JP2778784B2 - 光源用多層膜反射鏡 - Google Patents

光源用多層膜反射鏡

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JP2778784B2 JP2047514A JP4751490A JP2778784B2 JP 2778784 B2 JP2778784 B2 JP 2778784B2 JP 2047514 A JP2047514 A JP 2047514A JP 4751490 A JP4751490 A JP 4751490A JP 2778784 B2 JP2778784 B2 JP 2778784B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、投光照明等の光源に用いられる特定の分光
透過率を持たせた多層光干渉膜が反射面に設けられた光
源用多層膜反射鏡に関する。
(従来の技術) 近年、ガラス製投光レフレクタの内面に高屈折率物質
と低屈折率物質との各薄膜を交互に積層した多層膜で形
成される多層膜反射鏡が、投影器、店舗用照明、医療用
照明などの光源として多く使用されている。
このような多層膜反射鏡は、可視光線をできるだけ反
射し長波長の赤外領域の熱線を透過させることにより、
照明された物体を熱線によって加熱することを少なく
し、かつ光源からの熱線が多層膜を透過する際に吸収に
よって投光レフレクタが加熱されない、いわゆる冷光鏡
としての特徴を有している。一般に冷光鏡は鏡面に高屈
折率物質と低屈折率物質との薄膜を交互に積層した多層
膜で形成されるが、積層される各物質の屈折率の比が大
きいほど高い反射率と広い反射帯を有するものである。
冷光鏡に使用される物質の組み合わせと、その屈折率の
比を表−1に示す。この表−1から、広い反射帯域を得
るには高屈折率物質として硫化亜鉛(ZnS)を、また低
屈折率物質として弗化マグネシウム(MgF2)を採用する
のが有利であることがわかる。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、表−2に示すように、上記したZnS−M
gF2からなる多層膜は、屈折率比が高いが、耐熱性、耐
候性に問題がある。すなわち、ZnS−MgF2からなる多層
膜は、この多層膜が被着された反射鏡に高熱を発生する
ハロゲンランプなどを装着して光源を構成した場合には
高温を受けることになり、この高温によって短時間で剥
離し、かつ表層部のZnSが酸化されて白濁する。通常、
ハロゲンランプを点灯した場合、反射鏡の熱負荷が350
℃のとき30時間、300℃のとき100時間で使用不能にな
る。また、ZnSは吸湿性があるため、温度50℃、湿度90
%の雰囲気に50時間放置すると、膜が剥離してしまう。
これに対し、TiO2−SiO2からなる多層膜は、耐熱性お
よび耐候性には優れているが、ZnS−MgF2からなる多層
膜と同程度の光学特性を得ようとすれば、ZnS−MgF2
層膜は25層の積層であるに対しTiO2−SiO2多層膜は膜の
積層数を50%近く多い35層とする必要があり、高価にな
るので、経済的な面から実用性に問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、少ない
層数で必要とする光学特性が得られ、かつ耐熱性および
耐候性に優れた多層光干渉膜が反射面に設けられた光源
用多層膜反射鏡を提供することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段と作用) 本発明は、上記目的を達成するために、基体面に、該
基体に装着したランプから発せられた光の可視光を反射
するように二酸化チタンからなる高屈折率層と弗化ナト
リウムからなる低屈折率層とを交互に積層してなる多層
膜を被着し反射鏡を構成したので、多層膜は少ない層数
で必要とする光学特性が得られるものとなり、光源用多
層膜反射鏡として優れた耐熱性および耐候性を有するも
のとなる。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図は本発明
の一実施例の多層膜の分光透過率特性を示した図であ
る。
第1図に示すように、基体となる硬質ガラス製投光レ
フレクタ1はその一面を拡開させた回転放物状の凹部2
を有して形成され、この凹部2の中心には、例えば高熱
を発生するハロゲンランプ3が装着される。この投光レ
フレクタ1の前面には安全のため前面ガラス4が取り付
けられる。
また、投光レフレクタ1の凹部2側の内面上にはハロ
ゲンランプ3から発せられる光を反射投光する多層膜5
が被着されている。この多層膜5は、高屈折率物質とし
て屈折率2.3の二酸化チタン(TiO2)、低屈折率物質と
して屈折率1.3の弗化ナトリウム(NaF)を採用し、表−
3に示す膜構成、膜厚で形成される。すなわち、第1層
から第9層までの光学膜厚が1/4λa(λ=600nm)およ
び第10層から第17層までの光学膜厚が1/4λb(λb=4
50nm)である各物質の薄膜が、第1層を二酸化チタンか
らなる層とし第2層から交互に積層された交互層であ
る。従って、第17層は二酸化チタン層となる。
この多層膜5の形成方法は、例えば真空蒸着法によっ
て行われる。二酸化チタン層は、酸素およびアルゴンを
導入した8×10-3〜1×10-4Torrの低真空雰囲気内で、
反射鏡温度を100〜300℃とし、蒸着母材を電子ビームで
衝撃することによって、投光レフレクタ1あるいは弗化
ナトリウム層上に蒸着される。また、弗化ナトリウム層
は、アルゴンを導入した上記圧力の低真空雰囲気内で、
反射鏡温度を100〜300℃とし、蒸着母材を抵抗加熱する
ことによって、二酸化チタン上に蒸着される。
上記方法により−3に示す膜構成、膜厚で形成された
TiO2−NaFからなる多層膜5は、両層の屈折率比がNH/NL
=1.77で、第2図に示す分光透過特性を有しており、こ
れは第3図に示す従来のTiO2−SiO2多層膜の分光透過特
性とほぼ同等である。このように両多層膜はほぼ同等の
光学特性を有しているが、この光学特性を得るために、
TiO2−SiO2多層膜は35層の積層を必要とするのに対し、
TiO2−NaF多層膜5は17層の積層ですむ。
弗化ナトリウムは化学的に安定で二酸化チタンとの積
層の際の適合性が従来の積層に比較して極めて良好であ
り、TiO2−NaF多層膜5は熱負荷に対して剥離しにく
く、また高温多湿の環境に耐えられる。従って、TiO2
NaF多層膜5を投光レフレクタ1に被着して多層膜反射
鏡とし、さらに多層膜反射鏡にハロゲンランプ3などの
ような高出力ランプを装着し光源を構成した場合でも、
TiO2−NaF多層膜5は高出力ランプの発する高熱にも耐
え、長寿命で耐候性も良い。すなわち、TiO2−NaF多層
膜5の耐熱性と耐候性について行った試験の結果を表−
4に示す。ここで耐熱性はランプ点灯時の反射部の温度
である。300℃と350℃とにおける剥離開始までの時間で
示し、耐候性は温度50℃、湿度90%の雰囲気中における
剥離開始までの時間を示している。表−2におけるTiO2
−SiO2多層膜の耐熱性と耐候性と比較し、実施例のTiO2
−NaF多層膜5が耐熱性と耐候性に優れ、長寿命で過酷
な使用条件にも耐えられることが明らかである。
上記したように、弗化ナトリウムは屈折率が1.3と小
さく、かつ化学的に安定しているので耐熱性と耐候性に
優れている。さらに二酸化チタンと弗化ナトリウムとは
屈折率比が大きいので少ない層数で必要とする光学特性
が得られ、また両者の積層の適合性が良いので剥離し難
く、耐熱性と耐候性に優れた膜が得られる。
また、上記実施例では、膜の形成方法を真空蒸着法と
したが、これに限らず、イオンプレーティング法、イオ
ンアシスト法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法な
ど他の形成方法でもよい。
また、二酸化チタン層および弗化ナトリウム層の少な
くとも一方にガラス質強化剤や散光性微粒子などを含有
させることは適宜実施してもよい。
また、本発明は上記実施例に限定されることなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形可能な
ことは勿論である。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明の光源用多層膜反射鏡に
よれば、投光レフレクタである基体の表面に、二酸化チ
タンからなる高屈折率層と弗化ナトリウムからなる低屈
折率層とを交互積層してなる多層膜を被着するようにし
ているので、多層膜は大きな屈折率比が得られ、かつ各
成分が化学的に安定で積層時における適合性がよいの
で、少ない層数でも必要とする光学特性を得ることがで
きるものとなり、優れた耐熱性と耐候性が得られ長寿命
で苛酷な使用条件に耐える反射鏡となり、また、被着す
る多層膜の層数が少ないので、経済的な面でもコストダ
ウンが図れるなど実用的な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の多層膜反射鏡の断面図、第
2図は本発明の一実施例の多層膜の分光透過率特性示す
曲線図、第3図は従来の多層膜の分光透過率特性を示す
曲線図である。 1……投光レフレクタ(基体)、5……多層膜。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体面に、該基体に装着したランプから発
    せられた光の可視光を反射するよう二酸化チタンからな
    る高屈折率層と弗化ナトリウムからなる低屈折率層とを
    交互に積層してなる多層膜を被着したことを特徴とする
    光源用多層膜反射鏡。
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