JP3100613B2 - シリコーン水性エマルジョン組成物 - Google Patents

シリコーン水性エマルジョン組成物

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JP3100613B2
JP3100613B2 JP02229816A JP22981690A JP3100613B2 JP 3100613 B2 JP3100613 B2 JP 3100613B2 JP 02229816 A JP02229816 A JP 02229816A JP 22981690 A JP22981690 A JP 22981690A JP 3100613 B2 JP3100613 B2 JP 3100613B2
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誠 松本
純一郎 渡辺
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ジーイー東芝シリコーン株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、シリコーン水性エマルジョン組成物に関す
る。
(従来の技術) 近年、シリコーン粒状物を各種有機樹脂の内部応力緩
和や耐衝撃強さ改善のための改質添加剤として用いるこ
とが試みられてきている。
従来、この種のシリコーン粒状物の製造方法として
は、シリコーンゴムをそのままかもしくは凍結させた後
粉砕して粉末化する方法が用いられてきたが、生産性に
乏しい、粒径が大きくかつ不均一である、形状が不定形
で分散性に乏しい、潤滑性が不良であるなどの問題があ
った。
そこで、この問題を改善するため、様々な方法が提案
されている。
たとえば、特開昭59−68333号公報および特開昭63−1
7959号公報には液状シリコーンゴム組成物を熱風中に噴
霧し噴霧状態で硬化させて球状硬化物を得る方法が、ま
た、特開昭62−243621号公報、特開昭62−257939号公
報、特開昭63−77942号公報および特開昭63−202658号
公報には液状シリコーンゴム組成物を水を媒体としたエ
マルジョンまたはサスペンジョンとした後、高温の液体
または気体と接触させて硬化させ球状粒子を得る方法が
開示されている。
しかしながら以上の方法で得られた粒状物は、各種シ
リカ、ヒュームド酸化チタンのような補強性充填剤が配
合されていないため機械的強度に乏しく、有機樹脂改質
用添加剤として用いた場合、外部からの応力の付加によ
って形状が変化し、さらに粒状物自体が破壊するという
難点がある。しかもこの対策として、液状シリコーンゴ
ム組成物に補強性充填剤を配合しようとすると流動性が
失われるうえ、充填剤がもつ凝集性により得られる粒状
物の粒径が大きく形状も不定形になるという問題を生ず
る。
(発明が解決しようとする課題) このように、従来より、シリコーン粒状物を製造する
方法として種々提案されているが、機械的強度に優れ、
しかも粒径が小さく形状も均一で分散性に優れたシリコ
ーン粒状物を得る方法が未だ開発されていないのが現状
である。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされた
もので、機械的強度に優れ、しかも粒径が小さく形状も
均一で分散性に優れたシリコーン粒状物の製造を可能と
するシリコーン水性エマルジョン組成物を提供すること
を目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明のシリコーン組成物は、 (A)(a)コロイダルシリカのコア80〜 5重量% (b)平均組成式 R1 aSiO(4−a)/2 …(I) (式中、R1は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の
有機基、aは1.02〜2.02の数を示す) で表される分子末端が水酸基で封鎖されたポリオルガノ
シロキサンのシェル20〜95重量%からなるコロイダルシ
リカ−シリコーンコアシェル体 100重量部、 (B)硬化触媒 0〜 5重量部、 (C)乳化剤 1〜20重量部、 および (D)水 50〜1000重量部 を組成分として成ることを特徴とする。
本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組成物は、
次のようにして製造し得る。
すなわち、 (A)(a)コロイダルシリカと、 (b−1) 一般式 R2 nSiO4−n/2 …(II) (式中、R2は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の
有機基を、nは0〜3の整数を示す)で表される構造単
位を有し、かつ水酸基を含有しないケイ素原子数2〜10
のオルガノシロキサンおよび必要に応じて、 (b−2)アルコキシ基を1〜4個有するシラン化合物
を、水性媒体中、乳化剤の存在下に重縮合させることに
よって、コロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体水
性エマルジョンを調製し、次いで、(B)の硬化触媒を
添加することによって得られる。
(作用) 本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組成物は、
コロイダルシリカのコアをシリコーンのシェルがシロキ
サン結合を介して覆ったコアシェル体を主成分としてい
るので、コロイダルシリカの補強性を十分に、かつ効果
的に引出すことが可能となり、これを室温でまたは加熱
して水分など揮発物を蒸発させることによって、機械的
強度に優れたエラストマー硬化物が得られる。そして、
本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組成物を25℃
以上の熱媒体に分散接触させてシリコーンを微粒子状に
硬化させることによって、機械的強度に優れ、しかも粒
径が小さく形状も均一で分散性に優れたシリコーン粒状
物を得ることができる。
(実施例) まず、本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組成
物を成す組成分について説明する。
本発明において使用する(A)成分のコロイダルシリ
カ−シリコーンコアシェル体は、水が除去された後エラ
ストマー硬化物を形成する成分であり、(a)成分の一
つのコロイダルシリカ粒子を、(b)成分のポリオルガ
ノシロキサンが覆ったものである。より単純な系のもの
でさらに詳しくいえば、このコアシェル体とは、1)ポ
リオルガノシロキサンの両末端がシリカ表面とシロキサ
ン結合を介して結合したもの、2)ポリオルガノシロキ
サンの片末端がシリカ表面とシロキサン結合を介して結
合し、他の末端が水酸基で封鎖されたもの、3)ポリオ
ルガノシロキサンの両末端が水酸基で封鎖され、シリカ
表面とのシロキサン結合を持たないものの3種類の形態
で構成されたものである。そして、3、4官能性アルコ
キシシランやチェーンストッパーの併用により、これら
形態の種類は増加し、複雑なものとなる。
(A)成分のコロイダルシリカ−シリコーンコアシェ
ル体中の(b)成分のポリオルガノシロキサンシェル部
は20〜95重量%の範囲で選択される。20重量%未満では
弾性率などが大きく低下して、エラストマー的特性に欠
ける硬化物が得られる。一方、95重量%を超えるとコロ
イダルシリカの補強性をポリオルガノシロキサンに十分
に付与するには至らず、力学的特性に欠けるエラストマ
ー硬化物となる。
また、(A)成分のコアシェル体中の(b)成分であ
るポリオルガノシロキサンシェルのケイ素原子上に結合
する有機基は、炭素数1〜8の置換または非置換の1価
の炭化水素基である。
非置換有機基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシ
ル基、オクタデシル基などの直鎖または分岐状アルキル
基、フェニル基、ナフチル基、キセニル基などのアリー
ル基、ベンジル基、β−フェニルエチル基、メチルベン
ジル基、ナフチルメチル基などのアラルキル基およひシ
クロヘキシル基、シクロベンジル基などのシクロアルキ
ル基などが例示される。
置換有機基としては、前記例示した非置換有機基の水
素原子をフッ素や塩素のようなハロゲン原子で置換した
基が挙げられ、そのようなものとして、3,3,3−トリフ
ルオロプロピル基、3−フロロプロピル基などが例示さ
れる。
(A)(b)成分における別の1価の有機基として、
炭素官能性基と、エチレン性不飽和基を含む基が挙げら
れ、このような有機基を含む(A)成分を用いたエマル
ジョン組成物は、繊維などの基材に塗布したときに接着
性(密着ないし固着)に優れ有利であり、またこのよう
なエマルジョン組成物より得られるシリコーン粒状物
は、各種有機樹脂、ゴム等との相溶性に優れ、界面接着
性も良好であるので、物理特性改質剤として有利であ
る。
ここでいう炭素官能性基とは、炭素原子と水素原子
と、さらに窒素および酸素のうち少なくとも1種の原子
とによって構成される有機基をいい、たとえば、 −CH2−CH2−CH2−NH2、 −CH2−CH2−CH2−NH−CH2−CH2−NH2、 −CH2−CH2−CH2−NH−CH2−CH2−NH−CH2−CH2−N
H2 などが挙げられる。
また、エチレン性不飽和基としては、一般式 CH2=CH−O−(CH2− …(III) で表されるものが挙げられる。その他、エチレン性不飽
和基を含む基として、一般式 CH2=CH−(CH2− …(VI) で表されるものが挙げられる。ただし上記(III)〜(V
I)式中nは0〜10の整数を示す。
上記(III)式で表されるエチレン性不飽和を含む基
を例示すると、ビニロキシプロピル基、ビニロキシエト
キシプロピル基、ビニロキシエチル基、ビニロキシエト
キシエチル基などが挙げられ、好ましくはビニロキシプ
ロピル基、ビニロキシエトキシプロピル基である。
エチレン性不飽和基が上記(IV)式で表される場合、
R3は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、好まし
くは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、さらに
好ましくは水素原子またはメチル基である。このような
(IV)式で表される基としては、ビニルフェニル基、イ
ソプロペニルフェニル基等があげられ、好ましくはビニ
ルフェニル基である。またこれら(IV)式で表されるエ
チレン性不飽和基を含む基としては、ビニルフェニル
基、1−(ビニルフェニル)エチル基、2−(ビニルフ
ェニル)エチル基、(ビニルフェニル)メチル基、イソ
プロペニルフェニル基、2−(ビニルフェノキシ)エチ
ル基、3−(ビニルベンゾイルオキシ)プロピル基、3
−(イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピル基など
が挙げられ、好ましくはビニルフェニル基、1−(ビニ
ルフェニル)エチル基、2−(ビニルフェニル)エチル
基である。
エチレン性不飽和基が上記(V)式で表される場合、
R4は水素原子またはメチル基である。またR5は炭素数1
〜6のアルキレン基、−O−、−S−または−N(R6
R7−で表される基であり、R6は炭素数1〜6の炭化水素
基もしくは(メタ)アクリロイル基、R7は炭素数1〜6
のアルキレン基である。この(V)式で表されるエチレ
ン性不飽和基を含む基としては、γ−アクリロキシプロ
ピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、N−メタクリ
ロイル−N−メチル−γ−アミノプロピル基、N−アク
リロイル−N−メチル−γ−アミノプロピル基、N,N−
ビス(メタクリロイル)−γ−アミノプロピル基などが
挙げられ、好ましくはN−メタクリロイル−N−メチル
−γ−アミノプロピル基、N−アクリロイル−N−メチ
ル−γ−アミノプロピル基である。
また上記(VI)式で表されるエチレン性不飽和基を含
む基としては、ビニル基、アリル基、ホモアリル基、5
−ヘキセニル基、7−オクテニル基などが挙げられ、好
ましくはビニル基、アリル基である。
かかる炭素官能性基およびエチレン性不飽和基を含む
基は、(I)式の平均組成式 R1 aSiO(4−a)/2 のR1の総量に対して、通常0.02〜10%、好ましくは0.05
〜5%の範囲内である。0.02%未満では、繊維などの基
材に塗布したときの接着性(密着ないし固着)の改善効
果が小さく、またシリコーン微粉末を製造した場合、各
種有機樹脂、ゴム等に対する分散性および相溶性、さら
には界面接着性の改善効果が小さく、逆に10%を越える
と最終硬化物が硬くなりすぎるおそれがあり、たとえば
シリコーン微粉末を応力緩和剤として使用した場合にそ
の働きが不十分になる。
(B)成分の硬化触媒は、シリコーン水性エマルジョ
ン組成物を速やかに硬化させるためのものであって、ア
ルキルスズ有機酸塩、亜鉛有機酸塩などの金属有機酸
塩、テトラブトキシチタンなどの有機金属アルコラー
ト、n−ブチルアミン、イミダゾールなどのアミン類な
どが例示される。本発明においては、アルキルスズ有機
酸塩が好ましく、特にジブチルスズジラウレート、ジオ
クチルスズジラウレートなどのジアルキルスズジカルボ
キシレートが適する。
(B)成分の硬化触媒の配合量は、(A)成分のコロ
イダルシリカ−シリコーンコアシェル体100重量部に対
し、通常0.1〜5重量部である。配合量が0.1重量部未満
では硬化速度が遅くかつ、硬化物の強度が低い。ただ
し、コロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体を調製
するときに、3または4官能のアルコキシシランを用い
た場合、前記硬化触媒を配合しなくとも所望のエラスト
マー(硬化物)が得られる。一方、5重量部を超えると
組成物が短時間に粘度上昇やゲル化を起し易く不安定な
状態を呈する。
(C)成分の乳化剤は、コロイダルシリカ−シリコー
ンコアシェル体を水中において安定に存在させる役割
と、このコアシェル体を形成させる際の重縮合触媒とし
ての役割をなすものであり、アニオン系乳化剤あるいは
カチオン系乳化剤である。
このアニオン系乳化剤としては、脂肪族置換基が炭素
原子6〜18の長さの炭素連鎖を有する脂肪族置換ベンゼ
ンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸、脂肪
族スルホン酸、シリルアルキルスルホン酸、脂肪族置換
ジフェニルエーテルスルホン酸などの有機スルホン酸系
乳化剤が挙げられ、なかでも脂肪族置換ベンゼンスルホ
ン酸がより好ましい。ただし、コロイダルシリカ−シリ
コーンコアシェル体エマルジョン調製時においては、こ
れらスルホン酸の状態で使用するが、後にアルカリで中
和するので、本発明の組成物ではスルホン酸塩の形で存
在する。
一方、カチオン系乳化剤としては、たとえばオクタデ
シルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルト
リメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチ
ルアンモニウム塩、たとえばジオクタデシルジメチルア
ンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニ
ウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリ
ドなどのジアルキルジメチルアンモニウム塩、たとえば
オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、
ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドな
どの塩化ベンザルコニウムなど第4級アンモニウム塩型
乳化剤が挙げられる。
(C)成分の乳化剤の配合割合は、(A)成分のコロ
イダルシリカ−シリコーンコアシェル体100重量部に対
して通常1〜20重量部である。配合量が1重量部未満で
は安定なミセル形成が困難であり、20重量部を超えると
エマルジョン粘度が上昇し、いずれも不安定なエマルジ
ョンとなる。
また必要に応じて、(C)成分としてノニオン系乳化
剤を併用してもよい。このノニオン系乳化剤としては、
たとえばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレン(以下POEと略す)アル
キルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリ
セリン脂肪酸エステル、POEアルキルフェノールエーテ
ル、POEポリオキシプロピレンブロック共重合体などが
挙げられる。
また、(D)成分の水の配合量は(A)成分のコアシ
ェル体100重量部に対して、通常50〜1000重量部の範囲
である。(D)成分が50重量部未満または1000重量部を
超えると乳化状態が悪く、エマルジョンが不安定にな
る。
次に、本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組成
物の製造方法について説明する。
本発明のシリコーン水性エマルジョン組成物は、
(A)(a)成分のコロイダルシリカと(A)(b−
1)成分のオルガノシロキサン、さらに必要に応じて
(A)(b−2)成分のアルコキシシランとを、水性媒
体中、有効量の乳化剤、または乳化剤混合物の存在下に
重縮合させることによってコロイダルシリカ−シリコー
ンコアシェル体エマルジョンを調製し、次いで(B)成
分の硬化触媒を添加することを骨子としている。
本発明に使用される(A)(a)成分のコロイダルシ
リカとは、SiO2を基本単位とする水中分散体を指称する
ものであって、本発明においては4〜400nm、特に好ま
しくは30〜150nmなる平均粒子径を持ったものが適す
る。このようなコロイダルシリカとしては、酸性側とア
ルカリ性側との双方のものがあるが、条件に応じて適宜
選択する。たとえばアニオン系乳化剤を用いた酸性条件
下での乳化重合を行う場合には、酸性コロイダルシリカ
の使用が好ましい。
本発明に使用される(A)(b−1)成分のオルガノ
シロキサンは、上記の(II)式で表される構造単位を有
し、かつ水酸基を含有しないケイ素数1〜10のものであ
り、この構造は直鎖状、分岐状または環状など特に限定
はないが、環状構造をもつものが好ましい。
ここで、ケイ素原子数10を超えると、乳化重合を行う
際、シロキサンミセル中にコロイダルシリカ粒子を取込
みにくいため、コアシェル体の形成に参加できないもの
が生じ、結果として目的のコアシェル体の他、フリーな
状態のコロイダルシリカおよびポリオルガノシロキサン
ミセルが共存したエマルジョンとなる。また、水酸基含
有シロキサンでは、初期乳化時に重縮合反応が起きてケ
イ素原子数10を超えるシロキサンとなり、上記問題点が
生じるので使用は好ましくない。
(A)(b−1)成分のオルガノシロキサンが有する
置換または非置換の1価の有機基としては、上記コロイ
ダルシリカ−シリコーンコアシェル体中のポリオルガノ
シロキサンシェルにおけるものと同様な有機基が挙げら
れる。
上記(A)(b−1)成分のオルガノシロキサンとし
ては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシ
ロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフ
ェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラベン
ジルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−ト
リス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシク
ロトリシロキサンなどの環状化合物が例示される。
なお、上記例示した環状化合物のほか、直鎖状あるい
は分岐状のオルガノシロキサンを用いてもよい。ただ
し、直鎖状あるいは分岐状のシロキサンの場合、分子末
端は水酸基以外の有機基、たとえばアルコキシ基、トリ
メチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェ
ニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、3,3,
3−トリフルオロプロピルジメチルシリル基などで封鎖
されているものが好ましい。
また、必要に応じて使用する(A)(b−2)成分の
アルコキシシランは、シェル部を形成する一成分となる
ものであるが、コロイダルシリカのコアとオルガノシロ
キサンのシェルとの界面結合を仲介するものとしても有
効である。
このようなアルコキシ基を1〜4個有する有機シラン
化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニ
ルトリブトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキ
シ)シラン、γ−メタクリロキシエチルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、
γ−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−アク
リロキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシエチルト
リメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニル
エトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチ
ルビニルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テ
トラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ
ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチ
ルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラ
ン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシ
シラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプ
ロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメ
チルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、
ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシ
シラン、メチルエチルトリメトキシシラン、メチルプロ
ピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジメトキシシランなどや、フルオロアルキルアルコキシ
シランなどのふっ化アルコキシシランなどがある。
そして、上述したような(A)(b−1)成分のオル
ガノシロキサンおよび(A)(b−2)成分のアルコキ
シシランは、本発明に係る組成物中のコロイダルシリカ
−シリコーンコアシェル体におけるポリオルガノシロキ
サンシェル部が20〜95重量%となり、しかも(I)式の
平均組成式 R1 aSiO(4−a)/2 (式中R1は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の有
機基、aは1.02〜2.02の数)を満たすものになるように
配合される。
なお、(A)(b−2)成分としてアルコキシ基と炭
素官能性基またはエチレン性不飽和基を含む基を併せ持
つものを配合した場合、本発明にかかる組成物から形成
されるエラストマー硬化物の繊維などの基材に対する接
着性(密着ないし固着)を向上させ、またシリコーン粒
状物では各種有機樹脂、ゴムなどに対する相溶性、界面
接着性を向上させることができて有利である。ただしそ
の配合量は、前記(I)式の平均組成式のケイ素原子に
結合した有機基の総量に対して0.02〜10%、より好まし
くは0.05〜5%となるように配合することが望ましい。
炭素官能性基とアルコキシ基を併せ持つ有機ケイ素化
合物としては、3−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル
トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ジエチレ
ントリアミンプロピルメチルジメトキシシラン、3−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3,4−エ
ポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げ
ることができる。
一方、エチレン性不飽和基を含む基とアルコキシ基を
併せ持つ有機ケイ素化合物としては、(ビニロキシプロ
ピル)メチルジメトキシシラン、(ビニロキシエトキシ
プロピル)メチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニ
ルメチルジメトキシシラン、1−(m−ビニルフェニ
ル)メチルジメチルイソプロポキシシラン、2−(p−
ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−
(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキ
シシラン、1−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジ
メトキシシラン、1−(o−ビニルフェニル)−1,1,2
−トリメチル2,2−ジメトキシジシラン、1−(p−ビ
ニルフェニル)−1,1−ジフェニル−3−エチル−3,3−
ジエトキシジシロキサン、m−ビニルフェニル[3−
(トリエトキシシリル)プロピル]ジフェニルシラン、
[3−(p−イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピ
ル]フェニルジプロポキシシラン、γ−アクリロキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、N−メタクリロイル−N−
メチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−アクリロイル−N−メチル−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、N,N−ビス(メタクリロイル)
−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−
ビス(アクリロイル)−γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−メタクリロイル−N−メチル−γ−
アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、1−(3−
メタクリロキシプロピル)−1,1,3−トリメチル−3,3−
ジメトキシジシロキサン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルエチルジイソプロポキシシラン、ビニルジメ
チルエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、
5−ヘキセニルメチルジエトキシシラン、7−オクテニ
ルエチルジエトキシシランなどのシラン化合物およびこ
れを加水分解したシロキサン化合物が挙げられ、これら
を単独または2種以上の混合物として用いる。
なお、上述した有機ケイ素化合物として好ましいもの
は、(ビニロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、
(ビニロキシエトキシプロピル)メチルジメトキシシラ
ン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−
(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラ
ン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチル
ジメトキシシラン、1−(p−ビニルフェニル)エチル
メチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、N−メタクリロイル−N−メ
チル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N
−アクリロイル−N−メチル−γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、
アリルメチルジメトキシシランであり、さらに好ましく
は、(ビニロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、N−メタ
クリロイル−N−メチル−γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどの
シラン化合物およびこれを加水分解したシロキサン化合
物である。
上記したように、本発明に係るシリコーン水性エマル
ジョン組成物は、上記(A)(a)成分のコロイダルシ
リカと、(A)(b−1)成分のオルガノシロキサンと
必要に応じて(A)(b−2)成分のアルコキシシラン
とを、水性媒体中、乳化剤の存在下にホモジナイザーな
どを用いてせん断混合し、重縮合させることによってコ
ロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体を調製し、次
いで(B)成分の硬化触媒を添加することによって製造
できる。
この乳化剤は主に(A)(b−1)成分を乳化させる
ための界面活性剤の役割を果たすと同時に、(A)
(a)成分と、(A)(b−1)成分および(A)(b
−2)成分との重縮合反応の触媒の働きをするものであ
り、ここでアニオン系乳化剤としては有機スルホン酸系
乳化剤が、またアニオン系乳化剤としては第4級アンモ
ニウム塩型が好ましい。しかし、第4級アンモニウム塩
型の場合は種類によって触媒作用が低いので、水酸化ナ
トリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒の添加併
用が望まれる。
また、乳化剤の使用量は、(A)(a)成分と、
(A)(b−1)および(A)(b−2)成分の合計量
100重量部剤が、またアニオン系乳化剤としては第4級
アンモニウム塩型が好ましい。しかし、第4級アンモニ
ウム塩型の場合は種類によって触媒作用が低いので、水
酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒の
添加併用が望まれる。
また、この乳化剤の使用量は、(A)(a)成分と、
(A)(b−1)および(A)(b−2)成分の合計量
100重量部に対して通常1〜20重量部、好ましくは1〜1
0重量部程度である。また、必要に応じてノニオン系の
乳化剤を併用してもよい。
なお、前記コロイダルシリカ−シリコーンコアシェル
体の調製に当り、コロイダルシリカを安定な状態に保持
しておくため、酸性コロイダルシリカ−アニオン系乳化
剤、アルカリ性コロイダルシリカ−カチオン系乳化剤の
組合せを選択する。
この際の水の使用量は、(A)(a)成分と(A)
(b−1)および(A)(b−2)の合計量100重量部
に対して通常50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量
部であり、縮合温度は通常、5〜100℃である。
なお、本発明に係る組成物中のコロイダルシリカ−シ
リコーンコアシェル体の調製に際し、シリコーンシェル
部の強度を向上させるために第3成分として架橋剤を添
加することもできる。この架橋剤としては、たとえばメ
チルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオ
ロプロピル)トリメトキシシランなどの3官能性架橋
剤、テトラエトキシシランなどの4官能性架橋剤を挙げ
ることができる。この架橋剤の添加量は、(A)(b−
1)、および(A)(b−2)成分の合計量に対して、
通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
上記により得られる本発明に係る組成物中のコロイダ
ルシリカ−シリコーンコアシェル体エマルジョンは、酸
性あるいはアルカリ性になっているので、長期安定性を
保つためアルカリあるいは酸で中和する必要がある。こ
のアルカリ性物質としては、たとえば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、トリエタノールアミンなどが用いられ、また酸と
しては塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、しゅう酸などが用いら
れる。
上記コロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体に対
し、要すれば(B)成分の硬化触媒を添加し、撹拌混合
を行うことで、本発明のシリコーン水性エマルジョン組
成物の製造が完了する。本発明において使用する硬化触
媒としては、上記したようにジアルキルスズジカルボレ
ートが好ましい。また、これら硬化触媒の使用に際し
て、予め常法により乳化剤と水を使用し、O/W型またはW
/O型エマルジョンとしておくことが望ましい。さらに、
前記硬化触媒の添加・撹拌混合温度は5〜25℃の範囲内
が好ましい。
次に、本発明のシリコーン水性エマルジョン組成物を
用いたシリコーン粒状物の製造方法について説明する。
この方法は、前記本発明に係るシリコーン水性エマル
ジョン組成物を、25℃以上の熱媒体、たとえば液体もし
くは気体に分散接触させ、組成物中の主要構成成分であ
るコロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体を微粒子
状に硬化させることからなる。加熱温度が25℃未満では
コアシェル体の硬化速度が遅く、所望の特性の良いシリ
コーン粒状物を得ることが困難となる。とくに好ましい
加熱温度は50℃以上である。上記熱媒体に使用する液体
としては、コアシェル体を溶解したりその硬化を阻害し
たりしないものであればよく、たとえば流動パラフィ
ン、ワックス類、ジメチルシリコーン油、フタル酸エス
テル類などが挙げられる。また上記加熱媒体に使用する
気体としても、液体の場合と同様にコアシェル体を溶解
したりその硬化を阻害するものを避け、さらに可燃性の
ものを避けることが望ましく、たとえば空気、窒素ガ
ス、各種不燃性ガスなどが適する。
上記シリコーン水性エマルジョン組成物を25℃以上の
熱媒体に分散接触させ、組成物中のコロイダルシリカ−
シリコーンコアシェル体の硬化を完結させる方法として
は、たとえば組成物を高温の空気中に噴霧し硬化を完結
させる方法、組成物を所定温度に設定した熱媒体を満た
した撹拌機付混合機に少量ずつ連続して供給し、これを
撹拌しながら連続して接触分散させる方法、あるいは組
成物中に加熱液体を投入し撹拌する方法などがある。
このようにして得られたシリコーン粒状物の用途とし
ては、それ自体単独で用いる場合と他の材料との組合わ
せで用いる場合がある。他の材料との組合わせで用いる
場合には、これを添加配合した各種材料の機械的強度、
耐水性、潤滑性等の物理特性を改良できる。
かかる場合のシリコーン粒状物の適用対象としては、
たとえば、次のようなものが挙げられるが、もとよりこ
れらの対象に限定されるものではない。すなわち、固体
潤滑剤、撥水剤、剥離剤、粘着防止剤、グリース、オイ
ル、セメント、ブラスタ、塗料、注形材料、成形材料、
フィルム、農薬や医療用となどが考えられる。また特に
高分子材料に混入して用いる場合の対象高分子の例とし
ては、天然ゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエ
ンゴム、SBR、EPR、EPTゴム、ポリイソプレンゴム、ポ
リイソブテンゴム、ポリアクリル酸エステルゴム、ポリ
ウレタンゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体
ゴム、ポリエステルゴム、ポリサルファイドゴム、フッ
素ゴム、シリコーンゴムあるいはこれらの共重合体ゴ
ム、あるいはこれらのゴムの混合物があり、樹脂材料と
しては、ナイロン−5、ナイロン−6、ナイロン−7、
ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン
−11、ナイロン−12、ナイロン−66、ケブラーなどの芳
香族ポリアミドなどに代表される各種ポリアミド、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリ水素化キシリレンテレフタレート、ポリカプロ
ラクトン、ポリピバロラクトンなどに代表される飽和ポ
リエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、ポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタ
ジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、ポリア
クリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルア
セテート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリ
レート、含フッ素樹脂、その他のポリオレフィン系樹
脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラヒドロフラン、ベントン、ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリアセタールなどのポリエーテル類、
フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユ
リア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フ
タル酸樹脂、BTレジン、ポリイミド樹脂、シリコーン樹
脂、セルロイド、アセチルセルロース、エポキシアクリ
レート、ポリアクリル酸塩、エポキシ樹脂などの各種の
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線、γ線、電子線な
どの高エネルギー線により硬化する樹脂、さらにこれら
の樹脂のブロックもしくはランダム共重合物あるいはブ
レンド物などが挙げられる。もちろんこれらの樹脂は各
種無機質粉状充填剤、ガラス繊維やカーボン繊維その他
の繊維状充填剤あるいは補強剤、耐熱性向上剤、耐候性
向上剤その他の安定剤、改質剤、顔料、染料などを含有
していてもよいことはいうまでもない。
以下、本発明の実施例を具体的に示す。
なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重
量部および重量%を表すものとする。
また、原料となるコロイダルシリカおよび中間体のコ
ロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体の平均粒子径
は、動的光散乱法の採用された大塚電子(株)製レーザ
ー粒径解析システムLPA−3000S/3100を用いて測定し
た。
さらに、中間体のコロイダルシリカ−シリコーンコア
シェル体をグラフト重合体と見なした場合、つまりコロ
イダルシリカコアを幹ポリマー、シェルを枝ポリマーと
見なした場合のグラフト率およびグラフト効率は以下の
方法で求めた。すなわち、コアシェル体含有エマルジョ
ンを40℃/0.5mmHg、5時間減圧乾燥することで得たコア
シェル体乾燥物の一定重量()をシクロヘキサン中に
投入し、振とう機で2時間振とうして遊離のポリオルガ
ノシロキサンを溶解させ、遠心分離機を用いて回転数2
3,000rpmで30分間遠心分離し不溶分を得る。次に、真空
乾燥機を用いて120℃で1時間乾燥し、不溶分重量
(m)を得、次式によりグラフト率、グラフト効率を算
出した。
実施例1 酸性コロイダルシリカスノーテックスOL(日産化学工
業(株)製、平均粒子径84nm,SiO220.66%、Na2O0.019
%、PH2.78…シリカ−1と略記)1000部、蒸留水470
部、ドデシルベンゼンスルホン酸8.4部の混合液中に、
オクタメチルシクロテトラシロキサン(b−1と略記)
210部を加え、ホモミキサーにより予備撹拌した後、ホ
モジナイザーにより300kgf/cm2の圧力で2回通すことに
より、乳化、分散させた。
この混合液をコンデンサー、窒素導入口および撹拌機
を備えたセパラブルフラスコに移し、撹拌混合しながら
85℃で5時間加熱し、5℃で48時間冷却することによっ
て縮合を完結させた。次いで、このポリオルガノシロキ
サンエマルジョンを炭酸ナトリウム水溶液でPH7に中和
し、縮合を終わらせた。得られたポリオルガノシロキサ
ン中のオクタメチルシクロテトラシロキサンの縮合率は
99.6%であった。
また、前記ポリオルガノシロキサンがコロイダルシリ
カ−シリコーンコアシェル体であるということが、動的
光散乱法に基づく粒径解析および電子顕微鏡観察により
確認できた。すなわち、レーザー粒径解析システム(大
塚電子(株)製LPA−3000S/3100)を用いて粒径解析し
たところ、原料コロイダルシリカの84nm付近にピークを
持つ単一分散の粒径分布が完全に消失し、155nm付近に
ピークを持った単一分散の粒径分布が新たに現れた。さ
らに、電子顕微鏡により観察したところ、シリコーン粒
子像のみが確認され、原料シリカ粒子像は全く観察され
なかった。
一方、このコアシェル体エマルジョンの一部を多量の
アセトン中に投入し、コアシェル体を折出させ、口別
後、真空乾燥機で50℃、12時間乾燥し、コアシェル体凝
集物を得た。そして、このコアシェル体凝集物の元素分
析、IRおよび1H、29Si−NMR分析の結果、シリコーンシ
ェルの割合は49.2%であった。また、前記コアシェル体
をグラフト重合体とみなした場合のグラフト率およびグ
ラフト効率はそれぞれ40.2%であった。
次に、上記調製したコロイダルシリカ−シリコーンコ
アシェル体水性エマルジョン100部(固形分24.0%)に
対しジブチルスズジラウレートの50%水性エマルジョン
(ジブチルスズジラウレート50部、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム5部および蒸留水45部にて調製)0.
24部を25℃にて添加し、混合撹拌することにより、シリ
コーン水性エマルジョン組成物を得た。
上記シリコーン水性エマルジョン組成物をフッ素樹脂
製容器に注ぎ、温度25℃相対温度60%の雰囲気中に1週
間放置して、キャスティングおよび硬化を進めることに
より、厚さ1mm程度のゴム状シートを得た。このゴム状
シートについて、硬さ、引張強さ、100%引張応力、伸
びをJIS K 6301に準じて評価したところ、表−1に示す
ような結果が得られた。
また、上記シリコーン水性エマルジョン組成物を表1
に示す種々の基材にキャスティングしたのち、同様の条
件下に放置したところ、それぞれ各種基材上にゴム状シ
ートが得られた。これらのゴム状シートと各種基材との
接着性を調べた結果を表−1に併せて示した。
[接着性の判定] 基材上に設けたゴム状シートの一端を基材に対してほ
ぼ垂直方向に約300mm/分の速度で引張り、このときのゴ
ム状シートと基材との状態を観察し、下記のように評価
した。
◎…接着性に極めて優れ、界面剥離ではなく、ゴム状
シートが破壊 ○…界面剥離を起こすが、剥離させるに際してはかな
りの力が必要 △…界面剥離を起こすが、剥離させるに際しての力は
上記○印より若干小さい ×…界面剥離し、わずかの力で剥離 さらに、参考のために、上記シリコーン水性エマルジ
ョン組成物を用いて、以下に示すようにしてシリコーン
粒状物を得た。すなわち、この組成物を室温で24時間放
置し熟成した後、スプレードライヤーDL−41(ヤマト科
学(株)製 商品名)を用いて、入口温度250度、出口
温度100℃、吐出速度1/hrの条件下で噴霧して前記コ
ロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体を硬化させた
ところ、サイクロン下部の生成物容器よりシリコーン粒
状物110gが得られた。このシリコーン粒状物を電子顕微
鏡で観察したところ、平均粒子径3.0μmの真球に近い
形状を有する粒状物であることがわかった。
次いで、このシリコーン粒状物10部と、極限粘度
[η]が1.05のポリブチレンテレフタレート100部とを
混合して熱可塑性樹脂組成物を調製した。そして、この
組成物を二軸押出機を使用して、シリンダー温度230℃
で押出加工し、ペレットを得た。得られたペレットの破
断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリコーン
粒状物は樹脂層中に均一に分散しており、しかもその形
状は混合前の球状が変形、破壊されずに保たれているこ
とが確認できた。
また、このペレットを用いて、シリンダー温度230
℃、金型温度60℃で射出成形を行い物性評価用試験片を
作成した。この試験片について行った耐衝撃性の試験結
果を表−1に併せて示した。なお耐衝撃性試験は、ASTM
−D256に準拠して1/4″ノッチ付き、温度条件23℃でア
イゾット衝撃強度を測定した。
実施例2、3 各種成分の配合比を変えた以外は、実施例1の場合と
同一条件でポリオルガノシロキサンエマルジョンを調製
した。得られたこれらのポリオルガノシロキサンは、動
的光散乱に基づく粒径解析および電子顕微鏡観察によっ
て、単一分散の粒径分布を有するコロイダルシリカ−シ
リコーンコアシェル体であると確認できた。これらのコ
アシェル体について、実施例1の場合と同様に評価した
結果を表−1に示す。
次に、上記コアシェル体水性エマルジョンを用いて、
実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウレート
の添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組成物を
得た。
かくして得たシリコーン水性エマルジョン組成物を実
施例1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シー
トを作成しその物性を調べた。その結果を表−1に示
す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−1に併せて示す。
さらに上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施
例1の場合と同様な方法により噴霧硬化させてシリコー
ン粒状物を得、得られたシリコーン粒状物について種々
の物性を調べるとともに、実施例1の場合と同一条件で
ポリブチレンテレフタレートと混合し押出加工によりペ
レットを作成して、実施例1の場合と同様の評価を行っ
た。これらの結果も表−1に併せて示す。
実施例4 酸性コロイダルシリカとして、スノーテックスOZL
(日産化学工業(株)製、平均粒子径122nm、SiO221.14
%、Na2O0.101%、PH2.02…シリカ−2と略記)を用い
た以外は、実施例1の場合と同一組成、同一条件でポリ
オルガノシロキサンエマルジョンを調製した。得られた
ポリオルガノシロキサンは、動的光散乱に基づく粒径解
析および電子顕微鏡観察によって、単一分散に粒径分布
を有するコロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体で
あると確認できた。このコアシェル体について、実施例
1の場合と同様に評価した結果を表−1に示す。
次に、上記コアシェル体水性エマルジョンを用いて、
実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウレート
の添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組成物を
得た。
かくして得たシリコーン水性エマルジョン組成物を実
施例1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シー
トを作成しその物性を調べた。その結果を表−1に示
す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−1に併せて示す。
さらに上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施
例1の場合と同様な方法により噴霧硬化させてシリコー
ン粒状物を得、得られたシリコーン粒状物について種々
の物性を調べるとともに、実施例1の場合と同一条件で
ポリブチレンテレフタレートと混合し押出加工によりペ
レットを作成して、実施例1の場合と同様の評価を行っ
た。これらの結果も表−1に併せて示す。
実施例5、6 実施例1の場合において、オクタメチルシクロテトラ
シロキサン(b−1と略記)に3−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン(b−2aと略記)(実施例5)もし
くは(p−ビニルフェニル)メチルジメトキシシラン
(b−2bと略記)(実施例6)4.2部を予め添加配合し
た以外は実施例1の場合と同一組成、同一条件でポリオ
ルガノシロキサンエマルジョンを調製した。
得られたこのポリオルガノシロキサンエマルジョン
は、動的光散乱に基づく粒径解析および電子顕微鏡観察
によって、単一分散の粒径分布を有するコロイダルシリ
カ−シリコーンコアシェル体であると確認できた。この
コアシェル体について、実施例1の場合と同様に評価し
た結果を表−1に示す。
次に、上記コアシェル体水性エマルジョンを用いて、
実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウレート
の添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組成物を
得た。
かくして得たシリコーン水性エマルジョン組成物を実
施例1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シー
トを作成しその物性を調べた。その結果を表−1に示
す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−1に併せて示す。
さらに上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施
例1の場合と同様な方法により噴霧硬化させてシリコー
ン粒状物を得、得られたシリコーン粒状物について種々
の物性を調べるとともに、実施例1の場合と同一条件で
ポリブチレンテレフタレートと混合し押出加工によりペ
レットを作成して、実施例1の場合と同様の評価を行っ
た。これらの結果も表−1に併せて示す。
実施例7 実施例1の場合において、酸性コロイダルシリカに代
えてアルカリ性コロイダルシリカのスノーテックス2OL
(日産化学工業(株)製、平均粒子径72nm、SiO220.31
%、Na2O0.022%、PH9.93…シリカ−3と略記)を用
い、またドデシルベンゼンスルホン酸に代えてジオクタ
デシルジメチルアンモニウムクロリド30部および水酸化
カリウム6.0部を用い、さらに予めオクタメチルシクロ
テトラシロキサン(b−1と略記)に、3−メルカプト
プロピルメチルジメトキシシラン(b−2Cと略記)4.2
部を配合した以外は実施例1の場合と同一組成、同一条
件でポリオルガノシロキサンエマルジョンを調製した
(中和には塩酸を用いた)。
得られたこのポリオルガノシロキサンエマルジョン
は、動的光散乱に基づく粒径解析および電子顕微鏡観察
によって、単一分散の粒径分布を有するコロイダルシリ
カ−シリコーンコアシェル体であると確認できた。この
コアシェル体について、実施例1の場合と同様に評価し
た結果を表−2に示す。
次に、上記コアシェル体水性エマルジョンを用いて、
実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウレート
の添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組成物を
得た。
かくして得たシリコーン水性エマルジョン組成物を実
施例1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シー
トを作成しその物性を調べた。その結果を表−2に示
す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−2に併せて示す。
さらに上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施
例1の場合と同様な方法により噴霧硬化させてシリコー
ン粒状物を得、得られたシリコーン粒状物について種々
の物性を調べるとともに、実施例1の場合と同一条件で
ポリブチレンテレフタレートと混合し押出加工によりペ
レットを作成して、実施例1の場合と同様の評価を行っ
た。これらの結果も表−2に併せて示す。
実施例8 アルカリ性コロイダルシリカとして、スノーテックス
2OL(シリカ−3と略記)1000部、蒸留水470部、ジオク
タデシルジメチルアンモニウムクロリド30部および水酸
化カリウム6.0部の混合物に、オクタメチルシクロテト
ラシロキサン(b−1と略記)210部と3−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン(b−2dと略記)4.
2部との混合物を加え、実施例1の場合と同様の条件で
ポリオルガノシロキサンエマルジョンを調製し(中和に
は塩酸を用いた)、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ンの縮合率95.3%のポリオルガノシロキサンエマルジョ
ンを得た。
得られたこのポリオルガノシロキサンエマルジョン
は、動的光散乱に基づく粒径解析および電子顕微鏡観察
によって、単一分散の粒径分布を有するコロイダルシリ
カ−シリコーンコアシェル体であると確認できた。この
コアシェル体について、実施例1の場合と同様に評価し
た結果を表−2に示す。
次に、上記コアシェル体水性エマルジョンを用いて、
実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウレート
の添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組成物を
得た。
かくして得たシリコーン水性エマルジョン組成物を実
施例1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シー
トを作成しその物性を調べた。その結果を表−2に示
す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−2に併せて示す。
実施例9 実施例1の場合において、予めオクタメチルシクロテ
トラシロキサン(b−1と略記)に、3−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン(b−2aと略記)4.2部およ
びテトラエトキシシラン(b−2eと略記)8.4部を配合
した以外は実施例1の場合と同一組成、同一条件でポリ
オルガノシロキサンエマルジョンを調製した。
得られたこのポリオルガノシロキサンエマルジョン
は、動的光散乱に基づく粒径解析および電子顕微鏡観察
によって、単一分散の粒径分布を有するコロイダルシリ
カ−シリコーンコアシェル体であると確認できた。この
コアシェル体について、実施例1の場合と同様に評価し
た結果を表−2に示す。
次に、上記コアシェル体水性エマルジョンを用いて、
実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウレート
の添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組成物を
得た。
かくして得たシリコーン水性エマルジョン組成物を実
施例1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シー
トを作成しその物性を調べた。その結果を表−2に示
す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−2に併せて示す。
比較例1 コロイダルシリカを使用せず、オクタメチルシクロテ
トラシロキサン(b−1と略記)210部、ドデシルベン
ゼンスルホン酸4.2部および蒸留水630部を用いて、実施
例1の場合と同一条件でポリオルガノシロキサンエマル
ジョンを調製した。
このエマルジョンの中のシロキサンミセル粒径は275n
mであり、またオクタメチルシクロテトラシロキサンの
縮合率は95.3%であった。
次に、このポリオルガノシロキサンエマルジョンを用
いて、実施例1の場合と同一条件でジブチルスズジラウ
レートの添加を行って、シリコーン水性エマルジョン組
成物を得た。
得られたシリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により硬化させてゴム状シートを
作成しその物性を調べた。その結果を表−2に示す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−2に併せて示す。
さらに上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施
例1の場合と同様な方法により噴霧硬化させてシリコー
ン粒状物を得、得られたシリコーン粒状物について種々
の物性を調べるとともに、実施例1の場合と同一条件で
ポリブチレンテレフタレートと混合し押出加工によりペ
レットを作成して、実施例1の場合と同様の評価を行っ
た。これらの結果も表−2に併せて示す。
比較例2、3 コロダイルシリカを使用せず、オクタメチルシクロテ
トラシロキサン(b−1と略記)210部、ドデシルベン
ゼンスルホン酸8.4部および蒸留水470部を用いて、実施
例1の場合と同一条件でポリオルガノシロキサンエマル
ジョンを調製した。
このエマルジョンの中のシロキサンミセル粒径は280n
mであり、またオクタメチルシクロテトラシロキサンの
縮合率は96.3%であった。
次いで、このポリオルガノハイドロジェンシロキサン
エマルジョン69部に対し、上記のスノーテックスOL(シ
リカ−1)とジブチルスズジラウレート50%水性エマル
ジョンとをそれぞれ100部と0.40部を配合したもの(比
較例2)および50部と0.40部を配合したもの(比較例
3)を調製した。
上記調製した配合物について実施例1の場合と同様な
方法により硬化させてゴム状シートを作成しその物性を
調べた。その結果を表−2に示す。
また上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施例
1の場合と同様な方法により、種々の基材にキャスティ
ングし硬化させ、得られた各種基材上のゴム状シートに
ついて、実施例1の場合と同様にゴム状シートと各種基
材との接着性を調べた結果を表−2に併せて示す。
さらに上記シリコーン水性エマルジョン組成物を実施
例1の場合と同様な方法により噴霧硬化させてシリコー
ン粒状物を得、得られたシリコーン粒状物について種々
の物性を調べるとともに、実施例1の場合と同一条件で
ポリブチレンテレフタレートと混合し押出加工によりペ
レットを作成して、実施例1の場合と同様の評価を行っ
た。これらの結果も表−2に併せて示す。
比較例4 実施例1において調製したコロイダルシリカ−シリコ
ーンコアシェル体水性エマルジョンに、硬化触媒として
のジブチルスズジラウレートを添加せず、そのままゴム
状シートの作成を試みた。しかし、1ヶ月間放置したに
もかかわらず、硬化しないため、物性評価には至らなか
った。
参考例 ポリブチレンテレフタレートにシリコーン粒状物を配
合することなく、実施例1の場合と同一条件で物性評価
用試験片を作成し、その耐衝撃性を試験したところ、そ
のアイゾット衝撃強度は6.0kgf・cm/cmであった。
[発明の効果] 上記説明したように、本発明に係るシリコーン水性エ
マルジョン組成物は、コロイダルシリカのコアをシリコ
ーンのシェルがシロキサン結合を介して覆ったコアシェ
ル体を主成分としているので、コロイダルシリカの補強
性を十分に、かつ効果的に引出すことが可能となり、こ
れを室温でまたは加熱して水分など揮発物を蒸発させる
ことによって、機械的強度に優れたエラストマー硬化物
が得られる。
そして、本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組
成物を用いることによって、機械的強度に優れ、しかも
粒径が小さく形状も均一で分散性に優れたシリコーン粒
状物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/04 C08L 83/06 C08G 77/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) (a)コロイダルシリカのコア80
    〜 5重量% (b)平均組成式 R1 aSiO(4−a)/2 …(I) (式中、R1は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の
    有機基、aは1.02〜2.02の数を示す。) で表される分子末端が水酸基で封鎖されたポリオルガノ
    シロキサンのシェル20〜95重量%からなるコロイダルシ
    リカ−シリコーンコアシェル体 100重量部、 (B)硬化触媒 0〜 5重量部、 (C)乳化剤 1〜20重量部、および (D)水 50〜1000重量部 を組成分として成ることを特徴とするシリコーン水性エ
    マルジョン組成物。
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