JP3094107B1 - 高アルコール耐性酵母の育種法 - Google Patents

高アルコール耐性酵母の育種法

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Abstract

【要約】 【解決手段】 2−フロオロエタノール含有培地を用
い、耐性酵母を分離、育種する。 【効果】 (高アルコール耐性)高アルコール生産酵母
が得られるが、更にイソアミルアルコール含有培地によ
る選択法を併用することによって高アルコール耐性を有
し高アルコール生産性を有する酵母を短期間に且つ正確
に分離することができ、この分離株を使用することによ
り各種タイプの高アルコール酒類を製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母の育種に関
し、さらに詳細には、アルコールの量が多い酒類、つま
り高アルコール濃度の酒類を製造することができる酵母
の育種に関するものである。また本発明は、このような
酵母の育種のほか、それによって分離した酵母及び当該
酵母を使用することによる酒類の製造期間の短縮、アル
コール生産量の増加を目的とした酒類の製造工程に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より高アルコールとなる酵母菌の分
離を目的として、アルコールもしくはその類似物に対す
る順応や薬剤耐性に付随した耐性酵母の育種が試行され
てきたが、前者の方法では順応選択による育種期間が長
くなり、後者においては高価な薬剤を使用する必要があ
り、さらに薬剤に対する特定箇所もしくは特定の形質を
有する変異が生ずる可能性が高い。一方、2−フルオロ
エタノールはエタノールの類似物として知られる安価な
薬剤であり、アルコールの代謝系に影響を与えることが
知られている(Mol. CellBiochem., 1 178(1998))が、
これを高アルコール生産酵母の選択培地に使用し、満足
すべき高濃度アルコールの酒類の製造に成功した例は従
来より全く報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】酒類の製造等におい
て、より多くのアルコールの取得は従来より重要な課題
であり、高アルコール生産酵母について、種々の選択法
が開発されてきた。その中でも実用に供されているもの
としては、原らの20%エタノール中での生存株の濃縮
による選択法(醸協、71、301(1976))、秋
田らのイソアミルアルコール添加培地による選択法(発
酵工学、68、95(1990))がある。
【0004】しかしながら、既知の方法は、選択に要す
る期間が数ケ月以上必要であるだけでなく、使用する薬
剤が高価であったり、すべての酵母に広く応用できると
いうものではなく、例えば、協会清酒10号系酵母等に
対しては応用することができない等、未だ改良すべき点
を残している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うに、従来の選択法は、その選択に非常に長期間を要し
て実用的とはいえないだけでなく、特定の酵母にしか適
用できない等という現状に鑑み、従来より迅速にかつ広
範な菌株に対して、より効率的なアルコール生産という
目的を達成するための酵母育種の開発のためになされた
ものである。
【0006】そこで本発明者らは、アルコール生産量の
増加等を目的とし、各方面から検討した結果、従来のア
ルコール順応法を改良することにより、高アルコール生
産及び耐性酵母の育種という技術的課題を設定した。す
なわち、本発明者らは新たに醸造用酵母からより多くの
アルコールを生産し、発酵後期においても死滅しにくい
酵母の分離を目指したものであり、実験の結果、2−フ
ルオロエタノールを用いた選択圧をかけることにより従
来の方法より広範な酵母に対し、かつ迅速に分離できる
方法を開発し、この方法によりサッカロマイセス(Sacc
haromyces)属セレビシエ(cerevisiae)を育種するの
に成功したものである。
【0007】すなわち、本発明は、選択培地を用いて、
サッカロマイセス(Saccharomyces)属セレビシエ(cer
evisiae)に属する酵母の中から、多くのアルコールを
生産し、かつもろみ後期になっても死滅しにくい酵母を
分離、育種する点を基本的技術思想とするものである。
選択培地としては高アルコール生産酵母を分離、育種で
きる培地であれば全ての培地で使用可能であるが、例え
ば、2−フルオロエタノール含有培地は好適な培地の一
つである。以下、本発明を具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を実施するには、サッカロ
マイセス(Saccharomyces)属セレビシエ(cerevisia
e)に属する酵母を用い、2−フルオロエタノール含有
選択培地で、2−フルオロエタノール耐性酵母を分離す
る。親株としてはサッカロマイセス(Saccharomyces)
属セレビシエ(cerevisiae)に属する酵母であればすべ
ての酵母が使用可能であり、実験室酵母DBY746の
他、協会7号、協会9号、協会10号、明利小川酵母
(協会10号系酵母の源株)の清酒用、焼酎用、果実酒
用酵母等の実用酵母にも有利に使用することができる。
【0009】本育種法では、親株として用いる酵母は、
変異処理をせず使用しても目的の酵母は分離可能である
が、通常の変異処理をした後に分離を行っても何ら支障
はない。本発明において変異酵母を得るには、変異方法
としてはいかなる方法でも良い。変異の物理的方法とし
ては、紫外線照射、放射線照射等があり、化学的方法と
しては、エチルメタンサルホネート、アクリジン系色素
等の変異剤に懸濁させる方法等があり、適宜利用可能で
ある。
【0010】本発明においては、これらの変異方法が適
宜使用できるが、変異酵母の選択に特徴を有するもので
ある。すなわち、変異株の生育培地に2−フルオロエタ
ノールを含有させるものであるが、2−フルオロエタノ
ールが、酒類製造用酵母の選択培地に利用されたという
報告はない。本発明においては、目的とする変異酵母
は、2−フルオロエタノール含有培地で生育する株から
分離すればよいので(ポジティブセレクション)、分離
作業がきわめて容易であり、この点においても本発明の
育種法は優れている。
【0011】本発明においては、このようにして2−フ
ルオロエタノール(以下、2−FEということもある)
を含有する選択培地を用いることにより、目的とする高
アルコール耐性を有する高アルコール生産酵母を育種す
ることができるが、この2−FEによる選択を第1段階
とし、これに秋田らによるイソアミルアルコール含有培
地による選択を第2段階として組み合わせることによ
り、更に効率的に目的とする酵母を分離、育種すること
ができ、その際2−FEによる選択(第1段階)を2回
以上くり返すことにより、更に効率化が図られる。
【0012】すなわち本発明は、この2段階選択法も包
含するものであって、今回開発した選択方法は2段階に
分かれる。まず、第1段階として、2−FEによる選
択。第2段階として、秋田らのイソアミルアルコール含
有培地での選択である。
【0013】なお、秋田らの方法では5%のエタノール
と0.6%から0.05%増加したイソアミルアルコー
ル添加YM培地(以下、イソアミルアルコール培地と言
う)での選択を繰り返す。そのたびに、選択酵母が生育
するまで1〜2週間の期間がかかり、1.0%含有培地
で生育する株を取得するまで数ケ月以上の効間が必要で
ある。特に、協会10号系酵母ではこの標準的な0.6
%での生育が思わしくなく、0.5%程度から始める必
要があった。
【0014】この選択方法に今回開発した第1段階を加
えることにより、第2段階の0.6%含有培地での生育
が促されることが解った。0.8%増殖可能株を選択す
るまでに約1ケ月で完了することが解った。なお、0.
8%以上の増殖には1週間以上の生育期間が必要であっ
たのであるが、本発明は、2−FE法によって分離した
2−FE耐性酵母を用い、形質を安定させるために、イ
ソアミルアルコー含有培地での順応試験を行い、選択株
を用いて発酵試験を行いアルコールの多いものを短期間
に効率よく分離するものである。
【0015】本発明は、また、高アルコール発酵にも関
するものであって、このようにして分離した2−FE耐
性株を用いる以外は、常法に従って処理すればよく、従
来の設備、装置をそのまま使用することができ、この点
も非常に優れている。
【0016】本発明に係る育種法は、サッカロマイセス
・セレビシエに属する酵母であればすべての酵母に適用
することができる。例えば、実験室酵母、清酒酵母等を
高アルコール性に変異させることができ、これらの酵母
を使用することによって、それぞれ対応する高アルコー
ル発酵物を製造することができる。また、本法を醸造酢
製造用もろみや醸造アルコール製造用のもろみに用いる
酵母に適用して、アルコール生産性を向上させることも
可能である。
【0017】更にまた、本発明は、2−FE耐性酵母は
アルコール生産性が高いことから、2−FE耐性を示す
ことを特徴とする高アルコール生産酵母、及びその利用
にも関するものである。
【0018】2−FE耐性高アルコール生産酵母は従来
全く知られておらず、今回本発明者らによって初めて発
見されたものであり、高アルコール生産性と高アルコー
ル耐性を併有する点で極めて特徴的な酵母であるので、
本菌を工業技術院生命工学工業研究所にFERM P−
17572として寄託した。
【0019】本発明は、2−FE耐性と高アルコール生
産性が密接に関連している点を初めて明らかにし、この
現象を工業的に利用したものであって、画期的なもので
ある。
【0020】本発明に係る2−FE耐性高アルコール生
産酵母は、親株を人工変異させあるいはさせることなく
(自然変異)、2−FE含有選択培地で選択し、高アル
コール生産株を分離する事にあり、分離、育種の方法に
は格別限定されない。本発明によればこのようにして高
アルコール生産性及び/又は高アルコール耐性を有する
酵母を分離、選択することができ、全体としてすぐれた
高アルコール生産株を分離することができる。
【0021】そのうえ本発明によれば、更にイソアミル
アルコール選択法によってアルコール耐性酵母を選択す
る工程を有機的に結合することにより、更にすぐれた高
アルコール耐性及び/又は高アルコール生産性を有する
酵母を短時間に効率的に分離、選択することができ、全
体として更にすぐれた高アルコール生産株を分離するこ
とができる。また、遺伝子操作によって目的とする耐性
形質を付与し、高アルコール生産酵母を直接造成しても
よい。
【0022】このように分離した2−FE耐性高アルコ
ール生産酷母を用いる酒類の製造ないしアルコール発酵
は、先に述べた場合と同様に行えばよい。以下、本発明
の実施例について述べる。
【0023】
【実施例1:2−FE耐性酵母の分離法】サッカロマイ
セス(Saccharomyces)属セレビシエ(cerevisiae)に
属する協会901号、協会1001号清酒酵母(以下、
それぞれK−901,K−1001と略す)及び泡なし
明利小川酵母(以下、MNFと略す)を、YM培地(イ
ーストエキス0.3%、モルトエキス0.3%、ペプト
ン0.5%、ブドウ糖1%)に接種し、30℃、24時
間振とう(120rpm)で増殖させた。
【0024】この酵母懸濁液2%(終濃度で105ce
lls/ml)をブドウ糖をグリセロール1%に変えた
YM培地に2−FE10%を含む培地に添加し、30
℃、2〜3日間静置増殖させた(2−FE処理)。この
培養液を適宜希釈し、YM寒天培地(YM培地に2%寒
天を添加)に植菌し、生育の良い単一コロニーを選択し
た。この株について再度2−FE処理を繰り返し、YM
寒天培地での生育の良い単一コロニーを分離株とした。
【0025】
【実施例2:2−FE耐性株からのアルコール耐性株の
分離】供試酵母について、2−FE処理によるイソアミ
ルアルコール耐性試験を行った。得られた結果を下記表
1に示すが、その結果から供試酵母について2−FE処
理により表1のようにイソアミルアルコールに対する耐
性が向上していることが解った。なお、耐性試験は0.
6〜1.0%のイソアミルアルコールと5%エタノール
を含むYM寒天培地に白金針で10株ずつ植菌し、30
℃2日間の培養後、生育可能・やや生育・生育不可の判
定を行った。生育可能なものの割合を表中に示した。
【0026】 (表1) 2−FE処理によるイソアミルアルコール耐性試験結果 イソアミルアルコール(%) 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 (無処理) K−901 0 0 0 0 0 K−1001 0 0 0 0 0 MNF 0 0 0 0 0 (1回処理) K−901 100 20 0 0 0 K−1001 70 10 10 0 0 MNF 90 0 0 0 0 (2回処理) K−901 100 80 60 40 40 K−1001 100 70 30 30 20 MNF 100 90 20 10 0
【0027】このように2−FE処理を繰り返すことに
より、高濃度のイソアミルアルコール含有培地での生育
可能な株の割合が向上していることが解った。生育の良
かった株について、秋田らの方法(発酵工学 68 9
5(1990))に基づき0.6%イソアミルアルコー
ルを含むYM培地でアルコール耐性株の選択を行った。
イソアミル含有培地においても選択株の生育は良好で、
秋田らの方法では1ステップの増殖に要する時間が1〜
2週間かかるところを2−FE耐性株では2〜3日とな
った。さらに、0.1%ずつイソアミルアルコール濃度
を上げ、0.8%に達した時点でアルコール耐性株とし
て、901R、1001R、MNFRと命名し、以下の
実施例に使用した。なお、1001Rを生命研に寄託し
た(Saccharomyces cerevisiae K-1001R: FERM P-1757
2)。
【0028】
【実施例3:分離株の特性】分離株の増殖性を確認する
ため、前培養菌体を106/mlになるように、YM培
地及び0.5%イソアミルアルコール・5%エタノール
添加YM培地に接種し、25℃で静置培養し、経時的に
吸光度660nmで増殖を測定した。図1、図2に示す
とおり、取得株のYM培地での増殖性はほぼ同じで、
0.5%イソアミルアルコール・5%エタノール添加Y
M培地での増殖性は親株より優れていた。なお、図中、
各記号はそれぞれ次の供試株を表わす(以下同じ)。 記号:○:K−901 △:K−1001 □:MNF ●:k−901R ▲:K−1001R ■:MNFR
【0029】また、50g総米の一段仕込みの小仕込み
で20日目のもろみに30%エタノールを添加し、もろ
み濃度を20%にそろえ、経時的にメチレンブルー染色
法により死滅率(国税庁所定分析法注解)を測定した結
果を図3に示した。添加後10日目の死滅率を親株と比
較すると、それぞれ15〜20%程度低いものとなり、
高アルコール中での生存性が向上していた。以上の結果
より、発酵もろみ中でも初期の順調な発酵経過ともろみ
末期の酵母死滅による弊害が回避できることが確認され
た。
【0030】また、その他の性質としては、細胞壁溶解
酵素に対する耐性(原らの方法に基づき測定した(醸
協、71、301(1976))を親株に比べると獲得
していることが認められた。
【0031】すなわち、今まで知られている多くのアル
コール耐性株が細胞壁溶解酵素に対する耐性も同時に獲
得していることが報告されている。そこで、溶菌耐性を
細胞壁溶解酵素Zymolyase100Tに対する溶解率を見た。
なお、溶解率は、(処理前の濁度−処理後の濁度)/処
理前の濁度をAとすると、 溶解率(T.R.R.%)=A×100 で表わされ、測定の結果、親株に比べ耐性株は、処理し
て2時間後の溶菌率でそれぞれ50〜70%前後でそれ
ぞれ溶菌しにくくなっていることが確認され、溶菌耐性
を獲得していることが確認された。なお、抗生物質等に
対する多剤薬剤耐性の獲得については、現時点では確認
できなかった。
【0032】
【実施例3:清酒小仕込み試験】901R及び1001
Rを用い、難波らの方法(醸協 73 295(197
8))に基づき総米200g、汲み水歩合130%の三
段仕込みの小仕込み試験を行った。留め後の品温は15
℃一定とし、炭酸ガス減量により経過を測定した。発酵
経過を図4に示す。予測どおりもろみ初期の立ち上がり
も順調で、末期の経過も順調に推移した(19日目以降
は分割したもろみ量を補正した炭酸ガス減量を記載し
た)。留め後19日目にもろみを2分割し、最終22日
目まで発酵経過を見、それぞれのもろみの分析を行った
結果を表2及び表3に示した。なお、分析は国税庁所定
分析法注解に基づいて行った。なお、ブドウ糖(%)
は、ABLE社製Gluco Jr.(DT−10G
2)を使用し、酵母純度がTTC染色法により求めた。
【0033】 (表2) 小仕込み試験結果1 (留め後19日目) 901 1001 901R 1001R ALC(%) 19.4 19.6 20.0 20.2 日本酒度 0.0 0.0 +3.0 +3.0 酸 度 2.0 1.7 1.8 2.2 アミノ酸度 1.9 1.9 1.8 1.6 ブドウ糖(%) 0.8 0.9 0.6 0.5 酵母密度(108/g-モロミ) 3.5 3.9 4.1 3.4 死滅率(%) 10.7 16.1 4.7 9.6 酵母純度(%) 98.9 100.0 99.1 100.0 OD430nm 0.003 0.004 0.002 0.001 OD260nm 16.6 19.3 18.9 18.1
【0034】 (表3) 小仕込み試験結果2 (留め後22日目) 901 1001 901R 1001R ALC(%) 19.6 19.8 20.4 20.6 日本酒度 0.0 +0.5 +5.0 +5.0 酸 度 2.0 1.7 2.0 2.1 アミノ酸度 2.4 2.3 2.0 2.0 ブドウ糖(%) 1.0 0.9 0.7 0.6 酵母密度(108/g-モロミ) 3.4 3.7 4.1 3.4 死滅率(%) 23.7 21.7 13.2 15.5 酵母純度(%) 99.1 99.5 100.0 100.0 OD430nm 0.005 0.004 0.003 0.004 OD260nm 22.1 22.7 19.9 20.3
【0035】上記結果から明らかなように、もろみ中の
死滅率は、親株に比べ、19日目で6%前後、22日目
で6〜10%前後低く押さえられ、その影響として考え
られる、アミノ酸度、紫外部吸収(OD260nm)も
低い値で推移した。また、もろみ末期のアルコール生成
も19〜22日目の変化が親株で0.2%の増加に留ま
っているのに比べ、0.4%程度増加しており、アルコ
ール耐性株使用の効果が認められた。
【0036】
【発明の効果】実用酵母からその優れた醸造特性を損な
うことなく新規に有用な形質を付与することは多くの時
間と労力を要するものである。本発明は2−フロオロエ
タノール存在下で生育する株を選択するポジティブセレ
クションを基本としており、目的とするアルコール耐性
株のみを短期かつ確実に分離できる。本分離法は実用酵
母の育種において極めて有効である。そして、分離、育
種した酵母を使用することにより、アルコール含量の高
い酒類をもろみ末期の酵母の死滅による弊害を少なくし
製造することができる。
【0037】また、この2−FEによる選択法にイソア
ミルアルコール含有培地による選択法を併用することに
より、目的とする(高アルコール耐性)高アルコール生
産性を有する酵母を短期間、確実、且つ効率的に分離す
ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】YM培地での増殖試験を示す。
【図2】0.5%イソアミルアルコール・5%エタノー
ル添加培地中での増殖試験を示す。
【図3】アルコール20%もろみ中でのアルコール耐性
試験を示す。
【図4】総米200gの小仕込み試験(発酵経過)を示
す。
フロントページの続き (72)発明者 秋田 修 広島県東広島市鏡山3丁目7番1号 国 税庁醸造研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/16 C12N 1/38

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サッカロマイセス・セレビシエ(Saccha
    romyces cerevisiae)に属する醸造用酵母を、変異処理
    することなく又は変異処理した後、2−フルオロエタノ
    ールを含有する選択培地を用いて高アルコール生産酵母
    を選択分離すること、を特徴とする高アルコール生産酵
    母の育種方法。
  2. 【請求項2】 更に、イソアミルアルコールを含有する
    選択培地を用いて高アルコール生産酵母を選択分離する
    こと、を特徴とする請求項1に記載の育種方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法によって育
    種、分離された高アルコール生産酵母。
  4. 【請求項4】 該高アルコール生産酵母が高アルコール
    耐性を有するものであること、を特徴とする請求項3に
    記載の高アルコール生産酵母。
  5. 【請求項5】 サッカロマイセス・セレビシエ(Saccha
    romyces cerevisiae) K-1001R (FERM P-17572)。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか1項に記載した
    酵母を使用すること、を特徴とする高アルコール酒類の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載した方法によって製造し
    てなる、アルコール含量の高い酒類。
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