JP2574330B2 - ハロゲン電球 - Google Patents

ハロゲン電球

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は店舗,スタジオなどの照明の光源に用いられ
るハロゲン電球に関するものである。
従来の技術 ハロゲン電球は他の光源に比較して寸法が小さく、ま
た点灯装置を必要としないなどの長所を有しており、近
年需要が増加している。特に店舗の照明では商品をきわ
だたせるためのスポット照明用光源としてハロゲン電球
が多く使われるようになってきており、店舗全体の照明
には蛍光灯を用い、ハロゲン電球は反射鏡を取り付けて
特定の商品だけを照明するという使い方をすることが多
い。
発明が解決しようとする問題点 ハロゲン電球の光は蛍光灯の光に比べるとかなり赤み
を帯びた色をしているために、ハロゲン電球と蛍光灯と
を同時に使用すると違和感をもつ。一般に光の色は色温
度で評価されるが、ハロゲン電球の色温度は2850K,蛍光
灯の色温度は4200K以上である。色温度の低い光ほど長
波長の光を多く含んでおり、そのために赤味がかった色
になる。
本発明は蛍光灯との同時使用においても違和感の少な
いような色温度の高いハロゲン電球を提供するものであ
る。
問題点を解決するための手段 本発明のハロゲン電球はガラスバルブ上に高屈折率を
もつ膜と低屈折率をもつ膜を交互に積層して4層からな
る多層膜を形成し、1層目から3層目までの光学膜厚を
160nm〜200nmの範囲とし、かつ4層目の光学膜厚を1/2
×(160nm〜200nm)とした構成を有している。
作用 各層で反射された光は互いに干渉して特定の波長領域
の反射光を強めあい反射率が高くなる。この結果、特定
の波長領域の透過率は低下する。そして、その特定の波
長領域は各層の光学膜厚によって決まる。本発明におい
て用いられる膜の場合では透過率が最小値になる波長は
4×(160nm〜200nm)、すなわち640nm〜800nmになる。
このような膜をガラスバルブ上に形成したハロゲン電球
は長波長の光が減少して色温度が高くなる。
実施例 第1図は本発明実施例のハロゲン電球の正面図であ
る。第1図において、1は外径11mmの石英製のガラスバ
ルブで、その外表面に4層からなる多層膜2が形成され
ている。3はガラスバルブ1内に設けられたフィラメン
ト、4は内部導入線で、フィラメント3を支持してい
る。5はステムガラスで、内部導入線4を固定してい
る。6は口金で、ガラスバルブ1にセメント(図示せ
ず)で接着されている。
次に、ガラスバルブへの多層膜の形成方法について第
2図を用いて述べる。
まず、チャック(図示せず)でガラスバルブの上端開
口部をチャックし、チャックに連結されたリニアモータ
を動作させることにより、テトラブチルチタネート(以
下、TBTという)をエタノールに溶かした濃度25%の溶
液にガラスバルブを浸漬する。次に、リニアモータを動
作させることにより、第2図に示すようにガラスバルブ
1を6mm/secの速度で引き上げて溶液7をその外表面に
付着させる。しかる後、チャックによるガラスバルブ1
のチャックを解除し、このガラスバルブを電気炉に入れ
て温度800℃で8分間焼成すると、ガラスバルブ1の上
に1層目の酸化チタン膜(TiO2膜)が形成される。冷却
後、前記と同様にして、エチルシリケート(以下、TES
という)をエタノールに溶かした濃度20%の溶液にガラ
スバルブを浸漬し、5.5mm/secの速度で引き上げ、温度8
00℃で8分間焼成する。以上の工程を交互に2回ずつ繰
り返すことにより4層からなる多層膜がガラスバルブ上
に形成される。なお、4層目の形成のために用いる溶液
の濃度は10%であり、また4層目の形成時の引き上げ速
度は5.0mm/secとする。
以上のことをまとめると第1表に示すとおりになる。
次に、ガラスバルブ下端部を切断し、そこに排気用細
管を溶着する。その後、封着・排気・ガス封入・口金付
け工程を経てハロゲン電球を得る。封入ガスは臭素入り
クリプトン、電球の規格は110V,100Wである。
このようにして得られたハロゲン電球の分光分布曲線
を第3図に曲線Iとして示す。第3図において、曲線II
は多層膜を有しない従来のハロゲン電球の分光分布曲線
を示す。この図から、本発明のハロゲン電球は従来のも
のに比べて長波長の光が減少しているのがわかる。色温
度は従来のハロゲン電球が2850Kであったのに対し、本
発明のハロゲン電球は3335Kと上昇することが認められ
た。
第4図はかかる多層膜を有するガラスの分光透過率の
測定結果を示す図である。第4図から明らかなように、
長波長での透過率が落ちており、このために本発明のハ
ロゲン電球では色温度が上昇することとなる。
第5図は各層の光学膜厚とハロゲン電球の色温度との
関係を示している。ハロゲン電球を点灯した視感評価試
験の結果、従来のハロゲン電球に比べて色温度の向上が
明らかに認められる色温度は3200K以上であった。そし
て、第5図から明らかなように、色温度が3200K以上と
なる光学膜厚の範囲は160〜200nmであることがわかる。
また、実験によれば、第2表に示すように、層数を多
くすることにより、色温度をより高くすることは可能で
あるが、光学膜膜の許容範囲が狭くなることと、ハロゲ
ン電球の光量が減少し暗くなることの2つの問題点が発
生する。
第2表の結果から、光学膜厚の許容幅は4層では40nm
あるが、6層になると20nm,8層になると5nmというよう
に狭くなってゆるため、層数が増加するに従い生産が困
難になり、また層数の増加に従って光束も減少するの
で、高い色温度が得られ、光束の低下も少なく、かつ生
産の容易なハロゲン電球を実現するには多層膜の層数を
4層にすればよいことがわかる。
なお、上記実施例では高屈折率をもつ膜として酸化チ
タン膜を、低屈折率をもつ膜として酸化シリコン膜を用
いた組み合わせの例を説明したが、本発明においては高
屈折率をもつ膜として酸化タンタル(Ta2O5)を、低屈
折率をもつ膜として酸化シリコン膜を用いた組み合わせ
などの場合も同様の効果が得られる。
発明の効果 以上説明したように、本発明は色温度が高く、蛍光灯
と同時に使用した時の違和感を軽減することができ、ま
た製作の容易なハロゲン電球を提供することができるも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例であるハロゲン電球の正面
図、第2図は本発明のハロゲン電球のガラスバルブ上に
多層膜を形成するための工程図、第3図は本発明のハロ
ゲン電球の典型例の分光分布曲線図、第4図は同ハロゲ
ン電球に用いる多層膜付きガラスバルブの分光透過率曲
線図、第5図は各層の光学膜厚と色温度との関係を示す
図である。 1……ガラスバルブ、2……多層膜、3……フィラメン
ト、4……内部導入部、5……ステムガラス、6……口
金。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラスバルブ上に高屈折率をもつ膜と低屈
    折率をもつ膜を交互に積層して4層からなる多層膜を形
    成し、前記多層膜の1層目から3層目までの各光学膜厚
    を160nm〜200nmの範囲とし、かつ前記多層膜の4層目の
    光学膜厚を1/2×(160nm〜200nm)としたことを特徴と
    するハロゲン電球。
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