JP2002006123A - 光反射体及び反射型照明装置 - Google Patents
光反射体及び反射型照明装置Info
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Abstract
も、耐熱性、耐摩耗性等の光反射体性能に優れた光反射
体及び反射型照明装置を提供する。 【構成】 高純度アルミニウム若しくは高純度アルミニ
ウムを用いたクラッド材からなる反射体本体11の高純
度アルミニウム面上に、スピネル(MgAl2O4)から
なる酸化防止層12を形成し、さらに当該酸化防止層1
2上に、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル
(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、硫化亜
鉛(ZnS)などから屈折率2.0以上の高屈折率層1
3を形成し、本発明に係る光反射体10を得る。また、
当該光反射体10を用いて、例えば図2及び図3に示す
ような反射型照明装置1を作製する。
Description
照明装置に関する。具体的には、水銀灯や蛍光灯等の光
源の背面に備えられる光反射体の構造及び当該光反射体
を備えた反射型照明装置に関する。
タルハライドランプ、ナトリウム灯などの放電灯、コン
パクト蛍光灯などの光源から出射される可視光線を光反
射体表面に反射させることにより、被照射物や屋内外の
空間の明るさなどを増すために用いられている。これら
の反射型照明装置は、例えば、競技場や体育館、スタジ
オ、店舗の照明、あるいはプロジュクタ用ランプや車の
ヘッドランプなどの照明のみに限らず、コピー機やプリ
ンター機等の露光装置にも広く用いられている。
射効率を向上させることは、かねてからニーズが高く、
いろいろな試みがなされている。それらの試みとして、
図4に示すような構造の光反射体100が提案されてい
る。この光反射体100は、反射体本体110を構成す
るアルミニウム材料からなる板状の成形体表面に、表面
を平滑にするための有機若しくは無機塗膜からなるアン
ダーコート層111が形成され、さらにその表面にアル
ミニウム蒸着膜からなる反射膜120が形成されてい
た。この反射膜120の反射性を高めるために、当該反
射膜120上面に、二酸化ケイ素に代表される低屈折率
物質からなる低屈折率層131と、酸化チタンに代表さ
れる高屈折率物質からなる高屈折率層132とを交互に
積層した光干渉層130が形成されていた。このような
光反射体100においては、光干渉層130の増反射効
果により、反射率が95〜98%に達するとされてい
る。
うな構成の光反射体100は耐久性とりわけ耐熱性の面
で課題が残っていた。例えば、光反射体110を用いる
器具が密閉構造であったり、もしくは1kw以上の高出
力HIDランプを取り付けた場合、光反射体100の温
度がアンダーコート塗膜の耐熱温度以上に上昇してしま
うため、アンダーコート層111にクラックが入った
り、塗膜が熱分解を起こし、アルミニウム蒸着膜(反射
膜120)の密着性が低下し、剥離するという問題が生
じる。
層を設けずに、高純度アルミニウムを鏡面研磨した反射
体本体上に直接光干渉層を設けるという試みもなされて
いる。これは、光反射体の温度がアルミニウムの酸化が
起こる300℃以下の温度では、非常に有効な方法であ
る。
に越えてしまうような場合には、光干渉層を通して酸素
がアルミニウム表面を酸化させ、反射率が著しく低下し
てしまうことが知られている。これは、光干渉層に用い
られているTiO2、Ta2O 5、SiO2、MgF2等に
酸化防止効果が無いためであると考えられる。また、も
ともと硬度の低い高純度アルミニウムの上に光干渉層を
設けているために、光反射体本体の表面硬度が低く、耐
摩耗性にも劣るという問題点もあった。
開平8−222018号公報に開示されたように、アル
ミニウムの反射体本体上に陽極酸化被膜(アルマイト
層)を形成し、さらにその上に光干渉層を設けるという
試みもある。これらの光反射体においては、アルマイト
層がアルミニウム反射面の酸化防止層として作用するた
め、高温雰囲気での耐久性の向上という点で優れてい
る。
は、アルマイト膜の上に形成された光干渉層は少なくと
も3層以上の高屈折率層、低屈折率層を交互に積層した
光学多層膜であるため、増反射波長帯域が狭くなり、反
射率の最高値は高いが反射効率(式1参照)は低下する
といった問題を生じる。
射効率を向上させるためには、R(λ)は可視光線の波
長域(380〜780nm)で全体的に高いことが必要
である。また、R(λ)は光源発光部と光反射体の反射
面法線のなす角度θによって変化し、θが90°に近づ
くほどR(λ)は短波長側にシフトする。よって、θの
大きな(すなわち光反射体の曲率の大きい)反射型照明
装置の場合、光源から発せられるエネルギーの高い波長
と増反射波長帯域とがずれてしまい、十分に反射性能を
活かしきれない恐れがある。
光反射体の色調に角度依存性が生じるため見る角度によ
って色調が変化し、見栄えの点で著しく劣るという問題
がある。
陽極酸化被膜は酸化アルミニウムから形成されているた
め、陽極酸化被膜の表面硬度が低く、耐摩耗性にも劣る
という問題がある。
可視光域において光反射効率が高く、しかも、耐熱性、
耐摩耗性等の反射体性能に優れた光反射体及び反射型照
明装置を提供することにある。
なくとも反射面側がアルミニウムにて形成された反射体
本体と、当該反射体本体の反射面上に形成されたスピネ
ルからなる酸化防止層と、当該酸化防止層上に形成され
た屈折率2.0以上の高屈折率層とを具備することを特
徴としている。
ウム材と当該高純度アルミニウム材の硬度よりも高い硬
度を有する金属材とから構成されたクラッド材から作製
するのが好ましい。
酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、硫化亜鉛(ZnS)か
らなる群から選択されるいずれか1種から形成すること
ができる。
光源から出射された光を反射する光反射体とを備えた反
射型照明装置において、前記光反射体は、請求項1、2
又は3いずれかに記載の光反射体であることを特徴とし
ている。
射体が前記光源を納める筐体を兼ね備えるようにするの
が好ましい。
0の構造図である。当該光反射体10は、反射体本体1
1の表面に、スピネルからなる酸化防止層12が形成さ
れ、さらに当該酸化防止層12上に、屈折率が2.0以
上である高屈折率層13が形成されている。
具体的には、純度99.0%以上のAl099などから
作製された板状体が用いられる。また、光反射体10の
反射効率を考慮する場合には、光源に対向する側の表面
の反射率に依存するため、本発明にあっては、少なくと
も反射体本体11の表面において、光反射面となる高純
度アルミニウム面が露出されていればよく、例えばA3
003などの硬度の高いアルミニウム材を芯材とし、そ
の表面にAl099などの高純度アルミニウムを皮材と
したクラッド材を用いることもできる。また、芯材には
アルミニウム以外に、例えばSUS304などのステン
レス材や他の高強度金属材を用いることにしても差し支
えない。特に、このようなクラッド材を用いることによ
って、後述するように、これまでアルミダイキャスト等
で作製されていた反射型照明装置の筐体を光反射体10
自身で置き換えることが可能で、反射型照明装置の部品
点数を削減でき、製作コストを大幅に軽減できる。
体本体11の高純度アルミニウム面、つまり光反射面
に、酸化防止層12が積層されている。当該酸化防止層
12を構成する物質としては、酸化アルミニウム(Al
2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、イットリウム・
アルミニウム・ガーネット酸化物(YAG)、スピネル
(MgAl2O4)などが知られているが、中でもスピネ
ルは膜硬度、耐熱性、酸化防止性の点で酸化アルミニウ
ムに優れ、また、膜の光吸収が小さいという点で窒化ア
ルミニウムに勝り、材料コストの点でYAGよりも優れ
た物質であり、本発明においては、これらの観点からス
ピネルが選択的に使用される。
2.0以上の高屈折率層13が備えられる。当該高屈折
率層13は、二酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル
(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、硫化亜
鉛(ZnS)からなる群から選択されるいずれか1種か
ら形成される。この高屈折率層13は、下層の酸化防止
層12との界面で増反射効果をもたらし、反射率を向上
させる効果をもたらす。従って、当該効果を果たすもの
であればこれらの物質に限られるものではないが、これ
らの物質を用いることによって、光反射体10の表面硬
度を向上させる点で好都合である。
3は、下記の膜厚に形成できる方法であれば、物理的方
法、化学的方法を問わずに用いることができる。物理的
方法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティ
ング法、イオンアシスト蒸着法、プラズマアシスト蒸着
法、スパッタリング法などが挙げられる。また、化学的
方法としては、化学的蒸着法(CVD)、液相成長法
(LPD)等が挙げられる。
厚(=nd:nは屈折率、dは物理的膜厚)が、使用す
る光源の分光分布中心波長(λ)の1/4になるように
設定するのが望ましい。このような膜厚に設定すること
により、光源からの光を効率よく反射することが可能と
なる。また、増反射波長帯域が広くなるため光源と反射
面法線が60°以上の角度を持つような光反射体10で
も、光源からの光を効率よく反射することができる。
光源40の背面側に設置される。図2及び図3は当該光
反射体10を備えた反射型照明装置1の一例を示すもの
であって、図2はその断面構造図、図3はその分解斜視
図である。当該反射型照明装置1は、ハロゲンランプや
ショートアークHQIランプなどの光源30と、光源3
0とを納める筐体20とを備えており、筐体20の側面
には、1対の取付部材40が備えられている。なお、図
3においては取付部材40は省略されて描かれている。
との2つの部材から構成されている。前反射鏡21は、
その前面及び背面が開口されており、前面開口が背面開
口よりも広がった略円筒状をしている。後反射鏡22
は、前面が開口された椀状をしており、前反射鏡21の
背面開口と後反射鏡22の前面開口はほぼ同じ大きさに
設計されており、例えば、溶接や接着剤、あるいは、そ
の合わせ部全周囲に備えられる結合部材によって一体と
されている。また、後反射鏡22の前面周囲には、2ヶ
所に切込み23が形成されており、光源30の両側に備
えられた棒状の取付部31を保持可能にしている。
鏡21及び後反射鏡22は、それぞれ本発明に係る光反
射体10から作製されている。すなわち、前反射鏡21
及び後反射鏡22は、例えばSUS304のような高強
度を有する金属材からなる芯材とAl099のような高
純度アルミニウムからなる被材とによって構成された反
射体本体11に酸化防止層12と高屈折率層13とが備
えられた光反射体10となっており、その内面側が光反
射面となっている。
えることにより、全可視光域において反射効率が高く、
しかも、耐熱性、耐摩耗性等の反射性能に優れた反射型
照明装置1を提供できる。特に、この反射型照明装置1
のように、反射体本体11に強度の高いクラッド材を用
いることにより、光反射体10そのものを反射型照明装
置1の筐体20として用いることができるため、筐体用
部品を別途用意する必要がなく、構成部品点数を削減
し、反射型照明装置1の大幅なコストダウンを図ること
ができる。
作製すると共に、これらの光反射体を用いた反射型照明
装置を作製し、本発明による効果を確かめた。
厚さ2mmのアルミニウムクラッド材(ZB1−0:昭
和アルミ社製)の表面をバフ研磨及び電解研磨をした後
(Rmax≦0.1μm)、高密度反応性イオンプレーテ
ィング装置(JEIP−900FA:日本電子社製)を
用いて、スピネル(MgAl2O4)からなる酸化防止層
(光学的膜厚nd=140nm)、酸化チタン(TiO
2)からなる高屈折率層(光学的膜厚nd=140n
m)を形成し、本発明の実施例である光反射体を作製し
た。
厚さ2mmのアルミニウムクラッド材(ZB1−0:昭
和アルミ社製)の表面をバフ研磨及び電解研磨をした後
(Rmax≦0.1μm)、高密度反応性イオンプレーテ
ィング装置(JEIP−900FA:日本電子社製)を
用いて、二酸化ケイ素(SiO2)からなる酸化防止層
(光学的膜厚nd=140nm)、酸化チタン(TiO
2)からなる高屈折率層(光学的膜厚nd=140n
m)を形成し、比較例である光反射体を作製した。
厚さ2mmのアルミニウムクラッド材(ZB1−0:昭
和アルミ社製)の表面をバフ研磨及び電解研磨をした後
(Rmax≦0.1μm)、高密度反応性イオンプレーテ
ィング装置(JEIP−900FA:日本電子社製)を
用いて、二酸化ケイ素(SiO2)からなる酸化防止層
(光学的膜厚nd=140nm)、酸化タンタル(Ta
2O5)からなる高屈折率層(光学的膜厚nd=140n
m)を形成し、比較例である光反射体を作製した。
及び450℃で30日間耐熱試験を行った後の反射効率
を測定し、反射効率の変化を測定したところ、表1に示
すような結果が得られた。なお、反射効率は式1に従っ
て求めた。
れば、高温にさらされた場合においても、その反射効率
はわずか3%程度しか変化せず、また、高温下に置いた
場合でも、90%以上という高反射効率を得ることがで
きた。
明装置を作製した。まず、図2及び図3に示す前反射鏡
として、前面開口径が450mmで幅160mmの大き
さにして、Al099/SUS304クラッド材の表面
をヘラ絞り及びバフ研磨並びに電解研磨をした後(Rma
x≦0.1μm)、高密度反応性イオンプレーティング
装置(JEIP−900FA:日本電子社製)を用い
て、スピネル(MgAl 2O4)からなる酸化防止層(光
学的膜厚nd=140nm)及び酸化チタン(Ti
O2)からなる高屈折率層(光学的膜厚nd=140n
m)を形成した。これとは別に、図2及び図3に示す後
反射鏡を、後面開口径が280mmで幅100mmの大
きさにして、Al099/SUS304クラッド材を用
いて、前反射鏡と同様の方法にて作製した。
トアークHQIランプを組み込み、本発明の実施例であ
る反射型照明装置を作製した。この反射型照明装置を、
1年間長期点灯試験を行ったところ、光反射体に色の変
化やクラックが発生せず、良好な照明状態を得ることが
出来た。
ミニウム反射面に形成されたスピネルからなる酸化防止
層上に、屈折率が2.0以上の高屈折率層を具備してい
るので、耐熱性、耐摩耗性に優れるとともに、全可視長
域において優れた光反射効率を示す。特にスピネルから
なる酸化防止層であるために、硬度が高くて耐摩耗性に
優れ、費用的にも安価である。また、反射面上には2層
の膜しかないので見る角度によっても色調の変化もな
い。このように、反射体性能に非常に優れたものであっ
て、しかも安価に作製できる。
アルミニウム材の硬度よりも高い硬度を有する金属材と
から構成されるクラッド材から反射体本体を作製すれ
ば、光反射体全体としての強度を高めることができる。
このため、光反射体自体が照明装置の筐体などを兼ね備
えることができる。
タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(Zr
O2)、硫化亜鉛(ZnS)からなる群から選択される
いずれか1種から高屈折率層を形成することにより、さ
らに光反射体の表面硬度を高めることができ、耐摩耗性
の向上につながる。
る光反射体を備えているので、非常に安価に、光反射特
性及び耐久性に優れた反射型照明装置を提供できる。
ことにより、反射型照明装置の製造コストを大幅に削減
できる。
である。
に係る反射型照明装置の断面構造図である。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも反射面側がアルミニウムにて
形成された反射体本体と、当該反射体本体の反射面上に
形成されたスピネルからなる酸化防止層と、当該酸化防
止層上に形成された屈折率2.0以上の高屈折率層とを
具備することを特徴とする光反射体。 - 【請求項2】 前記反射体本体は、高純度アルミニウム
材と当該高純度アルミニウム材の硬度よりも高い硬度を
有する金属材とから構成されたクラッド材からなること
を特徴とする請求項1記載の光反射体。 - 【請求項3】 前記高屈折率層は、二酸化チタン(Ti
O2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム
(ZrO2)、硫化亜鉛(ZnS)からなる群から選択
されるいずれか1種から形成されたことを特徴とする請
求項1又は2いずれかに記載の光反射体。 - 【請求項4】 光源と、当該光源から出射された光を反
射する光反射体とを備えた反射型照明装置において、前
記光反射体は、請求項1、2又は3いずれかに記載の光
反射体であることを特徴とする反射型照明装置。 - 【請求項5】 請求項4記載の反射型照明装置におい
て、前記光反射体が前記光源を納める筐体を兼ね備えた
ことを特徴とする反射型照明装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000185565A JP3932775B2 (ja) | 2000-06-21 | 2000-06-21 | 光反射体及び反射型照明装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005081021A1 (ja) * | 2004-02-24 | 2005-09-01 | Matsushita Electric Works, Ltd. | 光反射体及びこの光反射体を有する照明器具 |
JP2007024632A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Matsushita Electric Works Ltd | 誘虫性の評価方法及び低誘虫性照明システム |
JP2010196168A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Corning Inc | 193nmでの広角高反射ミラー |
JP2015179596A (ja) * | 2014-03-19 | 2015-10-08 | 株式会社アイテックシステム | 照明装置 |
-
2000
- 2000-06-21 JP JP2000185565A patent/JP3932775B2/ja not_active Expired - Fee Related
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