JP3099342B2 - 多孔膜 - Google Patents

多孔膜

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜などに用
いられ、蛋白質の非特異的吸着による性能変化の少ない
アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜に関するもの
である。
[従来の技術] 従来より限外濾過にはポリアクリロニトリルを素材と
する多孔膜が用いられてきた。アクリロニトリル系重合
体からなる多孔膜は製膜性、耐薬品性が優れている上
に、透水速度、濾過速度の大きな多孔膜が得やすい特徴
をもっている。しかしながら、血液、培養液など蛋白質
を含んだ流体の限外濾過に際しては、蛋白質の非特異的
吸着が原因と推定される細孔の目詰まりを起こしやす
く、それに起因する阻止率や濾過速度の変化を生じやす
いなどの欠点をもっている。したがって、近年注目され
るようになってきているアフィニティメンブレン等の多
孔膜の新規な用途のような場合には特に問題となるとこ
ろである。
かかる欠点を克服するためアクリロニトリル系重合体
からなる多孔膜の化学的処理を行い、多孔膜表面の親水
性を向上させ蛋白質の非特異的吸着による性能変化を防
ぐ試みが成されている。国際公開番号WO88/05688号に
は、アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜をアルデ
ヒドとプロトン酸類からなる混合液中に浸漬することに
より、ニトリル基の一部をメチロールアミド基に変換せ
しめ、蛋白質の非特異的吸着を低減する方法が示されて
いる。
また、目的は異なるが多孔膜の濾過速度を向上するた
めに多孔膜表面の親水性を高めたものとして、特開昭54
−90081号公報にはアクリロニトリル系重合体からなる
多孔膜を無水硫酸と気相中で接触せしめ、スルホン化を
行う方法が開示されている。
同様な目的で、特開昭57−136903号公報にはアクリロ
ニトリル系重合体からなる多孔膜をアルカリ溶液中に浸
漬することによって、カルボキシル基またはアミド基を
導入する方法が開示されている。さらに特開昭58−1397
03号公報には、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒に溶
解したアクリロニトリル系重合体に、アミン類、あるい
はアルカリを添加することにより製膜溶液を作成し、親
水性を高めた多孔膜を湿式製膜より得る方法が開示され
ている。
表面の親水性を向上せしめる一つの手段として、プラ
ズマ処理が挙げられる。特開昭54−130482号公報にはプ
ラズマ処理を行ったアクリロニトリル系重合体からなる
多孔膜を硫酸等のプロトン酸溶液中に浸漬する方法が開
示されている。また、特開昭58−137405号公報にはアク
リロニトリル系重合体からなる多孔膜をアミン類あるい
はアルカリ溶液に浸漬した後、プラズマ処理を行う方法
が開示されている。さらに、特開昭58−210804号公報に
はアクリロニトリル系重合体からなる多孔膜を水蒸気の
存在下でプラズマ処理を行う方法が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来のアクリロニトリル系重合体から
なる多孔膜の親水化処理方法の多くは、多孔膜の濾過速
度を向上せしめる目的で行うものであった。そのため、
蛋白質の非特異的吸着を低減するには親水化が不十分で
あったり、アクリロニトリル系重合体本来の耐薬品性、
製膜性、機械的強度が損なわれる恐れがあった。また、
種々の方法で親水化した場合に蛋白質の非特異的吸着を
低減する効率が同程度になるか否か不明でもある。
国際公開番号WO88/05688号に示される方法に従えば、
アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜へメチロール
アミド基の導入により蛋白質の非特異的吸着を低減せし
めるためには、接触角が30゜以下であることが必要とな
る。また、該方法では化学的処理により導入されたメチ
ロールアミド基の架橋反応が生じるが、架橋反応により
多孔膜細孔径の変化が生じるため、濾過速度、阻止率等
の性能変化を伴うことが問題となる。
また、特開昭54−90081号公報に示される方法では、
スルホン化により多孔膜が脆化され強度面で問題が生じ
ると共に、過酷な処理条件でスルホン化を行うため、ク
ラックの発生等、多孔膜の構造を損なう恐れがある。さ
らにスルホン酸基等の強電解質を多孔膜に付与すると、
分離対象物のpH等の影響を受けて、蛋白質等の荷電性物
質の分離特性が変化する。
特開昭57−136903号公報に示される方法では、アルカ
リによる加水分解が過度に進行すると、多孔膜の耐薬品
性や機械的強度が著しく損なわれるという問題がある。
また、多孔膜の機械的強度を十分保った状態での親水化
条件では蛋白質の非特異的吸着を低減せしめるに十分な
効果が得られ難い。
特開昭58−139703号公報に示される方法は、多孔膜を
処理するものではなく、製膜溶液を処理するものである
ため、アクリロニトリル系重合体本来の製膜性を阻害す
る恐れがあり、とくにゲル化の発生などによって多孔膜
の形成に支障を来す恐れがある。さらに、多孔膜の状態
で変性処理する上述の例と処理と比べると、多孔膜の耐
薬品性や機械的強度が低くなり易い等の問題がある。
特開昭54−130482号、特開昭58−137405号、特開昭58
−210804号各公報に示される方法は、プラズマ処理装置
を必要とする特殊な方法であり、生産性・経済性の面か
ら有利な方法ではない。また、プラズマ処理は真空下で
行うため、多孔膜を乾燥する必要があり、乾燥による多
孔膜の構造変化に基づく、制御し難い膜性能の変化が起
こる。さらに、プラズマ処理は多孔膜の外部表面層のみ
に有効な手段であり、細孔内部表面の親水化処理に対し
てはその効果が及び難い。
本発明はかかる従来技術の欠点を解決しようとするも
のであり、アクリロニトリル系重合体本来の耐薬品性を
損なわずに蛋白質の非特異的吸着を低減せしめ、しかも
濾過速度、阻止率などの性能変化が少ない、高度精密分
離用途に好適な多孔膜を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため本発明は下記の構成からな
る。
[アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜において、
多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基が化学的に
導入されていることを特徴とする多孔膜。」 本発明においては、多孔膜として、一級アミノ基を有
するアクリロニトリル系重合体を主成分とする事を特徴
とする。一級アミノ基は親水性であるため、多孔膜表面
層の蛋白質の非特異的吸着を低減せしめるに適してい
る。本発明においては、かかる一級アミノ基が、アクリ
ロニトリル系重合体の主鎖に化学的に導入されている。
本発明において、アクリロニトリル系重合体とはポリ
アクリロニトリル重合体またはアクリロニトリルを60モ
ル%以上含む共重合体であり、コモノマーとしてはポリ
アクリロニトリルと共重合可能な公知なものを使用する
ことができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシスチ
レン、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベン
ゼンカルボン酸、p−ビニルベンゼンホウ酸、p−ビニ
ルベンゼンリン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸
エステル、フマル酸エステル、マレイン酸無水物、塩化
ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、
ビニルスルホン酸系モノマー、ビニルシラン系モノマー
などが挙げられる。本発明においてアクリロニトリル系
重合体とは、これらのコモノマーの一種あるいは二種類
以上の共重合体、またはポリアクリロニトリルもしくは
これらの共重合体から選ばれた二種類以上の重合体の混
合物を用いることが可能である。これら共重合体、また
は混合物の組成は、アクリロニトリルの量が60モル%未
満になると、アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜
の物理的、化学的特徴が失われることになる。よって、
アクリロニトリルの量は60モル%以上100モル%以下の
範囲で含有するものが好ましい。
本発明において多孔膜の製造方法は、通常の溶媒蒸発
工程、凝固工程からなる公知の製膜法によって得られる
多孔膜が好ましく用いられる。該多孔膜の形状について
は、平膜状の他にも種々あり、中空糸状、管状、円筒状
さらに他の多孔性支持膜との複合体であっても良い。例
えば、5〜30重量%のアクリロニトリル系重合体を含ん
だジメチルスルホキシド溶液を支持体上に平膜状に流延
し、凝固剤溶液に浸漬する。十分に凝固させた後、溶媒
を水に置換し、本発明の化学的変性処理を施す。凝固剤
としては、水、あるいは水とジメチルスルホキシドの混
合物を用いることが好ましい。また該重合体溶液を支持
体上に流延後、しばらく溶液表面の溶媒を蒸発させてか
ら凝固剤溶液に浸漬してもよい。一般には溶媒を蒸発さ
せる時間は0〜60分、温度は0℃〜溶媒の沸点の範囲で
行われることが好ましい。また、該重合体溶液を中空糸
成形ノズルを経て紡糸することにより中空糸膜の製造が
可能である。
これらの多孔膜を製作するときの種々の条件、すなわ
ち重合体分子量、溶媒の種類、重合体濃度、製膜温度、
溶媒蒸発時間、凝固温度等は本発明の化学的変性多孔膜
の性能に影響を与えるので、目的と目標性能を考慮して
適当な条件を選択することができる。
また、該多孔膜は機械的強度を考慮すると、0.001〜1
00μmの孔径を有し、0.02〜1mmの膜厚を有するものが
好ましい。機械的強度とは、通常の使用条件、すなわち
30kg/cm2未満の加圧下の耐久性を指す。
アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜への一級ア
ミノ基の導入方法として、アクリロニトリルを化学的に
変性して導入する方法が挙げられる。化学的な変性と
は、アクリロニトリル系重合体のニトリル部位を化学的
に変化せしめることを意味する。このような化学的に変
性した多孔膜は、該多孔膜をアルカリ類で加水分解した
後、次亜ハロゲン酸塩で処理することによって製造する
ことができる。
アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜のニトリル
基部位の加水分解は公知の方法で行うことが可能であ
り、アルカリ溶液に浸漬することによりカルボン酸アミ
ド基を含んだ多孔膜が得られる。アルカリ類としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物
が好ましく用いられる。ただし、本発明に使用するアル
カリ処理多孔膜としては以下の条件で行うことが好まし
い。すなわち、アルカリ類の処理濃度としては、0.5〜
3モル/の濃度範囲であることが好ましい。0.5モル
/未満では効果が乏しく、3モル/を越えると多孔
膜を損傷する恐れがある。
カルボン酸アミド基をアミノ基に変性する方法は、通
常次亜ハロゲン酸塩を用いるが、本発明ではアクリロニ
トリル系重合体から誘導したカルボン酸アミド基を含有
する重合体から、亜臭素酸ナトリウムにより一級アミノ
基を温和な条件で効率的に誘導することができることを
見出だした。亜臭素酸ナトリウムは次亜臭素酸ナトリウ
ムと比較して安定性に優れており、取扱いが容易である
という特徴を有する。
亜臭素酸ナトリウムの処理濃度としては、1〜20重量
%の濃度範囲であることが好ましい。1重量%未満では
効果が乏しく、20重量%を越えると多孔膜を損傷する恐
れがある。
反応にはアルカリ類を添加するが、好ましい態様を例
示すれば、水酸化ナトリウムを0.5〜3モル/の濃度
範囲で添加し、10〜60℃の温度範囲で反応させる。水酸
化ナトリウム濃度が0.5モル/未満では、効果が乏し
く、3モル/を越えると多孔膜を損傷する恐れがあ
り、反応温度が10℃未満では効果が乏しく、60℃をこえ
ると多孔膜を損傷することがある。処理時間については
上記処理条件においては3時間未満が好ましい。処理時
間が3時間以上となると亜臭素酸ナトリウムの濃度、お
よび温度条件によっては一級アミノ基の導入が過度に進
行し、該多孔膜の強度低下を引き起こし、著しい場合に
は該多孔膜を損傷する恐れがある。
かかる化学的変性は、製膜した状態の多孔膜でのアク
リロニトリル系重合体に対して行うことによって、該多
孔膜の内部表面、すなわち、多孔膜の細孔表面を含む表
面層のみを親水化することができる。製膜前のアクリロ
ニトリル系重合体原料に対して化学的変性を行う場合、
一級アミノ基の導入の割合、または親水性の程度に対し
て、該重合体本来の耐熱性、耐薬品性、製膜性が劣る結
果を与える。本発明において、表面層とは外観上の表面
のみならず、使用中に流体に接触する多孔膜の内部表面
をも含むものである。
本発明において、多孔膜表面に分布する一級アミノ基
を厳密に定量することは困難であるため、接触角を用い
て化学的変性効果を評価することが簡便である。
本発明に従って変性した多孔膜においては、蛋白質の
非特異的吸着を防止するのに十分な接触角は4〜50゜の
範囲である。本発明の場合には、接触角30゜以上におい
ても蛋白質の非特異的吸着防止に十分な効力が認めら
れ、公知例(国際公開番号WO88/0566号)より効果の優
れていることが認められる。接触角が50゜を越えると効
果が乏しく、4゜未満になるまで変性するとアクリロニ
トリル系重合体多孔膜の耐薬品性、耐圧性、およひ機械
的強度などの特徴が損なわれる恐れがある。上述したよ
うな本発明で好適と考えられる化学的変性条件で処理す
ると、ほぼ4〜50゜の接触角を有する変性多孔膜が得ら
れる。
また、吸着による蛋白質の損失率は、10%以下である
ことが好ましい。10%を越えると蛋白質の回収で問題と
なる。ウシ血清アルブミン(BSA)を使用した浸漬蛋白
質結合法による評価法では、蛋白質の吸着量は30μg/cm
2以下である事が好ましい。30μg/cm2を越えると蛋白質
の回収を目的とする場合には問題である。蛋白質の吸着
量が100μg/cm2以上であると濾過速度、阻止率等の多孔
膜の濾過性能に支障を来す。本発明によれば、かかる特
性を満足する親水化、蛋白質低吸着性多孔膜を提供する
ことができる。
[実施例] 次に実施例により本発明を具体的に説明する。
接触角の測定は乾燥多孔膜の外表面に水を滴下し、形
成された水滴の多孔膜表面との接触角度を市販の接触角
計を用いて、水滴滴下後30秒後に測定した。その際、温
度は25℃で測定した。
また、吸着による蛋白質の損失率は、10部の牛胎児血
清溶液(FCS)と90部のリン酸生理食塩緩衝液(PBS)か
らなる試験溶液を用いて多孔膜の濾過試験を行い、その
物質収支から蛋白質の多孔膜への非特異的吸着分の比較
を下式により算出した。
濾過試験は、有効膜面積38cm2の多孔膜を容量200mlの
限外濾過セル(アドバンテック製;UHP−76K)を装着
し、蛋白質溶液200mlの限外濾過を攪拌下、操作圧力1mg
/cm2のもとで行った。100mlの濾液を採取後、濃縮液を
限外濾過セルより取り除き、200mlのPBSにて洗浄を2回
実施した。
また浸漬蛋白質結合法による蛋白質の吸着量は、10μ
g/ml〜1mg/mlの濃度範囲のBSAを含んだ5mlのPBS溶液に
室温で3日間多孔膜を浸漬し、浸漬液の濃度変化から該
多孔膜へのBSA吸着量を求めた。その際、試験管へのBSA
吸着量を補正するためブランクのBSA溶液を用い、ガラ
スへのBSA吸着量を求めた。
本発明において、蛋白質溶液の濃度はバイオラッド社
のプロテインアッセイ液を用い、波長595nmにおける紫
外吸収スペクトルを測定し、定量した。
実施例1〜12 アクリロニトリル重合体12部とジメチルスルホキシド
88部からなる製膜溶液を作成し、水を凝固液とする湿式
製膜によって多孔膜を得た。該多孔膜を1モル/の水
酸化ナトリウム水溶液中に室温で24時間浸漬処理を行
い、0.1モル/塩酸中に1時間浸漬して中和を行っ
た。水洗後、該多孔膜を3.5および7重量%の亜臭素酸
ナトリウムを含んだ0.5および1モル/の水酸化ナト
リウム水溶液中に25℃、および60℃で1〜3時間浸漬を
行い、該多孔膜の接触角を測定した。
第1表に各実施例の接触各と吸着による蛋白質の損失
率を示す。接触角が4゜以上50゜以下の範囲において
は、蛋白質の損失率はすべて10%以下である多孔膜を得
た。
また、実施例3に用いた多孔膜を真空乾燥後、該多孔
膜表面のATR法による赤外吸収スペクトルを測定した。
結果を第1図に示す。アクリロニトリル重合体からなる
多孔膜をアルカリ浸漬処理を行った試料の赤外吸収スペ
クトルは、1668cm-1付近にアミド結合由来の特性吸収帯
(アミドI)が観測される。多孔膜の亜臭素酸ナトリウ
ム処理を行うとアミド結合由来の特性吸収帯は消失し、
亜臭素酸ナトリウム処理前後の差スペクトルから1668cm
-1の吸収帯の消失と1590cm-1付近のアミノ基の変角振動
に基く吸収帯の出現が観測された。
さらに、実施例5により得た多孔膜を300μg/mlのBSA
溶液(pH=7.4)を用いて、圧力1kg/cm2、25℃の条件で
濾過試験を行ったところ、阻止率85%、濾過速度1.4m3/
m2日の性能であった。この多孔膜を300μg/mlのBSA溶液
(pH=7.4)5mlに25℃で24時間浸漬を行い、再度上記条
件で分離性能を評価したところ、阻止率85%、濾過速度
は1.3m3/m2日の性能を示した。
実施例13 アクリロニトリル94モル%、メタクリル酸エチル6モ
ル%からなる共重合体の18重量%ジメチルスルホキシド
溶液から製膜した外径1200μm、内径900μmの中空糸
膜を実施例3と同様な方法で亜臭素酸ナトリウム浸漬処
理をした。この中空糸膜を5cmに切断したもの20本をそ
れぞれ5mlのBSA溶液(BSA濃度:10μg/ml〜1mg/ml)に25
℃で3日間浸漬し、浸漬液中のBSA濃度変化を実施例1
の定量法により測定した。結果を第2表に示す。
BSA濃度が1mg/ml以下の範囲においては、BSA吸着量は
30μg/cm2以下であった。
実施例14 実施例3と同様な方法により亜臭素酸ナトリウム浸漬
処理を行った多孔膜を300μg/mlのBSA溶液(pH=7.4)
を用いて、圧力1kg/cm2、25℃の条件で濾過試験を行っ
たところ、阻止率83%、濾過速度1.8m3/m2日の性能であ
った。該多孔膜を25℃で24時間ジオキサンに浸漬処理を
行った後、PBS溶液(pH=7.4)で十分に洗浄を行いジオ
キサンを排液した。該多孔膜を300μg/mlのBSA溶液(pH
=7.4)を用いて、圧力1kg/cm2、25℃の条件で再度、濾
過試験を行ったところ、阻止率83%、濾過速度1.6m3/m2
日の性能であった。
比較例1 アクリロニトリル94モル%、メタクリル酸エチル6モ
ル%からなる共重合体の18重量%ジメチルスルホキシド
溶液から製膜した外径1200μm、内径900μmの中空糸
膜を5cmに切断した。該中空糸膜20本をそれぞれ5mlのBS
A溶液(BSA濃度:10μg/ml〜1mg/ml)に25℃で3日間浸
漬し、浸漬液中のBSA濃度変化を実施例1の定量法によ
り測定した。結果を第2表に示す。
実施例13と比較してBSAが吸着されやすい中空糸膜で
あり、1000μg/mlのBSA濃度においては、101μg/cm2のB
SAが該中空糸膜に吸着された。
[発明の効果] 直接的効果として、 (1)本発明により、アクリロニトリル系多孔膜におい
て、多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基が化学
的に導入されていることを特徴とする多孔膜を提供する
ことができる。
(2)本発明に従えば、接触角4〜50゜のアクリロニト
リル系多孔膜が得られる。
(3)蛋白質の非特異的吸着が少ないアクリロニトリル
系多孔膜が得られる。
間接的効果としては、 (4)蛋白質を含む溶液に対して、濾過速度の低下が少
ないアクリロニトリル系多孔膜が得られる。
(5)蛋白質を含む溶液に対して、阻止率の変化が少な
いアクリロニトリル系多孔膜が得られる。
(6)本来の耐薬品性を損なわず、改善された性能を有
するアクリロニトリル系多孔膜が得られる。
(7)改善された性能を有するアクリロニトリル系多孔
膜を、生産性、経済性に有利な条件で提供することがで
きる。
(8)アフィニティメンブレン等の高度精密分離用途に
対しては、本発明のアクリロニトリル系多孔膜が特に有
効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本願発明の実施例3で得られた多孔膜の表面
のATR法による赤外線吸収スペクトラムの測定結果を示
す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリロニトリル系重合体からなる多孔膜
    において、多孔膜の表面層の重合体主鎖に一級アミノ基
    が化学的に導入されていることを特徴とする多孔膜。
  2. 【請求項2】水に対する接触角が4゜以上50゜以下であ
    る、請求項(1)に記載の多孔膜。
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