JP4760263B2 - エンボス加工用離型紙 - Google Patents

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本発明は、エンボス模様が施されたシート状材料を製造するために用いられるエンボス加工用離型紙に関する。
従来より、合成皮革等のシート状材料の意匠性を向上させることを目的として、当該シート状材料の表層に幾何学模様や木目状等の凹凸形状の模様(エンボス模様)を施すエンボス加工装置が用いられている。このようなエンボス模様が施されたシート状材料を製造するにあたり、例えば特許文献1に示すようなエンボス模様が施されたエンボス加工用離型紙が用いられ、このエンボス加工用離型紙のエンボス模様がシート状材料に転写されるようになっている。
以下、図4乃至図6を参照してこのようなエンボス加工装置の詳細について説明する。このうち、図4は、エンボス加工用離型紙を用いてエンボス模様が施されたシート状材料を製造するエンボス加工装置の構成を示す構成図であり、図5(a)は、図4のエンボス加工装置に用いられるエンボス加工用離型紙の初期状態における構成を示す縦断面図であり、(b)は、(a)のエンボス加工用離型紙が繰り返し使用された後の状態における構成を示す縦断面図である。また、図6は、エンボス加工用離型紙によりエンボス模様が転写されたシート状材料の構成を示す縦断面図である。
図4に示すように、エンボス加工装置40は、エンボス模様が施されたエンボス加工用離型紙の供給ロール41および巻取ロール42を備えており、供給ロール41から連続的に送られたエンボス加工用離型紙は巻取ロール42により巻き取られるようになっている。ここで、供給ロール41に巻かれているエンボス加工用離型紙は、図5(a)に示すように紙層1とこの紙層1に積層された例えばポリプロピレンからなる離型層2との2層構造となっており、紙層1および離型層2は共にエンボス模様(凹凸形状の模様)が施されている。
一方、図4に示すように、エンボス模様を施すべきシート状材料(基布)の供給ロール43およびエンボス模様が施されたシート状材料を巻き取るための巻取ロール44がエンボス加工装置40に設けられている。供給ロール43から連続的に送られた基布等のシート状材料は、後述の方法によりポリウレタン等のコーティング用樹脂4がコーティングされ、このコーティングが行われたシート状材料は合成皮革等として巻取ロール44により巻き取られるようになっている(特許文献2等参照)。
供給ロール41の下流側には、エンボス加工用離型紙の離型層2側(図4の上方側)の表面にコーティング用樹脂4を塗着するコーター45が設けられている。このコーター45の下流側には、エンボス加工用離型紙に塗着されたコーティング用樹脂4上に、供給ロール43から送られたシート状材料を更に積層させ、当該シート状材料をエンボス加工用離型紙側に押圧するラミネーター(押圧器)46が設置されている。このラミネーター46において、コーティング用樹脂4が離型層2に直接的に押圧されることにより、当該離型層2のエンボス模様がコーティング用樹脂4に転写されるようになっている。さらに、ラミネーター46の下流側には、当該ラミネーター46から送られたエンボス加工用離型紙とシート状材料との組合せ体を加熱し、コーティング用樹脂4をシート状材料にコーティングする加熱器47が設置されている。
図4および図6に示すように、加熱器47の下流側においてエンボス加工用離型紙とシート状材料は分離し、それぞれ巻取ロール42および巻取ロール44により巻き取られるようになっている。
次に、図4に示すような構成からなるエンボス加工装置の作用について説明する。
まず、供給ロール41から送られたエンボス加工用離型紙について、コーター45により当該エンボス加工用離型紙の離型層2側(図4の上方側)の表面にコーティング用樹脂4を塗着する。次に、ラミネーター46において、供給ロール43から送られたシート状材料をコーティング用樹脂4上に積層してこのシート状材料をエンボス加工用離型紙側に押圧する。このことにより、離型層2のエンボス模様がコーティング用樹脂4に転写される。さらに、加熱器47によりエンボス加工用離型紙とシート状材料との組合せ体を加熱し、シート状材料にコーティング用樹脂4を固着させる。加熱器47の下流側において、図6に示すように、コーティング用樹脂4が離型層2から分離することにより、シート状材料とエンボス加工用離型紙とが分離され、最終的にエンボス模様が施されるとともにコーティングされた合成皮革等のシート状材料を得ることができる。
特開平11−140778号公報 特開2001−315181号公報
図4に示すようなエンボス加工装置においては、製造コスト削減のため、巻取ロール42により巻き取られたエンボス加工用離型紙を複数回繰り返して使用している。しかしながら、初期状態におけるエンボス加工用離型紙は、図5(a)に示すようにエンボス形状が明確な状態となっているが、このエンボス加工用離型紙を複数回使用すると、図5(b)に示すようにエンボス形状の凹凸が平坦化されてしまい、エンボス模様が施されたシート状材料の意匠性が製品条件を満たさなくなるおそれがある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、シート状材料にエンボス模様を施す際に用いられるエンボス加工用離型紙であって、繰り返し使用した場合であっても当該エンボス加工用離型紙のエンボス形状の凹凸が平坦化されることを抑制することができ、エンボス模様が施されたシート状材料の意匠性を良好に保つことができるようなエンボス加工用離型紙を提供することを目的とする。
本発明は、エンボス模様が施されたシート状材料を製造するために用いられるエンボス加工用離型紙であって、エンボス模様が施された紙層と、前記紙層の一方の表面に積層され、当該紙層のエンボス形状に沿ってエンボス模様が施されており、シート状材料にエンボス模様を付ける際にこのシート状材料の表面に圧接される離型層と、前記紙層の他方の表面に設けられ、当該紙層のエンボス形状を維持するようこの紙層を支持する支持層と、を備え、前記支持層は熱硬化性樹脂からなることを特徴とするエンボス加工用離型紙である。
このようなエンボス加工用離型紙によれば、当該エンボス加工用離型紙の紙層の表面のうち離型層が積層されていない側の表面に支持層が更に形成されているので、この支持層が紙層のエンボス形状を維持するよう当該紙層を支持することとなる。このため、エンボス加工用離型紙を用いてシート状材料にエンボス模様を施すにあたり、エンボス加工用離型紙を繰り返し使用した場合であっても当該エンボス加工用離型紙のエンボス形状の凹凸が平坦化されることを抑制することができ、エンボス模様が施されたシート状材料の意匠性を良好に保つことができる。
また、本発明のエンボス加工用離型紙においては、前記離型層はポリプロピレンからなることが好ましい。
本発明のエンボス加工用離型紙によれば、シート状材料にエンボス模様を施すために繰り返し使用した場合であっても当該エンボス加工用離型紙のエンボス形状の凹凸が平坦化されることを抑制することができ、エンボス模様が施されたシート状材料の意匠性を良好に保つことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3は、本発明によるエンボス加工用離型紙の実施の形態を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態のエンボス加工用離型紙の製造装置の構成を示す概略構成図であり、図2(a)は、表面(底面)に熱硬化性樹脂層(支持層)を形成する前の離型紙の縦断面図であり、(b)は、表面(底面)に熱硬化性樹脂層(支持層)が形成された離型紙の縦断面図である。図3は、図1の製造装置により製造されたエンボス加工用離型紙のエンボス模様をシート状材料に転写する際の状態を示す説明図である。
図1に示すように、エンボス加工用離型紙の製造装置10は、供給ロール11から連続的に送られる離型紙に対してエンボス模様を施すエンボス形成手段20と、エンボス形成手段20によりエンボス模様が施された離型紙の表面に熱硬化性樹脂層(支持層)3を形成する熱硬化性樹脂層形成手段30とを備えている。熱硬化性樹脂層形成手段30により表面に熱硬化性樹脂層3が形成されたエンボス加工用離型紙は巻取ロール12により巻き取られ、図4に示すようなエンボス加工装置40に用いられるようになっている。
このようなエンボス加工用離型紙の製造装置10の各構成要素について以下に詳述する。
図1に示すように、供給ロール11には予め離型紙が巻かれており、この供給ロール11に巻かれた離型紙に対してエンボス形成手段20および熱硬化性樹脂層形成手段30が様々な加工を順次行うようになっている。供給ロール11に巻かれている離型紙は、紙層1と、この紙層1の一方の表面に積層された離型層2とから形成されている。この離型層2の材料としては、例えばポリプロピレンが用いられる。
供給ロール11の下流側にはエンボス形成手段20が設けられている。図1に示すように、エンボス形成手段20は、エンボス模様(凹凸形状の模様)が外周に施されたエンボスロール(絵柄ロール)21と、このエンボスロール21と当接してニップ部を形成するよう設けられた受けロール(ペーパーロール)22とを有している。エンボスロール21および受けロール22はそれぞれ図1の矢印方向に回転するようになっている。供給ロール11から連続的に送られる離型紙は、エンボスロール21と受けロール22との間のニップ部で挟圧されることにより、エンボスロール21のエンボス模様が転写されることとなる。エンボス形成手段20によりエンボス模様が施された離型紙の構成を図2(a)に示す。図2(a)に示すように、エンボス形成手段20から送られた離型紙の紙層1にはエンボス模様が施されており、離型層2にも紙層1のエンボス形状に沿ってエンボス模様が施されている。
エンボス形成手段20に更に下流側には熱硬化性樹脂層形成手段30が設けられている。図1に示すように、熱硬化性樹脂層形成手段30は、離型紙の紙層1の表面(底面)に熱硬化性樹脂を塗着するコーター31と、熱硬化性樹脂が塗着された離型紙を加熱する加熱器32とを有している。コーター31は、エンボス形成手段20から連続的に送られた離型紙に対して、この離型紙の紙層1の表面のうち離型層2が積層されていない側の表面(底面)に熱硬化性樹脂を塗着するようになっている。また、加熱器32は、コーター31により離型紙の表面に塗着された熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、図2(b)に示すように熱硬化性樹脂層3を形成するようになっている。
熱硬化性樹脂層形成手段30により熱硬化性樹脂層3が形成されたエンボス加工用離型紙は巻取ロール12に送られ、この巻取ロール12により巻き取られるようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、紙層1と離型層2とからなる離型紙が巻かれた供給ロール11を準備する。
次に、供給ロール11から離型紙を連続的に巻き出し、図1に示すようにエンボス形成手段20にこの巻き出された離型紙を送る。エンボス形成手段20において、エンボスロール21と受けロール22との間のニップ部で離型紙を挟圧することにより、図2(a)に示すようにエンボスロール21の表面におけるエンボス模様を離型紙に転写する。
エンボス形成手段20によりエンボス模様が施された離型紙は、更に熱硬化性樹脂層形成手段30に送られる。熱硬化性樹脂層形成手段30において、まずコーター31により離型紙の紙層1の表面のうち離型層2が積層されていない側の表面(底面)に熱硬化性樹脂が塗着され、次に加熱器32により離型紙の表面に塗着された熱硬化性樹脂を加熱することにより、図2(b)に示すように熱硬化性樹脂層3を紙層1の底面に形成する。
熱硬化性樹脂層形成手段30により熱硬化性樹脂層3が形成されたエンボス加工用離型紙は、図1の矢印方向に回転する巻取ロール12により巻き取られる。巻取ロール12により巻き取られたエンボス加工用離型紙は、図4に示すようなエンボス加工装置40に用いられる。このエンボス加工装置40は、合成皮革等のエンボス模様が施されたシート状材料を製造するためのものであり、具体的には、エンボス加工用離型紙の離型層2側の表面に例えばポリウレタンからなるコーティング用樹脂4を塗着し、このコーティング用樹脂4上に更にシート状材料を積層して当該シート状材料をエンボス加工用離型紙側に押圧するとともに加熱することにより(図3参照)、コーティング用樹脂4にエンボス模様が施されたシート状材料が最終的に製造される。
以上のように本実施の形態のエンボス加工用離型紙によれば、当該エンボス加工用離型紙の紙層1の表面のうち離型層2が積層されていない側の表面に熱硬化性樹脂層3が更に形成されているので、この熱硬化性樹脂層3が紙層1のエンボス形状を維持するよう当該紙層1を支持することとなる。このため、エンボス加工用離型紙を用いてシート状材料にエンボス模様を施すにあたり、エンボス加工用離型紙を繰り返し使用した場合であっても当該エンボス加工用離型紙のエンボス形状の凹凸が平坦化されることを抑制することができ、エンボス模様が施されたシート状材料の意匠性を良好に保つことができる。
本実施の形態におけるエンボス加工用離型紙は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、エンボス形成手段20によりエンボス模様が施された離型紙に対して、紙層1のエンボス形状を維持するために形成される追加の層の材料は熱硬化性樹脂に限定されることはなく、紙層1のエンボス形状を維持するようこの紙層1を支持することができるものであれば他の材料であってもよい。
本実施の形態のエンボス加工用離型紙の製造装置の構成を示す概略構成図である。 (a)は、表面(底面)に熱硬化性樹脂層を形成する前の離型紙の縦断面図であり、(b)は、表面(底面)に熱硬化性樹脂層が形成された離型紙の縦断面図である。 図1の製造装置により製造されたエンボス加工用離型紙のエンボス模様をシート状材料に転写する際の状態を示す説明図である。 エンボス加工用離型紙を用いてエンボス模様が施されたシート状材料を製造するエンボス加工装置の構成を示す概略構成図である。 (a)は、図4のエンボス加工装置に用いられるエンボス加工用離型紙の初期状態における構成を示す縦断面図であり、(b)は、(a)のエンボス加工用離型紙が繰り返し使用された後の状態における構成を示す縦断面図である。 エンボス加工用離型紙によりエンボス模様が転写されたシート状材料の構成を示す縦断面図である。
符号の説明
1 紙層
2 離型層
3 熱硬化性樹脂層
4 コーティング用樹脂
10 エンボス加工用離型紙の製造装置
11 供給ロール
12 巻取ロール
20 エンボス形成手段
21 エンボスロール
22 受けロール
30 熱硬化性樹脂層形成手段
31 コーター
32 加熱器
40 エンボス加工装置
41 供給ロール
42 巻取ロール
43 供給ロール
44 巻取ロール
45 コーター
46 ラミネーター(押圧器)
47 加熱器

Claims (2)

  1. エンボス模様が施されたシート状材料を製造するために用いられるエンボス加工用離型紙であって、
    エンボス模様が施された紙層と、
    前記紙層の一方の表面に積層され、当該紙層のエンボス形状に沿ってエンボス模様が施されており、シート状材料にエンボス模様を付ける際にこのシート状材料の表面に圧接される離型層と、
    前記紙層の他方の表面に設けられ、当該紙層のエンボス形状を維持するようこの紙層を支持する支持層と、
    を備え
    前記支持層は熱硬化性樹脂からなることを特徴とするエンボス加工用離型紙。
  2. 前記離型層はポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1記載のエンボス加工用離型紙。
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