JP3090613B2 - 蒸留酒の製造方法 - Google Patents

蒸留酒の製造方法

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JP3090613B2
JP3090613B2 JP7815296A JP7815296A JP3090613B2 JP 3090613 B2 JP3090613 B2 JP 3090613B2 JP 7815296 A JP7815296 A JP 7815296A JP 7815296 A JP7815296 A JP 7815296A JP 3090613 B2 JP3090613 B2 JP 3090613B2
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俊郎 大森
祥子 辻本
秀春 高下
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三和酒類株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェルラ酸脱炭酸活性
を有するサッカロミセス・セレビシエ(Sacchar
omyces cerevisiae)に属する新規醸
造用酵母、すなわち、サッカロミセス・セレビシエTS
H−1(生工研菌寄第15422号)を使用する蒸留酒
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】泡盛は、米麹を原料に常圧蒸留を行った
沖縄特産の焼酎で、その長期貯蔵酒はクースと呼ばれ、
独特の甘い芳香を有する。この甘い芳香を放つ成分は、
近年の研究によりバニリンであることが明らかにされて
いる。泡盛中のバニリンは、そして以下に述べる生成メ
カニズムにより生成されることが知られている。すなわ
ち、原料である米の細胞壁を構成するアラビノキシラン
とエステル結合したフェルラ酸が、麹菌のエステラーゼ
によってもろみ中に遊離し、このフェルラ酸が常圧蒸留
時に加熱脱炭酸されて4−ビニルグアヤコール(以下、
4−VGという)となり、得られる焼酎(泡盛)中に留
出する。さらに、該焼酎(泡盛)中に含まれる該4−V
Gはその貯蔵中に酸化されてバニリンになる。
【0003】一方、消費量が最も多い麦焼酎や米焼酎
(泡盛は除く)は減圧蒸留を介して製造されるものが主
流であり、これらの焼酎はクセのない香味を有する。麦
焼酎や米焼酎(泡盛は除く)のもろみ中にもフェルラ酸
は含まれているが、該フェルラ酸は不揮発性成分である
ため、飛沫留出以外にはほとんど得られる焼酎中に留出
しない。また、減圧蒸留に際しては、もろみの品温を6
0℃以下にして行うため、この程度の温度ではフェルラ
酸から4−VGへの脱炭酸の反応はほとんど起こらず、
得られる麦焼酎や米焼酎(泡盛は除く)には4−VGが
ほとんど含まれず、貯蔵中にバニリンか生成することも
ない。また、醸造用もろみ中に含まれているフェルラ酸
は、上述の泡盛の場合のように、加熱により脱炭酸され
て4−VGに変化する以外に、該醸造用もろみ中に含ま
れる酵母などの微生物がフェルラ酸脱炭酸酵素を有する
場合には、当該酵素の作用によって4−VGに変化する
ことが知られている。しかも、4−VGは揮発性成分で
あるので、該4−VGが焼酎醸造用もろみ中に存在する
場合には、該もろみを蒸留に付すことにより該4−VG
が留出することが知られている。しかし、実用的に使用
される焼酎用酵母にはフェルラ酸脱炭酸酵素を有する菌
株はない。ところで、ワイン用酵母、ビール用酵母およ
びウイスキー用酵母の中にはフェルラ酸脱炭酸活性を有
するものがいくつかある。しかしそうした酵母はいずれ
もクエン酸耐性が実質的にないか、あるいはあったとし
ても焼酎製造に使用する酵母について要求されるほどの
クエン酸耐性はない。したがってこれらのワイン用酵
母、ビール用酵母およびウイスキー用酵母はいずれも焼
酎用酵母として使用することができないものである。
【0004】さらにフェルラ酸脱炭酸酵素は酵素剤とし
て市販されていないので、そうしたフェルラ酸脱炭酸酵
素を醸造用もろみ中に添加することは不可能である。ま
た、加熱以外の方法で物理的に醸造用もろみ中のフェル
ラ酸を脱炭酸して4−VGに変換する方法が考えられる
が、そうした方法は未だ開発されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】減圧蒸留を介して製造
される麦焼酎や米焼酎(泡盛は除く)は、バニリンを含
有することはあってもその含有量は極めて少ない。この
理由は上述したように、当該麦焼酎や米焼酎(泡盛は除
く)の製造における減圧蒸留が60℃以下の品温で行わ
れることから、フェルラ酸から4−VGへの脱炭酸反応
が起こらないためである。上述したように、減圧蒸留を
介して製造される麦焼酎や米焼酎(泡盛は除く)中に仮
に比較的多量の4−VGが存在する場合、当該焼酎の貯
蔵中に該4−VGは酸化されてバニリンとなり、このバ
ニリンは甘味を呈し、これが焼酎の官能的評価を好まし
いものとする。ところが、上述したように従来法では、
常圧蒸留によってのみバニリンの前駆体である4−VG
を焼酎(泡盛)中に留出させることができるにすぎず、
減圧蒸留を介して製造される麦焼酎や米焼酎(泡盛は除
く)においては当該4−VGを比較的多量に含有するよ
うにすることはできない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく、各種実験を介して、鋭意研究を重ね
た。その結果、フェルラ酸脱炭酸酵素を有するサッカロ
ミセス・セレビシエIFO 2018と優れたクエン酸
耐性を有する焼酎酵母サッカロミセス・セレビシエBA
W−6とを細胞融合した株から、フェルラ酸脱炭酸酵素
を有し、かつ優れたクエン酸耐性を有する菌株(酵母)
を見い出し、これを用いてアルコール発酵する場合、も
ろみ中の4−VG濃度が顕著に向上することが判った。
本発明は上述した発見事実に基づいたものである。すな
わち、本発明は、上述した新規醸造用酵母を用いてアル
コール発酵を行い、もろみ中の4−VG濃度を向上さ
せ、該もろみを減圧蒸留に付して、比較的多量のバニリ
ンを含有し、豊かな香味を有する蒸留酒の製造方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【発明の構成・効果】上記目的を達成する本発明は、本
発明者らが発見した新規醸造用酵母のサッカロミセス・
セレビシエTSH−1(生工研菌寄第15422号)を
アルコール発酵用培地に接種してアルコール発酵を行う
ことを特徴とするものである。本発明によれば、従来の
酵母を使用したときに比べ、アルコール発酵後の発酵液
中の4−VG濃度が高くなり、減圧蒸留で焼酎などの蒸
留酒中に4−VGが留出することにより、香味の豊かな
蒸留酒を効率的に製造することができる。
【0008】本発明においていう蒸留酒は、麹、麦芽お
よび/または酵素剤を使用して発酵工程を介した後、減
圧蒸留(すなわち、単式蒸留)によって得られるものを
意味し、代表的には、焼酎、ウイスキー、ブランデー、
スピリッツなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。アルコール発酵の発酵形式には、ウイスキ
ーを製造する場合の単発酵と、焼酎などを製造する場合
の並行複発酵とがある。また、仕込み形式には焼酎を製
造する場合の2段仕込み(1次仕込み、2次仕込み)、
ウイスキー、ブランデーなどを製造する場合の1段仕込
みなどがある。本発明はこれらいずれの発酵形式であっ
ても適用でき、いずれの場合にあっても所望の効果が達
成される。
【0009】本発明において使用するサッカロミセス・
セレビシエTSH−1(生工研菌寄第15422号)
は、フェルラ酸脱炭酸活性を有するとともに優れたクエ
ン酸耐性を有するものであって、下述するTTC染色性
(1)およびD.C.染色性(2)により特徴づけられ
る新規酵母である。すなわち、(1)古川、秋山の方法
(古川敏郎、秋山裕一:農化、37,398(196
3))に従ってTTC染色性試験、すなわち菌体を1プ
レートに約200程度となるように希釈し、TTC下層
培地に30℃で2日間プレート培養したコロニーへ、T
TC寒天を溶解後45℃程度にしてから静かに重層し、
固まった後30℃に2〜3時間放置し、コロニーの染色
を観察したとき、ピンク色を示し、かつ(2)溝口、藤
田の方法(溝口晴彦、藤田栄信:醗工、59,185
(1981))に従って、D.C.染色性試験、すなわ
ち菌体を1プレートに約200程度となるように希釈
し、TTC下層培地に30℃で2日間プレート培養した
コロニーへ、上層用軟寒天を溶解後45℃程度にしてか
ら静かに重層し、固まった後室温に30分放置し、コロ
ニーの染色を観察したとき、クリーム色を示すことによ
り識別させられるサッカロミセス・セレビシエに属する
新規酵母である。
【0010】また該新規酵母は、下述する菌学的性質を
有する。 (a)YM培地を用い、30℃で2日間培養したときの
菌の形態: 栄養細胞の大きさ:4〜9μm 栄養細胞の形状:卵型 増殖の形態:出芽 (b)YM寒天平板培地を用い、30℃で2日間培養し
たときのコロニーの形態: 形態:円 隆起:凸円状 周縁:円滑 大きさ(直径):2〜3mm 色調:白色で不透明 表面:円滑で光沢あり (c)炭素源資化性:グルコース、ガラクトース、フル
クトース、シュクロース、マルトース、マンノース、ト
レハロース、アラビノース、ラフィノース、エタノー
ル、乳酸、α−メチルグルコシド、メレジトース、コハ
ク酸、グリセロールは資化する;セロビオース、メリビ
オース、エリスリトール、イノシトール、イヌリン、ラ
クトース、マンニトール、メリビオース、ラムノース、
リボース、サリシン、ソルビトール、スターチ、キシロ
ースは資化しない。 (d)増殖阻害薬剤に対する耐性:カナバニン100p
pm存在下の寒天培地(2wt.%グルコース、0.6
7wt.%イーストナイトロジェンベース)でコロニー
を形成する。セルレニン20ppm存在下の寒天培地
(2wt.%グルコース、0.67wt.%イーストナ
イトロジェンベース)でコロニーを形成しない。
【0011】本発明において使用する上述した、フェル
ラ酸脱炭酸酵素(すなわちフェルラ酸脱炭酸活性)を有
し、かつ優れたクエン酸耐性を有する新規酵母は、本発
明者らが取得したものである。すなわち、サッカロミセ
ス・セレビシエに属する焼酎用酵母BAW−6とビール
用酵母であるサッカロミセス・セレビシエIFO201
8とを細胞融合処理し、該細胞融合処理の結果得られた
菌株の中からフェルラ酸脱炭酸活性を有し、かつ優れた
クエン酸耐性を有していて、菌学的性質が前記のBAW
−6株およびIFO 2018株のいずれからも明確に
区別できる、従来未知の新規な醸造用酵母として取得し
たものである。
【0012】以下に、本発明者らが、本発明のサッカロ
ミセス・セレビシエに属する新規酵母、すなわちTSH
−1株(生工研菌寄第15422号)を見い出すに至っ
た経緯を説明する。
【0013】1.各種酵母のフェルラ酸脱炭酸活性の検
討 一般に使用される焼酎用酵母(BAW−6,Ko,MK
およびSH−4酵母)、清酒用酵母(協会7,9,1
0,13,601,701および901号酵母)、ワイ
ン用酵母(OC2およびIFO 2260酵母)、ビー
ル用酵母(IFO1952,1953および2018酵
母)、ウイスキー用酵母(IFO 0233,023
4,2114,2115,2116および2373酵
母)のそれぞれについてフェルラ酸脱炭酸活性測定を介
して検討を行った。当該フェルラ酸脱炭酸活性の測定
は、Chatonnetらの方法(P.Chatonn
et et al.:J.Sci.Food Agri
c.,62,191−202(1993))に従って行
った。なお、上述した酵母はいずれもサッカロミセス・
セレビシエに属するものである。
【0014】すなわち、上述した酵母のそれぞれについ
てその一白金耳を、10mlのYPD培地(2wt.%
グルコース、1wt.%酵母エキス、2wt.%ポリペ
プトン)に接種して、所定の時間30℃で振とう培養
し、培養液を得た。この際、培養液の培養時間は、前記
YPD培地を5倍希釈したときの660nmの吸光度が
0.4以上になるまでとした。得られた培養液を300
0rpmで15分間遠心分離し、上清を捨て、酵母菌体
を得た。得られた該酵母菌体に10mlのリン酸バッフ
ァー液(0.05M,pH6.0)を加え、懸濁後、再
び3000rpmで15分間遠心分離し、上清を捨て、
再度10mlの前記リン酸バッファー液を加え、懸濁し
懸濁液を得た。得られた懸濁液500μlを別の試験管
に取り、脱イオン水4.5mlを加え、これにより前記
懸濁液の5倍希釈液を得、660nmの吸光度を測定し
た。ここで得られた吸光度の値に基づいて、660nm
の吸光度が0.4〜0.5になるように、前記懸濁液を
脱イオン水を用いて希釈した。得られた希釈液10ml
に1mlのフェルラ酸(1g/l−95%エタノール)
を添加し、撹拌後、得られた混合液500μlを別の試
験管に取り、脱イオン水4.5mlを加え、660nm
の吸光度を測定し、得られた値を該混合液の濁度とし
た。
【0015】なお、ここにおける濁度は該混合液に含ま
れる酵母数の度合いを示す。残りの前記混合液10.5
mlを30℃で2時間静置培養した。かくして培養した
混合液の1.5mlを、5000rpmで15分間遠心
分離し、得られた上清を高速液体クロマトグラフィーに
供し、前記培養後の混合液中に生成した4−VG濃度を
測定した。この際の高速液体クロマトグラフィー分析は
Huangら(Appl.Environ.Micro
biol.,59(3),2244−2250,(19
93))の方法に従って行った。詳細には、カラムに、
μBONDASPERE C18(3.9mm×15c
m 100Å Waters社製)を用い、純水:アセ
トニトリル:酢酸=70:30:1の溶離液を、流速
1.2ml/分で前記カラムに通じた。4−VGの検出
波長は260nmに設定した。そして、前記培養後の混
合液中に生成した4−VG濃度の値を前記混合液の上述
した濁度の値で除し、得られた値を当該酵母のフェルラ
酸脱炭酸活性の値とした。
【0016】以上のようにして上述した酵母のそれぞれ
のフェルラ酸脱炭酸活性を測定し、得られた結果を表1
に示す。表1に示す結果から明らかなように、一般に使
用されている焼酎用酵母(BAW−6,Ko,MKおよ
びSH−4酵母)の中にはフェルラ酸脱炭酸活性を示す
ものがないことが判った。また、一般に使用されている
清酒用酵母(協会7,9,10,13,601,701
および901号酵母)についてもフェルラ酸脱炭酸活性
はほとんどか、あるいは全くないことが判った。しか
し、ワイン用酵母(OC2およびIFO 2260酵
母)、ビール用酵母(IFO 1952,1953およ
び2018酵母)およびウイスキー用酵母(IFO 0
233,0234,2114,2115,2116およ
び2373酵母)の中には、フェルラ酸脱炭酸活性を有
するものがあった。中でも、ワイン用酵母IFO 22
60、ビール用酵母IFO 1953、ビール用酵母I
FO2018は比較的高いフェルラ酸脱炭酸活性を示す
ことが判った。
【0017】2.各種酵母のクエン酸耐性試験 上記1.において供試したそれぞれの酵母についてクエ
ン酸耐性試験を行った。すなわち、上記1.に述べた酵
母のそれぞれをYPD培地(2wt.%グルコース、1
wt.%酵母エキス、2wt.%ポリペプトン)を用い
30℃で2日間前培養して酵母菌体を得、得られた酵母
菌体を2%クエン酸を含むYPD培地に植菌し、30℃
で8日間静置培養を行った。この際、各酵母の増殖の指
標として、660nmにおける吸光度(クエン酸耐性)
を観察した。観察結果を表1に示す。なお、クエン酸耐
性の評価は、培養8日目の660nmにおける吸光度
が、1.0未満のものを−、1.0以上1.2未満のも
のを+、1.2以上1.5未満のものを++、1.5以
上のものを+++とする基準で表1に示した。表1から
明らかなように、実験に供試したそれぞれの酵母のう
ち、焼酎用酵母(BAW−6,Ko,MKおよびSH−
4酵母)はクエン酸耐性が高く、中でもBAW−6株は
特に高いクエン酸耐性を示すことが判った。また、ワイ
ン用酵母(OC2およびIFO 2260酵母)につい
てはわずかのクエン酸耐性が認められるが、清酒用酵母
(協会7,9,10,13,601,701および90
1号酵母)、ビール用酵母(IFO 1952,195
3および2018酵母)およびウイスキー用酵母(IF
O 0233,0234,2114,2115,211
6および2373酵母)についてはいずれもクエン酸耐
性がほとんどないかあったにしても極めて低いことが判
った。
【0018】3.細胞融合 焼酎もろみの特徴の一つは、該焼酎もろみが焼酎麹が生
産したクエン酸を含むため、pH3〜4の酸性を呈する
ことである。そのためこうした焼酎に使用される焼酎用
酵母は、クエン酸耐性を有し、かつクエン酸酸性下でも
十分な発酵能を有する。しかし、当該焼酎用酵母はいず
れもフェルラ酸脱炭酸活性を有していないので、焼酎製
造用もろみ中のフェルラ酸は4−VGに変換されない。
従って上述したように減圧蒸留を介して製造される麦焼
酎や米焼酎(泡盛を除く)は4−VGを実質的に含有し
ないものである。
【0019】一方、上記1.で述べたように、上述した
ワイン用酵母、ビール用酵母およびウイスキー用酵母の
中にはいくつか比較的大きいフェルラ酸脱炭酸活性を有
するものがあるが(表1参照)、そうした酵母はいずれ
もクエン酸耐性が実質的にないか、あるいはあったとし
ても焼酎製造に使用する酵母について要求されるほどの
クエン酸耐性はない。そこで、上記2.において、最も
高いクエン酸耐性を有することの判った焼酎用酵母BA
W−6と上記1.において最も高いフェルラ酸脱炭酸活
性を有することの判ったビール用酵母IFO 2018
株との細胞融合を試みた。すなわち、当該二者の酵母を
以下に述べるようにして細胞融合した。
【0020】3−(1)親株に対するマーカーの付与 細胞融合により得られる融合株を効率的に分離するため
には、当該細胞融合に付する二者の親株(すなわち両親
株)にマーカーを付与する必要性がある。すなわち、細
胞融合処理後にマーカーを有する融合しなかった両親株
は増殖せず、そしてマーカーが相補された融合株のみが
増殖できる培地を使用することにより、該融合株のみを
選択的に分離することができる。そこで、両親株の一つ
として親株として使用する焼酎用酵母BAW−6株にリ
ジン要求性のマーカー付与を行い、他の親株として使用
するビール用酵母IFO 2018株に呼吸欠損性のマ
ーカー付与を行った。
【0021】(イ)リジン要求性株の取得:BAW−6
株を、YPD培地(2wt.%グルコース、1wt.%
酵母エキス、2wt.%ポリペプトン)を用い30℃で
2日間前培養して酵母菌体を得た。得られた培養液を別
のYPD培地10mlに植菌し、30℃で12時間振と
う培養し、得られた酵母菌体を3000rpmで5分間
遠心分離して集菌し、滅菌水10mlで洗浄後、300
0rpmで5分間遠心分離した。ここで得られた酵母菌
体をリン酸バッファー液(pH7.0)10mlに懸濁
後、エチルメタンスルフォネート(EMS)0.3ml
を添加して、30℃で45分間緩やかに振とうすること
により変異処理を行った。かくして変異処理した酵母菌
体を3000rpmで5分間遠心分離して集菌し、これ
を5%チオ硫酸ナトリウム溶液10mlに懸濁し、得ら
れた懸濁液の400μlをAAプレート(2wt.%グ
ルコース、2wt.%イーストナイトロジェンベース、
0.2wt.%DL−α−アミノアジピン酸、L−リジ
ン塩酸塩(30ppm)、2wt.%寒天)に塗布し
た。得られたものを、30℃で1週間培養し、複数個の
コロニーの出現をみた。これらのコロニーについて特に
大きなコロニー30個を釣菌し、それぞれのコロニーを
別々に滅菌水に懸濁してそれぞれの懸濁液を得た。
【0022】得られたそれぞれの該懸濁液を、SDプレ
ート(2wt.%グルコース、0.67wt.%イース
トナイトロジェンベース、2wt.%寒天)とSD+L
ysプレート(2wt.%グルコース、0.67wt.
%イーストナイトロジェンベース、L−リジン塩酸塩
(30ppm)、2wt.%寒天)に接種(スタンプ)
した。得られたもののそれぞれを、30℃で1週間培養
し、該SDプレート上で出現せず、SD+Lysプレー
ト上で出現した10個のコロニー(すなわちLys-
1,2,3,4,5,6,7,8,9および10)を目
的とするリジン要求性株とした。
【0023】(ロ)クエン酸耐性によるリジン要求性株
のスクリーニング:上記(イ)において得たリジン要求
性株(Lys-−1〜Lys-−10)のそれぞれの株に
ついてクエン酸耐性試験を行った。すなわち、リジン要
求性株(Lys-−1〜Lys-−10)のそれぞれをY
PD培地(2wt.%グルコース、1wt.%酵母エキ
ス、2wt.%ポリペプトン)を用い30℃で2日間前
培養して酵母菌体を得、得られた酵母菌体を、2%クエ
ン酸を含むYPD培地に植菌し、30℃で8日間静置培
養を行った。この際、各酵母の増殖の指標として、培養
8日目の660nmにおける吸光度(クエン酸耐性)を
観察した。観察結果を表2に示す。表2から明らかなよ
うに上記(イ)において得たBAW−6を親株とするリ
ジン要求性株(Lys-−1〜Lys-−10)のうち、
最も高いクエン酸耐性を示したLys-−5をBAW−
6のリジン要求性株として選抜した。
【0024】(ハ)呼吸欠損株の取得:IFO 201
8株を、YPD培地(2wt.%グルコース、1wt.
%酵母エキス、2wt.%ポリペプトン)を用い30℃
で2日間前培養して酵母菌体を得た。得られた酵母菌体
を別のYPD培地10mlに植菌し、30℃で12時間
振とう培養し培養液を得た。得られた培養液の100μ
lを滅菌水10mlに懸濁して懸濁液を得、得られた懸
濁液の100μlをさらに、アクリフラビン液体培地
(0.1wt.%リン酸二水素カリウム、0.15w
t.%硫酸アンモニウム、0.05wt.%硫酸マグネ
シウム七水和物、0.18wt.%ポリペプトン、0.
2wt.%酵母エキス、2wt.%グルコース、3pp
m.アクリフラビン)2mlに植菌した。得られたもの
を30℃で4日間培養後、1プレートに出現するコロニ
ーの数が約200程度となるように前記アクリフラビン
液体培地を希釈し、TTC下層培地のプレートに塗布し
た。これを30℃で2日間培養して、約200個のコロ
ニーの出現をみた。出現したコロニーのすべてについて
TTC染色を行い、白色を呈した5個のコロニーを釣菌
し、それらコロニーのそれぞれを別々に滅菌水に懸濁し
てそれぞれの懸濁液を得た。得られたそれぞれの該懸濁
液、SDプレート(2wt.%グルコース、0.67w
t.%イーストナイトロジェンベース、2wt.%寒
天)とSD+Glyプレート(2wt.%グルコース、
0.67wt.%イーストナイトロジェンベース、2w
t.%グリセロール、2wt.%寒天)に接種(スタン
プ)した。得られたもののそれぞれを、30℃で1週間
培養し、コロニーが該SDプレート上で出現し、SD+
Glyプレート上で出現しなかった株を3株得、該3株
を目的とする呼吸欠損株(ρ-−1,ρ-−2およびρ-
−3)として取得した。
【0025】(ニ)フェルラ酸脱炭酸活性による呼吸欠
損株のスクリーニング:上記(ハ)で得られた3つの呼
吸欠損株(ρ-−1,ρ-−2およびρ-−3)について
フェルラ酸脱炭酸活性の程度を調べるために以下の実験
を行った。フェルラ酸脱炭酸活性の測定は、Chato
nnetらの方法(P.Chatonnet et a
l.:J.Sci.Food Agric.,62,1
91−202(1993))に従って行った。
【0026】すなわち、上記3つの呼吸欠損株(ρ-
1,ρ-−2およびρ-−3)のそれぞれについて、その
一白金耳を、10mlのYPD培地(2wt.%グルコ
ース、1wt.%酵母エキス、2wt.%ポリペプト
ン)に接種して、30℃で所定時間振とう培養し、培養
液を得た。この際の、培養時間は、前記YPD培地を5
倍希釈したときの660nmの吸光度が0.4以上にな
るまでとした。得られた培養液を3000rpmで15
分間遠心分離し、上清を捨て、酵母菌体を得た。得られ
た該酵母菌体に10mlのリン酸バッファー液(0.0
5M,pH6.0)を加え、懸濁後、再び3000rp
mで15分間遠心分離し、上清を捨て、再度10mlの
前記リン酸バッファー液を加え、懸濁し懸濁液を得た。
得られた懸濁液500μlを別の試験管に取り、脱イオ
ン水4.5mlを加え、これにより前記懸濁液の5倍希
釈液を得、660nmの吸光度を測定した。ここで得ら
れた吸光度の値に基づいて、660nmの吸光度が0.
4〜0.5になるように、前記懸濁液を脱イオン水を用
いて希釈した。得られた希釈液10mlに1mlのフェ
ルラ酸(1g/l−95%エタノール)を添加し、撹拌
して混合液を得た。得られた混合液500μlを別の試
験管に取り、脱イオン水4.5mlを加え、660nm
の吸光度を測定し、得られた値を該混合液の濁度とし
た。なお、ここにおける濁度は該混合液に含まれる酵母
数の度合いを示す。残りの前記混合液10.5mlを3
0℃で2時間静置培養した。かくして培養した混合液の
1.5mlを、5000rpmで15分間遠心分離し、
得られた上清を高速液体クロマトグラフィーに供し、前
記培養後の混合液中に生成した4−VG濃度を測定し
た。
【0027】この際の高速液体クロマトグラフィー分析
はHuangら(Appl.Environ.Micr
obiol.,59(3),2244−2250,(1
993))の方法に従って行った。詳細には、カラム
に、μBONDASPEREC18(3.9mm×15
cm 100Å Waters社製)を用い、純水:ア
セトニトリル:酢酸=70:30:1の溶離液を、流速
1.2ml/分で前記カラムに通じた。4−VGの検出
波長は260nmに設定した。そして、前記培養後の混
合液中に生成した4−VG濃度の値を前記混合液の上述
した濁度の値で除し、得られた値を当該酵母のフェルラ
酸脱炭酸活性の値とした。3つの表3に得られたフェル
ラ酸脱炭酸活性の測定結果を示す。表3に示した結果に
基づいて、当該3つの呼吸欠損株(ρ-−1,ρ-−2お
よびρ-−3)のうち、最も高いフェルラ酸脱炭酸活性
を示した呼吸欠損株ρ-−2をIFO2018株の呼吸
欠損株として取得した。
【0028】3−(2).プロトプラスト融合 上記3−(1)−(ロ)で得たBAW−6株のリジン要
求性株Lys-−5と上記3−(2)−(ニ)で得たI
FO 2018株の呼吸欠損株ρ-−2のそれぞれを、
以下の方法に従ってプロトプラスト融合を行った。すな
わちLys-−5株とρ-−2株のそれぞれの一白金耳
を、YPD培地(2wt.%グルコース、1wt.%酵
母エキス、2wt.%ポリペプトン)10mlに植菌
し、30℃で20時間静置培養して培養液を得た。得ら
れた培養液を3000rpmで5分間遠心分離し、得ら
れた酵母菌体をトリス塩酸バッファー液(pH7.5)
10mlを用いて洗浄し、3000rpmで5分間遠心
分離した。上清を捨て、得られた酵母菌体を0.6M
KClと0.2% 2−メルカプトエタノールを含む溶
液10mlに懸濁し、30℃で30分間振とう後、0.
2% 2−メルカプトエタノール、0.6M KClお
よび1mg/ml Zymolyase−20T(細胞
壁溶解酵素)を含むトリス塩酸バッファー液(pH7.
5)10mlを加え、35℃で2時間振とう処理し、L
ys-−5株とρ-−2株のそれぞれについてプロトプラ
ストを得た。得られたそれぞれのプロトプラストは20
00rpmで5分間遠心分離後、0.6M KClを含
むトリス塩酸バッファー液(pH7.5)10mlを用
いて2回洗浄後、2000rpmで5分間遠心分離し、
上清を捨て、5mlの同バッファー液に懸濁しプロトプ
ラスト液を得た。
【0029】得られた二者のプロトプラスト液のそれぞ
れの5mlを混合して混合液を得、2000rpmで5
分間遠心分離し、上清を捨て酵母菌体を得た。得られた
酵母菌体に、50mM塩化カルシウムを含む35%PE
G−4000溶液5mlを加え、30℃で15分間静置
後、2000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、
酵母菌体を得た。得られた酵母菌体を、0.6M KC
lを含む0.1Mトリス塩酸バッファー液(pH7.
5)10mlに懸濁し、得られた懸濁液の100μlを
SD+Glyプレート(2wt.%グルコース、0.6
7wt.%イーストナイトロジェンベース、2wt.%
グリセロール、2wt.%寒天)に塗布した。次いで該
SD+Glyプレートと同一組成の培地を用意し、品温
を45℃程度に調整してから、これを前記SD+Gly
プレートに静かに5ml重層し、得られたものを30℃
で4日間培養し、20個のコロニーの出現をみた。かく
して20個のコロニーすなわち20個の細胞融合酵母
(TSH−1〜20)を得た。
【0030】4.有用菌株のスクリーニング 4−(1).細胞融合株のフェルラ酸脱炭酸活性の測定 得られた上記20の細胞融合酵母(TSH−1〜20)
のそれぞれについてフェルラ酸脱炭酸活性の有無を調べ
るために以下の実験を行った。フェルラ酸脱炭酸活性の
測定は、Chatonnetらの方法(P.Chato
nnet etal.:J.Sci.Food Agr
ic.,62,191−202(1993))に従って
行った。
【0031】すなわち、上記20株の細胞融合酵母(T
SH−1〜20)のそれぞれについて、その一白金耳
を、10mlのYPD培地(2wt.%グルコース、1
wt.%酵母エキス、2wt.%ポリペプトン)に接種
して、30℃で所定時間振とう培養し、培養液を得た。
この際の、培養時間は、前記YPD培地を5倍希釈した
ときの660nmの吸光度が0.4以上になるまでとし
た。得られた培養液を3000rpmで15分間遠心分
離し、上清を捨て、酵母菌体を得た。得られた該酵母菌
体に10mlのリン酸バッファー液(0.05M,pH
6.0)を加え、懸濁後、再び3000rpmで15分
間遠心分離し、上清を捨て、再度10mlの前記リン酸
バッファー液を加え、懸濁し懸濁液を得た。得られた懸
濁液500μlを別の試験管に取り、脱イオン水4.5
mlを加え、これにより前記懸濁液の5倍希釈液を得、
660nmの吸光度を測定した。ここで得られた吸光度
の値に基づいて、660nmの吸光度が0.4〜0.5
になるように、前記懸濁液を脱イオン水を用いて希釈し
た。得られた希釈液10mlに1mlのフェルラ酸(1
g/l−95%エタノール)を添加し、撹拌して混合液
を得た。得られた混合液500μlを別の試験管に取
り、脱イオン水4.5mlを加え、660nmの吸光度
を測定し、得られた値を該混合液の濁度とした。なお、
ここにおける濁度は該混合液に含まれる酵母数の度合い
を示す。残りの前記混合液10.5mlを30℃で2時
間静置培養した。かくして培養した混合液の1.5ml
を、5000rpmで15分間遠心分離し、得られた上
清を高速液体クロマトグラフィーに供し、前記培養後の
混合液中に生成した4−VG濃度を測定した。この際の
高速液体クロマトグラフィー分析はHuangら(Ap
pl.Environ.Microbiol.,59
(3),2244−2250,(1993))の方法に
従って行った。
【0032】詳細には、カラムに、μBONDASPE
RE C18(3.9mm×15cm 100Å Wa
ters社製)を用い、純水:アセトニトリル:酢酸=
70:30:1の溶離液を、流速1.2ml/分で前記
カラムに通じた。4−VGの検出波長は260nmに設
定した。そして、前記培養後の混合液中に生成した4−
VG濃度の値を前記混合液の上述した濁度の値で除し、
得られた値を当該酵母のフェルラ酸脱炭酸活性の値とし
た。20株の細胞融合酵母(TSH−1〜20)のフェ
ルラ酸脱炭酸活性の測定結果を表4に示す。表4に示し
た結果に基づいて、当該20の細胞融合酵母のうち、特
にフェルラ酸脱炭酸活性の高い細胞融合酵母4株(TS
H−1,TSH−2,TSH−5,TSH−6)を選抜
した。
【0033】4−(2).クエン酸耐性の検討 上記4−(1).で選抜した4つの細胞融合酵母(TS
H−1,TSH−2,TSH−5,TSH−6)につい
てクエン酸耐性試験を行った。すなわち、当該4つの細
胞融合酵母のそれぞれをYPD培地(2wt.%グルコ
ース、1wt.%酵母エキス、2wt.%ポリペプト
ン)を用い30℃で2日間前培養して酵母菌体を得、得
られた酵母菌体を2%クエン酸を含むYPD培地に植菌
し、30℃で8日間静置培養を行った。この際、各酵母
の増殖の指標として、660nmにおける吸光度(クエ
ン酸耐性)の経時変化を観察した。その結果を図1に示
す。図1に示す結果から、前記4つの細胞融合酵母は、
いずれもIFO 2018株より高く、しかもBAW−
6株より低いクエン酸耐性を示したが、その中でも特に
BAW−6株のクエン酸耐性に酷似した菌株TSH−1
を選抜した。
【0034】5.菌学的性質 上記4.において分離した菌株TSH−1が、親菌株の
BAW−6およびIFO 2018のいずれからも明確
に識別されるものであるか否かを見極めるため、菌学的
性質(形態学的性質および生理学的性質)の異同につい
て以下の検討を行った。
【0035】5−(1).形態学的性質 YM寒天培地(1wt.%グルコース、0.3wt.%
酵母エキス、0.5wt.%ポリペプトン、0.3w
t.%麦芽エキス、2wt.%寒天)を用い、菌株TS
H−1、親菌株のBAW−6およびIFO 2018の
それぞれの菌体を30℃の温度で2日間培養し、得られ
たものについて光学顕微鏡で観察した。観察結果を表5
にまとめて示した。表5から明らかなように、いずれの
菌体の栄養細胞もその大きさは4〜9μmで卵型であ
り、また、YM寒天培地上ではいずれの菌株もつやのあ
る白色のコロニーを形成することが判った。
【0036】5−(2).生理学的性質 a.炭素源資化性 菌株TSH−1、親菌株のBAW−6およびIFO 2
018のそれぞれについて、固体培地を使用するレプリ
カ法によって炭素源資化性を試験した。すなわち、表6
に示すそれぞれの炭素化合物を1wt.%含有するバク
ト社製炭素源資化テスト用培地を用意し、それぞれの寒
天平板に前記菌株を接種(スタンプ)し、30℃で培養
して炭素源資化性を観察した。炭素源資化性の観察結果
を表6にまとめて示した。表6に示した結果より次のこ
とが判った。すなわち、TSH−1株は、親株であるB
AW−6株およびIFO 2018株のいずれからも次
の点で明らかに異なる。すなわち、TSH−1株はメレ
ジトースを資化するが、BAW−6株は資化しない;ま
た、TSH−1株およびBAW−6株はグリセロールお
よび乳酸を資化するが、IFO 2018株はこれらを
資化しない。
【0037】b.増殖阻害物質に対する耐性 菌株TSH−1、親菌株のBAW−6およびIFO 2
018について、固体培地を使用するレプリカ法によっ
て増殖阻害物質に対する耐性を試験した。すなわち、
0,10,20および30ppm濃度のセルレニンと、
0,10,20および100ppm濃度のカナバニンを
含有するそれぞれのSDプレート(2wt.%グルコー
ス、0.67wt.%イーストナイトロジェンベース、
2wt.%寒天)に前記菌株を接種(スタンプ)し、3
0℃で培養し、増殖の有無を観察した。得られた観察結
果を表7および表8に示した。表7および表8に示した
結果から次のことが判った。すなわち、BAW−6株は
セルレニン濃度20ppmで増殖するのに対し、IFO
2018株およびTSH−1株はいずれもセルレニン
存在下では増殖しない;BAW−6株は、カナバニン存
在下では増殖しないのに対して、IFO 2018株は
カナバニン濃度20ppmまで増殖し、TSH−1株は
カナバニン濃度100ppmまで増殖する。
【0038】c.TTC染色性 古川、秋山の方法(古川ら:農化、37,398−(1
963))に従って試験した。すなわち、BAW−6
株、IFO 2018株、TSH−1株の3種のそれぞ
れの菌体を1プレートに約200程度となるように希釈
し、下層培地に30℃で2日間プレート培養したコロニ
ー上へ、TTC寒天を溶解後45℃程度にしてから静か
に重層し、固まった後30℃で2〜3時間放置し、コロ
ニーの染色状況を観察した。表5にTTC染色性の観察
結果を示した。表5に示した結果から明らかなように、
BAW−6株、IFO 2018株、TSH−1株とも
いずれもピンクであった。
【0039】d.D.C.染色性 溝口、藤田の方法(溝口ら:醗酵工学、59,185−
188(1981))に従って試験した。すなわち、B
AW−6株、IFO 2018株、TSH−1株のそれ
ぞれの菌体を1プレートに約200程度となるように希
釈し、下層培地に30℃で2日間プレート培養したコロ
ニー上へ、上層用軟寒天を溶解後45℃程度にしてから
静かに重層し、固まった後室温に30分間放置し、コロ
ニーの染色状況を観察した。表5にD.C.染色性の観
察結果を示した。表5に示した結果から明らかなよう
に、BAW−6株は白色、IFO 2018株は茶色で
あったが、TSH−1株はクリーム色であった。
【0040】以上の菌学的性質の観察結果から、次のこ
とがわかった。すなわち、本菌TSH−1株は、(i)
メレジトースの資化性について、BAW−6株と異な
る;グリセロールおよび乳酸の資化性について、IFO
2018株と異なる;(ii)カナバニンに対する耐
性について、親菌株であるBAW−6株およびIFO2
018株と異なる;(iii)D.C.染色性につい
て、親菌株であるBAW−6株およびIFO 2018
株と異なる。さらに20代にわたる本菌TSH−1株の
継代培養を行ったところ、上記(i),(ii)および
(iii)の性質は維持された。従って上述したTSH
−1株についての上記(i),(ii)および(ii
i)の性質は、TSH−1株に特有の確定的なものであ
ることが判った。よって、本菌すなわち、TSH−1株
は、従来の酵母から客観的に区別されるものであること
が判明し、本発明者らはこれを新菌と認定し、この菌株
をTSH−1と命名した。本菌株は、平成8年2月2日
に工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託し、TSH
−1は生工研菌寄第15422号なる受託番号を得た。
【0041】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の内容を説明す
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。
【0042】
【実施例1】酵母として純粋培養したサッカロミセス・
セレビシエTSH−1株(生工研菌寄第15422号)
を用い、原料として大麦(70%精白)を用い、以下に
述べる手法で大麦製焼酎を製造した。 酵母の前培養:前記酵母(TSH−1株)を、10ml
の2wt.%YEPD培地において、30℃で2日間、
前培養した。 大麦麹の作成:300gの大麦を40%(W/W)吸水
させ、40分間蒸した後、25℃まで放冷し、大麦1k
gあたり1g量の種麹(焼酎白麹菌)を接種し、38
℃,相対湿度(RH)95%で24時間、32℃,RH
92%で20時間培養して大麦麹を得た。 蒸麦の作成:700gの大麦を40%(W/W)吸水さ
せ、40分間蒸した後、25℃まで放冷して蒸麦を得
た。 1次仕込みは、上記大麦麹に上述した前培養した酵母を
加え、さらに水360mlを加えて1次もろみを得た。
得られた1次もろみを1段目の5日間の発酵に付した。
また2次仕込みは上記1段目の発酵を終えた1次もろみ
に、上記蒸麦と水1140mlを加えて2次もろみを得
た。得られた2次もろみを2段目の10日間の発酵に付
した。全発酵過程における品温経過は図2に示すとおり
であった。上記2段目の発酵を終えた2次もろみの一部
を以下に述べる分析に供し、残りの2次もろみを常法に
より単式蒸留に付した。かくして大麦焼酎を製造した。
【0043】
【比較例1−1】実施例1において、醸造用酵母として
IFO 2018を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、1次および2次もろみを得、得られた2次もろみを
単式蒸留に付して大麦焼酎を製造した。なお、以下に述
べる分析には、2段目の発酵を終えた2次もろみの一部
を供した。
【0044】
【比較例1−2】実施例1において、醸造用酵母として
BAW−6を用いた以外は、実施例1と同様にして、1
次および2次もろみを得、得られた2次もろみを単式蒸
留に付して大麦焼酎を製造した。なお、以下に述べる分
析には、2段目の発酵を終えた2次もろみの一部を供し
た。
【0045】
【評価】
(1)発酵曲線 上記実施例1、比較例1−1および比較例1−2におけ
る大麦焼酎製造における発酵曲線を、仕込み容器を含め
た重量を毎日測定して炭酸ガスの減少量を求めることに
より調べた。得られた発酵曲線を図3に示した。当該発
酵曲線から、本発明酵母TSH−1株の発酵状態はIF
O 2018株のそれよりも明らかに良好で、BAW−
6株のそれと実質的に同じであることが理解される。
【0046】(2)2次もろみのエタノール濃度 上記実施例1、比較例1−1および比較例1−2におい
て得られた2次もろみのエタノール濃度を浮ひょう法
(国税庁所定分析法注解)に従って測定した。該2次も
ろみのエタノール濃度を表9に示した。表9に示した結
果から、TSH−1株を用いたものはIFO 2018
株を用いたものよりエタノール濃度が0.6%高く、B
AW−6株と実質的に同じであることが理解される。
【0047】(3)2次もろみの4−VG濃度 上記実施例1、比較例1−1および比較例1−2におい
て得られた2次もろみの4−VGの濃度を小関らの方法
(小関ら:醸協,89,408−411(1994))
に従って測定した。すなわち、該2次もろみ約100m
lをガーゼろ過し、そのろ液を3000rpmで5分間
遠心分離し、上清を得た。得られた上清をろ紙(NO.
5C)でろ過して、ろ液を得た。該ろ液を50ml測り
とり、10,000ppmアニス酸(和光純薬工業社
製,特級)溶液150μlを内部標準として添加し、
0.4Mトリクロロ酢酸(和光純薬工業社製,特級)水
溶液50mlを加え混合液を得た。該混合液を30分
間、室温で撹拌後、3000rpmで5分間遠心分離
し、上清を得た。該上清を高速液体クロマトグラフィー
に供して、4−VG濃度を定量した。前記高速液体クロ
マトグラフィー分析は小関ら(醸造協会誌,89
(5),408−411(1994))の方法に従って
行った。すなわち、カラムはμBONDASPERE
C18(3.9mm×15cm 100Å Water
s社製)を用い、60分間で50mM酢酸緩衝液(pH
4.0)/アセトニトリル(95/5)から50mM酢
酸緩衝液(pH4.0)/アセトニトリル(35/6
5)までのリニアグラジエントによる溶出条件で、溶離
液を上記カラムに通じ、4−VGの検出波長は280n
mに設定した。該2次もろみの4−VGの濃度を表9に
示した。表9に示した結果から、TSH−1株を用いた
ものはBAW−6株を用いたものより2次もろみの4−
VG濃度が30倍増加したことが理解される。
【0048】(4)2次もろみの香気成分 上記実施例1および比較例1−2において得られた2次
もろみの香気成分をヘッドスペースガス分析法により分
析した。該2次もろみの香気成分を表10に示した。表
10に示した結果から、TSH−1株を用いたものは、
BAW−6株を用いたものよりも、酢酸イソアミルが約
1.6倍増加し、イソアミルアルコールなどの高級アル
コールも1.3〜1.5倍増加したことが理解される。
【0049】以上述べたことからも明らかなように、本
発明の酵母TSH−1株は、従来の焼酎酵母とは明らか
に異なり、フェルラ酸脱炭酸酵素を有し、かつ優れたク
エン酸耐性を有する菌株で、もろみ中に高濃度の4−V
Gを与えることができるものであることが理解される。
以上述べたことからも明らかなように、上述した新規な
醸造用酵母、すなわち、サッカロミセス・セレビシエT
SH−1(生工研菌寄第15422号)を使用する本発
明によれば、従来の焼酎製造法による場合よりもアルコ
ール発酵後の4−VG濃度が高くなり、減圧蒸留で焼酎
中に4−VGが留出することにより、所望の焼酎を効率
的に製造することができる。
【0050】
【実施例2】酵母としてサッカロミセス・セレビシエT
SH−1を用い、原料として粉砕麦芽を用い、以下に述
べる手法でウイスキー原酒を製造した。 酵母の前培養:前記酵母(TSH−1株)を、10ml
の2wt.%YEPD培地において、30℃で2日間、
前培養した。 糖化もろみの作成:ウイスキー製造用の調製された粉砕
麦芽1kgに温水5Lを混和し、63℃で1.5時間糖
化後、室温まで冷却した。 上記糖化もろみに上述した前培養した酵母を加えて、2
7℃で3日間発酵熟成を行い、ウイスキー原酒もろみを
得た。得られたウイスキー原酒もろみを単式蒸留し、ウ
イスキー原酒を得た。かくしてウイスキー原酒を製造し
た。
【0051】
【比較例2】醸造用酵母としてウイスキー酵母(IFO
0234株)を用いた以外は実施例2と同様にしてウ
イスキー原酒もろみを得、得られたウイスキー原酒もろ
みを単式蒸留に付してウイスキー原酒を製造した。
【0052】
【評価】上記実施例2および比較例2において得られた
ウイスキー原酒もろみの4−VGの濃度を小関らの方法
(小関ら:醸協,89,408−411(1994))
に従って測定した。すなわち、該ウイスキー原酒もろみ
の約100mlをガーゼろ過し、そのろ液を3000r
pmで5分間遠心分離し、上清を得た。得られた上清を
ろ紙(NO.5C)でろ過して、ろ液を得た。該ろ液を
50ml測りとり、10,000ppmアニス酸(和光
純薬工業社製,特級)溶液150μlを内部標準として
添加し、0.4Mトリクロロ酢酸(和光純薬工業社製,
特級)水溶液50mlを加え混合液を得た。該混合液を
30分間、室温で撹拌後、3000rpmで5分間遠心
分離し、上清を得た。該上清を高速液体クロマトグラフ
ィーに供して、4−VG濃度を定量した。前記高速液体
クロマトグラフィー分析は小関ら(醸造協会誌,89
(5),408−411(1994))の方法に従って
行った。すなわち、カラムはμBONDASPERE
C18(3.9mm×15cm 100Å Water
s社製)を用い、60分間で50mM酢酸緩衝液(pH
4.0)/アセトニトリル(95/5)から50mM酢
酸緩衝液(pH4.0)/アセトニトリル(35/6
5)までのリニアグラジエントによる溶出条件で、溶離
液を上記カラムに通じ、4−VGの検出波長は280n
mに設定した。実施例2、比較例2のそれぞれにおけ
る、発酵終了時のウイスキー原酒もろみの4−VG濃度
を表11にまとめて示した。表11に示した結果から次
のことが判った。すなわち、TSH−1を用いたものは
IFO 0234株を用いたものより、4−VG濃度が
16倍に増加する。
【0053】以上述べたことからも明らかなように、上
述した新規な醸造用酵母、すなわち、サッカロミセス・
セレビシエTSH−1(生工研菌寄第15422号)を
使用する本発明によれば、従来のウイスキー原酒製造法
による場合よりもアルコール発酵後のウイスキー原酒も
ろみ中の4−VG濃度が高くなる。従ってこのようなウ
イスキー原酒もろみを蒸留に付すと、ウイスキー原酒中
に4−VGが留出することにより所望のウイスキー原酒
を効率的に製造することができる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
【発明効果の概要】新規な醸造用酵母、すなわち、サッ
カロミセス・セレビシエTSH−1(生工研菌寄第15
422号)を使用することにより、従来の蒸留酒の製造
法による場合よりもアルコール発酵後の4−VG濃度が
高くなり、減圧蒸留で蒸留酒中に4−VGが留出するこ
とにより、所望の蒸留酒を効率的に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】クエン酸耐性試験における、酵母の増殖の経時
変化を示すグラフである。
【図2】発酵における品温経過を示すグラフである。
【図3】大麦焼酎の製造における発酵状態を示す発酵曲
線である。
フロントページの続き (72)発明者 下田 雅彦 大分県宇佐市大字山本2231−1 三和酒 類株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−115957(JP,A) 特開 平9−224653(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12G 1/00 - 3/14 C12C 1/00 - 13/10 C12N 1/16 - 1/19 JICST/JAFIC(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サッカロミセス・セレビシエTSH−1
    (生工研菌寄第15422号)をアルコール発酵用培地
    に接種して、アルコール発酵を行い発酵液を得、得られ
    た発酵液を蒸留することを特徴とする蒸留酒の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記蒸留酒は、焼酎、ウイスキー、ブラ
    ンデー、スピリッツのうちから選ばれるものである請求
    項1に記載の蒸留酒の製造方法。
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