JP3120889B2 - 剥離用シート - Google Patents

剥離用シート

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JP3120889B2
JP3120889B2 JP04062027A JP6202792A JP3120889B2 JP 3120889 B2 JP3120889 B2 JP 3120889B2 JP 04062027 A JP04062027 A JP 04062027A JP 6202792 A JP6202792 A JP 6202792A JP 3120889 B2 JP3120889 B2 JP 3120889B2
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淳一 橋川
悟 竹中
圭介 有田
耕市郎 松平
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剥離用シート、例え
ば、合成皮革製造時に使用する剥離用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成皮革製造においては、図4に
示されるように硬化前の合成皮革用樹脂原料90を離型
シート100の上に塗布し、しかる後、乾燥、剥離して
作製する方法が知られている。すなわち、合成皮革用樹
脂原料90としての着色ポリ塩化ビニール樹脂やウレタ
ン樹脂等を、剥離用シート100の上に塗布し、しかる
後、乾燥させて合成皮革用樹脂を硬化させた後、剥離用
シート100を剥離して合成皮革が製造される。この場
合、使用される剥離用シート100は、例えば、紙基材
101の上にシリコーン等からなる剥離層105を積層
して形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の剥離用シート100では、剥離シートの上に、ポリ
塩化ビニール樹脂等の溶融した合成皮革用樹脂原料を塗
工した際や、乾燥させる際に、剥離シートの紙基材10
1上に急激な温度変化(温度上昇180〜240℃)が
生じる。このため、紙基材101中の水分が急激に移動
し、不均一に紙基材101が膨れ上がったり、カールを
生じたりして、合成皮革用樹脂原料塗工後の製品外観不
良につながるという問題が生じていた。
【0004】本発明は、このような実情のもとに創案さ
れたものであって、その目的は、紙基材上に急激な温度
変化じ、紙基材中の水分が急激に移動しても、不均一に
紙基材が膨れ上がったり、カールを生じることを防止
し、良品の合成皮革用樹脂製品が歩留まり良く得られる
剥離用シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、基材と、該基材の一方の面に設けられ、表
面に複数の微細な凹凸を有する剥離層と、前記基材の他
方の面に設けられた裏打ち層とを有する剥離用シートで
あって、前記基材の裏打ち層が形成される他方の面に
は、エンボス加工による凹凸が設けられ、前記裏打ち層
と基材との接着力は、前記基材の加熱により発せられる
水分の逃げ場所になる空隙を確保できるように、前記剥
離層と基材との接着力よりも小さく設定されるように構
成した。
【0006】
【作用】本発明の剥離用シートは、裏打ち層と基材との
接着力を小さめにして、基材の加熱により発せられる水
分をこの接合面から逃がすように設定しているので、従
来のように不均一に剥離用シートの紙基材が膨れ上がっ
たり、カールを生じることがない。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は、本発明の剥離用シートの一例を示
す概略断面図である。図1において、剥離用シート1
は、基材11の一方の面11aに設けられた剥離層13
と基材11の他方の面11bに設けられた裏打ち層15
とを備えている。
【0008】基材11としては、クラフト紙、上質紙、
模造紙、アート紙、コート紙等を使用することができ
る。この基材11の坪量は、50〜200g/m2 が好
適である。この値が200g/m2 を超えると、後述す
る剥離層表面にエンボス加工をするのに不適であり、ま
た、この値が50g/m2 未満となると、カール、耐熱
性等の問題が生じる。
【0009】このような基材11の一方の面11aに設
けられる剥離層13は、ポリメチルペンテン系樹脂(特
に、4−メチルペンテン−1ポリマー)、ポリプロピレ
ン系樹脂、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物およ
びシリコーン系樹脂等の樹脂から形成される。
【0010】このような剥離層13は、押出しコート法
接着剤塗布ラミネートまたは熱溶融ラミネート等のフィ
ルムラミネート法等により積層される。その厚さは15
〜70μm程度とされる。この値が50μmを超える
と、後述するエンボス加工が不適になり、また、20μ
m未満になると、接着性、カール、耐熱性に問題を生じ
る。
【0011】このような剥離層13の表面13aには、
合成皮革製造のための図柄がエンボス模様として形成さ
れている。そして、剥離層13の表面13aの模様は、
この上に一時的に積層される合成皮革用樹脂原料に転写
される。剥離層13の表面13aの模様は、エンボス加
工、例えば、所定の凹凸形状に対応した金型面を有する
エンボスロール等を用いて形成される。
【0012】一方、基材11の他方の面11bに設けら
れる裏打ち層15は、樹脂材料から形成され、特に前記
剥離層13を構成する樹脂材料と同一系統の樹脂材料を
用いることが好ましい。また、裏打ち層15の厚さも剥
離層13のそれと同等にすることが好ましい。具体的に
は剥離層の厚さをh1 、裏打ち層の厚さをh2 とした場
合、これらの比h1 /h2 0.5〜2.0、好ましくは
0.7〜1.4に設定するのがよい。カールを防止する
ためである。このような、裏打ち層15は、上記剥離層
13と同様な方法で形成される。
【0013】この裏打ち層15と基材11との接着力
は、前記剥離層13と基材11との接着力よりも小さく
設定される。前記基材の加熱により発せられる水分の逃
げ場所になる空隙を裏打ち層15と基材11との界面に
確保するためである。より具体的には、前記裏打ち層と
基材との接着力W1 は、前記剥離層と基材との接着力W
2 に対して、W1 /W2 =1/4〜1/2、より好まし
くは、1/4〜1/3となるように設定される。なお、
接着力W1 ,W2 の設定は、例えば、押出機のダイの温
度設定、すなわち積層される樹脂の温度を変えることと
積層される樹脂厚を変えることによって容易に調整でき
る。
【0014】以下、具体的実験例を示し、本発明をさら
に詳細に説明する。 〔実験例〕下記に示されるような4種類の剥離用シート
を作製し、しかる後、これらのサンプルシートを用いて
実際に合成皮革用製品をつくり具体的に評価を行った。
【0015】(本発明剥離用シート1の作製)図1に示
されるような本発明の剥離用シートを作製した。すなわ
ち、基材11として坪量125g/m2 の上質紙を用
い、この片側表面11aにメルトフローレート(MF
R)20〜80g /10min の4−メチルペンテン−1
(TPX)を剥離層13の材料とし下記の押し出しラミ
ネーション条件1で押し出しラミネーションを行った。
剥離層13の厚さは30μmとした。この際に、まずT
PX樹脂の表面状態を一旦、ミラー調に仕上げ、つい
で、このミラー調の樹脂表面を連続的な凹部帯を備える
連続的な柄、特に動物の皮革模様をエンボス加工した。
【0016】このエンボス加工後、上質紙の反対面(T
PX樹脂が積層されていない面)がエンボスで押されて
いることを確認し、この紙面にメルトフローレート(M
FR)20〜80g /10min の4−メチルペンテン−
1(TPX)を裏打ち層15の材料とし下記の押し出し
ラミネーション条件2で押し出しラミネーションを行っ
た。裏打ち層15の厚さは30μmとした。この裏打ち
層15の表面をミラー調に仕上げて本発明の剥離用シー
ト1を作製した。この場合のW1 /W2 =1/3.5で
あった。
【0017】押し出しラミネーション条件1(共押出
し) 第1押出し機: 90mmφ,L/D=29 Tダイ : 750mm幅,Tダイ温度320℃ 押し出し量 :50Kg/H 第2押出し機: 90mmφ,L/D=29 Tダイ : 750mm幅,Tダイ温度320℃ 押し出し量 :50Kg/H押し出しラミネーション条件2(共押出し) 第1押出し機: 90mmφ,L/D=29 Tダイ : 750mm幅,Tダイ温度300℃ 押し出し量 :50Kg/H 第2押出し機: 90mmφ,L/D=29 Tダイ : 750mm幅,Tダイ温度300℃ 押し出し量 :50Kg/H このように作製した本発明の剥離用シート1のエンボス
部に合成皮革用樹脂原料としての着色ポリウレタン樹脂
組成物を塗布し、乾燥させた。この際、乾燥時の温度上
昇にともない上質紙から放出される水分は、裏打ち層1
5と上質紙との界面の隙間に溜まり、カールと部分的な
上質紙の膨脹を防げることが確認された。
【0018】(比較剥離用シート1の作製)図2に示さ
れるような比較の剥離用シート20を作製した。すなわ
ち、上記本発明剥離用シート1と比べ、裏打ち層の無い
剥離用シートを作製した。それ以外は、上記本発明剥離
用シート1と同様とした。
【0019】この比較剥離用シート20を用いて、上記
本発明の場合と同様に合成皮革製品を製造した。この結
果、乾燥時の温度上昇にともない上質紙から放出される
水分が外部に放出されるため、剥離用シート20のカー
ルが発生し、塗工されたウレタンの外観を損ねてしまう
ということが確認された。
【0020】(比較剥離用シート2の作製)裏打ち層を
上記の押し出しラミネーション条件1で作製した以外
は、上記本発明剥離用シート1と同様にして比較剥離用
シート2を作製した。この場合のW1/W2 =1であっ
た。
【0021】この比較剥離用シート2を用いて、上記本
発明の場合と同様に合成皮革製品を製造した。この結
果、乾燥時の温度上昇にともない上質紙から放出される
水分の逃げ道が少ないため、上質紙と剥離層との界面お
よび上質紙と裏打ち層との界面に不均一な膨脹が発生
し、塗工されたウレタンの外観を損ねてしまうというこ
とが確認された。
【0022】(比較剥離用シート3の作製)図3に示さ
れるように上質紙の反対面(剥離層樹脂が積層されてい
ない面)にエンボスを施さなかった。それ以外は、上記
本発明剥離用シート1と同様にして比較剥離用シート3
0を作製した。この場合のW1 /W2 =10/7であっ
た。
【0023】この比較剥離用シート30を用いて、上記
本発明の場合と同様に合成皮革製品を製造した。この場
合、裏打ち層15と、上質紙30の間に若干隙間が空く
が、エンボスを施した本発明剥離用シート1に比べて水
分が放出される逃げ道が少ないため、やはり上質紙と剥
離層との界面および上質紙と裏打ち層との界面に不均一
な膨脹が発生し、塗工されたウレタンの外観を損ねてし
まうということが確認された。
【0024】
【発明の効果】本発明の剥離用シートは、基材の裏打ち
層が形成される他方の面にエンボス加工による凹凸が設
けられ、裏打ち層と基材との接着力は、基材の加熱によ
り発せられる水分の逃げ場所になる空隙を確保するよう
に、剥離層と基材との接着力よりも小さく設定されてい
るので、紙基材上に急激な温度変化じ、紙基材中の水分
が急激に移動しても、不均一に紙基材が膨れ上がった
り、カールを生じることをがなく、良品の合成皮革用樹
脂製品を歩留まり良く得られるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の剥離用シートの断面図である。
【図2】比較剥離用シートの一例を示す断面図である。
【図3】比較剥離用シートの一例を示す断面図である。
【図4】合成皮革用樹脂製品を作製する方法を模式的に
表した図である。
【符号の説明】
11…基材 13…剥離層 15…裏打ち層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松平 耕市郎 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−307985(JP,A) 特開 平5−195497(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/00 DAC B32B 27/00 D06C 23/04 D21H 27/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、該基材の一方の面に設けられ、
    表面に複数の微細な凹凸を有する剥離層と、前記基材の
    他方の面に設けられた裏打ち層とを有する剥離用シート
    であって、 前記基材の裏打ち層が形成される他方の面には、エンボ
    ス加工による凹凸が設けられ、 前記裏打ち層と基材との接着力は、前記基材の加熱によ
    り発せられる水分の逃げ場所になる空隙を確保できるよ
    うに、前記剥離層と基材との接着力よりも小さく設定さ
    れていることを特徴とする剥離用シート。
  2. 【請求項2】 前記裏打ち層と基材との接着力W1 は、
    前記剥離層と基材との接着力W2 に対して、W1 /W2
    =1/4〜1/2であることを特徴とする請求項1記載
    の剥離用シート。
  3. 【請求項3】 前記剥離層および裏打ち層は、それぞ
    れ、4−メチルペンテン−1ポリマーであることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の剥離用シート。
  4. 【請求項4】 前記剥離層および裏打ち層は、それぞ
    れ、樹脂から形成され、剥離層の厚さをh1 ,裏打ち層
    の厚さをh2 とした場合、h1 /h2 =0.5〜2.0
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載の剥離用シート。
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JP4708140B2 (ja) * 2005-09-27 2011-06-22 大日本印刷株式会社 エンボス加工用離型紙の製造装置および製造方法
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