JP3097436B2 - 高圧電源装置 - Google Patents

高圧電源装置

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JP3097436B2
JP3097436B2 JP06029035A JP2903594A JP3097436B2 JP 3097436 B2 JP3097436 B2 JP 3097436B2 JP 06029035 A JP06029035 A JP 06029035A JP 2903594 A JP2903594 A JP 2903594A JP 3097436 B2 JP3097436 B2 JP 3097436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビジョン受像機や
ディスプレイ装置等に用いられるフライバックコンバー
タ式の高圧電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3には従来の一般的なフライバックコ
ンバータ方式の高圧電源装置の主要部分の回路が示され
ている。同図において、フライバックトランス1のコア
2に、一次コイル3と二次コイル4とが巻装されてお
り、一次コイル3の一端側には電源電圧Vi の駆動電源
(図示せず)が接続されている。一次コイル3の他端側
にはメインスイッチ5が接続されており、このメインス
イッチ5にはダイオード6が並列接続されている。
【0003】フライバックトランス1の二次コイル4の
出力側は高圧整流ダイオード7と高圧コンデンサ8とか
らなる半波整流回路を介して陰極線管(図示せず)のア
ノードに接続されている。
【0004】フライバックトランス1から陰極線管に加
えられる高圧出力電圧はブリーダ抵抗器9,10により抵
抗分割されて検出されており、この高圧検出電圧はパル
ス幅制御回路11に加えられている。パルス幅制御回路11
は図4の(a)に示すような矩形パルスを持った周期T
S が一定の固定周波数のスイッチ制御信号S1を前記メ
インスイッチ5に加えており、メインスイッチ5はスイ
ッチ制御信号のオンパルス幅だけスイッチをオン駆動
(閉駆動)する構成となっている。
【0005】このパルス幅制御回路11を備えたパルス幅
変調方式の回路では、高圧出力電圧の変化に対応して、
つまり、高圧出力電圧の降下量が大きくなるに従い、ス
イッチ制御信号のオンパルス幅を広くしたスイッチ制御
信号を作り出してメインスイッチ5に加え、高圧出力電
圧の安定化制御が行われるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この種の高圧電源装置
の回路では、フライバックトランスの二次コイル4の巻
数が多いため、二次コイル4の寄生容量CS が大きくな
り、この二次側の寄生容量CS を一次側に換算した一次
側の換算容量CP も大きな値となる。この換算容量CP
が大きくなると、該換算容量CP と一次コイル3のイン
ダクタンスLP で定まるフライバックトランス1の共振
周波数fr を高くすることができず、このため、メイン
スイッチ5がオフした後に、一次側から二次側に伝達さ
れなかったエネルギが、換算容量CP とインダクタンス
P との間で共振し、メインスイッチ5に印加されるフ
ライバック電圧VP1は図4の(b)に示すように振動
し、フライバック電圧VP1が零でないときにメインスイ
ッチ5がオンするため、そのメインスイッチ5のオンの
瞬間に図4の(c)に示すように一次コイル3の換算容
量CP を放電するスパイク電流IP が流れる。このよう
に、メインスイッチ5の印加電圧が零でない状態で大き
なスパイク電流が流れるため、メインスイッチのスイッ
チング損失が大きくなり、回路効率が低下するという問
題があった。
【0007】また、前記の如く、メインスイッチ5がオ
フした後、一次コイル3のインダクタンスLP と換算容
量CP との共振動作により、一次側の電圧(フライバッ
ク電圧)VP1 が振動して変動するため、次に、メイン
スイッチ5がオンするときの一次側電圧が一定に安定し
ないため、高圧の安定化を行う制御系の動作が不安定に
なるという問題があった。
【0008】本発明は上記従来の課題を解決するために
なされたものであり、その目的は、一次コイル側に発生
する換算容量CP に起因して生じるメインスイッチのス
イッチング損失による回路効率の低下や制御系の動作の
不安定化を解消することができる高圧電源装置を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、次のように構成されている。すなわち、本
発明は、フライバックトランスのコアに巻装される一次
コイル側にメインスイッチが接続され、フライバックト
ランスの二次側高圧出力検出電圧の変化に応じて前記メ
インスイッチに加える固定周波数のスイッチ制御信号の
オンパルス幅を可変するパルス幅制御回路が設けられて
いるフライバックコンバータ方式の高圧電源装置におい
て、前記フライバックトランスのコアに巻装される補助
コイルと、この補助コイルに流れる電流をオン・オフす
る補助スイッチと、フライバック電圧制御回路とを有
し、前記フライバック電圧制御回路は、前記補助コイル
の出力電圧を検出し、メインスイッチがオフした後フラ
イバックトランスの一次コイルにフライバック電圧のパ
ルス状波高部が発生した以降に前記補助コイルの検出電
圧が負側から立ち上がって零電圧に達したときに前記補
助スイッチをオンする回路部分と、前記メインスイッチ
のオン起点から次のメインスイッチのオン起点までの区
間をメインスイッチのスイッチ制御信号の固定周期と成
し予め定めた時間だけ前記固定周期の終点の手前位置で
補助スイッチをオフしてメインスイッチがオンするまで
の時間内に前記フライバック電圧を零電圧に落とす回路
部分とを備えていることを特徴として構成されている。
【0010】
【作用】上記構成の本発明において、メインスイッチが
オフすると、フライバックトランスの一次側にフライバ
ック電圧のパルス状波高部が発生する。このパルス状波
高部の電圧の大きさは、二次側の高圧出力電圧の降下量
が大きくなるほど大きな電圧となって高圧出力電圧の降
下量が補償され、高圧出力電圧の安定化が行われる。
【0011】前記メインスイッチがオフしてフライバッ
ク電圧のパルス状波高部が発生した後に、補助スイッチ
がオンし、補助コイルに電流が流れる結果、補助コイル
と同一のコアに巻装されているフライバックトランスの
一次コイルはショート状態となり、一次側のフライバッ
ク電圧は駆動電源の電源電圧に等しい一定の電圧に保持
される。そして、補助スイッチがオフすると、フライバ
ック電圧は次にメインスイッチがオンするまでの時間内
に零電圧に低下し、この零電圧の状態で、メインスイッ
チがオンして回路動作が継続する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1には本発明に係る高圧電源装置の一実施例の
要部構成が示され、図2には同装置の動作を示すタイム
チャートが示されている。なお、本実施例の説明におい
て、従来例と同一の名称部分には同一符号を付し、その
重複説明は省略する。
【0013】本実施例が従来例と異なる特徴的なこと
は、フライバックトランス1のコア2に補助コイル12を
巻装し、この補助コイル12の出力側にダイオード13を介
して補助スイッチ14を並列接続し、この補助スイッチ14
のスイッチ動作を制御してフライバックトランス1の一
次側に発生するフライバック電圧を制御するフライバッ
ク電圧制御回路を15を設けたことであり、それ以外の構
成は従来例とほぼ同様である。なお、前記補助スイッチ
14および補助コイル12のグランド側はアースに接地され
ており、補助スイッチ14には並列にダイオード16が接続
されている。
【0014】フライバック電圧制御回路15は、パルス幅
制御回路11と補助スイッチ14間に形成され、インバータ
17と、遅延回路18と、論理回路20と、位相シフト回路21
と、零ポイント検出回路22と、フリップフロップ回路23
とを有して構成されている。
【0015】零ポイント検出回路22は、補助コイル12の
出力側A点の電圧(図2の(h)の波形で示される電
圧)をモニタし、零電圧のポイントB点とC点を検出
し、その検出信号を論理回路20に加える。インバータ17
と遅延回路18と論理回路20は前記零ポイント検出回路22
で検出された零電圧のポイントB点とC点のうち、C点
のポイントのみを選択してそのC点の零ポイント検出信
号をフリップフロップ回路23に加える。
【0016】フリップフロップ回路23は、論理回路20か
ら前記C点の零ポイント検出信号を受けてハイ(H)の
信号を補助スイッチ14に加え、補助スイッチ14をオン駆
動(閉駆動)する。
【0017】一方、位相シフト回路21には、図2の
(c)に示すフライバック電圧波形の、駆動電源の電源
電圧Vi に等しい電圧の安定の状態から、零電圧に落ち
るまでの時間Δtが予め与えられている。同図の(b)
の補助スイッチ駆動信号S2により補助スイッチ14がオ
フすると、フライバック電圧は、Vi の電圧位置から一
次コイル3のインダクタンスLP と、二次コイル4の寄
生容量CS を一次コイル3側に換算した換算容量CP
の共振カーブに沿って降下するので、既知の値Vi、L
P 、CP を用いて、電圧Vi が零電圧に落ちるまでの時
間でΔtが容易に求められ、この求められた値Δtは予
め位相シフト回路21に与えられる。
【0018】位相シフト回路21はパルス幅制御回路11か
らメインスイッチ5に加えられるスイッチ制御信号の固
定周波数の周期TS からこのΔtを差し引いた時間を演
算し、パルス幅制御回路11に内蔵されているクロックの
信号を用いて、スイッチ制御信号S1(図2の(a))
によりメインスイッチ5がオンしたときからの時間を計
測し、前記TS からΔtを差し引いた時間となったとき
に、スイッチオン信号をフリップフロップ回路23に加え
る。フリップフロップ回路23は位相シフト回路21からス
イッチオフ信号が加えられたときにロウ(L)の信号を
補助スイッチ14に加えて補助スイッチ14をオフ(開)す
る。
【0019】本実施例の装置は上記のように構成されて
おり、次にその動作を図2のタイムチャートを用いて簡
単に説明する。パルス幅制御回路11は従来例と同様にフ
ライバックトランス1の二次側の高圧出力電圧の検出信
号を受け、図2の(a)に示すように、高圧出力電圧の
降下量が大きくなるに従い、オンパルス幅を広くしたス
イッチ制御信号をメインスイッチ5に加えてメインスイ
ッチ5のスイッチ動作を行う。スイッチ制御信号のオン
パルス幅が広くなると、その分、同図の(c)に示すよ
うに、一次コイル3側で発生するフライバック電圧のパ
ルス状波高部の幅が大きくなるので、一次コイル3に蓄
えられる電磁エネルギが大きくなり、高圧出力電圧の降
下分を補償して高圧出力電圧の安定化制御が行われる。
【0020】この高圧出力電圧の安定化動作に際し、メ
インスイッチ5がオンしている区間では、同図の(h)
に示すように、補助コイル12の出力側A点の電圧は正の
一定電圧状態を維持し、メインスイッチ5がオフする
と、補助コイル12のインダクタンスによって定まる共振
カーブに沿って降下し、零電圧のB点を経て負側の一定
電圧となり、次に共振カーブに沿って上昇し、零電圧の
C点に達する。
【0021】前記補助コイル12の出力側A点の零電圧の
ポイントB点およびC点の位置(タイミング)は零ポイ
ント検出回路22により検出され、この零ポイントのB点
とC点のうち、C点の零ポイントの検出結果が論理回路
20で選択採用されてフリップフロップ回路23に加えられ
る。フリップフロップ回路23はこのC点の零ポイント検
出信号を受けて補助スイッチをオンする。
【0022】補助スイッチ14がオンすると、補助コイ
ル12に図2の(g)に示す電流が流れる結果、共通の
コア2に巻装されている一次コイル3はショート状態と
なり、点に発生するフライバック電圧は、図2の
(c)に示すように、駆動電源の電源電圧Vに等しい
一定電圧となり、補助スイッチ14がオンしている間そ
の電圧Vを維持する。
【0023】位相シフト回路21はメインスイッチ5がオ
ンしたときからの時間を計測し、周期TS から前記Δt
を差し引いた時間に達したときにスイッチオフ信号をフ
リップフロップ回路23に加え、補助スイッチ14がオフさ
れる。この補助スイッチ14がオフしてから次にメインス
イッチ5がオンするまでの時間Δtの間に図2の(c)
に示す如く、フライバック電圧は共振カーブに沿ってV
i から零電圧に落とされる。このように、フライバック
電圧が零電圧に落とされた以降、再びメインスイッチ5
がオンして回路動作が継続していく。
【0024】本実施例によれば、メインスイッチ5がオ
フした以降、フライバック電圧のパルス状波高部の発生
が終了した時点、つまり、補助コイル12の出力側の電圧
が零電圧となるC点のタイミング位置で、補助スイッチ
14をオンしてフライバック電圧を駆動電源電圧Vi に保
持するので、その間、従来例の第4図(b)に示すよう
なフライバック電圧に振動部分が発生するということが
ない。
【0025】また、位相シフト回路21の動作により、フ
ライバック電圧Vi が零電圧に落ちる十分な時間Δtを
確保して、メインスイッチ5のスイッチ制御信号の周期
SよりもΔtの時間だけ差し引いたタイミング位置、
つまり、次にメインスイッチ5がオンする時点よりもΔ
tだけ手前の位置で、補助スイッチ14をオフするように
制御されるので、次にメインスイッチ5がオンするまで
の間にフライバック電圧は確実に零電圧に落とされるこ
ととなり、これにより、メインスイッチ5は印加電圧が
必ず零電圧の状態でオンするので、従来例の図4の
(c)に示すような一次コイル3にスパイク電流が流れ
るということがなく、しかも、メインスイッチ5は必ず
零電圧の状態でオンするので、スイッチング損失が発生
するということがなく、回路効率を高めることができる
とともに、高圧安定化の制御系の回路動作を安定化させ
ることができる。もちろん、補助スイッチ14のオン・オ
フの動作も、図2の(b)および(h)から明らかな如
く、印加電圧が零電圧の状態でスイッチ動作を行うの
で、補助スイッチ14のスイッチ動作によるスイッチング
損失も発生することがない。
【0026】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
とはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記
実施例のフライバック電圧制御回路15中にインバータ17
を設けているが、このインバータ17は省略してもよい。
【0027】また、本実施例の回路のメインスイッチ5
や補助スイッチ14はトランジスタ、FET(電界効果ト
ランジスタ)等、様々なスイッチ素子を用いて構成でき
るものである。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、フライバック電圧制御
回路により、メインスイッチがオフした以降、フライバ
ック電圧のパルス状波高部が発生した以降に補助スイッ
チがオンされ、フライバックトランスの一次コイルがシ
ョート状態にされることで、フライバック電圧は駆動電
源電圧に等しい一定電圧に保持されることとなり、これ
により、メインスイッチのオフした以降に、フライバッ
ク電圧が振動を起こすということがなくなる。
【0029】また、フライバック電圧制御回路により、
フライバック電圧は次にメインスイッチがオンするまで
の間に零電圧に落とされるので、メインスイッチは必ず
フライバック電圧が零電圧のときに、つまり、メインス
イッチの印加電圧が零電圧の状態でオンするので、スイ
ッチング損失が発生するということがなく、回路効率を
十分に高めることができる。
【0030】さらに、前記の如く、メインスイッチは必
ず印加電圧が零電圧の状態でオンするので、従来例のよ
うにメインスイッチがオンするときの電圧が一定せずに
不安定になるということがなくなり、これにより高圧安
定化制御系の回路動作を安定化することができるという
優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部を示す回路構成図であ
る。
【図2】同実施例の動作を示すタイムチャートである。
【図3】従来のフライバックコンバータ方式の高圧電源
装置を示す回路図である。
【図4】従来の装置の動作を示すタイムチャートであ
る。
【符号の説明】
1 フライバックトランス 2 コア 3 一次コイル 4 二次コイル 5 メインスイッチ 12 補助コイル 14 補助スイッチ 15 フライバック電圧制御回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フライバックトランスのコアに巻装され
    る一次コイル側にメインスイッチが接続され、フライバ
    ックトランスの二次側高圧出力検出電圧の変化に応じて
    前記メインスイッチに加える固定周波数のスイッチ制御
    信号のオンパルス幅を可変するパルス幅制御回路が設け
    られているフライバックコンバータ方式の高圧電源装置
    において、前記フライバックトランスのコアに巻装され
    る補助コイルと、この補助コイルに流れる電流をオン・
    オフする補助スイッチと、フライバック電圧制御回路と
    を有し、前記フライバック電圧制御回路は、前記補助コ
    イルの出力電圧を検出し、メインスイッチがオフした後
    フライバックトランスの一次コイルにフライバック電圧
    のパルス状波高部が発生した以降に前記補助コイルの検
    出電圧が負側から立ち上がって零電圧に達したときに前
    記補助スイッチをオンする回路部分と、前記メインスイ
    ッチのオン起点から次のメインスイッチのオン起点まで
    の区間をメインスイッチのスイッチ制御信号の固定周期
    と成し予め定めた時間だけ前記固定周期の終点の手前位
    置で補助スイッチをオフしてメインスイッチがオンする
    までの時間内に前記フライバック電圧を零電圧に落とす
    回路部分とを備えていることを特徴とする高圧電源装
    置。
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