JP3116996B2 - 受液器一体型冷媒凝縮器 - Google Patents

受液器一体型冷媒凝縮器

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JP3116996B2 JP08288804A JP28880496A JP3116996B2 JP 3116996 B2 JP3116996 B2 JP 3116996B2 JP 08288804 A JP08288804 A JP 08288804A JP 28880496 A JP28880496 A JP 28880496A JP 3116996 B2 JP3116996 B2 JP 3116996B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒の気液を分離
して液冷媒を蓄える受液器を一体に構成した冷媒凝縮器
に関するもので、車両用空調装置に用いて好適なもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用空調装置においては、車両
搭載性の向上を図るために、冷媒凝縮器に受液器を一体
に構成して、この冷媒凝縮器と受液器の車両搭載スペー
スを縮小するようにしたものが種々提案されている(例
えば、特開平8−219588号公報参照)。
【0003】この従来技術における冷媒凝縮器は、一般
にマルチフロータイプと称されているものであって、上
下方向に配置された一対のヘッダタンクを有し、この一
対のヘッダタンクの間に、水平方向に冷媒を流すチュー
ブを有するコア部を配置し、一方の(第1)ヘッダタン
クの上端側に冷媒の入口側配管ジョイントを、下端側に
冷媒の出口側配管ジョイントをそれぞれ配置している。
【0004】そして、両方のヘッダタンク内に配置した
セパレータによりヘッダタンク内部空間を上下方向に複
数に仕切ることにより、入口側配管ジョイントからの冷
媒を一対のヘッダタンクとコア部との間で蛇行状に流通
させるようにしている。また、一対のヘッダタンクのう
ち、冷媒の出入口配管ジョイントを設けてない側の第2
ヘッダタンクに受液器を一体に構成し、この受液器内部
の空間と第2ヘッダタンクとをヘッダタンク下方側の部
位に設けた第1の連通穴にて連通させ、コア部にて凝縮
した液冷媒を第1の連通穴を通して受液器内部に流入さ
せ、受液器内部において冷媒の気液を分離して液冷媒を
蓄える。
【0005】そして、第1の連通穴よりも下方の部位に
第2の連通穴を配置するとともに、この第1の連通穴と
第2の連通穴との間を仕切るセパレータを第2ヘッダタ
ンク内に配置している。これにより、受液器内部の液冷
媒を第2の連通穴から第2ヘッダタンク内に流入させ、
さらにコア部の過冷却部を経て液冷媒を過冷却した後
に、第1ヘッダタンクを経て過冷却液冷媒を出口側配管
ジョイントから外部へ流出させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術では、第1ヘッダタンク側に冷媒の出入口配管ジョイ
ントを配置し、第2ヘッダタンク側に受液器を一体に構
成しているが、車両毎に発生する種々な冷媒配管レイア
ウトの要求に対応するために、冷媒の出入口配管ジョイ
ントを上記従来技術のようにともに第1ヘッダタンク側
に配置することが困難となる場合がある。
【0007】そこで、本発明者らは、図6に示すよう
に、入口側配管ジョイント26を設けた第1ヘッダタン
ク21側に受液器31を一体に構成し、出口側配管ジョ
イント27を第2ヘッダタンク側に配置したものを試作
検討してみた。しかし、この図6に示す配置形態の冷媒
凝縮器2では、冷凍サイクル内への冷媒封入特性を本発
明者らが測定したところ、次のような不具合が発生する
ことが判明した。
【0008】すなわち、図4は冷媒凝縮器2の出口側配
管ジョイント27から流出した液冷媒のサブクール(過
冷却度)を縦軸にとり、サイトグラス3にて冷媒中から
気泡(ガス冷媒)が消滅した時点(泡消点)以降におけ
るサイクル内への冷媒封入増加分を横軸にとったもので
ある。車両用空調装置の冷凍サイクルの場合、将来、冷
媒漏れが多少発生しても、冷房性能への影響がないよう
に、冷媒封入量は、通常、泡消点以降、100g程度の
冷媒増加分を追加するように設計しており、そして、こ
の追加分の規定値(泡消点以降の100gの冷媒増加
分)には、冷媒封入作業のバラツキを考慮して±50g
の公差を設けている。
【0009】従って、泡消点以降、50g〜150gの
冷媒封入量の増加分範囲においては、特性(d)のよう
にサブクールが略一定値に維持される領域を設定して、
この増加分範囲では、サブクールの増加によるサイクル
高圧の上昇を防止して、圧縮機動力の増加を抑制するこ
とが望まれている。しかるに、上記図6に示す試作例の
冷媒封入特性は、図4の(a)に示すように泡消点以
降、冷媒封入量を増加すると、これに伴って、液冷媒の
サブクールが連続的に増加してしまうことが分かった。
【0010】このため、冷媒封入特性(a)では、泡消
点以降、僅かな冷媒量の追加によって過充填サイクル状
態となり、高圧上昇による圧縮機動力の増加を招くとい
う問題が発生する。そこで、本発明は上記点に鑑み、冷
媒入口部と、受液器とを同一のヘッダタンクに設けるタ
イプの、受液器一体型冷媒凝縮器においても、泡消点以
降における冷媒封入量の増加分に対して、所定範囲にわ
たって冷媒サブクールを略一定値に維持できる冷媒封入
特性を設定できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】まず、最初に、図6に示
す試作例において図4の(a)に示す冷媒封入特性にな
ってしまう原因について述べると、受液器31は、本
来、サイクル中の余剰冷媒の蓄積機能を受持ち、サイク
ルからの冷媒漏れに対応するものであって、受液器31
内に液冷媒が溜まり始めてから、液冷媒が受液器31よ
りオーバーフローするまでの間は、サイクルの挙動に変
化が生じないようにしている。
【0012】しかるに、図6に示す試作例のものでは、
本発明者らの実験検討によると、入口側配管ジョイント
26を設けた第1ヘッダタンク21において、セパレー
タ28の位置を受液器31の上端面31aより所定寸法
Hだけ低い位置に設定しており、この結果、第1ヘッダ
タンク21内の上部空間21aに対して受液器31が上
記所定寸法Hの範囲において、上下方向でラップするこ
とになる。
【0013】そして、上部空間21aには入口側配管ジ
ョイント26からの高温過熱冷媒ガスが流入しているの
で、この過熱冷媒ガスは図7のモリエル線図においてA
点の状態(例えば、温度80°C)であり、一方、受液
器31内の飽和冷媒は図7のD点の状態(例えば、温度
50°C)である。なお、図7のB点、C点は凝縮部3
4の途中であり、E点は過冷却部35の出口部である。
【0014】しかも、受液器31内の内部空間と第1ヘ
ッダタンク21の内部空間21a、21b、21cとの
間は、アルミニュウム等の熱伝導性に優れた金属の薄板
で仕切られているので、上部空間21a内の過熱冷媒ガ
スの熱が受液器31内に伝導しやすい状況になってい
る。従って、サイクル内への冷媒封入時に、泡消点以
降、さらに冷媒封入量を増加していくと、受液器31内
での冷媒液面が次第に上昇していき、セパレータ28の
高さを越えると、上記理由から過熱冷媒ガスの熱が受液
器31内の液冷媒に伝導されて、液冷媒がガス化してし
まい、セパレータ28の位置より上方へは液冷媒が上昇
しずらいという現象が発生する。
【0015】その結果、受液器31内において、セパレ
ータ28に対向する位置より上方の空間はほとんど液冷
媒の蓄積空間として使用できず、冷媒封入時にそれ以降
追加された冷媒は行き場がなくなるので、凝縮器2のコ
ア部23内に液冷媒がオーバーフローし、前述の特性
(a)となることが判明した。このような原因解明に基
づいて、本発明では、第1ヘッダタンク(21)の上部
空間(21a)内の過熱冷媒ガスの熱が、受液器(3
1)内の液冷媒に伝導するのを抑制できる構成とするこ
とにより、前述の目的を達成しようとするものである。
【0016】すなわち、請求項1〜4記載の発明では、
凝縮器(2)の第1ヘッダタンク(21)の上部に冷媒
入口部(26)を配置し、この冷媒入口部(26)より
下方において第1ヘッダタンク(21)に受液器(3
1)を一体に構成し、第1ヘッダタンク(21)内に
は、上部空間(21a)とこれより下方の空間(21
b)とを区画する第1セパレータ(28)を配置し、受
液器(31)内部は下方の空間(21b)と第1連通穴
(32)により連通して、この空間(21b)より冷媒
が流入するようになっている受液器一体型凝縮器におい
て、受液器(31)の上端面(31a)より10mm下
方の位置を基準として、この基準位置より上方に第1セ
パレータ(28)を位置させることを特徴としている。
【0017】本発明者等の実験検討によると、受液器
(31)の上端面(31a)より10mm下方の位置を
基準として、この基準位置より上方に第1セパレータ
(28)を位置させることにより、第1ヘッダタンク
(21)の上部空間(21a)内部の過熱冷媒ガスの熱
が受液器(31)内部の冷媒に伝導するのをほとんどな
くすことができ、これにより、受液器(31)内部の容
積全体を液冷媒の蓄積のために使用できることが分かっ
た。
【0018】従って、本発明によると、冷媒入口部と、
受液器とを同一のヘッダタンクに設けるタイプの、受液
器一体型冷媒凝縮器においても、泡消点以降における冷
媒封入量の増加分に対して、所定範囲にわたって冷媒サ
ブクールを略一定値に維持できる封入特性を設定でき
る。その結果、過充填サイクル状態の発生に起因する圧
縮機動力の増加といった不具合を確実に防止できる。
【0019】本発明の実施にあたっては、請求項2のご
とく、第1セパレータ(28)を、受液器(31)の上
端面(31a)より上方に位置させることが好ましい。
請求項2によれば、過熱冷媒ガスの熱が受液器(31)
内部の冷媒に熱伝導するのをより一層確実に防止でき
る。なお、上記各手段および特許請求の範囲に記載の各
手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の
具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明を図に示す実施形態に
ついて説明する。図1は第1実施形態を示しており、本
発明を自動車用空調装置における受液器一体型冷媒凝縮
器に適用した例を示している。この自動車用空調装置の
冷凍装置(冷凍サイクル)は、冷媒圧縮機1、受液器一
体型冷媒凝縮器2、サイトグラス3、温度作動式膨張弁
(減圧手段)4および冷媒蒸発器5を、金属製パイプま
たはゴム製パイプよりなる冷媒配管によって順次接続し
た閉回路より構成されている。
【0021】冷媒圧縮機1は、自動車のエンジンルーム
(図示せず)内に設置された走行用エンジンにベルトと
電磁クラッチ(動力断続手段)1aを介して連結されて
いる。この冷媒圧縮機1は、電磁クラッチ1aが接続状
態となり、エンジンの回転動力が伝達されると、冷媒蒸
発器5下流側よりガス冷媒を吸入、圧縮して、高温高圧
の過熱ガス冷媒を受液器一体型冷媒凝縮器2へ吐出す
る。
【0022】受液器一体型冷媒凝縮器2は、所定間隔を
開けて配置された一対のヘッダタンク、すなわち、第
1、第2ヘッダタンク21、22を有し、この第1、第
2ヘッダタンク21、22は上下方向に略円筒状に延び
る形状になっている。この第1、第2ヘッダタンク2
1、22の間に熱交換用のコア部23を配置している。
本例の冷媒凝縮器2は、一般にマルチフロータイプと称
されているものであって、コア部23は第1、第2ヘッ
ダタンク21、22の間で、水平方向に冷媒を流す偏平
チューブ24を多数並列配置し、この多数の偏平チュー
ブ24の間にコルゲートフィン25を介在して接合して
いる。偏平チューブ24の一端部は第1ヘッダタンク2
1内に連通し、他端部は第2ヘッダタンク22内に連通
している。
【0023】そして、一方の(第1)ヘッダタンク21
の上端側に冷媒の入口側配管ジョイント(冷媒入口部)
26を配置し接合している。また、他方の(第2)ヘッ
ダタンク22の下端側に冷媒の出口側配管ジョイント
(冷媒出口部)27を配置し接合している。さらに、本
例においては、第1ヘッダタンク21内に第1、第2の
2枚のセパレータ28、29を配置するとともに、第2
ヘッダタンク22内に1枚の第3セパレータ30を配置
することにより、第1、第2ヘッダタンク21、22の
内部をそれぞれ上下方向に複数の空間21a、21b、
21c、22a、22bに仕切っている。これにより、
入口側配管ジョイント26からの冷媒を第1、第2ヘッ
ダタンク21、22とコア部23との間で蛇行状に流通
させる。
【0024】ここで、第1ヘッダタンク21内の下方側
の第2セパレータ29と第2ヘッダタンク22内の第3
セパレータ30は同一高さに配置してある。また、第1
ヘッダタンク21において、入口側配管ジョイント26
より下方側の部位には、冷媒の気液を分離して液冷媒を
蓄える受液器31が一体に構成してある。この受液器3
1も略円筒形状であり、第1ヘッダタンク21の外面側
方に配置され、第1ヘッダタンク21の外面に一体にろ
う付けされている。なお、本例では、冷媒凝縮器2の各
部はアルミニュウム材で成形され、一体ろう付けにて組
付けられている。
【0025】この受液器31内部の空間と第1ヘッダタ
ンク21の中間部空間21bは、第2セパレータ29よ
り若干量上方側に隣接して設けられた第1の連通穴32
にて連通するとともに、受液器31内部の空間と第1ヘ
ッダタンク21の最下部空間21cは、セパレータ29
より若干量下方側に隣接して設けられた第2の連通穴3
3にて連通している。第1実施形態においては、第1ヘ
ッダタンク21内の上方側の第1セパレータ28を、受
液器31の上端面31aより上方の位置に配置してあ
る。
【0026】コア部23において、第2、第3セパレー
タ29、30より上方側の部位は、冷媒圧縮機1の吐出
ガス冷媒をクーリングファン(図示せず)等により送ら
れてくる室外空気と熱交換させて冷媒を冷却、凝縮させ
る凝縮部34を構成している。また、コア部23におい
て、第2、第3セパレータ29、30より下方側の部位
は、受液器31内部において気液分離された液冷媒を室
外空気と熱交換させて過冷却する過冷却部35を構成し
ている。
【0027】従って、本例の冷媒凝縮器2は、冷媒流れ
の上流側から順次、凝縮部34、受液器31、および過
冷却部35を構成するとともに、これらを一体に設けた
構成となっている。なお、受液器31内には、冷媒中の
水分を吸収する乾燥剤(図示せず)が内蔵されている。
また、受液器31内における冷媒の気液界面は、冷媒封
入量の正常時には、第1の連通穴32と受液器31の上
端面31aとの中間高さに位置するようになっている。
【0028】また、冷媒凝縮器2は周知のように、自動
車エンジンルーム内において最前部(エンジン冷却用ラ
ジエータの前方位置)に配置されて、エンジン冷却用ラ
ジエータと共通のクーリングファンにより冷却される。
次に、冷凍サイクルの他の機器について簡単に説明する
と、サイトグラス3は、受液器一体型冷媒凝縮器2の過
冷却部35で過冷却され、出口側配管ジョイント27よ
り流出してくる冷媒の気液状態を観察して、冷凍装置内
封入冷媒量の過不足を点検する冷媒量点検手段として働
くものである。このサイトグラス3は、自動車のエンジ
ンルーム内において点検者が視認し易い場所、例えば受
液器一体型冷媒凝縮器2に隣設した冷媒配管の間に単独
で架装されている。
【0029】そして、サイトグラス3は、溶着ガラスに
より気密にシールされた覗き窓3aを有し、この覗き窓
3aから気泡が見られるときは冷媒不足であると判定
し、気泡が見られないときは冷媒量が適正量であると判
定する。温度作動式膨張弁4は、冷媒蒸発器5の冷媒入
口部側に接続され、高温高圧の液冷媒を断熱膨張して低
温低圧の気液二相の霧状冷媒にする減圧手段として働く
もので、冷媒蒸発器5の冷媒出口部の冷媒過熱度を所定
値に維持するよう弁開度を自動調整するようになってい
る。
【0030】冷媒蒸発器5は、膨張弁4の下流側と冷媒
圧縮機1の吸入側との間に接続され、膨張弁4より内部
に流入した気液二相状態の冷媒を空調用送風機(図示せ
ず)により送風される室外空気または室内空気と熱交換
させて冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により送風空気を
冷却する冷却手段として働く。冷媒蒸発器5は、車室内
に設置される空調ユニット(図示せず)のケース内に設
けられる。
【0031】次に、上記構成において作動を説明する。
いま、自動車用空調装置の運転が開始され、電磁クラッ
チ1aに通電されると、電磁クラッチ1aが接続状態と
なり、自動車エンジンの回転が圧縮機1に伝達され、圧
縮機1が冷媒を圧縮し、吐出する。これにより、圧縮機
1から吐出された過熱ガス冷媒は、入口側配管ジョイン
ト26から凝縮器2の第1ヘッダタンク21の上部空間
21aより凝縮部34の上側のチューブ24を通過した
後、第2ヘッダタンク22の上部空間22aに流入す
る。そして、冷媒はこの上部空間22aでUターンして
凝縮部34の下側のチューブ24を通過した後、第1ヘ
ッダタンク21の中間空間21bに流入する。
【0032】この間に、冷媒は冷却空気と熱交換して冷
却され、ガス冷媒を一部含む飽和液冷媒となる。この飽
和液冷媒は前記空間21bから第1の連通穴32を通っ
て受液器31内に流入し、ここで冷媒の気液が分離さ
れ、液冷媒が蓄えられる。受液器31内の液冷媒は第2
の連通穴33を通って第1ヘッダタンク21の下部空間
21cを経由して過冷却部35を通過する。
【0033】この過冷却部35において、液冷媒は再度
冷却されて過冷却状態となり、この過冷却液冷媒は第2
ヘッダタンク22の下部空間22bを通って出口側配管
ジョイント27から凝縮器2外へ流出する。そして、過
冷却液冷媒はサイトグラス3を通って、温度作動式膨張
弁4に流入する。この膨張弁4において、過冷却液冷媒
は減圧され、低温、低圧の気液2相冷媒となる。次い
で、この気液2相冷媒は蒸発器5にて空調用空気と熱交
換して蒸発し、その蒸発潜熱を空調用空気から吸熱し
て、空調用空気を冷却する。蒸発器5にて蒸発した過熱
ガス冷媒は圧縮機1に吸入され、再度圧縮される。
【0034】次に、本発明の要部である第1セパレータ
28の配設位置(設置高さ)と冷媒封入特性との関係
を、本発明者らによる実験データに基づいて詳述する。
図2は、実験に供した各種の受液器一体型冷媒凝縮器2
を示すものであり、(a)は前述の図6に示す試作例で
あり、第1セパレータ28を受液器31の上端面31a
より50mm下方の位置に配置した場合である。(b)
はこの試作例の変形例であり、第1セパレータ28と受
液器31の上端面31aとの間隔を20mmとした場合
である。
【0035】(c)は本発明の第2実施形態によるもの
で、第1セパレータ28を受液器31の上端面31aよ
り10mm下方の位置に配置した場合である。(d)は
本発明の第1実施形態によるもので、第1セパレータ2
8を受液器31の上端面31aより20 mm上方の位
置に配置した場合である。図3は、上記図2(a)〜
(d)の受液器一体型冷媒凝縮器2における第1セパレ
ータ28と受液器31との寸法諸元を示すものであり、
この寸法諸元による、第1セパレータ28と受液器31
との接触面積は、図3(b)に示す通りである。
【0036】そして、図4は上記図2(a)〜(d)の
受液器一体型冷媒凝縮器2を組み込んだ自動車空調用冷
凍サイクルにおける冷媒封入特性を示すものであり、実
験条件は、空調用送風機の風量:Hi状態(450m3
/h)、外気温:30°C、エンジン回転数:アイドル
状態(750rpm)であり、このような条件にて、サ
イクル内に冷媒を充填した際の冷媒封入特性を示す。
【0037】図4の特性(a)、(b)、(c)、
(d)は、それぞれ図2(a)、(b)、(c)、
(d)のものである。図4の特性(a)、(b)は、前
述した通り、泡消点以降、液冷媒のサブクールが連続的
に増加してしまうため、泡消点以降、僅かな冷媒量の追
加によって過充填サイクル状態となり、高圧上昇による
圧縮機動力の増加を招くという問題が生じる。
【0038】これに反し、第1実施形態による図4の特
性(d)は、泡消点以降における冷媒封入量の増加分に
対して、50g〜150gの所定範囲にわたって冷媒サ
ブクールを略一定値に維持でき、ほぼ理想的な冷媒封入
特性を設定できる。また、第2実施形態による図4の特
性(c)は、泡消点以降における冷媒封入量の増加分に
対して、50g〜150gの所定範囲において冷媒サブ
クールを僅少な増加に抑制でき、実用上、支障のないレ
ベルまで冷媒封入特性を改善できる。第2実施形態にお
いて、冷媒封入特性を改善できる理由は以下の通りであ
る。
【0039】すなわち、第2実施形態によれば、受液器
31の上端面31a近傍が長さ10mmの範囲にわたっ
て第1セパレータ28の上部空間21aの壁面と接触
(接触面積:144mm2 )するので、この接触部分を
通じて、図3(c)に示すように、第1セパレータ28
の上部空間21aから受液器31側へ熱量Q1の熱伝導
が発生することになる。
【0040】しかし、その反面、受液器31の外表面に
は車両前面からの冷却風が当たるので、受液器31の外
表面から冷却風に熱量Q2を放出することが可能とな
る。そして、吸熱量Q1≒放熱量Q2となるため、第2
実施形態においても、図4の理想的な特性(d)に近似
した図4(c)の特性を得ることができる。ところで、
上記第1、第2実施形態では、第1ヘッダタンク21内
に2枚のセパレータ28、29を配置し、第2ヘッダタ
ンク22内に1枚のセパレータ30を配置しているが、
図5に示す第3実施形態のように、第1ヘッダタンク2
1内において、第1、第2セパレータ28、29の中間
位置にセパレータ36を追加設置するとともに、第2ヘ
ッダタンク22内において、第3セパレータ30の上方
側にセパレータ37を追加設置してもよい。
【0041】ここで、セパレータ37の位置は、第1ヘ
ッダタンク21内のセパレータ28、36の中間位置に
設定してある。このように、合計5枚のセパレータ2
8、29、30、36、37を設けることにより、第1
ヘッダタンク21内の中間部空間が空間21bと空間2
1b′とに分割され、また、第2ヘッダタンク22内の
上方側空間が空間22aと空間22a′とに分割される
ので、コア部23の凝縮部34における冷媒のUターン
回数が増加する。
【0042】なお、本発明は上述の実施形態に限定され
ることなく種々変形可能なものであり、例えば、凝縮器
2のコア部23を凝縮部34のみとし、過冷却部35を
コア部23から切り離して独立に構成するタイプの受液
器一体型冷媒凝縮器に本発明を適用することもできる。
この場合は、第2ヘッダタンク22における出口側配管
ジョイント27を廃止て、その代わりに、受液器31に
その内部の液冷媒を流出させる出口側配管ジョイント
(冷媒出口部)を設置し、この出口側配管ジョイントか
らの液冷媒を配管を介して過冷却部に流入させるように
すればよい。
【0043】また、過冷却部35を持たない冷凍装置に
おいても、本発明は同様に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の冷媒凝縮器を示す正面
図である。
【図2】(a)〜(d)は試作例および本発明の第1、
第2実施形態の冷媒凝縮器を示す正面図である。
【図3】(a)は図2(a)〜(d)の各凝縮器におけ
る受液器と第1ヘッダタンク上部空間との接触部の断面
図、(b)はこの接触部の面積を示す図表、(c)は受
液器への熱の授受の説明図である。
【図4】冷凍サイクル内への冷媒封入特性を示すグラフ
である。
【図5】本発明の第3実施形態の冷媒凝縮器を示す正面
図である。
【図6】本発明者らによる冷媒凝縮器の試作例を示す正
面図である。
【図7】冷凍サイクルの挙動を説明するモリエル線図で
ある。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…凝縮器、3…サイトグラス、4…膨張
弁、5…蒸発器、21…第1ヘッダタンク、21a、2
1b、21b′、21c…空間、22…第2ヘッダタン
ク、22a、22a′、22b…空間、23…コア部、
24…チューブ、26…入口側配管ジョイント(冷媒入
口部)、27…出口側配管ジョイント(冷媒出口部)、
28、29、30…第1〜第3セパレータ、31…受液
器、31a…上端面、32、33…第1、第2連通穴、
34…凝縮部、35…過冷却部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−219590(JP,A) 特開 平3−70950(JP,A) 特開 平4−254171(JP,A) 実開 平6−36912(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 39/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機(1)から吐出された過熱冷媒ガ
    スを冷却して凝縮させる冷媒凝縮器であって、 冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める受液器(31)を
    一体に構成する受液器一体型冷媒凝縮器において、 水平方向に配置されたチューブ(24)を有し、このチ
    ューブ(24)内を流れる冷媒を凝縮するコア部(2
    3)と、 このコア部(23)の一端側において上下方向に延びる
    ように配置され、前記チューブ(24)の一端部と連通
    する第1ヘッダタンク(21)と、 前記コア部(23)の他端側において上下方向に延びる
    ように配置され、前記チューブ(24)の他端部と連通
    する第2ヘッダタンク(22)と、 前記第1ヘッダタンク(21)の上部に配置され、前記
    第1ヘッダタンク(21)内の上部空間(21a)に、
    前記圧縮機(1)からの過熱冷媒ガスを流入させる冷媒
    入口部(26)とを備え、 前記受液器(31)は前記冷媒入口部(26)より下方
    において前記第1ヘッダタンク(21)に一体に構成さ
    れており、 前記第1ヘッダタンク(21)内には、前記上部空間
    (21a)とこれより下方の空間(21b)とを区画す
    る第1セパレータ(28)が配置されており、 前記受液器(31)内部は前記下方の空間(21b)と
    第1連通穴(32)により連通して、この空間(21
    b)より冷媒が流入するようになっており、 さらに、前記受液器(31)の上端面(31a)より1
    0mm下方の位置を基準として、この基準位置より上方
    に前記第1セパレータ(28)が位置していることを特
    徴とする受液器一体型冷媒凝縮器。
  2. 【請求項2】 前記第1セパレータ(28)が、前記受
    液器(31)の上端面(31a)より上方に位置してい
    ることを特徴とする請求項1に記載の受液器一体型冷媒
    凝縮器。
  3. 【請求項3】 前記第1ヘッダタンク(21)内に、前
    記第1連通穴(32)より下方の位置に第2セパレータ
    (29)を配置し、 この第2セパレータ(29)により前記下方の空間(2
    1b)と最下部の空間(21c)とを区画し、 前記第2セパレータ(29)より下方に配置した第2連
    通穴(33)により前記受液器(31)内部と前記最下
    部の空間(21c)とを連通して、前記受液器(31)
    内部の液冷媒が前記最下部の空間(21c)に流入する
    ようになっており、 前記第2ヘッダタンク(22)内には前記第2セパレー
    タ(29)と同一高さに位置する第3セパレータ(3
    0)を配置し、 この第3セパレータ(30)により前記第2ヘッダタン
    ク(22)内部を上部空間(22a)と下部空間(22
    b)とに区画し、 この下部空間(22b)に冷媒を凝縮器外部へ流出させ
    る冷媒出口部(27)を配置し、 前記コア部(23)のうち、前記第2セパレータ(2
    9)および前記第3セパレータ(30)より上方の部位
    を冷媒凝縮部(34)とし、前記第2セパレータ(2
    9)および前記第3セパレータ(30)より下方の部位
    を冷媒過冷却部(34)としたことを特徴とする請求項
    1または2に記載の受液器一体型冷媒凝縮器。
  4. 【請求項4】 走行用エンジンにより駆動され、冷媒を
    圧縮し、吐出する圧縮機(1)と、 この圧縮機(1)から吐出された過熱冷媒ガスを凝縮す
    る凝縮器(2)と、 この凝縮器(2)で凝縮した冷媒の気液を分離して、液
    冷媒を溜める受液器(31)と、 この受液器(31)から流出した液冷媒を減圧膨張させ
    る減圧手段(4)と、 この減圧手段(4)で減圧された気液2相冷媒を蒸発さ
    せる蒸発器(5)とを備え、 これらの機器を順次接続した閉回路からなる車両用冷凍
    装置において、 前記凝縮器(2)と前記受液器(31)とを、請求項1
    ないし3のいずれか1つに記載の受液器一体型冷媒凝縮
    器により構成したことを特徴とする車両用冷凍装置。
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