JP3110131B2 - 高耐久性薄膜 - Google Patents

高耐久性薄膜

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JP3110131B2
JP3110131B2 JP04050989A JP5098992A JP3110131B2 JP 3110131 B2 JP3110131 B2 JP 3110131B2 JP 04050989 A JP04050989 A JP 04050989A JP 5098992 A JP5098992 A JP 5098992A JP 3110131 B2 JP3110131 B2 JP 3110131B2
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尚康 近藤
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旭テクノグラス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的多層膜(以下、
多層膜と称す)からなる薄膜における高屈折率膜として
硫化亜鉛を用い、この硫化亜鉛に所定の添加物を含有さ
せて薄膜の耐久性を向上させた高耐久性薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン電球用反射鏡におけるガ
ラス基板の内面側に薄膜として被膜される多層膜は、均
一性が得られやすい硫化亜鉛(ZnS)で高屈折率膜を
形成し、また、弗化マグネシウム(MgF2 )あるいは
二酸化珪素(SiO2 )で低屈折率膜を形成し、これら
を交互に積層した構成により、ハロゲン電球の中央に光
源として装着されているハロゲンランプからの可視光を
反射鏡でに反射させ、かつ熱線を反射鏡から透過させて
いる。
【0003】ところが、光源として高出力ハロゲンラン
プ、例えば、100V・360Wタイプのハロゲンラン
プを使用したときには、ハロゲンランプから発せられる
高熱により上記多層膜に膜の剥離、膜クラックなどが発
生し、多層膜は耐久性の面で問題がある。このような高
熱による問題を解消するため、以下のような対応が採用
されている。すなわち、 (1) 多層膜を保護膜で被膜する。 (2) 真空蒸着後の多層膜に加熱処理を施す。 (3) 酸化アルミニウム(Al2 3 )、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO2 )、酸化タンタ
ル(Ta2 5 )などの酸化膜を多層膜に導入する。 (4) 多層膜の膜構成を高耐久性の二酸化チタン−二酸化
珪素(TiO2 −SiO2 )系あるいは酸化ジルコニウ
ム−二酸化珪素(ZrO2 −SiO2 )系の多層膜に変
更する。 (5) 低屈折率膜を二酸化珪素で形成する場合、この二酸
化珪素に酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チ
タン、酸化タンタル、あるいは酸化すず(SnO2 )な
どの酸化物を添加する。 などである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たいずれの対応であっても、以下に示す欠点を有してい
る。すなわち、 (1) 多層膜に被膜される保護膜として酸化珪素、酸化ジ
ルコニウム、酸化チタン、酸化タンタルなどがあるが、
これらを単に被膜するだけでは不十分であり、多層膜の
初期層側から膜剥離、膜クラックが発生する。 (2) 多層膜のある程度の耐久性の向上は達成できるが、
高出力ハロゲンランプに対しては不十分である。 (3) 酸化膜を多層膜のどの層に導入するかで膜応力が変
化しやすく、必ずしも耐久性の向上にはつながらない。
さらに、酸化物は屈折率の調整がやや不安定であり、多
層膜の設計が複雑となる。 (4) ・基板の形状が深い凹面である場合には、多層膜を
構成する膜の回り込みが少なく、均一な膜の被膜が得ら
れない。 ・硫化亜鉛−弗化マグネシウム(ZnS−MgF2 )あ
るいは硫化亜鉛−二酸化珪素(ZnS−SiO2 )系の
多層膜と比較して、層数が1.3〜1.5倍必要とな
り、コストアップとなる。 ・酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル
は被膜する条件によっては多層膜に吸収が発生し、この
ため低級酸化膜となって被膜の特性が不安定となる。 ・被膜を除去して再生基板として使用することができな
い。 (5) 例えば特開昭57−124301号公報には低屈折
率を有する酸化珪素に対し各種酸化物を添加して耐久性
の向上を図ることが開示されているが、同様の添加を低
屈折率を有する弗化マグネシウムに適用した場合には、
酸化物の添加によりマグネシウムが酸化されて酸化マグ
ネシウム(MgO)が形成され、屈折率が高くなってし
まうため、低屈折率層として適用できなくなり、同様の
効果が得られない。 などである。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、高出力ハロゲンランプの点灯時に熱線を照射されて
も、膜剥れ、膜クラックなどが発生することがなく、耐
久性を向上させた高耐久性薄膜を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、光学的多層膜からなる薄膜において、高
屈折率膜を硫化亜鉛で形成するとともにこの硫化亜鉛に
添加物として酸化タンタルを0.5〜5重量%含有させ
たことを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明は上記のように構成したので、高出力の
ハロゲンランプを装着・点灯した際の高熱によっても薄
膜に何ら変化を生じることなく、高効率の点灯が維持さ
れ、薄膜の耐久性が向上される。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0009】図1において、1 はガラス基板、例えばハ
ロゲン電球用反射体のガラス基板であり、一面を回転放
物面からなる凹面2 で形成されている。この凹面2 の中
央には光源としてハロゲンランプ3 が装着されており、
さらに凹面2 上には高耐久性薄膜としての多層膜4 が被
膜され反射鏡5 が形成される。反射鏡5 に被膜されてい
る多層膜4 によりハロゲンランプ3 から出射される可視
光が反射され、熱線が反射鏡5 を透過する 多層膜4 は、0.2〜7重量%の酸化タンタル(Ta2
5 )を含有させた硫化亜鉛(ZnS)からなる高屈折
率膜(H)と弗化マグネシウム(MgF2 )からなる低
屈折率膜(L)を21層交互に積層したZnS−MgF
2 系多層膜である。すなわち、HとLを交互に6層ずつ
合計12層積層し、次にこの上にHとLを交互に4層ず
つ、さらにHを1層付加し合計21層積層した多層膜
で、それぞれの光学膜厚は1/4λ設計で、それぞれの
設計波長は、λ 1〜12=600nmおよびλ13〜21=4
50nm)である。この多層膜4 は真空蒸着法により、 (1) 真空度 1×10-4〜5×10-4Torr (2) 基板温度 150〜250℃ (3) 蒸発源 エレクトロビーム(電子銃) の蒸着条件で成膜した。
【0010】さらに、多層膜4 の蒸着完了後、多層膜4
が蒸着された反射鏡5 を電気炉中で400℃1時間のに
熱処理を施し、多層膜4 を硬化した。
【0011】次に、多層膜4 の耐久性について、高屈折
率膜(H)に添加される酸化タンタルの重量比を変化さ
せ、点灯テスト、熱衝撃テスト、煮沸テスト、および引
張りテストを行なった。その結果のテストデータを表1
に示す。
【0012】
【表1】 表1に示すテストの試験方法を以下に示す。すなわち、 (1) 点灯テスト…反射鏡5 に100V・360Wのハロ
ゲンランプ3 を装着して、10分間点灯、10分間冷却
を反復し、最高100時間経過間までの膜剥れ・膜クラ
ック・スプラッシュ(突沸現象)などについて評価 (2) 熱衝撃テスト…反射鏡5 を500℃の中性雰囲気の
電気炉中に5分間放置した後、大気中に放置冷却し、膜
剥れ・膜クラック・スプラッシュなどについて評価 (3) 煮沸テスト…反射鏡5 を100℃の市水中に10分
間浸漬後、膜剥れ・膜クラック・スプラッシュなどにつ
いて評価 (4) 引張りテスト…多層膜4 に幅1/2インチ、長さ1
0mmの#600のスコッチテープ(商品名)を貼着し
急激に引剥した後、膜剥れ・スプラッシュについて評価 であり、これらのテスト後の評価については、以下の評
価記号、すなわち、 ○=膜剥れ・膜クラックなし △=わずかな膜クラックあり ×=膜剥れ・膜クラックあり ※=スプラッシュあり で表1に示している。
【0013】ハロゲン電球用反射鏡5 に使用される多層
膜4 は、可視光線反射・赤外線透過の特性を十分に発揮
させるためには、凹面状の基板1 に多層膜4 を均一に被
膜することが要求されている。また、硫化亜鉛は、多層
膜の設計上、高屈折率材料として使用される他の材料の
酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタルなどと比
較して極めて回り込みがよく膜の均一性が得られやすい
という利点を有している反面、吸水性が大きく耐久性の
面で劣るという欠点を有している。
【0014】ところで、表1の太線で囲んだ部分から明
らかなように、硫化亜鉛に酸化タンタルを添加、特に、
0.5〜5重量%を含有させることにより、硫化亜鉛膜
の耐久性、さらには、多層膜4 全体の耐久性が向上する
ことが上記各種テストから判明した。さらに、この各種
テスト結果および以下の理由により酸化タンタルの含有
量を0.5〜5重量%とするのが好ましい。すなわち、 A.光学的に硫化亜鉛の屈折率が低下しない範囲であ
る。 B.添加物である酸化タンタルが硫化亜鉛膜中に充填さ
れ、膜の緻密化が進み結合力が増大する。 C.成膜する際、被膜しやすい。 などの理由による。例えば、酸化タンタルの含有量を
0.5重量%を下回る場合には、上記A項とC項を満足
させることができるが、B項の点で劣り耐久性が十分で
なく、また、5重量%を上回る場合には、C項に問題が
あり、真空蒸着法で被膜する際、エレクトロンビームと
の適合性が悪くなり、スプラッシュが発生し蒸着ブツと
なるためである。
【0015】また、酸化タンタルを添加物として選択し
た理由としては、硫化亜鉛との屈折率を比較すると、Z
nS=2.3、Ta2 5 =2.1であり、酸化タンタ
ルの屈折率が硫化亜鉛の屈折率に近く、光学的な影響を
与えないとともに酸化タンタルは耐久性、特に、耐熱性
においては他の酸化物よりも優れていることが確認され
ており、その上硫化亜鉛との適合性も良好であることに
よる。さらに、付言すると、硫化亜鉛は熱衝撃を受ける
と、硫化亜鉛の酸化膜に変化することがX線回析法によ
り判明しているが、添加物である酸化タンタルはこの酸
化膜への変化を防止するバリヤー効果を有している。
【0016】なお、上記実施例では、高耐久性薄膜をハ
ロゲン電球用反射鏡5 について適用したが、これに限る
ことはなく、バンドパスフィルター、コールドミラー、
カラーフィルターなどの光学的多層膜にも適用できるこ
とは勿論である。
【0017】また、多層膜4 の被膜を真空蒸着法により
成膜したが、これに限定されることはなく、スパッタリ
ング法やイオンプレーティング法など他の方法でもよ
く、同様の作用効果が得られる。
【0018】また、本発明は上記実施例に限定されるこ
となく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々
変形可能なことは勿論である。
【0019】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の高耐久性
薄膜によれば、硫化亜鉛に添加物として酸化タンタルを
0.5〜5重量%含有させることにより、高耐久性薄膜
を容易に得ることができるとともに熱的影響によっても
変化することのない高耐久性を得ることができる。
【0020】また、光学的にも安定していることによ
り、光学的特性に影響を与えることがなく、さらには、
被膜条件や使用条件にも何らの困難性がなく、容易に成
膜が可能であるとともに安価に得られるという優れた効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐久性薄膜を適用したハロゲン電球
の一部切欠断面図である。
【符号の説明】
4 …光学的多層膜(高耐久性薄膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 17/00 - 17/44 F21V 7/22 G03B 5/08 H01J 61/35 H01K 1/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的多層膜からなる薄膜において、高
    屈折率膜を硫化亜鉛で形成するとともにこの硫化亜鉛に
    添加物として酸化タンタルを0.5〜5重量%含有させ
    たことを特徴とする高耐久性薄膜。
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