JP3102959B2 - 高耐久性薄膜 - Google Patents

高耐久性薄膜

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JP3102959B2 JP04251742A JP25174292A JP3102959B2 JP 3102959 B2 JP3102959 B2 JP 3102959B2 JP 04251742 A JP04251742 A JP 04251742A JP 25174292 A JP25174292 A JP 25174292A JP 3102959 B2 JP3102959 B2 JP 3102959B2
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誠 後藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的多層膜(以下、
多層膜と称す)からなる薄膜における高屈折率膜として
硫化亜鉛を用い、この硫化亜鉛に所定の添加物を含有さ
せて薄膜の耐久性を向上させた高耐久性薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多層膜、例えばハロゲン電球用反
射鏡におけるガラス基板の内面側に薄膜として被膜され
る多層膜は、光源からガラス基板に投射される熱線(赤
外線)を80%以上後方へ透過させる必要があるため、
通常、高屈折率膜としては比較的回り込みのよい硫化亜
鉛(ZnS)を使用し、また、低屈折率膜としては弗化
マグネシウム(MgF2 )あるいは酸化珪素(Si
2 )を使用して、これらを交互に積層した構成によ
り、ハロゲン電球の中央に光源として装着されているハ
ロゲンランプからの可視光を反射鏡で反射させ、かつ熱
線を反射鏡から透過させている。
【0003】ところが、上述した多層膜構成の場合、光
源として低出力ハロゲンランプ(例えば12V・50W
タイプ)を使用したときには特に問題を生じないが、高
出力ハロゲンランプ(例えば100V・360Wタイ
プ)を使用したときには、このハロゲンランプから発生
する高熱により多層膜に膜の剥離、膜クラックなどを生
じさせ、多層膜は耐久性の面で問題がある。このような
高熱時の膜の耐久性を向上させる方法として、以下の方
法が採用されていた。すなわち、 (1) 多層膜を保護膜で被膜する。 (2) 真空蒸着後の多層膜に加熱処理を施す。 (3) 酸化アルミニウム(Al2 3 )、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO2 )、酸化タンタ
ル(Ta2 5 )などの酸化膜を多層膜に導入する。 (4) 膜構成を高耐久性の酸化チタン−酸化珪素(TiO
2 −SiO2 )系あるいは酸化ジルコニウム−酸化珪素
(ZrO2 −SiO2 )系の多層膜に変更する。 (5) 低屈折率膜を酸化珪素で形成する際、この酸化珪素
に酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、
酸化タンタル、あるいは酸化すず(SnO2 )などの酸
化物を添加する。 などである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たいずれの方法であっても、以下に示す欠点を有してい
る。すなわち、 (1) 多層膜に被膜される保護膜として酸化珪素、酸化ジ
ルコニウム、酸化チタン、酸化タンタルなどがあるが、
これらを単に被膜するだけでは不十分であり、多層膜の
初期層側から膜剥離、膜クラックが発生する。 (2) 多層膜のある程度の耐久性の向上は達成できるが、
高出力ハロゲンランプに対しては不十分である。 (3) 酸化膜を多層膜中のどこに導入するかで膜応力が変
化しやすく、必ずしも耐久性の向上にはつながらない。
さらに、酸化物は屈折率の調整がやや不安定であるとと
もに多層膜としての設計面が複雑となる。 (4) 基板の形状が深い凹面である場合には、多層膜を
構成する膜の回り込みが少なく、均一な膜の被膜が得ら
れない。 硫化亜鉛−弗化マグネシウム(ZnS−MgF2 )あ
るいは硫化亜鉛−酸化珪素(ZnS−SiO2 )系の多
層膜と比較して、層数が1.3〜1.5倍必要となり、
コストアップとなる。 酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化タンタル
は被膜する条件によっては多層膜に吸収が発生し、この
ため低級酸化膜となって被膜の特性が不安定となる。 被膜を除去して再生基板として使用することができな
い。 (5) 例えば特開昭57−124301号公報には低屈折
率を有する酸化珪素に対し各種酸化物を添加して耐久性
の向上を図ることが開示されているが、同様の添加を低
屈折率を有する弗化マグネシウムに適用した場合には、
酸化物の添加によりマグネシウムが酸化されて酸化マグ
ネシウム(MgO)が形成され、屈折率が高くなってし
まうため、低屈折率層として適用できなくなり、同様の
効果が得られない。 などである。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、高出力ハロゲンランプの点灯時に熱線を照射されて
も、膜剥れ、膜クラックなどが発生することがなく、耐
久性を向上させた高耐久性薄膜を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層し
てなる光学的多層膜からなる薄膜において、前記高屈折
率膜の高屈折率物質として金属ジルコニウムまたは金属
タンタルを1〜10重量%含有の硫化亜鉛を使用したこ
とを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明は上記のように構成したので、高出力の
ハロゲンランプを装着・点灯した際の高熱によっても薄
膜に何ら変化を生じることなく、高効率の点灯が維持さ
れ、薄膜の耐久性が向上される。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0009】図1において、1 はガラス基板、例えばハ
ロゲン電球用反射体のガラス基板であり、一面を回転放
物面からなる凹面2 で形成されている。この凹面2 の中
央には光源としてハロゲンランプ3 が装着されており、
さらに凹面2 上には高耐久性薄膜としての多層膜4 が、
例えば真空蒸着法によって被膜され反射鏡5 が形成され
る。反射鏡5 に被膜されている多層膜4 によりハロゲン
ランプ3 から出射される可視光が反射され、熱線が反射
鏡5 を透過する多層膜4 は、0.2〜15重量%の金属
ジルコニウム(Zr)または金属タンタル(Ta)を含
有させた硫化亜鉛(ZnS)からなる高屈折率膜(H)
と弗化マグネシウム(MgF2 )または酸化珪素(Si
2 )からなる低屈折率膜(L)を21層交互に積層し
たZnS−MgF2 系またはZnS−SiO2 系多層膜
である。すなわち、HとLを交互に6層ずつ合計12層
積層し、さらにHを1層付加し、次に、この上にLとH
を交互に4層ずつ積層した、合計21層積層した多層膜
であり、それぞれの光学膜厚は1/4λ設計で、それぞ
れの設計波長は、λ 1〜13=600nmおよびλ14〜21
=450nmである。この多層膜4 は真空蒸着法によ
り、 (1) 真空度 1×10-4〜5×10-4Torr (2) 基板温度 150〜200℃ (3) 蒸発源 エレクトロンビーム(電子銃) の蒸着条件で成膜した。
【0010】さらに、多層膜4 の蒸着完了後、多層膜4
が蒸着された反射鏡5 を電気炉中で400℃1時間の熱
処理を施し、多層膜4 を硬化した。
【0011】次に、ZnS−MgF2 系多層膜4 とZn
S−SiO2 系多層膜4 の耐久性について、高屈折率膜
(H)である硫化亜鉛に添加される金属ジルコニウムと
金属タンタルの重量比を変化させ、点灯試験、熱衝撃試
験、煮沸試験、および引張り試験を行なった。その結果
のテストデータを表1に示す。
【0012】
【表1】 表1に示すテストの試験方法を以下に示す。すなわち、 (1) 点灯試験…反射鏡5 に100V・360Wのハロゲ
ンランプ3 を装着して10分間点灯、10分間冷却を反
復し、多層膜4 に膜剥れ・膜クラックなどの変化が発生
するまでの経過時間で評価 (2) 熱衝撃試験…反射鏡5 を600℃の中性雰囲気の電
気炉中に5分間放置した後、大気中に放置冷却し、膜剥
れ・膜クラックなどについて評価 (3) 煮沸試験…反射鏡5 を100℃の市水中に5分間浸
漬後、膜剥れ・膜クラックなどについて評価 (4) 引張り試験…多層膜4 に幅1/2インチ、長さ10
0mmの#600のスコッチテープ(商品名)を貼着し
急激に引剥した後、膜剥れについて評価であり、これら
のテスト後の評価については、経過時間および以下の評
価記号、すなわち、 ○=変化なし △=干渉むら発生 ×=膜剥れ・膜クラック発生 ※=スプラッシュ(突沸現象)のため被覆不可能 で表1に示している。
【0013】ところで、ハロゲン電球用反射鏡5 に使用
される多層膜4 は、可視光線反射・赤外線透過の特性を
十分に発揮させるためには、凹面状の基板1 に多層膜4
を均一に被膜することが要求される。また、硫化亜鉛
は、多層膜4 の設計上、高屈折率材料として使用される
他の材料の酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタ
ルなどと比較して極めて回り込みがよく膜の均一性が得
られやすいという利点を有している反面、吸水性が大き
く耐久性の面で劣るという欠点を有している。
【0014】そこで、各種実験の結果、表1の太線で囲
んだ部分から明らかなように、硫化亜鉛に金属ジルコニ
ウムまたは金属タンタルを添加、特に、1〜10重量%
を含有させることにより、硫化亜鉛膜の耐久性、さらに
は、多層膜4 全体の耐久性が向上することが判明した。
【0015】これは、被着された硫化亜鉛膜をX線回析
により調査した結果、添加された金属ジルコニウムまた
は金属タンタルが検出されないことから、硫化亜鉛の蒸
発の際、硫化亜鉛に含まれていたガス(H2 Oなど)と
添加物が結合し、結合した添加物は蒸発せずに硫化亜鉛
だけが蒸発し、ガラス基板1 に緻密に被着されるためと
推測される。
【0016】また、表1に示すように、金属ジルコニウ
ムまたは金属タンタルの添加量を1〜10重量%とする
のが好ましい。その理由としては、金属ジルコニウムま
たは金属タンタルの添加量が1重量%を下回る場合に
は、多層膜4 の耐久性が十分でなく、また、10重量%
を上回る場合には、真空蒸着法で被膜する際、エレクト
ロンビームとの整合性が悪くなり、スプラッシュ(突沸
現象)が発生し蒸着ブツとなるためである。
【0017】なお、上記実施例では、高耐久性薄膜をハ
ロゲン電球用反射鏡5 について適用したが、これに限る
ことはなく、バンドパスフィルター、コールドミラー、
カラーフィルターなどの光学的多層膜にも適用できるこ
とは勿論である。
【0018】また、上記実施例では、被覆手段をエレク
トロンビームとしたが、これに限ることはなく、抵抗加
熱などの被覆手段であっても同様の作用効果を得ること
ができる。
【0019】また、多層膜4 の被膜を真空蒸着法により
成膜したが、これに限定されることはなく、スパッタリ
ング法やイオンプレーティング法など他の方法でもよ
く、同様の作用効果が得られる。
【0020】また、本発明は上記実施例に限定されるこ
となく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々
変形可能なことは勿論である。
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の高耐久性
薄膜によれば、高屈折率膜物質としての硫化亜鉛に添加
物として金属ジルコニウムまたは金属タンタルを1〜1
0重量%含有させることにより、高耐久性薄膜を容易に
得ることができるとともに熱的影響によっても変化する
ことのない高耐久性を得ることができる。
【0022】また、光学的にも安定していることによ
り、光学的特性に影響を与えることがなく、さらには、
被膜条件や使用条件にも何らの困難性がなく、容易に成
膜が可能であるとともに安価に得られるという優れた効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐久性薄膜を適用したハロゲン電球
の一部切欠断面図である。
【符号の説明】
4 …光学的多層膜(高耐久性薄膜)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/10 - 1/12 G02B 5/08 - 5/10 G02B 5/20 - 5/28 C23C 14/00 - 14/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層し
    てなる光学的多層膜からなる薄膜において、前記高屈折
    率膜の高屈折率物質として金属ジルコニウムまたは金属
    タンタルを1〜10重量%含有の硫化亜鉛を使用したこ
    とを特徴とする高耐久性薄膜。
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