JP3655347B2 - ローラミル - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、石炭等の固体燃料や石灰石等の固体原料を微粉砕するローラミルに係わり、主として自励振動の発生を抑制し、広域負荷・多炭種運用を達成することのできるローラミルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火力発電用や一般産業用の微粉炭焚きボイラでは、低公害燃焼(低NOx、灰中未燃分低減)や広域負荷操業が実施され、それに伴い微粉炭機(ミル)も高い性能が要求されている。
【0003】
石炭、セメント原料あるいは新素材原料などの塊状物を細かく粉砕するミルの一つのタイプとして、回転するテーブルと複数個のタイヤ形ローラの連動作用で微粉砕を行う竪型のローラミルが広く用いられるようになり、大型の新鋭火力発電プラント等で常用されている。
【0004】
この種のミルは、竪型の円筒形状をしたハウジング(ケーシング)の下部にあって電動機で駆動され、減速機を介して低速回転する略円板型の回転テーブルと、その回転テーブルの外周部の上面において円周方向へ等分する位置へ油圧あるいはスプリング等で圧加されて回転する複数個のタイヤ形をした粉砕ローラを備えている。
【0005】
回転テーブルの中心へ原料供給管(シュート)から供給された粉砕原料は、回転するテーブル上において遠心力によりテーブルの外周へ移動し、テーブルの粉砕レース面と粉砕ローラの間にかみ込まれて、粉砕ローラにより圧縮粉砕される。
【0006】
ミルハウジングの下部には、ダクトを通して200〜300℃の熱風が導かれており、この熱風がテーブルとハウジングの間にあるエアスロートを通り、ミル内の粉砕部へ吹き上げられている。
【0007】
粉砕された後の粉粒体は、エアスロートから吹き上げる熱風によってハウジング内を上昇する過程で乾燥される。ハウジングの上方へ輸送された粉粒体のうち粗いものは重力により落下し(1次分級)、粉砕部で粉砕ローラにより再粉砕される。この1次分級部を貫通してさらに上方へ輸送されたやや細かな粉粒体は、ハウジングの上部に設けたサイクロンセパレータ(固定式)あるいはロータリーセパレータ(回転分級機)で再び遠心分級される(2次分級)。所定の粒径より小さな微粉は気流により搬送され、ボイラでは微粉炭バーナへ、あるいは鉄鋼プロセスの高炉吹き込み用では微粉貯蔵ビンへと送られる。
【0008】
分級機を通過しなかった所定粒径以上の粗粉は、結果的に回転テーブル上へ重力により落下し、ミル内へ供給されたばかりの原料あるいは1次分級された粗粒とともに再び粉砕される。以上のような動作により、ミル内では粉砕が繰り返され、所定の粒度を満足する微粉が生成されていく。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ローラミルを低負荷で運用する場合や停止運用をする場合、問題となるのはミルの振動である。この振動現象は、炭層とローラのすべりに起因する一種の摩擦振動であり、振動のタイプとしては自励振動の一種である。普通の石炭では、図14に示すように、低負荷運用時(ミル内における石炭ホールドアップの少ない条件)にこの振動が激しくなることが多いが、石炭種によってはかなりの高負荷時にも発生することがある。
【0010】
図12は、従来式ローラミルにおける粉砕ローラの支持構造を示す断面図で、図13のA−A方向から見た断面図、図13は図12のB−B方向から見た平面図である。
【0011】
このタイプのローラミルでは、ローラブラケット1204を介して、ローラピボット1206を支軸として、粉砕ローラ1201が首振り可能なように支持される。この首振り機能は大変に重要であり、粉砕ローラ1201が鉄片等粉砕されにくい異物をかみ込んだ場合、粉砕ローラ1201は首を振ることによって衝撃を回避することができる。また粉砕ローラ1201や粉砕レース1211が磨耗変形したときには、適切な押圧位置(粉砕ローラ1201と粉砕レース1211との位置関係)を自動調心的に見つけ出す作用も、この首振り機能にはある。 なお、図中の1202はローラシャフト、1203はローラ回転軸、1205はピボットブロック、1207は加圧フレーム、1208は粉砕荷重、1209は回転テーブル、1210はテーブルリング、1212は圧縮粉層、1213はテーブル回転軸、1214は原料粉層、1215はピボット軸心である。図13では原料粉層の表示を省略している。
【0012】
一般に、高負荷粉砕時には、粉砕ローラ1201はほとんど振り子運動をすることがない。上記したように、ミルの起動時あるいは負荷上昇時などにおいて粉砕ローラ1201が原料を活発にかみ込む場合には、粉砕ローラ1201は首を振るものの、この振り子動作は自励振動の発生には直結しない。
【0013】
一方、粉砕ローラ1201が激しく自励振動する場合には、図15に示すように、粉砕ローラ1501は3個とも略同時に外側へ横ずれし(β)、次いで図16のように上下振動する(γ)。3個の粉砕ローラ1501は、同期して(同位相で)一緒に上下振動する。ある一つの粉砕ローラ1501が横ずれ状の首振り運動(β)を起こし、粉砕ローラ1501の上下振動(γ)が生じると、この動きは3個の粉砕ローラ1501を上方から加圧支持する一体型加圧フレーム(図12の加圧フレーム1207)あるいはテーブルやその上の粉層を伝わって他の粉砕ローラへ瞬時に伝播する。これが粉砕ローラの自励振動である。
【0014】
なお、図15、図16において、1502はローラピボット、1503は回転テーブル、1504は粉砕リング、1505は粉砕レース、1506はテーブル回転軸、1507は原料粉層、1508は圧縮粉層、1509はローラ回転軸、1510は鉛直軸、1511は断面中心軸である。
【0015】
図13に示すように、従来のローラ支持方法では、ローラブラケット1204へ粉砕荷重を伝達する支持点であるローラピボット1206において、その対を結ぶピボット軸芯1215が、ローラ回転軸1203に対して直角(90°)になるように構成されていた。この構造によれば、自励振動発生の切っ掛けとなる粉砕ローラの振り子状の横ずれ動作〔図15の(β)〕が起きやすい。
【0016】
以上から、ミルの振動を、粉砕部のハードウェアの工夫によって抑止しようとするには、3個の粉砕ローラが同期して動くこと、すなわちこの挙動の切っ掛けとなる粉砕ローラの振り子状動作を起こさないようにすることが肝要であることが判る。
【0017】
本発明の目的は、以上のような考え方に基づき、粉砕ローラの横ずれ状の振り子動作を防ぎ、振動を起こすことなく広域負荷あるいは多種原料での運用を可能にするローラミルを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記した問題点を解決するために、本発明、外周に刻設された断面が円弧型をした溝部を有し、電動機で駆動されて回転する円形の回転テーブルと、粉砕荷重が加えられる加圧フレームと、その加圧フレームの下部にローラピボットを支軸として振り子運動が可能なように支持されて、前記回転テーブルの溝部に押圧された状態で回転する複数個のタイヤ形をした粉砕ローラとを備え、前記加圧フレームにより複数個の粉砕ローラを上方から加圧し、前記回転テーブルと複数個の粉砕ローラとの連動作用により粉砕原料を微粉砕するローラミルにおいて次のような手段を採用する。
【0019】
粉砕ローラのシャフトを粉砕ローラの背後から支持する構造のローラブラケットにおいて、ローラ軸芯に対し対称に設けられていて、荷重伝達点であると同時に粉砕ローラの振り子動作の支軸となるローラピボットの設置構成を、以下のように変更する。
【0020】
粉砕ローラの回転方向先端が内側、すなわち回転テーブルの中心軸側を向く如くに粉砕ローラの回転軸芯を回転テーブルの法線に対して傾斜させるようにローラピボット対を設置する。
【0021】
しかも、この角度θtを、
0.6°≦θt≦2.4° (1)
さらに、望ましくは、
1.2°≦θt≦1.8 (2)
の範囲に設定する。
【0022】
また、ローラピボット対は、粉砕ローラの回転軸芯に直角な1本の直線上で、かつ回転軸芯に対しては対称に配置する。ローラピボットは、単純な円柱体かこれに類似する形状のものであるが、具体的にはこのローラピボットを挿入するピボットブロックと呼ばれる部材を、上記したような構造になるように、ローラブラケットの上部および加圧フレームの下部に配置する。
【0023】
【作用】
上記したような手段により、粉砕ローラの回転方向先端を内側へ傾斜させることにより、自励振動発生の切っ掛けとなる粉砕ローラの横ずれ状の振り子動作(図15参照)が抑制され、自励振動が起きにくくなる。
【0024】
また、粉砕ローラの傾斜角度を最適な範囲とするために、粉砕ローラの回転方向先端における原料のかみ込みが良好であり、しかも粉砕ローラの回転に過大な負荷が加わらないので、粉砕動力も上昇することがない。つまり、粉砕能力(微粉生成性能)が確保され、粉砕効率(微粉生成能力と粉砕動力の比)の低下を招くことがなくなる。
【0025】
例えば、傾斜角度θtが前記(1),(2)式で示した範囲よりも小さ過ぎると、振動抑止効果が乏しい。
【0026】
一方、(1),(2)式で示した条件よりも傾斜角度θtを大きくし過ぎると、かみ込み部において、粉砕ローラと粉砕レースとで挟まれるスペースが縮小し、粉砕ローラのかみ込み性能が低下する。また、θtが過大ならば、空回転時に(粉砕ローラと粉砕レースがメタルタッチする)、粉砕ローラが粉砕レースの側面に乗り上げると滑り落ちて、粉砕レースの中央に衝撃的に落下する、といった特異な挙動が時折あらわれる。
【0027】
このケースでは、粉砕ローラの振動に合わせて、衝突音を発生し、周辺機器に衝撃力が及ぶので問題である。さらに、定常で安定に粉砕操業できる条件でも、粉砕ローラと粉砕レースが内側(回転テーブル側)で接触するために、偏磨耗が生じる可能性もある。
【0028】
従って、傾斜角度θtの最適化を図れば、以上のような問題が生じるおそれがなく、粉砕能力や粉砕効率が十分に確保された状態において、自励振動の抑止が達成されることになる。
【0029】
本発明に係る方法は、特殊な部材を新たに設置したりすることがないので、信頼性も高く、ミルの構造健全性を何等損なうことはない。さらに、一切の外部動力を使用しないために、運用コスト上も有利といえる。また、構造上シンプルであるので、つまりピボットブロックの設置位置変更のみであるので、製作コストも低く抑えることが可能である。傾斜角度θtが適正であるので、円柱体のローラピボットやこれを挿入するピボットブロック等の部材において、極端な変形を伴う偏磨耗や割れ(亀裂)等の損傷が生じることがない。
【0030】
【実施例】
図1は、本発明の実施例に係るローラ回転支持構造を具体化したローラミルの構造を、ミル全体の中心軸を通る縦方向断面図である。
【0031】
このローラミルの粉砕部は、大まかに、主要素である粉砕ローラ4と回転テーブル3により構成されている。本発明の特徴は、これら主要素のうち、粉砕ローラ4の回転支持構造にあるので、まず初めにこれについて説明する。
【0032】
図2は、粉砕部の上方からの視図として、粉砕ローラの支持構造を示したものである。
【0033】
粉砕ローラ201は、ローラブラケット202の上方の両肩部に左右対称に設けたローラピボット204を介して、加圧フレーム206によって支持されている。
【0034】
加圧フレーム206には、油圧による粉砕荷重(図1の粉砕荷重11)が加えられており、ローラピボット204が粉砕荷重の伝達点になっている。このローラピボット204は、粉砕ローラ201が振り子運動をする際の支軸にもなり、大変重要な役割を担っている。
【0035】
従来技術では、このローラピボット204が、回転テーブルの法線209に対して直角な直線210上にくるように設置していた。本発明においては、両ローラピボット204を結ぶピボット軸芯208を、従来式の軸芯210に対して、角度θtだけ傾斜させる。傾斜の方向は、粉砕ローラ201の回転方向先端部201′が内側、すなわち回転テーブル203の回転中心211を向くようにする。
【0036】
このように、粉砕ローラ201を支持した状態では、粉砕ローラ201の回転軸207が回転テーブル203の法線209に対して、やはり角度θtだけ傾斜することになる。ローラピボット204は、ピボットブロック205に挿入され、1本の直線であるピボット軸芯208上に、ローラ回転軸207を挟んで左右対称に配設される。
【0037】
図3では、本発明のように粉砕ローラの回転軸を傾斜させる方法が発明される切っ掛けとなったローラの動きを示し、本発明の原理を説明する。
【0038】
加圧フレーム(図1の加圧フレーム10、図2の加圧フレーム206)が傾いて、粉砕レース302と粉砕ローラ301の接触点が0→0′へと変化したと仮定する。0′は回転テーブル310や粉砕ローラ301の回転にとっては「上流側」に相当する。
【0039】
このような動きは、ローラミルにおいて実際に発生し、自励振動発生の切っ掛け(図15参照)になっている。
【0040】
さて、このように接触点0がテーブルの回転方向に対してずれたり、もしくは図15のように、横ずれするように外側へ振り子動作を起こす瞬間には、図3上で太線の矢印で示すような速度成分が発生する。
【0041】
横すべり方向の速度成分304と、転がり方向の成分305を合成すると、外側(回転テーブル310の外側、すなわちミルハウジング側)へ向くように粉砕ローラ301が回転テーブル310から受ける速度ベクトル306が生じる。
【0042】
この合成速度ベクトル306は、転がり方向の成分305に対して、角度θtだけ傾くことになる。
【0043】
この合成速度ベクトル306の成分が、自励振動を起こすように作用するので、外側へ向く角度θtだけをキャンセルするために、予め内側へ向けておくのが本発明の骨子である。
【0044】
図3において、粉砕ローラ301の位置は、回転方向先端301′が角度−θtだけ外側(ミルハウジング側)を向くようになっている。従って、このような位置にくることがないように、粉砕ローラ301と粉砕レース302との接触点0を、0′とは逆の方向へ予めずらしておくのが、図2に示したローラ支持法である。
【0045】
なお、図中の303は接触点、307はローラ回転軸、308はテーブル回転軸である。
【0046】
図4に示すように、粉砕ローラ401の回転方向先端401′を内側(テーブル回転軸405の方向)へ傾けると、原料かみ込み部404のスペースが狭くなる。従って、この傾き角度も適正な条件に設定しなければ、粉砕性能にも影響が生じる。
【0047】
一方、駆動源である回転テーブル402に対し、粉砕ローラ401が傾いて回転することになるので、回転負荷が増大する可能性もある。従って、傾斜角度θtの適正化が重要であり、この設定法が本発明のポイントである。本発明では、この傾斜角度θtを、
0.6°≦θt≦2.4° (1)′〔(1)式と同じ〕
の範囲内から設定する。より望ましくは、
1.2°≦θt≦1.8 (2)′〔(2)式と同じ〕
の条件より選定すればよい。
【0048】
この適正化条件は、後述するように実験により確認され、(1)′式あるいは(2)′式を満足すれば、粉砕動力を上昇させず、また微粉粒度を低下させず、粉砕効率を一定に確保したまま自励振動を抑止できる。
【0049】
順序が逆になったが、本発明の実施例に係るローラ回転支持を採用したローラミルの全体構成を図1とともに説明する。
【0050】
原料1は、ミル上部の中心軸上にある原料供給管(センタシュート)2から供給され、ミルの下部で回転する回転テーブル3上に落下する。回転テーブル3上の原料には遠心力が働き、回転テーブル3の外周にある粉砕リング12上に供給されて、この粉砕リング12の上面に刻設され、断面が略円弧型をした粉砕レース13の上で、粉砕ローラ4により圧縮粉砕される。
【0051】
前述したように、この実施例のローラミルでは、粉砕ローラ4の回転方向先端を、内側(回転テーブル3の中心軸側)方向へ、適正な角度θtだけ傾けている。
【0052】
この粉砕部において粉砕されて生成した粉体は、スロートベーン17の間を貫通して、ミル内へ吹き込まれる熱風16により乾燥されながら、ミルの上方へ輸送される。
【0053】
粗い粒子は重力により回転テーブル3上に落下し(1次分級)、粉砕部で再粉砕される。この1次分級部を通過した粒子群は、回転分級機19により遠心分級される(2次分級)。比較的粗い粒子は、回転分級機19の羽根の間を通過し、製品微粉として微粉ダクト22から排出される。石炭の場合は、微粉炭バーナへ直接送られるか(熱風16が燃焼用1次空気となる)もしくは貯蔵ビンへ回収される。
【0054】
図中の5はローラブラケット、6はローラシャフト、7はローラ回転軸、8はピボットボックス、9はローラピボット、11は粉砕荷重、14は原料粉層、15は圧縮粉層、18はテーブル回転軸、20はミルハウジング、21はダムリング、23は製品微粉である。
【0055】
ここでは、本発明において粉砕ローラの傾斜角度θtの適正化を見つけ出したプロセスを、実験結果を基に説明する。
【0056】
図5は、バッチ(回分)式の粉砕部モデル装置を用いた試験結果を示す特性図である。
【0057】
この特性図は、粉砕荷重Mに対する振動の振幅δocの変化をまとめたものである。横軸の粉砕荷重Mは、定格粉砕条件における荷重M(*)を用いて無次元化した。また縦軸の振幅δocも、従来技術〔傾斜角度θt=0のとき、荷重をM=M(*)とした場合〕の振幅δoc(*)で割ることにより無次元にした。
【0058】
同図に示すように、無対策(ローラの傾斜角度θt=0°)の場合、振幅は荷重とともに急激に増大する。傾斜角度θt=0.8°とすると、同一の荷重Mで比較すると振幅は低下するが、効果は必ずしも十分とは言えない。傾斜角度θt=1.5°の場合は、0≦M/M(*)≦1.0の領域で振幅が緩やかに増大するものの、振幅レベルではかなり低く抑えられる。1.0≦M/M(*)≦1.5の範囲では、振幅が低下する特性も表れる。また傾斜角度θt=1.5°の振幅特性は、傾斜角度θt=3.0の場合と略同一である。以上の結果から、次のようにまとめられる。
【0059】
(1)ローラの傾斜角度θt=1.5°とすることにより、振幅を十分に低下させることが可能である。
【0060】
(2)傾斜角度θt=3.0°としても、振動レベルは傾斜角度θt=1.5°の場合と同じであり、傾斜角度θtを大きくすることによる回転抵抗の増大を考えれば、傾斜角度θt=1.5°が妥当である。
【0061】
図6も、バッチ式の粉砕部モデル装置を用いた基礎実験結果であり、粉砕荷重Mに対する粉砕トルクTの変化をまとめたものである。縦軸の粉砕トルクTは、従来技術(傾斜角度θt=0°)において、M=M(*)とした場合の粉砕トルクT(*)を用いて、無次元化して表した。
【0062】
粉砕トルクTは、荷重とともに略直線状に増大するが、傾斜角度θt=0.8°および1.5°の粉砕トルクTは、従来法である傾斜角度θt=0°の場合と略同等である。これに対し、傾斜角度θt=3.0°とすると、トルクTはやはり荷重Mとともに直線状に増大するものの、その直線の勾配〔T/T(*)〕/〔M/M(*)〕は他の条件よりも大きい。言い換えれば、傾斜角度θt=3.0°とする場合は、過大な回転負荷が生じることになる。以上をまとめれば、
(1)少なくとも傾斜角度θtが1.5°までであれば、回転負荷は増大しない。
【0063】
(2)傾斜角度θtを3.0°とすると回転負荷は増大するので、傾斜角度としては適切とは言えない。
【0064】
このような特性は、粉砕ローラの寸法を変更すれば(例えば薄くする)解消する可能性もあるが、そのことによる粉砕能力の低下があるので、上記した傾斜角度θtの特性は所定の粉砕能力を有するミルに対しては概ね妥当なものと言える。
【0065】
図7は、微粉生成能力を調べた基礎実験の結果をまとめた特性図である。
【0066】
バッチ式の粉砕法により、回転テーブルの累積回転数rに対する粒度の上昇特性を求め、傾斜角度θtの影響を比較した。累積回転数rは基準条件r(*)により無次元化して表した。また、縦軸の粒度qも、傾斜角度θt=0°の条件下でr=r(*)の場合に得られた粒度q(*)により相対値q/q(*)として表した。
【0067】
一般に、回転数rの増加とともに粒度は細かくなる。前述した本発明に係る傾斜角度θtの範囲であれば、略ばらつきの範囲内で粒度は同等である。これに対し、傾斜角度θtを本発明で指定した領域よりも大きくすると、粒度q/q(*)は全般的に粗い。従って、傾斜角度θtが過大であれば、明らかに微粉生成能力が低下することになる。以上より、
傾斜角度θtが大き過ぎれば、粉砕トルクTが増大し、微粉粒度も低下するので、粉砕効率も減少することになる。
【0068】
この理由は以下の2点である。
【0069】
(a)傾斜角度θtを大きくすることによる回転負荷の増大。
【0070】
(b)図4で示したように、粉砕ローラのかみ込み部のスペース縮小による原料かみ込み能力の低下。
【0071】
図8は、パイロットスケールのローラミルを用いた試験結果を示す特性図である。
【0072】
粉砕ローラの傾斜角度θtによる石炭粉砕時の振幅δocの変化を示したものである。縦軸の振幅δocは、傾斜角度θt=0°(従来技術)における粉砕時の振幅δoc(*)を用いて無次元化して表した。振幅δocは、傾斜角度θtの増加とともに急激に減少し、1°<θt<2°の範囲でほぼ最低となるが、傾斜角度θtを大きくしていくと、振幅δocは再び上昇する傾向を示す。
【0073】
以上から、本発明になる傾斜角度θtの適正範囲〔(1),(2)式〕であれば、概ね振幅を十分に軽減できることが分かる。
【0074】
図9は、図8と同様にパイロットスケールのローラミルを用いた試験の結果を示す特性図であり、粉砕ローラと粉砕レースがメタルタッチ状態となる空回転時の振動に着目している。その振幅δoc(m−t)を粉砕ローラの傾斜角度θtに対する変化としてまとめたものである。θoc(m−t)は、傾斜角度θt=0°(従来技術)における振幅δoc(m−t)で割り、無次元化して表している。図中のqは微粉粒度、q(*)は基準微粉粒度、mは動力原単位、m(*)は基準動力原単位である。傾斜角度θtが少なくとも2°未満であれば、θoc(m−t)の増加は見られず、特に問題となることはない。
【0075】
しかし、傾斜角度θt>2.4°になれば、θoc(m−t)が急激に増大する。この激しい振動は、再現性よく生じるものではないが、前述したように粉砕ローラと粉砕レースの接触位置が安定化しないことによる振動であり、生じた場合にはかなり大きな衝撃が発生する。従って、粉砕ローラの傾斜角度θtは2.4°以下にしなければならないことが分かる。
【0076】
図10は、パイロットスケールのローラミルにおいて、様々な給炭量で石炭を連続粉砕した試験結果であり、微粉炭の粒度と動力原単位(粉砕動力を粉砕処理量で割った値)の関係を示すものである。
【0077】
縦軸の動力原単位m(*)は、定格給炭量において傾斜角度θt=0°とした場合の基準動力原単位を用いて無次元化している。このm値は、大きい方が、ある量の石炭を粉砕するのに要する粉砕動力が高いことを意味しており、粉砕効率が低いということになる。横軸の微粉炭粒度qは、基準とする条件(傾斜角度θt=0°、定格給炭量)における粒度q(*)で割ることにより相対値として表した。
【0078】
同一の粒度で比較すれば、本発明に係る傾斜角度θtにおける動力原単位m値に対し、傾斜角度θtを過大にすれば、m値が増大することが分かる。この結果から、本発明のように傾斜角度θtの設定量を採用すれば、粉砕能力に関して、殆ど変化の生じないことが実証されたと言える。
【0079】
従って、本発明を実施することにより、粉砕能力を一定に確保したまま、自励振動の軽減が達成されることが確認された。
【0080】
図11は、ミル内における石炭ホールドアップに対する振動の振幅の変化をまとめ、本発明の実施例と従来技術とを比較したものである。
【0081】
縦軸の振幅δocは、粉砕ローラと粉砕レースがメタルタッチする空回転時の振幅δoc(*)で割られて無次元化されている。一方、横軸のホールドアップWは、ミルが定格給炭量で運用されたときのホールドアップW(*)で割られて無次元化されている。
【0082】
この実験結果は、炭質の影響により比較的激しい振動を起こしやすい石炭を粉砕したときに得られたものである。従来技術(図13)では、低負荷域(W/W(*)≦0.38)で著しく振幅が増大するのに対し、本発明を具体化した形状の回転テーブルを搭載するローラミルでは、振幅の大幅な低減が可能であることが実証された。本発明の実施例の場合でも、他のホールドアップの条件よりは、W/W(*)≦0.38の近傍において振幅がやや大きくなるが、この振動は自己増幅的な自励振動ではなく、強制振動の1タイプである。
【0083】
本発明に係るローラ回転支持構造を具体化したローラミルは、実施例において説明した石炭焚きボイラ用のローラミルに限らず、
(1)同じ固体燃料であるオイルコークス用のミル
(2)脱硫用の石灰石を微粉砕するためのミル
(3)鉄鋼スラグや非鉄精錬スラグ等の硬質スラグを微粉砕するミル
(4)セメントクリンカを微粉砕するセメント仕上げ用のミル
(5)各種化学製品の原料を微粉砕するミル
(6)FRP(繊維強化プラスチック)廃材等の産業廃棄物の再利用のための微粉砕のミル
における自励振動抑制技術として適用することができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明を実施することによる効果をまとめると、次のようになる。
【0085】
(1)ミルの自励振動を防止できる。本発明は、低負荷運用時に発生する自励振動に比べて、より激しい振動になりやすいミル停止時の振動の防止に対しても有効である。
【0086】
(2)上記効果(1)に関連し、ミル自体およびミル周辺にあるプラント機器の信頼性や耐久性が向上する。
【0087】
(3)上記効果(1)に関連し、プラント内従業員の不快感がなくなり、作業能率が向上する。
【0088】
(4)低負荷運用時にミルの振動を抑制できるため、装置の広域負荷運用が可能になる。
【0089】
(5)ミルの入れ、切り(複数台あるミルのうち1台が停止し、他の1台が起動したりすること)が容易になり、装置の運用性が大幅に向上する。
【0090】
(6)自励振動を起こしやすいと危惧される石炭種や固体燃料も問題なく使用できるようになる。
【0091】
これによって、ミルに対する粉砕原料の適用性が大幅に拡大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るローラ回転支持構造を採用したローラミルの全体構成を示す縦方向断面図である。
【図2】 図1に示したローラミルの粉砕部の平面図である。
【図3】 粉砕ローラの挙動を示す図である。
【図4】 本発明を実施することによる粉砕部の状態変化を示す図である。
【図5】 小型の装置を用いた実験結果を示す特性図である。
【図6】 小型の装置を用いた実験結果を示す特性図である。
【図7】 小型の装置を用いた実験結果を示す特性図である。
【図8】 大型の設備を用いた試験結果を示す特性図である。
【図9】 大型の設備を用いた試験結果を示す特性図である。
【図10】 大型の設備を用いた試験結果を示す特性図である。
【図11】 従来技術と本発明の実施例とを比較した振幅特性図である。
【図12】 従来式ローラ回転支持構造を示す断面図である。
【図13】 従来式ローラ回転支持構造を示す平面図である。
【図14】 自励振動の発生条件を示す特性図である。
【図15】 自励振動発生時のローラの挙動を示す説明図である。
【図16】 自励振動発生時のローラの挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
1 原料
3 回転テーブル
4 粉砕ローラ
7 ローラ回転軸
12 粉砕リング
13 粉砕レース
14 原料粉層
18 テーブル回転軸
201 粉砕ローラ
203 回転テーブル
207 ローラ回転軸
209 回転テーブルの法線
210 回転テーブルの法線に直角な線
211 回転テーブルの回転中心
θt 粉砕ローラの傾斜角度

Claims (1)

  1. 外周に刻設された断面が円弧型をした溝部を有し、電動機で駆動されて回転する円形の回転テーブルと、
    粉砕荷重が加えられる加圧フレームと、
    その加圧フレームの下部にローラピボットを支軸として振り子運動が可能なように支持されて、前記回転テーブルの溝部に押圧された状態で回転する複数個のタイヤ形をした粉砕ローラとを備え、
    前記加圧フレームにより複数個の粉砕ローラを上方から加圧し、
    前記回転テーブルと複数個の粉砕ローラとの連動作用により粉砕原料を微粉砕するローラミルにおいて、
    前記粉砕ローラの回転方向先端部が回転テーブルの回転中心側に向くように、粉砕ローラの回転中心軸を前記回転テーブルの法線に対して、0.6°〜2.4°の範囲内で傾斜させるように、前記ローラピボットを設置したことを特徴とするローラミル。
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