JP3126327B2 - 工作機械におけるワークの形状寸法測定方法及び装置 - Google Patents

工作機械におけるワークの形状寸法測定方法及び装置

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JP3126327B2
JP3126327B2 JP25224397A JP25224397A JP3126327B2 JP 3126327 B2 JP3126327 B2 JP 3126327B2 JP 25224397 A JP25224397 A JP 25224397A JP 25224397 A JP25224397 A JP 25224397A JP 3126327 B2 JP3126327 B2 JP 3126327B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械における
ワークの形状寸法測定方法及び装置に関し、特に測定子
を有した測定ヘッドを工作機械の主軸に装着して同工作
機械により加工されているワークの表面の座標値を直接
的に三次元で測定し、そのとき、主軸軸心に対する測定
子中心の位置ずれ、つまり偏心と、主軸の軸心方向にお
いて所定の基準位置に対する測定子中心の位置ずれ、つ
まり偏差とが不可避的に包含されていても高精度にワー
クの形状寸法を測定することが可能なワークの形状寸法
測定方法と装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械によるワークの加工、例えば、
三次元形状を有した金型曲面等の加工においては、ワー
ク加工工程の間にワークの三次元の形状寸法を測定して
ワークの加工状態を検出することにより、所望の形状寸
法に至る加工の進捗度合いや加工精度を把握すること
は、加工現場において一般的に実行されている。この場
合におけるワークの三次元形状寸法の測定においては、
都度、工作機械外の三次元測定機へワークを搬入して測
定を行っており、これでは測定機へのワークの設定が煩
瑣になり、また測定後に再びワークの加工を行う場合に
は、工作機械上へのワークの再設定にも手間取る等の不
利がある。従って、工作機械のテーブルに取着されたま
まのワークに対して、工作機械の主軸に工具と交換に測
定子を有した測定ヘッドを工具交換装置等で装着し、こ
の測定ヘッドを用いて上記テーブル上に取着されたまま
のワークの形状寸法を直接、測定することも効率的な方
法として通常、実行されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然るに、工作機械の主
軸に測定ヘッドを装着してワークの形状寸法の測定を行
うときには、機械要素間の機械的な係合に伴う不可避的
要因として測定ヘッドの測定子中心と主軸軸心との間に
は偏心、偏差等が発生する。ところが、工作機械の主軸
の軸心に対して測定ヘッドの測定子の中心を三次元方向
(X,Y,Z軸方向)に正しく位置決めし、測定子中心
が主軸軸心に対して偏心、偏差のない状態を実現させて
から測定を実行しないと、測定子の中心がワーク表面に
おける測定目標位置からずれた位置の測定をすることに
なり、工作機械が有するスケールや送り機構が有するエ
ンコーダ等の高精度の位置決め機能を駆使しても、結
局、高精度の形状寸法の測定を行うことは不可能とな
る。このために、従来は、工作機械の主軸に測定ヘッド
を装着してワークの形状寸法の測定を行う場合には、測
定ヘッドの装着時に、工作機械上のベッド等に取着した
インジケータ等で測定ヘッドが有する測定子の中心を主
軸軸心に位置合わせする所謂、心出し作業を行ってか
ら、ワークの形状寸法の測定を実行する方法が採られて
いた。
【0004】しかしながら、インジケータ等の既存の測
定器を用いる心合わせでは、測定ヘッド内部の遊びや測
定ヘッドの触圧に起因して高精度の心合わせを実現する
ことは困難であり、主軸軸心と測定子の中心との間には
不可避的にずれがあり、ワークの曲面測定時には、結
局、測定子は、ワーク曲面上の目標とする測定点からず
れた位置を測定することとなり、ワークの測定精度を低
下させる結果となっていた。
【0005】その上、複雑な形状をした金型曲面等のワ
ークの場合には、加工工程の間に一度ならず、このよう
なワーク形状寸法の測定が遂行されるために、形状寸法
の測定を実行することが極めて煩瑣になり、故に加工能
率の低下も来す結果となっていた。他方、工作機械の主
軸に測定ヘッドを装着してワークの形状寸法の測定を実
行するにあたり、測定ヘッドの測定子がワークの目標測
定位置に機械的に接触して測定を遂行する接触式の測定
ヘッドや、測定子先端がワークの測定位置に接近したと
きの例えば、電気容量変化やうず電流変化等の電気量の
変化から測定値を得る非接触式の測定ヘッドが用いられ
るが、接触式測定子の場合には、測定位置に実際に接触
した時点から定方向に一定の押し込み量を経たとき、接
触を示す電気信号等の測定信号を発する構成を具備し、
また、非接触式測定子においても上述した電気量変化が
一定レベル、つまり一定の閾値に達するまでの接近動作
量を経過した時点で測定信号を発する構成を有する。こ
のような押し込み量や接近動作量を総括的に以下、押代
と定義すると、測定ヘッドの測定子は、個々に特有の押
代を有することから、ワークの形状寸法の測定にあたっ
ては、個々の測定ヘッドの押代を求め、求めた押代をワ
ークの形状寸法測定値に補正処理を行って実際の形状寸
法を求める必要がある。
【0006】よって、上述した従来の技術における問題
点に鑑みて、本発明の主目的は、工作機械の主軸に工具
と交換に装着された測定ヘッドの測定子を利用して被加
工対象のワークの形状寸法を測定する場合に、主軸軸心
と測定子の中心との間に既述した偏心及び偏差が既存し
ても高精度の測定結果を得ることが可能な工作機械にお
けるワークの形状寸法測定方法及び装置を提供すること
にある。
【0007】本発明の他の目的は、上述した測定ヘッド
の測定子中心と工作機械の主軸軸心との偏心及び偏差を
予め考慮してワークの形状寸法の測定を行う際に、測定
ヘッドが接触式、非接触式であるを問わず、上述した測
定ヘッドの押代を補正して高精度のワーク形状寸法の測
定を実現することが可能な工作機械におけるワークの形
状寸法測定方法及び装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の発明の目的に鑑み
て、本発明は、工作機械によって加工されるワークの表
面の座標値を該工作機械の主軸に装着した測定ヘッドの
測定子によって測定する工作機械におけるワークの形状
寸法測定方法において、前記主軸に装着された前記測定
ヘッドの測定子の中心位置の座標値(x0 ,y 0
0 )を測定し、前記主軸の軸心と前記測定した測定ヘ
ッドの測定子の中心位置の座標値(x0,y0 ,z0
とのずれ分に当たる偏心量(ΔX,ΔY)及び前記主軸
の軸心方向における所定の基準位置からのずれ分に当た
る偏差量(ΔZ)を求め、前記ワークの測定点の位置及
び前記測定点に対応した測定開始点の位置への移動指令
を含んで予め作成された測定手順に基づいて、前記主軸
と前記ワークとを相対移動させることにより、前記測定
ヘッドの測定子を前記求めた偏心量(ΔX,ΔY)及び
偏差量(ΔZ)を前記測定開始点の位置に取り込んで求
めた実際の測定開始点へ位置決めし、前記測定ヘッドの
測定子を前記実際の測定開始点から前記測定点へ向かう
法線方向に沿って漸近動作させ、該測定点における測定
信号を受信し、前記測定信号の受信時に前記測定点の座
標値(X,Y,Z)を検出して、取り込み、前記取り込
まれた測定点の座標値(X,Y,Z)に対して前記求め
た偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(ΔZ)により補正
をした前記測定点の座標値(HX ,HY ,HZ )を求
め、前記補正された測定点の座標値(HX , HY
Z )から前記ワークの形状寸法の測定値を得る、こと
を特徴とした工作機械におけるワークの形状寸法測定方
法が提供される。
【0009】なお、前記主軸に装着された前記測定ヘッ
ドの測定子の偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(ΔZ)
を求める工程に続いて該測定ヘッドに固有の押代PL
(PL X , PLY , PLZ ) を求め、前記ワークの形
状寸法の測定値を得る補正された測定点の座標値
(HX , HY,HZ )を求める工程においては、前記測
定ヘッドの測定子の偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量
(ΔZ)とともに該測定ヘッドの押代PL(PLX , P
Y , PLZ )を補正した測定点の座標値(HX ,
Y ,HZ )を求めるようにすることが好ましい。
【0010】また、本発明によれば、工作機械によって
加工されるワークの表面の座標値を該工作機械の主軸に
装着した測定ヘッドの測定子によって測定する工作機械
におけるワークの形状寸法測定装置において、前記主軸
に装着された前記測定ヘッドの測定子の中心位置の座標
値(x0 ,y 0 ,z0 )を測定し、前記主軸の軸心と前
記測定した測定ヘッドの測定子の中心位置の座標値(x
0 ,y0 ,z0 )とのずれ分に当たる偏心量(ΔX,Δ
Y)及び前記主軸の軸心方向における所定の基準位置か
らのずれ分に当たる偏差量(Δz)を求める偏心・偏差
量演算手段と、前記偏心量(ΔX,ΔY)及び前記偏差
量(ΔZ)を記憶する偏心・偏差量記憶手段と、前記ワ
ークの測定点の位置及び前記測定点に対応した測定開始
点の位置への移動指令を含んで予め作成された測定手順
に基づいて、前記主軸と前記ワークとを相対移動させ、
前記測定ヘッドの測定子を、所望の測定点に対応した測
定開始点の位置に前記偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量
(ΔZ)を取り込んで求めた実際の測定開始点へ位置決
めし、かつ該実際の測定開始点から前記所望の測定点に
向かう法線方向に沿って漸近的に測定移動せしめる測定
子移動手段と、前記実際の測定開始点から前記測定子移
動手段によって漸近移動させた前記測定ヘッドの測定子
から前記測定点における測定信号を受信したときの前記
測定点の座標値(X,Y,Z)を読み取る測定座標値読
み取り手段と、前記測定座標値読み取り手段によって読
み取った前記測定点の座標値(X,Y,Z)に対して前
記偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(ΔZ)により補正
をした前記測定点の座標値(HX , HY ,HZ )を求め
る補正座標値演算手段と、を具備し、前記補正座標値演
算手段によって補正した前記ワークの測定点の座標値
(HX , HY ,HZ )から前記ワークの形状寸法を演算
することを特徴とした工作機械におけるワークの形状寸
法測定装置が提供される。
【0011】なお、前記主軸に装着された前記測定ヘッ
ドの測定子によって前記工作機械の所定位置に設けた既
知の校正用寸法を有したゲージまたは既知の校正用半径
寸法を有した校正球を含む校正手段の校正用寸法を、前
記測定座標値読み取り手段を介して実測するとともに該
実測した寸法と既知の校正用寸法とから前記測定ヘッド
の押代PL(PLX , PLY , PLZ )を求める押代演
算手段と、前記押代PL(PLX , PLY , PLZ )を
記憶する押代記憶手段とを更に備え、前記押代演算手段
を前記補正座標値演算手段に接続することにより、前記
補正したワークの測定点の座標値(HX , HY ,HZ
を更に該押代PL(PLX ,PLY , PLZ )によって
補正するように構成した工作機械におけるワークの形状
寸法測定装置とすることが好ましい。
【0012】
【作用】工作機械の主軸に装着された測定ヘッドが有す
る測定子の三次元座標系における中心位置(x0
0 ,z0 )を非接触式の工具先端位置検出装置等を用
いて測定、検出し、次いで工作機械の主軸軸心に対し
て、測定、検出した測定子の中心位置がどれだけずれを
有しているかを示す偏心量(ΔX,ΔY)と偏差量(Δ
Z)とを求めて当該偏心量および偏差量を予め主軸に装
着された測定ヘッドの測定子が持つ偏心量、偏差量とし
て記憶する。
【0013】このとき、主軸に装着された測定ヘッドの
測定子がワークの形状寸法を実際に測定する場合の押代
PL(PLX , PLY , PLZ )が予め測定されている
場合には、その押代も記憶する。この押代は、所要に応
じて主軸に測定ヘッドを装着し、上述した偏心量と偏差
量とを測定、検出後に工作機械上において検出すること
も可能であり、その場合にはリングゲージやブロックゲ
ージ等の適宜の測定基準ゲージを使用し、当該ゲージを
工作機械のテーブル上に設置し、主軸に装着状態の測定
ヘッドにより実測することを介して押代を求めても良
く、或いは既知の半径寸法を有し、寸法校正や位置校正
に用いられる周知の校正球をテーブル上に設置し、この
校正球の球面上における例えば4点(球面を定義する上
で所要とされる点の数に相当する)に対して、既述した
偏心量、偏差量を考慮しながら測定子を該4点に対する
法線方向から接近させて校正球半径を実測し、4点にお
ける平均実測値と既知半径値との差から押代を求め、求
めた押代を記憶するようにしても良い。
【0014】上述のようにして主軸に装着された測定ヘ
ッドの偏心量、偏差量、押代を求めた後に、該主軸に装
着された測定ヘッドを用いてワークの形状寸法の測定工
程を遂行する。このワークの形状寸法の測定工程は、ワ
ークの測定表面上に予め測定プログラム等によって指定
された複数の測定点(所要に応じて1つの測定点のみと
しても本発明の測定方法の原理は不変である。)に対し
て遂行され、上述のように求めて記憶した測定子の偏心
量、偏差量を考慮して工作機械の主軸の移動によって測
定ヘッドの測定子中心を測定点に対する法線上に定めた
測定開始点へ位置決めする。このとき、法線はワークの
加工のために設計された形状に対して選定した測定点に
関し予め演算により求めた法線でも良く、ワークの各測
定点の近傍における数点の座標値を実際にその測定ヘッ
ドの測定子で測定して求め、求めた数点の座標値から定
まる測定点を含む平面に立てられる法線を求め、このよ
うにして求めた法線を各測定点の実測における法線とす
るようにしても良い。
【0015】かくして測定子の中心を正しい測定開始点
への位置決め完了後に測定子中心を所定の法線に沿って
ワークの測定点に向けて接近させて接触式または非接触
式に測定点の座標値を実測により求める。この場合に
は、実測値を得る段階で、例えば非接触式であれば、測
定子が押代分だけ押込されたときに、測定信号を受ける
ことは言うまでもない。このようにして実測された測定
点の座標値(X,Y,Z)に対して測定子の偏心量(Δ
X,ΔY)、偏差量(ΔZ)を補正し、また、押代PL
(PLX , PLY , PLZ )を三次元の各軸方向に分配
した押代成分を更に補正することにより、測定点の三次
元座標系における座標値(HX , HY , H Z )を求める
ものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実
施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係
る工作機械におけるワークの形状寸法の測定方法を実施
するために用いられる測定装置の全体的構成を示すブロ
ック図、図2は、工作機械の主軸に装着された測定ヘッ
ドの測定子が主軸軸心に対して偏心、偏差した状態で、
同工作機械が加工したワークの測定目標点を本発明によ
る測定方法によって測定を実施する場合の測定過程を説
明するための略示説明図、図3及び図4は、本発明によ
る工作機械におけるワークの形状寸法測定を実施する場
合のフローチャート、図5は、既知の内径寸法及び厚さ
寸法を有したリングゲージを校正手段にして工作機械の
テーブル上に設置し、主軸に装着した測定ヘッドの測定
子が有する押代を検出する工程を説明するための略示説
明図、図6は、既知の半径寸法を有した校正球を校正手
段にして工作機械のテーブル上に設置し、主軸に装着し
た測定ヘッドの測定子が有する押代を検出する工程を説
明するための略示説明図、図7は、一般的に工作機械の
主軸に装着された測定ヘッドが有する測定子(接触式の
球状測定フィーラの例を示す)によってワーク等の被測
定対象物の測定目標点を測定する際において、主軸軸心
と測定子の中心とが正しく一致した状態で測定開始点か
ら測定目標点へ同点に立てた法線方向にアプローチ(接
近動作)させた場合の状況を模式的に説明するための略
示説明図、図8は、工作機械の主軸の軸心に対する測定
ヘッドの測定子中心の偏心量と偏差量とを模式的に示す
ための略示説明図、図9は、工作機械の主軸に装着され
た測定ヘッドが有する測定子(接触式の球状測定フィー
ラの例を示す)によってワーク等の被測定対象物の測定
目標点を測定する際において、主軸軸心と測定子の中心
とが不一致のままで測定開始点から測定目標点へ同点に
立てた法線方向にアプローチ(接近動作)させた場合の
状況を模式的に説明するための略示説明図である。
【0017】さて、工作機械、特に、所定のNCプログ
ラムに従って工具交換を遂行しながら加工を実行するN
C工作機械等によってテーブル上に設置したワークの機
械加工を実行する工程の間に、工作機械の主軸に工具に
代えて測定子を有した測定ヘッドを装着することによ
り、テーブル上に設置された状態のままのワークの形状
寸法を測定することは、加工現場において比較的一般的
に実行されている。このようなワーク形状寸法の測定に
おいて、工作機械の主軸と、ワークを搭載したテーブル
との間で送り機構による相対送り動作を行わせて主軸に
装着した測定ヘッドの測定子をワークの各目標点へ接近
させるようにする。このため、工作機械の主軸に装着し
た測定ヘッドにより、ワークの形状寸法を測定する場合
には、主軸軸心を基準にして測定プログラムが作成され
るのである。
【0018】ここで先ず、図7に図示のように、工作機
械の主軸9に装着された測定ヘッドを有する例では、接
触式の測定子11の中心が主軸9の軸心に適正に一致し
た状態で装着されているときを考察する。この場合に
は、工作機械の送り機構による相対動作を利用してテー
ブル上に設置されて加工されたワークWの測定目標点P
(X,Y,Z)に法線方向Vから測定子11を、ワーク
Wの測定目標点Pに向けて接近動作させると、主軸9の
相対動作に応じて測定子11は正しく測定目標点Pに接
触することから、同測定目標点Pの三次元座標であるP
(X,Y,Z)をうまく検出することができる。従っ
て、ワークWの多数の測定目標点Pについて三次元座標
値を検出すれば、これらの座標値からワークWの三次元
形状寸法を高精度の下に測定することができるのであ
る。
【0019】然るに、一般的には工作機械の主軸9に工
具に代えて測定ヘッドを工具交換装置等で装着した場合
には、完全に正しく主軸9の軸心と測定ヘッドの測定子
11の中心とが一致した状態を得ることは機械構造上か
ら困難であり、しかも測定ヘッドが不可避的に内包する
遊び等によって一般的に主軸9の軸心に対して測定子1
1の中心はずれを有している。このようなずれの発生状
態を説明、図示したものが図8である。
【0020】図8に図示のように、主軸9の軸心と測定
子11の中心とのずれは二次元座標内における両者のず
れ量(ΔX、ΔY)と主軸9の軸心方向における測定プ
ログラムの実行上で定めた基準位置からのずれ量(Δ
Z)とを有する。ずれ量(ΔX、ΔY)が偏心量に相当
し、ずれ量(ΔZ)が偏差量に相当するものである。こ
のようなずれ量(ΔX、ΔY、ΔZ)を有した状態の測
定子11によりワークWの測定目標点Pの座標値を検出
すべく主軸9とワークWとの間で相対動作を実行させた
場合の様子が図9に図示されている。つまり、主軸9と
ワークWとの相対動作により測定ヘッドの測定子11を
ワークWの測定目標点Pに向けて所定の法線方向Vに沿
って接近動作させると、測定子11は、測定目標点Pか
らずれたワークWの表面上の点P’の座標値を検出する
ことになる。勿論、図9に示すX,Y軸方向のずればか
りでなく、測定子11が有する主軸9の軸心方向への偏
差量(ΔZ)に基づく検出ずれも混入されることは言う
までもない。従って、このような位置ずれを有した多数
の点P’の座標値を求めてワークWの形状寸法を測定し
た場合には、当然に形状寸法測定値に誤差が含まれる結
果となる。
【0021】なお、図7、図9に示す測定子11とワー
クWとの接触点の検出過程では、一般的に測定子11は
ワークWに接触した時点で直ちに検出信号を発するので
はなく、法線方向Vに沿ってワークWの内部に向けて一
定量の押し込みが成された後に検出信号が発せられるも
ので、この量が押代であり、個々の測定子11間の押代
にも一般的には大小バラツキを有しているのである。従
って、このような押代も考慮しなければ、高精度にワー
クWの形状寸法を測定することは不可能となるのであ
る。
【0022】本発明は、工作機械によって加工されたワ
ークWの形状寸法を同工作機械の主軸9に工具と交換に
装着した測定ヘッドによって測定する場合に、たとえ主
軸9の軸心に対して測定ヘッドが有する測定子11の中
心が上述した偏心、偏差量を包含して装着されている場
合でも高精度にワークWの形状寸法の測定を実施し得る
方法及び装置を提供せんとするものである。
【0023】図1を参照すると、工作機械Mは、テーブ
ル12上でワークWの機械加工を例えば、図示されてい
ないNC加工プログラムに従って遂行している。故に、
工作機械Mは、主軸9をZ軸方向に送り動作させる送り
モータを含んだZ軸方向の送り機構Fzと、テーブル1
2をX軸方向及びY軸方向に送り動作させる夫々の送り
モータを含んだX軸方向、Y軸方向の送り機構Fx、F
yとを備えている。そして、これらの3軸方向の送り機
構Fx、Fy、Fzは、それぞれ主軸9のZ軸方向の位
置、テーブル12のX軸方向、Y軸方向における位置を
示す位置信号を送出するスケール装置やエンコーダ装置
等を備えていることは言うまでもない。他方、ワークW
の加工工程の間に、工作機械Mの主軸9に、図示されて
いない工具交換装置等によって工具に代えて測定ヘッド
10を装着し、同測定ヘッド10が有する測定子11に
よってワークWの形状寸法の測定が遂行される。
【0024】ワークWの形状寸法の測定は、予めワーク
Wの設計、加工データに基づいて作成された測定プログ
ラムMRPによって遂行され、この測定プログラムMR
Pは主軸9の軸心の位置を基準にしてワークWにおける
複数の測定目標点Pや各測定目標点における法線方向
V、各測定目標点Pに対する測定子11の中心の接近開
始点等を含んだ測定手順を記録している。そして、ワー
クWの形状寸法の測定は、この測定プログラムMRPの
測定手順による指令に基づいて遂行される。すなわち、
測定プログラムMRPの測定手順の指令は、測定プログ
ラム読取部13によって読み取られて測定データに変換
される。この測定プログラム読取部13で解釈された測
定データは、動作指令部15に入力され、このとき、動
作指令部15は工作機械Mの各軸方向の送り機構Fx、
Fy、Fzの軸移動を制御する軸移動制御部17へ測定
データに基づく動作指令を入力する。故に、軸移動制御
部17は、その動作指令に応じて各軸方向における移動
制御信号を各軸方向の送り機構Fx、Fy、Fzに送出
して送り動作を駆動させるとともに軸移動の開始を位置
検出部19および測定信号検出部21にそれぞれ出力し
て位置検出動作及び測定信号検出動作を駆動する。
【0025】他方、本発明に係るワークWの形状寸法の
測定装置は、測定プログラムMRPに従ってワークWの
形状寸法の測定を実行するときに、測定子11の偏心
量、偏差量、押代等の補正データを先ず求め、次いで複
数の測定目標点Pの三次元座標値を測定子11による検
出動作を介して検出し、それらの補正データ、座標検出
値等からワークWの形状寸法を演算、測定するように機
能する補正量演算部30、データ記憶部40、測定値演
算部50、測定結果出力・表示部60を備えている。
【0026】上記補正量演算部30は、上述の動作指令
部15からの動作指令に応じて測定子11の偏心・偏差
量等の補正量及び押代とを演算するために設けられ、偏
心・偏差演算部31では上述した位置検出部19、測定
信号検出部21と接続され、後述する非接触式の工具先
端位置測定装置等を用いて測定子11の中心座標のデー
タを当該位置検出部19から入力されると、それに基づ
いて主軸9の軸心に対する測定子11の偏心量、偏差量
を演算によって求め、押代演算部33では、また別に後
述する校正手段を用いて測定子11で該校正手段の所定
寸法を測定するとき、上記位置検出部19、測定信号検
出部21からの検出データに基づいて測定子11の押代
を演算によって求めるように成っている。
【0027】そして、補正量演算部30により演算され
た測定ヘッド10の測定子11の偏心、偏差および押代
の各量の値は、データ記憶部40の偏心・偏差記憶部4
1により記憶され、また押代記憶部43に記憶される。
また、上述した偏心、偏差量および押代が求められてか
ら、いよいよワークWの形状寸法の測定工程が実行され
る過程では、測定値演算部50の測定座標値検出部51
が既述の測定信号検出部21および位置検出部19から
出力される測定目標点Pの三次元座標値のデータを受信
し、この受信した各測定目標点Pの三次元座標値に対し
て偏心・偏差補正部53が、上記の偏心・偏差記憶部4
1から読み出した偏心量、偏差量によって補正を行い、
更に所要に応じて押代補正部55が既述の押代記憶部4
3から読み出した押代によって補正を行い、測定目標点
Pの正しい三次元座標値を求めて、ワーク形状寸法演算
部57へ測定点毎に送出する。すると、同ワーク形状寸
法演算部57は、複数の各測定目標点Pの正しい三次元
座標値からワークWの形状寸法を演算によって求め、測
定を完了し、演算したワークWの形状寸法データを測定
結果出力・表示部60を介して装置外部へ出力するよう
になっている。
【0028】図2は、本発明による工作機械におけるワ
ークWの形状寸法測定方法を実施する際に主軸9の軸心
に対して測定子11の中心が偏心、偏差のずれを有して
いる状態でワークWの測定目標点Pの三次元座標値を測
定子11が検出するまでの測定過程を説明している。図
2において、測定ヘッド10が装着された主軸9が任意
の位置(a)からワークWの測定目標点Pの測定を開始
するときには、まず、上記の任意位置(a)から測定開
始点(b)へ移動、位置決めされる。この測定開始点
(b)への位置決めは測定プログラムMRPにより指定
される測定開始点Pに対して測定子11の偏心、偏差を
考慮して、当該測定子11の中心位置が測定目標点Pに
対する適正な測定開始点に位置するように補正動作を加
えた位置決めが行われる。
【0029】次いで、測定開始点(b)から当該測定目
標点Pに関する法線方向(三次元座標系における法線ベ
クトルを(l,m,n)とする)に沿って通過点(c)
を経由して接近動作を行う。この接近動作は勿論、工作
機械Mの各送り軸方向における送り機構Fx、Fy、F
zの軸移動により主軸9とテーブル12上のワークWと
の間の相対移動によって遂行されることは言うまでもな
い。
【0030】やがて、測定子11がワークWにおける測
定目標点Pを接触式に又は非接触式に検出する位置、つ
まり接触式では幾何学的に測定目標点Pに接触する位置
であり、非接触式では、理論的にうず電流または静電容
量等の変化が開始する位置に相当する検出位置(d)に
達する。この検出位置(d)から測定子11は更にその
押代相当分だけ押し込まれた位置(e)に達すると、測
定信号、所謂、スキップ信号が測定ヘッド10から発せ
られる。このような測定信号は図1に示す測定信号検出
部21で検出され、この測定信号に応じて、位置検出部
19は各送り機構Fx、Fy、Fzに関連したスケール
やエンコーダ等の位置検出装置から測定目標点Pの座標
値(X,Y,Z)を検出するものである。
【0031】上述した測定目標点Pの三次元座標値
(X,Y,Z)の検出過程では、工作機械Mの主軸9
は、測定プログラムMRPにより指定される測定開始点
(b)からずれた位置からワークWに対して相対移動を
行い、測定子11の中心が測定目標点Pにその法線方向
から接近するように動作していることから、上述により
検出された点Pの座標値には測定子11の偏心、偏差量
に相当するずれ量が混入されていることを注目する必要
がある。また、押代も混入している。依って、本発明は
これらの偏心、偏差および所要に応じて押代の補正を行
って、主軸9の軸心を基準とした正しい測定目標点Pの
三次元座標値(Hx,Hy,Hz)を求めるのである。
【0032】すなわち、測定信号に応じて検出された測
定目標点Pの三次元座標値を、上述のように、P(x,
y,z)、正しい三次元座標値をP(Hx,Hy,H
z)、偏心量を(ΔX,ΔY)、偏差量を(ΔZ)、押
代をPL(PLX , PLY , PLZ )とすると、既述の
ように、測定目標点Pにおける法線のベクトルを(l,
m,n)としたとき、正しい三次元座標値P(Hx,H
y,Hz)は次の式で与えられる。
【0033】
【数1】
【0034】本発明は、各測定目標点Pの三次元座標の
座標値を図1の測定信号検出部21の測定信号に応じて
位置検出部19から検出すると、この各点Pの三次元座
標値は、測定値演算部50における測定座標値検出部5
1に入力され、上記の式(1)〜(6)に従って測定子
11の偏心、偏差量の補正と押代の補正が行われ、ワー
ク形状寸法演算部57において複数の正しい測定目標点
Pの座標値を三次元座標系にプロットする演算を行って
ワークWの形状寸法の正しい測定値を得るものである。
このように、本発明は、測定ヘッド10の測定子11に
おける中心位置が主軸9の軸心に対して偏心、偏差を有
している場合にも正しいワークWの形状寸法の測定値を
得ることができるから、測定の高精度化を実現できるの
である。
【0035】さて、図3及び図4はワークWの形状寸法
の測定における測定工程S1〜S10をフローチャート
で示したものである。なお、図4に示した測定工程S6
からS8の工程は、ワークWの被測定面上における複数
の測定目標点P1〜Pnの各測定点P1・・・Pnに就
いて各個別に三次元座標値の検出と補正とを行い、これ
を複数回、繰り返すように測定過程が実行されるように
記載してあるが、勿論、複数の測定目標点P1・・・P
nに関する三次元座標値を先ず、検出し、その後に測定
子11の偏心量、偏差量、押代等をデータ記憶部40か
ら取り込んで、個々の座標値に順次に補正を施すように
しても良いことは言うまでもない。
【0036】なお、図4に示す工程S6において、各測
定目標点P1〜Pnの接近動作を遂行する場合の法線方
向は予め測定プログラムMRPの作成段階で、ワークW
の設計加工される形状データから法線方向を決定し、そ
のベクトル(l,m,n)をプログラム内に入力してお
くようにしても良く、また、各測定目標点P1〜Pnの
測定を遂行する過程で、予め各目標点に極めて近い近傍
位置に選定した3点の座標値を測定子11を用いて直
接、測定し、これらの3点の座標値で形成される各測定
目標点を含んだ狭小平面に対して立てた法線を各測定目
標点の接近動作における法線方向として求めるようにし
ても良い。この場合には、図示されていないが、図1の
補正量演算部30に法線方向のベクトルを演算する演算
部を設け、また、データ記憶部40に演算した法線方向
のベクトルを記憶する法線ベクトル記憶部を設けるよう
にすれば良い。
【0037】次に、図3に示す測定工程S2における測
定ヘッド10の測定子11における中心の位置(x0
0 ,z0 )を求める方法と手段に就いて略説する。す
なわち、この測定子11の中心位置(x0 ,y0
0 )を測定する場合には、工作機械Mのテーブル12
上に設けられた非接触式の工具先端検出装置等を用いて
測定子11の先端部の位置検出を行って、測定子11の
外径寸法、最先端点の位置を求めることにより、中心位
置を簡単に求めることができる。このような非接触式工
具先端位置検出装置は、既に市販等で周知であるが、典
型的なものとしては、例えば、本願出願人の出願に係る
特願平8−311432号に開示されているものがあ
る。すなわち、この特願平8−311432号に開示さ
れた装置では、工作機械のテーブル上に設置した割出回
転可能な旋回台に投光器と受光器との間に1本の光線を
投射するように設け、該光線を遮断すると測定信号ない
しスキップ信号が送出されるようにし、このような1本
の光線を利用して既知のマスタ工具と実用工具とを工作
機械の相対移動により該光線を遮断するように移動させ
て夫々の三次元座標値におけるマスタ工具の座標値を基
準とし、実用工具の工具先端位置を検出する装置が開示
されている。このような光線を利用した非接触式の工具
先端位置検出装置の他にレーザー光線やラインセンサを
利用した工具計測装置等が種々周知にされているので、
このような非接触式工具先端位置検出装置を利用すれ
ば、本発明に係る測定ヘッド10の測定子11における
先端位置や外径寸法を検出して容易に測定子11の中心
位置(x0 ,y0 ,z0 )を求めることができるのであ
る。このようにして求めた測定子11の中心位置
(x0,y0 ,z0 )を既知である主軸9の軸心と三次
元空間内において対比すれば、図3の測定工程S3にお
ける測定子11の偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(Δ
Z)を求め得ることは自明である。
【0038】次に、図3の測定工程S4に示す測定ヘッ
ド10の測定子11の押代PLを校正手段を用いて求め
る方法を説明する。まず、第1の方法としては、図5に
示すように内径寸法Diと厚み寸法Tiとが既知である
周知のリングゲージ70を用いて押代PLを求める場合
に就いて説明する。
【0039】この場合には、リングゲージ70をテーブ
ル12上に設置し、このリングゲージ70の内側に主軸
9に装着した測定ヘッド10の測定子11を下ろす。次
いで、測定子11を工作機械Mの送り機構Fx、Fyの
作動より、任意の既知座標点から±X軸方向及び±Y軸
方向の移動によりリングゲージ70の内面に垂直な方向
に接近動作させて同リングゲージ70の内径寸法を複数
回に渡って測定する。これらの各測定回におけるリング
ゲージ70の内径実測寸法をD1・・・Dnとすると、
これらの実測寸法D1〜Dnの平均寸法Dsを求める。
【0040】すなわち、Ds=(D1+D2+・・・D
n)/nとして与えられる。この平均実測寸法Dsは測
定子11が有する押代PLを含んでいる。つまり、内径
寸法の測定においては、測定子11を既知座標点から±
の正逆方向に接近動作させてリングゲージ70の内面と
の2回の接触により測定を遂行することから押代PLの
2倍の量が上記Dsに混入していることになる。従っ
て、測定子11の押代PLは、次の式から得ることがで
きる。
【0041】PL=(Ds−Di)/2 なお、上記の押代PLは、X,Y平面内における直交し
た2方向においてリングゲージ70の内径寸法を測定す
ることにより既知内径寸法Diとの差として求めたが、
リングゲージ70の既知厚み方向にZ軸方向の移動で厚
み寸法を実測するようにし、既知厚み寸法Tiと実測し
た厚み寸法との差から求めた押代PLを求め、上述した
X、Y軸方向における押代との平均値を求めれば、精度
の高い押代PLを求めることができる。
【0042】他方、第2の方法として、図6に示す既知
半径Rを有した校正球を校正手段として用いることによ
り、測定ヘッド10の測定子11の押代PLを求めるこ
ともできる。すなわち、テーブル12上に校正球72を
設置し、この校正球72の球半径を測定ヘッド10の測
定子11によって実測することにより、測定子11の押
代PLを求めるものである。
【0043】この場合には、先ず、予め周知のインジケ
ータ装置を工作機械Mの主軸9に装着して校正球72の
表面にインジケータ装置を当接させて同一振れ目盛りを
示す少なくとも4点位置の三次元座標値を読み取ること
により、校正球72の中心位置を求める。次いで、工作
機械Mの主軸9に測定ヘッド10を装着し、その測定子
11によって校正球72の求めた中心位置と球面上の任
意の4測定点とを結ぶ直線、つまり各測定点に立てた法
線方向を求める。その後、測定子11を、工作機械Mの
送り機構Fx、Fy、Fzの送り駆動によって校正球7
2の表面の目標とする測定点に関する測定開始点へ、図
2に示したワークWの測定工程の場合と同様にして位置
決めする。すなわち、この測定開始点への位置決めに
は、既に求めた測定子11の偏心量(ΔX,ΔY)、偏
差量(ΔZ)を勘案して測定子11の中心位置が接近動
作のための法線上に来るように位置決めする。次に、校
正球72の4つの測定点の位置へそれぞれの法線方向か
ら接近動作させて測定子11による接触に応じて測定信
号が測定ヘッド10から発せられる都度、測定信号検出
部21(図1参照)で検出し、そのとき、位置検出部1
9において校正球72上の4測定点の三次元座標値を検
出する。これらの4つの測定点の座標値から定義される
球面の半径Rsを演算する。そしてこの演算結果から得
られた実測値としての校正球体72の半径Rsと既知の
半径値Rとの間には押代PLが介在するので、PL=
(R−Rs)の式から測定子11の押代PLを求めるこ
とができるのである。
【0044】以上に記載したように、測定工程S2、S
3、S4を経て測定ヘッド10の測定子11が有する偏
心量(ΔX,ΔY)、偏差量(ΔZ)、押代PLを求
め、測定工程S5でデータ記憶部50の偏心・偏差記憶
部41、押代記憶部43に格納すれば、ワークWの形状
寸法の測定工程における前段階が終了するのである。次
いで、図1、図2を参照して既述したように、ワークW
の複数の測定目標点P1〜Pnに就いて測定子11を用
いて図4の測定工程S6〜S10を実行すれば、ワーク
Wの形状寸法の測定を高精度の実行することができる。
【0045】
【発明の効果】以上、本発明の種々の実施形態を含めた
説明から明らかなように、本発明によれば、工作機械に
よって加工されるワークの形状寸法を、同工作機械上
で、つまりオンマシンによって主軸に装着した測定ヘッ
ドの測定子により測定することが可能であるとともに、
同測定ヘッドの測定子の中心位置が主軸軸心に対して偏
心および偏差を有して装着されていても、更には測定ヘ
ッドに不可避的に包含される押代があっても、これらを
補正することが可能であり、従って、ワークの形状寸法
を高精度に測定することができるのである。
【0046】なお、上述した本発明の測定装置において
主軸に装着される測定ヘッドは、接触式の測定子を有す
る場合であっても、非接触式の測定子を有する場合であ
っても、主軸に対して測定ヘッドに工具に代えて装着す
ることに伴う偏心、偏差の発生は不可避であり、また非
接触式の測定ヘッド、例えば、電気容量式またはうず電
流式の測定ヘッドの測定子であってもワークの測定目標
点の座標検出においては一定の閾値が接触式の測定ヘッ
ドで言うところの押代に相当して既存することから、本
発明の測定方法、測定装置の作用原理に基づいて測定を
実施すれば、高精度のワーク形状寸法の測定が実施可能
であることは容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る工作機械におけるワークの形状寸
法の測定方法を実施するために用いられる測定装置の全
体的構成を示すブロック図である。
【図2】工作機械の主軸に装着された測定ヘッドの測定
子が主軸軸心に対して偏心、偏差した状態で、同工作機
械が加工したワークの測定目標点を本発明による測定方
法によって測定を実施する場合の測定過程を説明するた
めの略示説明図である。
【図3】本発明による工作機械におけるワークの形状寸
法測定を実施する場合のフローチャートの前半部であ
る。
【図4】本発明による工作機械におけるワークの形状寸
法測定を実施する場合のフローチャートの後半部であ
る。
【図5】既知の内径寸法及び厚さ寸法を有したリングゲ
ージを校正手段にして工作機械のテーブル上に設置し、
主軸に装着した測定ヘッドの測定子が有する押代を検出
する工程を説明するための略示説明図である。
【図6】既知の半径寸法を有した校正球を校正手段にし
て工作機械のワークテーブル上に設置し、主軸に装着し
た測定ヘッドの測定子が有する押代を検出する工程を説
明するための略示説明図である。
【図7】一般的に工作機械の主軸に装着された測定ヘッ
ドが有する測定子(接触式の球状測定フィーラの例を示
す)によってワーク等の被測定対象物の測定目標点を測
定する際において、主軸軸心と測定子の中心とが正しく
一致した状態で測定開始点から測定目標点へ同点に立て
た法線方向にアプローチ(接近動作)させた場合の状況
を模式的に説明するための略示説明図である。
【図8】工作機械の主軸の軸心に対する測定ヘッドの測
定子中心の偏心量と偏差量とを模式的に示すための略示
説明図である。
【図9】工作機械の主軸に装着された測定ヘッドが有す
る測定子(接触式球状測定フィーラの例)によってワー
ク等の被測定対象物の測定目標点を測定する際におい
て、主軸軸心と測定子の中心とが不一致のままで測定開
始点から測定目標点へ同点に立てた法線方向にアプロー
チ(接近動作)させた場合の状況を模式的に説明するた
めの略示説明図である。
【符号の説明】
9…主軸 10…測定ヘッド 11…測定子 13…測定プログラム読取部 15…動作指令部 17…軸移動制御部 19…位置検出部 21…測定信号検出部 30…補正量演算部 31…偏心・偏差演算部 33…押代演算部 40…データ記憶部 41…偏心・偏差記憶部 43…押代記憶部 50…測定値演算部 51…測定座標値検出部 53…偏心・偏差補正部 55…押代補正部 57…ワーク形状寸法演算部 M…工作機械 W…ワーク MRP…測定プログラム

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械によって加工されるワークの表
    面の座標値を該工作機械の主軸に装着した測定ヘッドの
    測定子によって測定する工作機械におけるワークの形状
    寸法測定方法において、 前記主軸に装着された前記測定ヘッドの測定子の中心位
    置の座標値(x0 ,y 0 ,z0 )を測定し、 前記主軸の軸心と前記測定した測定ヘッドの測定子の中
    心位置の座標値(x0,y0 ,z0 )とのずれ分に当た
    る偏心量(ΔX,ΔY)及び前記主軸の軸心方向におけ
    る所定の基準位置からのずれ分に当たる偏差量(ΔZ)
    を求め、 前記ワークの測定点の位置及び前記測定点に対応した測
    定開始点の位置への移動指令を含んで予め作成された測
    定手順に基づいて、前記主軸と前記ワークとを相対移動
    させることにより、前記測定ヘッドの測定子を前記求め
    た偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(ΔZ)を前記測定
    開始点の位置に取り込んで求めた実際の測定開始点へ位
    置決めし、 前記測定ヘッドの測定子を前記実際の測定開始点から前
    記測定点へ向かう法線方向に沿って漸近動作させ、該測
    定点における測定信号を受信し、 前記測定信号の受信時に前記測定点の座標値(X,Y,
    Z)を検出して、取り込み、 前記取り込まれた測定点の座標値(X,Y,Z)に対し
    て前記求めた偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(ΔZ)
    により補正をした前記測定点の座標値(HX ,HY ,H
    Z ) を求め、 前記補正された測定点の座標値(HX , HY ,HZ )か
    ら前記ワークの形状寸法の測定値を得る、ことを特徴と
    した工作機械におけるワークの形状寸法測定方法。
  2. 【請求項2】 前記主軸に装着された前記測定ヘッドの
    測定子の偏心量(ΔX,ΔY)及び偏差量(ΔZ)を求
    める工程に続いて該測定ヘッドに固有の押代PL(PL
    X , PLY , PLZ )を求め、 前記ワークの形状寸法の測定値を得る補正された測定点
    の座標値(HX , HY,HZ )を求める工程において
    は、前記測定ヘッドの測定子の偏心量(ΔX,ΔY)及
    び偏差量(ΔZ)とともに該測定ヘッドの押代PL(P
    X , PLY , PLZ )を補正した測定点の座標値(H
    X , HY ,HZ )を求めるようにする請求項1に記載の
    工作機械におけるワークの形状寸法測定方法。
  3. 【請求項3】 工作機械によって加工されるワークの表
    面の座標値を該工作機械の主軸に装着した測定ヘッドの
    測定子によって測定する工作機械におけるワークの形状
    寸法測定装置において、 前記主軸に装着された前記測定ヘッドの測定子の中心位
    置の座標値(x0 ,y 0 ,z0 )を測定し、前記主軸の
    軸心と前記測定した測定ヘッドの測定子の中心位置の座
    標値(x0 ,y0 ,z0 )とのずれ分に当たる偏心量
    (ΔX,ΔY)及び前記主軸の軸心方向における所定の
    基準位置からのずれ分に当たる偏差量(ΔZ)を求める
    偏心・偏差量演算手段と、 前記偏心量(ΔX,ΔY)及び前記偏差量(ΔZ)を記
    憶する偏心・偏差量記憶手段と、 前記ワークの測定点の位置及び前記測定点に対応した測
    定開始点の位置への移動指令を含んで予め作成された測
    定手順に基づいて、前記主軸と前記ワークとを相対移動
    させ、前記測定ヘッドの測定子を、所望の測定点に対応
    した測定開始点の位置に前記偏心量(ΔX,ΔY)及び
    偏差量(ΔZ)を取り込んで求めた実際の測定開始点へ
    位置決めし、かつ該実際の測定開始点から前記所望の測
    定点に向かう法線方向に沿って漸近的に測定移動せしめ
    る測定子移動手段と、 前記実際の測定開始点から前記測定子移動手段によって
    漸近移動させた前記測定ヘッドの測定子から前記測定点
    における測定信号を受信したときの前記測定点の座標値
    (X,Y,Z)を読み取る測定座標値読取り手段と、 前記測定座標値読取り手段によって読み取った前記測定
    点の座標値(X,Y,Z)に対して前記偏心量(ΔX,
    ΔY)及び偏差量(ΔZ)により補正をした前記測定点
    の座標値(HX , HY ,HZ )を求める補正座標値演算
    手段と、を具備し、前記補正座標値演算手段によって補
    正した前記ワークの測定点の座標値(HX , HY
    Z )から前記ワークの形状寸法を演算することを特徴
    とした工作機械におけるワークの形状寸法測定装置。
  4. 【請求項4】 前記主軸に装着された前記測定ヘッドの
    測定子によって前記工作機械の所定位置に設けた既知の
    校正用寸法を有したゲージまたは既知の校正用半径寸法
    を有した校正球を含む校正手段の校正用寸法を、前記測
    定座標値読み取り手段を介して実測するとともに該実測
    した寸法と既知の校正用寸法とから前記測定ヘッドの押
    代PL(PLX , PLY , PLZ )を求める押代演算手
    段と、 前記押代PL(PLX , PLY , PLZ )を記憶する押
    代記憶手段とを更に備え、 前記押代演算手段を前記補正座標値演算手段に接続する
    ことにより、前記補正したワークの測定点の座標値(H
    X , HY ,HZ )を更に該押代PL(PLX ,PLY ,
    PLZ )によって補正するように構成した請求項3に記
    載の工作機械におけるワークの形状寸法測定装置。
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