JPH08292308A - 反射体およびこれを用いた反射形照明装置 - Google Patents

反射体およびこれを用いた反射形照明装置

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JPH08292308A
JPH08292308A JP7098728A JP9872895A JPH08292308A JP H08292308 A JPH08292308 A JP H08292308A JP 7098728 A JP7098728 A JP 7098728A JP 9872895 A JP9872895 A JP 9872895A JP H08292308 A JPH08292308 A JP H08292308A
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reflector
layer
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film
lamp
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JP7098728A
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Tatsuo Maruyama
辰雄 丸山
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高反射率を得るとともに、耐久性が高く、紫外
線や高温を受けても劣化やクラックなどの発生が抑制さ
れる反射体およびこれを用いた反射形照明装置を提供す
る。 【構成】反射体本体30のアルミニウム表面に陽極酸化
層320を形成し、この陽極酸化層320の表面に光学
多層膜340を形成したことを特徴とする反射体。 【作用】反射体本体の表面に陽極酸化層を形成したか
ら、陽極酸化層とアルミニウムの境界面が実質的な反射
面となり、この反射面の反射作用と、光学多層膜の干渉
作用により、反射率が向上する。しかも、陽極酸化層は
耐蝕性、耐磨耗性が高く、よって反射体本体の耐久性が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射体およびこれを用
いた反射形照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、各種電球や放電灯は反射体と組
み合わせて反射形照明装置(投光器を含む)として用い
ることが多く、このような反射形照明装置は、電球や放
電灯などのような光源から放出された光を反射体により
所望方向または所望領域に向けて反射し、この反射光が
照射される方向または領域の明るさを増大させるように
構成されている。例えば、競技場や体育館、舞台、スタ
ジオなどでは大形の反射形照明装置(投光器)が広く使
用されており、また店舗などでは小形の反射形照明装置
を用いて商品を効果的に照明するスポットライトなどが
用いられている。また、映写機や投影機、プロジェクタ
装置などは、高効率小形HID放電灯と反射体とを組み
合わせた小形投光器が使用されており、さらに各種OA
機器などは、細長い形状のランプと樋形をなした反射体
とを組み合わせた露光用照明装置や、バックライトなど
が広く用いられている。
【0003】このような反射形照明装置においては照明
効率を向上させたいという要請があり、このためには光
源としてのランプの発光効率を上げることが重要である
が、それとともに反射体の反射効率を高めることも大切
である。
【0004】従来、投光器用反射体の反射効率を高める
ために、平成7年度照明学会全国大会の予稿集には、図
4に示すような構造の反射体が提案されている。すなわ
ち、図4において50はアルミニウム基板により形成さ
れた反射体本体であり、この反射体本体50の反射面側
には、表面の平滑化のためにけい素化合部などからなる
有機材または無機材のアンダーコート膜51が形成され
ている。このアンダーコート膜51の表面に反射作用を
得るためのアルミ蒸着膜52が形成されており、さらに
このアルミ蒸着膜52の表面に反射効率を高くするため
光学多層膜からなる光干渉膜53が形成されている。光
干渉膜53は、酸化チタンTiO2 を主成分とする高屈
折率層531と、酸化ケイ素SiO2 を主成分とする低
屈折率層532を交互に積層し、例えば4層構造とした
ものである。
【0005】このような構成の反射体は、アルミ蒸着膜
52が実質的な反射面となり、このアルミ蒸着膜52の
表面に積層形成した光干渉膜53が、高屈折率層531
や低屈折率層532などの界面で反射成分が増加される
ようになり、可視光領域の反射率が95%にも達すると
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが検討した結果、上記のような従来構造の反射体は
反射率が向上する点で高く評価できるが、耐久性の点で
問題が残る心配がある。すなわち、上記反射体は、アル
ミニウム基板からなる反射体本体50の表面の平滑化の
ためのアンダーコート膜51を形成している。このアン
ダーコート膜51は、けい素化合部などからなる有機材
または無機材にて形成されており、このような材質のア
ンダーコート膜51は、光源としてメタルハライドラン
プなどのような放電灯を用いた場合にこのランプから放
射される紫外線を受けると、紫外線劣化を生じる心配が
ある。
【0007】また、光干渉膜53やアルミ蒸着膜52は
多かれ少なかれ微小なピンホールを有し、紫外線がこれ
らのピンホールを通じてアンダーコート膜51まで達す
ることがあり、このためアンダーコート膜51全体が早
期に劣化し、剥がれ易くなるなどの心配がある。
【0008】さらに、上記のようなアンダーコート膜5
1を形成してアルミニウム基板の表面を平滑化するに
は、アンダーコート膜51の膜厚が5〜20μm程度必
要とされる。このような膜厚のアンダーコート膜81は
200℃以上の高温になるとクラックを発生し易い欠点
があり、高温雰囲気で使用すると寿命が短くなる。
【0009】このようなことから、使用初期にはアンダ
ーコート膜51の劣化が少なくても、使用時間の経過に
伴い劣化が進み、特にランプからの輻射熱を受けて20
0℃以上の高温で使用すると早期にアンダーコート膜5
1にクラックが発生するなどの心配がある。そして、こ
のような状態になると、この表面に形成されたアルミ蒸
着膜52の平滑度が損なわれ、反射性能が極端に低下
し、配光特性や器具効率が大幅に低下するという心配が
ある。
【0010】一方、このようなアルミ蒸着膜52の表面
に形成される光干渉膜53は、反射率を増大させるとと
もに耐久性の高いものが要求される。安価で比較的容易
に光干渉膜53を形成するには真空蒸着法がもっとも一
般的である。
【0011】しかし、真空蒸着法の場合は、アルミニウ
ム基板50の温度を300℃程度に維持する必要があ
り、このときアンダーコート膜81の熱劣化を招く。ま
た、高品質を得るには、粒子の基板への入射角や蒸着速
度などの蒸着条件を厳格に管理しなければならず、この
ため高価な設備が要求されたり、厳格な生産管理が必要
となり、生産性を阻害する。また、一般にアルミニウム
は300℃程度の高温で白化する性質があり、よって上
記真空蒸着法を用いた場合は、アルミ蒸着膜52が白化
し、反射特性が大幅に低下することがある。
【0012】そしてまた、従来の場合、アルミニウム基
板50の表面にアンダーコート膜51を成膜し、このア
ンダーコート膜51の表面にアルミ蒸着膜52を成膜し
て積層し、さらにアルミ蒸着膜52の表面に多層構造の
光干渉膜53を成膜する構造であるから、それぞれ独立
した多数の膜が積層されるようになり、このような多層
構造はそれぞれの被膜が剥がれ易くなるという問題もあ
る。
【0013】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、高反射率を得ると
ともに、耐久性が高く、紫外線や高温を受けても劣化や
クラックなどの発生が抑制される反射体およびこれを用
いた反射形照明装置を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、少な
くとも反射面側がアルミニウムにて形成された反射体本
体と;上記反射面側のアルミニウム表面に形成された陽
極酸化層と;この陽極酸化層の表面に形成された光学多
層膜と;を具備したことを特徴とする反射体である。
【0015】ここでいう反射体は、投光器や照明装置の
リフレクタのみではなく、汎用反射鏡や光学的器具とし
ての反射鏡を含む。また、陽極酸化層と光学多層膜の間
にアルミ蒸着膜を形成することも有り得る。
【0016】請求項2の発明は、上記反射体本体の陽極
酸化層の表面は、鏡面になっていることを特徴とする請
求項1に記載の反射体である。ここでいう鏡面とは、表
面粗さの最大高さ(Rmax)が0.1μm以下をい
う。
【0017】請求項3の発明は、上記反射体本体は、反
射面側が高純度アルミニウムにて形成されたクラッド板
により形成されていることを特徴とする請求項1または
請求項2に記載の反射体である。
【0018】請求項4の発明は、上記陽極酸化層の膜厚
は0.05μm以上、0.8μm以下であることを特徴
とする請求項1および請求項3のいずれか一に記載の反
射体である。
【0019】請求項5の発明は、上記光学多層膜は、高
屈折率層と低屈折率層を交互に積層した多層構造である
ことを特徴とする請求項1および請求項4のいずれか一
に記載の反射体である。
【0020】請求項6の発明は、陽極酸化層の膜厚が
0.05μm以上、0.1μm以下であり、かつ上記光
学多層膜が、高屈折率層と低屈折率層および高屈折率層
の順に形成された3層構造であることを特徴とする請求
項1および請求項5のいずれか一に記載の反射体であ
る。
【0021】請求項7の発明は、曲面を有し、請求項1
および請求項6のいずれか一に記載された反射体と;こ
の反射体に収容されたランプと;を具備したことを特徴
とする反射形照明装置である。
【0022】この場合の反射体は、回転曲面形状であっ
ても、樋形であってもよく、ランプはハロゲン電球を含
む白熱電球、高圧および低圧放電灯のいずれであっても
よく、ランプ形状も球形、楕円球形、管形、棒状などで
あってもよい。求項8の発明は、上記ランプが放電灯で
あることを特徴とする請求項7に記載の反射形照明装置
である。
【0023】
【作用】請求項1の発明によれば、アルミニウムからな
る反射体本体の表面に陽極酸化層が形成されているか
ら、陽極酸化層とアルミニウムの境界面が実質的な反射
面となる。この反射面の反射作用と、光学多層膜の干渉
作用による反射成分の増加により、反射率が向上する。
しかも、陽極酸化層は耐蝕性、耐磨耗性が高く、よって
反射体本体の耐久性を向上させるようになる。このこと
から、従来のようなアンダーコート層を用いなくても高
い反射性能が得られる。よって、アンダーコート層を設
けることにより生じる剥がれやクラックの発生といった
弊害を回避することができる。
【0024】請求項2の発明によれば、上記反射体本体
の陽極酸化層の表面は鏡面になっているから高精度な平
滑度が得られ、光学多層膜を高精度に成膜できる。請求
項3の発明によれば、反射体本体は、反射面側が高純度
アルミニウムにて形成されたクラッド板により形成され
ているから、大形の反射体の場合、高価な高純度アルミ
ニウムの使用量を減らすことができ、材料費用が安価に
なる。
【0025】請求項4の発明によれば、陽極酸化層の膜
厚tが0.05μm以上であることから耐蝕性と硬さが
付加され、反射体本体の耐久性が向上する。また、光学
多層膜を形成する際の前処理として必要とされる洗浄に
おいてアルミ表面に傷が発生するのを防ぎ、かつ洗浄液
などからの劣化を避けることができるため、洗浄工程が
容易に実行できる。そして、陽極酸化層の膜厚tが0.
8μmを越えると陽極酸化層が多孔質になり、この上に
光学多層膜を形成すると良好な密着力を得ることができ
ず、形成された光学多層膜が時間とともに剥離し易くな
る。
【0026】請求項5の発明によれば、光学多層膜は、
高屈折率層と低屈折率層を交互に積層した多層構造であ
るから、選択干渉作用により所定波長の光の反射を強め
ることができる。
【0027】請求項6の発明によれば、陽極酸化層の膜
厚が0.05μm以上、0.1μm以下であり、かつ上
記光学多層膜が、高屈折率層と低屈折率層および高屈折
率層の順に形成された3層構造であるから、380nm〜
780nmの可視光域の光の反射効率がきわめて高くな
り、かつ耐蝕性、耐磨耗性が高くなり、反射体本体の耐
久性が向上する。
【0028】請求項7の発明によれば、ランプから放射
された光は、反射効率に優れた反射体の反射面で反射さ
れるから、器具効率が高くなり、前方照射が良好になさ
れる。
【0029】請求項8の発明によれば、ランプが放電灯
である場合は輻射熱による反射体の温度が高くなるた
め、光学多層膜の剥がれやクラックが心配されるが、本
発明であれば、ランプが放電灯であっても耐久性が向上
する。
【0030】
【実施例】以下本発明について、図1ないし図3に示す
一実施例にもとづき説明する。図面はプロジェクタに使
用される反射形照明装置を示し、図1は反射形照明装置
の構成を示す図、図2は反射体の反射面の構造を示す図
である。
【0031】反射形照明装置は、光源であるランプ1
と、この光源から放射された光を反射する反射体(レフ
レクタ)3とで構成されている。ランプ1は例えば定格
入力が250Wのショートアーク形メタルハライドラン
プであり、石英ガラスからなる気密容器、すなわち発光
管20を備えている。この発光管20は肉厚が1.2m
m、長径がほぼ13.5mm、短軸がほぼ13mm程度の楕
円形の放電空間を有し、この内容積は1.5cc以下とな
っている。この放電空間には一対の電極21、21が設
けられている。これら電極21、21はそれぞれタング
ステンからなる電極軸にタングステンからなる電極コイ
ルを巻回して構成されており、電極間距離Lが12mm以
下、好ましくは3〜7mmとされている。
【0032】これら電極21,21は発光管20の両端
部に形成された封止部22、22に封着された金属箔導
体23、23に接続されている。金属箔導体23、23
はモリブデン箔からなり、一方の金属箔導体23は図示
しない外部リ−ド線を介して端部に被着された口金24
に電気的に接続されており、他方の金属箔導体23は外
部リ−ド線25に接続されている。
【0033】上記発光管20には、発光金属として金属
ハロゲン化物が封入されているとともに、緩衝金属とし
ての水銀が封入されており、かつアルゴン等の希ガスが
封入されている。
【0034】上記金属ハロゲン化物は、ジスプロシウム
Dy、ネオジウムNd、ホルミウムHo、ツリウムTm
の中から選ばれた少なくとも1種の希土類金属のハロゲ
ン化物と、セシウムCsのハロゲン化物と、インジウム
In、タリウムTl、ガリウムGa、亜鉛Zn、カドミ
ウムCdの中から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化
物とを含んでいる。
【0035】このようなランプ1は、外管なしで剥きだ
しのまま使用されるようになっており(外管レス)、上
記発光管20が直接前記反射体3に取り付けられてい
る。反射体3は、回転放物線や回転楕円などのような回
転曲面をなす反射体本体30を有し、この反射体本体3
0の内面に反射面31が形成されている。なお、反射体
本体30および反射面31については後で説明する。
【0036】上記反射体3は、前面投光部つまり開口部
の径が90〜130mm程度に形成されており、背部の頂
部には支持筒部32が形成されている。この支持筒部3
2には上記ランプ1の口金24部分が挿入されており、
この口金24は絶縁セメント等の接着剤33により支持
筒部32に固着されている。これにより、ランプ1のラ
ンプ軸O1 −O1 が、反射体3の中心軸、つまり光軸O
2 −O2 と略一致するようにしてこのランプ1が反射体
3に取着されている。なお、反射体3には導入孔34が
形成されており、この導入孔34には前記ランプ1の外
部リ−ド線25が挿通され、この外部リ−ド線25は反
射体3の背面側に導かれている。
【0037】このようなランプ1は、口金24と外部リ
ード線25が交流電源35、または直流電源もしくは高
周波電源に接続されており、これらいずれかの電源によ
り交流点灯または直流点灯もしくは高周波点灯される。
【0038】上記反射体3の反射部31は、図2に示す
ように構成されている。すなわち、反射体本体30は、
全体が高純度アルミニウムAl(純度99.9%以上)
により形成されるか、または少なくとも反射面側が高純
度アルミニウムにより形成されたクラッド板(合せ板)
により形成されており、このような反射体本体30はス
ピンニング加工等の手段で図示のような回転曲面形状に
成形されている。
【0039】そして、この反射体本体30は、高純度ア
ルミニウムにて形成された反射面側の表面310が鏡面
研磨されている。この鏡面研磨は、バフ研磨ののち、電
解研磨または化学研磨により、表面粗さの最大高さ(R
max)が0.1μm以下の高精度な平滑面となるよう
に鏡面仕上げされている。
【0040】そして、この鏡面研磨された表面には、陽
極酸化層320が形成されている。この陽極酸化層32
0は、高純度アルミニウムにて形成された反射体本体3
0の表面から所定深さに亘り陽極酸化処理して形成され
たものであり、このような陽極酸化層320は反射体本
体30を、シュウ酸や硫酸、クロム酸などの電解液に浸
して陽極に接続し、電解酸化させることにより得られ
る。このような陽極酸化層320はアルマイト(商品
名)と称されている。この陽極酸化層はガンマアルミナ
(γ−Al23 )の多孔質であるが、0.8μm以下
であれば比較的緻密な膜を形成することができる。ま
た、0.8μm以下であれば光学多層膜340の密着力
が良好に得られる。
【0041】さらに、上記陽極酸化層320は屈折率n
が1.76〜1.77の高屈折率層をなし、したがって
後述する光干渉膜340の1つの層として機能するとみ
なすことができる。この陽極酸化層320とアルミウム
基体との境界面330が実質的な反射面となっており、
この境界面は全反射する。
【0042】このような陽極酸化層320は、屈折率n
が1.76〜1.77の光透過層であるから、その層厚
tにより反射しようとする光の波長が異なる。つまり、
反射しようとする光の波長に応じて層厚tを選択設定す
るものであり、可視光領域の光を反射する場合はt=
0.05〜0.1μmがよい。
【0043】このような陽極酸化層320の表面には、
光干渉膜(光学多層膜)340が形成されている。光干
渉膜340は、高屈折率層(屈折率n≧1.6)341
…と低屈折率層342…を交互に積層して構成したもの
であり、高屈折率層341は、酸化チタン(TiO
2 )、酸化タンタル(Ta25 )、酸化ジルコニウム
(ZrO2 )、硫化亜鉛(ZnS)などからなる酸化物
からなり、低屈折率層342は、酸化ケイ素(シリカ=
SiO2 )、ふっ化マグネシウム(MgF2 )などから
なる。本実施例では高屈折率層341と低屈折率層34
2と高屈折率層341がこの順で積層されて3層構造と
なっている。なお、これら高屈折率層341および低屈
折率層342は、ともに光学的膜厚(屈折率n×膜厚)
が122.5nmとされている。
【0044】このような構成の反射形照明装置(投光
器)の作用を説明する。ランプ1を点灯すると発光管2
0に封入した金属ハロゲン化物から光が放出される。こ
の光は反射体3の反射面31で反射され、この反射光は
反射体3の前面開口部より前方に照射される。したがっ
て、所定領域の前方照射が可能であり、この照射領域の
明るさが増加される。
【0045】この場合、反射面31は図2に示すよう
に、反射体本体30の表面に陽極酸化層(アルマイト)
320を形成し、この表面に光干渉膜340を形成した
から、外部から到達した光は、光干渉膜340を屈折し
つつ透過し、陽極酸化層320を通り、この陽極酸化層
320と純度の高いアルミニウム基体との境界面330
で反射される。つまり、陽極酸化層320と純度の高い
アルミニウム基体との境界面330が実質的な反射面と
なり、この面で全反射される。そして、この境界面33
0で反射された反射光は陽極酸化層320を通り、光干
渉膜340を屈折しつつ透過して外部に反射される。
【0046】このとき、光干渉膜340と陽極酸化層3
20とのそれぞれ選択干渉作用により、所定波長の光を
透過し、それ以外の波長域の透過を抑制する。したがっ
て、波長選択作用により、主として所定波長の光が反射
されるようになる。
【0047】上記構成の場合、反射体本体30の表面に
陽極酸化層320を形成し、この陽極酸化層320と純
度の高いアルミニウム基体との境界面330に全反射面
が形成されているから、実質的に反射面は純度の高いア
ルミニウム面となり、反射性能が高い。しかも、この面
330は、反射体本体30の表面を陽極酸化処理して形
成したものであるから、平滑度が高く、反射効率がよ
い。
【0048】そして、この陽極酸化層320には、高屈
折率層341および低屈折率層342からなる光干渉膜
340が積層して形成されているから、これら陽極酸化
層320、高屈折率層341および低屈折率層342の
界面で反射成分が増加されることになり、よって反射率
が向上し、反射率は95%以上を達成することができ
る。
【0049】しかも、本実施例の場合、反射体本体30
の表面に陽極酸化層(アルマイト)320を形成したの
ち光干渉膜340を形成しているため、陽極酸化層32
0により耐塩性および耐水性が維持され、光干渉膜34
0により耐酸性および耐アルカリ性が保たれるので、良
好な耐久性を得ることができる。
【0050】このように、上記実施例の反射体3は、図
4に示す従来のアルミ蒸着膜52を用いた場合と同等ま
たはそれ以上の反射性能を発揮することになり、かつ本
実施例では、境界面330がアルミ蒸着膜52と同様の
機能を奏し、また陽極酸化層320があるため光干渉膜
340を容易に形成でき、充分な耐久性を得ることがで
きるから、高価な設備や厳格な生産管理が不要になり、
量産に好適し、コストダウンが可能なる。また、アルミ
ニウム蒸着法により発生する恐れのある白化が発生せ
ず、反射効率を高くすることができる。
【0051】そして、従来の場合、表面の平滑化のため
にアンダーコート膜51を形成していたが、本例は、上
記従来のような平滑化のためのアンダーコート膜51が
不要であり、このため、アンダーコート膜51を形成し
たことに起因する不具合、すなわち、紫外線や高温を受
けてアンダーコート膜51が剥がれたり、クラックが発
生したり、寿命中における平滑度が低下するなどの不具
合がなくなる。
【0052】特に、層の厚さt(深さ)が0.8μm以
下に形成された陽極酸化層(アルマイト)320はこの
表面に形成された光干渉膜330と馴染みがよく、光干
渉膜340の付着強度が増し、光干渉膜340が剥がれ
たり、脱落するなどの不具合を防止することができる。
このことから、陽極酸化層(アルマイト)320を形成
したことにより、形成しない場合に比べて光干渉膜34
0の剥がれを防止し、クラックの発生を低減するように
なる。
【0053】上記陽極酸化層320の厚さt(深さ)が
0.8μmを越えると、陽極酸化層320が多孔質にな
り、この陽極酸化層320に積層される上記光干渉膜3
40の付着強度も低下し、光干渉膜340にクラックが
生じたり、剥がれ易くなる。
【0054】また、上記陽極酸化層320は、この層で
も光の屈折が生じるため、この層の厚さtにより反射す
る光の波長が変化する。すなわち、図3は陽極酸化層3
20の膜厚tと、反射される光の波長域について測定し
た結果を示す特性図である。
【0055】この実験は、反射体本体30として、板厚
2mm、反射面側に0.16mmの高純度アルミニウム(純
度99.9%)からなる薄板を張り合わせたクラッド板
を用い、図1のように成形した。この反射面側をバフ研
磨したのち電解研磨して鏡面310に仕上げ、この鏡面
仕上げ面310側に陽極酸化層320を形成し、この膜
厚tはそれぞれ0.05μm、0.07μm,0.1μ
mとした。このような陽極酸化層320の表面に、それ
ぞれ光学的膜厚(屈折率n×膜厚)が122.5nmの高
屈折率層341と低屈折率層342および高屈折率層3
41をこの順で積層して3層構造とされた光干渉膜34
0を形成した。
【0056】図3から、陽極酸化層320の膜厚tが厚
くなるほど低い波長域の光の反射率が低くなる傾向が認
められる。380nm〜780nmの可視光領域の光を反射
したい場合は、陽極酸化層320の膜厚tを0.05μ
mないし0.1μmの範囲にすれば、高い反射率が得ら
れることが判る。
【0057】また、高純度アルミニウムの表面310は
化学研磨または電解研磨により鏡面仕上げされており、
この鏡面310の平滑度が高くなっているから、この面
310に積層される光干渉膜340の膜厚を高精度に規
制することができることになり、干渉性能が向上する。
【0058】反射体本体30をクラッド板により形成す
れば、大形の反射体の場合、高価な高純度アルミニウム
の使用量を減らすことができ、材料費用が安価になる。
本発明の反射形照明装置によれば、ランプ1から放射さ
れた光は反射効率に優れた反射体3の反射部で反射され
るから、器具効率が高くなり、前方照射が良好になされ
る。
【0059】また、ランプ1が放電灯である場合は輻射
熱による反射体3の温度が高くなるため、光干渉膜の剥
がれやクラックが心配されるが、本発明であれば、ラン
プが放電灯であっても耐久性が向上する。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、反射面に陽極酸化層を形成したから、従来と同等
またはそれ以上の反射率が得られるとともに、この陽極
酸化層は耐蝕性、耐磨耗性が高く、よって反射体本体の
耐久性を向上させることができる。このようなことか
ら、従来のようなアンダーコート層やアルミ蒸着膜を用
いなくても高い反射性能が得られる。よって、アンダー
コート層やアルミ蒸着膜を設けることにより生じる剥が
れやクラックの発生といった弊害を回避することができ
る。
【0061】請求項2の発明によれば、上記反射体本体
の陽極酸化層の表面は鏡面になっているから高精度な平
滑度が得られ、光学多層膜の膜厚制御が容易になり、高
精度の光学多層膜を成膜することができる。
【0062】請求項3の発明によれば、反射体本体はク
ラッド板により形成されているから、大形の反射体の場
合、高価な高純度アルミニウムの使用量を減らすことが
でき、材料費用が安価になる。
【0063】請求項4の発明によれば、陽極酸化層の膜
厚tが0.8μm以下であるから、光学多層膜の良好な
密着性が得られ、経年劣化の小さな増反射体を得ること
ができる。
【0064】請求項5の発明によれば、光学多層膜は、
高屈折率層と低屈折率層を交互に積層した多層構造であ
るから、選択干渉作用により所定波長の光の反射を強め
ることができる。
【0065】請求項6の発明によれば、陽極酸化層の膜
厚が0.05μm以上、0.1μm以下であり、かつ上
記光学多層膜が、高屈折率層と低屈折率層および高屈折
率層の順に形成された3層構造であるから、380nm〜
780nmの可視光域の光の反射効率がきわめて高くな
り、かつ耐蝕性、耐磨耗性が高くなり、反射体本体の耐
久性が向上する。
【0066】請求項7の発明によれば、ランプから放射
された光は、反射効率に優れた反射体の反射面で反射さ
れるから、器具効率が高くなり、前方照射が良好になさ
れる。
【0067】請求項8の発明によれば、ランプが放電灯
である場合は輻射熱による反射体の温度が高くなるた
め、光学多層膜の剥がれやクラックが心配されるが、本
発明であれば、ランプが放電灯であっても耐久性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すメタルハライドランプ
と反射体とからなる反射形照明装置の断面図。
【図2】同実施例の反射面の構造を示す拡大した断面
図。
【図3】陽極酸化層の膜厚と各波長の反射特性を示す特
性図。
【図4】従来の反射面の構造を示す拡大した断面図。
【符号の説明】
1…ランプ 3…反射体 20…発光管 21…電極 22…封止部 23…金属箔導体 30…反射体本体 31…反射面 310…鏡面 320…陽極酸化層(アルマイト) 330…境界面 340…光干渉膜(光学多層膜) 341…高屈折率層 342…低屈折率層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも反射面側がアルミニウムにて
    形成された反射体本体と;上記反射面側のアルミニウム
    表面に形成された陽極酸化層と;この陽極酸化層の表面
    に形成された光学多層膜と;を具備したことを特徴とす
    る反射体。
  2. 【請求項2】 上記反射体本体の陽極酸化層の表面は、
    鏡面になっていることを特徴とする請求項1に記載の反
    射体。
  3. 【請求項3】 上記反射体本体は、反射面側が高純度ア
    ルミニウムにて形成されたクラッド板により形成されて
    いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    反射体。
  4. 【請求項4】 上記陽極酸化層の膜厚は0.05μm以
    上、0.8μm以下であることを特徴とする請求項1お
    よび請求項3のいずれか一に記載の反射体。
  5. 【請求項5】 上記光学多層膜は、高屈折率層と低屈折
    率層を交互に積層した多層構造であることを特徴とする
    請求項1および請求項4のいずれか一に記載の反射体。
  6. 【請求項6】 陽極酸化層の膜厚が0.05μm以上、
    0.1μm以下であり、かつ上記光学多層膜が、高屈折
    率層と低屈折率層および高屈折率層の順に形成された3
    層構造であることを特徴とする請求項1および請求項5
    のいずれか一に記載の反射体。
  7. 【請求項7】 曲面を有し、請求項1および請求項6の
    いずれか一に記載された反射体と;この反射体に収容さ
    れたランプと;を具備したことを特徴とする反射形照明
    装置。
  8. 【請求項8】 上記ランプは放電灯であることを特徴と
    する請求項7に記載の反射形照明装置。
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