JP3107405B2 - ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)カーボネート及びその製造方法 - Google Patents

ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)カーボネート及びその製造方法

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JP3107405B2
JP3107405B2 JP03044590A JP4459091A JP3107405B2 JP 3107405 B2 JP3107405 B2 JP 3107405B2 JP 03044590 A JP03044590 A JP 03044590A JP 4459091 A JP4459091 A JP 4459091A JP 3107405 B2 JP3107405 B2 JP 3107405B2
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビス(2−クロロ−4
−フルオロ−5−ニトロフェニル)カーボネート及びそ
の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は特開昭6
2−167713号記載の除草剤の有効活性成分として
有用な一般式(XIII)
【化1】 〔式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、又はアラルキル基を表わし、X
はハロゲン原子を表わす。〕で示されるオキサゾリジン
ジオン誘導体の製造中間体及びその製造方法を提供する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリハロジフェニルカーボネー
トのニトロ化によるビス(ポリハロニトロフェニル)カ
ーボネートの製造法として、(イ)硝酸と硫酸の混酸を
用いる方法(特公昭49−10661号公報)、(ロ)
発煙硝酸を用いる方法(公表特許公報昭61−5000
69号公報)が知られているが、(イ)の方法は反応温
度が高く、(ロ)の方法では取扱が危険な発煙硝酸を用
いなければならない等の欠点を有し、いづれも工業的製
造方法とは言い難いものである。
【0003】また本発明の化合物であるビス(2−クロ
ロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)カーボネート
は、特開平1−163157号公報に原料化合物として
記載されてはいるものの、その製造例の記載はなく、も
ちろん物性値やスペクトル測定値は記載されてない。さ
らにこのものの製法として、同公報明細書には対応する
原料化合物を硝酸でニトロ化することにより得られると
の記載があるが、本発明者らが硝酸を用いてビス(2−
クロロ−4−フルオロフェニル)カーボネートのニトロ
化反応を行なった結果、ビス(2−クロロ−4−フルオ
ロ−5−ニトロフェニル)カーボネートは全く得られな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】本発明者らは、高い
殺草活性を有する前記式(XIII)で示されるオキサ
ゾリジンジオン誘導体の重要な製造中間体となるビス
(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)カ
ーボネートの工業的な製造方法について鋭意検討した結
果、ビス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)カーボ
ネートを硫酸溶媒中、硝酸と硫酸との混酸を用い、温和
な条件下でニトロ化を行なうことにより、収率よく目的
とする本発明の化合物が得られることを見出し、更に本
発明化合物から以下に示す方法により、目的とする前記
式(XIII)で示されるオキサゾリジンジオン誘導体
を容易に製造できることを明らかにして本発明を完成し
た。
【0005】
【問題点を解決するための手段】 次に、本発明化合物の
製造方法について詳細に述べる。
【0006】本発明化合物であるビス(2−クロロ−4
−フルオロ−5−ニトロフェニル)カーボネートは、ビ
ス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)カーボネート
を硫酸溶媒中で硝酸と硫酸から調製した混酸を加えて反
応させることによって収率良く得ることができる。
【0007】溶媒としての硫酸の濃度には特に制限はな
く、通常市販されている95〜98%濃度の硫酸を用い
ることができる。またその使用量は基質に対して1〜3
0当量、好ましくは5〜15当量使用することにより収
率よく目的物を得ることができる。
【0008】混酸に用いる硝酸及び硫酸は、通常市販さ
れている60〜71%濃度の硝酸及び95〜98%濃度
の硫酸を用いることにより収率良くニトロ化生成物を得
ることができる。混酸の硝酸と硫酸の混合モル比は、硝
酸/硫酸=2/1〜1/4、好ましくは1/1〜1/2
であり、硝酸の使用量は、基質に対して2〜10当量、
好ましくは2〜5当量使用することにより収率よく目的
物を得ることができる。
【0009】反応温度は、0℃〜30℃の範囲で実施す
ることを必須の要件とするものである。
【0010】本発明化合物の製造に使用される原料であ
るビス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)カーボネ
ートは、公知化合物である4−フルオロフェノールを塩
素化して得られる2−クロロ−4−フルオロフェノール
をホスゲンあるいはその等価体と反応させることにより
製造することができる。
【0011】すなわち、4−フルオロフェノールを水溶
媒中60〜70℃に保ちながら、1当量の塩素ガスある
いは1〜2当量の塩化スルフリルと反応させ2−クロロ
−4−フルオロフェノールとし、次いでこのものを塩基
の存在下、有機溶媒と水との二層反応系中で、ホスゲン
あるいはホスゲン等価体を低温において導入しビス(2
−クロロ−4−フルオロフェニル)カーボネートへと変
換する。
【0012】ホスゲンは2−クロロ−4−フルオロフェ
ノールに対して0.5当量以上使用することによって目
的とするビス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)カ
ーボネートを高収率で得ることができる。塩基として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金
属水酸化物を用いることができ、塩基の使用量は基質に
対して1当量以上用いることが収率がよい点で好まし
い。反応に用いる有機溶媒としては、塩化メチレン、ク
ロロホルム、酢酸エチル、ベンゼン、トルエンを用いる
ことができる。
【0013】このようにして製造することのできるビス
(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)カ
ーボネートは、例えば下記反応式
【0014】
【化2】
【0015】〔式中、Rは前記と同じ意味を表わし、R
1はC1〜C4の置換あるいは非置換のアルキル基または
フェニル基を表わす。Yは脱離基を表わす。〕に例示し
た方法に従って変換反応を行なうことにより、一般式
(XIII)で示されるオキサゾリジンジオン誘導体へ
と導くことができる。
【0016】工程−1は、ビス(2−クロロ−4−フル
オロ−5−ニトロフェニル)カーボネート(I)のニト
ロ基の還元によりビス(2−クロロ−4−フルオロ−5
−アミノフェニル)カーボネート(II)を製造する反
応である。
【0017】反応は、芳香族ニトロ化合物の還元に通常
用いられる方法、例えば、還元鉄/酢酸、還元鉄/塩
酸、亜鉛/塩酸、硫化ナトリウムを使用する方法、ある
いは、Pd/C、Pdブラック、Pdアスベスト、Pd
アルミナ、PtO2、Ptブラック等の遷移金属触媒を
使用する接触還元方法等により行うことができる。
【0018】接触還元反応において使用する触媒の量は
特に制限はないが、基質に対して0.0001〜0.5
当量、好ましくは0.005〜0.05当量用いること
により収率よく目的物を得ることができる。
【0019】反応は有機溶媒中で実施し、有機溶媒とし
ては、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、
トルエン等の芳香族系溶媒、メタノール、エタノール等
のアルコール系溶媒などを用いることができる。反応温
度は、室温〜100℃程度の温度で行うことができる。
【0020】工程−2では、ビス(2−クロロ−4−フ
ルオロ−5−アミノフェニル)カーボネート(II)を
ホスゲンまたはホスゲン等価体を用いて反応させ、ビス
(2−クロロ−4−フルオロ−5−イソシアナトフェニ
ル)カーボネート(III)を製造する工程である。
【0021】反応は有機溶媒中で実施することもでき、
有機溶媒としては、反応に有害な影響を及ぼさないもの
であれば使用することができるが、酢酸エチル、クロロ
ホルム、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼ
ン、クロロベンゼン等を用いることができる。
【0022】反応は、ホスゲンまたはホスゲン等価体の
溶液中にビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−アミノ
フェニル)カーボネート(II)の溶液を低温〜室温下
にゆっくりと滴下するか、あるいはビス(2−クロロ−
4−フルオロ−5−アミノフェニル)カーボネート(I
I)の溶液中にホスゲンまたはホスゲン等価体をそのま
まあるいはその溶液を低温〜室温下にゆっくりと加えて
反応させることもできる。次いで、室温〜100℃程度
の温度で反応させることによりイソシアナト誘導体を製
造することができる。ホスゲンあるいはホスゲン等価体
の使用量は特に制限はなく、アニリン誘導体に対してホ
スゲンとして2当量以上使用することによって目的とす
るイソシアナト誘導体(III)を高収率で得ることが
できる。
【0023】工程−3は、ビス(2−クロロ−4−フル
オロ−5−イソシアナトフェニル)カーボネート(II
I)を塩基の存在下に一般式(V)〔式中、R1はC1
4の置換あるいは非置換のアルキル基またはフェニル
基を表わす。〕で示されるアルコールと反応させること
によってビス{2−クロロ−4−フルオロ−5−(アル
コキシカルボニルアミノ)フェニル}カーボネート誘導
体(VI)〔式中、R1は前記と同じ意味を表わす。〕
を得る反応である。
【0024】反応は無溶媒下でも進行するが、有機溶媒
中で実施することもできる。用いることのできる有機溶
媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類や、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、あるいは
酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチル
ケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド等を例示することができる。また反応は塩基の
存在下に実施することが反応の進行が早くかつ収率が良
い点で好ましい。
【0025】塩基としては、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチル
アニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、ルチ
ジン等のアミン類や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等のア
ルカリ金属塩を用いることができる。塩基の使用量は、
特に制限はないが、触媒量でも充分である。反応は低温
下でも充分進行し、反応後は通常の後処理により収率良
く目的物を得ることができる。
【0026】一般式(V)においてR1で示されるアル
キル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、ブチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基を
例示することができ、これらのアルキル基はハロゲン原
子、ビニル基、フェニル基等で置換されていてもよい。
さらに具体的に一般式(V)で表わされるアルコールと
しては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコー
ル、アリルアルコール、ベンジルアルコール、フェノー
ル等を例示することができる。
【0027】また一般式(VI)で表わされるジフェニ
ルカーボネート誘導体は、ビス(2−クロロ−4−フル
オロ−5−アミノフェニル)カーボネート(II)を塩
基の存在下に一般式(IV)〔式中、R1は前記と同じ
意味を表わす。〕で示されるクロロギ酸エステルと反応
させることにより製造することもできる(工程−4)。
【0028】反応は有機溶媒中で実施することができ、
有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類
や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、あるい
は、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシ
ド等の溶媒が使用できる。
【0029】反応は塩基の存在下に実施し、塩基として
は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチル
モルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエ
チルアニリン、ピリジン、ルチジン等のアミン類や、炭
酸カリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、
カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属塩を用いるこ
とができる。塩基は基質に対して化学量論量以上用いる
ことにより、短時間に反応が終了しかつ収率が良い点で
好ましい。
【0030】一般式(IV)においてR1で示されるア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、ブチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基を
例示することができ、これらのアルキル基はハロゲン原
子、ビニル基、フェニル基等で置換されていてもよい。
さらに具体的に一般式(IV)で表わされるクロロギ酸
エステルとしては、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチ
ル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸ブチル、クロ
ロギ酸2−エチルヘキシル、クロロギ酸アリル、クロロ
ギ酸ベンジル、クロロギ酸フェニル等を例示することが
できる。
【0031】工程−5は、一般式(VI)で表わされる
ジフェニルカーボネート誘導体をプロトン性溶媒中、塩
基で処理することにより、2−クロロ−4−フルオロ−
5−(アルコキシカルボニルアミノ)フェノール(VI
I)〔式中、R1は前記と同じ意味を表わす。〕へと変
換する工程である。
【0032】使用する塩基としては、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム等の無機塩基を用いることができ、プロトン性溶媒
としては、水、酢酸あるいは、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール性溶媒及び
それらの混合溶媒を用いることができる。更に、これら
の溶媒と他の有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチ
ルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,
N−ジメチルホルムアミド等との混合溶媒を用いること
もできる。反応は室温下で容易に進行するが、加温する
ことにより短時間に反応を終了させることもできる。
【0033】工程−6は、2−クロロ−4−フルオロ−
5−(アルコキシカルボニルアミノ)フェノール(V
I)と一般式(VIII)〔式中、Rは前記と同じ意味
を表わし、Yは脱離基を表わす。〕で示される親電子剤
とを塩基の存在下に反応させることにより、一般式(I
X)〔式中、R及びR1は前記と同じ意味を表わす。〕
で示されるN−(置換フェニル)カルバミン酸エステル
を得る工程である。
【0034】反応は塩基の存在下に実施し、塩基として
は炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩、ブチルリチウム、メチルリチウム等のアルキルリチ
ウム試薬、あるいはナトリウムアミド、水素化ナトリウ
ム等を使用することができる。反応は有機溶媒中で行な
うことが好ましく、有機溶媒としては、アセトン、メチ
ルエチルケトン、アセトニトリル、エーテル、テトラヒ
ドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエ
ン、ベンゼン等の溶媒及びこれらの混合溶媒を用いるこ
とができる。反応温度は、使用する塩基の種類によって
異なるが、反応は室温下でも容易に進行し、加温する
ことにより短時間に反応を終了させることもできる。更
に一般式(IX)で表わされるN−(置換フェニル)カ
ルバミン酸エステルは、本発明の化合物であるビス(2
−クロロ−4−フルオロ−5−アミノフェニル)カーボ
ネートを原料として、N−カーバメート化、カーボネー
トの加水分解、次いでO−アルキル化反応を、各中間体
を単離することなく逐次反応させることによっても製造
することができる。
【0035】一般式(VIII)にてRで示されるアル
キル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基
等の直鎖あるいは分岐鎖アルキル基を、シクロアルキル
基としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロ
ヘキシル基等を例示することができる。またアルケニル
基としては、アリル基、メタリル基、クロチル基、1−
ブテン−3−イル基等を、アルキニル基としては、プロ
パギル基、1−ブチン−3−イル基等を例示することが
できる。Yで表わされる脱離基としては、ヨウ素、臭素
等のハロゲン原子またはパラトリルスルホニルオキシ
基、フェニルスルホニルオキシ基、メチルスルホニルオ
キシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等のス
ルホニルオキシ基を例示することができる。
【0036】工程−7は、N−(置換フェニル)カルバ
ミン酸エステル(IX)を加水分解してアニリン誘導体
(X)〔式中、Rは前記と同じ意味を表わす。〕を得る
工程である。
【0037】反応は塩基の存在下に実施し、塩基として
は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウ
ム等の金属水酸化物の水溶液を用いることができ、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアル
コール系溶媒との混合溶媒中で反応させることが収率が
良い点で好ましい。
【0038】工程−8は、アニリン誘導体(X)のアミ
ノ基をホスゲンあるいはホスゲン等価体を用いてイソシ
アナト基へと変換し、フェニルイソシアネート誘導体
(XI)〔式中、Rは前記と同じ意味を表わす。〕を得
る工程である。
【0039】反応は有機溶媒中で行なうこともでき、溶
媒としては酢酸エチル、ベンゼン、トルエン等の溶媒を
用いることができる。反応はアニリン誘導体(X)の溶
液をホスゲンあるいはその等価体の溶液中導入するか、
アニリン誘導体(X)の溶液にホスゲンあるいはその等
価体を加えることにより反応させてもよい。反応は反応
基質を加える間は室温以下の低温で実施し、次いで10
0℃程度に加熱して反応を終了させる。反応終了後は溶
媒を留去することにより収率よくイソシアネート誘導体
(XI)を得ることができる。
【0040】工程−9では、工程−8で得られたイソシ
アネート誘導体(XI)と例えば2−ヒドロキシ−3−
メチル−3−ブテン酸メチル(XII)とを塩基の存在
下に反応させることにより、除草剤有効成分である3N
−(2−フルオロ−4−クロロ−5−アルコキシフェニ
ル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン
−2,4−ジオン(XIII)〔式中、Rは前記と同じ
意味を表わす。〕へと変換することができる。
【0041】反応は有機溶媒中、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、
N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩などの塩基
の存在下に行なう。塩基の量には特に制限はなく、触媒
量でも充分である。有機溶媒としては、トルエン、ベン
ゼン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、テトラ
ヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用い
ることができる。反応は溶媒の種類によっては室温下で
も進行するが、室温〜溶媒還流下で反応を行なうことに
より、反応時間を短縮することもできる。
【0042】
【発明の効果】本発明は硝酸と硫酸の混酸をニトロ化剤
とするビス(2−クロロ−4−フルオロ−4−ニトロフ
ェニル)カーボネートの安価で安全性の高い工業的に優
れた方法を提供するものである。
【0043】以下、実施例及び比較例及び試験例により
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら反応
例になんら限定されるものではない。
【0044】
【実施例】
実施例−1
【化3】
【0045】滴下ロート及び撹拌器を装備した5Lの三
ツ口フラスコにビス(2−クロロ−4−フルオロフェニ
ル)カーボネート(801g,2.5mol)を入れ、
硫酸(98%,2000ml)を加え充分に撹拌した。
次いで、激しく撹拌しながら硝酸(60%,400m
l)と硫酸(98%,400ml)より調製した混酸を
滴下ロートより反応温度が上がらない程度に7時間かけ
てゆっくりと滴下した。滴下終了後さらに1時間激しく
撹拌した後、冷水(5000ml)に加え、析出した白
色固体を濾過し水で洗浄後、充分乾燥することによりビ
ス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)
カーボネートの白色固体(1026g,2.5mol,
収率100%)を得た。このものはトルエンあるいは酢
酸エチルより再結晶させることにより、白色針状結晶と
して純粋に単離することができる。
【0046】 融点:165.0〜165.5 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 7.58(2H,d,JHF=9.9Hz),8.25(2H,d,J
HF=8.3Hz)ppm. IR(KBr disk): 1797,1605,1540,1495,1355,1240,1180cm
-1. 元素分析(%, C13H4Cl2F2N2O7, 分子量: 409.084 ) 計算値: C=38.17, H=0.99, N=6.85 測定値: C=38.16, H=0.69, N=6.65
【0047】実施例−2 滴下ロート及び撹拌器を装備した100mlの三ツ口フ
ラスコにビス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)カ
ーボネート(15.3g,48.0mmol)を入れ、
氷水浴中で冷却しながら硫酸(98%,30ml)を加
え充分に撹拌した。次いで、激しく撹拌しながら硝酸
(60%,17ml)と硫酸(98%,17ml)より
調製した混酸を滴下ロートより反応温度が上がらない程
度に30分間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後さ
らに1時間激しく撹拌した後、氷水(300ml)中に
注ぎ、析出した白色固体を濾過し水で洗浄後、充分乾燥
することによりビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−
ニトロフェニル)カーボネートの白色固体(15.7
g,38.3mmol,収率80.0%)を得た。スペ
クトルデータは実施例−1に記載した通りである。
【0048】実施例−3 滴下ロート及び撹拌器を装備した1000mlの三ツ口
フラスコにビス(2−クロロ−4−フルオロフェニル)
カーボネート(45.0g,142.6mmol)を入
れ、氷水浴中で冷却しながら硫酸(98%,250m
l)を加え充分に撹拌した。次いで、激しく撹拌しなが
ら,硝酸(60%,70ml)と硫酸(98%,70m
l)より調製した混酸を滴下ロートより反応温度が上が
らない程度に2時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終
了後さらに2時間激しく撹拌した後、氷水(1000m
l)中に加え、析出した白色固体を濾過し水で洗浄後、
乾燥することによりビス(2−クロロ−4−フルオロ−
5−ニトロフェニル)カーボネートの白色固体(61.
9g)を得た。このものは更に減圧下に乾燥することに
より、ほぼ定量的にビス(2−クロロ−4−フルオロ−
5−ニトロフェニル)カーボネートを得ることができ
た。スペクトルデータ等は実施例−1に記載した通りで
ある。
【0049】比較例−1
【化4】
【0050】滴下ロート及び攪拌器を装備した200m
lの三ツ口フラスコにビス(2−クロロ−4−フルオロ
フェニル)カーボネート(15.95g,50mmo
l)を入れ、氷水浴中で0〜5℃に冷却下に、硝酸(6
0%,50ml)を充分撹拌しながらゆっくりと加え
た。滴下終了後さらに1時間激しく攪拌した後、氷水
(500ml)中に加え、析出した白色固体を濾過し水
で洗浄後、充分乾燥した。各種スペクトルデータよりこ
のものは原料のビス(2−クロロ−4−フルオロフェニ
ル)カーボネートであることを確認した
【0051】試験例−1
【化5】
【0052】撹拌機及び滴下ロートを装備した200m
lの三ツ口フラスコに、4−フルオロフェノール(4
4.8g,0.40mol)及び水(80ml)を加
え、反応液を60〜70℃に保ちながら塩化スルフリル
(60ml,100g,0.47mol)を60分かけ
て滴下した。反応終了後、飽和食塩水(400ml)を
加え、塩化メチレン(200ml×3回)で抽出した。
有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。乾燥
剤を除去後、溶媒を減圧下に留去して粗生成物(56.
4g)を得た。このものの組成は、2−クロロ−4−フ
ルオロフェノール(97.6%)、2,6−ジクロロ−
4−フルオロフェノール(1.0%)及び未反応原料
(0.7%)であり、他の高次塩素化物の生成は認めら
れなかった。
【0053】1 H-NMR(CDCl3):δ 5.60(1H,s),6.9〜7.3(3H,m)ppm.
【0054】試験例−2
【化6】
【0055】撹拌機を装備した5Lの三ツ口フラスコに
2−クロロ−4−フルオロフェノール(733g,5.
0mol)と塩化メチレン(2.5L)を入れ、冷却下
に4N−水酸化ナトリウム水溶液(1350ml)を加
え撹拌した。この溶液にクロロギ酸トリクロロメチル
(148ml,243g,1.23mol)を活性炭
(3.8g)上で分解させ(温度40〜50℃)発生さ
せたホスゲンを吹き込んだ。ホスゲンの導入が終了した
後、更に反応液を室温で一晩撹拌した。反応終了後、有
機層を分離し、さらに水層を塩化メチレン(500ml
×2回)で抽出した。有機層を合わせ、1N−水酸化ナ
トリウム水溶液(1000ml)及び水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧下
に溶媒を留去することにより、ビス(2−クロロ−4−
フルオロフェニル)カーボネートの白色固体(801
g,5.0mol,収率100%)を得た。
【0056】 融点:91.0〜92.0℃1 H-NMR(CDCl3):δ 6.87〜7.4(6H,m)ppm. IR(KBr disk): 1780,1605,1500,1290,1250,1180cm-1.
【0057】試験例−3
【化7】
【0058】撹拌器を装備した5Lの丸底セパラブルフ
ラスコに、ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニト
ロフェニル)カーボネート(233g,0.57mo
l)と溶媒としてトルエン(2300ml)、及び触媒
として5%Pd/C(17.4g)を入れ、激しく撹拌
しながら水素ガスを導入した。反応の進行とともに発熱
するが、水素が系外に出ない速度で水素を導入すること
により、反応温度を50〜60℃に維持した。反応終了
後、反応混合物を加温(80〜100℃)し、触媒を濾
別した。濾液より副生した水を除去したのち、更に無水
硫酸マグネシウムで充分乾燥させた。乾燥剤を濾別し、
溶媒を減圧下に留去することにより、ビス(2−クロロ
−4−フルオロ−5−アミノフェニル)カーボネート
(143g,0.41mol,収率71.9%)を白色
固体として得た。
【0059】 融点:136.0〜137.0 ℃ 1 H-NMR(CDCl3):δ 3.83(4H,brs),6.71(2H,d,JHF=8.5H
z),7.08(2H,d,JHF=10.5Hz)ppm. IR(KBr disk): 3500,1780,1640,1510,1260,1235,1190,1
155,cm-1.
【0060】試験例−4
【化8】
【0061】撹拌器を装備した3Lの丸底三ツ口フラス
コに酢酸エチル(1000ml)を入れ、クロロギ酸ト
リクロロメチル(80ml,131g,0.66mo
l)を加温(50℃)した活性炭(2.0g)上で分解
して得られたホスゲンガスを導入し、ホスゲンの酢酸エ
チル溶液を調製した。この溶液にビス(2−クロロ−4
−フルオロ−5−アミノフェニル)カーボネート(15
9g,0.46mol)の酢酸エチル(1000ml)
溶液をゆっくりと滴下した。全量滴下した後100℃に
加熱し酢酸エチルを留去した。得られた粗生成物にエー
テル(300ml)を加え、極少量生成した尿素誘導体
等を除去した。エーテルを減圧下に留去することによ
り、ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−イソシアナ
トフェニル)カーボネート(185g,0.46mo
l,収率100%)を得た。
【0062】 融点:108.0〜109.0 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 7.07(2H,d,JHF=8.0Hz),7.29(2H,d,J
HF=10.0Hz)ppm. IR(KBr disk): 2250,1785,1535,1465,1220,1170cm-1.
【0063】試験例−5
【化9】
【0064】ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−イ
ソシアナトフェニル)カーボネート(4.01g,1
0.0mmol)とメタノール溶液(50ml)にトリ
エチルアミン(100mg,1.0mmol)を加え、
室温で2時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を1N
−塩酸(100ml)中に注ぎ、析出したビス(2−ク
ロロ−4−フルオロ−5−メトキシカルボニルアミノフ
ェニル)カーボネートの淡黄色固体(3.95g,8.
5mmol、収率85%)を濾過により単離し、充分乾
燥した。
【0065】 融点:212.0〜214.0 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 3.80(6H,s),6.87(2H,brs),7.19(2H,
d,JHF=10.2Hz),8.22(2H,d,JHF=8.3Hz)ppm. IR(KBr disk): 1790,1740,1630,1553,1490,1420,1240,1
217cm-1.
【0066】試験例−6
【化10】
【0067】ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ア
ミノフェニル)カーボネート(233g,0.68mo
l)と炭酸カリウム(188g,1.36mol)の混
合物に乾燥アセトン(1500ml)を加え、この溶液
にクロロギ酸メチル(126g、1.33mol)を滴
下し、60℃で4時間加熱撹拌した。反応終了後、アセ
トンを減圧下で留去し、酢酸を加え酸性にした後、氷水
に注いだ。析出した固体を濾取し、水で洗浄した後、充
分に乾燥し白色固体のビス(2−クロロ−4−フルオロ
−5−メトキシカルボニルアミノフェニル)カーボネー
ト(279g,0.60mol,収率88.2%)を得
た。スペクトルデータ等は試験例−5に記載した通りで
ある。
【0068】試験例−7
【化11】
【0069】3Lの丸底三ツ口フラスコにビス(2−ク
ロロ−4−フルオロ−5−メトキシカルボニルアミノフ
ェニル)カーボネート(279g,0.6mol)、炭
酸カリウム(83g,0.6mol)、溶媒としてメタ
ノール(1.5L)を入れ、50℃で2時間加熱攪拌し
た。反応終了後、反応混合物を濃縮し、得られた固形物
を酢酸(100ml)に溶解し、氷水中へ攪拌しながら
加えた。析出した白色結晶を濾過し、充分乾燥すること
により、N−(2−フルオロ−4−クロロ−5−ヒドロ
キシフェニル)カルバミン酸メチル(263g,1.2
0mol,収率100%)を得た。
【0070】 融点:140.0〜141.0 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 3.79(3H,s),5.53(1H,s),6.75(1H,br
s),7.05(1H,d,JHF=10.5Hz),7.82(1H,d,JHF=7.5Hz)ppm. IR(KBr disk): 1717,1630,1560,1430,1250cm-1.
【0071】試験例−8
【化12】
【0072】N−(2−フルオロ−4−クロロ−5−ヒ
ドロキシフェニル)カルバミン酸メチル(5.00g,
22.8mmol)と炭酸カリウム(1.80g,1
3.0mmol)のアセトニトリル(50ml)溶液に
シクロペンチルブロミド(4.07g,27.3mmo
l)を加え、4時間加熱還流した。反応終了後、反応液
を室温まで冷却し、1N−塩酸(50ml)を加え、酢
酸エチル(50mlx2回)で抽出した。有機層を水で
洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾
別後、減圧下に溶媒を留去することにより、N−(2−
フルオロ−4−クロロ−5−シクロペンチルオキシフェ
ニル)カルバミン酸メチル(5.56g,19.3mm
ol,収率84.8%)を得た。
【0073】 融点:120.0〜123.0 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 1.40〜2.10(8H,m),3.77(3H,s),4.77
(1H,m),6.82(1H,brs),7.07(1H,d,JHF=10.5Hz),7.83(1H,
d,JHF=7.5Hz)ppm. IR(KBr disk): 1714,1535,1500,1415,1255,1190cm-1.
【0074】試験例−9
【化13】
【0075】クロロギ酸メチルの代わりにクロロギ酸エ
チルを用いた以外は試験例−4と同様の方法により合成
したN−(2−フルオロ−4−クロロ−5−ヒドロキシ
フェニル)カルバミン酸エチル(1.00g,4.28
mmol)と炭酸カリウム(0.59g,4.28mm
ol)のエタノール(20ml)溶液を還流下に2時間
攪拌した。次いでシクロペンチル p−トルエンスルホ
ネート(1.20g,5.14mmol)を加え更に2
時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物を1N−塩
酸(100ml)中に注いだ。析出したN−(2−フル
オロ−4−クロロ−5−シクロペンチルオキシフェニ
ル)カルバミン酸エチルの薄茶色固体(1.30g,
4.28mmol,収率〜100%)を濾過により単離
し、充分乾燥した。
【0076】融点:92.8〜97.8℃1 H-NMR(CDCl3):δ 1.33(3H,t,J=7.0Hz),1.40〜2.10(8H,
m),4.32(2H,q,J=7.0Hz),4.88(1H,m),6.87(1H,brs),7.15
(1H,d,JHF=10.5Hz),7.92(1H,d,JHF=7.0Hz)ppm. IR(KBr disk): 1710,1535,1495,1415,1255cm-1.
【0077】試験例−10
【化14】
【0078】N−(2−フルオロ−4−クロロ−5−ヒ
ドロキシフェニル)カルバミン酸メチル(146g,
0.66mol)、炭酸カリウム(91.7g,0.6
6mol)及び1−ブチン−3−イル p−トルエンス
ルホネート(149.1g,0.66mol)の混合物
にアセトニトリル(600ml)を加え、3時間加熱還
流した。反応終了後、反応混合物を1N−塩酸(150
0ml)中に注いだ。析出したN−{2−フルオロ−4
−クロロ−5−(1−ブチン−3−イル)オキシフェニ
ル}カルバミン酸メチルの薄茶色固体(136g,0.
50mol,収率75.8%)を濾過により単離し充分
乾燥した。
【0079】 融点:69.0〜71.0℃1 H-NMR(CDCl3):δ 1.71(3H,d,J=6.3Hz),2.55(1H,d,J=1.
5Hz),3.82(3H,s),4.92(1H,d&q,J=6.3,1.5Hz),7.15(1H,
d,JHF=10.0Hz),8.09(1H,d,JHF=7.5Hz)ppm.
【0080】試験例−11
【化15】
【0081】N−(2−フルオロ−4−クロロ−5−シ
クロペンチルオキシフェニル)カルバミン酸メチル
(1.507g,5.24mmol)のエタノール
(1.5ml)溶液に2N−水酸化ナトリウム水溶液
(3.5ml)を加え、2時間加熱還流した。反応終了
後、反応液を室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチル
(20mlx2回)で抽出した。有機層を水及び飽和食
塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を
濾別後、減圧下に溶媒を留去することにより、2−フル
オロ−4−クロロ−5−シクロペンチルオキシアニリン
(1.20g,5.22mmol,収率〜100%)を
得た。
【0082】 沸点:143〜145 ℃/1.5mmHg1 H-NMR(CDCl3):δ 1.40〜2.00(8H,m),3.72(2H,brs),4.6
7(1H,m),6.39(1H,d,JHF=9.0Hz),7.04(1H,d,JHF=11.0Hz)
ppm. IR(neat): 3500,3400,1630,1510,1420,1245,1185cm-1.
【0083】試験例−12
【化16】
【0084】N−{2−フルオロ−4−クロロ−5−
(1−ブチン−3−イル)オキシフェニル}カルバミン
酸メチル(326.0g,1.2mol)のエタノール
(1000ml)溶液に2N−水酸化ナトリウム水溶液
(660ml)を加え、4時間加熱還流した。反応終了
後、反応液を室温まで冷却し、氷水(2000ml)中
に注いだ。析出した2−フルオロ−4−クロロ−5−
(1−ブチン−3−イル)オキシアニリンの薄茶色固体
(236g,1.1mol,収率92.0%)を濾過す
ることにより単離し、充分乾燥した。
【0085】 融点:74.5〜75.5℃1 H-NMR(CDCl3):δ 1.60(3H,d,J=6.3Hz),2.48(1H,d,J=1.
5Hz),3.46(2H,brs),4.72(1H,d&q,J=6.3,1.5Hz),6.62(1
H,d,JHF=7.5Hz),7.01(1H,d,JHF=10.0Hz)ppm.
【0086】試験例−13
【化17】
【0087】2−フルオロ−4−クロロ−5−シクロペ
ンチルオキシアニリン(2.30g,10.0mmo
l)の酢酸エチル(25ml)溶液に室温下で、トリク
ロロメチルクロロホーメート(2.00g,10.0m
mol)の酢酸エチル(5ml)溶液を徐々に滴下し
た。滴下終了後、加熱し酢酸エチルを留去することによ
り、2−フルオロ−4−クロロ−5−シクロペンチルオ
キシフェニルイソシアネートをほぼ定量的に得た。
【0088】1 H-NMR(CDCl3):δ 1.50〜2.10(8H,m),4.67(1H,m),6.60
(1H,d,JHF=7.5Hz), 7.12(1H,d,JHF=10.5Hz)ppm. IR(neat): 2275,1720,1615,1525,1470,1195cm-1.
【0089】試験例−14
【化18】
【0090】2−フルオロ−4−クロロ−5−(1−ブ
チン−3−イル)オキシアニリン(300g,1.4m
ol)の酢酸エチル(1500ml)溶液に、室温下ト
リクロロメチルクロロホーメート(283.9g,1.
44mol)を徐々に滴下した。滴下終了後、加熱し酢
酸エチルを留去することにより、褐色固体を得た。この
ものに四塩化炭素(300ml)を加え、不溶性の尿素
誘導体を濾別した後、減圧下に四塩化炭素を留去するこ
とにより、2−フルオロ−4−クロロ−5−(1−ブチ
ン−3−イル)オキシフェニルイソシアネート(31
5.9g,1.32mol,収率94.3%)を得た。
【0091】1 H-NMR(CDCl3):δ 1.70(3H,d,J=7.0Hz),2.51(1H,d,J=2.
0Hz), 4.78(1H,d&q,J=7.0,2.0Hz).6.90(1H,d,JHF=8.0Hz),7.19
(1H,d,JHF=10.0Hz)ppm. IR(KBr disk): 2300,1615,1525,1465,1195cm-1.
【0092】試験例−15
【化19】
【0093】1Lの三ッ口丸底フラスコに2−フルオロ
−4−クロロ−5−シクロペンチルオキシフェニルイソ
シアネート(203g,0.794mol)と2−ヒド
ロキシ−3−メチル−3−ブテン酸メチル(110g,
0.794mol)の酢酸エチル(200ml)溶液
に、プロピレンオキシド(20ml,16.6g,0.
286mol)を加え、次いでトリエチルアミン(8.
0g,0.0791mol)の酢酸エチル(30ml)
溶液を溶液温度が50℃以下になるようにゆっくり滴下
し、そのままの温度で2時間攪拌し、更に加熱還流下に
2時間攪拌した。反応終了後、反応液に1N−塩酸(1
00ml)を加え、酢酸エチル(200mlx2回)で
抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾
燥剤を濾別し溶媒を減圧下に留去した後、トルエン(5
0ml)を加え放置することにより析出した3N−(2
−フルオロ−4−クロロ−5−シクロペンチルオキシフ
ェニル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリ
ジン−2,4−ジオンの黄白色固体(201.7g,
0.57mol,収率72%)を得た。
【0094】 融点:104.5〜105.0 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 1.58〜1.91(8H,m),2.00(3H,s),2.26
(3H,s),4.73(1H,m),6.77(1H,d,JHF=6.6Hz),7.27(1H,d,J
HF=8.5Hz)ppm. IR(KBr disk): 1820,1743,1693cm-1.
【0095】試験例−16
【化20】
【0096】2−フルオロ−4−クロロ−5−(1−ブ
チン−3−イル)オキシフェニルイソシアネート(2
4.0g,0.1mol)と2−ヒドロキシ−3−メチ
ル−3−ブテン酸メチル(14.3g,0.11mo
l)の酢酸エチル(100ml)溶液に、プロピレンオ
キシド(1ml)を加え、次いでトリエチルアミン
(1.02g,0.01mol)の酢酸エチル(10m
l)溶液を溶液温度が50℃以上にならないようにゆっ
くりと滴下し、更に加熱還流下に2時間攪拌した。反応
終了後、反応液に1N−塩酸(50ml)を加え、酢酸
エチル(100ml×2回)で抽出した。有機層を無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後溶媒を減圧
下に留去し、得られた粗生成物をトルエン/ヘキサンよ
り再結晶することにより、3N−{2−フルオロ−4−
クロロ−5−(1−ブチン−3−イル)オキシフェニ
ル}−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン
−2,4−ジオンの黄白色固体(28.71g,0.0
85mol,収率85%)を得た。
【0097】 融点:102.0〜103.0 ℃1 H-NMR(CDCl3):δ 1.70(3H,d,J=6.0H
z),2.03(3H,s),2.28(3H,s),
2.52(1H,d,J=1.5Hz),4.80(1
H,d&q,J=6.0Hz,1.5Hz),7.12
(1H,d,JHF=6.0Hz),7.32(1H,
d,JHF=9.0Hz)ppm. IR(KBr disk): 2120,1820,1
736,1680,1505,1430,1375,1
200cm−1
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相沢 清美 神奈川県相模原市鵜野森322−11 審査官 伊藤 幸司 (56)参考文献 特開 平1−163157(JP,A) 新実験化学講座14 有機化合物の合成 と反応▲III▼,第1266〜1267頁,昭 和53年2月20日発行(丸善株式会社) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 205/43 C07C 201/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビス(2−クロロ−4−フルオロフェニ
    ル)カーボネートを硫酸溶媒中、硝酸と硫酸との混酸を
    用いて、0℃〜30℃の範囲でニトロ化することを特徴
    とする、ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロ
    フェニル)カーボネートの製造方法。
JP03044590A 1991-01-22 1991-01-22 ビス(2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)カーボネート及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3107405B2 (ja)

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新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応▲III▼,第1266〜1267頁,昭和53年2月20日発行(丸善株式会社)

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