JP3104775B2 - 常温硬化型塗料用組成物 - Google Patents

常温硬化型塗料用組成物

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JP3104775B2
JP3104775B2 JP05271193A JP27119393A JP3104775B2 JP 3104775 B2 JP3104775 B2 JP 3104775B2 JP 05271193 A JP05271193 A JP 05271193A JP 27119393 A JP27119393 A JP 27119393A JP 3104775 B2 JP3104775 B2 JP 3104775B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性に優れる常温硬
化型フッ素樹脂系塗料に関するものであり、さらに詳し
くは、耐汚染性が大幅に改良された、多価イソシアネー
トを用いる常温硬化型塗料用重合体組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来技術およびその問題点】フッ素樹脂系塗料は、高
耐久性の塗料として、幅広い産業分野で使用されてお
り、従来のディスパージョン型フッ素樹脂系塗料では不
可能とされていた現場施工も、溶剤可溶型のフッ素樹脂
塗料の出現により可能になっている。現場施工には、硬
化剤としての多価イソシアネートと溶剤可溶型のフッ素
樹脂からなる常温硬化型塗料が一般的に用いられている
が、従来のフッ素樹脂系常温硬化型塗料は、耐候性に優
れているものの、耐汚染性に問題があり、用途的に制約
があった。
【0003】すなわち、高速道路沿い、工場地帯のよう
な汚染物質の多い環境下は勿論のこと、汚れが付着しや
すい構造の建築物外壁、さらに塗装面の温度が上昇しや
すいカーテンウォール、自動車の塗装鋼板などに対して
は、従来のフッ素樹脂系常温硬化型塗料では汚染が著し
く、改良が求められていた。フッ素樹脂系塗料の耐汚染
性を改良するための手段として、特開平4−17388
1号公報には、水酸基またはカルボキシル基等の官能基
を有する含フッ素共重合体の有機溶剤溶液に、テトラア
ルコキシシラン等の加水分解性基を有するシラン化合物
を添加し、含フッ素共重合体における前記官能基とシラ
ン化合物を反応させて得られるシラン変成含フッ素共重
合体が提案されている。
【0004】上記シラン変成含フッ素共重合体は、それ
に導入されたシラン化合物の加水分解によって生じるシ
ラノール基の縮合反応により硬化するという、自己縮合
型の硬化性重合体であり、ジブチルスズラウレート等の
触媒の存在下または非存在下に、該共重合体を加熱硬化
することにより機械的強度および耐汚染性に優れる塗膜
が得られる。しかしながら、上記シラン変成含フッ素共
重合体に多価イソシアネートを併用し、常温で硬化して
得られる塗膜の硬度は低くまた耐候性も不十分であり、
該シラン変成含フッ素共重合体を単独で常温硬化型塗料
用樹脂として使用することには、技術的に未解決な問題
があった。
【0005】また、特開平4−211482号公報に開
示された、フッ素樹脂、多価イソシアネートおよび金属
酸化物ゾルからなるハードコート用組成物の場合も、後
記した比較例2から明らかなとおり、耐汚染性に関して
は、アルコキシシラン等の金属アルコキシドが添加され
ていないフッ素樹脂系塗料と同等であり、格別に良好と
は言えなかった。
【0006】本発明は、多価イソシアネートによる常温
硬化が可能で、高硬度で耐汚染性に優れる塗膜を形成す
るフッ素樹脂を主成分とする塗料用組成物の提供を目的
とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために鋭意検討した結果、水酸基を有する含
フッ素共重合体と特定な合成法によって得られるシラン
変性含フッ素共重合体の混合物を、多価イソシアネート
により常温硬化させることにより、高硬度で耐汚染性に
優れる塗膜が得られることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち、本発明は、水酸基含有単量体単
位を10〜20モル%含む溶剤可溶性の含フッ素共重合
体の有機溶剤溶液に、該含フッ素共重合体の100重量
部当たり、加水分解性基を2個以上有するシラン化合物
またはその低縮合物を5〜100重量部の割合で添加
し、次いで水を添加して得られるシラン変性含フッ素共
重合体(B)の有機溶剤溶液に、水酸基含有単量体単位
を3〜20モル%含む溶剤可溶性の含フッ素共重合体
(A)と多価イソシアネートとを溶解してなり、前記含
フッ素共重合体(A)に対するシラン変性含フッ素共重
合体(B)の重量比が1.0以下である常温硬化型塗料用
組成物である。
【0009】以下、本発明について詳しく説明する。ま
ず、含フッ素共重合体(A)から説明する。本発明にお
ける含フッ素共重合体(A)は、前記のとおり、水酸基
含有単量体単位を3〜20モル%含む溶剤可溶性の含フ
ッ素共重合体であり、該共重合体を構成する好ましい含
フッ素単量体としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデ
ン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、
クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロ
ピレン等のフルオロオレフィンが挙げられ、より好まし
くは、テトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオ
ロエチレンであり、特に好ましくはクロロトリフルオロ
エチレンである。含フッ素共重合体(A)におけるフル
オロオレフィン単量体単位の好ましい割合は、35〜6
0モル%であり、さらに好ましくは、40〜55モル%
である。フルオロオレフィン単量体単位の割合が、35
モル%未満であると耐候性が不十分になりやすく、一方
60モル%を越えると有機溶剤へ溶解し難くなる。
【0010】水酸基含有単量体としては、クロトン酸2
−ヒドロキシエチル、クロトン酸3−ヒドロキシプロピ
ル、クロトン酸2,2ジメチル3−ヒドロキシプロピ
ル、クロトン酸4−ヒドロキシブチル、クロトン酸5−
ヒドロキシペンチル、クロトン酸6−ヒドロキシヘキシ
ル等のクロトン酸ヒドロキシアルキルエステル類;2−
ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロ
ピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエー
テル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;2−ヒ
ドロキシエチルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピ
ルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のアリ
ルエーテル類;2−ヒドロキシエチルメタリルエーテ
ル、3−ヒドロキシプロピルメタリルエーテル、4−ヒ
ドロキシブチルメタリルエーテル等のメタリルエーテル
類等を挙げられる。含フッ素共重合体(A)における水
酸基含有単量体単位の割合が、3モル%未満であると多
価イソシアネートによる硬化反応が不十分となり、塗膜
の耐薬品性および耐水性に劣り、一方20モル%を越え
ると塗膜の耐候性が劣る。
【0011】含フッ素共重合体(A)を得るために、上
記含フッ素単量体および水酸基含有単量体とともに他の
共重合単量体を用いることが好ましく、かかる共重合単
量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエ
ーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプ
ロン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ステアリン酸
ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;アクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニル酢酸等の
不飽和カルボン酸類およびそれらの無水物類等が挙げら
れる。含フッ素共重合体(A)における上記共重合単量
体単位の好ましい割合は、20〜62モル%である。
【0012】上記含フッ素共重合体(A)は、例えば特
開平3−231906号公報等に記載されている溶液重
合法で前記単量体を共重合することにより製造できる。
すなわち、重合溶剤としてトルエン、キシレンまたは酢
酸ブチル等を、また重合開始剤としてt−ブチルパーオ
キシピバレート、t−ブチルパーオキシアセテート、ア
ゾビスイソブチロニトリル等のラジカル発生化合物を、
それぞれ使用して温度40〜80℃で、前記単量体の混
合物を5〜20時間程度重合させればよい。
【0013】シラン変性含フッ素共重合体(B)は、前
記した方法によって合成される変性重合体であり、その
出発原料として使用される含フッ素共重合体(以下変性
用含フッ素共重合体という)は、前記のとおり、水酸基
含有単量体単位を10〜20モル%含む溶剤可溶性の含
フッ素共重合体である。変性用含フッ素共重合体におけ
る水酸基含有単量体単位の割合が10モル%未満である
と、該共重合体と添加されるシラン化合物との反応性に
劣り、得られる塗膜の耐汚染性が不十分である。
【0014】変性用含フッ素共重合体における構成単位
は、前記含フッ素共重合体(A)と同様な単量体単位で
あり、該変性用含フッ素共重合体の好ましい構成は、全
単量体単位の合計量を基準にして、フルオロオレフィン
単量体単位35〜60モル%、水酸基含有単量体単位1
0〜20モル%およびその他の共重合性単量体単位20
〜55モル%である。具体的な塗料用組成物の製造にお
いて用いられる変性用含フッ素共重合体の種類は、前記
含フッ素共重合体(A)と同一であっても、また相違し
ていてもよい。
【0015】本発明においては、上記変性用含フッ素共
重合体を有機溶剤に溶解させ、該共重合体溶液に後記す
るシラン化合物を添加し、次いで少量の水を添加するこ
とにより、溶液中のシラン化合物の一部または全量を加
水分解させるという手段によって変性されたシラン変性
含フッ素共重合体(B)を使用する。
【0016】上記操作において用いる有機溶剤として
は、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、シクロヘキサ
ノン、エチルセロソルブアセテート、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、エチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、イソプロパノールおよびシクロヘキサノ
ール等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上併用
して用いられる。より好ましい有機溶剤は、水の添加に
よって生じるシラン変性含フッ素共重合体(B)を安定
に溶液中に存在させる点で、アルコールを10〜50重
量%含む溶剤である。変性用含フッ素共重合体の有機溶
剤溶液における好ましい濃度は、10〜40重量%であ
る。
【0017】本発明においては、前記のとおり、加水分
解性基を2個以上有するシラン化合物またはその低縮合
物を使用するが、好ましい加水分解性基はアルコキシ基
である。かかるアルコキシ基を2個以上有するシラン化
合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラ
ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロ
ピルトリメトキシシランおよびブチルトリメトキシシラ
ン等のアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジメト
キシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジ
メトキシシランおよびジブチルジメトキシシラン等のジ
アルキルジアルコキシシラン等が挙げられる。上記シラ
ン化合物と同様に使用し得る低縮合物としては、上に例
示した各シラン化合物の2量体、3量体、4量体および
5量体、またはそれらの混合物等がある。以下、低縮合
物も含めてシラン化合物と総称する。より好ましくは、
加水分解性の高いメトキシ基またはエトキシ基を有する
シラン化合物であり、特に好ましくは、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシランシランおよびそれらの低
縮合物である。
【0018】上記シラン化合物以外にも、本発明におい
て使用し得るシラン化合物としては、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シランおよびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン等が挙げられる。
【0019】変性用含フッ素共重合体に対するシラン化
合物の添加量は、該共重合体100重量部当たり、5〜
100重量部であり、より好ましくは30〜100重量
部である。シラン化合物の使用量が100重量部を越え
ると、溶液中に沈澱が生じ、安定なシラン変性含フッ素
共重合体溶液が得られない。一方、シラン化合物の使用
量が5重量部未満であると、得られる塗料用組成物によ
る塗膜の耐汚染性が劣る。上記シラン化合物は、常温〜
80℃に維持された変性用含フッ素共重合体の有機溶剤
溶液に添加することが好ましい。
【0020】シラン化合物の添加された変性用含フッ素
共重合体の有機溶剤溶液には、シラン化合物の添加が終
了した直後から水を添加できるが、水の添加の前に、塩
酸、硫酸、リン酸、酢酸およびp−トルエンスルホン酸
等の酸性化合物をシラン化合物の加水分解用触媒として
添加することが好ましい。酸触媒の使用により、加水分
解が円滑に進み、安定なシラン変性含フッ素共重合体溶
液が得られる。水の添加方法としては、室温〜80℃に
維持された重合体溶液に、徐々に滴下する方法が好まし
い。水の添加により、溶液内に存在したシラン化合物
は、加水分解に伴い縮合反応を起こすとともに、その一
部は変性用含フッ素共重合体における水酸基と反応し
て、共重合体の側鎖を形成する。
【0021】上記加水分解反応における水の理論量は、
シラン化合物の加水分解性基2モルに対し水1モルであ
るが、本発明においては、添加されたシラン化合物にお
ける加水分解性基2モル当たり、水を0.1〜3モル添加
することが好ましい。水の添加量が、0.1モル未満であ
ると得られる塗料組成物による塗膜の耐汚染性が劣り、
一方3モルを越えると沈澱が発生し、安定なシラン変性
含フッ素共重合体溶液が得られない。
【0022】上記操作により得られるシラン変性含フッ
素共重合体溶液には、シラン化合物が化学的に結合しこ
れに由来する官能基を有する含フッ素共重合体、シラン
化合物の縮合物および未反応の変性用含フッ素共重合体
が混在していると推測されるが、本発明においては、こ
のような成分を総括してシラン変性含フッ素共重合体
(B)といい、また該シラン変性含フッ素共重合体にお
けるシラン化合物に由来する成分および官能基を導入シ
ラン成分と総称する。
【0023】上記のシラン変性操作においては、後記の
とおり、シラン化合物の加水分解反応すなわちシラン化
合物から加水分解性基が離脱する反応を伴うため、シラ
ン変性含フッ素共重合体(B)における導入シラン成分
の量は、変性用含フッ素共重合体に対して添加されたシ
ラン化合物の重量より減少する。シラン変性含フッ素共
重合体(B)における導入シラン成分の好ましい含有量
は、3〜60重量%であり、さらに好ましくは15〜6
0重量%である。
【0024】本発明においては、前記含フッ素共重合体
(A)およびシラン変性含フッ素共重合体(B)を特定
の割合で併用することにより、耐汚染性および耐候性の
いずれにも優れる塗料用組成物が得られるのであり、含
フッ素共重合体(A)に対するシラン変性含フッ素共重
合体(B)の重量比は1.0以下である。(A)に対する
(B)の重量比が1.0を越えると、耐候性に優れる塗料
が得られない。
【0025】本発明の組成物における上記(A)と
(B)の好ましい比率は、シラン変性含フッ素共重合体
(B)における導入シラン成分の量によって異なるが、
該共重合体(B)の合成に用いられた変性用含フッ素共
重合体と含フッ素共重合体(A)の合計量に対して、組
成物における導入シラン成分の割合が3〜20重量%の
範囲となる比率が好適であり、たとえば、導入シラン成
分の含有量が15〜60重量%であるシラン変性含フッ
素共重合体(B)を使用する場合には、含フッ素共重合
体(A)100重量部当たり、シラン変性含フッ素共重
合体(B)を20〜100重量部用いるのが好ましい。
【0026】また、本発明においては、シラン変性含フ
ッ素共重合体(B)を合成するに際して、前述のシラン
化合物とともに、トリエトキシアルミニウム、トリプロ
ポキシアルミニウム等のアルコキシアルミニウム、テト
ラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウ
ム等のアルコキシジルコニウム、テトラメトキシチタ
ン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン等
のアルコキシチタン等の加水分解性の金属アルコキシド
を併用してもよい。その好ましい使用量は、シラン化合
物の10分の1以下程度である。これらの金属アルコキ
シドは、アルコキシシランより加水分解性が高く、アル
コキシシランと併用することにより、該シランの加水分
解およびそれに引き続く縮合反応の収率が向上する。
【0027】本発明において含フッ素共重合体(A)と
ともに、シラン変性含フッ素共重合体(B)の有機溶剤
溶液に添加する多価イソシアネートとしては、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートおよ
び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙
げられる。さらに、上記多価イソシアネートの2量体お
よび3量体等の低縮合物ならびに上記多価イソシアネー
トからなるビュレットおよびウレア等も使用できる。よ
り好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリ
メチルヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロ
ンジイソシアネート等の無黄変型多価イソシアネートで
ある。好ましい使用量は、前記含フッ素共重合体(A)
の100重量部当たり、5〜25重量部である。多価イ
ソシアネートの使用量が、5重量部未満であると硬化が
不十分なため耐汚染性が向上し難く、一方25重量部を
越えると、硬化塗膜中にウレタン結合が多くなり耐候性
が低下する。さらに好ましい使用量は、8〜20重量部
である。
【0028】本発明の塗料用組成物には、シラン変性含
フッ素共重合体(B)に伴う有機溶剤が含まれるが、そ
れ以外に、含フッ素共重合体(A)の溶剤として用いら
れた有機溶剤が含まれてもよく、また溶液粘度の調整の
ために溶剤が添加されてもよい。かかる溶剤としては、
トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンおよびシクロヘキサノン等が挙げられる。
【0029】本発明のフッ素樹脂系塗料用組成物に一般
的な塗料用各種添加物を配合することにより塗料が調製
される。塗料用添加物としては、酸化チタン、酸化鉄、
カーボンブラック、キナクリドンレッド、フタロシアニ
ンブルー等の顔料、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ
ール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、ヒ
ンダードアミン系等の酸化防止剤、硬化触媒、表面調整
剤、シランカップリング剤および艶消し剤等が挙げられ
る。
【0030】
【実施例】以下に、実施例および比較例を示すことによ
り、本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例にお
いて使用されている略号の内容は、それぞれ以下のとお
りである。 CTFE:クロロトリフルオロエチレン VPr:プロピオン酸ビニル VV−9:ベオバ9〔シェル化学(株)製C9バーサテ
ィック酸ビニル〕 HEC:クロトン酸ヒドロキシエチル EVE:エチルビニルエーテル VPV:ピバリン酸ビニル HBVE:ヒドロキシブチルビニルエーテル VAc:酢酸ビニル VCp:カプロン酸ビニル EGMAE:エチレングリコールモノアリルエーテル
【0031】<実施例1>含フッ素共重合体(A)とし
て、CTFE/VPr/VV−9/HEC=45/33
/11/11(モル%)の構成を有し、数平均分子量が
12,000で重量平均分子量が40,000で(いずれも
GPCによるポリスチレン換算の平均分子量)、ガラス
転移温度が35℃の重合体(以下重合体A−1という)
を使用し、シラン変性含フッ素共重合体(B)として
は、以下の方法で得られた重合体を用いた。
【0032】すなわち、構成がCTFE/VPr/HE
C=50/32/18(モル%)であって、数平均分子
量;6,000,重量平均分子量;17,000で、ガラス
転移温度が35℃の重合体を変性用重合体として用い、
変性用重合体25gをキシレンとブチルセロソルブの混
合溶媒(キシレン42g+ブチルセロソルブ18g)に
溶解し、得られた溶液をフラスコに仕込み、窒素気流中
で70℃に加熱した。フラスコ内を攪拌しながら、テト
ラエトキシシラン13g、メチルトリエトキシシラン1
0gおよびp−トルエンスルホン酸0.01gを滴下し
た。さらに、水3.9gとブチルセロソルブ3gの混合液
をゆっくり滴下し、その後3時間攪拌を継続し、反応を
終了させた。上記操作により、固形分濃度が33重量%
のシラン変性含フッ素共重合体(以下重合体B−1とい
う))の透明な溶液を得た。この固形分の内容は、含フ
ッ素共重合体22重量%(仕込みの変性用重合体量)お
よび導入シラン成分11重量%(固形分の測定値から仕
込みの変性用重合体量を差し引いたもの)であった。
【0033】上記重合体A−1の60%キシレン溶液8
0g、酸化チタン〔石原産業(株)製CR−97〕30
g、潤滑剤(BYK社製,Disperbyk−10
1)0.6g、キシレン45gおよびガラスビーズ80g
をガラス瓶に入れ、ペイントシェイカーで1時間分散混
合させた。その後、ガラスビーズのみを分離して、酸化
チタン分散液(以下MB−1という)を製造した。
【0034】上記酸化チタン分散液および重合体B−1
溶液を用い、以下の配合により塗料を製造した。 酸化チタン分散液(MB−1) ────30 g (重合体A−1の濃度;31重量%) 重合体B−1溶液 ──── 4.5g ヘキサメチレンジイソシアネート ──── 2 g 〔日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHX〕 ジブチル錫ジラウレートの0.1%溶液 ──── 0.4g キシレン ──── 4 g 得られた塗料における樹脂分の配合割合は、含フッ素共
重合体の合計量100重量部当たり、導入シラン成分5
重量部および多価イソシアネート20重量部である。
【0035】本塗料について耐汚染性の評価を、以下の
方法によって行った。本塗料を#50バーコーターによ
り、クロメート化成処理のA4サイズのアルミ板に塗装
して、23℃,50%RHで1週間養生した。色差計で
初期L値を測定した後、名古屋市南部工業地帯のばい
煙、粉塵の多い場所において南面45度の角度で、6月
〜12月までの7ケ月間屋外曝露した。曝露終了後、再
びL値を測定し、初期L値との差(ΔL)を求めた(Δ
Lの絶対値の小さいものほど耐汚染性が良好である)。
上記塗料について得られたΔL値は、−3.5であっ
た。
【0036】<実施例2>シラン変性含フッ素共重合体
(B)として、以下の方法で得られた重合体溶液を用い
た。すなわち、構成がCTFE/VAc/VCp/EG
MAE=45/10/30/15(モル%)であって、
数平均分子量;9,000,重量平均分子量;28,000
で、ガラス転移温度が30℃の重合体を変性用重合体と
して用い、変性用重合体21gをキシレンとイソプロピ
ルアルコールの混合溶媒(キシレン42g+イソプロピ
ルアルコール12g)に溶解した溶液をフラスコに仕込
み、窒素気流中で70℃に加熱した。次いで、フラスコ
内を攪拌しながら、次の化合物を滴下した。
【0037】 テトラエトキシシランの縮合物 6.2 g 〔平均縮合度;5,多摩化学(株)製ES−40〕 メチルトリエトキシシラン 1.9 g フェニルトリエトキシシラン 0.9 g テトラブトキシジルコニウム 0.5 g p−トルエンスルホン酸 0.002g
【0038】次いで、水1.3gとイソプロピルアルコー
ル6gの混合液をゆっくり滴下し、その後4時間攪拌を
継続し、反応を終了させた。上記操作により、固形分濃
度が30重量%のシラン変性含フッ素共重合体(以下重
合体B−2という))の透明な溶液を得た。この固形分
濃度30重量%の内訳は、含フッ素共重合体23重量%
で、導入シラン成分7重量%であった。
【0039】実施例1で使用した酸化チタン分散液(M
B−1)および上記重合体B−2の溶液を用い、以下の
配合により塗料を製造した。 酸化チタン分散液(MB−1) ────30 g (重合体A−1の濃度;31重量%) 重合体B−2溶液 ────15 g ヘキサメチレンジイソシアネート ──── 2 g 〔日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHX〕 ジブチル錫ジラウレートの0.1%溶液 ──── 0.4g 得られた塗料における樹脂分の配合割合は、含フッ素共
重合体の合計量100重量部当たり、導入シラン成分8.
3重量部および多価イソシアネート15.8重量部であ
る。上記塗料から得られた塗膜について耐汚染性を測定
した結果は、ΔL=−1.2であった。
【0040】<実施例3>含フッ素共重合体(A)とし
て、CTFE/EVE/VPV/HBVE=48/30
/12/10(モル%)の構成を有し、数平均分子量が
15,000で重量平均分子量が50,000で、ガラス転
移温度が30℃の重合体(以下重合体A−2という)を
使用した。上記重合体A−2を用いて、実施例1と同様
にして酸化チタン分散液(以下MB−2という)を製造
した。
【0041】上記MB−2および実施例1で使用した重
合体B−1の溶液を用い、以下の配合により塗料を製造
した。 酸化チタン分散液(MB−2) ────30 g (重合体A−2の濃度;31重量%) 重合体B−1溶液 ────13 g ヘキサメチレンジイソシアネート ──── 2 g 〔旭化成工業(株)製デュラネートTPA-100 〕 ジブチル錫ジラウレートの0.1%溶液 ──── 0.4g キシレン ──── 2 g 得られた塗料における樹脂分の配合割合は、含フッ素共
重合体の合計量100重量部当たり、導入シラン成分1
2.1重量部および多価イソシアネート16.6重量部であ
る。上記塗料から得られた塗膜について耐汚染性を測定
した結果は、ΔL=−2.2であった。
【0042】<比較例1>シラン変性含フッ素共重合体
(B)を使用せずに、下記材料を均一に混合し、塗料を
調製した。 酸化チタン分散液(MB−1) ────30 g ヘキサメチレンジイソシアネート ──── 1.8g 〔日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHX〕 ジブチル錫ジラウレートの0.1%溶液 ──── 0.4g キシレン ──── 5 g 上記塗料について耐汚染性を測定した結果は、ΔL=−
12であった。
【0043】<比較例2>実施例1におけるシラン変性
含フッ素共重合体(B)の製造において、含フッ素共重
合体とシラン化合物を混合した後に、水を添加せずに、
シラン化合物を含む含フッ素共重合体溶液を得た。上記
含フッ素共重合体溶液と酸化チタン分散液(MB−1)
を使用して、実施例1と同様な方法により塗料を製造し
た。得られた塗料の耐汚染性の測定結果は、ΔL=−1
1であった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素樹脂系塗料に固
有の高耐候性を維持しながら、耐汚染性に極めて優れる
常温硬化型フッ素樹脂系塗料が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 犬飼 宏 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東亞合成化学工業株式会社 名古屋総合 研究所内 審査官 大久保 元浩 (56)参考文献 特開 平5−1197(JP,A) 特開 昭63−89559(JP,A) 特開 平3−281611(JP,A) 特開 昭63−117073(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 175/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基含有単量体単位を10〜20モル
    %含む溶剤可溶性の含フッ素共重合体の有機溶剤溶液
    に、該含フッ素共重合体の100重量部当たり、加水分
    解性基を2個以上有するシラン化合物またはその低縮合
    物を5〜100重量部の割合で添加し、次いで水を添加
    して得られるシラン変性含フッ素共重合体(B)の有機
    溶剤溶液に、水酸基含有単量体単位を3〜20モル%含
    む溶剤可溶性の含フッ素共重合体(A)と多価イソシア
    ネートとを溶解してなり、前記含フッ素共重合体(A)
    に対するシラン変性含フッ素共重合体(B)の重量比が
    1.0以下である常温硬化型塗料用組成物。
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