JP3088189B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JP3088189B2
JP3088189B2 JP04107965A JP10796592A JP3088189B2 JP 3088189 B2 JP3088189 B2 JP 3088189B2 JP 04107965 A JP04107965 A JP 04107965A JP 10796592 A JP10796592 A JP 10796592A JP 3088189 B2 JP3088189 B2 JP 3088189B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、通信や各種電子シス
テムなどに用いられる圧電体薄膜を用いた弾性表面波装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図26は2つの入力信号のコンボリュー
ジョン出力を得る弾性表面波装置を示すもので、文献
「ZnO/Si SAWコンボルバ」(皆川、坪内、御
子柴、電子情報通信学会、スペクトル拡散通信研究会、
1987年8月、資料番号SS87−18、第4頁)に
記載されている従来のこの種の弾性表面波装置を示す構
成図である。
【0003】図26において、1は半導体でなる基板、
2は絶縁体薄膜、3は圧電体薄膜であり、それぞれ、S
i、SiO2 、ZnOが使用されている。4および5は
入力トランスデューサ、6は出力ゲート電極、7は接地
電極である。
【0004】次に、図26に示した従来の弾性表面波
の動作について説明する。入力トランスデューサ4か
ら入力トランスデューサ5に向かう方向をzとする。入
力トランスデューサ4および入力トランスデューサ5
に、それぞれ、F(t) jωt ,G(t) jωt で表
される電気信号を入力する。ここで、tは時間、ωは角
周波数を表し、F(t)およびG(t)は、各電気信号
の振幅を表す。
【0005】これらの電気信号は、それぞれ入力トラン
スデューサ4および5により角周波数ωの弾性表面波に
変換され、それぞれ出力ゲート電極6に向かって伝搬す
る。出力ゲート電極6に到達した弾性表面波が互いにす
れちがった際、半導体の非線形作用により、これらの弾
性表面波の積の信号、すなわち角周波数2ωの信号が生
じる。この角周波数2ωの信号は、出力ゲート電極6に
より空間的に積分され、出力ゲート電極6から電気信号
として出力される。
【0006】これを式で表すと、次の式で表される。 H(t)A0 j2ωt ∫[F(t−z/v)・G{t−
(L−z)/v}]dz・・・(1) ここで、H(t)は出力ゲート電極6から出力される電
気信号、A0 は比例定数、vは弾性表面波の位相速度、
Lは図26中に示すように、出力ゲート電極6のz方向
に沿った長さである。
【0007】t−z/v=τとおくと、式(1)は次の
式(2)で表される。 H(t)=A0 j2ωt ∫[F(τ)・G{2t−τ−L
/v}]dτ・・・(2) この式からわかるように、H(t)は、2つの信号F
(t),G(t)のコンボリューション(畳み込み積
分)出力になっている。
【0008】しかし、図26に示した従来の弾性表面波
装置では、弾性表面波を伝搬させる基板が層状構造であ
る。このため、弾性表面波の位相速度に分散性がある。
すなわち、周波数によって位相速度vが異なる。したが
って、位相速度vをほぼ一定と見なしても差支えない狭
い周波数範囲にわたってしか、所要のコンボリューショ
ン出力を得られない。すなわち、広帯域にわたって使用
できない欠点がある。
【0009】図27はこの欠点を克服するためになされ
た従来のこの種の他の弾性表面波装置の構成図を示した
もので、特開平3−74920号公報に開示されたもの
である。
【0010】図27において、1は半導体でなる基板、
2は絶縁体薄膜、3は圧電体薄膜である。4a,4b,
4c、および5a,5b,5cは入力トランスデュー
サ、6は出力ゲート電極、7は接地電極である。
【0011】図27において、基板1、絶縁体薄膜2、
圧電体薄膜3、および接地電極7の構成は、図26に示
したものと同様である。しかし、図27に示す構成にお
いては、電極指の配列ピッチの異なる3種類の入力トラ
ンスデューサの対、すなわち入力トランスデューサ4a
と5aの対、入力トランスデューサ4bと5bの対、お
よび入力トランスデューサ4cと5cの対をそれぞれ圧
電体薄膜3上に設けている。
【0012】さらに、図中、記号la,lb,およびl
cを付して示すように、上記各入力トランスデューサ対
間で入力トランスデューサの中心間距離を異ならせてい
る。一方、これに対応させて、出力ゲート電極6のz方
向に沿った長さを、図27中記号La、Lb、およびL
cを付して示すように、場所によって変えている。
【0013】次に、図27に示した弾性表面波装置の動
作について説明する。入力トランスデューサ4a,4
b,および4cでは、電極指の配列ピッチが異なるの
で、効率よく励振される弾性表面波の中心周波数がそれ
ぞれ異なる。すなわち、配列ピッチの広い入力トランス
デューサ4aでは、低い周波数の弾性表面波が効率よく
励振され、配列ピッチの狭い入力トランスデューサ4c
では、高い周波数の弾性表面波が効率よく励振される。
入力トランスデューサ5a,5b,5cについても同様
である。
【0014】入力トランスデューサ4aおよび5aによ
り効率よく励振される弾性表面波の角周波数をωa、入
力トランスデューサ4bおよび5bの同様の角周波数を
ωb、入力トランスデューサ4cおよび5cの同様の角
周波数をωcで表し、さらに、弾性表面波の位相速度v
の角周波数ωに対する依存性を、v(ω)で表せば、距
離la,lb,およびlcが、 la/v(ωa)=lb/v(ωb)=lc/v(ω
c) を満たすように決定されている。これにより、位相速度
の分散性に起因して生じる弾性表面波の伝搬遅延時間の
周波数依存性を補償している。
【0015】さらに、出力ゲート電極6の長さLa、L
b、およびLcが、 La/v(ωa)=Lb/v(ωb)=Lc/v(ω
c) を満たすように決定されている。これにより、積分時間
長を周波数に依存せず一定となるようにしている。
【0016】図27に示した弾性表面波装置は、以上の
ように構成することにより、図26に示した弾性表面波
装置に比べ広帯域化を図っている。
【0017】しかし、上述した従来の弾性表面波装置
おいては、弾性表面波を伝搬させる基板が層状構造の場
合、弾性表面波の位相速度のみならず、入力トランスデ
ューサによる電気信号から弾性表面波信号への変換効率
を示す指数である電気機械結合係数も周波数依存性をも
つ。
【0018】図27に示した従来の弾性表面波装置
は、広帯域にわたって動作させようとすると、遅延時間
および積分時間長の周波数依存性は、上述したように補
償されるものの、圧電体薄膜3の厚さを一定にして構成
されていたため、電気機械結合係数の周波数依存性によ
り、電気信号から弾性表面波信号への変換効率が周波数
により異なる。このため、結局のところ、広帯域にわた
って使用することができない欠点があった。
【0019】また、図28は例えば特開昭64−127
10号公報に開示された従来の光偏向機能を有する弾性
表面波装置を示す構成図である。(a)は平面図、
(b)は側面図、(c)は(a)のAA′線に沿って切
断したときの断面図である。この図16において、1は
非圧電体でなる基板、3は透明状の圧電体薄膜、4a,
4bおよび4cはトランスデューサ、9は被制御光であ
り、上記非圧電体の基板1および透明状の圧電体薄膜2
には、それぞれ溶融石英およびC軸配向のZnOが使用
されている。
【0020】上記構成において、トランスデューサ4
a,4bおよび4cは非圧電体の基板1と圧電体薄膜3
との境界面に配置されており、上記トランスデューサ4
a,4bおよび4cは励振される弾性表面波の中心周波
数が異なり、それぞれ低周波数用、中間周波数用及び高
周波数用に用いられる。また、圧電体薄膜3は、トラン
スデューサ4a,4bおよび4cが配置された領域にお
いて、励振される弾性表面波の中心周波数に逆比例し
て、場所により厚さを変えてある。
【0021】すなわち、低周波数用トランスデューサ4
aが配置された場所では厚く、高周波数用トランスデュ
ーサ4cが配置された場所では薄くしてある。さらに、
圧電体薄膜3の厚さは、トランスデューサ4a,4bお
よび4cから励振された弾性表面波の進行方向に沿っ
て、若干のテーパをつけた後、一定にしてある。
【0022】次に、図28に示した従来の弾性表面波装
置の動作について説明する。トランスデューサ4a,4
bおよび4cから励振された弾性表面波は、上述したテ
ーパを介した後、一定厚さの圧電体薄膜3に沿って被制
御光9が屈曲され、これにより光偏向機能を実現してい
る。
【0023】ところで、図28に示した従来の弾性表面
波装置では、上述したように、トランスデューサ4a,
4bおよび4cが配置された領域における圧電体薄膜
の厚さを、トランスデューサ4a,4bおよび4cから
励振される弾性表面波の中心周波数に逆比例させて変え
た構成にしており、この構成の目的は、弾性表面波の励
振効率を高めることにある。これについて、以下、図2
9を参照しながら説明する。
【0024】図29は同じく特開昭64−12710号
公報から引用した励振効率を説明するための特性図であ
る。図29において、縦軸は電気機械結合係数K2 であ
り、この係数が大きい方が弾性表面波の励振効率が大き
い。また、横軸は弾性表面波の波長で規格化された圧電
体薄膜3の厚さである。図中、λは弾性表面波の波長、
hは圧電体薄膜3の厚さを表す。
【0025】図29において、電気機械結合係数K2
h/λに依存して変化し、最大値を示すところがある。
したがって、圧電体薄膜3の厚さhを、各トランスデュ
ーサ4a,4bおよび4cの各励振中心周波数に逆比例
させて、各励振中心周波数で励振効率を最大になるよう
に設定している。
【0026】ところで、従来の弾性表面波装置は、上述
したようにトランスデューサ4a,4bおよび4cによ
る弾性表面波の励振効率を高くできる効果があるが、そ
の構成上、次に述べる欠点がある。
【0027】すなわち、従来の弾性表面波装置では、圧
電体薄膜3の厚さを、トランスデューサ4a,4bおよ
び4cが配置された領域に限って場所により厚さを上述
のように変えてあり、弾性表面波の進行方向に沿って若
干のテーパを介して後、一定にして、弾性表面波を被制
御光9が通る領域まで導いている。
【0028】しかし、圧電体薄膜3の厚さを、弾性表面
波の進行方向に沿って一定にすると、弾性表面波の位相
速度(伝搬速度)や群速度が周波数によって異なる。こ
のような特性をもつ伝搬路に、弾性表面波パルスを伝搬
させると、そのパルス形状は弾性表面波が伝搬するにし
たがって元の形状から崩れていき、一般に、パルス幅が
広がっていく。
【0029】したがって、所要の短い時間幅にわたって
のみ被制御光9を屈曲させようとして、トランスデュー
サ4a,4bおよび4cに、パルス状の電気信号を入力
すると、トランスデューサ4a,4bおよび4cから励
振された弾性表面波パルスは、被制御光9が通る領域に
達した時点では、元のパルス幅よりも広がったパルス幅
となってしまい、このため、所要の時間幅よりも広い時
間幅にわたって、被制御光9が屈曲されてしまう欠点が
ある。
【0030】また、上述した従来の弾性表面波装置を、
遅延機能やフィルタ機能をもった弾性表面波装置に適用
しようとすると、従来装置では、弾性表面波を所要方向
に所要位置まで導波する伝搬路において、圧電体薄膜3
の厚さを周波数帯によらず一定として構成されていたた
め、弾性表面波の位相速度や群速度の周波数依存性によ
って、遅延時間に周波数依存性が生じる。このため、遅
延時間をほぼ一定と見なして差支えない極めて狭い帯域
にわたってのみ動作可能な装置しか実現できない欠点が
ある。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、上述し
た従来の弾性表面波装置では、動作帯域幅が狭い問題点
や、従来の他の弾性表面波装置では、遅延時間および積
分時間長は広帯域にわたって一定にできるので、動作帯
域幅の若干の改善は図れるものの、電気信号から弾性表
面波信号への変換効率が周波数により異なるため、結局
のところ広帯域にわたって使用できないという問題があ
った。
【0032】また、図28に示す従来の弾性表面波装置
では、トランスデューサから励振された弾性表面波を、
所要方向に沿って所要位置まで導波する伝搬路におい
て、圧電体薄膜3の厚さを一定として構成されていたた
め、周波数により弾性表面波の遅延時間が異なり、この
ため、広帯域動作が可能な装置が得られない欠点や、弾
性表面波パルスの形状の崩れ現象が生じ、被制御光9を
屈曲する際の時間制御精度が悪いという欠点などがあっ
た。
【0033】この発明は、上述した問題点を解決するた
めになされたものであり、広帯域にわたって遅延時間お
よび積分時間長を一定にできると共に、広帯域にわたっ
て電気信号から弾性表面波信号への変換効率が高く、動
作帯域幅を改善することができる弾性表面波装置を得る
ことを目的としたものである。
【0034】また、広帯域にわたって動作可能で、かつ
弾性表面波パルスの形状の崩れ現象が生じにくい弾性表
面波装置を得ることを目的としたものである。
【0035】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る弾性表面波装置は、基板上に圧電体薄膜を形成し、上
記圧電体薄膜の表面または裏面に、動作周波数帯の異な
る複数対の入力トランスデューサを、上記各対の入力ト
ランスデューサから励振された弾性表面波が互いに逆方
向にすれちがって伝搬するように対向して設けると共
に、上記圧電体薄膜の表面上の上記弾性表面波が互いに
すれちがう領域に、出力ゲート電極を設け、かつ、上記
圧電体薄膜の厚さを、上記入力トランスデューサ対の動
作周波数帯が低い場所では厚く、高い場所では薄くなる
ように、上記弾性表面波の伝搬方向に直角な方向に沿っ
て階段状に変化させて形成したものである。
【0036】また、請求項2に係る弾性表面波装置は、
基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面ま
たは裏面に、電極指配列ピッチを徐々に連続的に変化さ
せた1対の入力トランスデューサを、上記入力トランス
デューサ対から励振された弾性表面波が互いに逆方向に
すれちがって伝搬するように対向して設けると共に、上
記圧電体薄膜の表面上の上記弾性表面波が互いにすれち
がう領域に、出力ゲート電極を設け、かつ、上記圧電体
薄膜の厚さを、上記入力トランスデューサ対の電極指配
列ピッチが広い場所では厚く、狭い場所では薄くなるよ
うに、上記弾性表面波の伝搬方向に直角な方向に沿って
徐々に連続的に変化させて形成したものである。
【0037】また、請求項3に係る弾性表面波装置は、
基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面ま
たは裏面に、動作周波数帯の異なる複数の入力トランス
デューサと出力トランスデューサの対を対向して設ける
と共に、これら入出力トランスデューサ対を設けた領域
における上記圧電体薄膜の厚さを、上記入出力トランス
デューサ対の動作周波数帯が低い場所では厚く、高い場
所では薄くなるように形成し、かつ、上記入出力トラン
スデューサ対により励振されて受信される弾性表面波の
伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の
弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾
性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるように形成した
ものである。
【0038】また、請求項4に係る弾性表面波装置は、
基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面ま
たは裏面に、電極指配列ピッチを徐々に変化させた入力
トランスデューサと出力トランスデューサの対を対向し
て設けると共に、この入出力トランスデューサ対を設け
た領域における上記圧電体薄膜の厚さを、上記入出力ト
ランスデューサ対の電極指配列ピッチが広い場所では厚
く、狭い場所では薄くなるように徐々に連続的に変化さ
せて形成し、かつ、上記入出力トランスデューサ対によ
り励振されて受信される弾性表面波の伝搬路における上
記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬
する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬す
る伝搬路では薄くなるように徐々に連続的に変化させて
形成したものである。
【0039】また、請求項5に係る弾性表面波装置は、
基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面ま
たは裏面に、動作周波数帯の異なる複数のトランスデュ
ーサを設けると共に、これらトランスデューサを設けた
領域における上記圧電体薄膜の厚さを、上記トランスデ
ューサの動作周波数帯が低い場所では厚く、高い場所で
は薄くなるように形成し、かつ、上記トランスデューサ
により励振されて受信される弾性表面波の伝搬路に沿っ
て、上記圧電体薄膜の厚さを、多段階に変えるととも
に、各段の弾性表面波の伝搬路における上記圧電体薄膜
の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路で
は厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では
薄くなるように形成して、上記弾性表面波を、上記弾性
表面波により制御される光を通す領域まで伝搬させるよ
うにしたものである。
【0040】さらに、請求項6に係る弾性表面波装置
は、基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表
面または裏面に、電極指配列ピッチを徐々に変化させた
トランスデューサを設けると共に、このトランスデュー
を設けた領域における上記圧電体薄膜の厚さを、上記
トランスデューサの電極指配列ピッチが広い場所では厚
く、狭い場所では薄くなるように徐々に連続的に変化さ
せて形成し、かつ、上記トランスデューサにより励振さ
れて受信される弾性表面波の伝搬路に沿って、上記圧電
体薄膜の厚さを、多段階に変えるとともに、各段の弾性
表面波の伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さを、低周
波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周波
数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるように
形成して、上記弾性表面波を、上記弾性表面波により制
御される光を通す領域まで伝搬させるようにしたもので
ある。
【0041】
【作用】この発明の請求項1においては、圧電体薄膜の
厚さを、入力トランスデューサ対の動作周波数帯が低い
場所では厚く、高い場所では薄くなるように、弾性表面
波の伝搬方向に直角な方向に沿って階段状に変化させて
形成することにより、動作周波数帯の異なるどの入力ト
ランスデューサ対から励振される弾性表面波の位相速度
も一定とし、これにより、伝搬遅延時間の周波数依存性
および積分時間長の周波数依存性を補償する。また、圧
電体薄膜の厚さを上述のように形成することにより、電
気機械結合係数は周波数によらず概略最大値を実現で
き、電気信号から弾性表面波への変換効率を広帯域にわ
たってほぼ一定にする。
【0042】また、請求項2においては、電極指配列ピ
ッチを徐々に連続的に変化させた1対の入力トランスデ
ューサを設け、かつ、圧電体薄膜の厚さを、入力トラン
スデューサ対の電極指配列ピッチが広い場所では厚く、
狭い場所では薄くなるように、弾性表面波の伝搬方向に
直角な方向に沿って徐々に連続的に変化させて形成する
ことにより、弾性表面波の位相速度を、所要動作帯域内
でのいかなる周波数にもよらず一定とし、これにより、
伝搬遅延時間の周波数依存性および積分時間長の周波数
依存性を連続的に補償する。また、圧電体薄膜の厚さを
上述のように形成することにより、電気機械結合係数は
動作帯域内でいかなる周波数にもよらず概略最大値を実
現でき、電気信号から弾性表面波信号への変換効率を動
作帯域内で連続的に広帯域にわたってほぼ一定にする。
【0043】また、請求項3におては、圧電体薄膜の厚
さを、入出力トランスデューサ対の動作周波数帯が低い
場所では厚く、高い場所では薄くなるように形成したこ
とにより、動作周波数帯の異なるどの入出力トランスデ
ューサ対においても弾性表面波の励振効率及び受信効率
を概略最大値とし、また、上記圧電体薄膜の厚さを、低
周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周
波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるよう
に形成したことにより、弾性表面波の位相速度および群
速度を動作周波数帯によらず一定にする。
【0044】また、請求項4においては、電極指配列ピ
ッチを徐々に変化させた入出力トランスデューサ対を設
け、圧電体薄膜の厚さを、上記入出力トランスデューサ
対の電極指配列ピッチが広い場所では厚く、狭い場所で
は薄くなるように、徐々に連続的に変化させて形成する
ことにより、入出力トランスデューサ対により励振され
て受信される弾性表面波の励振効率及び受信効率を、動
作帯域内でのいかなる周波数にもよらず連続的に広帯域
にわたって概略最大値とし、また、上記圧電体薄膜の厚
さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚
く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では薄く
なるように徐々に連続的に変化させて形成することによ
り、弾性表面波の位相速度および群速度を、動作帯域内
でいかなる周波数にもよらず一定にする。
【0045】また、請求項5においては、圧電体薄膜の
厚さを、トランスデューサの動作周波数帯が低い場所で
は厚く、高い場所では薄くなるように形成したことによ
り、動作周波数帯の異なるどのトランスデューサにより
励振される弾性表面波の励振効率を概略最大値とし、ま
た、上記圧電体薄膜の厚さを、上記弾性表面波の伝搬路
に沿って多段階に変えるとともに、各段の弾性表面波の
伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の
弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾
性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるように形成し
て、上記弾性表面波を、上記弾性表面波により制御され
る光を通す領域まで伝搬させることにより、弾性表面波
の位相速度および群速度を動作周波数帯によらず一定に
する。
【0046】さらに、請求項6においては、電極指配列
ピッチを徐々に変化させたトランスデューサを設け、圧
電体薄膜の厚さを、上記トランスデューサの電極指配列
ピッチが広い場所では厚く、狭い場所では薄くなるよう
に、徐々に連続的に変化させて形成することにより、ト
ランスデューサにより励振され弾性表面波の励振効率
を、動作帯域内でのいかなる周波数にもよらず連続的に
広帯域にわたって概略最大値とし、また、上記圧電体薄
膜の厚さを、上記弾性表面波の伝搬路に沿って多段階に
変えるとともに、各段の弾性表面波の伝搬路における上
記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬
しする伝搬路では厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬
する伝搬路では薄くなるように徐々に連続的に変化させ
て形成して、上記弾性表面波を、上記弾性表面波により
制御される光を通す領域まで伝搬させることにより、弾
性表面波の位相速度および群速度を、動作帯域内でいか
なる周波数にもよらず一定にする。
【0047】
【実施例】実施例1. 図1はこの発明の実施例1を示す弾性表面波装置の構成
図である。図1において、1は半導体でなる基板、3は
圧電体薄膜、4a、4b、4c、5a、5bおよび5c
は入力トランスデューサ、6は出力ゲート電極、7は接
地電極であり、図27に示した従来の他の弾性表面波装
置と同様に、圧電体薄膜3の表面に、電極指の配列ピッ
チの異なる3つの入力トランスデューサの対、すなわち
入力トランスデューサ4aと5aの対、4bと5bの
対、および4cと5cの対を設けている。
【0048】しかし、図1に示す本実施例に係る弾性表
面波装置では、図27に示した従来の他の弾性表面波
と異なり、圧電体薄膜3の厚さを、図中に示すx方向
に沿って階段状に場所により変えている。すなわち、電
極指配列ピッチの広い入力トランスデューサ4aと5a
が設けられる場所では圧電体薄膜3は厚く、電極指配列
ピッチの狭い入力トランスデューサ4cと5cが設けら
れる場所では圧電体薄膜3は薄くしている。
【0049】入力トランスデューサ4aと5aを配した
場所における圧電体薄膜3の厚さを、図中に示すよう
に、haで表す。入力トランスデューサ4bと5bを配
した場所における圧電体薄膜3の厚さをhb、入力トラ
ンスデューサ4cと5cを配した場所における圧電体薄
膜3の厚さをhcで表す。また、入力トランスデューサ
の電極指配列ピッチの2倍で与えられる弾性表面波の波
長を、図中に示すように、入力トランスデューサ4aと
5aについてはλaで表す。入力トランスデューサ4b
と5bについてはλbで、入力トランスデューサ4cと
5cについてはλcで表す。
【0050】また、図1に示す本実施例に係る弾性表面
装置では、図27に示した従来の他の弾性表面波装置
と異なり、入力トランスデューサの対、すなわち入力ト
ランスデューサ4aと5aの対、4bと5bの対、4c
と5cの対の中心間距離la,lb,およびlcは、上
記対にかかわらず一定にしている。
【0051】さらに、図1に示す本実施例に係る弾性表
面波装置では、図27に示した従来の他の弾性表面波
と異なり、出力ゲート電極6のz方向に沿った長さ
は、場所によらず一定にしている。
【0052】次に、動作について図2(a)および
(b)を参照しながら説明する。図2(a)および
(b)は文献「弾性表面波工学」(監修柴山、電子通信
学会編、昭和60年6月15日発行、第73頁)から引
用したものである。
【0053】図2(a)は、圧電体薄膜を用いた場合の
電気機械結合係数と圧電体薄膜の厚さとの関係を示す特
性図の一例であり、また、図2(b)は、同様の構成の
弾性表面波の位相速度と圧電体薄膜の厚さとの関係を示
す特性図の一例である。図中、K2 は電気機械結合係
数、kは波数であり、弾性表面波の波長をλで表すと、
2π/λに等しい。また、hは圧電体薄膜の厚さを表
す。なお、図2(a)および(b)ともに、横軸はkと
hとの積で表されている。
【0054】さて、図1において、入力トランスデュー
サ4a,4b,および4cでは、電極指の配列ピッチが
異なるので、効率よく励振される弾性表面波の中心周波
数がそれぞれ異なる。すなわち、配列ピッチの広い入力
トランスデューサ4aでは、低い周波数の弾性表面波が
効率よく励振され、配列ピッチの狭い入力トランスデュ
ーサ4cでは、高い周波数の弾性表面波が効率よく励振
される。入力トランスデューサ5a,5b,5cについ
ても同様である。
【0055】入力トランスデューサ4aおよび5aによ
り効率よく励振される弾性表面波の周波数をfa、入力
トランスデューサ4bおよび5bの同様の周波数をf
b、入力トランスデューサ4cおよび5cの同様の周波
数をfcで表す。
【0056】図1に示す本実施例に係る弾性表面波装置
では、圧電体薄膜3の厚さを、図中に示すx方向に沿っ
て次のように変えている。まず、図1に示すように、半
導体でなる基板1上に圧電体薄膜3を設けた層状構成に
おいて、図2(a)に示すような特性図から、電気機械
結合係数が概略最大となるkhを求める。この値をyo
で表す。
【0057】次に、このようにして定まったkh(=y
o)の基づき、図2(b)に示すような特性図から、対
応する位相速度vを求める。この値をvoで表す。
【0058】次に、所要の動作帯域の低周波側の周波数
faを与える。上記位相速度voから、vo/faによ
り、波長λaが決まる。波長がλaに決まったので、次
の関係式 yo=(2π/λa)h から、入力トランスデューサ4aおよび5aを配する場
所における圧電体薄膜3の厚さhaは、次式 h=ha=(yoλa)/(2π) から決まる。一方、波長λaが決まったら、入力トラン
スデューサ4aおよび5aの電極指配列ピッチも決める
ことができる。
【0059】次に、所要の動作帯域の高周波側の周波数
fcを与える。上記位相速度voから、vo/fcによ
り、波長λcが決まる。波長λcが決まったら、次の関
係式 yo=(2π/λc)h から、入力トランスデューサ4cおよび5cを配する場
所における圧電体薄膜3の厚さhcは、次式 h=ha=(yoλc)/(2π) から決まる。一方、波長λcが決まったら、入力トラン
スデューサ4cおよび5cの電極指配列ピッチも決める
ことができる。
【0060】所要の動作帯域の中心付近の周波数fbに
ついても、波長λb、および入力トランスデューサ4b
および5bを配する場所における圧電体薄膜3の厚さh
bを、さらに、入力トランスデューサ4bおよび5bの
電極指配列ピッチを、同様に決めることができる。
【0061】さて、上述の説明からわかるように、図1
に示した本実施例に係る弾性表面波装置では、弾性表面
波の位相速度は、周波数fa、fb、およびfcによら
ず一定で、voである。したがって、図27に示した従
来の他の弾性表面波装置とは異なり、入力トランスデュ
ーサの対、すなわち、入力トランスデューサ4aと5a
の対、4bと5bの対、4cと5cの対の中心間距離l
a,lbおよびlcを、上記対にかかわらず一定にして
おいても、弾性表面波の伝搬遅延時間は周波数fa、f
b、およびfcによらず一定となる。
【0062】すなわち、圧電体薄膜3の厚さを上記のよ
うに設定したことにより、伝搬遅延時間の周波数依存性
は自動的に補償されている。したがって、広帯域にわた
って動作可能になるとともに、弾性表面波装置のz方向
に沿った長さを小さくできる利点が生じる。
【0063】また、弾性表面波の位相速度が、周波数f
a、fb、およびfcによらず一定なので、図27に示
した従来の他の弾性表面波装置とは異なり、出力ゲート
電極6の長さを一定にして構成しても、積分時間長の周
波数依存性は自動的に補償される。したがって、これに
よっても、広帯域にわたって動作可能となることは無論
のこと、弾性表面波装置のz方向に沿った長さを小さく
できる利点が生じる。
【0064】さらに、圧電体薄膜3の厚さha,hb,
hcを、 (2π/λa)ha=(2π/λb)hb=(2π/λ
c)h=yo を満足するように、場所により変えたことで、電気機械
結合係数K2 は周波数fa、fb、およびfcによらず
概略最大値を実現できる。したがって、電気信号から弾
性表面波信号への変換効率を広帯域にわたってほぼ一定
にできるので、図27に示した従来の他の弾性表面波
に比べ、さらに広帯域動作が可能になるとともに、併
せて変換効率を高くできる効果が相乗して得られる。
【0065】実施例2. 図3はこの発明の実施例2を示す弾性表面波装置の構成
図である。図3において、1は半導体でなる基板、3は
圧電体薄膜、4a、4b、4c、5a、5b、および5
cは入力トランスデューサ、6a、6b、および6cは
出力ゲート電極、7は接地電極である。
【0066】図3に示すこの発明に係る弾性表面波装置
の実施例2では、上述した実施例1と異なり、出力ゲー
ト電極6を、圧電体薄膜3の厚さの異なる領域で分割
し、入力トランスデューサ4aおよび5aが設けられる
場所では出力ゲート電極6a、入力トランスデューサ4
bおよび5bが設けられる場所では出力ゲート電極6
b、入力トランスデューサ4cおよび5cが設けられる
場所では出力ゲート電極6cとしたものである。また、
出力ゲート電極6a、6b、および6cのz方向の長さ
は一定である。その他の構成は、上述した実施例1と同
一である。また、圧電体薄膜3の厚さは実施例1と同様
の方法で変えている。
【0067】次に、上述した実施例2の動作について説
明する。実施例2において、圧電体薄膜3の厚さは、実
施例1と同様の方法で変えているため、弾性表面波の位
相速度は、周波数fa、fb、およびfcによらず一定
となる。さらに、入力トランスデューサの対、すなわ
ち、入力トランスデューサ4aと5aの対、4bと5b
の対、4cと5cの対の中心間距離la,lb,および
lcを、実施例1と同様に一定にしているとともに、出
力ゲート電極6a、6b、および6cのz方向の長さを
一定にしているので、弾性表面波の伝搬遅延時間や積分
時間の周波数依存性は自動的に補償されている。
【0068】また、圧電体薄膜3の厚さを実施例1と同
様の方法で設定したことにより、電気機械結合係数も周
波数fa、fb、およびfcにおいて概略最大値を得ら
れる。したがって、実施例1と同様に、電気信号から弾
性表面波信号への変換効率を広帯域にわたってほぼ一定
できるという効果が得られる。
【0069】しかし、前述した実施例1を、入力トラン
スデューサの対、すなわち、入力トランスデューサ4a
と5aの対、4bと5bの対、および4cと5cの対の
それぞれの動作周波数帯が広く、これらの動作周波数帯
がお互いに広い周波数範囲にわたって重なった場合に適
用すると次の問題が生じることがある。すなわち、この
周波数範囲では、圧電体薄膜3の厚さの異なった2つあ
るいはそれ以上の領域でともに弾性波の励振が生じる。
図2(b)に示すような特性からわかるように、同じ周
波数においても、圧電体薄膜3の厚さが異なれば弾性表
面波の位相速度は異なる。
【0070】このため、上記周波数範囲では、伝搬遅延
時間や積分時間の異なる2つ以上の弾性表面波伝搬路が
存在し、出力ゲート電極6はこれらの伝搬路にまたがっ
て設けているので、所要のコンボリューション出力が得
られないことがある。
【0071】これに対し、実施例2においては、入力ト
ランスデューサの対、すなわち、入力トランスデューサ
4aと5aの対、4bと5bの対、4cと5cの対の間
で、出力ゲート電極6を、圧電体薄膜3の厚さの異なる
領域で出力ゲート電極6a,6b、および6cと分割し
ている。したがって、伝搬遅延時間や積分時間の異なる
2つ以上の弾性表面波伝搬路が存在しても、これらの伝
搬路ごとに互いに別個の出力ゲート電極6a、6b、6
cを設けているので、所要のコンボリューション出力を
得ることができる。
【0072】すなわち、実施例2においては、入力トラ
ンスデューサの対、すなわち、入力トランスデューサ4
aと5aの対、4bと5bの対、4cと5cの対のそれ
ぞれの動作周波数帯が広く、これらの動作周波数帯がお
互いに広い周波数範囲にわたって重なった場合でも、所
要のコンボリューション出力を得られる効果がある。
【0073】なお、上述した実施例1および2では、入
力トランスデューサを3対用いた場合について説明した
が、この発明はこれに限らず、3以外の複数個の対の入
力トランスデューサを用いた場合に適用しても構わな
い。
【0074】さらに、上述した実施例1および2では、
入力トランスデューサの3対とも同一本数の電極指を用
いた場合について説明したが、対ごとに、入力トランス
デューサの電極指の本数を変化させても構わない。
【0075】実施例3. 図4はこの発明の実施例3を示す構成図である。図4に
おいて、1は半導体でなる基板、3は圧電体薄膜、4お
よび5は入力トランスデューサ、6は出力ゲート電極、
7は接地電極である。
【0076】図4に示すこの発明に係る弾性表面波装置
の実施例3では、上述した実施例1と異なり、入力トラ
ンスデューサ4および5は、電極指の配列ピッチを、弾
性表面波の伝搬方向に直角な方向に沿って徐々に連続的
に変化させている。電極指の配列ピッチの2倍で与えら
れる弾性表面波の波長λの座標xに対する変化をλ
(x)で表す。
【0077】また、電極指の配列ピッチの変化に対応さ
せて、圧電体薄膜3の厚さを、電極指の配列ピッチの広
い場所では厚く、狭い場所では薄くなるように、場所に
よって徐々に連続的に変化させている。圧電体薄膜3の
厚さhの座標xに対する変化をh(x)で表す。その他
の構成は、上述した実施例1と同一である。
【0078】次に、上述した実施例3の動作について説
明する。図4において、入力トランスデューサ4および
5により効率良く励振される弾性表面波の座標xに対す
る周波数fの変化をf(x)で表すと、図4において、
圧電体薄膜3の厚さh(x)は次のように設定される。
【0079】まず、図4に示した層状構成において、図
2(a)に示すような特性図から、機械結合係数が概略
最大となるkhを求める。この値をyoで表す。次に、
このようにして定まったkh(=yo)に基づき、図2
(b)に示すような特性図から、対応する位相速度vを
求める。この値をvoで表す。
【0080】次に、所要の動作帯域の周波数f(x)を
与える。上記位相速度voから、vo/f(x)によ
り、波長λ(x)が決まる。波長がλ(x)が決まった
ので、次の関係式 yo={2π/λ(x)}h から、座標xにおける圧電体薄膜3の厚さh(x)は、
次式 h(x)={yoλ(x)}/(2π) から決まる。一方、波長λ(x)が決まったら、座標x
における入力トランスデューサ4および5の電極指配列
ピッチも決まることができる。
【0081】さて、上述の説明からわかるように、図4
に示したこの発明に係る弾性表面波装置の実施例3で
は、弾性表面波の位相速度は、所要動作帯域内でのいか
なる周波数にもよらず一定で、voである。したがっ
て、上述した実施例1と同様に、弾性表面波の伝搬遅延
時間がいかなる周波数にもよらず一定となる。すなわ
ち、圧電体薄膜3の厚さを上記のように設定したことに
より、伝搬遅延時間の周波数依存性は連続的に自動的に
補償される。
【0082】したがって、上述した実施例1と同様に、
弾性表面波装置のz方向に沿った長さを小さくする効果
が得られるとともに、上述した実施例1に比べ、連続的
に広帯域にわたる動作が可能になる効果が得られる。ま
た、入力トランスデューサを複数個用いなくてすむの
で、上述した実施例1に比べ、弾性表面波装置のz方向
に沿った長さを小さくする利点が生じる。
【0083】さらに、弾性表面波の位相速度が、動作帯
域内でかなる周波数にもよらず一定なので、図1に示し
た実施例1に比べ、積分時間長の周波数依存性を動作帯
域内で連続的に自動的に補償できる。したがって、これ
によって、上述した実施例1と同様に、弾性表面波装置
のz方向に沿った長さを小さくできるとともに、上述し
た実施例1に比べ、連続的に広帯域にわたって動作可能
になる。
【0084】さらに、圧電体薄膜3の厚さh(x)を、 {2π/λ(x)}h(x)=yo を満足するように、場所により変えることで、電気機械
結合係数K2 は動作帯域内でのいかなる周波数にもよら
ず概略最大値を実現できる。したがって、電気信号から
弾性表面波への変換効率を動作帯域内で連続的に広帯域
にわたってほぼ一定にできるので、図1に示した実施例
1に比べ、連続的に広帯域動作が可能になるとともに、
併せて変換効率を高くできる効果が得られる。
【0085】実施例4. 図5はこの発明の実施例4を示す構成図である。図5に
おいて、入力トランスデューサ4および5以外は、上述
した実施例3と同一の構成である。図5における入力ト
ランスデューサ4および5は、電極指の配列ピッチをx
軸から斜め方向に沿って徐々に連続的に変化させ、か
つ、入力トランスデューサ4および5の電極指の配列ピ
ッチの等しい部分の間隔は同一距離になるように構成し
ている。
【0086】図5に示した実施例4においても、電極指
の配列ピッチの座標xに対する変化に対応させて、圧電
体薄膜3の厚さを、電極指の配列ピッチの広い場所では
厚く、狭い場所では薄くなるように、場所によって上述
した実施例3と同様に徐々に連続的に変化させてやれ
ば、上述した実施例3と同様の効果が得られる。
【0087】また、以上の実施例1、2、3、および4
では、半導体でなる基板1の上に圧電体薄膜3を形成し
た場合について説明したが、この発明はこれに限らず、
半導体基板1と圧電体薄膜3の間に絶縁体薄膜2を設け
た場合に適用しても構わない。
【0088】次に、以上説明した実施例1〜3のいくつ
かの変形例を示す。実施例5. 図6に示す実施例は、実施例1の変形例であり、圧電体
薄膜3の表面が平面となるように構成したものである。
2は絶縁体薄膜である。
【0089】実施例6.図7に示す実施例は、実施例5
の変形例であり、実施例5と同様に圧電体薄膜3の表面
を平面とし、かつ、半導体でなる基板1の表面も平面と
なるように構成したものである。実施例5および6にお
いても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0090】実施例7. 図8に示す実施例は、実施例3の変形例であり、実施例
6と同様に、弾性表面波装置の厚さを場所によらず一定
にしたものである。2は絶縁体薄膜である。
【0091】実施例8. 図9に示す実施例は、実施例7の変形例であり、実施例
6と同様に、弾性表面波装置の厚さを場所によらず一定
とし、かつ、半導体でなる基板1の厚さも場所によらず
一定となるように構成したものである。実施例7および
8においても、実施例3と同様の効果が得られる。
【0092】実施例9. 図10に示す実施例は、実施例3の他の変形例であり、
入力トランスデューサ4および5の電極指を湾曲させた
トランスデューサを用いて構成している。
【0093】実施例10. 図11に示す実施例は、実施例の他の変形例であり、
入力トランスデューサ4および5のブスバーを弓形に湾
曲させたトランスデューサを用いて構成している。実施
例7および8と同様の構成を実施例4、9および10に
適用しても構わない。
【0094】実施例11. 図12はこの発明の実施例11を示す構成図である。図
12において、1は半導体あるいは誘電体などの基板、
3は圧電体薄膜、4a,4bおよび4cは弾性表面波励
振用の入力トランスデューサ、8a,8bおよび8cは
弾性表面波受信用の出力トランスデューサであり、圧電
体薄膜2の表面に、電極指の配列ピッチの異なる3組の
入出力トランスデューサの対、すなわち、入出力トラン
スデューサ4aと8aの対、4bと8bの対、および4
cと8cの対を設けている。
【0095】図12に示すこの発明に係る弾性表面波装
置の実施例11では、図28に示した従来の弾性表面波
装置と同様に、弾性表面波励振用の入力トランスデュー
サ4a,4bおよび4cを配置した領域において、圧電
体薄膜3の厚みを階段状に場所により変えている。すな
わち、電極指配列ピッチの広い入力トランスデューサ4
aが設けられる場所では厚く、電極指配列ピッチの狭い
入力トランスデューサ4cが設けられる場所では薄くし
ている。弾性表面波受信用の出力トランスデューサ8
a,8bおよび8cを配置した領域においても、圧電体
薄膜2の厚みを、同様に、階段状に場所により変えてい
る。
【0096】入出力トランスデューサ4aと8aの対を
配した場所における圧電体薄膜3の厚さを、図中に示す
ように、haで表す。同様に、入出力トランスデューサ
4bと8bの対を配した場所における圧電体薄膜3の厚
さをhb、入出力トランスデューサ4cと8cの対を配
した場所における圧電体薄膜3の厚さをhcで表す。ま
た、トランスデューサの電極指配列ピッチの2倍で与え
られる弾性表面波の波長を、図中に示すように、入出力
トランスデューサ4aと8aの対についてはλa、入出
力トランスデューサ4bと8bの対についてはλb、入
出力トランスデューサ4cと8cの対についてはλcで
表す。
【0097】図12に示すこの発明の実施例11に係る
弾性表面波装置では、図28に示した従来の弾性表面波
装置と異なり、入力トランスデューサ4a,4bおよび
4cから励振され、出力トランスデューサ8a,8bお
よび8cに向って伝搬する弾性表面波の伝搬路におい
て、圧電体薄膜3の厚さは一定としないで場所によって
変えている。すなわち、入力トランスデューサ4aから
出力トランスデューサ8aに向う伝搬路では圧電体薄膜
3の厚さをhaとし、入力トランスデューサ4bから出
力トランスデューサ8bに向う伝搬路ではhb、入力ト
ランスデューサ4cから出力トランスデューサ8cに向
う伝搬路ではhcとしている。
【0098】次に、上述した実施例11の構成に係る動
作について説明する。図12において、入力トランスデ
ューサ4a,4b,および4cでは、電極指の配列ピッ
チが異なるので、効率よく励振される弾性表面波の中心
周波数がそれぞれ異なる。すなわち、配列ピッチの広い
入力トランスデューサ4aでは、低い周波数の弾性表面
波が効率よく励振され、配列ピッチの狭い入力トランス
デューサ4cでは、高い周波数の弾性表面波が効率よく
励振される。
【0099】一方、出力トランスデューサ8a,8b,
8cについても同様であり、配列ピッチの広い出力トラ
ンスデューサ8aでは、低い周波数の弾性表面波が効率
よく受信され、配列ピッチの狭い出力トランスデューサ
8cでは、高い周波数の弾性表面波が効率よく受信され
る。
【0100】入出力トランスデューサ4aおよび8aの
対により効率よく励振および受信される弾性表面波の周
波数をfa、入出力トランスデューサ4bおよび8b対
の同様の周波数をfb、入出力トランスデューサ4cお
よび8c対の同様の周波数をfcで表す。
【0101】図12に示す実施例11に係る弾性表面波
装置では、圧電体薄膜3の厚さを、図中に示すx方向に
沿って次のように変えている。まず、図12に示すよう
に、基板1上に圧電体薄膜3を設けた層状構成におい
て、図2(a)に示すような特性図から、電気機械結合
係数が概略最大となるkhを求める。この値をyoで表
す。
【0102】次に、このようにして定まったkh(=y
o)から、図2(b)に示すような特性図から、対応す
る位相速度vを求める。この値をvoで表す。
【0103】次に、所要の動作帯域の低周波側の周波数
faを与える。上記位相速度voから、vo/faによ
り、波長λaが決まる。波長がλaに決まったので、次
の関係式 yo=(2π/λa)h から、入出力トランスデューサ4aおよび8aを配する
場所における圧電体薄膜3の厚さhaは、次式 h=ha=(yoλa)/(2π) から決まる。一方、波長λaが決まったから、入出力ト
ランスデューサ4aおよび8aの電極指配列ピッチも決
めることができる。
【0104】次に、所要の動作帯域の高周波数の周波数
fcを与える。上記位相速度voから、vo/fcによ
り、波長λcが決まる。波長がλcに決まったので、次
の関係式 yo=(2π/λc)h から、トランスデューサ4cおよび8cを配する場所に
おける圧電体薄膜3の厚さhcは、次式 h=hc=(yoλc)/(2π) から決まる。一方、波長λcが決まったから、入出力ト
ランスデューサ4cおよび8cの電極指配列ピッチも決
めることができる。
【0105】所要の動作帯域の中心付近の周波数fbに
ついても、波長λb、および入出力トランスデューサ4
bおよび8bを配する場所における圧電体薄膜3の厚さ
hb、さらに入出力トランスデューサ4bおよび8bの
電極指配列ピッチを、同様に決めることができる。
【0106】さて、図12に示す実施例11に係わる弾
性表面波装置では、従来と異なり、上述したように、入
力トランスデューサ4aから出力トランスデューサ8a
に向う伝搬路では圧電体薄膜3の厚さをhaとし、入力
トランスデューサ4bから出力トランスデューサ8bに
向う伝搬路では圧電体薄膜3の厚さをhbとし、入力ト
ランスデューサ4cから出力トランスデューサ8cに向
う伝搬路では圧電体薄膜3の厚さをhcとしている。圧
電体薄膜3の厚さha,hbおよびhcの伝搬路ではそ
れぞれ周波数帯fa,fbおよびfcの弾性表面波が伝
搬する。したがって、上述の説明からわかるように、図
12に示した実施例11に係る弾性表面波装置では、弾
性表面波の位相速度は、上記3つの伝搬路とも一定にす
ることができ、voとなる。
【0107】以上のように、図12に示す実施例11に
係る弾性表面波装置では、図28に示した従来の弾性表
面波装置とは異なり、弾性表面波のどの伝搬路において
も、弾性表面波の位相速度および群速度とも周波数帯に
よらず一定にできる。したがって、図12に示したこの
実施例11に係る弾性表面波装置を遅延線として用いた
場合、広帯域にわたって一定の遅延時間を得ることがで
きるという効果が得られる。また、フィルタとして適用
した場合には、群遅延時間を広帯域にわたって一定にで
きる効果が得られる。さらに、入力電気信号としてパル
スを用いる場合、弾性表面波の伝搬に伴って生じる弾性
表面波パルスの崩れ現象を除去できる効果がある。
【0108】さらに、入力トランスデューサ3a,3b
および3c、出力トランスデューサ5a,5bおよび5
cを設けた領域において、圧電体薄膜3の厚さha,h
b,hcを、 (2π/λa)ha=(2π/λb)hc=(2π/λ
c)hc=yo を満足するように、場所により変えたことで、電気機械
結合係数K2 は周波数によらず概略最大値を実現でき
る。したがって、電気信号から弾性表面波への変換効
率、および弾性表面波から電気信号への変換効率を広帯
域にわたってほぼ一定にできるので、広帯域にわたって
変換効率を高くできるという効果がある。
【0109】なお、上述した実施例11では、入出力ト
ランスデューサ対を3対用いた場合について説明した
が、これに限らず、3以外の複数対の入出力トランスデ
ューサ対を用いた場合に適用しても構わない。
【0110】さらに、上述した実施例11では、入出力
トランスデューサ対を3対とも同一本数の電極指を用い
た場合について説明したが、トランスデューサ毎に、電
極指の本数を変化させても構わない。
【0111】実施例12. 図13はこの発明の実施例12を示す構成図であり、ま
た、図14は、図13のAA′線に沿って切断したとき
の断面図である。図13において、1、3、4a〜4c
および8a〜8cは、それぞれ上述した実施例11と同
様の基板、圧電体薄膜、弾性表面波励振用の入力トラン
スデューサおよび弾性表面波受信用の出力トランスデュ
ーサである。
【0112】図13において、トランスデューサ4a,
4b,4c、8a,8bおよび8cを配置した領域にお
ける圧電体薄膜3の厚みは、実施例11と同様に設定し
てある。
【0113】しかし、実施例12においては、実施例1
1と異なり、図13および図14に示すように、入力ト
ランスデューサ4a,4bおよび4cから励振され、出
力トランスデューサ8a,8bおよび8cに向って伝搬
する弾性表面波の伝搬路において、圧電体薄膜3の厚さ
を、場所によって次のように変えている。まず、トラン
スデューサ4a,4b,4c,8a,8bおよび8cを
配置した領域における圧電体配置3の厚さha,hbお
よびhcとは異ならせている。
【0114】すなわち、図14に示すように、入力トラ
ンスデューサ4aから出力トランスデューサ8aに向う
伝搬路では圧電体薄膜3の厚さはha′とし、入力トラ
ンスデューサ4bから出力トランスデューサ8bに向う
伝搬路では圧電体薄膜3の厚さはhb′とし、入力トラ
ンスデューサ4cから出力トランスデューサ8cに向う
伝搬路では圧電体薄膜3の厚さはhc′としている。
らに、ha′,hb′およびhc′は、概略次の関係を
満たすように設定している。すなわち、 (2π/λa)ha′=(2π/λb)hb′=(2π
/λc)hc′
【0115】したがって、図2(b)からわかるよう
に、周波数によらずどの伝搬路でも一定の位相速度が得
られる。さらに、この位相速度をvoで表すと、vo′
は、トランスデューサ4a,4b,4c,8a,8bお
よび8cを配置した領域における位相速度voとは異な
る。
【0116】したがって、実施例11と同様の効果が得
られると同時に、ha′,hb′およびhc′を、それ
ぞれha,hbおよびhcに比べ薄くしたり、あるいは
厚くすることにより、vo′よりも速くしたり、あるい
は遅くしたりできる。したがって、実施例11と同じ伝
搬距離で、すなわち、同じ大きさの装置で、より短い遅
延時間やより長い遅延時間を実現できる効果がある。よ
り短い遅延時間を得られることは、取扱いやすい大きさ
で装置を実現できる利点を生じ、逆に、長い遅延時間を
得られることは、装置を小形化できる効果を生む。
【0117】なお、図13において、圧電体薄膜3の厚
さに一部テーパをつけているのは、圧電体薄膜3の厚さ
に急激な段差があると、そこで弾性表面波が不要な反射
を起こすので、これを避けるためである。また、このテ
ーパは、図13では台形に近い形のものを示したが、テ
ーパの形状はこれに限らず、もっと緩い曲面からなる形
状のものでも構わない。
【0118】実施例13. 図15はこの発明の実施例13を示す構成図であり、ま
た、図16は、図15のAA′線に沿って切断したとき
の断面図である。図15において、1および3は上述し
た実施例12と同様の基板および圧電体薄膜である。4
および8は、それぞれ励振用および受信用の入出力トラ
ンスデューサである。
【0119】図15および図16に示す実施例13に係
る弾性表面波装置では、上述した実施例12と異なり、
トランスデューサ4および8は、電極指の配列ピッチ
を、弾性表面波の伝搬方向に直角な方向に沿って徐々に
変化させている。電極指の配列ピッチの2倍で与えられ
る弾性表面波の波長λの座標xに対する変化をλ(x)
で表す。
【0120】さらに、トランスデューサ4および8を配
置した領域において、電極指の配列ピッチの変化に対応
させて、圧電体薄膜3の厚さを、電極指の配列ピッチの
広い場所では厚く、狭い場所では薄くなるように、場所
によって徐々に連続的に変化させている。圧電体薄膜3
の厚さhの座標xに対する変化をh(x)で表す。
【0121】さらに、入力トランスデューサ4から励振
され出力トランスデューサ8に向って伝搬する弾性表面
波の伝搬路において、圧電体薄膜3の厚さを、図16に
示したように、場所によって次のように変えている。ト
ランスデューサ4および8を配置した領域における圧電
体薄膜3の厚さh(x)とは異ならせている。すなわ
ち、トランスデューサ4からトランスデューサ8に向う
伝搬路では圧電体薄膜3の厚さはh′(x)としてい
る。その他の構成は、上述した実施例12と同一であ
る。
【0122】次に、上述した実施例13の動作について
説明する。図15において、トランスデューサ4および
8により効率良く励振および受信される弾性表面波の周
波数fの座標xに対する変化をf(x)で表すと、図1
5において、圧電体薄膜3の厚さh(x)は、次のよう
に設定される。まず、図15に示した層状構成におい
て、図2(a)に示すような特性図から、電気機械結合
係数が概略最大となるkhを求める。この値をyoで表
す。
【0123】次に、このようにして定まったkh(=y
o)から、図2(b)に示すような特性図より、対応す
る位相速度vを求める。この値をvoで表す。
【0124】次に、所要の動作帯域の周波数f(x)を
与える。上記位相速度voから、vo/f(x)によ
り、波長λ(x)が決まる。波長がλ(x)に決まるの
で、次の関係式 yo={2π/λ(x)}h(x) から、トランスデューサ4および8の座標xにおける圧
電体薄膜3の厚さh(x)は、次式 h(x)={yoλ(x)}/(2π) から決まる。一方、波長λ(x)が決まると、座標xに
おけるトランスデューサ4および8の電極指配列ピッチ
も決めることができる。
【0125】さらに、伝搬路における圧電体薄膜3の厚
さh′(x)は概略次の関係を満たすように設定され
る。すなわち、 {2π/λ(x)}h′(x)=一定
【0126】さて、上述の説明からわかるように、図1
5に示した実施例13に係る弾性表面波装置では、トラ
ンスデューサ4および8を配置した領域における弾性表
面波の位相速度は、所要動作帯域内でのいかなる周波数
にもよらず一定で、voである。また、弾性表面波の伝
搬路における弾性表面波の位相速度は、voとは異な
り、所要動作帯域内でのいかなる周波数にもよらず一定
で、vo′である。
【0127】したがって、上述した実施例12に比べ、
弾性表面波の伝搬遅延時間はいかなる周波数にもよらず
連続的に一定となる。すなわち、圧電体薄膜3の厚さを
上記のように設定したことにより、伝搬遅延時間の周波
数依存性は連続的に一定になる。したがって、上述した
実施例12の効果に加え、連続的に広帯域にわたった動
作が可能になる効果が得られる。また、トランスデュー
サを複数対用いなくてすむので、上述した実施例12に
比べ、弾性表面波装置のx方向に沿って長さを小さくで
きる利点が生じる。さらに、位相速度voとvo′とを
異ならせることができるから、実施例12と同様の効果
も得られる。
【0128】さらに、圧電体薄膜3の厚さh(x)を、 {2π/λ(x)}h(x)=yo を満足するように、場所により変えたことで、電気機械
結合係数K2 は動作帯域内でのいかなる周波数にもよら
ず概略最大値を実現できる。したがって、電気信号から
弾性表面波への変換効率、弾性表面波から電気信号への
変換効率を、動作帯域内で連続的に広帯域にわたってほ
ぼ一定にできるので、上述した実施例12に比べ、連続
的に広帯域動作が可能になるとともに、併せて変換効率
を高くできる効果が得られる。
【0129】なお、実施例13において、無論、圧電体
薄膜3の厚さh(x)とh′(x)とは同じにして使用
しても構わない。
【0130】実施例14. 図17はこの発明の実施例14を示す構成図である。図
17において、トランスデューサ4および8以外は、上
述した実施例13と同一の構成である。図17における
トランスデューサ4および8は、電極指の配列ピッチを
x軸から斜め方向に沿って徐々に変化させており、ま
た、電極指の配列ピッチの等しい部分の間隔は同一距離
になるように構成している。
【0131】図17に示した実施例14においても、ト
ランスデューサ4および8を配置した領域において、電
極指の配列ピッチの座標xに対する変化に対応させて、
圧電体薄膜3の厚さを、電極指の配列ピッチの広い場所
では厚く、狭い場所では薄くなるように、場所によって
上述した実施例13と同様に徐々に連続的に変化させて
やれば、上述した実施例13と同様の効果が得られる。
また、弾性表面波の伝搬路において、圧電体薄膜3の厚
さを、上述した実施例13と同様に設定すれば、実施例
13と同様の効果が得られる。
【0132】以上の実施例では、基板1と圧電体薄膜3
との2層構造を用いた場合について説明したが、これに
限らず、3層以上の多層構造を用いる場合に適用しても
構わない。3層構造を用いた場合のいくつかの実施例を
以下に示す。
【0133】実施例15. 図18に示す実施例は、実施例11の変形例であり、圧
電体薄膜3の表面が平面となるように構成したものであ
る。図中、10は、基板1とは異なる材質からなる薄膜
である。
【0134】実施例16. 図19に示す実施例は、実施例15の変形例であり、圧
電体薄膜3の表面を平面とし、かつ基板1の表面も平面
となるように構成したものである。
【0135】実施例15および16においても、実施例
11と同様の効果が得られる。また、実施例12を、実
施例15および16に適用して、弾性表面波の伝搬路に
おける圧電体薄膜3の厚さは、トランスジューサ4a〜
4cおよび8a〜8cを配置した領域における圧電体薄
膜3の厚さとは異ならせても構わない。
【0136】実施例17. 図20に示す実施例は、実施例13の変形例であり、弾
性表面波装置の厚さを場所によらず一定としたものであ
る。
【0137】実施例18. 21に示す実施例は、実施例17の変形例であり、実
施例17と同様に、弾性表面波装置の厚さを場所によら
ず一定とし、かつ、基板1の厚さも場所によらず一定と
したものである。
【0138】実施例17および18においても、実施例
13と同様の効果が得られる。また、実施例17および
18においては、弾性表面波の伝搬路における圧電体薄
膜3の厚さと、トランスジューサ4および8を配置した
領域における圧電体薄膜3の厚さとを同一にした場合を
示したが、両者は、実施例13と同様に異ならせても構
わない。
【0139】実施例19. この発明の実施例19を図22に示す。また、図23
(a)と(b)は図22のAA’線とBB’線に沿って
切断したときの断面図である。図22において、9は被
制御光である。圧電体薄膜3は、被制御光9を通す領域
で被制御光9に対して透明な材料で構成している。図2
2および図23で示す実施例19では、弾性表面波の3
つの伝搬路において、各伝搬路に沿って、それぞれ圧電
体薄膜3の厚さを2段階に変えている。すなわち、図2
3(a)中に示す厚さha’,hb’およびhc’は、
実施例12と同様に設定している。
【0140】また、図23(b)中に示す厚さha”,
hb”およびhc”は、次の関係を概略満たすように設
定している。 (2π/λa)ha”=(2π/λb)hb”=(2π
/λc)hc” 以上のように、圧電体薄膜3の厚さを2段階に変えて弾
性表面波を伝搬させ、その後、被制御光9を通す領域に
限って、厚さを一定にしている。
【0141】実施例19においても、図28に示した従
来の弾性表面波装置と同様に、弾性表面波により、被制
御光9を屈曲させることができる。
【0142】次に、実施例19の効果について説明す
る。実施例19においても、圧電体薄膜3の厚さh
a’,hb’,hc’およびha”,hb”,hc”
を、上述のように設定するから、弾性表面波の伝搬路に
おける位相速度および群速度は周波数帯によらず一定と
なる。したがって、トランスデューサ4a〜4cから励
振された弾性表面波パルスを、その形状を崩すことな
く、被制御光9を通す領域まで伝搬させることができ
る。
【0143】また、ha”,hb”,hc”をha’,
hb’,hc’に比べて全体的に薄くすれば、被制御光
9を通す領域の圧電体薄膜3の一定厚さと、弾性表面波
の電搬路の圧電体薄膜3の厚さha”,hb”,hc”
との間の段差を小さくできる。これにより、従来に比
べ、段差のより小さいテーパを用いればすむので、テー
パ部における弾性表面波パルスの崩れ現象を、従来に比
べ、より生じにくくできる効果も得られる。以上より、
従来に比べ、被制御光9を屈曲する際の時間制御精度を
向上できる効果が得られる。
【0144】実施例20. この発明の実施例20を図24に示す。また、図25
(a)と(b)は図24のAA’線とBB’線に沿って
断面したときの断面図である。図24において、9は被
制御光である。圧電体薄膜3は、被制御光9を通す領域
で被制御光9に対して透明な材料で構成している。
【0145】図24および図25に示す実施例20で
も、実施例19と同様に、弾性表面波の3つの伝搬路に
おいて、それぞれ圧電体薄膜3の厚さを2段階に変えて
いる。すなわち、図25(a)中に示す厚さh’(x)
は、実施例13と同様に設定している。また、図25
(b)中に示す厚さh”(x)は、次の関係を概略満た
すように構成している。{2π/λ(x)}h”(x)
=一定以上のように、圧電体薄膜3の厚さを2段階に変
えて弾性表面波を伝搬させ、その後、被制御光9を通す
領域に限って、厚さを一定にしている。
【0146】実施例20においても、図28に示した従
来の弾性表面波装置と同様に、弾性表面波により、被制
御光9を屈曲させることができる。
【0147】次に、実施例20の効果について説明す
る。実施例20においても、圧電体薄膜3の厚さh’
(X)およびh”(x)を、上述のように設定するか
ら、弾性表面波の伝搬路における位相速度および群速度
は周波数帯によらず広帯域にわたって連続的に一定とな
る。したがって、実施例19に比べて、より幅の狭い弾
性表面波パルスを取扱うことが可能となり、トランスデ
ューサ4から励振された実施例19に比べてより幅の狭
い弾性表面波パルスを、その形状を崩すことなく、被制
御光9を通す領域まで伝搬させることができる。
【0148】また、h”(x)をh’(x)に比べて全
体的に薄くすれば、被制御光9を通す領域の圧電体薄膜
3の一定厚さと、弾性表面波の伝搬路の圧電体薄膜3の
厚さh”(x)との間の段差を小さくできる。これによ
り、従来に比べ、段差のより小さいテーパを用いればす
むので、テーパ部における弾性表面波パルスの崩れ現象
を、従来に比べ、より生じにくくできる効果も得られ
る。以上により、実施例19に比べ、より幅の狭いパル
スを用いることが可能となり、被制御光9を屈曲する際
の時間制御精度をより向上させる効果が得られる。
【0149】なお、実施例19および実施例20では、
弾性表面波の伝搬路を、弾性表面波の伝搬方向に沿って
2段階にした場合について説明したが、これは、1段階
でも良いし、3段階以上にしても良い。3段階目以上で
の圧電体薄膜3の厚さは、実施例19および20の2段
階目の場合と同様に設定すれば、実施例19および20
と同様の効果が得られる。
【0150】また、弾性表面波の伝搬路の圧電体薄膜3
の厚さを、弾性表面波の伝搬方向に沿って多段階に変え
た実施例19および20を、上述した実施例12〜実施
例18に適用しても構わない。
【0151】以上に述べた実施例13,14,19およ
び20は、15,17,22および24で台形に近い
形のものを示したが、テーパの形状はこれに限らず、も
っと緩い曲面からなる形状のものでも構わない。
【0152】なお,以上の各実施例では、トランスデュ
ーサを圧電体薄膜3の表面に設けた場合について説明し
たが、この発明はこれに限らず、トランスデューサを設
けた場所に対応する圧電体薄膜3の裏面に接地用電極を
設けても構わない。また、トランスデューサは圧電体薄
膜3の裏面に設けても構わない。さらに、この場合、入
力トランスデューサを設けた場所に対応する圧電体薄膜
3の表面に接地用電極を設けても構わない。これらの
内、どの構成を採用するかは、例えば、大きな電気機械
結合係数が得られることを基準にして決めれば良い。
【0153】また、この発明は圧電体薄膜3の表面にコ
ーテング膜を設けた場合に適用しても構わない。さら
に、基板1と圧電体薄膜3との間に絶縁体薄膜2又は薄
膜6を設けたものも示したが、これらを設けない場合に
適用しても構わない。
【0154】また、この発明は、基本伝搬モード、高次
伝搬モードのいずれの弾性表面波伝搬モードを使用する
弾性表面波装置に適用して構わない。
【0155】また、トランスデューサの構成は、以上の
各実施例で示したものに限らない。交差幅に重み付けし
たものや、間引きや位相反転などによる重み付けを施し
たものなど、どのようなものを用いても良い。
【0156】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜
の表面または裏面に、動作周波数帯の異なる複数対の入
力トランスデューサを、上記各対の入力トランスデュー
サから励振された弾性表面波が互いに逆方向にすれちが
って伝搬するように対向して設けると共に、上記圧電体
薄膜の表面上の上記弾性表面波が互いにすれちがう領域
に、出力ゲート電極を設け、かつ、上記圧電体薄膜の厚
さを、上記の動作周波数帯が低い場所では厚く、高い場
所では薄くなるように、上記弾性表面波の伝搬方向に直
角な方向に沿って階段状に変化させて形成したので、動
作周波数帯の異なる入力トランスデューサ対から励振さ
れる弾性表面波の位相速度も一定となり、これにより、
伝搬遅延時間の周波数依存性および積分時間長の周波数
依存性を補償できる。したがって、複数対の入力トラン
スデューサ対の中心間距離を、上記対にかかわらず一定
にして、かつ、出力ゲート電極の長さを一定にして構成
でき、広帯域にわたって動作が可能となり、かつ、弾性
表面波装置の弾性表面波の伝搬方向に沿った長さを小さ
くできる効果がある。また、圧電体薄膜の厚さを上述し
たように形成したことにより、電気機械結合係数を周波
数によらず概略最大値を実現できる。したがって、電気
信号からの弾性表面波信号の変換効率を広帯域にわたっ
てほぼ一定にできるので、これにより従来に比べさらに
広帯域な動作が可能になるとともに、併せて変換効率を
高くできる効果が相乗して得られる。
【0157】また、請求項2の発明によれば、基板上に
圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面または裏面
に、電極指配列ピッチを徐々に連続的に変化させた1対
の入力トランスデューサを、上記入力トランスデューサ
対から励振された弾性表面波が互いに逆方向にすれちが
って伝搬するように対向して設けると共に、上記圧電体
薄膜の表面上の上記弾性表面波が互いにすれちがう領域
に、出力ゲート電極を設け、かつ、上記圧電体薄膜の厚
さを、上記入力トランスデューサ対の電極指配列ピッチ
が広い場所では厚く、狭い場所では薄くなるように、上
記弾性表面波の伝搬方向に直角な方向に沿って徐々に連
続的に変化させて形成したので、弾性表面波の位相速度
を、所要動作帯域内でのいかなる周波数にもよらず一定
にでき、伝搬遅延時間の周波数依存性および積分時間長
の周波数依存性を、連続的に補償できる。したがって、
連続的に広帯域にわたる動作可能になる効果が得られ
る。また、入力トランスデューサを複数個用いなくてす
むので、弾性表面波装置の弾性表面波の伝搬方向に直角
な方向に沿った長さを小さくできる利点が生じる。さら
に、圧電体薄膜の厚さを上述のように形成したことによ
り、電気機械結合係数は動作帯域内でのいかなる周波数
にもよらず概略最大値を実現できる。したがって、電気
信号から弾性表面波への変換効率を動作帯域内で連続的
に広帯域にわたってほぼ一定にできるので、連続的に広
帯域動作が可能になるとともに、併せて変換効率を高く
できる効果がある。
【0158】また、請求項3の発明によれば、基板上に
圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面または裏面
に、動作周波数帯の異なる複数の入出力トランスデュー
サ対を設け、これら入出力トランスデューサ対を設けた
領域における上記圧電体薄膜の厚さを、上記入出力トラ
ンスデューサ対の動作周波数帯が低い場所では厚く、高
い場所では薄くなるように形成し、かつ、上記入出力ト
ランスデューサ対により励振されて受信される弾性表面
波の伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さを、低周波数
帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周波数帯
の弾性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるように形成
したので、弾性表面波の位相速度および群速度を動作周
波数帯によらず一定にできる。これにより、伝搬遅延時
間の周波数依存性を除去でき、広帯域動作が可能になる
とともに、伝搬に伴う弾性表面波パルスのパルス形状の
崩れ現象も除去できる。また、動作周波数帯の異なるど
の入出力トランスデューサ対により励振されて受信され
る弾性表面波の励振効率及び受信効率も概略最大値を実
現できる。
【0159】また、請求項4の発明によれば、基板上に
圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面または裏面
に、電極指配列ピッチを徐々に変化させた入出力トラン
スデューサ対を設け、上記入出力トランスデューサ対を
設けた領域における上記圧電体薄膜の厚さを、上記入出
力トランスデューサ対の電極指配列ピッチが広い場所で
は厚く、狭い場所では薄くなるように徐々に連続的に変
化させて形成し、かつ、上記入出力トランスデューサ対
により励振されて受信される弾性表面波の伝搬路におけ
る上記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が
伝搬する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝
搬する伝搬路では薄くなるように徐々に連続的に変化さ
せて形成したので、弾性表面波の位相速度および群速度
を、動作帯域内でのいかなる周波数にもよらず一定にで
きる。これにより、伝搬遅延時間の周波数依存性を広帯
域にわたって連続的に除去でき、広帯域動作が可能にな
るとともに、伝搬に伴う弾性表面波パルスのパルス形状
の崩れ現象も除去できる。また、上記入出力トランスデ
ューサ対により励振されて受信される弾性表面波の励振
効率あるいは受信効率を動作帯域内でのいかなる周波数
にもよらず連続的に広帯域にわたって概略最大値を実現
できる。
【0160】また、請求項5の発明によれば、基板上に
圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面または裏面
に、動作周波数帯の異なる複数のトランスデューサを設
け、上記トランスデューサを設けた領域における上記圧
電体薄膜の厚さを、上記トランスデューサの動作周波数
帯が低い場所では厚く、高い場所では薄くなるように形
成し、かつ、上記トランスデューサにより励振されて受
信される弾性表面波の伝搬路に沿って、上記圧電体薄膜
の厚さを、多段階に変えるとともに、各段の弾性表面波
の伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯
の弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周波数帯の
弾性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるように形成し
て、上記弾性表面波を、上記弾性表面波により制御され
る光を通す領域まで伝搬させるようにしたので、動作周
波数帯の異なるどのトランスデューサにより励振される
弾性表面波の励振効率も概略最大値を実現できる。ま
た、弾性表面波の位相速度および群速度を動作周波数帯
によらず一定にできる。これにより、伝搬遅延時間の周
波数依存性を除去でき、広帯域動作が可能になる。さら
に、伝搬に伴う弾性表面波パルスのパルス形状の崩れ現
象も除去できので、被制御光の時間制御精度を向上でき
る。
【0161】さらに、請求項6の発明によれば、基板上
に圧電体薄膜を形成し、上記圧電体薄膜の表面または裏
面に、電極指配列ピッチを徐々に変化させたトランスデ
ューサを設け、上記トランスデューサを設けた領域にお
ける上記圧電体薄膜の厚さを、上記トランスデューサ
電極指配列ピッチが広い場所では厚く、狭い場所では薄
くなるように徐々に連続的に変化させて形成し、かつ、
上記トランスデューサにより励振された弾性表面波の伝
搬路に沿って、上記圧電体薄膜の厚さを、多段階に変え
るとともに、上記各段の弾性表面波の伝搬路における上
記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬
する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬す
る伝搬路では薄くなるように徐々に連続的に変化させて
形成して、上記弾性表面波を、上記弾性表面波により制
御される光を通す領域まで伝搬させるようにしたので、
上記トランスデューサにより励振される弾性表面波の励
振効率を、動作帯域内でのいかなる周波数にもよらず連
続的に広帯域にわたって概略最大値を実現できる。ま
た、弾性表面波の位相速度および群速度を、動作帯域内
にわたって連続的に除去でき、広帯域動作が可能にな
る。さらに、伝搬に伴う弾性表面波パルスのパルス形状
の崩れ現象も除去できので、被制御光の時間制御精度を
向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示す構成図である。
【図2】この発明の実施例1を説明するための特性図で
ある。
【図3】この発明の実施例2を示す構成図である。
【図4】この発明の実施例3を示す構成図である。
【図5】この発明の実施例4を示す構成図である。
【図6】この発明の実施例5を示す構成図である。
【図7】この発明の実施例6を示す構成図である。
【図8】この発明の実施例7を示す構成図である。
【図9】この発明の実施例8を示す構成図である。
【図10】この発明の実施例9を示す構成図である。
【図11】この発明の実施例10を示す構成図である。
【図12】この発明の実施例11を示す構成図である。
【図13】この発明の実施例12を示す構成図である。
【図14】この発明の実施例12を示す断面図である。
【図15】この発明の実施例13を示す構成図である。
【図16】この発明の実施例13を示す断面図である。
【図17】この発明の実施例14を示す構成図である。
【図18】この発明の実施例15を示す構成図である。
【図19】この発明の実施例16を示す構成図である。
【図20】この発明の実施例17を示す構成図である。
【図21】この発明の実施例18を示す構成図である。
【図22】この発明の実施例19を示す構成図である。
【図23】この発明の実施例19を示す断面図である。
【図24】この発明の実施例20を示す構成図である。
【図25】この発明の実施例20を示す断面図である。
【図26】従来の弾性表面波装置を示す構成図である。
【図27】従来の他の弾性表面波装置を示す構成図であ
る。
【図28】従来の弾性表面波装置を示す断面図である。
【図29】従来の弾性表面波装置を説明するための特性
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 絶縁体薄膜 3 圧電体薄膜 4 入力トランスデューサ 4a 入力トランスデューサ 4b 入力トランスデューサ 4c 入力トランスデューサ 5 入力トランスデューサ 5a 入力トランスデューサ 5b 入力トランスデューサ 5c 入力トランスデューサ 6 出力ゲート電極 6a 出力ゲート電極 6b 出力ゲート電極 6c 出力ゲート電極 7 接地電極 8 出力トランスデューサ 8a 出力トランスデューサ 8b 出力トランスデューサ 8c 出力トランスデューサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永塚 勉 鎌倉市大船五丁目1番1号 三菱電機株 式会社 電子システム研究所内 (56)参考文献 特開 平3−74921(JP,A) 特開 平3−74920(JP,A) 特開 昭64−12710(JP,A) 特開 平1−114110(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/72 H03H 9/145 G02F 1/33

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電
    体薄膜の表面または裏面に、動作周波数帯の異なる複数
    対の入力トランスデューサを、上記各対の入力トランス
    デューサから励振された弾性表面波が互いに逆方向にす
    れちがって伝搬するように対向して設けると共に、上記
    圧電体薄膜の表面上の上記弾性表面波が互いにすれちが
    う領域に、出力ゲート電極を設け、かつ、上記圧電体薄
    膜の厚さを、上記入力トランスデューサ対の動作周波数
    帯が低い場所では厚く、高い場所では薄くなるように、
    上記弾性表面波の伝搬方向に直角な方向に沿って階段状
    に変化させて形成したことを特徴とする弾性表面波装
    置。
  2. 【請求項2】 基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電
    体薄膜の表面または裏面に、電極指配列ピッチを徐々に
    連続的に変化させた1対の入力トランスデューサを、上
    記入力トランスデューサ対から励振された弾性表面波が
    互いに逆方向にすれちがって伝搬するように対向して設
    けると共に、上記圧電体薄膜の表面上の上記弾性表面波
    が互いにすれちがう領域に、出力ゲート電極を設け、か
    つ、上記圧電体薄膜の厚さを、上記入力トランスデュー
    サ対の電極指配列ピッチが広い場所では厚く、狭い場所
    では薄くなるように、上記弾性表面波の伝搬方向に直角
    な方向に沿って徐々に連続的に変化させて形成したこと
    を特徴とする弾性表面波装置。
  3. 【請求項3】 基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電
    体薄膜の表面または裏面に、動作周波数帯の異なる複数
    の入力トランスデューサと出力トランスデューサの対を
    対向して設けると共に、これら入出力トランスデューサ
    対を設けた領域における上記圧電体薄膜の厚さを、上記
    入出力トランスデューサ対の動作周波数帯が低い場所で
    は厚く、高い場所では薄くなるように形成し、かつ、上
    記入出力トランスデューサ対により励振されて受信され
    る弾性表面波の伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さ
    を、低周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚
    く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では薄く
    なるように形成したことを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電
    体薄膜の表面または裏面に、電極指配列ピッチを徐々に
    変化させた入力トランスデューサと出力トランスデュー
    サの対を対向して設けると共に、この入出力トランスデ
    ューサ対を設けた領域における上記圧電体薄膜の厚さ
    を、上記入出力トランスデューサ対の電極指配列ピッチ
    が広い場所では厚く、狭い場所では薄くなるように徐々
    に連続的に変化させて形成し、かつ、上記入出力トラン
    スデューサ対により励振されて受信される弾性表面波の
    伝搬路における上記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の
    弾性表面波が伝搬する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾
    性表面波が伝搬する伝搬路では薄くなるように徐々に連
    続的に変化させて形成したことを特徴とする弾性表面波
    装置。
  5. 【請求項5】 基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電
    体薄膜の表面または裏面に、動作周波数帯の異なる複数
    トランスデューサを設けると共に、これらトランスデ
    ューサを設けた領域における上記圧電体薄膜の厚さを、
    上記トランスデューサの動作周波数帯が低い場所では厚
    く、高い場所では薄くなるように形成し、かつ、上記
    ランスデューサにより励振されて受信される弾性表面波
    の伝搬路に沿って、上記圧電体薄膜の厚さを、多段階に
    変えるとともに、各段の弾性表面波の伝搬路における上
    記圧電体薄膜の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬
    する伝搬路では厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬す
    る伝搬路では薄くなるように形成して、上記弾性表面波
    を、上記弾性表面波により制御される光を通す領域まで
    伝搬させるようにしたことを特徴とする弾性表面波装
    置。
  6. 【請求項6】 基板上に圧電体薄膜を形成し、上記圧電
    体薄膜の表面または裏面に、電極指配列ピッチを徐々に
    変化させたトランスデューサを設けると共に、このトラ
    ンスデューサを設けた領域における上記圧電体薄膜の厚
    さを、上記トランスデューサの電極指配列ピッチが広い
    場所では厚く、狭い場所では薄くなるように徐々に連続
    的に変化させて形成し、かつ、上記トランスデューサ
    より励振されて受信される弾性表面波の伝搬路に沿っ
    て、上記圧電体薄膜の厚さを、多段階に変えるととも
    に、各段の弾性表面波の伝搬路における上記圧電体薄膜
    の厚さを、低周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路で
    は厚く、高周波数帯の弾性表面波が伝搬する伝搬路では
    薄くなるように形成して、上記弾性表面波を、上記弾性
    表面波により制御される光を通す領域まで伝搬させるよ
    うにしたことを特徴とする弾性表面波装置。
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