JP3104245B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は固体電解コンデンサに関し、特にチップ型固
体電解コンデンサの陽極構造に関する。
〔従来の技術〕
従来、この種の固体電解コンデンサは一般的に第5図
のように陽極引出し線15が、多孔質焼結体に埋設された
構造を有し、その他に溶接などの手段により多孔質金属
体に接続された構造となっていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来の固体電解コンデンサは、コンデンサ素
子より突出した陽極引出し線がコンデンサ素子に埋設も
しくは固定されているので、陽極引出し線に加わる外力
がコンデンサ素子内部に大きな応力をかけやすく、この
応力により酸化被膜が損傷し、コンデンサ漏れ電流の増
加、または短絡故障が起こりやすく、これを解決するこ
とが課題であった。
また、陽極引出し線がコンデンサ素子より突出してい
るため、陽極構造のための空間が必要となり、コンデン
サの体積効率が悪くなるため陽極構造を変更してコンデ
ンサの体積効率をよくすることが課題であった。
本発明の目的は、従来の陽極引出し線に加わる外力が
コンデンサ素子内部に大きな応力をかけることによる漏
れ電力増加や短絡故障の発生を低減でき、かつ陽極引出
し線のコンデンサ素子からの突出をなくすことができ、
体積効率を高めることができる固体電解コンデンサを提
供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、弁作用金属の粉末をプレス成型して形成し
た多孔質金属体を焼結して得られた多孔質焼結体に、酸
化被膜を生成し、該酸化被膜上に半導体層等を形成した
後陽極端子と陰極端子を接続して樹脂外装して製造され
た固体電解コンデンサにおいて、前記多孔質焼結体が前
記弁作用金属粉末を金属片とともにプレス成型して前記
多孔質金属体の表面の一部に前記金属片を圧着した後焼
結されて形成され、その表面の一部に表面に沿って接合
された前記金属片を有することを特徴として構成され
る。
〔実施例〕
次に本発明について図面を参照して説明する。第1図
は本発明の一実施例のチップタンタル固体電解コンデン
サの断面図である。陽極はんだ端子6は下地めっき層
5、陽極板4を通してコンデンサ素子1の陽極である多
孔質焼結体と電気的に接続しており、陽極外部端子とし
ての機能を持っている。また陰極はんだ端子7は陰極層
3、カーボン層2を通してコンデンサ素子1の陰極であ
る二酸化マンガンと電気的に接続しており、陰極外部端
子としての機能をもっている。
以下に製造工程を順を追って説明する。第2図
(a),(b)は本実施例の製造工程におけるチップタ
ンタル固体電解コンデンサの断面図である。弁作用金属
であるタンタルの粉末と共にタンタルの箔(厚さ100μ
m)をプレス成型することにより、表面の一部にタンタ
ル箔が圧着された1.5×2.3×2.4mm3の多孔質金属体を成
型した。前記の多孔質金属体を真空中にて1600℃前後で
焼結し、多孔質焼結体9と、これに接合した陽極板4を
得る。
次に陽極板4の表面にタンタルから成る酸化被膜形成
用陽極リード10を導電性接着剤14を用いて接続し、さら
に接続部分を中心に絶縁性樹脂11を塗布し、熱硬化さ
せ、陽極板4の表面の一部分を封止する(第2図a)。
本実施例では、導電性着剤14には、銀粉にバインダーと
して芳香族ポリエーテルアミドを加えたもの、絶縁性樹
脂11には、芳香族ポリエーテルアミドのみを用いてい
る。絶縁性樹脂は、導電性接着剤14の表面を封止するこ
と、及び酸化被膜形成用陽極リード10と多孔質焼結体9
の固着強度を増すことを目的に用いられる。導電性接着
剤および絶縁性樹脂に用いる芳香族ポリエーテルアミド
は180℃30分程度で熱硬化する。導電性接着剤14および
絶縁性樹脂11は本実施例の用途に耐えるものであれば、
上記の物質以外でも使用可能である。多孔質焼結体9お
よびこれに接合した陽極板4をリン酸水溶液中で酸化被
膜形成用陽極リード10を通して電圧を印加し、電気化学
的な処理により、表面に酸化被膜を形成する。この際、
絶縁性樹脂11にて封止された陽極板4の表面上には酸化
被膜は形成されない。次いで、多孔質焼結体9に陰極と
なる二酸化マンガン層を形成しコンデンサ素子1を得
る。
コンデンサ素子1の表面に、カーボン層2,陰極層3を
形成し、コンデンサ素子1の両端をマスキングした状態
での粉体静電塗装により外装樹脂8を形成する。次い
で、ジエチレングリコールジメチルエーテルを溶剤に用
いて導電性接着剤14と絶縁性樹脂11を溶解させ、陽極板
4の表面から酸化被膜形成用陽極リード10を除去する
(第2図b)。陽極板4の表面は、酸化被膜に覆われて
いないタンタル金属面が露出している。タンタルの多孔
質金属体および陽極板4は、その表面のうち前記のタン
タル金属面を除いてすべて酸化被膜で覆われており、陰
極である二酸化マンガンから絶縁されている。
前記のタンタル金属面上に、はんだ濡れ性をよくする
ために下地めっき層5を形成する。また、陽極はんだ端
子6,陰極はんだ端子7を形成するために外装樹脂8の一
部分に、メッキ触媒付与剤を塗布する。メッキ触媒付与
剤を塗布することで、元来はんだが付着しない外装樹脂
8の表面に、はんだを付着させることが可能となる。次
いで、全体を溶融したはんだに浸せきし、陽極はんだ端
子6および陰極はんだ端子7を形成し、完成品を得るこ
とができた。
第3図は本発明の他の実施例の断面図である。この実
施例では、陽極板4,下地めっき層5及び陽極はんだ端子
6の位置が陰極はんだ端子7とコンデンサの同一面上に
あるため、ワイヤボンディングを含む様々な表面実装技
術に対応ができる。本実施例では陽極構造,陰極構造の
素子上の位置関係が第1の実施例と異なるだけで、製造
工程は第1の実施例と同じである。なお本発明では陽極
はんだ端子6及陰極はんだ端子7は、コンデンサ表面の
任意の位置に形成することが可能である。
第4図は本発明の第3の実施例の断面図である。陽極
外部端子12は導電性接着剤14により、下地めっき層5を
通して陽極板4に電気的に接続されている。陰極外部端
子13は導電性接着剤14により陰極層3に電気的に接続さ
れている。本実施例の製造工程は陰極層3の形成までは
第1の実施例と同じであるが、陽極板4に陽極外部端子
12を、陰極層3に陰極外部端子13をそれぞれ導電性接着
剤14で接着し、外装樹脂8を形成した後陽極外部端子1
2,陰極外部端子13を外装樹脂8の表面に沿うように成形
するという工程をたどる。本実施例では、陽極外部端子
12に加わった外力が導電性接着剤14を通して陽極板4に
分散されるため、コンデンサ素子1に過大な応力がかか
らず、酸化被膜が損傷しにくいため、主に実装時におい
て、陽極外部端子12および陰極外部端子13に加わる外力
による漏れ電流の増加や短絡故障の発生が低減できる利
点がある。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明はコンデンサ素子からの陽
極引出しに陽極板を用いることにより、漏れ電流の増加
や短絡故障へ発生を低減でき、かつ従来の固体電解コン
デンサにあった陽極引出し線のコンデンサ素子からの突
出がなくなり、固体電解コンデンサの体積効率が高まる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図(a),
(b)は第1図の実施例の製造工程を説明するための断
面図、第3図は本発明の他の実施例の断面図、第4図は
本発明の第3の実施例の断面図、第5図は従来の固体電
解コンデンサの一例の断面図である。 1……コンデンサ素子、2……カーボン層、3……陰極
層、4……陽極板、5……地下めっき層、6……陽極は
んだ端子、7……陰極はんだ端子、8……外装樹脂、9
……多孔質焼結体、10……酸化被膜形成用陽極リード、
11……絶縁性樹脂、12……陽極外部端子、13……陰極外
部端子、14……導電性接着剤、15……陽極引出し線。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁作用金属の粉末をプレス成型して形成し
    た多孔質金属体を焼結して得られた多孔質焼結体に、酸
    化被膜を生成し、該酸化被膜上に半導体層等を形成した
    後陽極端子と陰極端子を接続して樹脂外装して製造され
    た固体電解コンデンサにおいて、前記多孔質焼結体が前
    記弁作用金属粉末を金属片とともにプレス成型して前記
    多孔質金属体の表面の一部に前記金属片を圧着した後焼
    結されて形成され、その表面の一部に表面に沿って接合
    された前記金属片を有することを特徴とする固体電解コ
    ンデンサ。
  2. 【請求項2】前記金属片が弁作用金属であることを特徴
    とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】前記金属片が弁作用金属の箔であることを
    特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】前記金属片を陽極板として、これに陽極端
    子が接続されると共に前記陽極端子と同一面に陰極端子
    が形成されたことを特徴とする請求項1記載の固体電解
    コンデンサ。
  5. 【請求項5】陽極外部端子が前記金属片に導電性接着剤
    により接続されていることを特徴とする請求項1記載の
    固体電解コンデンサ。
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