JP2905248B2 - 表面紙力剤 - Google Patents

表面紙力剤

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は表面紙力剤に関する。
従来の技術 従来より紙、板紙等の紙力剤としてはアクリルアミド
系ポリマーが主に使用されている。また、紙力剤は内添
紙力剤および表面紙力剤に大別でき、一般に表面紙力剤
の分子量、粘度は表面紙力剤の塗工作業性の点から内添
紙力剤のそれに比べて低く、内添紙力剤をそのまま表面
紙力剤に適用するのは困難とされている。
ところで、近年原料パルプとしてマングローブ等の南
方材の使用が増加しており、パルプ中のベッセル(粗大
導管)の比率が多くなる傾向がある。そのため印刷時に
印刷インキの粘着性により紙の表面からベッセルが抜き
とられる、いわゆるベッセルピックによる白抜け、印刷
ロールのよごれ等が問題となっている。
前記問題を解決しうる手段としては、表面紙力剤に使
用するポリマーの平均分子量をあげる方法等が知られて
いる。しかしながら、一般に平均分子量が高くなるに従
って、粘度が上昇してしまい、前記のとおり塗工作業性
に著しい不利が生ずるという欠点がある。
発明が解決しようとする課題 本発明は紙の内部強度を低下させることなく、また紙
表面のベッセルピックのない、しかも塗工作業性にも優
れた表面紙力剤を提供せんとするものである。
問題点を解決するための手段 本発明者らは前記課題を解決すべく、表面紙力剤に使
用される共重合体の平均分子量と粘度との関係に着目し
て鋭意検討を重ねた。その結果、表面紙力剤として共重
合性単量体および二重結合を2個以上有する架橋剤を共
重合して得られる共重合体が、平均分子量が高いにもか
かわらず、高粘度とならないということを見出し、また
かかる共重合体を用いた表面紙力剤が前記ベッセルピッ
クの課題を悉く解決しうるという知見を得て本発明を完
成するに至った。
すなわち、本発明は アクリルアミド類 50〜99モル%、 および アクリロニトリル類、アクリル酸類およびそのアルカ
リ塩から選ばれる少なくとも1種 1〜50モル%、 並びに、前記単量体100重量部に対して、 ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよ
び/またはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート 0.01〜10重量部、 からなる共重合体を含有することを特徴とする表面紙力
剤に関する。
成分であるアクリルアミド類としてはアクリルアミ
ドまたはメタクリルアミド等があげられる。また、その
使用量は単量体であるおよび成分(単量体全量)
中、50〜99モル%、好ましくは55〜78モル%である。50
モル%未満では紙の内部強度が低下する。
成分としてはアクリロニトリル類、アクリル酸類お
よびそのアルカリ塩から選ばれる少なくとも一種を使用
する。アクリロニトリル類としてはアクリロニトリルま
たはメタクリロニトリル等があげられる。また、アクリ
ル酸類としてはアクリル酸またはメタクリル酸等があげ
られ、そのアルカリ塩としてはアルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩、アミン塩等があげられるが、これらのなかで
もナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩がとく
に好ましい。また、成分の使用量は単量体全量中、1
〜50モル%、好ましくは22〜45モル%である。50モル%
を越えると成分の相対量が減少するため、紙の内部強
度が低下する。
成分は前記単量体から選ばれる少なくとも一種を使用
すれば、特に制限はされないが、なかでもアクリロニト
リル類とアクリル酸類またはそのアルカリ塩を併用する
のが好ましい。併用する場合アクリロニトリル類は単量
体全量に対して10〜40モル%、好ましくは20〜40モル%
であり、アクリル酸類またはそのアルカリ塩は1〜10モ
ル%、好ましくは2〜6モル%であるのがよい。
また、前記単量体と共重合しうる他の単量体を単量体
全量中10モル%以下、なかんずく5モル%以下であれば
使用しうる。かかる任意単量体としてはアクリル酸また
はメタクリル酸のアルキルエステル、酢酸ビニル等があ
げられる。
成分であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レートおよび/またはポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレートは、前記単量体との共重合性がよく、
ある程度の水溶性を示し、前記単量体に対して効率よく
架橋構造をとり均一な架橋分布を与えるものがよい。す
なわち、本発明では前記ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレートおよび/またはポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートを架橋剤として使用するこ
とにより、得られる共重合体は網状構造となり平均分子
量が高くなった場合にも、粘度を適宜に調整しうるもの
と考えられる。かかる架橋剤の具体例としては、たとえ
ば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 等があげられる。
該架橋剤の使用量は前記単量体100重量部に対して、
0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。0.
01重量部未満では従来とかわりなく、共重合体を高分子
量化すれば粘度が高くなり、また粘度が低いままではベ
ッセルピックを改良し得ない。10重量部を越えると共重
合体の粘度が高くなり、塗工作業性が悪くなる。
本発明の共重合体の製造方法は、前記各種成分(、
および成分)を適当な重合開始剤の存在下に水溶液
重合せしめることにより容易に製造することができる。
具体的には水、前記各種成分およびラジカル重合開始剤
を加えて同時反応による方法の他、連続滴下、分割仕込
み等の方法により反応系に前記各種成分を供給する方法
があげられる。反応温度は60〜90℃程度、1〜4時間程
度の条件下で反応を行い重合を完結させる。重合時の単
量体の濃度は前記したいずれの重合方法においてはもち
ろん、他のいかなる方法においても特に制限されない
が、通常は反応混合溶液中10〜50重量%程度、好ましく
は15〜40重量%である。また、ラジカル重合開始剤は特
に制限はされず、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過
硫酸カリウム等の公知の水溶性のものを適宜選択して使
用でき、その使用量は本発明に用いられる単量体の全量
100部に対して通常0.1〜5部程度である。なお、ラジカ
ル重合開始剤のほかに還元剤を併用してレドックス系と
してもよく、また重合度を調節して所望の粘度とするた
めにメルカプタン類の如き連鎖移動剤を使用することも
できる。
得られた共重合体の水溶液粘度は、濃度10〜30重量
%、25℃において500〜5000cps、好ましくは1000〜4000
cpsであるのがよい。5000cpsを越えると塗工作業性が悪
くなり、500cps未満では紙の表面強度が低下する。
また、平均分子量は10万〜300万、好ましくは50万〜1
50万であるのがよい。
本発明の表面紙力剤を紙に塗工する際の濃度および粘
度は特に制限はされず適宜に決定すればよいが、通常は
それぞれ濃度0.5〜5重量%、粘度1〜20cps、pH4.5〜
9.5程度であるのが好ましい。また、塗布方法は特に制
限はされないが、通常はサイズプレス、ワイヤーバー、
ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコータ
ー等を用いることができる。また、塗布量も制限され
ず、紙の種類等を勘案して適宜決定しうるが、通常は該
表面紙力剤の塗工液量で30〜50g/m2、固形分付着量が0.
2〜2g/m2の範囲となるよう調節するのが好ましい。
乾燥は、オーブン、ドラムドライヤー等の公知の乾燥
装置を用いて行なえばよい。
なお、本発明の表面紙力剤には前記以外にポリビニル
アルコール、酸化澱粉等の従来公知の表面紙力剤、ロジ
ンまたは石油系等のサイズ剤、消泡剤、剥離剤、防錆剤
等を添加してもよい。
以下に本発明を参考例、実施例をあげて、さらに詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。尚、特記しない限り、部および%は重量基準
である。
参考例1 撹拌機、温度計、滴下ロート、還流器および窒素導入
管を備えた装置に脱イオン水50部を仕込み、窒素気流下
で80℃まで加熱した。次いで、撹拌下に温度を80〜85℃
に保ちながら下記組成物330.9部を2時間かけて滴下し
た。滴下終了後同温度で1時間保温して重合反応を完結
させた。冷却後、苛性ソーダ水溶液で中和し、脱イオン
水で希釈して、pH5.6、粘度2500cps(25℃)、濃度20%
の淡黄色透明の共重合体水溶液を得た。
参考例2 参考例1において、滴下した組成物中の単量体混合物
の組成を第1表に示したように代えた他は参考例1と同
様に行い、各種の共重合体水溶液を得た。結果を第1表
に示した。
実施例1〜5 第1表に示したように前記参考例に架橋剤を加え、ま
た過硫酸カリウムを1.3部にした他は参考例1と同様に
行い、各種の共重合体水溶液を得た。結果を第1表に示
した。
試験例 参考例および実施例で得られた各種の共重合体水溶液
を固形分濃度が0.5、1.0、2.0%の水溶液となるように
調整し、該水溶液を上質酸性紙(62g/m2)にサイズプレ
ス塗工したのにち回転ドライヤーで110℃、1分間乾燥
した。このサイズ紙を20℃、65%R.H.の条件下に48時間
放置して物性を測定した。評価結果を第2表に示した。
内部強度 インターナル ボンド テスター(熊谷理機(株)
製)により、接着条件10kg/inch2、30秒で測定した。
ベッセルピック数 RI印刷機(印刷適正試験機 (株)明製作所製)を用
い、プリンティングインキ(タックグレード20 東洋イ
ンキ製造(株)製)を60rpm×1回印刷後、ロール側を
セロハンテープにて転写し、印刷紙(12.5cm×5cm角
内)の白ぬけの個数を確認した。
(発明の効果) 本発明の表面紙力剤によれば、平均分子量が高い場合
にも、水溶液粘度を適宜に調節することができる。すな
わち、本発明の表面紙力剤は、紙の内部強度を低下させ
ることなく、また紙表面のベッセルピックのない、しか
も塗工作業性にも優れるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−114911(JP,A) 特開 昭63−50597(JP,A) 特公 昭43−27529(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21H 19/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アクリルアミド類50〜99モル%、お
    よび (b)アクリロニトリル類、アクリル酸類およびそのア
    ルカリ塩から選ばれる少なくとも1種 1〜50モル%、 並びに、前記単量体100重量部に対して、 (c)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
    および/またはポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
    クリレート 0.01〜10重量部、 からなる共重合体を含有することを特徴とする表面紙力
    剤。
  2. 【請求項2】前記共重合体の水溶液粘度が、濃度10〜30
    重量%、25℃において500〜5000cpsである請求項1記載
    の表面紙力剤。
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