JP3113055B2 - イソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルおよびその製造方法 - Google Patents
イソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルおよびその製造方法Info
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- JP3113055B2 JP3113055B2 JP8887192A JP8887192A JP3113055B2 JP 3113055 B2 JP3113055 B2 JP 3113055B2 JP 8887192 A JP8887192 A JP 8887192A JP 8887192 A JP8887192 A JP 8887192A JP 3113055 B2 JP3113055 B2 JP 3113055B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイソチオシアン酸エステ
ルの徐放性カプセルおよびその製造方法に関する。
ルの徐放性カプセルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】古来、日本においては、寿司および餅な
どにワサビを用いることにより、抗菌効果が得られるこ
とが知られている。ワサビの抗菌力はイソチオシアン酸
エステル類などのからし油成分の働きによる。近年、各
種のイソチオシアン酸エステルの抗菌力についての研究
が充分になされている。その結果、イソチオシアン酸エ
ステルは、食品の安定性および日持ち保存効果;生鮮食
品の鮮度維持、細菌、かび、酵母などの発生防止に対す
る効果;野菜・果物類のエチレン生成による熟成・腐敗
を抑制する効果;および害虫、寄生虫などの防除効果を
顕著に有することがわかった。そのため、これを利用し
た食品の鮮度保持剤、安定剤などが種々検討されてい
る。
どにワサビを用いることにより、抗菌効果が得られるこ
とが知られている。ワサビの抗菌力はイソチオシアン酸
エステル類などのからし油成分の働きによる。近年、各
種のイソチオシアン酸エステルの抗菌力についての研究
が充分になされている。その結果、イソチオシアン酸エ
ステルは、食品の安定性および日持ち保存効果;生鮮食
品の鮮度維持、細菌、かび、酵母などの発生防止に対す
る効果;野菜・果物類のエチレン生成による熟成・腐敗
を抑制する効果;および害虫、寄生虫などの防除効果を
顕著に有することがわかった。そのため、これを利用し
た食品の鮮度保持剤、安定剤などが種々検討されてい
る。
【0003】しかし、イソチオシアン酸アリルなどのイ
ソチオシアン酸エステルは共鳴構造を有し、−NCSの
炭素原子がカルボカチオンとして寄与し、強力な求電子
作用を有するため、各種物質と反応し易く安定性に欠け
る。このような不安定なシソチオシアン酸エステルを、
食品保存剤として利用するため、例えば、イソチオシア
ン酸エステルを、錠剤または発泡ウレタンに含浸させ、
ポバール(ポリビニルアルコール)でコーティングした
固体状の保存剤が調製されている。これらを例えば、食
品の容器中に入れることによって、輸送、保存、熟成管
理、日持ちの向上などが試みられている。
ソチオシアン酸エステルは共鳴構造を有し、−NCSの
炭素原子がカルボカチオンとして寄与し、強力な求電子
作用を有するため、各種物質と反応し易く安定性に欠け
る。このような不安定なシソチオシアン酸エステルを、
食品保存剤として利用するため、例えば、イソチオシア
ン酸エステルを、錠剤または発泡ウレタンに含浸させ、
ポバール(ポリビニルアルコール)でコーティングした
固体状の保存剤が調製されている。これらを例えば、食
品の容器中に入れることによって、輸送、保存、熟成管
理、日持ちの向上などが試みられている。
【0004】このような形態でイソチオシアン酸エステ
ルを用いるためには、使用時の該イソチオシアン酸エス
テルの蒸気圧を所定の値に保つことが好ましい。
ルを用いるためには、使用時の該イソチオシアン酸エス
テルの蒸気圧を所定の値に保つことが好ましい。
【0005】イソチオシアン酸エステル類、例えば、イ
ソチオシアン酸アリルは、図1に示すように、他の有機
溶剤と比べて所定の温度における蒸気圧は低く、常温2
5℃においては、蒸気圧5.0mmHgを示している。
空気との混合気体中の蒸気濃度Vは、系の全圧を760
mmHg(大気圧)とすると、
ソチオシアン酸アリルは、図1に示すように、他の有機
溶剤と比べて所定の温度における蒸気圧は低く、常温2
5℃においては、蒸気圧5.0mmHgを示している。
空気との混合気体中の蒸気濃度Vは、系の全圧を760
mmHg(大気圧)とすると、
【0006】
【数1】
【0007】となる。実用に供する場合、イソチオシア
ン酸アリルは気相接触によって20〜100ppmで一
般生菌、好気性菌、嫌気性菌、耐熱性菌などに対して抗
菌活性を発揮する。すなわち、抗菌性は、イソチオシア
ン酸アリルをはじめとするイソチオシアン酸エステルが
常温で揮散する蒸気濃度の約1/70〜1/300で充
分に得られる。従って、イソチオシアン酸エステルの実
用に供する揮散濃度を約1/70〜1/300に抑制し
た状態に対応する揮散スピードで長時間徐放する方法が
必要とされている。
ン酸アリルは気相接触によって20〜100ppmで一
般生菌、好気性菌、嫌気性菌、耐熱性菌などに対して抗
菌活性を発揮する。すなわち、抗菌性は、イソチオシア
ン酸アリルをはじめとするイソチオシアン酸エステルが
常温で揮散する蒸気濃度の約1/70〜1/300で充
分に得られる。従って、イソチオシアン酸エステルの実
用に供する揮散濃度を約1/70〜1/300に抑制し
た状態に対応する揮散スピードで長時間徐放する方法が
必要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の欠
点を解決するものであり、その目的とするところは、上
記のような優れた抗菌性および食品に対する鮮度維持な
どの特性を有するイソチオシアン酸エステルの徐放性カ
プセルを提供することにある。本発明の他の目的は、容
器内で長時間にわたり実用上必要な濃度を保持する、イ
ソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルを提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は、上記優れた性質
を有する徐放性カプセルを製造する方法を提供すること
にある。
点を解決するものであり、その目的とするところは、上
記のような優れた抗菌性および食品に対する鮮度維持な
どの特性を有するイソチオシアン酸エステルの徐放性カ
プセルを提供することにある。本発明の他の目的は、容
器内で長時間にわたり実用上必要な濃度を保持する、イ
ソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルを提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は、上記優れた性質
を有する徐放性カプセルを製造する方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これらのイ
ソチオシアン酸エステルを断熱性に富んだ多孔質セラミ
ックスカプセルまたはパウダーに含浸させ、その開孔部
を内部からおよび/または外部から、部分的に閉鎖し、
そして、その残存開孔部から含浸したイソチオシアン酸
エステルを徐々に揮発させることにより、イソチオシア
ン酸エステルの抗菌性および食品に対する鮮度維持など
の気体としての効果を長時間保持することを試みた。
ソチオシアン酸エステルを断熱性に富んだ多孔質セラミ
ックスカプセルまたはパウダーに含浸させ、その開孔部
を内部からおよび/または外部から、部分的に閉鎖し、
そして、その残存開孔部から含浸したイソチオシアン酸
エステルを徐々に揮発させることにより、イソチオシア
ン酸エステルの抗菌性および食品に対する鮮度維持など
の気体としての効果を長時間保持することを試みた。
【0010】本発明のイソチオシアン酸エステルの徐放
性カプセルの製造方法は、イソチオシアン酸エステルを
多孔質セラミックス基材に含浸させる工程、および該多
孔質セラミックス基材の表面に2−シアノアクリル酸エ
ステルを付与することにより、該多孔質セラミックス基
材の表面の開孔部を外部より部分的に閉鎖する工程を包
含する。
性カプセルの製造方法は、イソチオシアン酸エステルを
多孔質セラミックス基材に含浸させる工程、および該多
孔質セラミックス基材の表面に2−シアノアクリル酸エ
ステルを付与することにより、該多孔質セラミックス基
材の表面の開孔部を外部より部分的に閉鎖する工程を包
含する。
【0011】本発明のイソチオシアン酸エステルの徐放
性カプセルの他の製造方法は、イソチオシアン酸エステ
ルおよび2−シアノアクリル酸エステル溶液を含有する
溶液を調製する工程、および該溶液を多孔質セラミック
ス基材に含浸することにより、内包された該溶液が該多
孔質セラミックス基材の開孔部を内面より部分的に閉鎖
する工程を包含する。
性カプセルの他の製造方法は、イソチオシアン酸エステ
ルおよび2−シアノアクリル酸エステル溶液を含有する
溶液を調製する工程、および該溶液を多孔質セラミック
ス基材に含浸することにより、内包された該溶液が該多
孔質セラミックス基材の開孔部を内面より部分的に閉鎖
する工程を包含する。
【0012】本発明のイソチオシアン酸エステルの徐放
性カプセルは、上記方法により製造される。
性カプセルは、上記方法により製造される。
【0013】本発明に用いられる上記イソチオシアン酸
エステルとしては、イソチオシアン酸メチル、イソチオ
シアン酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシ
アン酸フェニルなどが用いられる。
エステルとしては、イソチオシアン酸メチル、イソチオ
シアン酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシ
アン酸フェニルなどが用いられる。
【0014】本発明に用いられる上記多孔質セラミック
ス基材としては、不活性な多孔質セラミックスのいずれ
もが使用され得る。例えば、市販の多孔性シリカパウダ
ー、シリカゲル、ゼオライトまたはゾル−ゲル法により
製造されたシリカパウダー、コーティング膜、フィル
ム、シートおよび成形体でなる群から選択される少なく
とも一種が用いられる。その粒径は1.8〜3.0μ
m、細孔径は20〜100オングストローム、比表面積
は約1000m2/gであることが好ましい。
ス基材としては、不活性な多孔質セラミックスのいずれ
もが使用され得る。例えば、市販の多孔性シリカパウダ
ー、シリカゲル、ゼオライトまたはゾル−ゲル法により
製造されたシリカパウダー、コーティング膜、フィル
ム、シートおよび成形体でなる群から選択される少なく
とも一種が用いられる。その粒径は1.8〜3.0μ
m、細孔径は20〜100オングストローム、比表面積
は約1000m2/gであることが好ましい。
【0015】上記2−シアノアクリル酸エステルとして
は、2−シアノアクリル酸メチル、2−シアノアクリル
酸エチル、2−シアノアクリル酸N−プロピル、2−シ
アノアクリル酸イソプロピル、2−シアノアクリル酸N
−ブチル、2−シアノアクリル酸イソブチル、2−シア
ノアクリル酸N−ヘキシル、2−シアノアクリル酸N−
オクチル、2−シアノアクリル酸アリルなどが用いら
れ、好ましくは、2−シアノアクリル酸エチルが用いら
れる。
は、2−シアノアクリル酸メチル、2−シアノアクリル
酸エチル、2−シアノアクリル酸N−プロピル、2−シ
アノアクリル酸イソプロピル、2−シアノアクリル酸N
−ブチル、2−シアノアクリル酸イソブチル、2−シア
ノアクリル酸N−ヘキシル、2−シアノアクリル酸N−
オクチル、2−シアノアクリル酸アリルなどが用いら
れ、好ましくは、2−シアノアクリル酸エチルが用いら
れる。
【0016】本発明において、多孔質セラミックス基材
に含浸させるイソチオシアン酸エステルの量は、該多孔
質セラミックス基材100重量部に対し、イソチオシア
ン酸エステル1重量部から300重量部が好ましい。イ
ソチオシアン酸エステルの量が1重量部より少ない場合
は、イソチオシアン酸エステルの揮散が微弱で実用化に
乏しく、300重量部を越える場合は、多孔質セラミッ
クス基材への吸着能力を越え、イソチオシアン酸エステ
ルの無駄な揮散が生じると共に作業者がその刺激に耐え
られなくなる。
に含浸させるイソチオシアン酸エステルの量は、該多孔
質セラミックス基材100重量部に対し、イソチオシア
ン酸エステル1重量部から300重量部が好ましい。イ
ソチオシアン酸エステルの量が1重量部より少ない場合
は、イソチオシアン酸エステルの揮散が微弱で実用化に
乏しく、300重量部を越える場合は、多孔質セラミッ
クス基材への吸着能力を越え、イソチオシアン酸エステ
ルの無駄な揮散が生じると共に作業者がその刺激に耐え
られなくなる。
【0017】本発明の第1の方法においてはイソチオシ
アン酸エステルを含浸した多孔質セラミックス基材に、
2−シアノアクリル酸エステルを噴霧などにより外部か
らコーティングして、その開孔部を部分的に閉鎖する。
セラミックス基材がパウダー状である場合には、その被
噴霧セラミックス基材100重量部に対し、噴霧する2
−シアノアクリル酸エステルは10重量部から500重
量部の量であることが好ましい。
アン酸エステルを含浸した多孔質セラミックス基材に、
2−シアノアクリル酸エステルを噴霧などにより外部か
らコーティングして、その開孔部を部分的に閉鎖する。
セラミックス基材がパウダー状である場合には、その被
噴霧セラミックス基材100重量部に対し、噴霧する2
−シアノアクリル酸エステルは10重量部から500重
量部の量であることが好ましい。
【0018】本発明の第2の方法においては、イソチオ
シアン酸エステルと2−シアノアクリル酸エステルとを
含む溶液を、セラミックス基材に含浸させる。溶液中に
は、イソチオシアン酸エステル100重量部に対し、2
−シアノアクリル酸エステルが10重量部から500重
量部の割合で含有されることが好ましい。2−シアノア
クリル酸エステルの含有量が10重量部より少ない場合
は、得られる徐放性カプセルにおいてイソチオシアン酸
エステルの揮散が速く、500重量部を越える場合は、
2−シアノアクリル酸エステルの固化が速いためイソチ
オシアン酸エステルの揮散量が少な過ぎる。上記混合溶
液を多孔質セラミックス基材に含浸させる場合の量は、
多孔質セラミックス基材100重量部に対し、混合液5
0重量部から500重量部が好ましい。
シアン酸エステルと2−シアノアクリル酸エステルとを
含む溶液を、セラミックス基材に含浸させる。溶液中に
は、イソチオシアン酸エステル100重量部に対し、2
−シアノアクリル酸エステルが10重量部から500重
量部の割合で含有されることが好ましい。2−シアノア
クリル酸エステルの含有量が10重量部より少ない場合
は、得られる徐放性カプセルにおいてイソチオシアン酸
エステルの揮散が速く、500重量部を越える場合は、
2−シアノアクリル酸エステルの固化が速いためイソチ
オシアン酸エステルの揮散量が少な過ぎる。上記混合溶
液を多孔質セラミックス基材に含浸させる場合の量は、
多孔質セラミックス基材100重量部に対し、混合液5
0重量部から500重量部が好ましい。
【0019】第2の方法において、イソチオシアン酸エ
ステルと2−シアノアクリル酸エステルとを含む基材
に、さらに、2−シアノアクリル酸エステルを付与し
(例えば、噴霧などにより)外部からコーティングし
て、その開孔部を部分的に閉鎖することもできる。セラ
ミックス基材がパウダー状である場合には、該セラミッ
クス基材100重量部に対し、噴霧する2−シアノアク
リル酸エステルは10重量部から500重量部の割合に
あることが好ましい。
ステルと2−シアノアクリル酸エステルとを含む基材
に、さらに、2−シアノアクリル酸エステルを付与し
(例えば、噴霧などにより)外部からコーティングし
て、その開孔部を部分的に閉鎖することもできる。セラ
ミックス基材がパウダー状である場合には、該セラミッ
クス基材100重量部に対し、噴霧する2−シアノアク
リル酸エステルは10重量部から500重量部の割合に
あることが好ましい。
【0020】本発明において、2−シアノアクリル酸エ
ステルを多孔質セラミックス基材に噴霧コーティングす
る場合、およびイソチオシアン酸エステルと2−シアノ
アクリル酸エステルとを混合する場合には、作業性を考
慮し、作業後30秒位で固化して膜が形成されるように
2−シアノアクリル酸エステルのエステル部分が長鎖の
ものを用いるなどの調節を行うことが好ましい。
ステルを多孔質セラミックス基材に噴霧コーティングす
る場合、およびイソチオシアン酸エステルと2−シアノ
アクリル酸エステルとを混合する場合には、作業性を考
慮し、作業後30秒位で固化して膜が形成されるように
2−シアノアクリル酸エステルのエステル部分が長鎖の
ものを用いるなどの調節を行うことが好ましい。
【0021】
【作用】本発明においては、多孔質セラミック基材にイ
ソチオシアン酸エステルが含浸されており、この基材の
細孔は、該基材の表面に付与もしくは該基材に含浸され
る2−シアノアクリル酸エステルから後述のように形成
されるポリマーにより部分的に閉鎖される。2−シアノ
アクリル酸エステルは、下式で示されるように、シアノ
基およびカルボニル基を有し、それらは強い親電子性で
あるため水またはアミンなどの弱塩基と速やかに反応す
る。すなわち、空気中の水分が2−シアノアクリル酸中
に吸着し拡散して、下記のように両性イオンを形成し、
アニオン重合を開始する。それと同時にセラミックスの
多孔質部分の表面に存在する基(水酸基など)の活性
が、両性イオンの生成および成長を促進する。
ソチオシアン酸エステルが含浸されており、この基材の
細孔は、該基材の表面に付与もしくは該基材に含浸され
る2−シアノアクリル酸エステルから後述のように形成
されるポリマーにより部分的に閉鎖される。2−シアノ
アクリル酸エステルは、下式で示されるように、シアノ
基およびカルボニル基を有し、それらは強い親電子性で
あるため水またはアミンなどの弱塩基と速やかに反応す
る。すなわち、空気中の水分が2−シアノアクリル酸中
に吸着し拡散して、下記のように両性イオンを形成し、
アニオン重合を開始する。それと同時にセラミックスの
多孔質部分の表面に存在する基(水酸基など)の活性
が、両性イオンの生成および成長を促進する。
【0022】〈開始反応〉
【0023】
【化1】
【0024】〈成長反応〉
【0025】
【化2】
【0026】〈停止反応〉
【0027】
【化3】
【0028】この2−シアノアクリル酸エステルは低粘
度であるので、多孔質部分の内部に対するぬれ性および
浸透性が充分であり、細孔にまで行きわたってポリマー
フィルムを形成するので、多孔質部分の開孔部を閉鎖す
るのに好適である。
度であるので、多孔質部分の内部に対するぬれ性および
浸透性が充分であり、細孔にまで行きわたってポリマー
フィルムを形成するので、多孔質部分の開孔部を閉鎖す
るのに好適である。
【0029】本発明の製造方法は、常温で、しかも大気
中で反応が進行し得、2−シアノアクリル酸エステルに
よる多孔質セラミックス基材の表面の開孔部を閉鎖する
際の重合反応の開始および成長反応が瞬間的または秒単
位の短い時間で完了するので、イソチオシアン酸エステ
ルの揮散を最小限に止めることができる。このようにし
て得られた徐放性カプセルは、イソチオシアン酸エステ
ルを長時間にわたり所定の濃度で徐々に放出するため、
容器内に入れると所定の濃度を保存することが可能であ
る。従って、食品の保存、鮮度の保持などの目的に好適
に用いられる。本発明のイソチオシアン酸エステル徐放
性カプセルの製造方法は、揮散スピードの速い香料(一
般にトップノートと呼ばれる)または化学薬品、殺菌
剤、除虫剤、忌避剤などのカプセル化に応用され、その
徐放性が確保される。一般に、ブレンド香料は、様々な
揮散スピードの香料が数種類複合されてできているが、
本発明の方法を用いて多孔質セラミックス基材にそのよ
うなブレンド香料を含浸させて徐放性カプセルを製造す
ることにより、ブレンド香料の調和された香りが長時間
ほぼ均一に揮散するため、トップノート香料だけが先に
揮散してブレンド香料が変臭化することがなくなる。
中で反応が進行し得、2−シアノアクリル酸エステルに
よる多孔質セラミックス基材の表面の開孔部を閉鎖する
際の重合反応の開始および成長反応が瞬間的または秒単
位の短い時間で完了するので、イソチオシアン酸エステ
ルの揮散を最小限に止めることができる。このようにし
て得られた徐放性カプセルは、イソチオシアン酸エステ
ルを長時間にわたり所定の濃度で徐々に放出するため、
容器内に入れると所定の濃度を保存することが可能であ
る。従って、食品の保存、鮮度の保持などの目的に好適
に用いられる。本発明のイソチオシアン酸エステル徐放
性カプセルの製造方法は、揮散スピードの速い香料(一
般にトップノートと呼ばれる)または化学薬品、殺菌
剤、除虫剤、忌避剤などのカプセル化に応用され、その
徐放性が確保される。一般に、ブレンド香料は、様々な
揮散スピードの香料が数種類複合されてできているが、
本発明の方法を用いて多孔質セラミックス基材にそのよ
うなブレンド香料を含浸させて徐放性カプセルを製造す
ることにより、ブレンド香料の調和された香りが長時間
ほぼ均一に揮散するため、トップノート香料だけが先に
揮散してブレンド香料が変臭化することがなくなる。
【0030】以下に実施例を挙げ、本発明を説明する。
【0031】
(実施例1)
【0032】
【表1】
【0033】a)粒径3.0μm、平均細孔径20オン
グストローム、比表面積1100m2/g;(株)マイ
クロン製 b)固形分50%;株式会社アルファ技研製 上記量の多孔質シリカマイクロパウダーに上記量のイソ
チオシアン酸アリルと2−シアノアクリル酸エチル溶液
との混合溶液を噴霧しつつ攪拌し、充分に浸潤させるこ
とによって2−シアノアクリル酸エチルの重合を短時間
に行い、シリカマイクロパウダーの多孔質部分を部分的
に内側より閉鎖し、常温(25℃)で放置した。開放状
態で4日間放置後、充分なワサビ臭があり、イソチオシ
アン酸アリルの蒸気濃度は60ppmを示した。(北川
式ガス検知管(発売元:(株)ミドリ十字)による)。
グストローム、比表面積1100m2/g;(株)マイ
クロン製 b)固形分50%;株式会社アルファ技研製 上記量の多孔質シリカマイクロパウダーに上記量のイソ
チオシアン酸アリルと2−シアノアクリル酸エチル溶液
との混合溶液を噴霧しつつ攪拌し、充分に浸潤させるこ
とによって2−シアノアクリル酸エチルの重合を短時間
に行い、シリカマイクロパウダーの多孔質部分を部分的
に内側より閉鎖し、常温(25℃)で放置した。開放状
態で4日間放置後、充分なワサビ臭があり、イソチオシ
アン酸アリルの蒸気濃度は60ppmを示した。(北川
式ガス検知管(発売元:(株)ミドリ十字)による)。
【0034】(実施例2)
【0035】
【表2】
【0036】c)粒径3.0μm、平均細孔径20オン
グストローム、比表面積1100m2/g;(株)マイ
クロン製 d)固形分50%;株式会社アルファ技研製 実施例1に準じて、上記量の多孔質シリカマイクロパウ
ダーに上記量のイソチオシアン酸アリルと2−シアノア
クリル酸エチル溶液(内包用)との混合溶液を含浸さ
せ、常温で多孔質シリカマイクロパウダーの開孔部を内
部から部分的に閉鎖した後、そのパウダーを攪拌しつ
つ、2−シアノアクリル酸エチル溶液(外包用)で外部
から噴霧コーティングすることによりその開孔部の封鎖
部分を増やし、常温(25℃)で放置した。開放状態で
2週間放置後、充分なワサビ臭があり、イソチオシアン
酸アリルの蒸気濃度は57ppmを示した。
グストローム、比表面積1100m2/g;(株)マイ
クロン製 d)固形分50%;株式会社アルファ技研製 実施例1に準じて、上記量の多孔質シリカマイクロパウ
ダーに上記量のイソチオシアン酸アリルと2−シアノア
クリル酸エチル溶液(内包用)との混合溶液を含浸さ
せ、常温で多孔質シリカマイクロパウダーの開孔部を内
部から部分的に閉鎖した後、そのパウダーを攪拌しつ
つ、2−シアノアクリル酸エチル溶液(外包用)で外部
から噴霧コーティングすることによりその開孔部の封鎖
部分を増やし、常温(25℃)で放置した。開放状態で
2週間放置後、充分なワサビ臭があり、イソチオシアン
酸アリルの蒸気濃度は57ppmを示した。
【0037】(実施例3)
【0038】
【表3】
【0039】e)PETフィルムの表面に平均細孔径2
0オングストローム、および比表面積400m2/gの
シリカを20μmの厚みにコーティングしたもの;
(株)マイクロン製 f)固形分50%;株式会社アルファ技研製 実施例2に準じて、上記フィルムに上記量のイソチオシ
アン酸アリルと2−シアノアクリル酸エチル溶液(内包
用)との混合溶液を含浸させて、膜厚約20μmの複合
コーティングフィルムを得、常温で放置した。その際の
イソチオシアン酸アリルの蒸気濃度は20ppmを示し
た。このフィルムを開放状態で放置したところ7日間後
も、ワサビ臭を保持していた。
0オングストローム、および比表面積400m2/gの
シリカを20μmの厚みにコーティングしたもの;
(株)マイクロン製 f)固形分50%;株式会社アルファ技研製 実施例2に準じて、上記フィルムに上記量のイソチオシ
アン酸アリルと2−シアノアクリル酸エチル溶液(内包
用)との混合溶液を含浸させて、膜厚約20μmの複合
コーティングフィルムを得、常温で放置した。その際の
イソチオシアン酸アリルの蒸気濃度は20ppmを示し
た。このフィルムを開放状態で放置したところ7日間後
も、ワサビ臭を保持していた。
【0040】
【発明の効果】本発明により、イソチオシアン酸エステ
ルをカプセル化して徐放性を発揮させ、長時間にわたり
実用上必要な濃度を保持する、イソチオシアン酸エステ
ルの徐放性カプセルが容易に製造される。この徐放性カ
プセルは、食品の鮮度維持、安定化などの目的に好適に
利用される。
ルをカプセル化して徐放性を発揮させ、長時間にわたり
実用上必要な濃度を保持する、イソチオシアン酸エステ
ルの徐放性カプセルが容易に製造される。この徐放性カ
プセルは、食品の鮮度維持、安定化などの目的に好適に
利用される。
【図1】イソチオシアン酸アリル、エタノール、メタノ
ールおよびアセトンの蒸気圧と温度との関係を比較した
グラフである。
ールおよびアセトンの蒸気圧と温度との関係を比較した
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−36415(JP,A) 特開 昭64−43343(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/34 - 3/358 C09D 133/00
Claims (6)
- 【請求項1】 イソチオシアン酸エステルを多孔質セラ
ミックス基材に含浸させる工程、および該多孔質セラミ
ックス基材の表面に2−シアノアクリル酸エステルを付
与することにより、該多孔質セラミックス基材の表面の
開孔部を外部より部分的に閉鎖する工程を包含する、イ
ソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルの製造方法。 - 【請求項2】 イソチオシアン酸エステルおよび2−シ
アノアクリル酸エステルを含有する溶液を調製する工
程、および該溶液を多孔質セラミックス基材に含浸させ
ることにより、内包された該溶液が該多孔質セラミック
ス基材の開孔部を内面より部分的に閉鎖する工程を包含
する、イソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルの製
造方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の方法に
より製造される、イソチオシアン酸エステルの徐放性カ
プセル。 - 【請求項4】 前記イソチオシアン酸エステルが、イソ
チオシアン酸メチル、イソチオシアン酸エチル、イソチ
オシアン酸アリルおよびイソチオシアン酸フェニルでな
る群から選択される少なくとも一種である、請求項3に
記載のイソチオシアン酸エステルの徐放性カプセル。 - 【請求項5】 前記多孔質セラミックス基材が、パウダ
ー、コーティング膜、フィルム、シートおよび成形体で
なる群から選択される少なくとも一種である、請求項3
に記載のイソチオシアン酸エステルの徐放性カプセル。 - 【請求項6】 前記2−シアノアクリル酸エステルが、
2−シアノアクリル酸メチル、2−シアノアクリル酸エ
チル、2−シアノアクリル酸N−プロピル、2−シアノ
アクリル酸イソプロピル、2−シアノアクリル酸N−ブ
チル、2−シアノアクリル酸イソブチル、2−シアノア
クリル酸N−ヘキシル、2−シアノアクリル酸N−オク
チルおよび2−シアノアクリル酸アリルでなる群より選
択される少なくとも一種である、請求項3に記載のイソ
チオシアン酸エステルの徐放性カプセル。
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---|---|---|---|
JP8887192A JP3113055B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | イソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルおよびその製造方法 |
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JP8887192A JP3113055B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | イソチオシアン酸エステルの徐放性カプセルおよびその製造方法 |
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---|---|
JPH05284954A JPH05284954A (ja) | 1993-11-02 |
JP3113055B2 true JP3113055B2 (ja) | 2000-11-27 |
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ID=13955078
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3113055B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8529203B2 (en) | 2009-03-04 | 2013-09-10 | Dyson Technology Limited | Fan assembly |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB9930142D0 (en) * | 1999-12-22 | 2000-02-09 | Ecospray Limited | Improvements to insect attractants |
-
1992
- 1992-04-09 JP JP8887192A patent/JP3113055B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH05284954A (ja) | 1993-11-02 |
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