JP3112591B2 - 粉砕装置 - Google Patents

粉砕装置

Info

Publication number
JP3112591B2
JP3112591B2 JP05016466A JP1646693A JP3112591B2 JP 3112591 B2 JP3112591 B2 JP 3112591B2 JP 05016466 A JP05016466 A JP 05016466A JP 1646693 A JP1646693 A JP 1646693A JP 3112591 B2 JP3112591 B2 JP 3112591B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
pivot
crushing
mill
pulverizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05016466A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06226126A (ja
Inventor
一教 佐藤
一紀 正路
信康 廻
浩明 金本
善憲 田岡
忠 長谷川
博司 湯浅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Babcock Hitachi KK filed Critical Babcock Hitachi KK
Priority to JP05016466A priority Critical patent/JP3112591B2/ja
Publication of JPH06226126A publication Critical patent/JPH06226126A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3112591B2 publication Critical patent/JP3112591B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crushing And Grinding (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転するテーブルと粉
砕ローラにより、石炭等の固体燃料、石灰石、セメント
クリンカあるいは各種化学製品の固体原料を微粉砕する
ローラミル(粉砕装置)の振動抑止技術に係わり、特に
粉砕ローラを上方から首振り式に支持する構造のローラ
ミルにおける振り子式支軸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭焚きボイラにおいても、低公害燃焼
(低NOx、未燃分低減)や広域負荷操業(給炭量変
化)が実施され、それに伴い高性能の微粉炭機(ミル)
が要求されるようになつた。
【0003】石炭に代表される固体燃料、石灰石等のセ
メント原料あるいは新素材原料など塊状物を細かく粉砕
する粉砕機の1タイプとして、粉砕テーブルと複数個の
粉砕ローラを備えた竪型のローラミルが用いられ、最近
では代表機種の1つとしての地位を固めつつある。
【0004】この種のミルは、円筒型をしたハウジング
(容器)の下部にあつて減速機を有するモータで駆動さ
れた水平面上で低速回転する円板状の粉砕テーブルと、
その上面に外周部を円周方向へ等分する位置へ油圧ある
いはスプリング等で加圧されて回転する複数個の粉砕ロ
ーラを備えている。
【0005】これらの粉砕ローラは、粉砕ローラと回転
テーブルの間で圧縮される原料との間に生じる摩擦力に
よつて回転する。テーブルの中心へシユートより供給さ
れた粉砕原料は、テーブル上において遠心力によりうず
巻状の軌跡を描いてテーブルの外周へ移動し、テーブル
の粉砕レース面と粉砕ローラの間にかみ込まれて粉砕さ
れる。
【0006】ミルハウジングの下部には、ダクト内を送
られてきた熱風が導かれており、この熱風が粉砕テーブ
ルの外周部とミルハウジングの内周部との間のエアスロ
ートから吹き上がつている。
【0007】粉砕されて生成した粉粒体は、エアスロー
トから吹き上がる熱風によつてミルハウジング内を上昇
しながら乾燥される。ハウジング上部へ輸送された粉粒
体は、粗いものから重力により落下し(1次分級)、粉
砕部で再粉砕される。この1次分級部を貫通したやや細
かな粉粒体は、ハウジングの上部に設けたサイクロンセ
パレータあるいはロータリセパレータ(回転分級機)で
再度分級される。所定の粒径より小さな微粉は、気流に
より搬送され、ボイラでは微粉炭バーナあるいは微粉貯
蔵ビンへと送られる。
【0008】分級機を貫通しなかつた所定粒径以上の粗
粒は、重力によりテーブル上へ落下し、1次分級により
戻された粗粒やミル内へ供給されたばかりの原炭(塊
炭)と共に再度粉砕される。このようにして、ミル内で
は粉砕が繰り返され、製品微粉が生成されていく。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】例えば、タイヤ型のロ
ーラミルを低負荷で運用しようとする場合、負荷の切り
下げにおいて問題となるのはミルの振動である。この振
動現象は複雑であり、詳細なメカニズムまで明らかにさ
れている訳ではないが、炭層とローラのすべりに起因す
る一種の摩擦振動(不連続、非線形振動の代表として知
られるステイツク・スリツプ運動)であると考えられ
る。振動のタイプとしては、励振源をはつきりと特定で
きないことから、また振動波形がスパイク状になること
から、自励振動の一種といえる。
【0010】通常の石炭では、図15に示すように、低
負荷運用時(ミル内における石炭ホールドアツプの少な
い条件)に、この振動が激しくなるが、石炭種によつて
はかなりの高負荷時にも発生することがある。
【0011】図18は、従来式粉砕ローラの支持構造を
断面図として示したものである。このタイプのローラミ
ルでは、ローラブラケツト1307を介して、ローラピ
ボツト1309を支軸として、粉砕ローラ1301が首
振り可能なように支持される。この首振り作用は大変に
重要であり、粉砕ローラ1301が鉄片等、粉砕できな
い異物をかみ込んだ場合、粉砕ローラ1301は首を振
ることによつて衝撃を回避することができる。
【0012】また、粉砕ローラ1301や粉砕レース1
316が磨耗した時には、押圧位置(粉砕ローラ130
1と粉砕レース1316との位置関係)を適切に変化さ
せる機能がこの首振り構造にはある。
【0013】一般に高負荷粉砕時には、粉砕ローラ13
01はほとんど首を振ることがない。上記したように、
ミルの起動時あるいは負荷上昇時などにおいて粉砕ロー
ラ1301が原料を活発にかみ込む場合には、粉砕ロー
ラ1301は首を振るものの、この首振り動作において
3個の粉砕ローラの動きは同期しない。
【0014】この時、ミルは振動し掛けるが、粉砕ロー
ラ1301が同期しないために、卓越周波数は特定でき
ず、周波数分布がブロードないわゆる強制振動的なもの
であり、ミルの運用を妨げることはない。
【0015】なお、1302はローラシヤフト、130
3はローラ回転軸、1304はローラ断面中心軸、13
05は鉛直軸、1306はシールプレート、1308は
ピボツトボツクス、1310は加圧用スプリング、13
11はスプリングフレーム、1312はミルハウジン
グ、1313はスロートベーン、1314は熱風、13
15は粉砕リング、1317は圧縮粉層、1318は被
粉砕原料、1319は回転テーブル、1320は回転軸
である。
【0016】一方、粉砕ローラが激しく自励振動する場
合には、図16に示すように、粉砕ローラ1101は3
個ともほぼ同時に外側へ横ずれし(β)、次いで図17
のように上下に振動する(γ)。3個の粉砕ローラは、
同期して(同位相で)一緒に上下振動する。ある1つの
粉砕ローラ1101が横ずれ状の首振り運動(β)を起
こし、粉砕ローラ1101に上下方向振動(γ)が生じ
ると、この動きは一体型加圧フレームあるいはテーブル
やその上の粉層を伝わつて他の粉砕ローラへと伝播す
る。これが、粉砕ローラ1101の同位相振動の原因で
ある。
【0017】なお図において、1102はローラピボツ
ト、1103は鉛直軸、1104は断面中心軸、110
5はローラ回転中心軸、1106は回転テーブル、11
07は粉砕リング、1108は粉砕レース、1109は
圧縮粉層、1110は原料、1111はテーブル回転軸
である。
【0018】以上から、ミルの振動を、粉砕部のハード
ウエアの工夫によつて抑止しようとするには、3個の粉
砕ローラが同期して動くこと、即ち同位相運動を阻止す
ることが肝要であることが分かる。
【0019】本発明の目的は、以上のような考え方に基
づき、粉砕ローラが同期して首を振つたり、あるいは上
下振動する運動を防止し、振動を起こすことなく広域負
荷あるいは多炭種での運用を可能にするローラミル(粉
砕装置)の粉砕ローラにおける振り子式支軸装置を提供
することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るべく、振動発生時において、粉砕ローラの首振り動作
が互いにキヤンセルし合うような状態を生み出すため
に、本発明に係るローラミルでは、次のような構成を採
用する。
【0021】まず、粉砕ローラに粉砕荷重を伝達し、粉
砕ローラの首振り動作の主軸となるローラピボツトと、
ローラピボツトの収納ケースとなりローラピボツトの摺
動面を形成しているピボツトボツクスの材質あるいは構
造(形状)の少なくともいずれか一方を、同一ミル内に
おいて変化させる。
【0022】このようにすることで、ローラピボツトと
ピボツトボツクスの表面同士の摺動摩擦状態が異なつて
くるため、粉砕ローラごとに首振り時の周期や振幅が変
化する。例えば、ローラピボツトやピボツトボツクスの
材質に関して異ならせる場合、ある粉砕ローラでは、通
常の炭素鋼をそのまま削り出しの状態で用いるのに対
し、他の粉砕ローラ用には高周波焼入れ調質処理やシヨ
ツトピーニングを行い表層の硬度を高める。
【0023】一方、ローラピボツトやピボツトボツクス
の構造を異ならせる場合には、1つの粉砕ローラ用では
円柱形とするのに対し、他の粉砕ローラでは段差を設け
た構造あるいは分割型の構造とし、ローラピボツトとピ
ボツトボツクスとの見掛けの投影面積を、粉砕ローラご
とに異ならせる。
【0024】
【作用】まず、ローラピボツト材とローラピボツトを挿
入するピボツトボツクス材に通常の軟鋼を用いた場合を
考えてみる。荷重を加えた条件で、見掛けの接触面積は
大きくなるものの(Hertzの弾性論による)、それ
ゆえ見掛けのピーク応力(面圧のピーク)は小さくな
る。
【0025】これに対し、ローラピボツトとピボツトボ
ツクスの材質に表面硬化調質処理をした鋼材を用いる場
合には、弾性による接触変形面は小さく、見掛けのピー
ク応力(ピーク面圧力)は、軟鋼を用いる条件に比べて
大きくなる。
【0026】使用する両者の鋼材の接触変形量と見掛け
の面圧を合わせて考えれば、首振り時に作用する接触面
圧力の総和、即ち剪断力は同等の筈であるが、より柔ら
かい材料を用いた場合の方がローラピボツトは転がりに
くくなる。これは、柔らかいゆえに生じる表面の磨耗痕
等の微視的な接触も関与するためであろう。
【0027】したがつて、例えば、ピボツトとしての支
軸部材に軟鋼を用いた場合と表面硬化鋼を用いた場合を
比較すると、粉砕ローラの首振りは、表面硬化鋼の方が
首振り動作はより大きい、即ち振幅が大きくなると考え
られる。
【0028】一方、段差付きのローラピボツトと、ロー
ラピボツトの突出部に対応するスロツト(溝)部のある
ピボツトボツクスを組み合わせる場合(実施例として後
述する)、特にこれらに表面硬化処理材を用いた場合に
は、接触変形部分が少なくなるため、ローラピボツトは
より転がりやすくなる。
【0029】一方、ローラピボツトが、段付きの部分と
中央のシヤフト部分とで構成される場合(これも実施例
として後述する)には、接触する部分が複雑になり、ロ
ーラピボツトの接触と摺動挙動はより複雑になる。具体
的には、摺動個所が増えるために、ローラピボツトはさ
らに転がりやすくなる。
【0030】以上のように、転がり状態を異ならせたロ
ーラピボツトを中心とする支軸部材を、ローラミル内の
それぞれのローラブラケツトに対して用いれば、各粉砕
ローラの振り子状の挙動が異なり、3つの粉砕ローラが
同位相で動き、自励振動に増幅するような自己同期化現
象の発生を防止することが可能になる。ある1つの粉砕
ローラが首振り運動を起こして掛けても、他の粉砕ロー
ラは首振り支軸の抵抗が異なるために、それに追従しな
い。
【0031】従つて、ある粉砕ローラの首振り運動は、
他の粉砕ローラの独立した動きによつてキヤンセルされ
てしまうことになる。このようにして、粉砕ローラに生
じる自己同期化現象は、速やかに自己減衰する。
【0032】以上のような作用により、低負荷運用ある
いは多炭種運用においても、ローラミルは激しい自励振
動を起こすことなく、安定で静粛な操業が可能になる。
【0033】
【実施例】図1は、本発明に係る振り子式支軸を利用し
た粉砕ローラを搭載するローラミルの構造を、中心軸を
通る断面図として描いたものである。
【0034】このローラミルの粉砕部は、大まかに、主
要素である粉砕ローラ6と回転テーブル3によつて構成
される。本発明の特徴は、粉砕ローラを支持する部材の
構造に関するものであるので、初めにこれを説明する。
【0035】図1および図2に示すように、本発明の対
象となるローラミルでは、粉砕ローラ6が、粉砕ローラ
6を後方から上方にかけて覆い被さるような構造で支え
るローラブラケツト7の上部に設けたローラピボツト1
2を支軸として、首振りあるいは振り子状運動が可能な
ように支持されている。このローラピボツト12は、振
り子状運動の回転軸であるばかりでなく、ローラブラツ
ト7および粉砕ローラ6に対する上方から加圧力18の
伝達点となつている。
【0036】本発明においては、粉砕ローラごとにこの
ローラピボツト12とピボツトボツクス11間の静およ
び動摩擦状態を異ならせ、各ローラにおいて振り子状首
振り動作の周期や振幅を異ならせる。
【0037】図2に示すように、ある1つの粉砕ローラ
に対応するローラブラケツト7には、円柱形で無調質
(熱処理や硬化処理等をしていない)の鋼製ローラピボ
ツト12aが用いられている。別の粉砕ローラに対応す
るローラブラケツト7には、高周波焼入れ後に表層をシ
ヨツトピーニングした円柱形のローラピボツト12bが
装着されている。3つある粉砕ローラのうち、残りの粉
砕ローラ用のローラピボツトでは、スロツト状段差付き
でかつ表面硬化調質処理の鋼製ローラピボツト12cが
適用されている。
【0038】なお、1は原料、2は原料供給管(センタ
ーシユート)、4は粉砕リング、5は粉砕レース、8は
ローラ回転軸、9は鉛直軸、10は断面中心軸、13は
熱風、14はスロートベーン、15はシールリング、1
6はハウジング、17は加圧フレーム、19は回転分級
機、20はダムリング、21は製品微粉排出ダクトであ
る。
【0039】図3は、円柱形のローラピボツト301の
装着状態を、横方向からの断面図として示したものであ
る。
【0040】図4には、ローラピボツト301のピボツ
トボツクス302内への装着状態を上方からの視図とし
て示す。このように円柱形のローラピボツト301は、
ローラピボツト301に対応させて少し径を大きくした
円柱形溝を刻設したピボツトボツクス302の中に装着
されている。
【0041】なお、301aはローラピボツトの中心
軸、303は加圧フレーム、304はローラブラケツ
ト、305は粉砕ローラ、306はシールプレート、3
07は鉛直軸、308は断面中心軸、309は回転中心
軸である。
【0042】図5に示すのは、円柱形のローラピボツト
の変形応用例であり、ローラピボツトをその軸方向に対
して3分割したものである。このように分割型とすれ
ば、ローラピボツトにトルクが生じた際に、分割ローラ
ピボツト310a,310bおよび310cの回転動作
が、各分割ローラピボツトの分割面同士の摩擦によつて
微妙に異なることになり、一体円柱構造とする場合に比
べると、すべり難くなる。
【0043】なお、これら分割ローラピボツト310
a,310b、および310cをピボツトボツクスの溝
内に微小公差で押し込むと回転し難くなり、却つて粉砕
ローラの振り子状動作が不自然になるため、微小な隙間
331を設けてある。
【0044】図6と図7には、段差付きのローラピボツ
ト401の構造を、それぞれ横断面およびローラピボツ
トの回転軸402に対しての垂直断面図および回転軸4
02を通る平行断面図として示す。このローラピボツト
401の形状は、基本的には円柱形であるが、ピボツト
ボツクスとのメタル接触部2個所(406)が段付きと
して突出する形状となつている。この段差として突出し
たメタル接触部406に対応させて、ピボツトボツクス
もスロツト(溝)付きの構造(403)となつている。
【0045】なお、404はローラブラケツト、405
は加圧フレーム、407はピボツトボツクスのメタル接
触部である。
【0046】図8の例は、ローラピボツトシヤフト40
8のまわりに分割したピボツト外周部材410aおよび
410bを合わせるようにして装着して、ローラピボツ
トを構成するものである。このような構造では、トルク
が生じた際の回転すべり面が、ピボツトのメタル接触部
412、ピボツト外周部材410a(あるいは410
b)とローラピボツトシヤフト408の接触面およびピ
ボツト外周部材410aと410bの合わせ面415の
3種類となる。
【0047】なお、411はスロツト(溝)付きピボツ
トボツクス、413は加圧フレーム、414はローラブ
ラケツトである。
【0048】本発明に係る振り子式支軸装置を利用した
粉砕ローラを搭載したローラミルの全体構成について図
1に基づき、さらに説明する。
【0049】原料1は、ミル上部の中心軸上にある原料
供給管(センターシユート)2から供給され、ミルの下
部で回転する回転テーブル3上に落下する。回転テーブ
ル3上の原料には遠心力が働き、回転テーブル3の外周
にある粉砕リング4上に送給されて、この粉砕リング4
の上面に刻設され断面が略円弧形をした粉砕レース5の
上で、粉砕ローラ6により圧縮粉砕される。前述したよ
うに、この実施例においては、各粉砕ローラ6が、それ
ぞれ構造あるいは材質の異なるピボツトボツクス12お
よび同様に形状あるいは材質の異なるピボツトボツクス
11との組み合わせからなる部材を、振り子運動の支点
部となるごとく支持されている。この支点部には、粉砕
荷重伝達点としての重要な役割もある。
【0050】ローラピボツト12の構造や材質がローラ
ごとに異なれば、ピボツトボツクス11の摺動面との摩
擦状態(動摩擦係数や静摩擦係数)が異なるため、粉砕
ローラ6の振り子運動の特性(周期や振幅)もローラご
とに変わつてくる。
【0051】このようにすることで、粉砕ローラ6の同
位相動作の発生を防げることになる。粉砕されて生成し
た粉体は、スロートベーン14の間を貫通して、ミル内
へ吹き込まれる熱風13により乾燥されながら、ミルの
上方へと輸送される。粗い粒子は重力により回転テーブ
ル3上へ落下し(1次分級)、粉砕部で再粉砕される。
【0052】この1次分級部を貫通した粒子群は、回転
分級機19により遠心分級される(2次分級)。比較的
粗い粒子は、回転分級機19の羽根の間を貫通し、製品
微粉として製品微粉排出ダクト21から排出される。石
炭の場合は、微粉炭バーナへ直接送られるか(熱風13
が燃焼用1次空気となる)もしくは貯蔵ビンへ回収され
る。
【0053】次に、粉砕ローラの動作、振動特性に関す
る結果、本発明に係る振り子式支軸装置を利用すること
によつて生じる効果について説明する。
【0054】前述したように、無調質の軟鋼製のローラ
ピボツトを用いる場合、荷重が加わつた時の局所的な弾
性変形が大きく、見掛けの接触面圧の総和、即ち剪断力
は同じであつてもすべり回転が生じ難くなる。これに対
し、表面硬化調質処理した鋼材でローラピボツトを製作
すると、逆にすべり回転は起き難くなる。
【0055】このようなローラピボツトの材質の違いを
例にとり、粉砕ローラの首振り(振り子)動作の違いを
説明する。
【0056】図9は、表面硬化調質処理をしたローラピ
ボツト502を用いる例であり、粉砕ローラ501の首
振り動作(α)は、後述する図10の例のそれに比べる
と大きくなる。ここで、「大きくなる」ということは、
首振りの振幅(横ずれする方向への距離)が相対的に
「大きい」ということであり、この動作の周期も長くな
る。
【0057】一方、図10に示す粉砕ローラ50では、
首振り動作(α)が、図9の例に比べて、振幅と周期が
共に小さくなつている。このように粉砕ローラ501ご
とに首振り(振り子)動作が異なれば、粉砕ローラ50
1が同期して首を振り、さらに同期して上下振動すると
いつた自己同期化現象としての激しい自励振動は抑制さ
れることになる。
【0058】ある1つの粉砕ローラ501が瞬間的に首
を振り掛けても、他の粉砕ローラではローラピボツトの
摩擦特性が異なるために、たとえその首振りに追従仕掛
けても、首振りの状態は全く異なつたものになる。この
ようになれば、2つの粉砕ローラ501の首振り動作は
同調せず、互いにキヤンセルし合うものになつてしま
う。
【0059】繰り返すが、この効果は、粉砕ローラ50
1の振り子動作の支軸部、即ちローラピボツトにおける
摺動摩擦特性を、粉砕ローラ501ごとに異ならせたた
めに生じたものである。つまり、粉砕ローラ501の振
り子運動が、粉砕ローラ501同士で打ち消し合うこと
になり、粉砕ローラ501の自己同期化現象が起き掛け
ても、速やかに減衰する機能が粉砕ローラ501の支持
部材に備わつたことになる。
【0060】なお、503は鉛直軸、504は断面中心
軸、505は回転軸、506は回転テーブル、507は
粉砕リング、508は粉砕レース、509は回転テーブ
ルの中心軸である。
【0061】図11は、ミル内における石炭ホールドア
ツプに対する振動の振幅の変化をまとめ、本発明の実施
例と従来技術とを比較したものである。
【0062】縦軸の振幅δocは、粉砕ローラと粉砕レ
ースがメタルタツチする空回転時の振幅δoc* で割ら
れて無次元化されている。一方、横軸のホールドアツプ
Wは、ミルが定格給炭量で運用された時のホールドアツ
プW* で割られて無次元化されている。
【0063】この実験結果は、炭質の影響により、比較
的激しい振動を起こしやすい石炭を粉砕した時に得られ
たものである。従来技術では、低負荷域(W/W*
0.38)で著しく振幅が大きいのに対し、本発明に係
る振り子式支軸装置を備える粉砕ローラを搭載するロー
ラミルでは、振幅の大幅な低減が可能であることが実証
された。本発明の実施例の場合でも、他のホールドアツ
プの条件よりは、W/W* ≦0.38近傍において振幅
がやや大きくなるが、この振動は、自己増幅的な特質を
有する自励振動ではなく、強制振動の1タイプである。
【0064】図12は、ローラミルが振動を起こしても
さほど激しくない石炭を利用した場合の結果をまとめた
ものである。この例においても、本発明を具体化するこ
とにより、振幅を低減できることが分かる。この例で
は、低負荷運用条件下における強制振動の軽減効果が認
められたことになる。
【0065】図13は、給炭量Qcに対する製品微粉粒
度qの変化を示したものである。縦軸の粒度qは、定格
給炭量Qc* の時の従来式ミルにおける基準微粉粒度q
* で割られて、相対値として表されている。横軸のQc
も、Qc* で割られて無次元化されている。
【0066】一般に、粒度qは、給炭量Qcの増加と共
に減少する。本発明に係る実施例では、製品微粉粒度
が、従来式ローラミルにおける粒度とほぼ同等であるこ
とが判明した。即ち本発明で具体化した程度の粉砕ロー
ラの支軸構造では、粉砕性能に大きな影響を与えない
(少なくとも粉砕性能を低下させることはない)ことが
実証された訳である。
【0067】以上から、本発明を具体化することによ
り、粉砕性能を犠牲にすることなく自励振動の発生を防
止したり、あるいは強制振動を軽減する効果のあること
が確認された。
【0068】各粉砕ローラの首振り状態を異ならせてい
るために、粉砕ローラの磨耗状態が異なつて、粉砕性能
やミルの安定運用に支障をきたすことが危惧されたもの
の、図14に示すように、どの粉砕ローラでも磨耗量は
ほぼ同等であり、しかもその量が従来技術に比べて多く
ないことが確認されている。ただし、粉砕ローラごとに
磨耗部の形状は幾分異なつている。特に、粉砕ローラと
粉砕レースがメタルタツチする回転時の振動(強制振
動)が、このような磨耗形状の不均一によつて問題にな
る場合には、粉砕ローラの位置を交互に取り替えて運用
することにより解決される。
【0069】本発明に係る構造の振り子式支軸装置を搭
載するローラミルは、具体化例として説明した石炭焚き
ボイラ用のミルに限らず、(1)同じ固体燃料であるオ
イルコークス用のミル、(2)脱硫用の石灰石を微粉砕
するためのミル、(3)鉄鋼スラグ、非鉄精錬スラグを
微粉砕するミル、(4)セメントクリンカを微粉砕する
セメント仕上げ用のミル、(5)各種化学製品の原料を
微粉砕するミル、へもほぼそのまま適用することができ
る。
【0070】
【発明の効果】本発明を具体化した振り子式支軸装置を
ローラミルに搭載したことによる効果をまとめると以下
のようになる。
【0071】(1)ローラミルのすべりに起因するミル
の振動を防止できる。これによつて、ミル自身を含む各
種周辺機器類の耐久性が向上する。また、火力プラント
全体の信頼性が高まる。
【0072】(2)低負荷運用が可能となり、ミルの運
用負荷限界をさらに下げることができる。これによつ
て、ボイラの運用範囲が拡大する。低負荷運用域におい
て石炭燃焼が可能になることから、助燃用燃料油の消費
量を低減できる。従つて、火力プラント全体をより経済
的に運用できるようになる。
【0073】(3)高速負荷追従運用に伴う回転分級機
の広域負荷運用条件下においても振動を抑制できる。こ
れによつて、ボイラの応答性を格段に良好にすることが
できる。
【0074】(4)激しい振動を起こしやすい石炭、ロ
ーラやレースへ付着しやすい石炭、あるいは単位重量当
たりの発熱量が高くミルが低負荷運用になりがちな石炭
でも、振動を回避する運用が可能になる。このようにし
て、火力プラントへ適用可能な石炭の範囲が大幅に拡大
する。
【0075】(5)振動の抑止は、加圧力、テーブルや
回転分級機の回転速度を制御することによつても可能で
ある。しかしながら、加圧機構も高価になるし、モータ
も大型の機種を低効率の条件で使わざるを得なくなる。
また制御系も複雑なものとなるが、本発明は、粉砕部の
ハードウエアのみの工夫で振動を抑制する方式であるの
で、トータルコストの観点からは大変有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振り子式支軸装置を搭載したロー
ラミルの全体構成図である。
【図2】図1のB−B線視図である。
【図3】支軸装置の構成図である。
【図4】図3のα−α′線視図である。
【図5】ローラピボツトの変形応用例に係る図3のα−
α′線視図である。
【図6】他の支軸装置の構成図である。
【図7】図6のA−A方向視図である。
【図8】ローラピボツトの変形例を示す断面図である。
【図9】首振り量が多い場合のローラピボツトの首振り
動作の様子を示す模式図である。
【図10】首振り量が少ない場合のローラピボツトの首
振り動作の様子を示す模式図である。
【図11】ミル内における石炭ホールドアツプに対する
振動の振幅の変化を示す比較特性図である。
【図12】振動を起こし難い石炭の場合の石炭ホールド
アツプに対する振動の振幅の変化を示す比較特性図であ
る。
【図13】給炭量に対する製品微粉粒度の変化を示す比
較特性図である。
【図14】相対磨耗量の比較特性図である。
【図15】従来のミル内における石炭ホールドアツプに
対する振動の振幅の変化を示す比較特性図である。
【図16】従来の粉砕ローラの自励振動の様子を示す模
式図である。
【図17】従来の粉砕ローラの自励振動の様子を示す模
式図である。
【図18】従来のローラミルにおけるローラの支軸部の
構成図である。
【符号の説明】
1 原料 2 原料供給管 3 回転テーブル 4 粉砕リング 5 粉砕レース 6 粉砕ローラ 7 ローラブラケツト 8 ローラ回転軸 9 鉛直軸 10 断面中心軸 11 ピボツトボツクス 12 ローラピボツト 13 熱風 14 スロートベーン 15 シールリング 16 ハウジング 17 加圧フレーム 18 加圧力 19 回転分級機 20 ダムリング 21 製品微粉排出ダクト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金本 浩明 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 田岡 善憲 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 長谷川 忠 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 湯浅 博司 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日 立株式会社 呉工場内 (56)参考文献 特開 昭60−12152(JP,A) 特開 平4−235754(JP,A) 特開 平4−243551(JP,A) 特開 平4−310244(JP,A) 特開 平5−15794(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B02C 15/00 - 15/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平面上で垂直軸まわりに回転する回転
    テーブルと、荷重伝達点としておよび振り子状動作の支
    軸としてのローラピボツトを介して加圧用フレームに保
    持され、回転テーブルの外周側上面に周辺面を押圧され
    た状態で回転する複数個の粉砕ローラを以て原料を粉砕
    する粉砕装置において、 ローラピボツトおよびローラピボツトの摺動面を刻設さ
    れた受け座となるピボツトボツクスを構成する材質を、
    粉砕ローラごとに異ならせたことを特徴とする粉砕装
    置。
  2. 【請求項2】 水平面上で垂直軸まわりに回転する回転
    テーブルと、荷重伝達点としておよび振り子状動作の支
    軸としてのローラピボツトを介して加圧用フレームに保
    持され、回転テーブルの外周側上面に周辺面を押圧され
    た状態で回転する複数個の粉砕ローラを以て原料を粉砕
    する粉砕装置において、 ローラピボツトをおよびピボツトボツクスの形状を、粉
    砕ローラごとに異ならせたことを特徴とする粉砕装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載において、ローラピボツト
    を分割体として構成したことを特徴とする粉砕装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載において、ローラピボツト
    およびピボツトボツクスを段付きの構造としたことを特
    徴とする粉砕装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4記載において、同一ロ
    ーラミル内の複数個の粉砕ローラに対し、構造の異なる
    ローラピボツトあるいはピボツトボツクスを各粉砕ロー
    ラに適用し、同一ローラミル内においてローラピボツト
    を支軸とする首振りの摩擦状態が異なるように、粉砕ロ
    ーラの振り子式支軸装置を構成したことを特徴とする粉
    砕装置。
JP05016466A 1993-02-03 1993-02-03 粉砕装置 Expired - Fee Related JP3112591B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05016466A JP3112591B2 (ja) 1993-02-03 1993-02-03 粉砕装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05016466A JP3112591B2 (ja) 1993-02-03 1993-02-03 粉砕装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06226126A JPH06226126A (ja) 1994-08-16
JP3112591B2 true JP3112591B2 (ja) 2000-11-27

Family

ID=11917039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05016466A Expired - Fee Related JP3112591B2 (ja) 1993-02-03 1993-02-03 粉砕装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3112591B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104722364A (zh) * 2015-04-20 2015-06-24 禹伟 一种可滑动式碾碎机

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06226126A (ja) 1994-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3112591B2 (ja) 粉砕装置
JP3115444B2 (ja) ローラミル
JP3096779B2 (ja) ローラミル
JPH06226129A (ja) 粉砕装置
JP3115446B2 (ja) 竪型ローラミル
JP3067812B2 (ja) ローラミル装置
JPH09103697A (ja) ローラミル
JP3346842B2 (ja) ローラミル
JP3655347B2 (ja) ローラミル
JPH11276919A (ja) ローラミル
JP3681544B2 (ja) ローラミルの運転制御装置
JPH07222933A (ja) 粉砕用ローラミルおよびそれを用いた低振動粉砕処理方法
JP3096071B2 (ja) ローラミル
JPH06198206A (ja) ローラミル
JP2928619B2 (ja) ローラミル装置およびその運転方法
JPH0919643A (ja) ローラミル
JP3270202B2 (ja) ローラミルおよびその粉砕方法
JPH0386255A (ja) 微粉炭生成用竪形ローラミル
JPH08155317A (ja) ローラミル
JP2023511549A (ja) 角度が設定された粉砕ローラーを有するローラーミル
JPH08155319A (ja) ローラミル
JPH0947676A (ja) ローラミル
JP2000354778A (ja) ローラミルの粉砕部構造
JPH04371241A (ja) ローラミルのローラ支持装置
JPH06320029A (ja) ローラミル

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070922

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees