JP3039647B1 - 熱可溶性ポリマ―を含む抄き合わせ紙用添加剤及び抄き合わせ紙の製造方法 - Google Patents

熱可溶性ポリマ―を含む抄き合わせ紙用添加剤及び抄き合わせ紙の製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 粘度が低く取扱い易く、貯蔵安定性に優れ、
任意の割合に希釈でき、抄き合わせ紙の湿潤紙層にスプ
レーして、層間強度及び/または紙質が向上した抄き合
わせ紙を提供でき抄き合わせ紙用添加剤を提供する。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸、アクリロニトリ
ル、アクリルアミド、その他の単量体を特定割合で含有
する単量体混合物を、水溶性でかつ塩水溶液中で可溶な
カチオン性ポリマー分散剤の共存下、塩水溶液中あるい
は水溶液中で撹拌しながら共重合して製造した、主成分
の粒子径が100μm以下で、pH4以下で、温度50
〜95℃の範囲で可溶化する熱可溶性ポリマーを含むポ
リマー分散液を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可溶性ポリマー
を含む抄き合わせ紙用添加剤及び抄き合わせ紙の製造方
法に関するものであり、さらに詳しくは、熱可溶性ポリ
マーの濃度が高濃度であってもその粘度が低く取扱い易
く、貯蔵安定性に優れ、かつ任意の割合に希釈可能な熱
可溶性ポリマーを含むポリマー分散液からなる抄き合わ
せ紙用添加剤及び、そのポリマー分散液を使用した抄き
合わせ紙の製紙方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、紙の層間強度向上剤としては、生
澱粉あるいは燐酸エステル化澱粉があり、それらのスラ
リーをスプレーする方法が一般的である。特開平11−
36195号公報には、両性電解質を水に溶解し、ポリ
イオンコンプレックスを形成させこれを層間強度向上剤
としてスプレーする方法が提案されている。また特開平
10−331100号公報には、(メタ)アクリル酸を
含有する高分子微粒子を含む分散剤をスプレーする方法
が提案されている。また、紙質向上方法としてはアニオ
ン性あるいは両性のアクリルアミド系ポリマーをウェッ
トエンドに添加して、紙質向上を計っている。この内添
紙質向上剤は高添加率域では紙への歩留り率が悪くな
り、希望の紙質が得られない欠点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般的に従来の澱粉の
場合は抄き合わせ紙の湿潤紙層に、0.5〜1.5g/
2 程度の量をスプレーして、層間強度向上を計ってい
る。前記特開平11−36195号公報の場合は、ポリ
イオンコンプレックスを澱粉の1/5程度のスプレー塗
布量で同程度の層間強度向上が得られるが、コスト的に
は未だ優位性が見られない。
【0004】一方、前記特開平10−331100号公
報におけるアクリル酸を含有する高分子微粒子をスプレ
ーする方法の場合は、酸性で抄紙された湿潤紙層にスプ
レーした場合には、澱粉の1/10の量で同等の層間剥
離強さを発揮するが、中性で抄紙された湿潤紙層にスプ
レーした場合には澱粉の1/5の量で初めて同等の性能
を発揮する。
【0005】本発明の第1の目的は、特開平10−33
1100号公報記載の技術を改良して酸性で抄紙された
湿潤紙層にスプレーした場合も、中性で抄紙された湿潤
紙層にスプレーされた場合にも澱粉の凡そ1/10の量
で同等の層間剥離強さを発揮する抄き合わせ紙用添加剤
であって、澱粉をスプレーするよりも作業性が良く、安
定操業ができ、しかもコスト的にも優位性がある抄き合
わせ紙用添加剤を提供することであり、本発明の第2の
目的は、従来のポリアクリルアミド系の内添紙質向上剤
の紙への歩留り率の悪さの問題を改良し、湿潤紙層にス
プレーすることにより歩留り率が向上し、かつ紙質向上
も図れるような抄き合わせ紙の製造方法を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、特開平10−331100号公報記載の
(メタ)アクリル酸を含有する高分子微粒子を中性紙に
スプレーした場合には(メタ)アクリル酸が湿紙中のア
ルカリ分と反応してイオン化され、高分子微粒子が溶解
してしまい、その結果、層間に留まる高分子微粒子数が
減少し層間剥離強さが悪くなるのが原因であると考えら
れたため、中性紙にスプレーしても酸性紙にスプレーし
た場合と同様の性能を発揮する高分子微粒子、すなわち
中性紙にスプレーされた段階では溶解され難く、乾燥工
程に入って初めて可溶化するような高分子微粒子を用い
ることにより、層間剥離強さの向上や紙質向上が計れる
ことを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の請求項1は、(a)(メ
タ)アクリル酸5〜20重量%、(b)アクリロニトリ
ル20〜35重量%、(c)アクリルアミド45〜75
重量%、(d)その他の単量体0〜5重量%[但し、a
+b+c+d=100重量%]を含有して成る単量体混
合物を、水溶性でかつ塩水溶液中で可溶なカチオン性ポ
リマーからなる分散剤の共存下、塩水溶液中あるいは水
溶液中で撹拌しながら共重合することにより製造した下
記特性(1)および(2)を有する熱可溶性ポリマーを
含むポリマー分散液からなることを特徴とする抄き合わ
せ紙用添加剤に関するものである。 (1)主成分の粒子径が100μm以下 (2)pH4以下において、温度が50〜95℃の範囲
で可溶化する
【0008】すなわち、水分散性で粒子径が100μm
以下でしかも熱可溶性である条件を満たすような(メ
タ)アクリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミドな
どを共重合して得られるポリマーの内、pH4以下の条
件下で、可溶化する温度が50〜95℃の範囲にあるポ
リマーを含むポリマー分散液を抄き合わせ紙の湿潤紙層
にスプレーすることにより課題を解決できる。
【0009】本発明の請求項2は、請求項1記載の抄き
合わせ紙用添加剤において、分散剤として使用するカチ
オン性ポリマーが、ジメチルジアリルアンモニウムクロ
リド(共)重合体、(メタ)アクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウムクロリド(共)重合体、N−ビ
ニルホルムアミド(共) 重合体の加水分解物、N−ビニ
ルアセトアミド(共)重合体の加水分解物のいずれかで
あることを特徴とするものである。
【0010】本発明の請求項3は、請求項1あるいは請
求項2記載の抄き合わせ紙用添加剤において、単量体と
分散剤の重量比が100:1〜10:1であることを特
徴とするものである。
【0011】本発明の請求項4は、紙層形成後の湿潤紙
層を抄き合わせた後、プレスし、更に乾燥する工程を含
む2層以上の抄き合わせ紙の製造方法において、紙層形
成後の抄き合わせ前の湿潤紙層に、請求項1〜請求項3
のいずれかに記載の抄き合わせ紙用添加剤をスプレー添
加することを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法に関す
るものである。
【0012】本発明の請求項5は、請求項4記載の抄き
合わせ紙の製造方法において、紙層形成時の抄紙pHが
4.0〜9.0であることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明のポリマー分散液からなる抄き合わせ紙用添加剤の
特徴は、水で希釈した時の希釈液のpHが4以下では5
0℃未満、特に常温では溶けず、粒子状態を保ったまま
分散状態にあるが、加熱し、ある一定の温度範囲(50
〜95℃の温度範囲、好ましくは、60℃〜95℃の温
度範囲)になると溶解し、粒子として存在し得なくなる
性質を有する点にある。
【0014】一般的に抄紙系の温度は常温から50℃前
後の場合が多く、マシンで抄紙された湿潤紙もこの範囲
の温度になる場合が多い。そのため熱可溶性ポリマーの
溶解温度が抄紙系よりも低い温度で溶解してしまうと、
湿潤紙にポリマーがスプレーされ、クーチロールで脱水
された後にはポリマーが水とともに流出したり、紙層内
部に拡散し接着効果が低下してしまう。一方、溶解温度
が50〜95℃であればクーチロールによる湿潤紙の脱
水が行われた後でもポリマーは未だ溶解せず湿潤紙の表
層に留まり、ドライヤーによる加熱が始まってから溶解
がおきるので、ポリマーの適度な広がりによって良好な
接着効果が発現する。50℃未満で溶解してしまうと充
分な接着効果が発現しない。一方、95℃を超えるとド
ライヤーによる加熱でも粒子が溶解せず、接着効果が発
現しない恐れがある。すなわち、乾燥に供される湿潤紙
は通常ドライヤーパートにおいて最終的に最高温度95
〜100℃まで加熱されるが、熱可溶性ポリマーの溶解
温度が95℃を超えて高くなり過ぎると、乾燥過程でポ
リマー粒子が溶解しない場合があり接着効果が発現しな
い恐れがある。
【0015】本発明において、ポリマー分散液中に存在
するポリマー粒子の主成分の粒径は100μm以下であ
る。現在多く使用されているデンプンスラリーのスプレ
ーにおいて、デンプン粒子径は凡そ50〜100μm程
度である。したがって、ポリマー粒子が100μmを超
えると通常のスプレー操作に支障をきたすので好ましく
ない。
【0016】本発明の抄き合わせ紙用添加剤として用い
るポリマーは、前記の通り(a)(メタ)アクリル酸5
〜20重量%、好ましくは7〜17重量%、(b)アク
リロニトリル20〜35重量%、好ましくは22〜30
重量%、(c)アクリルアミド45〜75重量%、好ま
しくは53〜71重量%、(d)その他の単量体0〜5
重量%[但し、a+b+c+d=100重量%]を含有
してなるものである。
【0017】ここで、(a)成分の(メタ)アクリル酸
とはアクリル酸および/またはメタクリル酸をいう。こ
れら(メタ)アクリル酸は単独使用または併用使用が可
能である。(a)成分の(メタ)アクリル酸の5重量%
未満では層間強度向上剤及び/または紙質向上剤として
性能が劣る恐れがあり、(メタ)アクリル酸が20重量
%を超えると中性紙にスプレーした場合、ポリマーがイ
オン化され、プレスパートで溶解してしまい乾燥性を悪
化させる傾向が見られるので好ましくない。特に好まし
い(メタ)アクリル酸の量の範囲は7〜17重量%であ
る。
【0018】そして(b)成分のアクリロニトリルの量
については、ポリマー分散液を水で希釈した時、先ず粒
子状態を保つのに最低限の量が必要であり、尚かつ希釈
液のpHが4以下の条件下で可溶化する温度が50℃以
上の条件をクリアする必要があり、(メタ)アクリル酸
の量に左右されるが、これらの点を考慮して下限値は2
0重量%である。(b)成分のアクリロニトリルの上限
値は、可溶化温度95℃以下の条件で決まり、アクリロ
ニトリルの量が35重量%を超えると可溶化温度が95
℃を超えることになり、層間強度向上剤および/または
紙質向上剤として性能が劣るので好ましくない。特に好
ましいアクリロニトリルの量の範囲は22〜30重量%
である。
【0019】そして(c)成分のアクリルアミドの量は
ポリマー全体の100重量%より(a)成分の(メタ)
アクリル酸の重量%および(b)成分のアクリロニトリ
ルの重量%を差し引いた量よりなり、45〜75重量%
の範囲内である。そして(d)成分のその他の単量体を
使用した場合には、(c)成分のアクリルアミドの量は
ポリマー全体の100重量%より(a)成分の(メタ)
アクリル酸の重量%、(b)成分のアクリロニトリルの
重量%および(d)成分のその他の単量体の重量%を差
し引いた量となる。
【0020】(d)成分のその他の単量体の量は0〜5
重量%の範囲内で、主成分のポリマーの粒子径が100
μm以下であり、かつ重合後の生成粒子がpH4以下の
条件下で可溶化する温度が50〜95℃の範囲内に有る
限り自由に選択できる。(d)成分のその他の単量体と
しては、非イオン性モノマー、アニオン性モノマー、カ
チオン性モノマーなど、これらの混合物などいずれも使
用できる。
【0021】ここで使用できる非イオン性モノマーとし
ては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ
エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸ポリオキシエチレン、ビニルメチルエー
テル、ダイアセトンアクリルアミド、N−イソプロピル
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、
N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホ
リン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミ
ド、メタクリルアミドなど、これらの2種以上の混合物
などを挙げることができる。アニオン性モノマーとして
は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸ソーダ、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、スチレン
スルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸な
ど、これらの2種以上の混合物などを挙げることができ
る。カチオン性モノマーとしては、N,N−ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレートの鉱酸塩及び4級塩、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ドの鉱酸塩及び4級塩、アリルアミンの鉱酸塩、ジアリ
ルアミンの鉱酸塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロ
リドなど、これらの2種以上の混合物などを挙げること
ができる。
【0022】本発明を実施するに当たり、100μm以
下のポリマー微粒子を造る技術の一つは、水溶性でかつ
塩水溶液中で可溶なカチオン性ポリマーの存在下で共重
合する方法である。ここでいうカチオン性ポリマーの具
体例としては、例えば、ジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレートの塩または4級化物あるいはジアルキ
ルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩または4
級化物の(共)重合体ならびにジアルキルジアリルアン
モニウム塩(共)重合体さらにN−ビニルアミド(共)
重合体の加水分解物の中から選ばれるカチオン性ポリマ
ーを挙げることができる。
【0023】ここでジアルキルアミノアルキル(メタ)
アクリレートの塩または4級化物としては、ジメチルア
ミノエチルメタクリレート塩酸塩、アクリロイルオキシ
エチルトリメチルアンモニウウムクロリドなどを挙げる
ことができる。
【0024】また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)
アクリルアミドの塩または4級化物としては、ジメチル
アミノプロピルアクリルアミドの塩酸塩、メチル化物な
どを挙げることができる。
【0025】ジアルキルジアリルアンモニウム塩として
は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドを挙げるこ
とができる。
【0026】N−ビニルアミド(共)重合体としては、
N−ビニルホルムアミド(共)重合体、N−ビニルアセ
トアミド(共)重合体を挙げることができ、これらの加
水分解物が使用できる。
【0027】上記の水溶性で塩水溶液中で可溶なカチオ
ン性ポリマーは単独で使用してもよく、2種類以上を併
用使用してもよい。
【0028】これらの中でも特に好ましいカチオン性ポ
リマーは、ポリ−ジメチルジアリルアンモニウムクロリ
ドおよびポリ−アクリロイルオキシエチルトリメチルア
ンモニウムクロリドである。
【0029】本発明において、共重合に使用する単量体
と分散剤として使用する水溶性でかつ塩水溶液中で可溶
なカチオン性ポリマーとの重量比は、単量体:分散剤=
100:1〜10:1の範囲の内から選ばれることが好
ましい。分散剤の量が100:1未満では分散剤として
の機能が発揮できない恐れがあり、分散剤の量が10:
1を超えるとコスト的に不利になる。好ましい単量体と
分散剤との重量比は、単量体:分散剤=50:1〜2
0:1の範囲である。
【0030】本発明の共重合を実施するにあたり塩水溶
液中で行なう場合と水溶液中で行なう場合がある。例え
ば、(b)成分のアクリロニトリルの量が30重量%以
上の場合には水溶液中で共重合を行ない、粒子径が10
0μm以下の粒子を得ることが可能である。但し水溶液
中で共重合を行なった場合、得られたポリマー分散液の
流動性が不足する時にはポリマー分散液全体に対して3
〜5重量%の塩を添加することにより流動性が増し、貯
蔵安定性がよくなる。
【0031】アクリロニトリルの量が30重量%未満の
場合には塩水溶液中で共重合を行なう必要がある。塩水
溶液を形成する塩としてはナトリウム、カリウムなどの
アルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩の塩化物、硫酸
塩、硝酸塩などを挙げることができる。好ましい塩とし
ては塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウ
ムを挙げることができる。使用する塩の量は使用する塩
の種類、および単量体の仕込む濃度により異なるが、重
合系全体に対して4〜8%程度である。塩水溶液中で共
重合を行なった場合でも流動性を増し、貯蔵安定性をよ
くする目的で共重合が終わった後、塩を添加する方法は
有効な手段である。
【0032】前記(a)〜(d)成分の共重合をカチオ
ン性ポリマーの共存下、塩水溶液中あるいは水溶液中で
撹拌しながら行なう方法に於いて、重合開始方法は従来
公知の方法が使用できる。脱イオン水に単量体、分散
剤、必要により塩を仕込み、撹拌しながら窒素通気によ
り溶存酸素を除去する。同時に外部加熱により系を所定
の温度に調整後、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸と亜硫酸水素ナトリウムのごとき還元剤を
併用するレドックス系重合開始剤を使用することができ
る。また2,2’−アゾビス(2−アミジノフロパン)
ジハイドロクロリド、2,2’−アゾビス〔2−(2−
イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジハイドロクロリ
ドなどの水溶性アゾ系開始剤も使用できる。
【0033】本発明で使用されるポリマー分散液のポリ
マー濃度は凡そ15〜35重量%の範囲内で調製され
る。15重量%未満では運賃コストが高価になり過ぎ、
35重量%を超えると製品の流動性が不足し、取扱い難
くなる。本発明のポリマー分散液をスプレー塗布する場
合、希望の濃度に希釈してスプレー塗布されるが、希釈
倍率は自由に選択できる。一般的に従来の澱粉は0.5
〜5重量%程度の濃度に希釈分散させてスプレー塗布さ
れているのに対して、本発明品は、凡そ0.05〜0.
5重量%濃度でスプレー塗布する方法が使用できる。紙
質向上剤としてより多くのポリマーをスプレー塗布した
い場合には凡そ0.5〜5重量%濃度でもスプレー塗布
が可能である。
【0034】本発明で使用する熱可溶性ポリマーは、中
性あるいは弱アルカリで抄紙された湿潤紙層にスプレー
した場合、乾燥過程で加熱されるまで溶解することはな
く、湿潤紙層内部にポリマーが浸透せず紙層表面に留ま
る。抄紙紙、湿潤紙層が合わさりクーチロールがかかり
脱水された状態ではポリマー微粒子は紙層−紙層間に留
まる。この後、ドライヤーパートで加熱されて始めてポ
リマー微粒子が、紙層中に残る水分により溶解し、微粒
子周囲のみポリマーが拡散しパルプ繊維間の接着が行わ
れる。
【0035】そのため特開平10−33100号公報記
載のポリマーは酸性抄紙(pH4以下)の抄き合わせ紙
のみで十分な効果を発現したが、本発明で使用する熱可
溶性ポリマーは、中性〜弱アルカリ性の抄紙条件でも良
好な効果を発揮する。
【0036】したがって本発明の熱可溶性ポリマーを含
む抄き合わせ紙用添加剤の適用可能な抄紙pHは4.0
以上9.0以下である。一般的に抄紙pHは酸性抄紙に
おいても4.0未満の場合は少なく、4.0未満で抄紙
すると紙に悪影響を与える。また、抄紙pHが9.0を
超えるとポリマーの溶解性が徐々に促進され、湿潤紙表
層に留まったポリマー粒子がドライヤーで加熱される前
に溶解してしまい、プレスパートで脱水される際に水と
ともに流出したり、湿潤紙内部に浸透してしまい接着効
果が低下するので好ましくない。
【0037】
【実施例】以下に実施例によって本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、各実施例における%はいずれも重量%である。ま
ず、熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液の実施例を
説明し、ついでこの熱可溶性ポリマーを含むポリマー分
散液を抄き合わせ紙用添加剤剤として使用した製紙方法
の実施例を説明する。
【0038】(実施例1)撹拌機、還流冷却管、温度計
および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブル
フラスコに脱イオン水:182g、80%アクリル酸:
7.5g、50%アクリルアミド:72g、40%ジメ
チルジアリルアンモニウムクロリドポリマー(固有粘
度:0.8)7.5gを仕込み撹拌しながら窒素導入管
より窒素を導入し、溶存酸素の除去を行なう。この間外
部の恒温水槽により45℃に内部温度を調製する。窒素
導入30分後、アクリロニトリル:18gを仕込み、続
いて2%の2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリ
ン−2−イル)プロパン〕ジハイドロクロリド水溶液:
1gを添加して重合反応を開始させる。45℃で10時
間重合反応を続けた後、硫酸ナトリウム:12gを添加
して製品A−1を得た。A−1は分散剤を除いたポリマ
ー濃度が20%で、アクリル酸:10%、アクりロニト
リル:30%、アクリルアミド:60%のコポリマーで
あり、この製品A−1の粘度は1480mPa・sであ
った。なお顕微鏡観察の結果、5〜20μmの粒子であ
ることが判明した。A−1を蒸留水で20倍に希釈した
熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液は80℃で溶解
した。
【0039】(実施例2)撹拌機、還流冷却管、温度計
および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブル
フラスコに脱イオン水:112g、80%アクリル酸:
16.88g、50%アクリルアミト:108g、分散
剤として20%アクリロイルオキシエチルトリメチルア
ンモニウムクロリドポリマー(固有粘度:1.0)15
g、硫酸ナトリウム:15gを仕込み、撹拌しながら窒
素導入管より窒素を導入し、溶存酸素の除去を行なう。
この間外部の恒温水槽により40℃に内部温度を調製す
る。窒素導入30分後、アクリロニトリル:22.5g
を仕込み、続いて2%の2,2’−アゾビス〔2−(2
−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジハイドロクロ
リド水溶液:1.6gを添加して重合反応を開始させ
る。40℃で16時間重合反応を続けた後、硫酸ナトリ
ウム:9gを添加して製品A−2を得た。A−2は分散
剤を除いたポリマー濃度が30%でアクリル酸:15
%、アクリルニトリル:25%アクリルアミド:60%
のコポリマーであり、この製品A−2の粘度は960m
Pa・sであった。なお顕微鏡観察の結果、粒径は10
〜80μmであった。A−2を蒸留水で30倍に希釈し
た熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液は65℃で溶
解した。
【0040】(実施例3)撹拌機、還流冷却管、温度計
および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブル
フラスコに脱イオン水:175g、80%アクリル酸:
3.8g、50%アクリルアミド:74.4g、20%
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムク
ロリドポリマー(固有粘度1.1)15gを仕込み撹拌
しながら窒素導入管より窒素を導入し、溶存酸素の除去
を行なう。この間外部の恒温水槽により45℃に内部温
度を調製する。窒素導入30分後、アクリロニトリル:
18.8gを仕込み、続いて2%の2,2’−アゾビス
〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジハ
イドロクロリド水溶液:1gを添加して重合反応を開始
させる。45℃で10時間重合反応を続けた後、硫酸ナ
トリウム:12gを添加して製品A−3を得た。A−3
は分散剤を除いたポリマー濃度が20%でアクリル酸:
5%、アクリルニトリル:33%、アクリルアミド:6
2%のコポリマーであり、この製品A−3の粘度は67
0mPa・sであった。なお顕微鏡観察の結果、粒径は
5〜15μmであった。A−3を蒸留水で20倍に希釈
した熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液は85℃で
溶解した。
【0041】(比較例1)実施例1に示した方法と同様
にして、次に示す組成のコポリマー製品B−1を合成し
た。 80%アクリル酸 11.25g(15%) アクリロニトリル 9.0g(15%) 50%アクリルアミトド 84.0g(70%) 40%ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー 7.5g 硫酸ナトリウム 重合時 30.0g 脱シオン水 151.25g 2%重合開始剤 1.0g 硫酸ナトリウム 重合後 6.0g B−1は分散剤を除いたポリマー濃度が20%で、製品
B−1の粘度は325mPa・sであった。なお顕微鏡
観察の結果、粒径は5〜15μmであった。20倍希釈
液の溶解温度は45℃であった。
【0042】(比較例2)実施例1に示した方法と同様
にして、次に示す組成のコポリマー製品B−2を合成し
た。 80%アクリル酸 0g(0%) アクリロニトリル 18.0g(30%) 50%アクリルアミド 84.0g(70%) 40%ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー 7.5g 硫酸ナトリウム 重合時 12.0g 脱シオン水 165.5g 2%重合開始剤 1.0g 硫酸ナトリウム 重合後 12.0g B−2は分散剤を除いたポリマー濃度が20%で、製品
B−2の粘度は890mPa・sであった。なお顕微鏡
観察の結果、粒径は5〜30μmであった。20倍希釈
液の溶解温度は75℃であった。
【0043】(比較例3)実施例1に示した方法と同様
にして、次に示す組成のコポリマー製品B−3を合成し
た。 80%アクリル酸 22.5g(30%) アクリロニトリル 0g(0%) 50%アクリルアミド 84.0g(70%) 40%ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー 7.5g 硫酸アンモニウム 重合時 52.5g 脱シオン水 132.5g 2%重合開始剤 1.0g B−3は分散剤を除いたポリマー濃度が20%で、製品
B−3の粘度は860mPa・sであった。なお顕微鏡
観察の結果、粒径は5〜20μmであった。20倍希釈
液は25℃で粘性があり溶解温度は存在しないと見られ
る。
【0044】(比較例4)実施例1に示した方法と同様
にして、次に示す組成のコポリマー製品B−4を合成し
た。 80%アクリル酸 11.25g(15%) アクリロニトリル 24.0g(40%) 50%アクリルアミド 54.0g(45%) 40%ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー 7.5g 脱シオン水 190.25g 2%重合開始剤 1.0g 硫酸ナトリウム 重合後 12.0g B−4は分散剤を除いたポリマー濃度が20%で、製品
B−4の粘度は1360mPa・sであった。なお顕微
鏡観察の結果、粒径は2〜3μmの微粒子が集まり、2
00〜300μmの凝集粒子を形成しており、20倍希
釈液の溶解温度は97℃以上であった。
【0045】(比較例5)実施例1に示した方法と同様
にして、次に示す組成のコポリマー製品B−5を合成し
た。 80%アクリル酸 11.25g(15%) 50%アクリルアミド 102.0g(85%) 40%ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー 7.5g 脱シオン水 166.75g 2%重合開始剤溶液 1.0g 硫酸ナトリウム 重合後 12.0g B−5は分散剤を除いたポリマー濃度が20%で、製品
B−4の粘度は850mPa・sであった。なお顕微鏡
観察の結果、粒径は5〜20μmであった。20倍希釈
液の溶解温度は35℃以上であった。
【0046】(比較例6)市販の馬鈴薯澱粉をB−6と
する。
【0047】(比較例7)市販のハイモ株製の両性アク
リルアミド系内添紙力増強剤(ハイモロックKL−12
7)をB−7とする。
【0048】(実施例4)LBKPをナイアガラ式ビー
ターにて叩解し、カナディアンスタンダードフリーネス
(C.S.F)430mlに調製したパルプに、液体バ
ンド2%添加した後、パルプスラリーのpHを5.0%
炭酸ナトリウム水溶液でpH4.5に調製し、市販の紙
力増強剤(ポリストロン117、荒川化学製)を対パル
プ0.3%添加して撹拌し均一に混合した。得られたパ
ルプスラリーを0.5%に希釈し、抄紙pHを測定した
後、タッピィスタンダードシートマシン(1/16m
2 ) に1L入れ乾燥坪量80g/m2の紙を抄紙した。
ワイヤー上のウエットシートに濾紙、クーチプレートを
乗せクーチロール3回かけ湿紙を濾紙に転写した。これ
をA層とした。次いで同様に乾燥坪量80g/m2 の紙
を抄紙し、ワイヤーごと湿紙を直示天秤に乗せ、実施例
1で調製したA−1を表1に記載した所定の希釈濃度に
希釈して作った熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液
を圧力2.5気圧で10.0gノズルよりスプレー塗布
した。これをB層とした。
【0049】A層を濾紙がついたままB層に合わせ、そ
の後濾紙を剥がした。これをワイヤーごとシートマシン
に戻し、シートマシンに水を張りワイヤーの下まで満た
した水を排水することにより減圧脱水し、あらたに濾紙
を乗せ、クーチロールを3回かけ濾紙に転写させた。転
写した湿紙を2枚の濾紙に挟み、3Kg/m2 の圧力で
5分間プレス後、ロータリードライアーで乾燥させて抄
き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後J−
TAPPI紙パルプ試験法No.19−77に従ってT
字剥離強さ(gf/5cm)を測定した。結果を表1に
示す。使用したポリマー製品の試料名、希釈濃度、塗布
量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表1に示す。
【0050】(実施例5)実施例2で調製したA−2を
表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作った熱可溶
性ポリマーを含むポリマー分散液を用いた以外は実施例
4と同様にして抄き合わせ紙をえた。得られた抄き合わ
せ紙を調湿後、実施例4と同様にしてT字剥離強さ(g
f/5cm)を測定した結果を表1に示す。使用したポ
リマー製品の試料名、希釈濃度、塗布量、抄紙pH、ス
プレー状態も合わせて表1に示す。
【0051】(実施例6)実施例3で調製したA−3を
表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作った熱可溶
性ポリマーを含むポリマー分散液を用いた以外は実施例
4と同様にして抄き合わせ紙をえた。得られた抄き合わ
せ紙を調湿後、実施例4と同様にしてT字剥離強さ(g
f/5cm)を測定した結果を表1に示す。使用したポ
リマー製品の試料名、希釈濃度、塗布量、抄紙pH、ス
プレー状態も合わせて表1に示す。
【0052】(比較例8)比較例1で調製したB−1を
表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作ったポリマ
ー分散液を用いた以外は実施例4と同様にして抄き合わ
せ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実施例4
と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測定した
結果を表1に示す。使用したポリマー製品の試料名、希
釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表
1に示す。
【0053】(比較例9)比較例2で調製したB−2を
表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作ったポリマ
ー分散液を用いた以外は実施例4と同様にして抄き合わ
せ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実施例4
と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測定した
結果を表1に示す。使用したポリマー製品の試料名、希
釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表
1に示す。
【0054】(比較例10)比較例3で調製したB−3
を表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作ったポリ
マー分散液を用いた以外は実施例4と同様にして抄き合
わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実施例
4と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測定し
た結果を表1に示す。使用したポリマー製品の試料名、
希釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて
表1に示す。
【0055】(比較例11)比較例4で調製したB−4
を表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作ったポリ
マー分散液を用いた以外は実施例4と同様にして抄き合
わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実施例
4と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測定し
た結果を表1に示す。使用したポリマー製品の試料名、
希釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて
表1に示す。
【0056】(比較例12)比較例5で調製したB−5
を表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作ったポリ
マー分散液を用いた以外は実施例4と同様にして抄き合
わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実施例
4と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測定し
た結果を表1に示す。使用したポリマー製品の試料名、
希釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて
表1に示す。
【0057】(比較例13)市販の馬鈴薯澱粉B−6を
表1に記載した所定の希釈濃度に希釈して作ったポリマ
ー分散液を用いた以外は実施例4と同様にして抄き合わ
せ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実施例4
と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測定した
結果を表1に示す。使用したポリマー製品の試料名、希
釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表
1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1から、実施例1〜3で調製された熱可
溶性ポリマーを含むポリマー分散液は中性で抄紙された
湿潤紙層にスプレーされた場合、比較例13の澱粉の凡
そ1/10の量で同等のT字剥離強さを発揮する上、ス
プレーの作業性がよく、安定操業ができることが判る。
比較例1〜5で調製されたポリマーを含むポリマー分散
液を用いた比較例8〜12は、湿潤紙層にスプレーされ
た場合(但し、比較例8および比較例10ではスプレー
状態が霧状不良である)、比較例13の澱粉の凡そ1/
10の量ではT字剥離強さが低いことが判る。
【0060】(実施例7)LBKPをナイアガラ式ビー
ターにて叩解し、カナディアンスタンダードフリーネス
(C.S.F)430mlに調製したパルプに、液体バ
ンド2%添加した後、パルプスラリーのpHを5.0%
炭酸ナトリウム水溶液でpH5.0に調製し、市販の紙
力増強剤(EX−320、ハリマ化成製)を対パルプ
0.3%添加して撹拌し均一に混合した以外は実施例4
と同様にして抄き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ
紙を調湿後、実施例4と同様にしてT字剥離強さ(gf
/5cm)を測定した結果を表2に示す。使用したポリ
マー製品の試料名、希釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプ
レー状態も合わせて表2に示す。
【0061】(実施例8)市販の紙力増強剤(EX−3
20、ハリマ化成製)を添加する前のパルプスラリーの
pHを6.5に調整した以外は実施例7と同様にして抄
き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実
施例4と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測
定した結果を表2に示す。使用したポリマー製品の試料
名、希釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わ
せて表2に示す。
【0062】(実施例9)市販の紙力増強剤(EX−3
20、ハリマ化成製)を添加する前のパルプスラリーの
pHを8.0に調整した以外は実施例7と同様にして抄
き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後、実
施例4と同様にしてT字剥離強さ(gf/5cm)を測
定した結果を表2に示す。使用したポリマー製品の試料
名、希釈濃度、塗布量、抄紙pH、スプレー状態も合わ
せて表2に示す。
【0063】(比較例14)市販の紙力増強剤(EX−
320、ハリマ化成製)を添加する前のパルプスラリー
のpHを5.0に調整し、ポリマー製品B−5を用いた
以外は実施例7と同様にして抄き合わせ紙をえた。得ら
れた抄き合わせ紙を調湿後、実施例4と同様にしてT字
剥離強さ(gf/5cm)を測定した結果を表2に示
す。使用したポリマー製品の試料名、希釈濃度、塗布
量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表2に示す。
【0064】(比較例15)市販の紙力増強剤(EX−
320、ハリマ化成製)を添加する前のパルプスラリー
のpHを6.5に調整し、ポリマー製品B−5を用いた
以外は実施例7と同様にして抄き合わせ紙をえた。得ら
れた抄き合わせ紙を調湿後、実施例4と同様にしてT字
剥離強さ(gf/5cm)を測定した結果を表2に示
す。使用したポリマー製品の試料名、希釈濃度、塗布
量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表2に示す。
【0065】(比較例16)市販の紙力増強剤(EX−
320、ハリマ化成製)を添加する前のパルプスラリー
のpHを8.0に調整し、ポリマー製品B−5を用いた
以外は実施例7と同様にして抄き合わせ紙をえた。得ら
れた抄き合わせ紙を調湿後、実施例4と同様にしてT字
剥離強さ(gf/5cm)を測定した結果を表2に示
す。使用したポリマー製品の試料名、希釈濃度、塗布
量、抄紙pH、スプレー状態も合わせて表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2から、A−1を用いた実施例7〜9の
場合は、抄紙pH5〜8の範囲において澱粉の凡そ1/
10の量で同等のT字剥離強さを発揮する上、スプレー
の作業性がよく、安定操業ができることが判る。それに
対して B−5を用いた比較例14、比較例16の場合
は、スプレー状態が霧状不良であり、比較例14〜比較
例16のいずれの場合も抄紙pH5〜8の範囲において
澱粉の凡そ1/10の量ではT字剥離強さが低いことが
判る。
【0068】(実施例10)パルプとして段ボール古紙
を用い、ポリマー製品としてA−1を用いた試験を行っ
た。段ボール故紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、
カナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F)4
00mlに調製したパルプに液体バンド4%添加した
後、パルプスラリーのpHを5.0%炭酸ナトリウム水
溶液でpH5.5に調製した後、このパルプスラリーを
750ml採取し、実施例4と同様にして抄紙し、抄き
合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙の比破裂度(J
IS P8112)、比圧縮強度(JIS Z040
1)、裂断長(JIS P8113)、内部強度(J−
TAPPI、No18)を測定した結果を表3に示す。
使用したポリマー製品の試料名、希釈濃度、塗布量、添
加率、抄紙pH、坪量も合わせて表3に示す。
【0069】(実施例11)表3に示したように希釈濃
度、塗布量、添加率を変えた以外は実施例10と同様に
して抄紙し、抄き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ
紙について実施例10と同様にして比破裂度、比圧縮強
度、裂断長、内部強度を測定した結果を表3に示す。
【0070】(比較例17)比較例7のハイモ株製の両
性アクリルアミド系内添紙力増強剤(ハイモロックKL
−127)(B−7)のポリマー濃度1%の希釈液を実
施例10で用いた段ボール故紙に対パルプ添加率0.3
%添加し、スリーワンモータにて(回転数600rp
m)30秒間攪拌して均一に混合した。得られたパルプ
スラリーをタッピィスタンダードシートマシン(1/1
6m2) に入れ乾燥坪量80g/m2 の紙を抄紙した。
ワイヤー上のウエットシートに濾紙、クーチプレートを
乗せクーチロール3回かけ湿紙を濾紙に転写した。これ
をA層とした。次いで同様に乾燥坪量80g/m2 の紙
を抄紙しB層を作成し、これにA層を重ね合わせ、その
後濾紙を剥がし、これをワイヤーごとシートマシンに戻
し、シートマシンに水を張りワイヤーの下まで満たした
水を排水することにより減圧脱水し、あらたに濾紙を乗
せ、クーチロールを3回かけ濾紙に転写させた。転写し
た湿紙を2枚の濾紙に挟み、3Kg/m2 の圧力で5分
間プレス後、ロータリードライアーで乾燥させて抄き合
わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙について実施例1
0と同様にして比破裂度、比圧縮強度、裂断長、内部強
度を測定した結果を表3に示す。
【0071】(比較例18)表3に示したように希釈濃
度、添加率を変えた以外は比較例17と同様にして抄紙
し、抄き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙につい
て実施例10と同様にして比破裂度、比圧縮強度、裂断
長、内部強度を測定した結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】表3から、ポリマー製品A−1を用いた実
施例10〜11の場合は、比破裂度、比圧縮強度、裂断
長、内部強度が高く、紙質が向上した抄き合わせ紙が得
られることが判る。また希釈濃度、添加率を大きくすれ
ばそれに対応して、比破裂度、比圧縮強度、裂断長、内
部強度が大きくなることが判る。それに対して 両性ア
クリルアミド系内添紙力増強剤(ハイモロックKL−1
27)(B−7)を用いた比較例17、比較例18の場
合は、比破裂度、比圧縮強度、裂断長、内部強度が低
く、また希釈濃度、添加率を大きくしてもそれほど比破
裂度、比圧縮強度、裂断長、内部強度が向上しない。
【0074】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の熱可溶性ポリマ
ーを含む抄き合わせ紙用添加剤は、熱可溶性ポリマーの
濃度が高濃度であってもその粘度が低く取扱い易く、貯
蔵安定性に優れ、かつ任意の割合に希釈でき、抄き合わ
せ紙の湿潤紙層にスプレーすることにより、層間強度及
び/または紙質が向上した抄き合わせ紙を提供できる。
【0075】本発明の請求項2記載の熱可溶性ポリマー
を含む抄き合わせ紙用添加剤は、分散剤として使用する
カチオン性ポリマーが、ジメチルジアリルアンモニウム
クロリド(共)重合体、(メタ)アクリロイルオキシエ
チルトリメチルアンモニウムクロリド(共)重合体、N
−ビニルホルムアミド(共) 重合体の加水分解物、N−
ビニルアセトアミド(共)重合体の加水分解物のいずれ
かであるので、入手し易く、経済的であり、しかも容易
に本発明の熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液を作
ることができる。
【0076】本発明の請求項3記載の熱可溶性ポリマー
を含む抄き合わせ紙用添加剤は、単量体と分散剤の重量
比を100:1〜10:1としたので、分散剤の機能が
発揮される上、コスト的に有利になる。
【0077】本発明の請求項4記載の抄き合わせ紙の製
造方法により、層間強度及び/または紙質が向上した抄
き合わせ紙を容易に製造できる。
【0078】本発明の請求項5記載の抄き合わせ紙の製
造方法により、中性〜弱アルカリ性の抄紙条件でも層間
強度及び/または紙質が向上した抄き合わせ紙を容易に
製造できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−331100(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 17/00 - 27/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)(メタ)アクリル酸5〜20重量
    %、(b)アクリロニトリル20〜35重量%、(c)
    アクリルアミド45〜75重量%、(d)その他の単量
    体0〜5重量%[但し、a+b+c+d=100重量
    %]を含有して成る単量体混合物を、水溶性でかつ塩水
    溶液中で可溶なカチオン性ポリマーからなる分散剤の共
    存下、塩水溶液中あるいは水溶液中で撹拌しながら共重
    合することにより製造した下記特性(1)および(2)
    を有する熱可溶性ポリマーを含むポリマー分散液からな
    ることを特徴とする抄き合わせ紙用添加剤。 (1)主成分の粒子径が100μm以下 (2)pH4以下において、温度が50〜95℃の範囲
    で可溶化する
  2. 【請求項2】 分散剤として使用するカチオン性ポリマ
    ーが、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(共)重
    合体、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルア
    ンモニウムクロリド(共)重合体、N−ビニルホルムア
    ミド(共) 重合体の加水分解物、N−ビニルアセトアミ
    ド(共)重合体の加水分解物のいずれかであることを特
    徴とする請求項1記載の抄き合わせ紙用添加剤。
  3. 【請求項3】 単量体と分散剤の重量比が100:1〜
    10:1であることを特徴とする請求項1あるいは請求
    項2記載の抄き合わせ紙用添加剤。
  4. 【請求項4】 紙層形成後の湿潤紙層を抄き合わせた
    後、プレスし、更に乾燥する工程を含む2層以上の抄き
    合わせ紙の製造方法において、紙層形成後の抄き合わせ
    前の湿潤紙層に、請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    の抄き合わせ紙用添加剤をスプレー添加することを特徴
    とする抄き合わせ紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 紙層形成時の抄紙pHが4.0〜9.0
    であることを特徴とする請求項4記載の抄き合わせ紙の
    製造方法。
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