JP3093683B2 - パイル織物およびその製造方法 - Google Patents

パイル織物およびその製造方法

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JP3093683B2 JP09173044A JP17304497A JP3093683B2 JP 3093683 B2 JP3093683 B2 JP 3093683B2 JP 09173044 A JP09173044 A JP 09173044A JP 17304497 A JP17304497 A JP 17304497A JP 3093683 B2 JP3093683 B2 JP 3093683B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパイル織物およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来パイル織物としては緯パイル織物と
経パイル織物がよく知られている。緯パイル織物の代表
的なものとしては、別珍(べっちん)、コール天などが
知られており、何れも緯糸をパイル糸としている。ま
た、経パイル織物としてはタオル織物やビロードなどが
代表的なものであり、経糸をパイル糸としたものであ
る。これらのパイル織物においては、パイル糸となる糸
とは別に地組織を形成する糸がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のパイル織物の地
組織としては平織、斜文織、畝織などが通常用いられて
いる。このような地組織は平行に配列された経糸と、こ
れに直角に交差する緯糸によって作られているものであ
るが、このような地組織では糸密度を低くすると、経糸
および緯糸がズレ易く、パイル糸が抜けたり、移動して
しまうため、糸密度を粗くすることはできなかった。
【0004】このように地組織が密に織られたものであ
り、しかもパイル糸もあるため、従来のパイル織物は重
量の重いものとなっている。
【0005】
【発明の目的】本発明は、糸密度を粗いものとした軽量
なパイル織物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、パイル
織物が紗織であり、該紗織における緯糸は収縮性のない
または低収縮性の糸と熱または水分により収縮性を発現
する糸とをからなり、織上り状態における地経糸および
からみ経糸の密度はそれぞれ2〜15本/インチであ
り、緯糸密度は3〜20本/インチであり、織上り後の
生地に熱または水分が付与されて前記緯糸において熱ま
たは水分により収縮性を発現する糸が収縮しており、前
記収縮性のないまたは低収縮性の糸がループを形成して
いることを特徴とするパイル織物により前記目的を達成
した。
【0007】なお、本発明において緯糸密度は1つの開
口に緯入れされた糸(1本または複数本)を緯糸1本と
して数えたものを言う。すなわち、紗織における経糸の
隣接する2つのからみ目の間に緯入れされた糸を緯糸密
度では緯糸1本として数える。
【0008】また、緯糸として少なくとも2本の収縮性
のないまたは低収縮性の糸と熱または水分により収縮性
を発現する糸とを甘撚で撚合せたものを使用する。
【0009】また、上記パイル織物の製造方法として、
本発明は、収縮性のないまたは低収縮性の糸と熱または
水分により収縮性を発現する糸とを紗織における緯糸と
して用い、織上り状態における地経糸およびからみ経糸
の密度がそれぞれ2〜15本/インチ、緯糸密度が3〜
20本/インチとなるようにして紗織に織上げ、前記織
上がった生地に熱または水分を付与して、前記緯糸にお
いて熱または水分により収縮性を発現する糸を収縮さ
せ、前記収縮性のないまたは低収縮性の糸にループを形
成させることを特徴とするパイル織物の製造方法を提供
する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、従来のパイル
織物のように地組織を平織や斜文織とすることなく、パ
イル織物を紗組織のからみ織(すなわち、紗織)とし、
からみ織における緯糸を特別なものとして、この緯糸に
ループ(パイル)を発生させパイル織物としている。紗
組織のからみ織としたことにより経糸と緯糸のズレを防
止することができ、糸密度を低くすることができる。
【0011】図1は紗織の組織図である。図1に示すよ
うに紗織においては、経糸が2種類あり、1種類は地経
糸1であり、他はからみ経糸2であり、これらの地経糸
1本とからみ経糸1本とが組となり、からみ経糸2は緯
糸3の1本毎にその位置を変えて地経糸1と交差して、
緯糸3と緯糸3の間にからみ目(交叉)を作る。緯糸3
はからみ目(交叉)を作っている地経糸1とからみ経糸
2によりしっかり押さえられるので、経糸1、2の組と
隣接する経糸1、2の組との間隔が開いていても、緯糸
3は移動することがないので、目の粗い織物とすること
ができる。
【0012】本発明における紗織においては、通常の着
物などに使用する紗織とは異なって経糸および緯糸の密
度を極めて粗いものにしている。地経糸1およびからみ
経糸2の密度は織上り状態でそれぞれ1インチ当り2〜
15本となるようにし、経糸1、2の太さが太いものは
1インチ当りの密度を低く、細い経糸1、2を使用する
場合は密度を高くすることができる。このように地経糸
1とからみ糸2の密度を粗くすることにより織物の重量
を軽くすることができる。
【0013】一方、緯糸密度はインチ当り3本〜20本
である。この場合も細番手の方が糸密度を上げることが
できる。すなわち、糸の太さが太い場合は密度を粗く、
糸が細い場合は糸密度を高くしてもよい。
【0014】本発明においてはパイルを形成するために
緯糸3として次のような構成のものを用いている。すな
わち、緯糸3として収縮性のないまたは低収縮性の糸と
熱または水分により収縮性を発現する糸とを用いる。こ
の場合、図2に示すように、1本以上の収縮性のないま
たは低収縮性の糸31、32と熱または水分により収縮
性を発現する糸33とを甘撚(例えば、1インチ当たり
3〜4回程度)で撚合せて1本の緯糸3としてもよい。
或は、図10に示した組織図のように1本以上の収縮性
のないまたは低収縮性の糸34だけを緯糸3としたり、
熱または水分により収縮性を発現する糸33だけを緯糸
3としたり、両方の糸34、33を同一の開口において
緯入れして緯糸3としてもよい。
【0015】熱により収縮性を発現する糸としては、例
えばポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)があり、
このポリウレタン弾性繊維を織物とするのに容易なよう
に予め適度の伸張状態で熱セットを施したものを使用す
る。このような糸は東レ・デュポン株式会社の製品であ
るオペロン(登録商標)などとして市販されている。ま
た、熱により収縮性を発現する糸として潜在収縮性を有
する合成繊維が市販されている。例えば、東洋紡績株式
会社のエクスラン(登録商標、アクリル繊維)などがあ
る。
【0016】水分により収縮性を発現する糸として強撚
糸を使用できる。強撚の程度は、収縮が元の長さに対し
て10%以上になるように、好ましくは20%以上にな
るように糸の太さや糸の材質等により適宜選択する。例
えば、テンセル(登録商標、精製セルロース繊維)の2
0/2の場合、普通の織物に使用するのであれば1イン
チ当たり10回程度の撚であるが、本発明では1インチ
当たり18回以上の撚とすることが好ましい。
【0017】本発明で用いる地経糸1、からみ経糸2お
よび緯糸3における収縮性のない或は収縮性が少ない糸
31、32、34の素材としては、麻、綿、絹、セルロ
ース系繊維、合成繊維を用いることができる。シャリ感
を持たせるには麻糸や、経糸1、2に強撚糸を用いると
よい。また、経糸1、2と緯糸の糸31、32、34と
は同じ素材でもよいし、別素材のものを組み合わせて使
用してもよい。
【0018】図2に示した組織図の紗織では、熱または
水分により収縮性を発現する糸33がからみ織における
各開口毎に緯入れされており、一方、収縮性のないまた
は低収縮性の糸31、32がからみ織における各開口毎
に緯入れされている。従って、からみ織の完全組織にお
いて収縮性のないまたは低収縮性の糸31、32の本数
が熱または水分により収縮性を発現する糸33の本数よ
りも多い。
【0019】或いは図10や図11に示すように、全て
の開口において収縮性を発現する糸33を緯入れしなく
ても、緯糸の太さ、収縮性能などを適当なものとするこ
とにより、熱または水分により収縮性を発現する糸を収
縮させた際に十分に経糸密度を高くすることが可能であ
り、それにより経糸の間隔を狭くすることができ、収縮
性のないまたは低収縮性の糸によってループを発生させ
ることができる。
【0020】図10に示した組織図の紗織では、熱また
は水分により収縮性を発現する糸33は織機において2
回開口する毎に1回緯入れされるだけである。一方、収
縮性のないまたは低収縮性の糸34は織機において4回
の開口に3回緯入れされ、そのうちの1回は熱または水
分により収縮性を発現する糸33と同一の開口に緯入れ
される。この組織図によれば、収縮性のないまたは低収
縮性の糸34のみが緯入れされている箇所、熱または水
分により収縮性を発現する糸33のみが緯入れされてい
る箇所および両者が緯入れされている箇所が混在してい
る。
【0021】図11に示した組織図の紗織では、熱また
は水分により収縮性を発現する糸33は織機において3
回開口する毎に1回緯入れされるだけである。一方、収
縮性のないまたは低収縮性の糸34は各開口毎に緯入れ
され、従って、3回に1回は熱または水分により収縮性
を発現する糸33と同一の開口に緯入れされる。
【0022】収縮性のないまたは低収縮性の糸34と熱
または水分により収縮性を発現する糸33とを同一の開
口において緯入れする場合、両方の糸34、33を甘撚
(1インチ当たり0.5〜5回)で撚合せて1本の緯糸
とし、または両方の糸34、33を引揃えて1本の緯糸
として緯入れしてもよいし、或は経糸1、2が開口して
いる間に収縮性のないまたは低収縮性の糸34と熱また
は水分により収縮性を発現する糸33とをそれぞれ別個
に緯入れしてもよい。
【0023】前述した組織図の紗織では何れも、からみ
織の完全組織において収縮性のないまたは低収縮性の糸
31、32、34の本数が熱または水分により収縮性を
発現する糸33の本数よりも多いが、両者を同数として
もよい。或は、熱または水分により収縮性を発現する糸
33を収縮性のないまたは低収縮性の糸31、32、3
4よりも本数を多くし且つ細いものとしてもよい。
【0024】前述した緯糸3を用いて、織上り状態にお
ける地経糸1およびからみ経糸2の密度がそれぞれ2〜
15本/インチ、緯糸密度が3〜20本/インチとなる
ようにして紗織構造のからみ織を織上げる。
【0025】織上がった生地に熱または水分を付与し
て、緯糸3において熱または水分により収縮性を発現す
る糸33を収縮させる。熱または水分を付与するには湯
通ししたり、生地を浸染することにより行うことができ
る。乾燥状態の生地に熱を付与してもよい。また、生地
を水に浸漬して水分を付与してもよい。
【0026】このように熱または水分により収縮性を発
現する糸33を収縮させると、収縮した糸33により経
糸の間隔が制限されて、隣接する経糸1、2と経糸1、
2との間の間隔が狭められる。その結果、緯糸3を構成
する収縮性のないまたは低収縮性の糸31、32、34
は経糸と経糸の間で固定されているため行き場を失い、
余った状態となる。この余った分が隣接する経糸の間で
ループを形成し、パイル織物が出来上る。この際、紗織
であるため地経糸1とからみ経糸2が交差しており、交
差の箇所で上になる経糸は緯糸の下を通り、交差の箇所
で下になる経糸は緯糸の上を通るため、余った状態で張
力の低下した緯糸31、32、34は経糸1、2の力に
より上下に押され、ループを形成する。図1に示したよ
うに、からみ経糸2が地経糸1の下を通って(下からみ
の場合)交差している場合は、地経糸1は緯糸3を押上
げ、からみ経糸2は緯糸3を押下げるように作用する
(なお、上からみの場合は地経糸1とからみ経糸2が交
差が逆であり、緯糸に作用する方向も逆になる)。この
ため、収縮性のないまたは低収縮性の糸31、32、3
4は生地の両面においてループを形成する。
【0027】本発明においては、パイル織物の構造は紗
織であるが、使用する緯糸3の構成、糸密度、糸の材質
などを適宜変化させることにより、種々の表情のパイル
織物とすることが可能である。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕地経糸、からみ糸および緯糸における収縮
性のない単糸としてテンセル(登録商標、精製セルロー
ス繊維)を使用した。地経糸およびからみ経糸は10番
単糸を2本撚合せたものであり、この撚合せは通常の糸
のようにもろ撚状態となっている。緯糸における収縮性
のない単糸として10番単糸を2本用いた。緯糸におけ
る熱により収縮性を発現する糸としてオペロン(登録商
標、ポリウレタン弾性繊維)の40番(綿番手)を2本
撚合わせた双糸を用いた。これらの緯糸を構成する3本
の糸を3回/インチの甘撚で撚合せて、からみ織におけ
る緯糸とした。そして図2に示すような紗織に織上げ
た。
【0029】織機から上げた状態での耳部以外の箇所で
の経糸密度は地経糸およびからみ経糸がそれぞれ1イン
チ当り3本であり、緯糸密度は1インチ当り10本であ
った。その後、この生地を沸水で湯通しした。図3は湯
通ししたものの状態を模式的に示した組織図である。湯
通しした後の生地を図4(a)および図4(b)の写真
に示した。このように、湯通ししたものでは、緯糸を構
成する糸のうち1本が熱により収縮し、他の2本の単糸
はループを形成して、パイル織物となった。このパイル
織物はふっくらとした感触であり、適度のボリュームも
あるが、非常に軽量であった。 〔実施例2〕地経糸、からみ糸および緯糸における収縮
性のない糸としてテンセル(登録商標、精製セルロース
繊維)を使用した。地経糸およびからみ経糸はテンセル
の10番単糸を2本撚合わせたものであり、この撚合せ
は通常の糸のようにもろ撚状態となっている。緯糸にお
ける収縮性のない糸としてはテンセルの10番単糸を2
本用いた。また、緯糸における熱により収縮性を発現す
る糸として東洋紡績株式会社のエクスラン(登録商標、
潜在収縮性を有するアクリル繊維)の1/28番手のも
の(共通式番手で28番の単糸)を用いた。これらの収
縮性のない糸と収縮性を発現する糸とを甘撚(3回/イ
ンチ)で撚合せて、からみ糸における緯糸とした。そし
て図2に示すような紗織に仕上げた。
【0030】織機から上げた状態での耳部以外の箇所で
の経糸密度は地経糸およびからみ経糸がそれぞれ1イン
チ当り3.5本であり、緯糸密度は1インチ当り11本
であった。その後、この生地を沸水で湯通しした。この
生地を湯通しする前のものが図5(a)および図5
(b)の写真に示したものである。なお、図5(a)は
生地の耳部および中央部の一部を含む生地を撮影したも
のであり、図5(b)は中央部を拡大して写したもので
ある。
【0031】湯通しした後の生地は図3に模式的に示し
たものによく似ており、図6(a)および図6(b)の
写真に示した状態であった。なお、図6(a)は生地の
耳部および中央部の一部を含む生地を撮影したものであ
り、図6(b)は中央部を拡大して写したものである。
図6(a)および図6(b)の写真に見られるように、
湯通ししたものにおいては緯糸を構成する糸のうち1本
が熱により収縮し、他の2本の糸はループを形成した。
湯通しした後の経糸密度は1インチ当り6本となってい
た。すなわち、熱により収縮性を発現する糸が収縮した
ために経糸間の間隔が狭くなっている。そして収縮しな
い糸は余った状態であり、からみ目を形成している経糸
の影響により余った収縮しない糸は生地の表裏にループ
を描いて突出している状態となっていた。また緯糸密度
の方は1インチ当り約11本であり、湯通しする前とそ
れほどは変化していなかった。このパイル織物は、緯糸
および経糸の本数が少ないので非常にふんわりしてお
り、適度のボリュームもあるが、非常に軽量であった。
【0032】〔実施例3〕地経糸、からみ糸および緯糸
における収縮性のない単糸としてテンセル(登録商標、
精製セルロース繊維)を使用した。地経糸およびからみ
経糸は10番単糸を2本撚合せたものであり、この撚合
せは通常の糸のようにもろ撚状態となっている。緯糸に
おける収縮性のない単糸として20番単糸を3本用い
た。緯糸における水分により収縮性を発現する糸として
テンセル(登録商標、精製セルロース繊維)の20/2
(20番単糸を2本撚合せたもの)を使用した。この糸
は双糸とする際に1インチ当たり20回の撚をかけ、強
撚糸とした。これらの収縮性のない糸3本と水分により
収縮性を発現する糸1本とを0.5回/インチの非常に
甘撚で撚合せて、からみ織における緯糸とした。そして
図2に示すような紗織に織上げた。
【0033】織機から上げた状態での耳部以外の箇所で
の経糸密度は地経糸およびからみ経糸がそれぞれ1イン
チ当り3本であり、緯糸密度は1インチ当り9本であっ
た。この生地に水分を付与する前のものを図7(a)お
よび図7(b)の写真に示した。なお、図7(a)は生
地の耳部および中央部の一部を含む生地を撮影したもの
であり、図7(b)は中央部を拡大して写したものであ
る。
【0034】その後、この生地を40℃の湯に浸した
後、そのまま自然乾燥した後のものを図8(a)および
図8(b)の写真に示した。また、生地を40℃の湯に
浸した後、乾燥機で乾燥したものを図9(a)および図
9(b)の写真に示した。なお、図7(a)、図8
(a)および図9(a)は生地の耳部および中央部の一
部を含む生地を撮影したものであり、図7(b)、図8
(b)および図9(b)は中央部を拡大して写したもの
である。自然乾燥した後の経糸密度は1インチ当り5.
5本となっており、乾燥機で乾燥した後の経糸密度は1
インチ当り6本となっており、乾燥機を用いて乾燥する
と水分により収縮する糸の収縮が大きかった。なお、乾
燥機で乾燥した後の生地を再び湯に浸した後自然乾燥す
ると、図8(a)、(b)の状態となった。
【0035】この実施例では、図8(b)および図9
(b)に見られるように、収縮性のない糸がループを形
成しているだけではなく、水分により収縮性を発現する
糸も経糸の影響により直線状というよりは上下に緩く少
し浮き出した状態となって浅いループを描いている。
【0036】このため、このパイル織物は非常にソフト
な手触りであり、また全体としては非常に軽く、しかも
収縮性のない糸が皆ばらけた状態になっており、パイル
の感じが全体として隙間なくパイルが浮き上がっている
状態となっている。このパイル織物は非常にふんわりと
した軽い軽量の生地であるので、浴用タオルやバスロー
ブなどに適したものである。 〔実施例4〕経糸としては前述した実施例と同様に、収
縮性のない単糸としてテンセルの10番を2本撚合せた
双糸を使用している。緯糸としては収縮性のない糸とし
て麻の40/3(40番手の単糸を3本撚合せた三子
糸)を用いた。また緯糸による熱により収縮性を発現す
る糸として先の実施例と同様にアクリル系、潜在収縮性
を有するアクリル繊維1/10(共通式番手で10番手
の単糸)を用いた。そしてこの実施例では図11に示す
ような紗組織構造とした。図11に示した組織図におい
ては、収縮性のないまたは低収縮性の糸34を全ての開
口で緯入れしているが、収縮性を発現する糸33は3回
の開口毎に1回緯入れしている。前述した糸を用いて図
11の組織図に従って生地を織上げた。なお、1つの開
口で収縮性のない糸と収縮性を発現する糸とを同一開口
に通すには予め両者を非常に甘撚で撚合せておき、1本
の緯糸として開口に1回で挿入してもよいし、あるいは
経糸の開口させた状態のまま収縮性のない糸と収縮性を
発現する糸とをそれぞれ別々に緯入れしてもよい。
【0037】織機から上げた状態の経糸密度は地経糸お
よびからみ経糸がそれぞれ1インチ当り4本であり、緯
糸密度はインチ当り9本であった(なお、緯糸密度とし
ては1つの開口に収縮性のある糸と収縮性のない糸との
2本が通されているものも両方併せて緯糸1本として換
算している)。この生地を湯通しする前のものが図13
(a)および図13(b)の写真に示したものである。
図13(b)のものは図13(a)のものを拡大して写
したものである。この生地をその後湯通しした。湯通し
した状態を模式的に表したものが図12である。そして
図14(a)および図14(b)は湯通しした後のもの
の写真を示しており、図14(b)は図14(a)のも
のを拡大して写した写真である。湯通しした後の経糸密
度は1インチ当り6本であり、経糸の間隔が狭まってい
る。緯糸密度は1インチ当りほぼ9本であり、湯通し前
とほとんど変化がなかった。
【0038】この生地においては収縮性のない糸が三子
糸であるが、この三子糸は普通に撚が掛けられているも
のであるので、湯通しした後は三子糸の撚が弛んだ状態
で、生地の表裏にループが生じている。このパイル織物
は麻の感触でざっくりとした風合であり、天然のヘチマ
のような感触が得られた。このパイル織物は浴用タオル
に適していた。 〔実施例5〕地経糸およびからみ経糸としてテンセルの
10番を2本撚合わせ双糸したものを用いた。緯糸とし
ては熱により収縮性を発現する糸とし、潜在捲縮性を有
するアクリル繊維の1/10を用いた。また、収縮性の
少ない糸として麻の60/3(60番手を3本撚合わせ
たもの)を用いた。そしてこれを先の図11に示したよ
うな紗織の組織図に基いて織上げた。湯通しする前の地
経糸およびからみ経糸の密度はそれぞれ1インチ当り4
本であり、緯糸密度は1インチ当り10本であった。こ
の生地を湯通しして収縮性を有する糸を収縮させた。こ
れにより経糸密度は1インチ当り7本となり、緯糸密度
は1インチ当り10本であった。
【0039】湯通しする前のものの写真を図15
(a)、(b)に示し、湯通しした後のものの写真を図
16(a)、(b)に示した。なお、図15(a)およ
び図16(a)は生地の耳部および中央部の一部を含む
生地を撮影したものであり、図15(b)および図16
(b)は中央部を拡大して写したものである。
【0040】このパイル織物では収縮しない緯糸が比較
的細いため、感触としては収縮した糸の感触が影響があ
り、少し硬い感じがする。収縮しない細い糸は細かなル
ープを描いているが、この糸が麻であるために、収縮し
た糸の感触と合わさって、生地全体の手触りとしては硬
い感じがする。このパイル織物は、例えば垢擦りなどに
適している。
【0041】
【発明の効果】本発明のパイル織物は糸密度が小さく、
目が粗いので、軽量である。また、収縮性のないまたは
低収縮性の糸が生地の裏表両面においてループを形成す
るので、軽量であるにも拘らずふっくらとして、ボリュ
ームがある。
【0042】また、本発明によれば、パイル織物の構造
は紗織であるが、使用する緯糸3の構成、糸密度、糸の
材質などを適宜変化させることにより、種々の表情のパ
イル織物とすることができる。
【0043】本発明のパイル織物は、糸密度や糸の素材
を変化させることにより、種々の用途に幅広く使用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するからみ織の一実施例を示す組
織図である。
【図2】本発明の第2実施例における紗織を示す組織図
である。
【図3】本発明の第2実施例のパイル織物に熱を付与し
た状態を模式的に示す組織図である。
【図4】湯通しした後の本発明の第2実施例のパイル織
物の写真であり、(a)は湯通しした状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図5】織上がった状態の本発明の第3実施例のパイル
織物の写真であり、(a)は織上がった状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図6】湯通しした後の本発明の第3実施例のパイル織
物の写真であり、(a)は湯通しした状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図7】織上がった状態の本発明の第4実施例のパイル
織物の写真であり、(a)は織上がった状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図8】水分を付与した後、自然乾燥した本発明の第4
実施例のパイル織物の写真であり、(a)は水分を付与
した後、自然乾燥したものの状態を示し、(b)はその
一部分を拡大したものである。
【図9】水分を付与した後、乾燥機で乾燥した本発明の
第4実施例のパイル織物の写真であり、(a)は水分を
付与した後、乾燥機で乾燥したものの状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図10】本発明の紗織における緯糸の使い方を異なら
せた別の組織図である。
【図11】本発明の紗織における緯糸の使い方を異なら
せた更に別の組織図である。
【図12】図11に示した組織のパイル織物に熱または
水分を付与した状態を模式的に示す組織図である。
【図13】織上がった状態の本発明の第5実施例のパイ
ル織物の写真であり、(a)は織上がった状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図14】湯通しした後の本発明の第5実施例のパイル
織物の写真であり、(a)は湯通しした状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図15】織上がった状態の本発明の第6実施例のパイ
ル織物の写真であり、(a)は織上がった状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【図16】湯通しした後の本発明の第6実施例のパイル
織物の写真であり、(a)は湯通しした状態を示し、
(b)はその一部分を拡大したものである。
【符号の説明】
1 地経糸 2 からみ経糸 3 緯糸 31 収縮性のない或は収縮性が少ない糸 32 収縮性のない或は収縮性が少ない糸 33 熱により収縮性を発現する糸 34 収縮性のない或は収縮性が少ない糸

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パイル織物が紗織であり、該紗織におけ
    る緯糸は収縮性のないまたは低収縮性の糸と熱または水
    分により収縮性を発現する糸とからなり、織上り状態に
    おける地経糸およびからみ経糸の密度はそれぞれ2〜1
    5本/インチであり、緯糸密度は3〜20本/インチで
    あり、織上り後の生地に熱または水分が付与されて前記
    緯糸において熱または水分により収縮性を発現する糸が
    収縮しており、前記収縮性のないまたは低収縮性の糸が
    ループを形成していることを特徴とするパイル織物。
  2. 【請求項2】 前記熱または水分により収縮性を発現す
    る糸が紗織における各開口毎に緯入れされていることを
    特徴とする請求項1記載のパイル織物。
  3. 【請求項3】 前記熱または水分により収縮性を発現す
    る糸が紗織における複数回の開口において前記開口の回
    数よりも少ない回数しか緯入れされていないことを特徴
    とする請求項1記載のパイル織物。
  4. 【請求項4】 前記収縮性のないまたは低収縮性の糸が
    紗織における各開口毎に緯入れされていることを特徴と
    する請求項または記載のパイル織物。
  5. 【請求項5】 前記収縮性のないまたは低収縮性の糸は
    前記熱または水分により収縮性を発現する糸が緯入れさ
    れている箇所には緯入れされていないことを特徴とする
    請求項記載のパイル織物。
  6. 【請求項6】 前記紗織の完全組織において前記収縮性
    のないまたは低収縮性の糸の本数が前記熱または水分に
    より収縮性を発現する糸の本数と同じか、それよりも多
    いことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項
    に記載のパイル織物。
  7. 【請求項7】 前記紗織の完全組織において前記熱また
    は水分により収縮性を発現する糸は前記収縮性のないま
    たは低収縮性の糸よりも本数が多く且つ細いことを特徴
    とする請求項1からまでのいずれか1項に記載のパイ
    ル織物。
  8. 【請求項8】 パイル織物が紗織であり、該紗織におけ
    る緯糸は少なくとも2本の収縮性のないまたは低収縮性
    の糸と熱または水分により収縮性を発現する糸とを甘撚
    で撚合せたものであり、織上り状態における地経糸およ
    びからみ経糸の密度はそれぞれ2〜15本/インチであ
    り、緯糸密度は3〜20本/インチであり、織上り後の
    生地に熱または水分が付与されて前記緯糸において熱ま
    たは水分により収縮性を発現する糸が収縮し、前記収縮
    性のないまたは低収縮性の糸がループを形成しているこ
    とを特徴とするパイル織物。
  9. 【請求項9】 収縮性のないまたは低収縮性の糸と熱ま
    たは水分により収縮性を発現する糸とを紗織における緯
    糸として用い、織上り状態における地経糸およびからみ
    経糸の密度がそれぞれ2〜15本/インチ、緯糸密度が
    3〜20本/インチとなるようにして紗織に織上げ、前
    記織上がった生地に熱または水分を付与して、前記緯糸
    において熱または水分により収縮性を発現する糸を収縮
    させ、前記収縮性のないまたは低収縮性の糸にループを
    形成させることを特徴とするパイル織物の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記熱または水分により収縮性を発現
    する糸を各開口毎に緯入れすることを特徴とする請求項
    記載のパイル織物の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記熱または水分により収縮性を発現
    する糸を複数回の開口において前記開口の回数よりも少
    ない回数しか緯入れしないことを特徴とする請求項
    載のパイル織物の製造方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも2本の収縮性のないまたは
    低収縮性の糸と熱または水分により収縮性を発現する糸
    とを甘撚で撚合せたものを紗織における緯糸として用
    い、織上り状態における地経糸およびからみ経糸の密度
    がそれぞれ2〜15本/インチ、緯糸密度が3〜20本
    /インチとなるようにして紗織に織上げ、前記織上がっ
    た生地に熱または水分を付与して、前記緯糸において熱
    または水分により収縮性を発現する糸を収縮させ、前記
    収縮性のないまたは低収縮性の糸にループを形成させる
    ことを特徴とするパイル織物の製造方法。
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