JP2004314073A - 架橋セルロース膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】巨大分子液(たとえばタンパク質液)を分離するのに適した膜を提供する。
【解決手段】この膜は、セルロース性ポリマーと架橋剤から酸触媒架橋反応によって形成される架橋ポリマーを有する。具体的な一実施形態では、セルロースポリマーは架橋可能な水酸基部分をかなりの量含み、架橋剤は求電子イオンを酸性溶液中に放出することができ、求電子イオンは、セルロースポリマーの水酸基部分と反応してその架橋を行うことができる。架橋剤として多官能性N−アルキルオキシ化合物を使用することによって良好な結果が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に流体分離に有用な改良された限外濾過膜およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、改良された限外濾過膜処理法の中でもとりわけ生化学的流体分離用によく適した架橋セルロース系限外濾過膜に関する。
たとえば、ライフサイエンス、生物製剤、および製薬の分野における研究では、タンパク質精製、浄化、および/または回収のため、ならびに、同定、検出、定量、および/または類似の分析目的のために、粒子、生物ポリマー、微生物、溶質および類似の物体を、タンパク質に富む処理ストリームから除去する迅速、有効かつ安価な手段が使用され続け、それに対する関心が高まっている。このような機能を提供できる分析ツールおよびプロトコルを記載している多くの科学的文献が存在する。しかし、特に生物製剤薬物製品の生産に対するモノクローナル抗体および細胞培養法の重要性の高まりに促がされて、今日、費用対効果が大きく、実行が比較的簡単で、良好で確実な結果を提供する、タンパク質に富む流体の濾過用の、膜を基材とする方法の探索に多くの関心が注がれている。
タンパク質に富む生物製剤溶液濾過用膜を使用する際には、タンパク質の膜に対する結合または残留を防止もしくは阻止するかまたは別の形で最小限に抑えるために、また、タンパク質をわずかなロスでしかも良好な濾過効果で溶液から回収することができるように、膜が十分に親水性(および通常伴う他の表面特性)を有することが望ましい。
親水性以外に、タンパク質液濾過用に使用される膜は、タンパク質液処理に典型的な、物理、環境および化学的状態ならびにストレスに耐えるに十分な耐久性を有するべきである。特に、濾過工程および/またはその前後の洗浄または湿潤化工程中に、膜が抽出可能な物質を剥離、崩壊、腐食、または浸出させてはならない。タンパク質液の処理は、通常、高圧力で行い、しばしば多少腐食性の清浄流体及び溶剤の使用を伴う。
これまでにタンパク質液濾過に使用された膜は、一般に2つのグループ、すなわち、セルロースから作成される膜と、ポリエーテルスルホンから作成される膜に分類できる。
ポリエーテルスルホン膜はしばしば、その耐久性が評価されている。何種類のものが利用可能である。特許文献に多くが記載されている。たとえば、1999年2月9日付けでI.Wangに発行された米国特許第5,869,174号、1990年12月11日付けでF.Wechsに発行された米国特許第4,976,859号、2000年5月2日付けでJ.M.Greenwoodらに発行された米国特許第6,056,903号を参照のこと。しかし、ポリエーテルスルホン膜は、タンパク質結合特性が比較的不十分であることでも知られている。このような膜の親水性を高める(それによって膜をよりタンパク質嫌忌性(protein averse)とする)ために表面改変処理を利用することもできるが、本発明は、このような処理を追求するのではなく、その代わり本質的に親水性で、より耐久性のあるセルロース系の膜の作成に焦点を当てている。
セルロースは、主として、親水性でありタンパク抵抗性であることから、生物製剤用途向けの限外濾過膜用ポリマー原料として使用されてきた長い歴史を有する。セルロースは、ある単位のアノマー炭素がβ−グルコシド結合によって隣の単位のC−4水酸基に連結したD−グルコースの繰り返し単位を有する直鎖多糖である。セルロースには、様々な誘導型が存在するが、その多くが膜製造に使用されている。
セルロース系の膜は、しばしばその低いタンパク質結合特性が評価されており、この特性は、多くの生物製剤用途において重要な性質である。遺憾ながら、ある種の用途では、セルロース系限外濾過膜は、改変を施さない限り物理的に弱く不安定であることがある。
セルロース系膜の物理的頑強さおよび耐久性の改良に向けて多くの努力が払われてきた。1つの戦略は架橋を用いるものである。1975年2月4日付けでJ.L.Rendallに発行された米国特許第3,864,289号、およびT.C.Gsellによる欧州特許出願87310826.0号(公開番号第272842AZ,1988年6月29日)を参照のこと。この戦略によって有望な結果が得られるようであるが、しばしば、どのような耐久性の改善も、化学的および/または表面諸特性を犠牲にしてなされることに気づく。この点に関して、セルロースの低いタンパク質結合性が多糖類の数個の水酸基部分に帰せられることが注目される。架橋がこうした部分で生じるので、多糖類上のこのようなタンパク質と反発する官能基は、このような各反応によって消費される。したがって、架橋を用いてセルロース膜をより頑強かつ耐久性のあるものにする限り、膜のタンパク質の結合に対する抵抗性が低くなる。
さらに、架橋前には、セルロース膜は一般に低い耐アルカリ性を有している。今日知られている技術の下で架橋を行うと、この生来の感受性が損なわれる。つまり、本発明者が現在知る限りで、こうした技術はすべて、アルカリ溶剤を使用して行われているからである。アルカリのセルロース水和物膜に対する攻撃は、最初は膜の収縮および膨張を引き起こし、最終的に膜の破壊をもたらすことを特徴とする。
アルカリに対する感受性は、生物製剤用途では欠点である。1つには、このような用途において膜を蘇生させるために(すなわち、一定期間使用後にその濾過能力を再生するために)しばしば使用される清浄化溶液が、一般にアルカリ性であるからである。
上記に照らして、親水性で、(たとえば、温度および物理的ストレスに対して)耐久性があり、アルカリ溶液による分解に対して耐性があり、また使用時にその表面から抽出され得る物質が低レベルである、タンパク質抵抗性表面をもたらす膜の改変が必要とされている。
上記に照らして、本発明の第1の目的は、酸触媒架橋反応の結果得られる架橋セルロース膜を提供することである。
本発明の別の目的は、多官能性(すなわち非立体障害性反応性基を1つより多く有する)N−アルキルオキシ架橋剤を使用した酸触媒架橋反応の結果得られる架橋セルロース膜を提供することである。
本発明の別の目的は、温度変動の結果、特に室温より高い温度の結果として平均孔径が実質上変化しない、架橋セルロース性膜を提供することである。
本発明の別の目的は、工業的生物製剤製造にとって典型的または一般的な限外濾過処理の使用に適する架橋セルロース膜を提供することである。
本発明の別の目的は、生物製剤製造の状況で、オートクレーブし蒸気殺菌することができ、また良好な耐久性および機能性(たとえばフラックス)を保持しながらアルカリ性清浄化剤によって再生することができる、架橋セルロース膜を提供することである。
本発明の別の目的は、高温下で構造的に安定で、アルカリ溶液に対して耐性があり、低い被抽出含有物、低いタンパク質親和性を有する、架橋多孔質セルロース性膜を提供することである。
本発明の別の目的は、電荷の改変を受けていない基材膜の限外濾過能力を大部分保持した荷電表面を有する親水性限外濾過膜を提供することである。
本発明の別の目的は、フィルムのセルロース性成分の酸性条件下での架橋を伴う比較的劣化のない改変処理によって作成される多孔質セルロース性フィルムを提供することである。
前記の必要性に応えて、本発明は一般に、セルロース性ポリマーと架橋試薬から酸で触媒される架橋反応によって形成される架橋ポリマーを有する膜を提供する。具体的な一実施形態では、セルロース性ポリマーは、架橋可能な水酸基部分をかなりの量含み、架橋剤は、酸性溶液中で求電子イオンを放出することができるものであり、この求電子物質は、その架橋を行うためにセルロース性ポリマーの水酸基部分と反応することができる。得られる膜、すなわち架橋したセルロース性膜は、良好な親水性、耐久性、タンパク質抵抗性、アルカリ溶液耐性、成型性、圧縮性および流動性(flux)を有する。所望であれば、表面電荷は、架橋ポリマーの前記層の表面上に荷電部分を共有結合させることによって提供することができる。
表面電荷の改変は、1段階プロセスまたは2段階プロセスのいずれかによって行うことができる。
主要な実施形態では、本発明の架橋セルロース膜は実質上親水性であり、したがって、水と接触すると本質的に濡れることになる。加えて、このような膜は、ほとんどまたはまったくタンパク質結合を示さない。本発明の膜は、正電荷または負電荷のどちらかを保持できるので、タンパク質に富む水溶液中に潜在的に存在する種々様々な粒子を単離するように構成しそのために使用することができる。
本発明の本質および目的をより十分に理解するために、以下の詳細な記載を添付の例示的実施例と併せて考慮すべきである。
本発明は、とりわけ、巨大分子液の分離(たとえば、タンパク質の濾過)用に適した膜を提供する。この膜は、セルロース性ポリマーと酸で活性化できる架橋剤とから形成される架橋ポリマーを有する。セルロース性ポリマーは、架橋可能な水酸基部分をかなりの量含む。架橋剤は酸性溶液中で求電子イオンを放出することができ、求電子イオンは、セルロース性ポリマーの水酸基部分と反応してその架橋を行うことができるものである。膜は耐久性で、タンパク質を過剰に結合することはない。
本発明の膜は、基材のセルロース性膜(作成するかまたは市販品を購入)から、それを架橋溶液中に浸漬しまたは架橋溶液で処理し、硬化させて作成される。完成した架橋セルロース膜の基本的な形態(たとえば、寸法、形など)は、基材の未架橋セルロース膜の形態と比較的同じままである。最初の(および/または中間)基材が、顆粒状、焼結体、繊維状または他の形態を有している場合、基本的には完成品中にそのまま残るはずである。もちろん、綿密な検査(化学分析、光分散分析および顕微鏡などで)をすれば、比較的より剛性の構造(膨張に対する比較的高い抵抗性を示す)や、架橋に特徴的な光学的識別特性の存在など、架橋処理をした証拠となる徴候が明らかになるはずである。このような方法は、架橋の存在を決定するために使用される。使用した架橋剤の化学種を決定および/または確認するために、別の方法が必要となることもある。
厚さ、密度、可塑性、および他のこのような物理的属性は、使用した基材セルロース膜に依存する。最も広い意味で、本発明はこのようなどんな物理的特徴にも限定されるものではない。
形態を使用して本発明を特徴づけることが考えられるが、たぶん多孔性を使用する方がよいと考えられる。基材セルロース膜の多孔率は、架橋前は、かなり多様であり得る。セルロース膜は、広範囲の孔径範囲で、すなわち、いわゆる「清澄」グレード(約10〜100ミクロン範囲)のものからいわゆる「精密濾過」グレード(約0.1〜1ミクロン範囲)のものまで、さらにいわゆる「限外濾過」グレード(通常約0.1ミクロン未満)のものまでで提供され、かつ/または入手可能である。このようなセルロース性膜はすべて、その平均孔径にかかわらず、本明細書に記載した酸触媒架橋処理によって、何らかの用途と恩恵を受けると想定される。
しかし、限外濾過膜には特別な関心が寄せられている。背景技術の箇所で記載したように、限外濾過膜は、タンパク質に富む流体が関係する生物製剤の分離用に慣習的に用いられており、限外濾過の孔径は、このような用途で見られる典型的粒子のサイズの範囲により適切に合致する。また、上記にも述べたように、タンパク質結合およびアルカリ洗液の劣化が差し迫った問題であるのは、生物製剤の分離である。
このような限外濾過タイプのセルロース性膜について、基材セルロース性出発物質を本発明による酸触媒架橋剤で処理すると、出発時の多孔率とほんの少しだけ異なる最終多孔率を有する完成品が製造される。従来技術において実現されるフラックス性能よりはかなり劣るが、この良好なフラックス性能は、生物製剤の分離にとって重要である。フラックスは、液体の処理能力を膜面積当たりある時間にわたって測定するという多孔率の間接的測度であり、大きくなければならず、さもないとあまりに遅すぎて商業的に利用できなくなる恐れがある。
わずかであっても、フラックスは減少するものである。したがって、性能に対する要求が厳しく妥協を許さない場合、所望の最終孔径を得るためにはこのような減少を予測し考慮に入れるべきである。以下に提供する実施例は、当分野の技術者に、どの程度の減少が生じるかの見通しを与えるはずである。生物製剤分離では、約0.02〜約10ミクロンの最終平均孔径を有する膜が一般的に所望される。
本発明のセルロース膜の孔の形状は、対称または非対称のどちらでもよい。非対称形状の場合、膜の1つの表面の平均孔径は、反対側表面の平均孔径とは著しく異なり、膜のバルクを通して徐々にまたは段階的に遷移する。対称形状の場合、孔径は本質的に膜の全体を通じて一定のままである。生物製剤分離では、非対称形状は、一部にはそのより「オープン」な構造のおかげで、良好かつ/または許容可能な保持力を維持しながら、良好なフラックスをもたらすことができる。
本発明は、本明細書の説明で使用されるいかなる理論にも限定されない。酸を触媒とする多官能性N−アルキルオキシ架橋剤による処理によって膜に与えられる有益な諸特性は、原因をたどると、架橋が非劣化性の酸性環境で起こることにあるとわかる。従来技術で、架橋は一般にアルカリ性溶液中で行われ、したがって、基材セルロースのアルカリ加水分解による変性作用を伴なっていた。他の要因も働くようであるが、現在のところ、架橋処理の根底をなす比較的温和な酸の化学的性質が、本発明の膜の耐久性を決定する主な要因であると思われる。
本発明のセルロース性基材材料は、種々のセルロースの酢酸エステル(たとえば、二酢酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース)、酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース、ならびにセルロースの他のエステル類およびエステル類を含めて、知られているセルロースフィルム形成材のどれから形成することもできる。このセルロース性材料のリストは代表的なものにすぎず、決して限定的なものではない。セルロース性材料の混合物も使用できる。
セルロース以外に、他の多糖類(アガロースなど)から作成される基材膜も、特に本明細書で定義する多官能性N−アルキルオキシ架橋剤を使用した酸性溶液中でやはり架橋される可能性が高いことがあり得る。すべての利点が現在わかっているわけではないが、このような処理によって、少なくともより耐久性の大きい多糖類の膜が製造されるはずである。
現在好ましい基材セルロース膜は、再生セルロースから作成したものである。再生セルロースは、溶液からセルロース沈殿によって形成される。たとえば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,Vol.5,pg.70−163,J.Wiley & Sons(1979)を参照のこと。再生セルロース膜は、様々な形状で存在し得る。それには、100%再生のセルロース、または再生セルロースと少なくとも1つの異種材料(たとえば、バージンセルロース、合成繊維、合成単繊維など)との混合物が含まれ得る。
本発明に使用される基材セルロース膜は、「外皮付き」でも「外皮なし」でもよい。外皮(skin)は、比較的薄く緻密な、膜の下部構造と一体の表面層である。外皮付きの膜では、外皮が膜を通過する流れに対して最も大きな抵抗の原因となる。微孔質膜でも限外濾過膜でも、表面外皮は、それが存在する場合、外部表面から外皮下の膜の連続孔構造に通じる孔を含む。外皮付き微孔質膜および限外濾過膜では、穴は外部表面領域のわずかな部分にある。対照的に、外皮なしの膜は外部表面の大部分にわたって多孔性を示す。膜の外部表面の多孔性(すなわち、たとえば、走査型電子顕微鏡で見たときの膜の外部表面の孔の配置)とは、単一(独立)孔が膜の外部表面に均一に分散している多孔性、または多孔性領域が離散している多孔性、あるいはそれらの混じりあったものであり得る。表面多孔率とは、膜の外部表面に適用される場合、外部表面の孔の開口部によって確定される面積と外部表面全表面積の比である。
前述のように、本発明の膜は、基材セルロース膜を非劣化性酸性媒体中で架橋させることによって作成される。非劣化性酸性媒体すなわち架橋溶液は、通常、架橋剤(単量体または低重合体)と酸触媒を含む。本明細書で想定される種類の架橋を行うために、架橋剤は、求電子イオンを酸性溶液中に放出できるか、または別の方法で提示できなければならない。酸性溶液中で、求電子イオンは、セルロース性ポリマーの水酸基部分と反応してその間で架橋を行うことができる。このような機能を提供する架橋剤の1グループが、多官能性N−アルキルオキシ架橋剤である。適切なN−アルキルオキシ架橋剤は、芳香性でも非芳香性でもよく、Nは環内性または環外性である。
本発明にとって好ましい架橋剤は、サイメル(Cymel)385やパウダーリンク(Powderlink)1174などの多官能性N−メチルメトキシ化合物である。これらは、求電子イオン(たとえば、カルボニウムイオン)を酸性溶液中に放出し、このイオンが、セルロース上の水酸基と反応して架橋をもたらす。図1参照。非立体障害性の反応性基、たとえばペンダントカルボキシル基を1つより多く含むという意味で、それらは「多官能性」である。より望ましくは、架橋剤は3つ以上の官能性反応部位を有するべきで、この官能性反応部位は、幾何的により安定な架橋を与え、これによってより大きな構造的剛性、ならびに成形および圧縮に対するより大きな抵抗性が付与される。
サイメル385は、具体的な好ましい架橋剤であり、アルキル化度の低いメチル化されたメラミンホルムアルデヒド樹脂で、Cytec Industries(West Patterson,New Jersey)から入手可能で、下記式を有する。
Figure 2004314073
式中、Rはメチル(すなわち、サイメル385の場合)であるが、他のアルキルでもよい。
パウダーリンク1174樹脂は、別の具体的な好ましい架橋剤であり、主としてテトラメトキシメチルグリコウリルを含む高単量体アミノプラスト樹脂で、やはりCytec Industriesから入手可能で、下記式を有する。
Figure 2004314073
式中、Rはメチル(すなわち、パウダーリンク1174の場合)であるが、他のアルキルでもよい。
パウダーリンク1174もサイメル385樹脂もどちらも、スルホン酸などの酸触媒の存在下で、その水酸基部分でセルロースを架橋させる。最も望ましくは、架橋反応(一般に図1に示されるような)が弱ないし中程度の酸性状態、たとえばpH約2〜4で生じることが意図される。このような酸性状態で作用する触媒のタイプはよく知られている。現在好ましい酸性触媒は、サイキャット(Cycat)4040、すなわちトルエンスルホン酸触媒であり、やはりCytec Industriesから入手可能である。より強い酸性条件、例えばpH約1〜2も考えられるが、酸の分解が問題となる恐れがある。
セルロース膜基材に塗布される典型的な架橋配合物には、多官能性の単量体または低重合性の架橋剤および酸触媒をその中に溶解させた水溶液(たとえば、水、メチルエチルケトン、メチルペンタンジオール、アセトン、メチルケトン、またはエチルケトンなど)が挙げられる。この配合物を(たとえば、噴霧、浸漬、洗浄、対流、または拡散インビビションなどによって)基材セルロース性膜に塗布し、処理された膜を、続いて架橋が行われる状態(たとえば、高温または化学線にさらす)に供する。
具体的な多官能性単量体架橋剤および酸触媒が本明細書に挙げられているが、本発明はこのような特定の薬剤に限定されるものではない。そうではなく、これらが所望の効果、すなわち酸性環境で基材セルロース膜の架橋を行うという効果を生じるという理由で、ここで使用されることを銘記すべきである。このように働くN−アルキルオキシまたはN−メチルメトキシ架橋剤も多分使用できるが、得られる架橋セルロース膜が、すべて同一の技術的および/または商業的利用可能性を有するとは限らない。架橋剤(および酸触媒)として使用される他の具体的な有望な候補をスクリーニングする際に考慮すべき要因には、加水分解安定性、反応速度、および分子の剛性が挙げられる。
架橋剤単量体および酸触媒の使用濃度は、最終セルロース膜に求められる諸特性に応じて変わる。しかし、一般に、単量体は全重量で溶液の約2%〜10%含まれ、触媒はそれより少ない分量で存在する。単量体および酸触媒の濃度は反応の長さおよび実施に影響を及ぼし、温度など他の要因も同様である。
現在本発明で企図している種類の生物製剤用途(たとえば、タンパク質に富む流体の分離)用の膜の実施形態を調製する際には、「過剰」と「不足」の間のバランスが絶えず問題となる。架橋が過剰であると、フラックスが許容できないほど減少した製品をもたらすことがある。処理された膜の孔が、架橋の結果過度に塞がれることになる。一方、架橋が不十分であると、出発製品とそれほど差異のない製品をもたらす。自分の具体的必要性を考慮して適切な中程度の領域を選択することが、当分野の技術者に委ねられる。
原料セルロース性材料は、一から製造するのではなく市場かまたは膜メーカーの基材の現存ストックから入手することが想定されるが、一から製造することがまったく除外されるわけではない。
セルロース膜製品のいくつかの製造業者および/または販売業者およびその製品が知られている。たとえばミリポアコーポレーション(Millipore Corporation、Bedford、Massachusetts)は、孔径範囲0.025〜8ミクロンの混合セルロースエステル(硝酸と酢酸)膜を商品名「MFミリポア(millipore)」で、限外濾過に適した孔径範囲の再生セルロース膜を商品名「ウルトラセル」(Ultracell)で現在製造販売している。サルトリオース(Sartorious)株式会社(Goetingen,Germany)は、孔径範囲0.2〜0.8ミクロンの酢酸セルロース膜をカタログ名「タイプ111」で、孔径範囲0.2〜0.45ミクロンの再生セルロース膜をカタログ名「タイプ184」で、孔径範囲0.1〜0.8ミクロンの硝酸セルロース膜をカタログ名「タイプ113」で販売している。パルコーポレーション(Pall Corporation、East Hills,New York)は、孔径範囲8〜35ミクロンの「純セルロース膜」を商品名「パルセル(PallCell)」で販売している。ファットマンカンパニー(Whatman Company,英国)は、広い孔径分布(すなわち、0.22〜5.0ミクロン)を有する混合エステルセルロース膜を提供している。これらおよび他の市販セルロース膜は、本発明の原材料として供給されまたは(たとえば、そうしたメーカーで)本明細書に記載した斬新な要素を取り込むように再設計される。下記実施例では、ミリポアコーポレーション製造の「ウルトラセル」膜を、基礎の基材膜材料として使用する。
注文製作の基材膜が欲しい場合、当分野の技術者には、膜製造方法を記載した数報のよく知られた技術論文が利用できる。
にもかかわらず、限外濾過用単一グレードの膜については、酢酸セルロースポリマー溶液を、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンから形成した不織布基材上に浸漬キャストすることによって形成できる。キャスト操作は、キャストされる膜の厚さが通常約100ミクロン程度となるように調整する。キャスト膜は、大気と約1分間接触したままにして、溶剤を蒸発させ、その後で約1℃の温度の水に浸漬し、そこに十分な時間おいて硬化させ、未蒸発の溶剤を拡散によって水中へと除去する。
不織布基材は、その上に形成される限外濾過層に比べて、通常、有効径で数百ミクロン程度の比較的大きな孔を有している。限外濾過層は、通常、限外濾過層と基材の機械的からみあいによってある程度まで基材に結合する。次いで酢酸セルロースを0.5Nの水酸化ナトリウムなどの強塩基を使用して加水分解してセルロースとする。
あるいは、セルロースを、塩化リチウムなどの塩を添加したジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドンなどの溶剤の溶液に溶解させることもできる。このセルロース溶液を用いて、複合膜を形成し、続いて基材の加水分解を行う必要をなくすことができる。
以下の実施例で使用するような出発セルロース限外濾過膜を作成するに適した方法の具体的詳細は、たとえば、1996年6月4日付けでR.Tuccelliらに発行された米国特許第5,522,991号に出ている。
実施例で使用する具体的な基材膜では、架橋は、約25から約90℃の温度範囲で行うべきである。反応時間は、反応膜の目的とする用途に依存し得る。一般に、約4時間程度の時間が普通のはずである。明らかに、いかなる温度でも、反応時間が長くなるほど、膜セルロース性ポリマーのより緻密でより大規模な架橋がもたらされる。架橋の程度が増大すると、通常、所与の溶質/溶剤系に対する膜の反発性が増大(すなわち、選択性が増大)し、それに伴ってフラックスが低下する。上記に示唆したように、過剰な架橋は、フラックスの許容できないほどの低下をもたらし、さらには膜を望ましくないほど脆弱にまたは脆くすることもある。
所望であれば、本発明の架橋セルロース膜の表面電荷を改変して、負電荷または正電荷のどちらかを添加または増幅することもできる。表面電荷の改変は、1段階プロセスと2段階プロセスのどちらによって行うこともできる。
1段階プロセスでは、架橋セルロース膜と、セルロースポリマー上でまだ利用可能な残留水酸基部分と結合可能な試薬(ならびに多官能性架橋剤上の「未」結合部分ならどこでも)とを、正または負に荷電したイオン性基を形成する条件の下で反応させる。正に荷電したイオン性基の形成に適した試薬の代表には、次式の化合物が挙げられる。
Figure 2004314073
式中、Xは、塩素または臭素などのハロゲンであり、Yはアニオンであり、R’sは、同一でも異なっていてもよい1〜5個の炭素原子を有するアルキルであり、nは0または1〜5の整数である。nが1である試薬は、基材膜の親水性の変化を最小限に抑えるので、これらの試薬を使用することが好ましい。適切な試薬の代表には、グリシジルトリメチル塩化アンモニウム、(2−クロロエチル)トリメチル塩化アンモニウム、(3−ブロモプロピル)トリメチル塩化アンモニウムなどが挙げられる。
負に荷電したイオン性基の形成に適した試薬の代表には、式X(CHAの化合物またはそのアルカリ金属塩があり、式中、nは1〜5の整数であり、Xはハロゲンであり、Aはカルボキシルまたはスルホン酸塩である。nが1である試薬は、基材膜の親水性の変化を最小限に抑えるので、これらの試薬を使用することが好ましい。適切な試薬の代表には、クロロ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸、ハロアルキル酸、2−クロロエチルスルホン酸などが挙げられる。
1段階プロセスでは、表面改変反応が、基材膜の限外濾過特性維持に適した時間、温度、pH、および試薬濃度の条件で行われ、それでも所望の表面荷電を生じる。温度が高くなるほど、反応時間が長くなるほど、かつ/または試薬の濃度が高くなるほど、膜基材の改変増大が促進される。したがって、改変された膜が限外濾過膜として作用できる能力を維持しながら、所望の膜の改変が得られるように、これらの諸条件のバランスをとる。たとえば、試薬の濃度は、約1〜40%の濃度の範囲とすることができる。反応時間は約1分〜約24時間まで変わり得る。反応温度は、約25℃から最高その試薬のほぼ沸点温度までの範囲とすることができる。
2段階プロセスでは、第1の段階で、基材セルロース膜を、セルロース性ポリマーの水酸基に結合した、酸で活性化された多官能性架橋剤と、ポリマーの架橋を実行する条件の下で反応させる。この架橋剤は、架橋に関与しない部分を有するが、特に第2の試薬と反応性であって、第2の試薬と反応するとイオン性基を生じる。第2の段階では、架橋ポリマーが、第2の試薬と反応し、第2の試薬は、架橋時に、ポリマー膜と優先的に結合する。
2段階プロセスでは、正に荷電した限外濾過膜の形成用に適した第2試薬としては、モノアミン、ジアミン、スルフヒドリル基またはアルコキシド基を有する化合物を含めて求核性基を有する試薬が挙げられる。求核性基を有する適切な試薬の代表としては、トリメチルアミン、エチレンジアミン、およびN−ジメチルエチレンジアミンなどのN−ジアルキルアルキレンジアミンが挙げられる。
2段階プロセスでは、第2の反応に適した反応条件の代表として、1段階プロセスについて上記に述べた条件、すなわち基材膜の既存の限界濾過特性を維持しかつ/または別の方法で保護し、しかも改変膜を形成する条件が挙げられる。
下記実施例で本発明をさらに例示するが、本発明はそれだけに限定されるものではない。
グリコウリル、すなわちパウダーリンク1174(Cytec Inc.,West Patterson,New Jerseyから入手可能)の10%溶液を、その固体10gを水89.2gに溶解させて調製する。触媒量(すなわち0.80g)のCycat 4040トルエンスルホン酸触媒をその溶液に添加する。
5kDaの公称分子量限界(NMWL)を有する複合再生セルロース膜、すなわちミリポア「ウルトラセル」PLCCCを得る。この複合再生セルロース膜は、基材膜として働き、微孔質のポリエチレン基材上にキャストした再生セルロースの多孔層を有する。
基材膜を、予めイソプロピルアルコールで湿らせ、水と「溶媒交換」させる。基材膜は、架橋溶液を入れたジャーの中で4時間90℃で基材膜を緩やかに転がすことによって、10%パウダーリンク1174溶液で処理する。得られた架橋膜を、水で3回洗浄した。
架橋膜サンプルおよび非架橋の基材膜のサンプル(すなわち対照サンプル)を、浸透性およびデキストラン反発について評価する。
非架橋基材膜のフラックスは、1.1lmh/psiであった。架橋膜のフラックスは、0.8lmh/psiであった。非架橋基材膜のR90、すなわち、基材膜によって90%が排除された場合のデキストラン分子の分子量は、3.7kDaであった。架橋膜のR90は3.1kDaであった。
1M水酸化ナトリウムで室温にて30時間処理した後、非架橋基材膜のR90は、7.0kDaまでに増加し、フラックスは2.38lmh/psiに増加した。このデータは、水酸化ナトリウムの影響でセルロース孔が拡大したことを示唆する。同じアルカリ性条件の下で、架橋膜は、はるかに大きな弾力性を示し、4.7kDaのR90および2.09lmh/psiのフラックスを有していた。
実施例1と同様にして、水を充填した複合再生セルロース膜(すなわち、ミリポア「ウルトラセル」PLC10−K)を、0.8%のCycat 4040触媒を含む7.5%パウダーリンク1174水溶液で88℃で3時間処理する。この複合膜は、微孔質のポリエチレン基材上にキャストした再生セルロース膜を含み、約10kDaの公称分子量限界(NMWL)を有する。
架橋膜のサンプルおよび非架橋基材膜のサンプル(すなわち対照サンプル)を、デキストラン反発について評価する。
デキストラン反発データは、架橋膜で6.1kDaのR90値、非架橋基材膜で6.6kDのR90値を示す。
架橋膜および非架橋基材膜のサンプルを、1M水酸化ナトリウムで室温で30時間処理した。非架橋基材膜は、水酸化ナトリウムにさらした後、9.6kDaのR90を有していたが、架橋膜は6.6kDaのR90で、比較的安定なままであった。
セルロース膜は、圧力を受けて圧縮することが知られている。圧縮は、濾過中、膜を通って発生する圧力が上昇するときにしばしば生じ、しばしば浸透率の低下をまねく。たとえば、単位あたり5psiの印加圧力で測定したフラックスは、同じ単位あたり25psiの印加圧力で測定したフラックスより大きくなる。
本発明に従って作成した架橋膜に対する圧力の作用を評価するために、比較的大きな(すなわち300kDaの範囲の)NMWLを有する基材膜をN−メチルメトキシ架橋剤により酸中で架橋させる。具体的には、架橋溶液は、パウダーリンク1174 5gをメチルペンタンジオール中に溶解することによって調製する。次いで、基材膜、300kDaの公称分子量限界(NMWL)を有する複合再生セルロース膜、すなわちミリポア「ウルトラセル」PLCZKが得られる。この基材膜は、微孔質ポリエチレン基材上にキャストした再生セルロースの多孔質層を有する。
架橋溶液は、塗布したとき、基材膜を完全に濡らす。基材膜はこの溶液を入れたジャーの中で75℃で4時間転がした。
得られた架橋基材を洗浄した後、5、25、50psiの印加圧力でフラックスを測定した。非架橋サンプルもテストした。すべてのケースで、架橋膜は、印加圧力が増加するにつれて、小さなフラックスの減衰を示した。非架橋の基材膜の性能と比べて、25〜40%の範囲の改善が見られた。
メラミンホルムアルデヒド樹脂、すなわちサイメル385(West Patterson,New Jersey のCytec Inc.から入手可能)の架橋溶液を、その固体(4重量%)をメチルペンタンジオール中に溶解することによって調製する。次に触媒量(すなわち、0.2重量%)のCycat 4040トルエンスルホン酸触媒をこの溶液中に添加した。
300kDaの公称分子量限界(NMWL)を有する基材複合再生セルロース膜、すなわちミリポア「ウルトラセル」PLCZKが得られる。この複合再生セルロース膜は、基材膜として働き、微孔質ポリエチレン基材上にキャストされた再生セルロースの多孔質層を有する。
基材膜は、架橋溶液で、この溶液を入れたジャー中で75℃で1時間、静かに転がすことによって処理する。洗浄後、架橋および非架橋膜のフラックスを5および25psiで測定した。非架橋膜のフラックスは高いほうの圧力で24%減少したが、架橋膜のフラックスはわずか11%の減少にすぎなかった。
10kDaのNMWLを有する基材セルロース膜をメラミンホルムアルデヒド樹脂、サイメル385の5%の溶液を使用して架橋させる。基材セルロース膜(すなわち、ミリポア「ウルトラセル」PLGCC)は、微孔質ポリエチレン基材上にキャストされた再生セルロースの多孔質層を有する。反応時間および温度は、2.5時間、75℃であった。この反応を図1に概略的に示す。基材膜のフラックスは約8lmh/psiであった。架橋後、フラックスは約4lmh/psiであった。基材膜のR90は、約10,200であった。架橋後、R90は約10,500であった。架橋膜を40℃の1M水酸化ナトリウム中に30時間入れておく。架橋膜のフラックスは、5lmh/psi、R90は10,360であった。本質的に、R90では顕著な変化は起こらない。
わずか数例の本発明の例示的実施例について考案したが、本明細書の記載を考慮すれば、当分野の技術者には様々な変更が明らかになることが理解される。このような変更はすべて、下記請求の範囲に包含される本発明の精神および範疇に含まれる。
本発明の一実施形態による架橋セルロース膜の製造法の根底をなすと思われる化学反応を示す式である。この方法の詳細は、たとえば下記の実施例5により完全に記載されている。

Claims (12)

  1. 架橋ポリマーが、セルロース性ポリマーと架橋剤から形成され、前記セルロース性ポリマーは架橋可能な水酸基部分を有しており、前記架橋剤は、酸性溶液中で求電子化学種を放出することができ、前記求電子物質は、前記セルロース性ポリマーの水酸基部分と反応してそのセルロース性ポリマーの架橋を行うことができる、架橋ポリマーを含む膜。
  2. 前記架橋剤が、多官能性の芳香族もしくは非芳香族の環状N−アルキルオキシ化合物または前記N−アルキルオキシ化合物のアルキルエーテルであり、Nは環内性または環外性である請求項1に記載の膜。
  3. 前記架橋剤が、多官能性N−メチルメトキシ化合物または前記多官能性N−メチルメトキシ化合物のアルキルエーテルである請求項2に記載の膜。
  4. 前記架橋剤が式
    Figure 2004314073
    (式中、Rはアルキル基である)
    を有する請求項3に記載の膜。
  5. 前記架橋剤が式
    Figure 2004314073
    (式中、Rはアルキル基である)
    を有する請求項3に記載の多孔質合成膜。
  6. 前記膜が限外濾過に適した形状を有する請求項1に記載の膜。
  7. 前記セルロース性ポリマーが再生セルロースである請求項1に記載の膜。
  8. さらに、多孔質ポリマー基材を含み、前記多孔質ポリマー基材は、前記架橋ポリマーを支持し、前記多孔質ポリマー基材の多孔率が、前記架橋ポリマーの多孔率より大きい請求項1に記載の膜。
  9. さらに、前記架橋ポリマーの表面に共有結合した荷電部分を含み、前記荷電部分が負電荷を帯びた部分である請求項1に記載の膜。
  10. さらに、前記架橋ポリマーの表面に共有結合した荷電部分を含み、前記荷電部分が正電荷を帯びた部分である請求項1に記載の膜。
  11. 前記架橋ポリマーの多孔質層が正面と背面を有し、前記正面の平均孔径が、背面の平均孔径より大きい請求項1に記載の膜。
  12. 前記架橋ポリマーが多糖類と架橋剤とから形成され、前記多糖類は架橋可能な水酸基部分を有し、前記架橋剤が多官能性の芳香族もしくは非芳香族の環状N−アルキルオキシ化合物、または前記アルキルオキシ化合物のアルキルエーテルであり、Nは環内性または環外性である、架橋ポリマーを含む膜。
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