JP3120745B2 - 電界放出形表示装置の製造方法 - Google Patents

電界放出形表示装置の製造方法

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JP3120745B2
JP3120745B2 JP09000731A JP73197A JP3120745B2 JP 3120745 B2 JP3120745 B2 JP 3120745B2 JP 09000731 A JP09000731 A JP 09000731A JP 73197 A JP73197 A JP 73197A JP 3120745 B2 JP3120745 B2 JP 3120745B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放出素子(Fi
eld Emission Cathode, 略してFEC )を電子源とし、こ
のFECから放出された電子を蛍光体に射突させて表示
を行う電界放出形表示装置と、その製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図9(a)は、現在知られている一般的
な電界放出形表示装置構造の一例を示す断面図である。
陰極基板1の内面にはFEC2が形成されている。FE
C2に対面するように陰極基板1から所定の間隔をおい
て陽極基板3が設けられている。この陽極基板3の内面
には、FEC2に対面して陽極4が設けられている。陽
極基板3と陰極基板1の外周縁部の間には封着ガラス等
からなるスペーサ部材5が設けられている。陽極基板3
と陰極基板1とスペーサ部材5によって構成される外囲
器6の内部は、高真空状態に保持されている。外囲器6
の一側部には、箱形のゲッター室7が外囲器6内に連通
して設けられている。ゲッター室7の内部にはバリウム
ゲッター8が設けられている。バリウムゲッター8は、
例えばリング状の容器の内部にBa系の材料を充填した
構造とされている。バリウムゲッター8は、電子の射突
等によって蛍光体等から放出されるガスを吸着し、封止
後に生じる外囲器6内の真空度の低下を防ぐためのもの
である。
【0003】図9(b)は、同図(a)の電界放出形表
示装置におけるFEC2と陽極4の拡大断面図である。
FEC2の構造を説明する。陰極基板1の内面には陰極
導体9が形成されている。陰極導体9の上には絶縁層1
0が設けられており、絶縁層10の上にはゲート電極1
1が形成されている。ゲート電極11と絶縁層10に
は、陰極導体9に達するホール12が形成されている。
ホール12内の陰極導体9の上には、コーン形状のエミ
ッタ13が形成されている。
【0004】FEC2に対面する陽極4の構造を説明す
る。陽極基板3の内面には透光性を有する陽極導体14
が形成されている。陽極導体14は、例えばITO(In
diumTin Oxide)膜等の透明導電膜で構成できる。そし
て、前記陽極導体14の表面には蛍光体層15が被着さ
れている。
【0005】例えば、FEC2において陰極導体9をス
トライプ状に構成し、ゲート電極11を陰極導体9に直
交するストライプ状に構成し、前記陽極4を単一の陽極
導体14の上に蛍光体層15をベタ状に被着した構成と
する場合がある。このような構成の場合、陰極導体9と
ゲート電極11の一方を走査するとともに、走査信号に
同期した表示信号を他方の電極に与え、陽極4には所定
の正電位を常時印加しておく。選択された陰極導体9と
ゲート11の交点にあるエミッタ13から電子が放出さ
れ、電子は陽極4の対向する選択された位置に射突して
当該部分を発光させる。従って、FEC2を任意に駆動
することによって陽極4の蛍光体層15を所望のパター
ンで発光させることができる。蛍光体層15の発光は、
陽極導体14及び陽極基板3を通して外囲器6の外側か
ら観察できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電界放出形表示
装置においては、使用するにつれて蛍光体層の発光効率
やエミッタのエミッションが著しく低下し、表示性能が
大きく損なわれるという問題があった。特に発光色が
赤、青、黄色等の所謂カラー蛍光体を用いたフルカラー
の電界放出形表示装置においては、前記問題点のために
実用化が困難とされる状態にある。
【0007】本発明は、蛍光体の発光効率やエミッタの
劣化を防ぐことができ、表示性能の劣化が生じにくい電
界放出形表示装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された電
界放出形表示装置の製造方法は、内部が高真空雰囲気と
された外囲器と、前記外囲器の内面に設けられた電界放
出素子と、前記電界放出素子に対面して前記外囲器の内
面に設けられた蛍光体を有する陽極とを備えた電界放出
形表示装置の製造方法において、前記外囲器の内部に水
素放出物質を設ける工程と、真空チャンバー内において
前記外囲器を加熱するとともに前記外囲器の内部に水素
ガスを注入して前記水素放出物質に水素を吸蔵させる工
程と、前記真空チャンバー内で前記外囲器内を高真空状
態に排気した後に前記外囲器を封止する工程とを有する
ことを特徴とする。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の第1の例で
ある電界放出形表示装置を図1〜図3を参照して説明す
る。本例の電界放出形表示装置は、外囲器、FEC、陽
極等の主要な構成部分の基本構造については図9を参照
して説明した従来のものと略同一であり、必要に応じて
図9と同一の符号を使用して説明する。従来例とは異な
り、本例の電界放出形表示装置の陽極は、複数本のスト
ライプ状又は複数個のドット状に分けられている。複数
に分割された陽極の各々には、発光色が赤、青、緑の複
数種類の蛍光体が被着されている。従って、各色の陽極
を選択的に発光させることによって混色により所望のパ
ターンのフルカラー表示が可能となる。
【0014】本例で使用可能な蛍光体の種類は次の通り
である。 赤色発光蛍光体…SrTiO3 :Pr、Y2 2 S:Eu、Y2 3 :Eu 緑色発光蛍光体…ZnGa2 4 :Mn、Gd2 2 S:Tb、ZnO:Zn 青色発光蛍光体…Y2 SiO5 :Ce、ZnGa2 4 、ZnS:Ag、 SrGa2 4 :Ce,Na
【0015】本例の電界放出形表示装置は、水素放出物
質として、Zrを含む合金の一例であるZr−V−Fe
合金を有する水素放出ゲッターを外囲器6内又はゲッタ
ー室7内に有している。水素放出ゲッターには適当な量
の水素が吸蔵されている。外囲器6は、製造時には従来
と同様に内部を高真空雰囲気に排気した状態とするが、
外囲器6内の水素放出ゲッターが水素を放出するので使
用時には一定の水素雰囲気に保持されている。水素放出
ゲッターの外囲器6内又はゲッター室7内における固定
構造乃至取り付け構造は任意である。水素放出ゲッター
の外形状は任意である。例えば、図1(a)に示す水素
放出ゲッター20のように円柱形でもよいし、同図
(b)に示す水素放出ゲッター21のように円盤形でも
よいし、同図(c)に示す水素放出ゲッター22のよう
に板状でもよいし、同図(d)に示す水素放出ゲッター
23のように円柱形の水素放出物質の中心にヒータ24
を貫通させた通電形でもよい。この通電形の場合には、
ヒータ24に通電して水素放出物質を活性化する。
【0016】従来から使用されていた容器内にBa化合
物を有する非蒸発形のバリウムゲッター8も、前記水素
放出ゲッター(20〜24)とともに外囲器6内又はゲ
ッター室7内に設けられている。
【0017】本例の電界放出形表示装置の製造方法を説
明する。FEC2を形成した陰極基板1と、陽極4を形
成した陽極基板3を対向させ、スペーサ部材5を介して
外囲器6に組み立てておく。外囲器6内又は外囲器6に
連通したゲッター室7には水素放出ゲッターを収納して
おく。これを真空チャンバー内に収納し、真空雰囲気内
で500℃にて10分程加熱して封着する。この時、水
素放出ゲッターも加熱されて活性化され、吸蔵されてい
たガスが放出される。次に、真空チャンバーの中に水素
を導入し、水素放出ゲッターに水素を吸蔵させる。そし
て、真空チャンバー内から余分の水素を排気して再び高
真空とし、外囲器6を封止する。これによって、水素を
吸蔵した水素放出ゲッターが高真空雰囲気の外囲器6の
中に収納され、陽極には赤、緑、青の3色の蛍光体を備
えた本例の電界放出形表示装置が得られる。
【0018】本例の電界放出形表示装置によれば、外囲
器6内は一定の水素ガス圧に保持される。外囲器6内の
水素には、外囲器6内の部品等の表面に付着している異
物を除去する清浄作用がある。即ち、エミッタ及び蛍光
体の表面に吸着されたH2 OからはOが派生し、ガラス
・蛍光体塗布用のバインダ・カソード表面等からはC系
ガス(CO,CO2 等)が放出されるが、外囲器6内の
水素はこれらと結びつき、OH又はCH系のガスに変え
る。このガスは水素放出ゲッター又はバリウムゲッター
8に吸着される。これによって外囲器6内の水素は減る
が、水素ガスの雰囲気圧の減少に対応して水素放出ゲッ
ターから水素が放出されるので、外囲器6内の水素の圧
力は一定の値に維持される。なお、水素放出ゲッターは
水素ガスの雰囲気圧によって水素が出入りするが、水素
以外のCOやCH系のガスは吸着するのみで放出するこ
とはない。
【0019】図2は、種々のガスがFEC2のエミッシ
ョンに与える影響を示すグラフであり、FEC2の陽極
電流とガスの雰囲気圧力との関係を各ガス毎に示したも
のである。この図から分かるように、H2 や不活性ガス
であるN2 は圧力が増してもFEC2のエミッションに
は殆ど影響せず、陽極電流は変化しない。しかしなが
ら、COやSO2 があると、その圧力が増すほどにエミ
ッションが低下して陽極電流が減少する。なお、COに
水素が結合して生じるCH系のガスである例えばCH4
は、H2 ほどではないが、COやSO2 に比べればエミ
ッションに与える影響は小さい。このように、本例にお
いては外囲器6の内部にはH2 があるが、これはエミッ
ションには影響はなく、H2 はFEC2のエミッション
に悪影響を与えるO2 やCO等をより影響の小さいガス
に変えて吸着させ、エミッションを維持する働きをす
る。
【0020】また、従来の電界放出形表示装置におい
て、劣化した蛍光体をAES分析によって調べたとこ
ろ、カーボンの増加が認められた。これは、前述した外
囲器6内のCO、CO2 等のガスが蛍光体の劣化の主要
な原因と考えられる。このC系のガスによる蛍光体への
悪影響は、SrTiO3 :PrやY2 SiO5 :Ceに
おいて特に著しい。本例によれば、外囲器6の内部の水
素ガスがCO、CO2 等のガスをCH系のガスにして無
害化するので、蛍光体のカーボン吸着が減り、寿命特性
が大幅に改善されるものと考えられる。
【0021】以上説明した作用によって、外囲器6内の
蛍光体やエミッタは常に清浄な状態に維持される。これ
により、蛍光体層の発光効率は低下しにくい。またO等
による酸化によってエミッタの仕事関数が増大するのを
防止することができるので、エミッタにおけるエミッシ
ョンが低下しにくい。従って、表示部における発光輝度
は低下しにくく、長時間使用しても輝度の低下が少な
い。
【0022】図3〜図8は、種々の蛍光体を使用した電
界放出形表示装置において、水素放出ゲッターを使用し
た場合(本発明)と、水素放出ゲッターを使用しない場
合(比較例)を、装置の発光強度の相対値と使用時間と
の関係について比較したものである。程度の差異はある
が、何れの蛍光体においても水素放出ゲッターを使用し
た本発明の方が使用しない場合よりも発光輝度が劣化し
にくいことが証明された。
【0023】本例においては、水素放出ゲッターを設け
る位置はゲッター室7内でもよいものとしたが、放出す
る水素ガスによる影響がエミッタや蛍光体に及びやすく
するためには、水素放出ゲッターは外囲器6の内部、特
にエミッタ13や蛍光体層15の近傍に設けることが好
ましい。
【0024】本例の電界放出形表示素子は、コーン形状
のエミッタの上方にゲートを設け、そのさらに上方に設
けたアノードに電子を到達させる図9に示したような構
造を有するものであった。しかしながら本発明は、絶縁
基板の上にエミッタとゲートとアノードを適当な間隔を
おいて配置した平面タイプ(所謂プレーナ形)の電界放
出形表示素子にも適用することができる。
【0025】
【発明の効果】本発明の電界放出形表示装置の製造方法
によれば、所定圧力の水素ガスを外囲器の内部に保持す
ることができ、この水素ガスによってエミッタや蛍光体
を清浄化することができるので、エミッタのエミション
が低下しにくくなり、蛍光体は劣化しにくくなり、電界
放出形表示装置の表示を高輝度化できるとともに寿命が
改善されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における水素放出ゲッターの形状例を示
す斜視図である。
【図2】種々のガスがFECのエミッションに与える影
響を示すグラフであり、FECの陽極電流とガスの雰囲
気圧力との関係を各ガス毎に示したものである。
【図3】ZnO:Zn蛍光体を用いた電界放出形表示装
置において、水素放出ゲッターを使用した場合(本発
明)と、水素放出ゲッターを使用しない場合(比較例)
を、装置の発光強度の相対値と使用時間との関係につい
て比較したものである。
【図4】SrTiO3 :Pr蛍光体を用いた電界放出形
表示装置において、水素放出ゲッターを使用した場合
(本発明)と、水素放出ゲッターを使用しない場合(比
較例)を、装置の発光強度の相対値と使用時間との関係
について比較したものである。
【図5】Y2 SiO5 :Ce蛍光体を用いた電界放出形
表示装置において、水素放出ゲッターを使用した場合
(本発明)と、水素放出ゲッターを使用しない場合(比
較例)を、装置の発光強度の相対値と使用時間との関係
について比較したものである。
【図6】ZnGa2 4 :Mn蛍光体を用いた電界放出
形表示装置において、水素放出ゲッターを使用した場合
(本発明)と、水素放出ゲッターを使用しない場合(比
較例)を、装置の発光強度の相対値と使用時間との関係
について比較したものである。
【図7】Y2 2 S:Eu、Gd2 2 S:Tb、Zn
S:Agの各蛍光体を用いた電界放出形表示装置におい
て、水素放出ゲッターを使用した場合(本発明)と、水
素放出ゲッターを使用しない場合(比較例)を、装置の
発光強度の相対値と使用時間との関係について比較した
ものである。
【図8】ZnGa2 4 、SrGa2 4 :Ce,N
a、Y2 3 :Euの各蛍光体を用いた電界放出形表示
装置において、水素放出ゲッターを使用した場合(本発
明)と、水素放出ゲッターを使用しない場合(比較例)
を、装置の発光強度の相対値と使用時間との関係につい
て比較したものである。
【図9】(a)は一般的な電界放出形表示装置の断面図
である。(b)は(a)の外囲器6における部分拡大図
である。
【符号の説明】
2 電界放出素子(FEC) 4 陽極 6 外囲器 8 バリウムゲッター 15 蛍光体層 20,21,22,23 水素放出物質としての水素放
出ゲッター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 清 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株 式会社内 (72)発明者 佐藤 義孝 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株 式会社内 (56)参考文献 国際公開96/1492(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/39 H01J 31/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が高真空雰囲気とされた外囲器と、
    前記外囲器の内面に設けられた電界放出素子と、前記電
    界放出素子に対面して前記外囲器の内面に設けられた蛍
    光体を有する陽極とを備えた電界放出形表示装置の製造
    方法において、前記外囲器の内部に水素放出物質を設け
    る工程と、真空チャンバー内において前記外囲器を加熱
    するとともに前記外囲器の内部に水素ガスを注入して前
    記水素放出物質に水素を吸蔵させる工程と、前記真空チ
    ャンバー内で前記外囲器内を高真空状態に排気した後に
    前記外囲器を封止する工程とを有する電界放出形表示装
    置の製造方法。
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IT1318279B1 (it) 2000-07-28 2003-07-28 Getters Spa Dispositivo capacitivo integrato con strato dielettrico degradabiledall'idrogeno protetto da strato getter.
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