JP3089616B2 - 電気錠種の判別方法 - Google Patents

電気錠種の判別方法

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JP3089616B2
JP3089616B2 JP03190886A JP19088691A JP3089616B2 JP 3089616 B2 JP3089616 B2 JP 3089616B2 JP 03190886 A JP03190886 A JP 03190886A JP 19088691 A JP19088691 A JP 19088691A JP 3089616 B2 JP3089616 B2 JP 3089616B2
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典夫 福山
行弘 井戸本
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美和ロック株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気錠の電磁アクチュ
エータを判別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、電気錠はその用途に応じ
て種々の電磁アクチュエータを採用している。ここで電
気錠とは、デッドボルトの移動を電磁アクチュエータに
より制御するものの他、扉枠側においてデッドボルトを
係止するストライクを電磁アクチュエータにより制御す
るいわゆる電気ストライクも含めるものとする。
【0003】現時点において、電気錠は主に採用する電
磁アクチュエータにより3種類に大別される。
【0004】その一は、電磁アクチュエータとしてソレ
ノイドあるいはロータリーソレノイドを用いるもので
(以下第一種電気錠という)、施錠叉は解錠のため連続
的に通電し、解錠叉は施錠時には電流を断つ。以下前者
を施錠時連続通電型(電気錠:以下同じ)、後者を解錠
時連続通電型と称することにする。
【0005】その二は、電磁アクチュエータとして双安
定型のラッチングソレノイド(いわゆるプッシュプルソ
レノイド)を用いるもので(以下第二種電気錠とい
う)、施錠あるいは解錠時短時間直流を通電すると電磁
アクチュエータが作動し、その作動位置を主に磁気的に
保持する。そのため施錠あるいは解錠状態を保つためさ
らに通電する必要はない。なお、この第二種電気錠に
は、その機構上、施錠時及び解錠時に正負異なる電圧を
印加するものと、施錠叉は解錠に拘らず同じ極性の電圧
を印加することにより、施錠機構が施錠状態及び解錠状
態を交互にとるものとの2種類がある。そこで、以下前
者を瞬時通電有極型、後者を瞬時通電無極型と称するこ
とにする。
【0006】また、その三は、電磁アクチュエータとし
て直流マイクロモータを用いるもの(以下第3種電気錠
という)で、この第3種電気錠はデッドボルトをマイク
ロモータにより駆動するので錠止が確実であり、重要な
部屋の電気錠として多用されている。この第3種電気錠
を以下モータ錠ということにする。
【0007】上記したように、電気錠は詳細に分類する
と5種類に分けられるが、これらの電気錠のそれぞれに
専用のコントローラを製造することは種々煩雑な事態が
生じるので、電気錠メーカーは、通常、あらゆる型の電
磁アクチュエータに対応できる1種類の汎用型のコント
ローラを製造し、このコントローラの電力供給部を接続
される電気錠の種類に応じて適切に設定し、上記した5
種類の電気錠のそれぞれに対応できるようにしている。
【0008】ちなみに、上記汎用型のコントローラは、
電磁アクチュエータを適切に設定してこれらに供給され
る直流電圧を一定に設定すると共に、直流電源と電気錠
との間に論理回路を利用した電力供給制御装置を挿設
し、例えば施錠時連続通電型の電気錠の場合には、施錠
信号が発生したとき直流電圧を連続的に電磁アクチュエ
ータに印加し、また、例えば瞬時通電有極型の電気錠の
場合には、解錠信号発生時、所定の極性の直流電圧を極
短時間電磁アクチュエータに印加するように作動する。
なお、上記汎用型のコントローラの電力供給制御装置の
電気錠種に対応させるための切り替えは、通常、いわゆ
るディップスイッチにより行なわれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかして、上記した従
来のコントローラは、ディップスイッチによる電気錠種
の設定の間違いがあると、例えば施、解錠時電磁アクチ
ュエータが作動しないとか、あるいは瞬時通電型の電磁
アクチュエータに連続的に通電してしまうことによりコ
イルが焼損するなどのトラブルが生じる、という不都合
がある。そして上記手動による電気錠種の設定ミスはこ
れを避けることはできない。
【0010】一方、本出願人は先に、特願平2−512
20号をもって、扉に装着される電気錠と、室内側に設
置されるコントローラとを2芯ケーブルで接続できる新
規な電気錠の制御、監視方式を提案した。
【0011】この電気錠の制御、監視方式は、電気錠の
施、解錠の状態変化によって切り替わる施解錠スイッチ
を介して、それぞれ電気錠の電磁アクチュエータに並列
に、かつ選択的に接続される施錠抵抗及び解錠抵抗と、
扉の開閉に伴なって切り替わる開閉扉スイッチを介し
て、それぞれ電磁アクチュエータに並列に、かつ選択的
に接続される開扉抵抗及び閉扉抵抗とを有し、これらの
抵抗の抵抗値を電磁アクチュエータのそれよりも大き
く、かつ相互に相異なる値に設定して電気錠の状態観測
器を構成し、この状態観測器と電気錠の電磁アクチュエ
ータとを並列に接続したものに、電気錠の制御及び監視
の目的に応じて、それぞれ直流電圧及び交流電圧を切り
替えて印加することを特徴としている。
【0012】上記した構成の電気錠の制御、監視方式
は、直流電圧の印加時には抵抗値の大きい状態観測器を
直流電流がほとんど流れず電磁アクチュエータの作動に
はほとんど影響がないこと、及び交流電圧印加時には電
磁アクチュエータのコイルのインピーダンスが状態観測
器のそれより格段に大きくなり、交流電流である観測電
流の大部分が状態観測器を流れることに着目し、施、解
錠及び開、閉扉の状態変化に応じて施解錠スイッチ及び
開閉扉スイッチが切り替わり、電源側から見た状態観測
器の合成抵抗値が状態に応じて変化することを利用し
て、観測電流を測定することによりコントローラ側から
電気錠ユニットの状態を監視しようとするものである。
【0013】上記の電気錠の制御、監視方式により、双
極2投の施解錠スイッチ及び開閉扉スイッチ、並びに電
磁アクチュエータとコントローラとを少なくとも7芯コ
ードで接続しなければならない従来の監視方式と比較し
て、2芯コードで済む、という優れた作用効果を得るこ
とができる。
【0014】この発明は、上記本出願人の先の提案に係
る電気錠の制御、監視方式の作用の一部を利用してコン
トローラの電気錠種の設定の自動化を可能にする電気錠
種の判別方法を提供し、もって前記した不都合を解消す
ることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、電気錠の施、解錠の状態
変化によって切り替わる施解錠スイッチを介して、それ
ぞれ電気錠の電磁アクチュエータに並列に、かつ選択的
に接続される施錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開閉に伴な
って切り替わる開閉扉スイッチを介して、それぞれ電磁
アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続される開扉
抵抗及び閉扉抵抗とを設け、これらの抵抗の抵抗値を電
磁アクチュエータのそれよりも大きく、かつ相互に相異
なる値に設定して電気錠の状態観測器を構成し、上記の
ように構成され、電気錠に並列に接続される状態観測器
の合成抵抗を、電気錠種毎に異なる値に設定し、この状
態観測器と電磁アクチュエータとを並列に接続したもの
に交流電圧を印加して、流れる観測電流の電流値を検定
することにより電気錠種を判定することを特徴とする。
【0016】また、請求項2に記載の発明は、電気錠の
施、解錠の状態変化によって切り替わる施解錠スイッチ
を介して、それぞれ電気錠の電磁アクチュエータに並列
に、かつ選択的に接続される施錠抵抗及び解錠抵抗と、
扉の開閉に伴なって切り替わる開閉扉スイッチを介し
て、それぞれ電磁アクチュエータに並列に、かつ選択的
に接続される開扉抵抗及び閉扉抵抗とを設け、これらの
抵抗の抵抗値を電磁アクチュエータのそれよりも大き
く、かつ相互に相異なる値に設定して電気錠の状態観測
器を構成し、この状態観測器と電磁アクチュエータとを
並列に接続したものに直流電圧を短時間印加して、流れ
る観測電流の電流値が予め設定した一定の値より大きい
か否かを検定することにより、モータを電磁アクチュエ
ータとする第3種電気錠を他の電気錠から分別すること
を特徴とする。
【0017】さらにまた、請求項3に記載の発明は、電
気錠の施、解錠の状態変化によって切り替わる施解錠ス
イッチを介して、それぞれ電気錠の電磁アクチュエータ
に並列に、かつ選択的に接続される施錠抵抗及び解錠抵
抗と、扉の開閉に伴なって切り替わる開閉扉スイッチを
介して、それぞれ電磁アクチュエータに並列に、かつ選
択的に接続される開扉抵抗及び閉扉抵抗とを設け、これ
らの抵抗の抵抗値を電磁アクチュエータのそれよりも大
きく、かつ相互に相異なる値に設定して電気錠の状態観
測器を構成し、この状態観測器と電気錠の電磁アクチュ
エータとを並列に接続したものに、正負のいずれか一方
の極性の直流電圧を短時間印加すると共に、この直流電
圧の印加の前後において交流電圧を印加し、流れる観測
電流の電流値を検定することにより施、解錠の状態が変
化したか否かを判別し、施、解錠の状態変化がない場合
には他方の極性の直流電圧を印加し、この他方の極性の
直流電圧の印加後、状態観測器及び電磁アクチュエータ
を並列に接続したものに交流電圧を印加し、流れる観測
電流の電流値を検定することにより施、解錠状態が変化
したか否かを判別し、施、解錠状態の変化があったとき
これを第2種電気錠とすることにより、ラッチングソレ
ノイドを電磁アクチュエータとする第2種電気錠を連続
通電型のソレノイドを電磁アクチュエータとする第1種
電気錠から分別することを特徴とする。
【0018】請求項4に記載の発明は、電気錠の施、解
錠の状態変化によって切り替わる施解錠スイッチを介し
て、それぞれ電気錠の電磁アクチュエータに並列に、か
つ選択的に接続される施錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開
閉に伴なって切り替わる開閉扉スイッチを介して、それ
ぞれ電磁アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続さ
れる開扉抵抗及び閉扉抵抗とを設け、これらの抵抗の抵
抗値を電磁アクチュエータのそれよりも大きく、かつ相
互に相異なる値に設定して電気錠の状態観測器を構成
し、この状態観測器と第2種電気錠の電磁アクチュエー
タとを並列に接続したものに、同一極性の直流電圧を少
なくとも2回それぞれ短時間印加すると共に、各印加後
に交流電圧を印加して観測電流を検定し、状態変化があ
ったときこれを瞬時通電無極型とすることにより、第2
種電気錠の瞬時通電有極型と無極型とを分別することを
特徴とする。
【0019】また、請求項5に記載の発明は、電気錠の
施、解錠の状態変化によって切り替わる施解錠スイッチ
を介して、それぞれ電気錠の電磁アクチュエータに並列
に、かつ選択的に接続される施錠抵抗及び解錠抵抗と、
扉の開閉に伴なって切り替わる開閉扉スイッチを介し
て、それぞれ電磁アクチュエータに並列に、かつ選択的
に接続される開扉抵抗及び閉扉抵抗とを設け、これらの
抵抗の抵抗値を電磁アクチュエータのそれよりも大き
く、かつ相互に相異なる値に設定して電気錠の状態観測
器を構成し、この状態観測器と第1種電気錠の電磁アク
チュエータとを並列に接続したものに、直流電圧を連続
的に印加すると共に交流電圧を重畳して印加し、観測電
流を検定することにより施、解錠状態を判別し、もって
施錠時連続通電型と解錠時連続通電型とを分別すること
を特徴とする。
【0020】
【作用】上記のように構成された請求項1に記載の発明
において、電気錠の電磁アクチュエータと状態観測器と
を並列に接続したものに交流電圧を印加すると、交流電
流は状態観測器にも又電磁アクチュエータにも流れる。
しかして、第1種及至第3種のいずれの電気錠の電磁ア
クチュエータも巻線コイルを有し、周知のように巻線コ
イルのインピーダンスは交流の周波数が増大すると増大
するので、電磁アクチュエータに流れる電流は状態観測
器に流れる電流より小さく、本発明者等が確認した所に
よると、ある種の第1種電気錠の場合、2KHz(キロ
ヘルツ)程度の交流電圧を印加したとき、電磁アクチュ
エータに流れる電流が4mA(ミリアンペア)、状態観
測器を流れる観測電流が34〜82mAという状態観測
器の抵抗の組合わせを得ることができた。
【0021】上記のように電気錠種を判別するため電気
錠の電磁アクチュエータと状態観測器とを並列に接続し
たものに交流電圧を印加すると、電磁アクチュエータを
流れる電流量は少なく、しかも交流であるから、本来直
流電圧で作動する電磁アクチュエータは作動せず、ある
いは電磁アクチュエータの状態は変化しない。また交流
電源から見ると、電磁アクチュエータは状態観測器と比
較して格段に抵抗値の大きい抵抗と見なすことができ
る。
【0022】一方、前記したように、状態観測器の合成
抵抗値は電気錠種毎に異なるように設定されているか
ら、状態観測器及び電磁アクチュエータを並列に接続し
たものに交流電圧を印加すると、流れる観測電流は電気
錠種毎に異なる。従って、この観測電流量を検定するこ
とにより電気錠種を判定することができる。
【0023】他方、状態観測器を構成する施、解錠抵抗
の組、及び開、閉扉抵抗の組は、状態に応じて各組から
一の抵抗が選択的に電磁アクチュエータに並列に接続さ
れて状態観測器を構成する。そしてその抵抗の組み合わ
せは、施錠で開扉、施錠で閉扉、解錠で開扉、及び解錠
で閉扉の4種類である。従って、一の電磁アクチュエー
タに接続された状態観測器の合成抵抗値は、施、解錠あ
るいは開、閉扉の状態変化に応じて変化する。しかしそ
の変化の幅は他の電気錠種の電磁アクチュエータに接続
された状態観測器のそれとは重複しない様に設定するも
のとし、又そのような設定は可能である。上記した電気
錠種毎に状態観測器の合成抵抗値を異なるものに設定す
るとはこのような意味である。
【0024】請求項2に記載の発明においては、電磁ア
クチュエータと状態観測器とを並列に接続したものに、
瞬時通電型の電磁アクチュエータも作動するに足らない
短時間、例えば数ミリ秒間直流電圧を印加し、その時に
流れる電流を測定する。周知のように、モータのコイル
の抵抗はソレノイドのそれと比較して格段に小さいの
で、電流値が一定の値を越えたとき電磁アクチュエータ
がモータであるということを判別することができる。上
記一定の電流値は同じ条件でソレノイドに直流電圧を印
加したときの電流値の最大値より大きめに設定すれば良
いことは勿論である。
【0025】請求項3に記載の発明においては、電磁ア
クチュエータと状態観測器とを並列に接続したものに、
瞬時通電型の電磁アクチュエータが作動するに十分な例
えば約0,5秒程度の短時間直流電圧を印加して、電磁
アクチュエータが作動するか否かを検定する。作動すれ
ば瞬時通電型の電磁アクチュエータであるということが
でき、このようにして瞬時通電型の電磁アクチュエータ
を有する第2種の電気錠を連続通電型の電磁アクチュエ
ータを有する第1種の電気錠から分別することができ
る。
【0026】上記のように約0.5秒程度の短時間の直
流電圧の印加後電磁アクチュエータが作動したか否かの
検定は、直流電圧の印加の前後において直流電圧に換え
て交流電圧を印加し、観測電流が施、解錠スイッチの切
り替わりによって変化したか否かを検定すればよい。
【0027】このとき、状態観測器を構成する各種の抵
抗の抵抗値は、請求項1に記載の発明におけるように電
気錠種毎に変えてもよいし、又、各錠種に共通して同一
の値に設定してもよい。それは、要するに直流電圧の短
時間の印加後に電磁アクチュエータが作動したか、換言
すれば施、解錠スイッチが作動して状態観測器の合成抵
抗値が変化したか否か、さらに換言すれば直流電圧の短
時間の印加後に観測電流が変化したか否かを検定すれば
よいからである。
【0028】上記短時間の直流電圧の印加で状態観測器
の施、解錠スイッチが切り替わらない場合には、更に正
負逆極性の直流電圧を約0.5秒程度の短時間印加す
る。それは瞬時通電有極型の電気錠においては、施、解
錠の状態によっては一方の極性の直流電圧には反応しな
いので、逆方向の他方の極性の直流電圧を印加するため
である。
【0029】そして、上記逆極性の直流電圧印加後状態
観測器及び電磁アクチュエータを並列に接続したものに
交流電圧を印加し、上記したと同様にして観測電流が変
化したか、換言すれば施、解錠状態が変わったか否かを
検定する。
【0030】正負両極性の直流電圧を印加しても施、解
錠状態が変わらなければ連続通電型の第1種電気錠、変
われば瞬時通電型の第2種電気錠である。このようにし
て第1種電気錠と第2種電気錠とを分別することができ
る。
【0031】請求項4に記載の発明においては、請求項
3に記載の発明方法により第1種電気錠から分別された
第2種電気錠の電磁アクチュエータと状態観測器とを並
列に接続したものに、同一極性の直流電圧を少なくとも
2回、瞬時通電型の電気錠が作動するに十分な短時間、
例えば前記請求項3におけると同様の約0,5秒印加す
る。
【0032】そして、各直流電圧の印加後に交流電圧を
印加し、得られる観測電流値を検定することにより施、
解錠状態が変化したか否かを調べる。施、解錠状態が変
化すればその電気錠は瞬時通電無極型の電気錠であり、
このようにして第2種電気錠に属する瞬時通電型の電気
錠の内有極型と無極型とを分別することができる。
【0033】何故ならば、瞬時通電有極型の電気錠は、
印加した直流電圧がその時の電気錠の施、解錠状態にお
いて状態変化をもたらす極性であるときには、第1回目
の直流電圧の印加後状態変化をするが、第2回目の直流
電圧の印加時の極性は第1回目と同じであるから、これ
はもはや電気錠の状態変化をもたらさず、従って第1回
目の観測電流の検定結果と第2回目のそれとの間に差が
生ぜず、外見上施、解錠状態の変化を検出できないので
ある。第1回目の直流電圧の印加時の極性がその時の電
気錠にとって状態変化をもたらさないものであるときに
は、第1回目も第2回目も状態変化はない。
【0034】請求項5に記載の発明においては、請求項
3に記載の発明方法により第2種電気錠から分別された
第1種の電気錠の電磁アクチュエータと状態観測器とを
並列に接続したものに連続的に直流電圧を印加すると共
に、直流電圧に重畳して交流電圧を印加し、観測電流を
検定して電気錠が施錠状態にあるか解錠状態にあるかを
判定する。直流電圧を連続的に通電している場合におい
て、電気錠が施錠状態にあればその電気錠は第1種の施
錠時連続通電型の電気錠であり、電気錠が解錠していれ
ばそれは解錠時連続通電型の電気錠である。
【0035】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。本発明方法を実施するにあたっては、電気錠に状態
観測器、交流電源及び直流電源を手動により接続し、ま
た、電流計などを視認して観測電流を測定してもよい
が、実際にはコントローラに本発明方法を実施する装置
を組み込み、コントローラの最初の使用時、この発明方
法を実施して電気錠種を判定し、以後その電気錠種に応
じた制御をコントローラに実施させるようにするのが好
ましい。
【0036】図1は本発明方法を実施する機能を備えた
電気錠システムの概要を示し、同図において、扉1の自
由側端縁部に装着される電気錠ユニット2と、室内側に
設置されるコントローラ3とは、2芯ケーブル4、プラ
グ5及びソケット6よりなるコネクタ7、及び扉1の開
閉に伴うケーブルへの悪影響を除去するように構成され
たいわゆる通電金具8を介して相互に接続されている。
【0037】上記電気錠ユニット2内には、図2に示す
ように、例えば第1種電気錠の電磁アクチュエータであ
る連続通電型のソレノイド14と状態観測器15とが相
互に並列に接続された状態で内蔵されている。
【0038】しかして、この状態観測器15を図2に示
すように構成する。即ち、第1種電気錠の場合、電磁ア
クチュエータ14の駆動コイル9に、電気錠の施、解錠
の状態変化に応じて切り替わる単極双投の施解錠スイッ
チ11を介して、施錠抵抗16及び解錠抵抗17をそれ
ぞれ並列に接続する。これら施錠抵抗16及び解錠抵抗
17は、電気錠の施錠あるいは解錠の状態に応じて、何
れか一方が電磁アクチュエータ14に並列に接続され
る。
【0039】また、開閉扉スイッチ12を介して、閉扉
抵抗18を電磁アクチュエータ14に並列に接続する。
この開閉扉スイッチ12は閉扉時閉成され開扉時に開く
いわゆるON−OFFスイッチで、施解錠スイッチのよ
うに切り替えスイッチではないが、開扉時抵抗値無限大
の開扉抵抗(図示せず)を電磁アクチュエータ14に接
続する単極双投の切り替えスイッチと均等である。
【0040】上記施、解錠抵抗16,17及び閉扉抵抗
18の抵抗値は相互に異なっており、しかも駆動コイル
9の抵抗値より例えば数倍以上大きく設定されている。
なお、図2において符号19は逆起電流遮断用のダイオ
ードを示す。
【0041】上記のように構成された状態観測器は、請
求項1に記載の発明を実施するときには、各錠種毎に合
成抵抗値が異なるように施錠抵抗、解錠抵抗及び閉扉抵
抗の値を設定する。
【0042】電源側から見た状態観測器の合成抵抗値
は、電気錠の施、解錠状態及び扉の開閉によって変化す
るが、その合成抵抗値の変化による観測電流の変化が異
なる錠種のそれと重複しないように設定する。
【0043】例えば、電磁アクチュエータ14及び状態
観測器15に印加される観測用の交流電圧を一定に定め
ることを当然の前提として、観測用の交流電圧が印加さ
れたときの観測電流の変化の幅が、電流値I1<I2<I
3<I4<I5<I6<I7<I8<I9<I10 として、第1
種の施錠時連続通電型の電気錠に接続される状態観測器
の観測電流値Iの変化の幅がI=I1〜I2,第1種の解
錠時連続通電型の電気錠のそれがI3〜I4, 第2種の瞬
時通電有極型の電気錠のそれがI5〜I6,第2種の瞬時
通電無極型のそれがI7〜I8,第3種のモータ錠のそれ
がI9〜I10となるように設定する。
【0044】請求項2及至5に記載の発明においては、
状態観測器の合成抵抗値は錠種毎に変わってもよいしあ
るいは同じでもよい。但し、請求項5に記載の発明方法
においては、直流電圧連続通電時電気錠が施錠されてい
るか解錠されているかを検知しなければならないので、
施錠時連続通電型の電気錠と解錠時連続通電型の電気錠
とは同じ状態観測器を接続すべきである。
【0045】一方、本発明による電気錠の判別方法を方
法を自動的に使用する装置を例えば図3に示すように構
成する。即ち、図3において符号21は直流電源、符号
22は交流電源をそれぞれ示し、これら直流電源21及
び交流電源22は、マイクロコンピュータ23によって
制御される電源切り替え装置24及び2芯コード4に挿
設された電流計25を介して、電磁アクチュエータ14
及び状態観測器15を並列に接続したものに選択的に、
あるいは重畳して印加される。
【0046】上記交流電源22は直流電源21と独立に
設けてもよいが、直流電源21の出力をチョッパ(図示
せず)で脈流にしたものを用いてもよい。
【0047】上記電流計25の出力信号をマイクロコン
ピュータ23に供給する。このマイクロコンピュータ2
3は、主にマイクロプロセッサ(中央演算装置)26
と、メモリ(記憶装置)27と、インターフェース(入
出力信号処理回路)28とから構成されている。
【0048】上記マイクロコンピュータ23は、請求項
1に記載の発明方法を自動的に使用するため、例えば図
4に示すフローチャートに則って制御される。図中P1
〜P6はフローチャートの各ステップを示す。次に、図
4に従ってコントローラ3の電気錠種を自動的に判別す
る装置の作動を説明する。
【0049】マイクロコンピュータ23の制御演算は、
例えばコントローラ3に電気錠を接続して最初の電源投
入後に自動的にステップP1でスタートするものとす
る。
【0050】次いで、ステップP2で交流電源22を電
磁アクチュエータ14及び状態観測器15に印加し、2
芯コード4に流れる観測電流Iをディジタル信号に変換
してマイクロコンピュータ23に供給する。
【0051】ステップP3において観測電流値IがI1〜
I2の範囲内にあるか否かを検定し、その範囲内にあれ
ばコントローラ3に接続された電気錠が第1種の施錠時
連続通電型の電気錠であるものとしてその旨記憶し、以
後その電気錠種に適合した制御をする。
【0052】観測電流値IがI1〜I2 の範囲内になけ
れば、ステップP4 において観測電流値I=I3 〜I4
の範囲内にあるか否かを検定し、その範囲内にあれば解
錠時連続通電型の第1種電気錠であるものとしてその旨
記憶する。
【0053】観測電流値IがI3 〜I4 の範囲内になけ
れば、ステップP5 において観測電流値I=I5 〜I6
の範囲内にあるか否かを検定し、その範囲内にあれば第
2種の瞬時通電有極型の電気錠であると判定する。
【0054】観測電流値IがI5 〜I6 の範囲内になけ
れば、ステップP6 において観測電流値I=I7 〜I8
の範囲内にあるか否かを検定し、その範囲内にあれば第
2種の瞬時通電無極型の電気錠であると判定する。その
範囲内になければ、消去法により、第3種のモータ錠で
なければならない。
【0055】次に、図5及び6に請求項2〜5に記載の
発明方法を使用するフローチャートを示す。図5におい
てステップP1でプログラムがスタートし、まず請求項
1に記載の発明を使用することにしてステップP2にお
いて電気錠に短時間直流電圧を印加する。そしてステッ
プP3において流れる電流値Iを測定し、I>IMである
か否かを検定する。ここでIMを、第1種及び第2種の
電気錠の電磁アクチュエータに同様にして直流電圧を印
加した時に流れる電流値の最大値より若干大きく設定す
る。I>IMであればこの電気錠はモータを電磁アクチ
ュエータとする第3種の電気錠である。そしてここで請
求項1に記載の発明の使用が終了する。
【0056】ステップP3においてI<IMであるときに
は、請求項3に記載の発明を使用することにし、ステッ
プP4において電磁アクチュエータ14及び状態観測器
15を並列に接続したものに観測用の交流電圧を印加
し、観測電流Iaを測定してこれを一時的に記憶する。
【0057】次いでステップP5において正の直流電圧
を瞬時通電型の電磁アクチュエータが作動するに十分な
短時間、例えば0.5秒程度試験的に印加する。
【0058】その後ステップP6においてステップP4に
おけると同様にして交流電圧を印加し、流れる観測電流
値Ibを得る。
【0059】次いでステップP7(図6)においてIa
=Ibであるか、換言すれば電磁アクチュエータが作動
して施、解錠状態が変化し、状態観測器の合成抵抗値が
変化したか否かを検定する。
【0060】変化していればその電気錠は瞬時通電型の
第2種の電気錠であるから、ステップP8以降の請求項
4に記載の発明を使用することにし、ステップP8及び
P10において例えば正の直流電圧を0.5秒程度2回印
加し、電磁アクチュエータ14が作動するか否かを検定
する。
【0061】電磁アクチュエータが作動したか否かを検
定するには、各直流電圧の印加後に、即ちステップP9
及びP11において交流電圧を印加し、各印加後に得られ
る観測電流値Ic及びIdをステップP12においてIc=I
dであるか否かを検定する。2回の短時間の直流電圧の
印加にも拘らず状態が変化しない電気錠は瞬時通電有極
型の電気錠である。変化すれば瞬時通電無極型の電気錠
である。
【0062】ところでステップP5における試験的な通
電により、ステップP7において瞬時通電型ではないと
判定されても、ステップP5における直流電圧の極性が
その時の瞬時通電型の電気錠の施、解錠状態にとって状
態変化を起こさない方向の極性である可能性がある。そ
こでステップP13(図6)においてステップP5とは逆
方向の直流電圧を試験的に印加し、ステップP14におい
て観測用の交流電圧を印加して流れる観測電流値Ieを
得る。
【0063】そしてステップP15においてステップP13
における逆方向の直流電圧の短時間の印加によって状態
が変化したか、換言すればステップP13における直流電
圧の印加以前のステップP6(図5参照)における観測
電流値Ibと上記Ieとが等しいか否かを検定する。等し
くなければステップP13の試験的な通電により状態が変
化したのであるから瞬時通電型の電気錠であり、ステッ
プP8に進める。
【0064】ステップP15において、正負両方向の直流
電圧の短時間の印加によって状態が変化しないというこ
とが判定されれば、その電気錠は第1種の電気錠である
から、ステップP16以降のプログラムに則って請求項5
に記載の発明を使用する。
【0065】そのため、ステップP16において正負何れ
て゛もよいから直流電圧を連続的に印加し、ステップP
17において更に状態観測用の交流電圧を直流電圧に重畳
して印加し、得られる観測電流値Ifを、ステップP18
において解錠状態に対応する観測電流値Iuと比較す
る。
【0066】直流を連続的に通電している時の観測電流
値Ifが解錠状態に対応するものであるときはその電気
錠は第1種の解錠時連続通電型であり、解錠状態に対応
するものでないときはその電気錠は第1種の施錠時連続
通電型である。
【0067】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、本出願人が先に提案した電気錠の制御、監視方式に
用いる状態観測器を利用して、簡単な論理操作を繰り返
すことにより電気錠種を判定することができるように
し、かつ自動化も可能であるので、電気錠種の設定ミス
を完全に無くすことができ、従来のコントローラにおい
て錠種の設定ミスにより生じた種々の不都合を完全に無
くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気錠システムの構成の一例を示す線図。
【図2】電気錠ユニット制御部の回路図。
【図3】本発明方法を自動的に使用する電気錠種自動判
別装置の構成の一例を示すブロック図。
【図4】請求項1に記載の発明方法を使用するためのフ
ローチャート。
【図5】請求項2及び3に記載の発明方法を使用するた
めのフローチャート。
【図6】請求項3及至5に記載の発明方法を使用するた
めのフローチャート。
【符号の説明】
3 コントローラ 11 施解錠スイッチ 12 開閉扉スイッチ 14 電磁アクチュエータ 15 状態観測器 16 施錠抵抗 17 解錠抵抗 18 閉扉抵抗
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E05B 47/00 E05B 17/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気錠の施、解錠の状態変化によって切
    り替わる施解錠スイッチを介して、それぞれ電気錠の電
    磁アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続される施
    錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開閉に伴なって切り替わる
    開閉扉スイッチを介して、それぞれ電磁アクチュエータ
    に並列に、かつ選択的に接続される開扉抵抗及び閉扉抵
    抗とを設け、これらの抵抗の抵抗値を電磁アクチュエー
    タのそれよりも大きく、かつ相互に相異なる値に設定し
    て電気錠の状態観測器を構成し、上記のように構成さ
    れ、電気錠に並列に接続される状態観測器の合成抵抗
    を、電気錠種毎に異なる値に設定し、この状態観測器と
    電磁アクチュエータとを並列に接続したものに交流電圧
    を印加して、流れる観測電流の電流値を検定することに
    より電気錠種を判定することを特徴とする電気錠種の判
    別方法。
  2. 【請求項2】 電気錠の施、解錠の状態変化によって切
    り替わる施解錠スイッチを介して、それぞれ電気錠の電
    磁アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続される施
    錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開閉に伴なって切り替わる
    開閉扉スイッチを介して、それぞれ電磁アクチュエータ
    に並列に、かつ選択的に接続される開扉抵抗及び閉扉抵
    抗とを設け、これらの抵抗の抵抗値を電磁アクチュエー
    タのそれよりも大きく、かつ相互に相異なる値に設定し
    て電気錠の状態観測器を構成し、この状態観測器と電磁
    アクチュエータとを並列に接続したものに直流電圧を短
    時間印加して、流れる観測電流の電流値が予め設定した
    一定の値より大きいか否かを検定することにより、モー
    タを電磁アクチュエータとする第3種電気錠を他の電気
    錠から分別することを特徴とする電気錠種の判別方法。
  3. 【請求項3】 電気錠の施、解錠の状態変化によって切
    り替わる施解錠スイッチを介して、それぞれ電気錠の電
    磁アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続される施
    錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開閉に伴なって切り替わる
    開閉扉スイッチを介して、それぞれ電磁アクチュエータ
    に並列に、かつ選択的に接続される開扉抵抗及び閉扉抵
    抗とを設け、これらの抵抗の抵抗値を電磁アクチュエー
    タのそれよりも大きく、かつ相互に相異なる値に設定し
    て電気錠の状態観測器を構成し、この状態観測器と電気
    錠の電磁アクチュエータとを並列に接続したものに、正
    負のいずれか一方の極性の直流電圧を短時間印加すると
    共に、この直流電圧の印加の前後において交流電圧を印
    加し、流れる観測電流の電流値を検定することにより
    施、解錠の状態が変化したか否かを判別し、施、解錠の
    状態変化がない場合には他方の極性の直流電圧を印加
    し、この他方の極性の直流電圧の印加後状態観測器及び
    電磁アクチュエータを並列に接続したものに交流電圧を
    印加し、流れる観測電流の電流値を検定することにより
    施、解錠状態が変化したか否かを判別し、施、解錠状態
    の変化があったときこれを第2種電気錠とすることによ
    り、ラッチングソレノイドを電磁アクチュエータとする
    第2種電気錠を連続通電型のソレノイドを電磁アクチュ
    エータとする第1種電気錠から分別することを特徴とす
    る電気錠種の判別方法。
  4. 【請求項4】 電気錠の施、解錠の状態変化によって切
    り替わる施解錠スイッチを介して、それぞれ電気錠の電
    磁アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続される施
    錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開閉に伴なって切り替わる
    開閉扉スイッチを介して、それぞれ電磁アクチュエータ
    に並列に、かつ選択的に接続される開扉抵抗及び閉扉抵
    抗とを設け、これらの抵抗の抵抗値を電磁アクチュエー
    タのそれよりも大きく、かつ相互に相異なる値に設定し
    て電気錠の状態観測器を構成し、この状態観測器と第2
    種電気錠の電磁アクチュエータとを並列に接続したもの
    に、同一極性の直流電圧を少なくとも2回それぞれ短時
    間印加すると共に、各印加後に交流電圧を印加して観測
    電流を検定し、状態変化があったときこれを瞬時通電無
    極型とすることにより、第2種電気錠の瞬時通電有極型
    と無極型とを分別することを特徴とする電気錠種の判別
    方法。
  5. 【請求項5】 電気錠の施、解錠の状態変化によって切
    り替わる施解錠スイッチを介して、それぞれ電気錠の電
    磁アクチュエータに並列に、かつ選択的に接続される施
    錠抵抗及び解錠抵抗と、扉の開閉に伴なって切り替わる
    開閉扉スイッチを介して、それぞれ電磁アクチュエータ
    に並列に、かつ選択的に接続される開扉抵抗及び閉扉抵
    抗とを設け、これらの抵抗の抵抗値を電磁アクチュエー
    タのそれよりも大きく、かつ相互に相異なる値に設定し
    て電気錠の状態観測器を構成し、この状態観測器と第1
    種電気錠の電磁アクチュエータとを並列に接続したもの
    に、直流電圧を連続的に印加すると共に交流電圧を重畳
    して印加し、観測電流を検定することにより施、解錠状
    態を判別し、もって施錠時連続通電型と解錠時連続通電
    型とを分別することを特徴とする電気錠種の判別方法。
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