JP3111681B2 - 層間強度に優れる紙または板紙の製造方法 - Google Patents

層間強度に優れる紙または板紙の製造方法

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JP3111681B2
JP3111681B2 JP04244540A JP24454092A JP3111681B2 JP 3111681 B2 JP3111681 B2 JP 3111681B2 JP 04244540 A JP04244540 A JP 04244540A JP 24454092 A JP24454092 A JP 24454092A JP 3111681 B2 JP3111681 B2 JP 3111681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙または板紙(以下、
特に区別する必要がないかぎり、両者を含めて単に紙と
いう)の製造方法に関するものであり、さらに詳しく
は、2枚以上の紙匹を重ねて抄き合わせるにあたり、特
定の薬剤を適用して、層間強度に優れる紙を製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2層以上の紙層からなる紙は、例えば段
ボール原紙、紙器用板紙、紙管原紙などに利用されてい
る。このような紙は、一般に抄紙工程で2枚以上の紙匹
を抄き合わせて製造されているが、時として層間に剥離
を生じ、種々のトラブルを発生させることがある。一例
として、フィルム、箔、織物、薄紙などを巻く心棒の製
造に用いられる紙管原紙のように、多層で抄き合わされ
たものでは、紙層間の強度不足により、フィルム、織
物、薄紙などを巻き取るときに層間で剥離を起こすと、
紙管がつぶれてしまうことになる。そこで、より層間強
度の高い紙が望まれてきた。
【0003】従来、層間剥離強度を向上させるために
は、一般にデンプン系の薬剤が用いられており、そして
そのデンプン系薬剤を改良する方策として、種々の提案
がなされている。例えば、特開平 1-298296 号公報に
は、特定の糊化開始温度を有する尿素硫酸エステル化デ
ンプンをスプレーする方法が開示されており、また特開
平3-90695号公報には、可溶性リン化合物の少ない尿素
リン酸エステル化デンプンをスプレーする方法が開示さ
れている。しかしながら、これらデンプン系の薬剤を用
いる方法では、効果の点および作業性の点で、必ずしも
十分満足しうる結果が得られていなかった。
【0004】作業性の面について説明すると、例えば液
状デンプンの場合は、粘度が高いため、薬剤の送り込み
作業、水で希釈するときの攪拌作業などにおいて、操作
が厄介となり、また変性デンプンを含めてデンプン類は
極めて腐敗しやすいため、液状のままでの常温保存は困
難である。一方、粉体デンプンの場合は、水分散および
糊化のために、蒸煮工程およびそのための設備が必要に
なるとともに、糊化したあとは、上記液状デンプンと同
様の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2枚
以上の紙匹を抄き合わせて得られる紙の層間強度向上効
果に優れ、かつ適用する際の作業性が良好な薬剤を提供
することである。
【0006】本発明の別の目的は、かかる薬剤を用いて
紙を製造する方法を提供することである。
【0007】このような目的を達成すべく鋭意研究を行
った結果、従来のデンプン系薬剤とは異なる特定のアク
リルアミド系ポリマーを用いることにより、層間強度を
向上させうることを見出し、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
式(I)で示される構造単位を有する熱硬化性水溶性樹
脂を用いて紙匹を調製し、他の紙匹と抄き合わせること
による紙の製造方法を提供するものである。
【0009】
【化4】
【0010】(式中、Rは水素またはメチルを表し、n
は0〜4の整数を表す)
【0011】本発明で用いる熱硬化性水溶性樹脂は、実
質的に式(I)で示される構造単位のみからなるもので
あってもよいし、また他の構造単位を含んでいてもよ
い。式(I)で示される構造単位は、一般には樹脂中に
5モル%以上存在するのが好ましく、より好ましくは1
0モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上存在す
る。
【0012】式(I)以外の構造単位は、アクリルアミ
ドまたはメタクリルアミドから導かれる式(II)
【0013】
【化5】
【0014】(式中、Rは前記の意味を有する)
【0015】で示されるものや、アクリルアミドと共重
合可能な他の不飽和モノマーから導かれるものでありう
る。
【0016】式(I)で示される構造単位を有する熱硬
化性水溶性樹脂は一般に、式(III)
【0017】
【化6】OCH−(CH2)n−CHO (III)
【0018】(式中、nは前記の意味を有する)
【0019】で示されるジアルデヒドと、式(IV)
【0020】
【化7】
【0021】(式中、Rは前記の意味を有する)
【0022】で示されるアクリルアミド系モノマーとを
反応成分とし、ジアルデヒドの付加反応およびビニル基
の重合反応によって製造することができる。アクリルア
ミドと共重合可能な他の不飽和モノマーから導かれる構
造単位を存在させる場合は、反応の任意の段階で、かか
る不飽和モノマーを重合に関与させればよい。
【0023】式(III)で示されるジアルデヒドの具体例
としては、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシ
ンアルデヒド、グルタルアルデヒドなどが挙げられる
が、工業的にはグリオキザールが最も好ましく用いられ
る。また式(IV)で示されるアクリルアミド系モノマー
の具体例は、アクリルアミドおよびメタクリルアミドで
ある。
【0024】他の不飽和モノマーを共重合させる場合
は、カチオン性不飽和モノマー、アニオン性不飽和モノ
マーおよびノニオン性不飽和モノマーのいずれも用いる
ことができる。
【0025】カチオン性不飽和モノマーの具体例として
は、2−メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニ
ウムクロリド、2−アクリロイロキシエチルトリメチル
アンモニウムメトサルフェート、2−メタクリロイロキ
シエチルトリエチルアンモニウムクロリド、3−メタク
リロイロキシプロピルトリメチルアンモニウムメトサル
フェート、2−ビニルピリジン、2−ビニル−N−メチ
ルピリジニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウ
ムクロリド、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン、
(p−ビニルフェニル)トリメチルアンモニウムクロリ
ド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニ
ウムクロリドなどが挙げられる。
【0026】アニオン性不飽和モノマーの具体例として
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のような不
飽和酸、およびこれらの塩などが挙げられる。
【0027】ノニオン性不飽和モノマーの具体例として
は、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチルのような
(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレ
ン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0028】これら共重合可能なモノマーは、1種のみ
を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以
上併用する場合は、カチオン性モノマー同士、アニオン
性モノマー同士、あるいはノニオン性モノマー同士を、
それぞれ組み合わせてもよいし、またイオン性の異なる
モノマーを組み合わせてもよい。例えば、2−メタクリ
ロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとア
クリル酸の併用、あるいはジアリルジメチルアンモニウ
ムクロリドとイタコン酸の併用のような、カチオン性モ
ノマーとアニオン性モノマーの組合せが挙げられる。
【0029】式(I)で示される構造単位を有する熱硬
化性水溶性樹脂の具体的合成方法は特に限定されるもの
でないが、例えば、式(III)のジアルデヒドと式(IV)
のアクリルアミド系モノマーを反応させ、次いでその反
応混合物を重合させる方法、あるいは、式(IV)のアク
リルアミド系モノマーを重合させ、次いでそのポリマー
に式(III)のジアルデヒドを反応させる方法が採用しう
る。
【0030】いずれの場合も式(IV)のアクリルアミド
系モノマー1モルに対し、式(III)のジアルデヒドを
0.1〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。これによ
り、式(I)で示される構造単位、すなわちジアルデヒ
ドで変性された(メタ)アクリルアミド単位を10〜1
00モル%、そして式(II)で示される構造単位、すな
わち未変性の(メタ)アクリルアミド単位を0〜90モ
ル%含有する熱硬化性水溶性樹脂が得られる。
【0031】式(I)で示される構造単位、あるいはさ
らに式(II)で示される構造単位とともに、他の共重合
可能な不飽和モノマーから導かれる構造単位を有する熱
硬化性水溶性樹脂は、例えば、式(III)のジアルデヒド
と式(IV)のアクリルアミド系モノマーを反応させ、次
いでその反応混合物を他の不飽和モノマーとともに共重
合させることによって、得ることができる。また別に、
式(IV)のアクリルアミド系モノマーと他の共重合可能
な不飽和モノマーを共重合させて、式(II)で示される
構造単位と他の不飽和モノマーから導かれる構造単位と
を有する共重合体を得、これに式(III)のジアルデヒド
を反応させることによっても、得ることができる。
【0032】これらいずれの場合も、式(IV)のアクリ
ルアミド系モノマー1モルに対し、式(III)のジアルデ
ヒドを0.1〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。ま
た他の不飽和モノマーは、式(IV)のアクリルアミド系
モノマー1モルに対し、通常1.0モル以下の範囲で用い
られる。これにより、式(I)で示される構造単位、す
なわちジアルデヒドで変性された(メタ)アクリルアミ
ド単位を5〜100モル%、式(II)で示される構造単
位、すなわち未変性の(メタ)アクリルアミド単位を0
〜90モル%、そして他の不飽和モノマーから導かれる
単位を0〜50モル%含有する熱硬化性水溶性樹脂が得
られる。
【0033】式(III)のジアルデヒドと式(IV)のアク
リルアミド系モノマーを反応させるにあたっては、水溶
液中、通常pH5〜8で行われる。反応温度は特に限定
されないが、通常は20〜60℃程度であり、好ましく
は35〜45℃程度である。この際、式(IV)のアクリ
ルアミド系モノマー1モルに対し、式(III)のジアルデ
ヒドを0.1〜1.0モル用いるのが好ましく、より好まし
くは、式(IV)のアクリルアミド系モノマーに対し0.3
〜0.8モル比、さらには0.4〜0.8モル比の範囲で、式
(III)のジアルデヒドを用いる。アクリルアミド系モノ
マーに対するジアルデヒドのモル比が0.1を下回ると十
分な性能が得られにくくなり、また1.0を越えるモル比
でジアルデヒドを使用しても性能の向上はみられないた
め、経済的に不利となる。こうしてジアルデヒドとアク
リルアミド系モノマーを反応させたあとの重合は、通常
ラジカル重合によって行われる。
【0034】また他の不飽和モノマーを共重合させる場
合は、ジアルデヒドとアクリルアミド系モノマーを反応
させたあと、共重合可能な他の不飽和モノマーを反応後
の水溶液に混合し、ラジカル重合を行う。この際、他の
不飽和モノマーは、ジアルデヒドとの反応に用いた式
(IV)のアクリルアミド系モノマー1モルに対し、通常
1.0モル以下の範囲で用いられる。好ましくは、他の不
飽和モノマーとアクリルアミド系モノマーとのモル比が
1〜15/85〜99の範囲となるようにする。アクリ
ルアミド系モノマーに対し、1.0を越えるモル比で他の
不飽和モノマーを用いた場合、層間強度の向上に作用す
るジアルデヒドとアクリルアミド系モノマーの反応物、
すなわち式(I)で示される構造単位のモル比が減少
し、性能が低下するので、好ましくない。
【0035】重合にあたっては、通常、重合開始剤が用
いられる。重合開始剤は、水溶性ラジカル重合開始剤で
あれば特に制限はなく、例えば過硫酸カリウム、過硫酸
アンモニウムなどが用いられる。また、このような重合
開始剤と還元剤を併用するレドックス系で重合を行って
もよい。さらには、通常の連鎖移動剤を用いることもで
きる。使用しうる連鎖移動剤としては、メルカプタン、
アルコール、アミンのような有機化合物、チオ硫酸ナト
リウム、重亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムの
ような無機化合物など、一般に用いられているものが挙
げられる。
【0036】重合温度は、開始剤の量によっても変化し
うるが、通常は40〜100℃程度が好ましい。40℃
以下では、十分な反応率を得るのが難しく、また40℃
以下で十分な反応率を得るために反応時間を長くすると
着色が大きくなるので、好ましくない。通常は、生成物
の樹脂濃度を10重量%としたときの25℃における粘
度が6〜100cps 、好ましくは6〜20cps になるま
で重合を続けたあと、系のpHを3.0〜5.0に調整する
ことにより、本発明で用いる熱硬化性水溶性樹脂の水溶
液が得られる。
【0037】一方、式(IV)のアクリルアミド系モノマ
ーを重合させ、次いで式(III)のジアルデヒドを反応さ
せる場合、あるいは、式(IV)のアクリルアミド系モノ
マーと他の不飽和モノマーを共重合させ、次いで式(II
I)のジアルデヒドを反応させる場合は、実質的に式(I
I)で示される構造単位のみからなるアクリルアミド系
ホモポリマーまたは、式(II)で示される構造単位と他
の不飽和モノマーから導かれる構造単位とを有する共重
合体に対し、水溶液の状態でジアルデヒドを、通常10
〜30重量%の反応成分濃度、反応液のpH5.5〜7.
0、温度20〜80℃程度で、反応させる。反応液のp
Hは、反応の進行とともに徐々に低下するので、随時
5.5〜7.0の範囲に調整する。この場合も通常は、生成
物の樹脂濃度を10重量%としたときの25℃における
粘度が6〜100cps 、好ましくは6〜20cps になる
まで反応を続けたあと、系のpHを3.0〜5.0に調整す
ることにより、本発明で用いる熱硬化性水溶性樹脂の水
溶液が得られる。
【0038】こうして得られる式(I)の構造単位を有
する熱硬化性水溶性樹脂は、一般に水溶液の状態になっ
ている。そして本発明では、かかる熱硬化性水溶性樹脂
を通常、水溶液のまま紙匹に適用することができる。紙
匹に適用する水溶液中の樹脂濃度は、0.01〜10重量
%程度が適当である。
【0039】この樹脂を紙匹に適用するにあたって、そ
の方法に特別な制限はなく、抄き合わされる2枚の紙匹
のうち、少なくとも一方の紙匹の、他の紙匹と重ね合わ
される面に、この樹脂が存在していればよい。例えばパ
ルプスラリーの段階でこの樹脂を配合することもできる
が、一般には抄き合わされる紙匹の表面にこの樹脂を集
中させる方が好ましいので、パルプスラリーから調製さ
れた湿匹の表面にこの樹脂の水溶液を塗布する方法が好
ましく採用される。湿匹の表面に樹脂の水溶液を塗布す
る方法を採用するにしても、種々の変形が可能であり、
例えば抄紙ワイヤー上の湿匹へスプレーする方法、プレ
ス後の湿匹へロールコートする方法などが有用である。
なかでもスプレー法が適している。
【0040】紙匹に熱硬化性水溶性樹脂を適用するにあ
たって、その使用量は、パルプの乾燥重量を基準とし
て、0.01〜1重量%程度が適当である。
【0041】熱硬化性水溶性樹脂をパルプスラリーの段
階で内添した場合は、得られる紙匹のいずれの面に他の
紙匹を重ね合わせてもよい。一方、熱硬化性水溶性樹脂
を紙匹の片面に塗布した場合は、その塗布した面に別の
紙匹を重ねて抄き合わせる。後者の場合、抄き合わされ
る別の紙匹の重ね合わせ面にはもちろん、本発明による
熱硬化性水溶性樹脂が塗布してあってもなくてもよい。
また、さらに別の紙匹を抄き合わせる場合は、重ね合わ
される面のいずれか一方または両方に、本発明による熱
硬化性水溶性樹脂を塗布して抄き合わせる。以上の操作
を繰り返すことにより、さらに厚い紙を製造することが
できる。
【0042】このようにして抄き合わされた紙は、この
後通常の脱水、乾燥工程を経たあと最終製品とされる。
【0043】本発明による式(I)で示される構造単位
を有する熱硬化性水溶性樹脂は、2枚以上の紙匹を抄き
合わせて製造される各種の紙に対し、層間強度向上剤と
して優れた効果を発揮するが、とりわけ、アクリルアミ
ド系ポリマーを含有する紙に対しては一層効果的であ
る。ここでいうアクリルアミド系ポリマーとは、アクリ
ルアミドまたはメタクリルアミドを主たるモノマー成分
とするポリマーであり、アクリルアミドまたはメタクリ
ルアミドのホモポリマー、アクリルアミドまたはメタク
リルアミドを主成分とし、これと共重合可能な1種以上
の他の不飽和モノマーとの共重合体、さらには、これら
ポリマーのマンニッヒ変性物やホフマン分解物などを包
含する。このようなアクリルアミド系ポリマーは、紙力
増強剤などとして、抄紙の際に使用されることがある。
【0044】以上のように、式(I)で示される構造単
位を有する熱硬化性水溶性樹脂を適用し、2枚以上の紙
匹を抄き合わせて得られる紙は、優れた層間強度を示
す。またここで用いる熱硬化性水溶性樹脂は、デンプン
系の薬剤で必要とされる蒸煮などの前処理が不要であ
り、その水溶液は低粘度であるため紙匹への適用が容易
であり、さらには水溶液のまま保存しても腐敗しないな
ど、取扱いないしは作業性の面でも優れている。
【0045】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定
されるものではない。例中にある%は、特にことわらな
いかぎり重量基準である。
【0046】合成例1
【0047】温度計、還流冷却器、攪拌器および滴下ロ
ートを備えた2リットル四つ口フラスコに、イオン交換
水193.82gおよび40%グリオキザール水溶液14
8.0gを加え、10%炭酸ナトリウム水溶液7.6gでp
Hを7.0に調整したあと40℃まで昇温し、50%アク
リルアミド水溶液241.7gを約2時間で滴下した。そ
の後40℃でさらに約3時間反応させたのち冷却し、1
0%硫酸4.7gでpHを4.0に調整し、さらに2−メタ
クリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
の75%水溶液83.09gを加えた。これにより、グリ
オキザール変性されたアクリルアミド系モノマーを含む
水溶液678.9gを得た。
【0048】別のフラスコにイオン交換水838.9gを
加え、80℃に昇温したあと、過硫酸カリウム10.0g
を仕込み、次いで、先に得られたアクリルアミド系モノ
マーを含む水溶液339.5gに次亜リン酸ナトリウム
1.0gを加えたものを、約1時間で滴下した。滴下終了
後、80℃でさらに1時間反応させてから冷却し、10
%炭酸ナトリウム水溶液18.5gでpHを3.5に調整し
て、樹脂濃度10%の熱硬化性樹脂水溶液を得た。
【0049】合成例2
【0050】合成例1と同様の装置にイオン交換水9
8.93gおよび40%グリオキザール水溶液98.67g
を加え、10%炭酸ナトリウム水溶液4.4gでpHを
7.0に調整したあと40℃まで昇温し、50%アクリル
アミド水溶液120.84gを約2時間で滴下した。その
後40℃でさらに約11時間反応させたのち冷却し、1
0%硫酸2.5gでpHを4.0に調整し、さらに2−メタ
クリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
の75%水溶液41.55gを加えた。これにより、グリ
オキザール変性されたアクリルアミド系モノマーを含む
水溶液367.09gを得た。
【0051】別のフラスコにイオン交換水176.48g
を加え、80℃に昇温したあと、過硫酸カリウム2.0g
を仕込み、次いで、先に得られたアクリルアミド系モノ
マーを含む水溶液73.42gを約1時間で滴下した。滴
下終了後、80℃でさらに1時間反応させてから冷却
し、10%炭酸ナトリウム水溶液4.6gでpHを3.5に
調整して、樹脂濃度10%の熱硬化性樹脂水溶液を得
た。
【0052】合成例3
【0053】合成例1と同様の装置にイオン交換水27
8.39gおよび40%グリオキザール水溶液111.00
gを加え、 10%炭酸ナトリウム水溶液9.74gでp
Hを7.0に調整したあと40℃まで昇温し、50%アク
リルアミド水溶液362.51gを約2時間で滴下した。
その後40℃でさらに約4時間反応させたのち冷却
し、10%硫酸7.64gでpHを4.0に調整し、さらに
2−メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム
クロリドの75%水溶液124.64gを加えた。これに
より、グリオキザール変性されたアクリルアミド系モノ
マーを含む水溶液893.92gを得た。
【0054】別のフラスコにイオン交換水367.74g
を加え、80℃に昇温したあと、過硫酸カリウム5.0g
を仕込み、次いで、先に得られたアクリルアミド系モノ
マーを含む水溶液148.99gを約1時間で滴下した。
滴下終了後、80℃でさらに1時間反応させてから冷却
し、 10%炭酸ナトリウム水溶液9.16gでpHを
3.5に調整して、樹脂濃度10%の熱硬化性樹脂水溶液
を得た。
【0055】以上の合成例1〜3における主なパラメー
ターを表1に示す。表中、AMはアクリルアミド系モノ
マーを、UMはアクリルアミド系モノマー以外の不飽和
モノマーを、そしてALはジアルデヒドをそれぞれ表
す。
【0056】
【表1】
【0057】薬剤液の調製
【0058】合成例1〜3で得られた熱硬化性樹脂水溶
液および、比較のために市販の変性デンプン系層間強度
向上剤を用い、それぞれ有効成分濃度が0.2%となるよ
うに水で薄めて、薬剤液を調製した。
【0059】実施例1
【0060】段ボール古紙から得られ、カナディアン・
スタンダード・フリーネス(C.S.F.)が440mlで、pH
6.5に調整した濃度20g/Lのパルプスラリーを用
い、角型抄紙機にて、乾燥時の米坪量が80g/m2とな
る第一層目の湿紙を抄紙した。このシートの片面に、先
に調製した薬剤液を、それぞれ抄き合わせた板紙の合計
乾燥パルプ重量基準で、有効成分が0.1%および0.2%
となるようにスプレーした。さらに、これらの薬剤塗布
シートそれぞれの薬剤塗布面に、第一層目の湿紙と同様
にして得た乾燥時の米坪量が80g/m2である第二層目
の湿紙を重ねて抄き合わせ、脱水後、110℃で8分間
乾燥を行い、米坪量160g/m2の試料板紙を得た。
【0061】得られた試料板紙の層間剥離強度を、熊谷
理機工業(株)製のインターナルボンドテスターにて測
定した。その結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】実施例2
【0064】実施例1で用いたのと同様のパルプスラリ
ーに、それぞれ乾燥パルプ重量基準で、アニオン性ポリ
アクリルアミド0.45%、硫酸バンド0.8%、およびポ
リアミド・エピクロルヒドリン樹脂0.3%をこの順序で
添加し、角型抄紙機にて、乾燥時の米坪量が80g/m2
となる第一層目の湿紙を抄紙した。 このシートにつ
き、実施例1と同様に薬剤塗布および第二層目の湿紙の
抄き合わせを行って試料板紙を得、そして得られた試料
板紙の層間剥離強度を測定した。層間剥離強度の測定結
果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】実施例3
【0067】実施例1で用いたのと同様のパルプスラリ
ーに、それぞれ乾燥パルプ重量基準で、アニオン性ポリ
アクリルアミド1.4%、硫酸バンド1.0%、およびポリ
アミド・エピクロルヒドリン樹脂0.7%をこの順序で添
加し、角型抄紙機にて、乾燥時の米坪量が80g/m2
なる第一層目の湿紙を抄紙した。このシートにつき、実
施例1と同様に薬剤塗布および第二層目の湿紙の抄き合
わせを行って試料板紙を得、そして得られた試料板紙の
層間剥離強度を測定した。層間剥離強度の測定結果を表
4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】上記実施例、特に表2〜4から明らかなよ
うに、本発明に従って製造された板紙の層間剥離強度
は、市販の変性デンプン系層間強度向上剤を用いて製造
された板紙に比べても極めて良好であり、またアクリル
アミド系ポリマーを含有する板紙に対しては、さらに優
れた結果を示している。
【0070】
【発明の効果】本発明に従ってジアルデヒドで変性され
たアクリルアミド系ポリマーからなる層間強度向上剤を
用いることにより、層間剥離強度の高い紙を製造するこ
とができる。またこのアクリルアミド系ポリマーは、取
扱いが容易であり、紙匹に塗布する際の作業性も良好で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−13709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 17/00 - 27/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 【化1】 (式中、Rは水素またはメチルを表し、nは0〜4の整
    数を表す)で示される構造単位を有する熱硬化性水溶性
    樹脂を用いて紙匹を調製し、他の紙匹と抄き合わせるこ
    とを特徴とする紙または板紙の製造方法。
  2. 【請求項2】熱硬化性水溶性樹脂が、式(I)で示され
    る構造単位を10〜100モル%、および式(II) 【化2】 (式中、Rは水素またはメチルを表す)で示される構造
    単位を0〜90モル%含有する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】熱硬化性水溶性樹脂が、式(I)で示され
    る構造単位を5〜100モル%、式(II) 【化3】 (式中、Rは水素またはメチルを表す)で示される構造
    単位を0〜90モル%、および他の不飽和モノマーから
    導かれる構造単位を0〜50モル%含有する請求項1記
    載の方法。
  4. 【請求項4】抄き合わされる紙匹の少なくとも一方の面
    に熱硬化性水溶性樹脂を塗布する請求項1〜3のいずれ
    かに記載の方法。
  5. 【請求項5】抄き合わされる紙匹が、アクリルアミド系
    ポリマーを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の方
    法。
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