール類、アセトアミド、ベンズアミド等の
アミド類、クマリン、ケイ皮酸ベンジル等のエステル
類、ジフェニルエーテル、クラウンエーテル等のエーテ
ル類、カンファー、p−メチルアセトフェノン等のケト
ン類、バニリン、ジメトキシベンズアルデヒド等のアル
デヒド類、ノルボルネン、スチルベン等の炭化水素類、
マルガリン酸等の高級脂肪酸、エイコサノール等の高級
アルコール、パルミチン酸セチル等の高級脂肪酸エステ
ル、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ベヘニ
ルアミン等の高級アミンなどに代表される単分子化合
物、カルナバロウ、蜜ロウ、パラフィンワックス、エス
テルワックス、モンタンロウ、アミドワックスなどのワ
ックス類、エステルガム、ロジンマレイン酸樹脂、ロジ
ンフェノール樹脂等のロジン誘導体、フェノール樹脂、
ケトン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、
テルペン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジ
エン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコールなどのポリオレフィン
オキサイドなどに代表される高分子化合物などを挙げる
ことができる。
【0024】本発明においては、上記熱溶融性物質は融
点あるいは軟化点が10〜150℃のものが好ましい。 3. 金属イオン含有化合物 また、受像層を形成するに際して、必要に応じて、例え
ば金属イオン含有化合物を含有させてもよい。前記金属
イオン含有化合物を構成する金属イオンとしては、例え
ば周期律表の第I〜第VIII族に属する2価および多
価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、C
u、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Zn
等が好ましく、特にNi、Cu、Co、Cr、Zn等が
好ましい。これらの金属イオンを含有する化合物として
は、該金属の無機または有機の塩および該金属の錯体が
好ましい。具体例を挙げると、Ni2+,Cu2+,C
2+,Cr2+およびZn2+を含有した下記一般式化1で
表される錯体が好ましく用いられる。
【0025】
【化1】
【0026】ただし、式中Mは金属イオンを表し、Q
1 、Q2 、Q3 は各々Mで表される金属イオンと配位結
合可能な配位化合物を表し、これらの配位化合物として
は例えば「キレート化学(5)(南江堂)」に記載され
ている配位化合物から選択することができる。特に好ま
しくは、金属と配位結合する少なくとも一個のアミノ基
を有する配位化合物を挙げることができ、更に具体的に
は、エチレンジアミンおよびその誘導体、グリシンアミ
ドおよびその誘導体、ピコリンアミドおよびその誘導体
が挙げられる。
【0027】Lは錯体を形成しうる対アニオンであり、
Cr、SO4、ClO4 等の無機化合物アニオンやベン
ゼンスルホン酸誘導体、アルキルスルホン酸誘導体等の
有機化合物アニオンが挙げられるが、特に好ましくはテ
トラフェニルホウ素アニオンおよびその誘導体、ならび
にアルキルベンゼンスルホン酸アニオンおよびその誘導
体である。kは1、2または3の整数を表し、mは1、
2または0を表し、nは1または0を表すが、これらは
前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位かに
よって決定されるか、あるいはQ1 、Q2 、Q3 の配位
子の数によって決定される。pは1、2または3を表
す。
【0028】この種の金属イオン含有化合物としては、
米国特許第4,987,049号明細書に例示されたも
のを挙げることができる。前記金属イオン含有化合物を
添加する場合、その添加量は受像層に対して、0.5〜
20g/m2 が好ましく、1〜15g/m2 がより好ま
しい。 (3)受像層の形成 本発明における受像層は、その形成成分を溶媒に分散あ
るいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像
層用塗工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥する塗工
法によって製造することができる。また、前記受像層を
形成する成分を有する混合物を溶融押出し、支持体の表
面にラミネートするラミネート法等によっても製造する
ことができる。
【0029】支持体の表面に形成される受像層の厚み
は、一般に2〜50μm、好ましくは3〜20μm程度
である。一方、受像層が自己支持性であるが故に受像層
そのものが支持体である場合には、受像層の厚みは60
〜200μm、好ましくは90μm〜150μm程度で
ある。また、本発明においては、支持体と受像層との間
にクッション層あるいはバリヤー層を設けることもでき
る。
【0030】クッション層を設けると、ノイズが少なく
て、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録する
ことができる。クッション層を構成する材質としては例
えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ブ
タジエンラバー、エポキシ樹脂等が挙げられる。クッシ
ョン層の厚さは通常、1〜50μm、好ましくは3〜3
μmである。
【0031】B.階調情報含有画像の形成 階調情報含有画像は、熱拡散性色素を有する昇華型の感
熱転写記録用インクシートを用いて昇華型熱転写方式に
より前記受像層に形成することができる。
【0032】(1)感熱転写記録用インクシート 昇華型の感熱転写記録用インクシートは、公知の構成に
より形成することができる。すなわち、この感熱転写記
録用インクシートは、通常、熱拡散性色素を含有するイ
ンク層を支持体上に形成してなる。 1. インク層 上記熱拡散性色素含有インク層は、基本的に熱拡散性色
素とバインダーとを含有する。
【0033】−熱拡散性色素− 熱拡散性色素としては、従来から公知の熱拡散性色素を
用いることができる。この熱拡散性色素としては、たと
えばシアン色素、マゼンタ色素、イエロー色素を挙げる
ことができる。前記シアン色素としては、特開昭59−
78896号、同59−227948号、同60−24
966号、同60−53563号、同60−13073
5号、同60−131292号、同60−239289
号、同61−19396号、同61−22993号、同
61−31292号、同61−31467号、同61−
35994号、同61−49893号、同61−148
269号、同62−191191号、同63−9128
8号、同63−91287号、同63−290793号
等の各公報に記載されているナフトキノン系色素、アン
トラキノン系色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。
【0034】前記マゼンタ色素としては、特開昭59−
78896号、特開昭60−30392号、特開昭60
−30394号、特開昭60−253595号、特開昭
61−262190号、特開昭63−5992号、特開
昭63−205288号、特開昭64−159号、特開
昭64−63194号等の各公報に記載されているアン
トラキノン系色素、アゾ色素、アゾメチン系色素等が挙
げられる。
【0035】イエロー色素としては、特開昭59−78
896号、特開昭60−27594号、特開昭60−3
1560号、特開昭60−53565号、特開昭61−
12394号、特開昭63−122594号等の各公報
に記載されているメチン系色素、アゾ系色素、キノフタ
ロン系色素、アントライソチアゾール系色素が挙げられ
る。
【0036】また、熱拡散性色素として特に好ましいの
は、開鎖型または閉鎖型の活性メチレン基を有する化合
物とp−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−
アミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応
により得られるアゾメチン色素、およびフェノールまた
はナフトール誘導体またはp−フェニレンジアミン誘導
体の酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体
のとのカップリング反応により得られるインドアニリン
色素である。
【0037】インク層に含有される熱拡散性色素は、形
成しようとする画像が単色であるならば、イエロー色
素、マゼンタ色素、およびシアン色素の何れであっても
良い。感熱転写記録用受像シートにおける受像層中に金
属イオン含有化合物が含まれているときには、昇華性色
素としては、前記金属イオン含有化合物とキレートを形
成することのできる色素化合物が好ましい。
【0038】金属イオン含有化合物とキレートを形成す
る色素化合物としては、公知の各種の化合物を適宜に選
定して使用することができる。具体的には例えば、特開
昭59−78893号、同59−109349号、同特
願平2−213303号、同2−214719号、同2
−203742号に記載されているシアン画像形成色素
(以下シアン色素と称す)、マゼンタ画像形成色素(以
下マゼンタ色素と称す)、イエロー画像形成色素(以下
イエロー色素と称す)などを挙げることができる。
【0039】上記の色素の中でも、少なくとも前記記載
の金属イオン含有化合物と2座のキレートを形成するこ
とができる色素化合物を使用するのが好ましい。そのよ
うな色素として、例えば、下記一般式化2で表される色
素などを挙げることができる。
【0040】
【化2】
【0041】ただし、式中X1 は、少なくとも一つの環
が5〜7個の原子から構成される芳香族の炭素環、また
は複素環を完成するのに必要な原子の集まりを表わし、
アゾ結合に結合する炭素原子の隣接位の少なくとも一つ
が、窒素原子またはキレート化基で置換された炭素原子
である。X2 は、少なくとも一つの環が5〜7個の原子
から構成される芳香族複素環または、芳香族炭素環を表
わす。Gはキレート化基を表す。
【0042】いずれの色素化合物を採用するにしても、
形成しようとする画像の色調によっては、前記三種の色
素のいずれか二種以上もしくは他の昇華性色素を含んで
いても良い。前記熱拡散性色素の使用量は、通常、支持
体1m2 当たり0.2〜10g、好ましくは0.3〜3
gである。
【0043】−バインダー− 熱拡散性色素含有インク層用のバインダーとしてはエチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セル
ロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、
ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルアセトアセタール、スチレ
ン樹脂、スチレン共重合体樹脂、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体などのビニル
系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系
樹脂等が挙げられる。
【0044】これらの樹脂のうちでも耐酸性の優れたポ
リビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールある
いはセルロース系樹脂が好ましい。前記各種のバインダ
ーは、その一種を単独で使用することもできるし、また
その二種以上を併用することもできる。バインダーと前
記熱拡散性色素との重量比は、1:10〜10:1が好
ましく、2:8〜8:2の範囲が特に好ましい。
【0045】−その他の任意成分− さらに前記熱拡散性色素含有インク層には、本発明の目
的を阻害しない範囲で、各種の添加剤を添加することが
できる。その添加剤としては、シリコン樹脂、シリコン
オイル(反応硬化タイプも可)、シリコン変性樹脂、フ
ッ素樹脂、界面活性剤、およびワックス類等の剥離性化
合物、金属微粉末、シリカゲル、金属酸化物、カーボン
ブラック、および樹脂微粉末等のフィラー、バインダー
成分と反応可能な硬化剤(たとえばイソシアネート類や
アクリル類やエポキシ類等の放射線活性化合物)などを
挙げることができる。
【0046】さらにまた、添加剤として転写を促進する
ための熱溶融性物質、たとえばワックスや高級脂肪酸エ
ステルなどの、特開昭59−106997号公報に記載
の化合物を挙げることができる。 2. その他の層 なお、昇華型感熱転写記録用インクシートは、支持体と
インク層とからなる二層構成に限られず、その他の層が
形成されていてもよい。例えば、前記基材における受像
層との融着や熱拡散性色素の裏移り(ブロッキング)を
防止する目的で、インク層の表面にオーバーコート層を
設けてもよい。
【0047】また支持体にはバインダーとの接着性の改
良や熱拡散性色素の支持体側への転写、染着を防止する
目的で下引層を設けてもよい。さらに支持体の裏面(イ
ンク層とは反対側)には、サーマルヘッドの支持体に対
する融着やスティッキング、昇華型感熱転写記録用イン
クシートのシワが発生するのを防止する目的でスティッ
キング防止層を設けてもよい。上記のオーバーコート
層、下引層およびスティッキング防止層の厚みは通常、
0.1〜1μmである。
【0048】また、本発明では中間層として剥離層を設
けることが好ましい。この剥離層は、画像形成時にサー
マルヘッドによって加熱された際に、少なくとも該剥離
層の上に設けられている層[この層のうち少なくとも1
層には着色剤が含有されている。]を十分に速やかに剥
離・転写することを主たる目的として設けられているも
のであり、この目的の達成にふさわしい熱溶融性化合物
を含有させて熱溶融性化合物の属性が支配的な層、特に
剥離性に優れた層として構成される。
【0049】該剥離層は、前記熱溶融性化合物それ自体
で構成することもできるが、通常は、熱溶融性化合物と
熱可塑性樹脂との混合物、熱可塑性樹脂などのバインダ
ー樹脂から構成することが好ましい。前記剥離層の主成
分として使用する場合の前記熱溶融性化合物は、公知の
ものなど各種のものを適宜に選択して使用すればよく、
その具体例としては、たとえば、特開昭63−1938
86号公報の第4頁左上欄第8行から同頁右上欄第12
行までに例示の物質を使用することができる。
【0050】前記熱可塑性樹脂の具体例としては、たと
えば、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重
合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂
およびセルロース系樹脂などを挙げることができる。こ
のほか、たとえば、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、
石油系樹脂およびアイオノマー樹脂などの樹脂、天然ゴ
ム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴムおよびク
ロロプレンゴムなどのエラストマー類、エステルガム、
ロジンマレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂および水
添ロジン等のロジン誘導体、ならびにフェノール樹脂、
テルペン樹脂、シクロペンタジエン樹脂および芳香族系
樹脂等も場合に応じて使用可能である。
【0051】本発明において、前記剥離層の成分として
使用する熱可塑性樹脂は、前記例示の各種の熱可塑性樹
脂の中でも、その融点もしくは軟化点が、通常、50〜
150℃、特に60〜120℃の範囲にあるもの、ある
いは二種以上の混合によってその範囲になるものが好適
に使用される。前記剥離層には、場合により適宜、着色
剤を含有させてもよい。前記剥離層に着色剤を含有させ
る場合、その含量は、その剥離層を構成する全成分に対
して、通常、30重量%以下、好ましくは、20重量%
以下の割合に設定するのが適当である。
【0052】前記剥離層の層厚は、通常は、0.2〜4
μmの範囲、好ましくは0.5〜2.5μmの範囲にす
るのが適当である。 3. 支持体 感熱転写記録用インクシートの支持体としては、寸法安
定性がよく、感熱ヘッドでの記録の際の熱に耐えるもの
ならば、何でもよく、具体的には、特開昭63−193
886号公報の第2頁左下欄第12行から18行に記載
のフィルムないしシートを使用することができる。
【0053】支持体の厚さは、2〜10μmが好まし
く、また支持体にはバインダーとの接着性の改良や色素
の支持体側への転写、染着を防止する目的で下引層を有
していてもよい。さらに支持体の裏面(熱拡散性色素含
有インク層と反対側の面)には、ヘッドが支持体に融着
やスティッキング、シワの発生するのを防止する目的で
スティッキング防止層を設けてもよい。
【0054】このスティッキング防止層の厚みは通常、
0.1〜1μmである。 (2)感熱転写記録用インクシートの製造 昇華型の感熱転写記録用インクシートは、インク層を形
成する前記各種の成分を溶媒に分散ないし溶解してイン
ク層形成用塗工液を調製し、これを支持体の表面に塗工
し、乾燥することにより製造することができる。
【0055】(3)階調情報含有画像の形成 階調情報含有画像を形成するには、図1に示すように、
昇華型の感熱転写記録用インクシート1の熱拡散性色素
含有インク層と基材2における受像層とを重ねあわせ、
熱拡散性色素含有インク層と受像層とにサーマルヘッド
3からイメージワイズに熱エネルギーを与える。なお、
感熱転写記録用インクシート1は、供給ロール4と巻き
取りロール5の間で掛け渡され、背面に設けたサーマル
ヘッド3を介して基材2を加熱することができる。
【0056】こうして加熱すると、熱拡散性色素含有イ
ンク層中の熱拡散性色素は、この画像形成時に加えられ
た熱エネルギーに応じた量だけ気化あるいは昇華し、受
像層側に移行し、受容される結果、受像層に階調情報含
有画像が形成される。熱エネルギーを与える熱源として
サーマルヘッドを用いるときは、サーマルヘッドに印加
する電圧あるいはパルス巾を変調することにより、与え
る熱エネルギーを連続的にあるいは多段階に変化させる
ことができる。
【0057】熱エネルギーの与え方としては感熱転写記
録用インクシート側から行なっても、感熱転写記録用受
像シート側から行なっても、あるいは両側から行なって
もよいが、熱エネルギーの有効利用を優先させるなら、
感熱転写記録用インクシート側から行なうのが望まし
い。以上の熱転写記録により、感熱転写記録用受像シー
トの受像層に一色の画像を記録することができるが、下
記の方法によると、各色の掛け合せからなるカラー写真
調のカラー画像を得ることもできる。たとえば、図2に
示すように供給ロール4aと巻き取りロール5aとの間
にかけわたされたイエローYの感熱転写記録用インクシ
ート1a、供給ロール4bと巻き取りロール5bとの間
にかけわたされたマゼンタMの感熱転写記録用インクシ
ート1b、供給ロール4cと巻き取りロール5cとの間
にかけわたされたシアンCの感熱転写記録用インクシー
ト1cと、サーマルヘッド3a、3b、3cとを順次用
いて各色に応じた熱転写を行なうと、基材2の受像層に
各色のかけあわせからなるカラー写真調のカラー画像を
得ることもできる。
【0058】それから、次の方法も有効である。すなわ
ち、上記のように各色の感熱転写記録用インクシートを
用いるかわりに、図3に示すように予め各色に塗り分け
て形成した区域Y、M、Cを有する感熱転写記録用イン
クシートを用いるのである(なお、Y区域とM区域の間
隙に検知マーク6が設けられている。)そして、このイ
ンクシートを図1の工程に適用し、まずイエローの区域
Yを用いてイエローの分色画像を熱転写し、次にマゼン
タの区域Mを用いてマゼンタの分色画像を熱転写し、以
下、順次に繰り返すことによりイエロー、マゼンタ、シ
アン、及び必要により黒色の分色画像と順に熱転写する
方法を採る。
【0059】さらに画像を形成した後に、画像保存性の
向上の目的で、上記の方法で加熱処理を施してもよい。
たとえば、画像形成面全面にわたって、サーマルヘッド
で感熱転写記録用インクシートの熱拡散性色素含有イン
ク層を設けていない部分を用いて、加熱処理したり、あ
るいは新たにヒートロール等の加熱処理を行ってもよ
い。また、近赤外線吸収剤を含有している場合には、赤
外線フラッシュランプを用いて画像形成面を露光させて
もよい。いずれの場合も、加熱手段は問わないが、受像
層内部に色素をさらに拡散させるのが目的であるので、
加熱方向は受像層の支持体側から加熱するのが効果的で
好ましい。
【0060】 C.文字情報含有画像および透明保護層の形成 文字情報含有画像と透明保護層とは、同一支持体上に熱
溶融性インク層と透明保護層とが面順次に形成されてな
る感熱転写シートを用いて、前記受像層上に形成するこ
とができる。 (1)感熱転写シート 図4、図5に示すように、感熱転写シート6は、支持体
10上に熱溶融性インク層7と透明保護層8とを面順次
に積層することにより形成することができる。なお、熱
溶融性インク層7と透明保護層8との間には、検知マー
ク9が設けられている。この感熱転写シート6は、その
特性を損なわない範囲内で他の層を有していても良い。
たとえば、前記熱溶融性インク層7と支持体10との間
に剥離層が設けられていても良く、またこの剥離層と支
持体との間に中間層などが積層されていてもよく、ま
た、最外層にインク保護層を設けるなど前記熱溶融性イ
ンク層の上に他の層が積層されていても良い。さらに、
前記剥離層や熱溶融性インク層は、必要に応じて、多層
構造にされていてもよい。
【0061】1. 支持体 感熱転写シートにおける支持体は、良好な耐熱強度を有
するとともに寸法安定性の高いことが望ましい。その材
料としては、たとえば、特開昭63−193886号公
報の第2頁左下欄第12行から18行に記載のフィルム
ないしシートを使用することができる。支持体の厚み
は、通常、30μm以下、好ましくは2〜30μmの範
囲内である。支持体の厚みが30μmを超えると、熱伝
導性が劣化して、印字品質の低下を招くことがある。な
お、この感熱転写シートにおいて、支持体の裏面側の構
成については任意であり、たとえば走行安定性、帯電防
止、耐熱性等の目的のためにのバッキング層を設けても
良い。
【0062】2. 熱溶融性インク層 熱溶融性インク層は、熱溶融性化合物、熱可塑性樹脂お
よび着色剤等から構成される。 −熱溶融性化合物− 前記熱溶融性化合物としては、通常、熱溶融型の感熱転
写記録用インクシートの熱溶融性インク層に使用される
ものを任意に使用することができ、具体的には、たとえ
ば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アク
リル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱
可塑性樹脂の低分子量物、特開昭63−193886号
公報の第4頁左上欄第8行から同頁右上欄第12行まで
に例示の物質を挙げることができ、さらにこれらの他
に、ロジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジン変性グリ
セリン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性ポリエ
ステル樹脂、ロジン変性フェノ−ル樹脂およびエステル
ガム等のロジン誘導体、ならびにフェノ−ル樹脂、テル
ペン樹脂、ケトン樹脂、シクロペンタジエン樹脂および
芳香族炭化水素樹脂などを挙げることができる。
【0063】なお、これらの熱溶融性化合物は、分子量
が通常、10,000以下、特に、5,000以下で、
融点もしくは軟化点が50〜150℃の範囲にあるもの
が好ましい。前記熱溶融性化合物は、一種単独で使用し
てもよいし、二種以上を組合せて用いてもよい。 −熱可塑性樹脂− 前記熱溶融性インク層の成分として使用される前記熱可
塑性樹脂としては、通常、熱溶融型の感熱転写記録用イ
ンクシートの熱溶融性インク層に使用されるものなど各
種のものが使用可能であり、たとえば、特開昭63−1
93886号公報の第4頁右上欄第5頁左上欄第18行
に例示の物質を挙げることができる。
【0064】−着色剤− 前記熱溶融性インク層の成分として使用される前記着色
剤としては、通常、熱溶融型の感熱転写記録用インクシ
ートの熱溶融性インク層に使用されるものを制限なく使
用することができ、たとえば、特開昭63−19388
6号公報第5頁右上欄第3行から第15行に記載の無機
顔料、有機顔料等の顔料、ならびに有機染料等の染料を
挙げることができる。
【0065】これら各種の着色剤は、一種単独で使用し
てもよいし、必要に応じて、二種以上を併用してもよ
い。 −添加成分− 前記熱溶融性インク層には、必要に応じて本発明の目的
を阻害しない範囲で、上記以外の他の添加成分を適宜添
加することができる。たとえば、この熱溶融性インク層
には、フッ素系界面活性剤を含有させても良い。フッ素
系界面活性剤の含有により、前記熱溶融性インク層のブ
ロッキング現象を防止することができる。また、転写し
た文字情報含有画像の先鋭性すなわち、文字境界部の切
れを良くするために有機微粒子、無機微粒子、非相溶性
樹脂を添加するのも効果的である。
【0066】 −熱溶融性インク層の厚みおよびその形成法− 前記熱溶融性インク層の膜厚は、通常、0.6〜5.0
μmであり、特に1.0〜4.0μmであるのが好まし
い。この熱溶融性インク層は、形成成分を有機溶媒に分
散あるいは溶解して塗布する方法(有機溶剤法)、加熱
により熱可塑性樹脂などを軟化あるいは溶融状態にして
塗布する方法(ホットメルト塗布法)などを採用して塗
設されていても良いが、形成成分を水や有機溶媒に分散
もしくは溶解させたエマルジョン、もしくは溶液などを
用いて塗工されてなるのが好ましい。前記熱溶融性イン
ク層の塗設に用いる塗工液中の層形成成分の合計の含有
率は、通常は、5〜50重量%の範囲内に設定される。
【0067】塗布方法は、通常の方法を利用して行なう
ことができる。塗布方法の例としては、ワイヤーバーを
用いた方法、スクイズコート法およびグラビアコート法
などを挙げることができる。また、熱溶融性インク層
は、少なくとも一層で設けられていることが必要である
が、たとえば着色剤の種類および含有率、あるいは熱可
塑性樹脂と熱溶融性化合物との配合比率などの異なる二
層以上の熱溶融性インク層を積層して構成してもよい。
【0068】3.透明保護層 この透明保護層は、受像層表面の画像を形成する色素の
定着性を高めたり、長期保存時に画像情報を保護するた
めに受像層上に形成される。また、透明保護層を設ける
と、次のような効果を奏することができる。すなわち、
画像もしくは画像記録体の保護性および耐久性等の向上
のために紫外線硬化保護層を被覆形成したい場合に、も
し、紫外線硬化性の樹脂を含有するコ−ティング剤を文
字情報含有画像を有する受像層上に直接に塗布すると、
前記コ−ティング剤中に存在する紫外線硬化性の樹脂や
溶剤の作用によって、昇華性色素による文字情報含有画
像が滲んだり変色したりするなどの支障をきたし、鮮明
な画像が得られない。
【0069】それに対し、透明保護層を前記のように設
けると、少なくとも昇華性色素により形成された画像と
前記コ−ティング剤との接触が避けられる結果、その昇
華性色素の滲みおよび変色が防止され、形成された画像
をそのまま鮮明な状態に保護することができる。また、
前記紫外線硬化保護層形成時における紫外線照射による
昇華性色素の変質(分解や他の物質との反応を伴うこと
による変質と推定される。)や変色をも防止する為に
も、透明保護層は有効である。
【0070】この透明保護層により被覆される領域は、
少なくとも階調情報含有画像を有する受像層の表面であ
り、文字情報含有画像を有する受像層の表面のみなら
ず、階調情報含有画像を有する受像層の表面をも被覆し
ているのが好ましい。このような要求を満たす透明保護
層は、特開昭63−183881号公報の第9頁左下欄
第9行から第10頁左上欄第15行に記載の熱溶融性化
合物と同公報の第10頁左上欄第16行から第11頁左
下欄第9行に例示の熱可塑性樹脂とで形成することがで
きる。
【0071】本発明に用いられる透明保護層は、全体と
して透明な樹脂から形成されることは言うまでもない
が、この透明保護層には、マークや共通に記載される文
字、記号などが印刷されていても良い。透明保護層の厚
みは、通常0.5〜20.0μmであり、好ましくは
1.0〜10.0μmである。透明保護層の厚みは、外
観、透明保護層の転写性、場合によってはさらに紫外線
硬化樹脂保護層の形成を考慮して、通常0.5〜20.
0μmであり、好ましくは1.0〜10.0μmであ
る。
【0072】なお、透明保護層と支持体との間には剥離
層を設けても良いし、透明保護層の上にも必要に応じて
接着層を設けても良い。 (2)文字情報含有画像と透明保護層の形成 まず、図1に示すように供給ロール11と巻き取りロー
ル12との間にかけ渡された感熱転写シート6の熱溶融
性インク層8(図4参照)と基材2の受像層面とを密着
させ、さらに熱溶融性インク層8にサーマルヘッド13
によって熱パルスを与え、所望の印字ないし転写パター
ンに対応する熱溶融性インク層8を局部的に加熱する。
【0073】これにより、熱溶融性インク層8の被加熱
部はその温度が上昇し、速やかに軟化して基材2の受像
面に文字情報含有画像が転写される。次に、同じ感熱転
写シート6の透明保護層7(図4参照)と基材2の受像
面とを密着させ、イメージワイズに透明保護層7を加熱
する。これにより、透明保護層8の被加熱部はその温度
が上昇し、速やかに軟化して基材2の受像面に透明保護
層8が転写される。
【0074】なお、以上は文字情報含有画像の形成が透
明保護層の形成に先立って行われているが、文字情報含
有画像が形成される前に透明保護層の形成が行われても
よい。本発明では、このように文字情報含有画像と透明
保護層の形成を、同一支持体上に両層が形成された感熱
転写シートを用いて行なうので、別々に文字情報含有画
像と透明保護層とを形成する場合にくらべ、製造工程の
短縮化、転写システムの簡略化、交換カートリッジの簡
略化を図ることができる。
【0075】D.紫外線硬化樹脂層 本発明の画像記録体においては、画像の改竄防止と定着
性とをさらに高めるために、紫外線の照射によって硬化
してなる実質的に透明な硬化保護層を、透明保護層を有
する受像層表面に形成する。前記硬化保護層は、前記受
像層の全面に形成できる。紫外線硬化樹脂層は、紫外線
硬化性塗布液を上記受像層表面上に塗布し、紫外線を照
射することにより、形成される。
【0076】−紫外線硬化性塗布液− この紫外線硬化性塗布液は、紫外線硬化性化合物、たと
えば紫外線硬化性のプレポリマーと重合開始剤とを主成
分とする組成物によって形成することができる。紫外線
硬化性のプレポリマーとしては、1分子内にエポキシ基
を2個以上含有するプレポリマーを挙げることができ
る。このようなプレポリマーとしては、たとえば、脂環
式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステ
ル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポ
リオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテ
ル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、
芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添
加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類およびエポ
キシ化ポリブタジエン類等が挙げられる。これらのプレ
ポリマーは、その一種を単独で使用することもできる
し、また、その二種以上を混合して使用することもでき
る。
【0077】紫外線硬化性塗布液中の、エポキシ基を1
分子内に2個以上有するプレポリマーの含有量は70重
量%以上であるのが好ましい。紫外線硬化性化合物とし
ては、前記プレポリマー以外にエポキシ系樹脂、ラジカ
ル重合性の化合物、例えば単官能性あるいは多官能性ア
クリレート化合物等を挙げることができる。前記重合開
始剤としては、カチオン重合開始剤が好ましく、具体的
には芳香族オニウム塩を挙げることができる。この芳香
族オニウム塩として、周期表第Va族元素の塩たとえばホ
スホニウム塩(たとえばヘキサフルオロリン酸トリフェ
ニルフェナシルホスホニウムなど)、第VIa族元素の
塩たとえばスルホニウム塩(たとえばテトラフルオロホ
ウ酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸
トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリ
ス(4−チオメトキシフェニル)、スルホニウムおよび
ヘキシサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウ
ムなど)、および第VIIa族元素の塩たとえばヨード
ニウム塩(たとえば塩化ジフェニルヨードニウムなど)
を挙げることができる。
【0078】このような芳香族オニウム塩をエポキシ化
合物の重合におけるカチオン重合開始剤として使用する
ことは、米国特許第4,058,401号、同第4,0
69,055号、同第4,101,513号および同第
4,161,478号公報に詳述されている。好ましい
カチオン重合開始剤としては、第VIa族元素のスルホ
ニウム塩が挙げられる。その中でも、紫外線硬化性と紫
外線硬化性の組成物の貯蔵安定性の観点からすると、ヘ
キサフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウムが
好ましい。
【0079】カチオン重合開始剤の紫外線硬化性塗布液
中の含有量は、3〜20重量%が好ましく、特に5〜1
2重量%が好ましい。カチオン重合開始剤の含有量がコ
ーティング剤の1重量%を越えないときには、紫外線を
照射したときに硬化速度が極端に遅くなることがあり、
好ましくない。紫外線硬化性塗布液中には、更に油類
(特にシリコーン油)、シリコーン−アルキレンオキシ
ド共重合体(たとえばユニオンカーバイド社から市販さ
れているL−5410)のような界面活性剤、シリコー
ン油含有脂肪族エポキシド類、3M社から市販されてい
るFO−171および3M社から市販されているFO−
430、大日本インキ株式会社から市販されているMe
gafac F−141のようなフルオロカーボン界面
活性剤等を含有させてもよい。
【0080】この紫外線硬化性塗布液中には、さらに、
たとえば、スチレン、パラメチルスチレン、メタクリル
酸エステル、アクリル酸エステル等のビニル単量体やセ
ルロース系、熱可塑性ポリエステル、フェニルグリシジ
ルエーテル、ケイ素含有モノエポキシド、ブチルグリシ
ジルエーテル等のモノエポキシド等が、この発明の効果
を阻害しない範囲で含有されていてもよい。
【0081】また、この紫外線硬化性塗布液中には、不
活性性成分として、たとえばタルク、炭酸カルシウ
ム、、アルミナ、シリカ、マイカ、硫酸バリウム、炭酸
マグネシウム、ガラス等の充填剤、染料、顔料、増粘
剤、可塑剤、安定剤、レベリング剤、カップリング剤、
粘着付与剤、シリコーン基含有活性剤、フルオロカーボ
ン基含有表面活性剤等の濡れ向上剤、その他の各種添加
剤、さらに紫外線硬化性塗布液の塗布中における流動性
を改良することを目的として、前記カチオン重合開始剤
とほとんど反応しないアセトン、メチルエチルケトン、
メチルクロライド等の少量の溶剤を含有させても良い。
【0082】−塗布方法および塗布条件− 前記紫外線硬化性塗布液の受像層表面への塗布は、場合
により溶剤等を加えるなどして適宜の粘度に調整された
紫外線硬化性塗布液を、ダブルロールコータ、スリット
コータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スラ
イドホッパー、スプレーコーティング等の通常の方法に
て受像層表面に塗布することにより、達成することがで
きる。
【0083】例えば、図1に示すように、前段で透明樹
脂層と文字情報含有画像を形成した基材2は、紫外線硬
化性塗布液の塗布装置14において上記紫外線硬化性塗
布液が塗布される。この塗布装置14では、送りロール
14aとブレード15を設けたグラビアロール14bと
の間に基材2が搬送され、グラビアロール14bは紫外
線硬化性塗布液16に浸かる給液ロール14cに接触し
ている。いずれにせよ、これらのいずれかの塗布方法に
より、前記紫外線硬化性塗布液の塗布層が、受像層の表
面に、通常0.1〜30μm、好ましくは1〜14μm
の厚みになるように、塗布される。塗布後は、図1に示
すように塗布装置14の後段に配設された紫外線ランプ
17により前記紫外線硬化性塗布液の塗布層に紫外線が
照射され、塗布液中の紫外線硬化性のプレポリマーの重
合反応ないし硬化反応が進行する。
【0084】ここで、紫外線というとき、これは紫外領
域の光を意味するばかりでなく、紫外領域の光を含む光
線をも含む意味である。したがって、紫外線の照射とし
て、太陽光線の照射、低圧水銀灯の照射、高圧水銀灯の
照射、超高圧水銀灯の照射、カーボンア−ク等の照射、
メタルハライドランプによる照射、キセノンランプの照
射等を挙げることができる。
【0085】紫外線を照射するときの雰囲気としては、
空気、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気が好ま
しい。紫外線の照射時間としては、紫外線領域の照射光
源の種類によって相違するのであるが、通常0.5秒〜
5分、好ましくは3秒〜2分である。通常、照射時間の
短い場合には照射強度の大きい大型の光源を必要とし、
照射時間が長い場合には照射強度の小さい光源を使用す
ることもできる。もっとも、照射強度の小さな光源では
硬化作用時間が長くなり、製造工程上有利ではない。し
かし、この発明では、200W以下の紫外線発生ランプ
を用いて、3秒から2分の照射によって、実用上十分な
強度を有する硬化被膜を形成することができる。
【0086】なお、硬化に際しては、紫外線の照射時ま
たは照射の前後において塗布膜を加熱すると、硬化時間
の短縮を図ることができる。そのような加熱をする場
合、加熱温度は30〜80℃が好ましい。紫外線照射前
においては、前記加熱温度による加熱時間は長くても短
くても良いのであるが、紫外線照射後においては、加熱
時間は1分〜120分が好ましい。
【0087】
【実施例】次に、実施例と比較例とを挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、以下において「部」は
「重量部」を表わす。 (比較例) (1)カードサイズの基材の製造 厚み450μmの硬質白色塩化ビニル樹脂シートの両面
に厚み150μm硬質透明塩化ビニル樹脂シートを熱溶
着することによって得られた、厚みが750μmである
幅広の白色塩化ビニル樹脂シートの表面に、下記の組成
を有する受像層用塗工液をワイヤーバー法により塗工
し、溶剤を乾燥除去することにより厚み4.0μmの受
像層を形成した。
【0088】 受像層用塗工液: 塩化ビニル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.9部 [東ソー(株)製、リューロンQC−640] 溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90.0部 (メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=8/2) シリコン樹脂(離型剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1部 [信越化学工業(株)製、X24 8300]。
【0089】次いで、受像層とは反対側の支持体表面に
下記の組成を有する筆記層用塗工液を塗布し、乾燥する
ことにより、厚み40μmの筆記層を形成した。こうし
て得られた幅広の受像シートを裁断することにより縦横
54.0mm×85.5mmのカードサイズの基材が得
られた。 筆記層用塗工液: コロイダルシリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.5部 ゼラチン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0部 硬膜剤(化2参照)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90.0部。
【0090】
【化2】
【0091】 (2)昇華型の感熱転写記録用インクシートの製造 まず、下記の原料組成物をそれぞれ混合して熱拡散性色
素を含有する三種のインク層用塗工液を調製した。 インク層形成用塗工液(イエロー): 熱拡散性色素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0部 [バイエルン社製、マクロレックス イエロー6G] ポリビニルブチラール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0部 [積水化学工業(株)製、エスレックBX−1] メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82.0部 シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0部。
【0092】 インク層形成用塗工液(マゼンタ): 熱拡散性色素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.5部 [三井東圧染料(株)製、MS マゼンタVP] 熱拡散性色素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.5部 [バイエルン社製、マクロレックス レッドバイオレットR] ポリビニルブチラール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0部 [積水化学工業(株)製、エスレックBX−1] メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82.0部 シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0部。
【0093】 インク層形成用塗工液(シアン): 熱拡散性色素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.0部 [日本化薬(株)製、カヤセットブルー714] ポリビニルブチラール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0部 [積水化学工業(株)製、エスレックBX−1] メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82.0部 シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0部。
【0094】次に、前記三種のインク層形成用塗工液を
厚み6μmのコロナ放電処理されたポリエチレンテレフ
タレートフィルム[東レ(株)製、ルミラーF53N]
の表面に、ワイヤーバーを用いて乾燥後の厚みがそれぞ
れ1μmになるように平面方向に間隔を置いて塗布、乾
燥し、フィルム上にイエロー色素含有インク層、マゼン
タ色素含有インク層、シアン色素含有インク層を形成す
るとともに、コロナ放電処理されていないポリエチレン
テレフタレートフィルムの裏面にシリコーン樹脂[大日
精化工業(株)製、ダイアロマーSP−712]を50
重量%含有するニトロセルロース溶液をスポイトで1、
2滴垂らしてワイヤーバーを用いて乾燥後の厚みが0.
5μmになるように全面に広げ、背面処理コートを行な
うことによりバッキング層を形成して、昇華型感熱転写
記録用インクシートを得た。
【0095】(3)階調情報含有画像の形成 基材における受像層と前記感熱転写記録用インクシート
のインク層とを重ね合わせ、感熱転写記録用インクシー
ト側からサーマルヘッドを用いて、受像層に階調情報含
有画像を形成した。 (4)感熱転写シートの製造 次に厚み6μmのポリエチレンテレフタレートシートの
表面に、下記の組成を有する透明保護層用塗工液と熱溶
融性インク層用塗工液とを区分けして塗工し、乾燥する
ことにより厚み3.0μmの透明保護層と熱溶融性イン
ク層とを平面方向に沿って順次形成し、感熱転写シート
を得た。
【0096】 透明保護層用塗工液: ポリパラバン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.5部 [東燃石油化学(株)製、XT−4] シリコン樹脂粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5部 [東芝シリコーン(株)製、トスパール108] 1、4ジオキサン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90部。
【0097】 熱溶融性インク層用塗工液: イエロー分散染料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5部 [三井東圧染料(株)製、MS Yellow] エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・・・・・・・・・・・・・・5部 [三井デュポンポリケミカル(株)社製、EV−40Y] カ−ボンブラック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35部 フェノール樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35部 [荒川化学(株)製、タマノル526] 炭酸カルシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20部 メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・400部。
【0098】 (5)文字情報含有画像と透明保護層の形成 次に、前記階調情報含有画像を有する受像層に前記感熱
転写シートの熱溶融性インク層を重ね、サーマルヘッド
を用いて支持体を剥離することにより、前記階調情報含
有画像を除く受像層上に文字情報含有画像を転写すると
ともに、これらの画像を有する受像層に前記感熱転写シ
ートの透明保護層を重ね、サーマルヘッドを用いて支持
体を剥離することにより、受像層全面に透明保護層を転
写した。
【0099】以上で、画像の耐久性と定着性とに優れた
IDカードとして有用な画像記録体をより短い工程で簡
便に得ることができた。この画像記録体は図6、図7に
示すような構造を有しており、裏面に筆記層2bを有す
る支持体2aの表面に受像層2cと透明保護層2dとが
この順に積層され、その受像層2cの表面もしくはその
近傍には透明保護層2dで保護された文字情報含有画像
Aと階調情報含有画像Bとが形成されている。なお、こ
の画像記録体を改竄しようと試みた。
【0100】すなわち、画像記録体を80〜120°C
に加熱して、その表面からゆっくりと透明保護層を剥離
した。基材表面および透明保護層の内面に付着した文字
情報含有画像と階調情報含有画像をエタノールで除去す
ることが困難であった。 (実施例1)比較 例で製造した画像記録体の表面(透明保護層の表
面)にさらに下記の組成を有する紫外線硬化性塗布液を
塗布量10g/m2 となるようにワイヤーバー法によっ
て塗布し、下記の硬化条件にて紫外線硬化性塗布液を硬
化させて紫外線硬化保護層を形成した。 紫外線硬化性塗布液: [ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70.0部 (UCC社製、ERL 4299) ビスフェノールAグリシジルエーテル・・・・・・・・・・・10.0部 1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル・・・・・・・・13.0部 トリアリールスルホニウムフルオロアンチモン・・・・・・・・7.0部 真ちゅう粉 ・・・・・・・・5.0部。
【0101】硬化条件: 光照射源・・・60W/cm2 の高圧水銀ランプ 照射距離・・・10cm 照射モード・・3cm/分で光走査。 この紫外線硬化樹脂層を有する画像記録体について、
例と同様にして改竄防止性を調べたところ、比較例よ
りさらに画像の改竄防止効果のあることが判明した。な
お、この画像記録体の耐久性と画像の定着性は優れてい
た。
【0102】
【発明の効果】本発明の画像記録体の製造方法による
と、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成し
たのち、文字情報含有画像と透明保護層の形成を、同一
支持体上に両層が形成された感熱転写シートを用いて行
なうので、別々に文字情報含有画像と透明保護層とを形
成する場合にくらべ、製造工程の短縮化、転写システム
の簡略化、交換カートリッジの簡略化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像記録体の製造方法の工程を示す説
明図である。
【図2】本発明の製造方法の他の態様における階調情報
含有画像形成工程を示す説明図である。
【図3】図2に示す階調情報含有画像形成工程に用いら
れる昇華型感熱転写記録用インクシートの平面図であ
る。
【図4】本発明の製造方法において文字情報含有画像の
形成と透明保護層の形成に用いられる感熱転写シートの
平面図である。
【図5】図4に示す感熱転写シートの断面図である。
【図6】本発明の一実施例で得られる画像記録体の断面
図である。
【図7】図6に示す画像記録体の平面図である。
【符合の説明】
1 感熱転写記録用インクシート 2 基材 2c 受像層 3 サーマルヘッド 6 感熱転写シート 7 熱溶融性インク層 8 透明保護層 A 文字情報含有画像 B 階調情報含有画像
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 腰塚 国博 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (56)参考文献 特開 平3−45391(JP,A) 特開 平3−187787(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40 B41M 7/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像記録体用基材の受像層に熱拡散性色
    素で階調情報含有画像を形成した後に、同一支持体上に
    熱溶融性インク層および透明保護層を有する感熱転写シ
    ートと、前記階調情報含有画像を形成したサーマルヘッ
    ドとは異なるサーマルヘッドとを用いて、前記受像層表
    面に文字情報含有画像と、少なくとも階調情報含有画像
    を有する受像層表面に透明保護層とを形成し、前記透明
    保護層を含む前記受像層表面にさらに紫外線硬化性塗布
    液を塗布し、この塗布液に紫外線を照射することにより
    紫外線硬化樹脂層を形成することを特徴とする画像記録
    体の製造方法。
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