JP2005268962A - 一方向性弾性表面波変換器及びそれを用いた弾性表面波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】励振電極間に浮き電極を配置した一方向性SAW変換器及びそれを用いたSAWデバイスにおいて、従来の浮き電極の構造では反射効率が悪く一方向性が損なわれてしまうという問題がある。
【解決手段】 約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極4を配置した基本区間と、約λ/10の幅を有する浮き電極S1、S2を中心間距離がλ/2となるように順番に配置すると共に浮き電極S1とS2を短絡した基本区間とを連結し、前記スプリット電極4を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記浮き電極S1の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるように配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部に浮き電極を備えた一方向性弾性表面波変換器及びそれを用いた弾性表面波デバイスに関する。
近年、弾性表面波(以下、SAWと称す)デバイスは通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから特に携帯電話等に多く用いられる。画像等のデータ通信の需要増により、携帯電話に用いられるIFフィルタにはより広帯域で低リップル、急峻な減衰傾度が要求されている。このような厳しい仕様を満たすフィルタとしてはトランスバーサルSAWフィルタが最も適している。
図8は従来のトランスバーサルSAWフィルタを示したものである。圧電基板101の主表面上にSAWの伝搬方向に沿ってIDT電極102、103を所定の間隔をあけて配置すると共に、該IDT電極102、103の間に入出力端子間の直達波を遮蔽するためのシールド電極104を配置する。前記IDT電極102、103は互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極より構成されており、IDT電極102の一方のくし形電極を入力端子INに接続すると共に他方のくし形電極は接地し、IDT電極103の一方のくし形電極を出力端子OUTに接続すると共に他方のくし形電極を接地している。また、基板端面からの不要な反射波を抑圧するために、圧電基板101の長辺方向(SAWの伝搬方向)の両端に吸音材105を塗布している。
しかしながら、図8に示すようなくし形電極を正、負、正と順番に並べた所謂シングル(ソリッド)型のIDT電極の場合、SAWは伝搬方向に沿って左右に等しく伝搬するためフィルタの挿入損失が大きくなってしまうという問題があった。
この問題を解決すべく、特許第2085072号公報、特許第2984523号公報、特許第3345609号公報に開示されているような反射バンク型と呼ばれる内部に浮き電極を配置した一方向性SAW変換器が考えられた。図9は前記反射バンク型一方向性SAW変換器を示したものである。一方向性SAW変換器111は、バスバー112から伸長する正電極指とバスバー113から伸長する負電極指を交互に配置したシングル電極120と、前記バスバー112、113のどちらにも電気的に接続されていない開放型の浮き電極121から構成されている。弾性表面波の基本波長をλとした時、シングル電極120の正電極指と負電極指の中心間距離と、浮き電極121の隣り合う電極指の中心間距離をそれぞれλ/2としている。そして、浮き電極121の位置をシングル電極120の中心からλ/2だけ離れた位置からλ/8だけ右側にずらすことにより、図中左側に強くSAWが励振する一方向性変換器として動作し挿入損失の劣化を防ぐことができる。
ただし、前述のようにシングル電極120をλ/2の周期で配置すると、該シングル電極120においてSAWの反射が重畳してしまうという問題があった。SAWの反射が重畳すると理想的な一方向性変換器としての機能が損なわれ、フィルタの反射帯域の下端周
波数、もしくは上端周波数のどちらか一方で強い反射が生じて伝達応答が非対称となってしまい、中心周波数に対し対称な伝達応答が求められるトランスバーサルSAWフィルタにおいて問題となっていた。
そこで、図10に示すようなスプリット電極を用いた一方向性SAW変換器が考えられた。一方向性SAW変換器131は、バスバー132から伸長する2本の正電極指とバスバー133から伸長する2本の負電極指を交互に配置したスプリット電極140と、前記バスバー132、133のどちらにも電気的に接続されていない開放型の浮き電極141から構成されている。また、スプリット電極140の正電極指と負電極指の中心間距離と、浮き電極141の隣り合う電極指の中心間距離をλ/2としている。そして、浮き電極141の位置を隣接するスプリット電極の正電極指の中心位置からλ/2だけ離れた位置からλ/8だけ右側にずらすことにより、図中左側に強くSAWが励振する一方向性SAW変換器として動作し、対称な伝達応答を得ることができる。
ところで、図10に示すスプリット電極140の電極指の幅は励振効率が最も高いλ/8で形成されるが、スプリット電極140と浮き電極141との間隔Gが零に近づくと、近接効果により間隔Gに隣接する電極端のSAWの反射が急激に小さくなり一方向性変換器としての機能が大きく損なわれる。そのため、間隔Gは少なくともλ/16以上の間隔が必要であり、その結果、間隔Gに隣接する浮き電極F1の幅をλ/4以下にする必要があった。
ここで、前記開放型の浮き電極の幅と反射効率の関係について調べた。図11は圧電基板に128°回転YカットX伝搬LiNbOを用い、電極膜厚を波長換算値で0.25%λとした時の開放型の浮き電極の幅と反射効率の関係を示している。なお、横軸に電極幅の波長換算値を、縦軸に反射効率を表すモード結合理論のモード間結合係数κ12'の半値κ12'/2を示している。同図から明らかなように、開放型の浮き電極の反射効率の大きさ|κ12'/2|は電極幅を大きくするほど高まる傾向にあり、電極幅を0.4λとした時に|κ12'/2|≒0.010もの高い反射効率が得られる。その一方で、電極幅を0.25λ以下としてしまうと反射効率が半減してしまうことが分かる。従って、スプリット電極に隣接する浮き電極F1の幅をλ/4以下にしなければならないという設計上の制約がある以上、開放型の浮き電極では十分な反射効率が得られず一方向性が損なわれしまうという問題があった。
また、間隔Gを1λ以上離して配置すれば浮き電極F1の幅の制限はなくなるが、減衰傾度が急峻な伝達応答を得るためにはスプリット電極140と浮き電極141がある程度隣接しなければならない。また、スプリット電極と浮き電極の間隔を1λ以上広くあけてしまうとチップサイズの増大も避けられないという問題が生じる。
一方、特開平11−243324号公報において、励振電極間に配置した浮き電極のうち、一部の浮き電極の方向性を残りの浮き電極の方向性と逆方向にした一方向性SAW変換器が開示されている。図12に該一方向性SAW変換器の簡略図を示す。一方向性SAW変換器151は、バスバー152から伸長する正電極指2本、バスバー153から伸長する負電極指2本を一対としたスプリット電極161と、バスバー152、153に電気的に接続されていない複数の電極指同士を接続した短絡型の浮き電極162、163を備えている。なお、前記スプリット電極161の電極指幅及び電極指間隔をλ/8とし、前記浮き電極162、163の電極指幅及び電極指間隔をλ/4としている。また、浮き電極162の位置をスプリット電極161の周期的な中心位置よりA方向に約λ/8だけシフトすると共に、浮き電極163の位置をA方向とは逆のB方向に約λ/8だけシフトしている。このように、変換器内において方向性の異なる浮き電極を配置して反射波と励振波の位相を同相にしたり逆相にしたりすることで、通過帯域から阻止域にかけての減衰量の変化を急峻なものとし選択度を高めた一方向性SAW変換器が開示されている。
しかしながら、前記一方向性SAW変換器は浮き電極162、163の電極指幅をλ/4としている為、スプリット電極161と浮き電極162、163との間隔が狭くなってしまい反射効率が劣化してしまう問題があった。また、短絡型の浮き電極における電極幅と反射効率の関係が見出されておらず最適な電極幅を解明する必要があった。
特許第2085072号公報 特許第2984523号公報 特許第3345609号公報 特開平11−243324号公報
本発明の解決しようとする問題点は、スプリット電極間に浮き電極を配置した一方向性SAW変換器及びそれを用いたSAWデバイスにおいて、従来の浮き電極の構造では反射効率が劣化してしまい一方向性が損なわれ、また、スプリット電極と浮き電極との間隔を1λ以上広げてしまうとチップサイズが大型になってしまう点である。
上記課題を解決するために本発明に係る一方向性SAW変換器及びそれを用いたSAWデバイスの請求項1に記載の発明は、圧電基板上に配置して弾性表面波素子を構成するための弾性表面波変換器であって、前記弾性表面波変換器は、励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えており、第1の基本区間は、約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極を配置したものであり、第2の基本区間は、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡したものであり、前記第1及び第2の基本区間を連結した部分を少なくとも1つ含んでおり、前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、圧電基板上に配置して弾性表面波素子を構成するための弾性表面波変換器であって、前記弾性表面波変換器は、励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えており、第1の基本区間は、約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極を配置したものであり、第2の基本区間は、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡したものであり、第3の基本区間は、約λ/4の幅を有する第3及び第4の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置したものであり、前記第1及び第2の基本区間を連結した部分と、前記第1及び第3の基本区間を連結した部分とを少なくとも1つ含んでおり、
前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極、又は前記第3の浮き電極の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、圧電基板上に配置して弾性表面波素子を構成するための弾性表面波変換器であって、前記弾性表面波変換器は、励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えており、第1の基本区間は、約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極を配置したものであり、第2の基本区間は、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡したものであり、第3の基本区間は、約λ/4の幅を有する第3及び第4の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置したものであり、第4の基本区間は、前記正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極であって前記第1の基本区間と正負の配列を反転したものであり、第5の基本区間は、前記スプリット電極の電極指配列位置を維持しつつ正電極指のみ或いは負電極指のみで構成したものであり、前記第1、第4及び第5の基本区間のうち少なくとも2つの基本区間を含むと共に、前記第2及び第3の基本区間のうち少なくとも一方の基本区間と連結されており、前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極、又は前記第3の浮き電極の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、前記第1又は第4又は第5の基本区間の電極周期と、前記第2の基本区間の電極周期と、前記第3の基本区間の電極周期とを互いに異ならせたことを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、前記スプリット電極の正電極指及び負電極指は、λ/8±λ/40の幅を有していることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、前記第1及び第2の浮き電極は、λ/10±λ/20の幅を有していることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、前記第3及び第4の浮き電極は、λ/5以上λ/4未満の幅を有していることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、前記スプリット電極において、弾性表面波の伝搬方向に沿って前記正電極指と前記負電極指の交差幅方向に重み付けが施されていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、前記第1乃至第4の浮き電極において、弾性表面波の伝搬方向に沿って前記浮き電極の長さ方向に重み付けが施されていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、前記圧電基板に128°回転YカットX伝搬LiNbOを用いたことを特徴としている。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器を用いた弾性表面波デバイスであることを特徴としている。
本発明の一方向性SAW変換器及びそれを用いたSAWデバイスは、正電極指2本と負電極指2本を一対としたスプリット電極からなる基本区間と、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡した基本区間とを連結して構成されており、前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極の中心位置との間隔を3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたので、高い反射効率が得られ一方向性が改善され、またスプリット電極と浮き電極の間隔を広げる必要がないのでチップサイズを小型にできるという効果を奏する。
以下、本発明を図面に図示した実施の形態例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る一方向性SAW変換器の一部を示している。一方向性SAW変換器1は、圧電基板上に励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えている。本実施例では、バスバー2より伸長する正電極指T1、T2とバスバー3より伸長する負電極指T3、T4を一対とするスプリット電極4と、前記バスバー2、3のどちらにも接続されていない電極S1、S2同士を電気的に接続した短絡型の浮き電極5を基本区間とし、これらの基本区間を連結した構造となっている。なお、本実施例では圧電基板に128°回転YカットX伝搬LiNbO基板を用いている。
前記スプリット電極4の電極指T1〜T4の幅及び間隔をいずれもλ/8とし、前記浮き電極5の電極S1、S2の幅をλ/10、中心間距離をλ/2としている。そして、前記スプリット電極4の負電極指T3とT4の中心位置と浮き電極5の電極S1の中心位置との間隔が3λ/8となるように、浮き電極5をλ/8だけ左方向にシフトさせている。
図2は、前記短絡型の浮き電極5の電極S1、S2の幅と反射効率の関係を示している。なお、横軸に電極幅の波長換算値を、縦軸に反射効率を表すモード結合理論のモード間結合係数κ12'の半値κ12'/2を示しており、電極膜厚を0.25%λとしている。同図から明らかなように、短絡型の浮き電極5は電極幅を小さくするほど反射効率が高まる傾向にある。特に電極幅を0.1λとした時には|κ12'/2|≒0.009もの高い反射効率が得られている。
このように、本実施例の一方向性SAW変換器は、短絡型の浮き電極の幅を小さくするほど反射効率が高まることを見出し、短絡型の浮き電極5の電極S1、S2の幅をλ/10と小さくした。その結果、間隔Gを1λ以上離してチップサイズを大型にすること無く高い反射効率が得られる。また、浮き電極5の位置を左方向にλ/8シフトさせることで、浮き電極5を透過する波と反射する波が互い干渉し合い、左方向のSAWの励振は強くなり右方向のSAWの励振が弱くなるので一方向性が実現できる。
以上では、浮き電極5の電極S1、S2の幅をλ/10としたが、λ/10±λ/20の範囲内であれば十分な反射効率が得られ一方向性が改善される。
また、図1ではスプリット電極の右隣に短絡型の浮き電極を配置した構造を示したが、図3に示すようにスプリット電極の左隣に短絡型の浮き電極を配置してもよい。この場合は、スプリット電極14の正電極指T1とT2の中心位置と浮き電極15の電極S3の中心位置との間隔が3λ/8となるように、浮き電極15を右方向にλ/8だけシフトさせる。なお、一方向性SAW変換器11においては、右方向のSAWの励振は強くなり左方向のSAWの励振が弱くなる。
図4は、本発明に係る一方向性SAW変換器を用いたトランスバーサルSAWフィルタの入力側IDT電極の一部を示している。IDT電極21は、λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本のスプリット電極からなる基本区間A、前記基本区間Aの正負の配列を逆にして励振位相を反転させた基本区間B、前記基本区間Aの電極指配列位置を維持しつつ片側のバスバーから伸長する電極指のみで構成しSAWの励振を行わない基本区間C、λ/10の幅を有する短絡型の浮き電極を図中右側にλ/8だけシフトさせた基本区間D、λ/10の幅を有する短絡型の浮き電極を図中左側にλ/8だけシフトさせた基本区間Eを1λとして複数連結して構成している。
図4のように、方向性の異なる浮き電極を内部に配置することで、フィルタの通過帯域から阻止域にかけての減衰量を急峻にでき、電極に励振及び反射の重み付けを施すことにより伝達応答の高性能化が実現できる。なお、前記電極部A〜Eの配置方法は、コンピューターによる遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて最適化問題を解くことで求めている。
図5は、本発明の第2の実施例に係る一方向性SAW変換器を示している。一方向性SAW変換器31は、圧電基板上に励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えている。本実施例では、バスバー32より伸長する正電極指T5、T6とバスバー33より伸長する負電極指T7、T8を一対とするスプリット電極34と、前記バスバー32、33に接続されておらず電気的に短絡状態にある電極S5、S6からなる短絡型の浮き電極35と、前記バスバー32、33に接続されておらず電気的に開放状態にある電極O1、O2からなる開放型の浮き電極36を基本区間として複数連結した構造となっている。なお、本実施例においては圧電基板に128°回転YカットX伝搬LiNbO基板を用いている。
前記スプリット電極34の電極指T5〜T8の幅及び間隔をいずれもλ/8とし、前記短絡型の浮き電極36の電極S5、S6の幅をλ/10、中心間距離をλ/2とし、前記開放型の浮き電極35の電極O1、O2の幅をλ/4、中心間距離をλ/2としている。そして、前記スプリット電極34の正電極指T5、T6の中心位置と前記浮き電極35の電極S5及び前記浮き電極36の電極O1の中心位置との間隔が3λ/8となるように、浮き電極35、36を図中右方向にλ/8だけシフトさせている。
本実施例の特徴は、λ/10の幅を有する短絡型の浮き電極35とλ/4の幅を有する開放型の浮き電極36を配置したことである。前述の如く、スプリット電極34に隣接する電極S5、O1の幅はλ/4以下という制限があり、その制限の中で最も反射効率が得られるλ/4の幅を有する開放型の浮き電極と、λ/10の幅を有する短絡型の浮き電極を配置することで一方向性を高めている。また、開放型の浮き電極と短絡型の浮き電極は反射係数が反転しているので、浮き電極35と浮き電極36の方向性は逆になり反射の位相が反転するので、通過帯域から阻止域にかけての減衰量が急峻になる。
以上では、短絡型の浮き電極35の幅をλ/10、開放型の浮き電極36の幅をλ/4としたが、短絡型の浮き電極35の幅をλ/10±λ/20、開放型の浮き電極36の幅をλ/5以上λ/4以下の範囲内とすれば反射効率が十分得られ一方向性が高まる。
また、一方向性SAW変換器においては、基本区間の電極周期を各々異ならすことによりフィルタを高性能化する手法が多用されており、本発明の一方向性SAW変換器においても適用することは可能である。図6に示すIDT電極41は、λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本のスプリット電極で形成した基本区間A、前記基本区間Aの正負の配列を逆にして励振位相を反転させた基本区間B、前記基本区間Aの電極指配列位置を維持しつつ片側のバスバーから伸長する電極指のみで構成しSAWの励振を行わない基本区間C、λ/10の幅を有する短絡型の浮き電極を図中右側にλ/8だけシフトさせた基本区間D、λ/4の幅を有する開放型の浮き電極を図中右側にλ/8だけシフトさせた基本区間Eを1λとして複数連結して構成されている。なお、基本区間A、B、Cの電極周期をλs、基本区間Dの電極周期をλd、基本区間Eの電極周期をλeとし、λs≠λd≠λeとしている。
前記IDT電極41は、隣り合う基本区間の電極周期が異なる場合において最隣接する電極指の中心間距離を補正している。即ち、基本区間AとDの最隣接する電極指同士の中心間距離をλs/8+λa/8とし、基本区間AとEの最隣接する電極指同士の中心間距離をλs/8+λb/8としている。このようにすることでSAWの励振の連続性が保たれ、より低損失な特性が得られる。
以上では、スプリット電極の幅をλ/8としたが、実際に製造する上では電極幅をλ/8に一致させることは困難であり、製造ばらつきを考慮するとλ/8±λ/40の範囲内であれば特性上問題ない。
また、図7に示す一方向性SAW変換器51のようにスプリット電極の交差幅及び浮き電極の電極指の長さをSAWの伝搬方向に沿って変化させた所謂アポダイズ重み付けを施したり、各電極指の延長上に各電極指の先端に生じる空隙を埋めるようなダミー電極52を設けてもよい。
これまで圧電基板に128°回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウムを用いた一方向性SAW変換器及びそれを用いたSAWデバイスについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧電基板に水晶、タンタル酸リチウム、四硼酸リチウム、ランガサイト等に用いた場合にも適用できることは言うまでもない。
本発明の第1の実施例に係る一方向性SAW変換器を説明する図である。 本発明に係る一方向性SAW変換器の短絡型の浮き電極の幅と反射効率の関係を示す。 本発明の第1の実施例に係る別の一方向性SAW変換器を説明する図である。 本発明に係る一方向性SAW変換器を用いたトランスバーサルSAWフィルタのIDT電極の一部を示す。 本発明の第2の実施例に係る一方向性SAW変換器を説明する図である。 本発明に係る電極周期を異ならせた基本区間を連結して構成したIDT電極の一部を示す。 本発明に係るアポダイズ重み付けを施した一方向性SAW変換器を示す。 従来のトランスバーサルSAWフィルタを示す。 従来の反射バンク型一方向性SAW変換器を示す。 従来の励振電極にスプリット電極を用いた一方向性SAW変換器を示す。 開放型の浮き電極の幅と反射効率の関係を示す。 従来の浮き電極の方向性を異ならせた一方向性SAW変換器を示す。
符号の説明
1、11、21、31、41、51:一方向性SAW変換器(IDT電極)
2、3、32、33:バスバー
4、34:スプリット電極
5、35:短絡型の浮き電極
36:開放型の浮き電極

Claims (11)

  1. 圧電基板上に配置して弾性表面波素子を構成するための弾性表面波変換器であって、
    前記弾性表面波変換器は、励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えており、
    第1の基本区間は、約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極を配置したものであり、
    第2の基本区間は、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡したものであり、
    前記第1及び第2の基本区間を連結した部分を少なくとも1つ含んでおり、
    前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたことを特徴とする一方向性弾性表面波変換器。
  2. 圧電基板上に配置して弾性表面波素子を構成するための弾性表面波変換器であって、
    前記弾性表面波変換器は、励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えており、
    第1の基本区間は、約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極を配置したものであり、
    第2の基本区間は、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡したものであり、
    第3の基本区間は、約λ/4の幅を有する第3及び第4の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置したものであり、
    前記第1及び第2の基本区間を連結した部分と、前記第1及び第3の基本区間を連結した部分とを少なくとも1つ含んでおり、
    前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極、又は前記第3の浮き電極の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたことを特徴とする一方向性弾性表面波変換器。
  3. 圧電基板上に配置して弾性表面波素子を構成するための弾性表面波変換器であって、
    前記弾性表面波変換器は、励起される弾性表面波の波長λに相当する幅を有した基本区間を複数個連結した構成を備えており、
    第1の基本区間は、約λ/8の幅を有する正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極を配置したものであり、
    第2の基本区間は、約λ/10の幅を有する第1及び第2の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置し第1及び第2の浮き電極を短絡したものであり、
    第3の基本区間は、約λ/4の幅を有する第3及び第4の浮き電極を中心間距離がλ/2となるように順番に配置したものであり、
    第4の基本区間は、前記正電極指2本及び負電極指2本を一対としたスプリット電極であって前記第1の基本区間と正負の配列を反転したものであり、
    第5の基本区間は、前記スプリット電極の電極指配列位置を維持しつつ正電極指のみ或いは負電極指のみで構成したものであり、
    前記第1、第4及び第5の基本区間のうち少なくとも2つの基本区間を含むと共に、前記第2及び第3の基本区間のうち少なくとも一方の基本区間と連結されており、
    前記スプリット電極を構成する正電極指2本、又は負電極指2本の中心位置と前記第1の浮き電極、又は前記第3の浮き電極の中心位置との間隔が3λ/8±nλ/2(但し、n=0,1,2,3,・・・)となるようにしたことを特徴とする一方向性弾性表面波変換器。
  4. 前記第1又は第4又は第5の基本区間の電極周期と、前記第2の基本区間の電極周期と、前記第3の基本区間の電極周期とを互いに異ならせたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  5. 前記スプリット電極の正電極指及び負電極指は、λ/8±λ/40の幅を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  6. 前記第1及び第2の浮き電極は、λ/10±λ/20の幅を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  7. 前記第3及び第4の浮き電極は、λ/5以上λ/4以下の幅を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  8. 前記スプリット電極において、弾性表面波の伝搬方向に沿って前記正電極指と前記負電極指の交差幅方向に重み付けが施されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  9. 前記第1乃至第4の浮き電極において、弾性表面波の伝搬方向に沿って前記浮き電極の長さ方向に重み付けが施されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  10. 前記圧電基板に128°回転YカットX伝搬LiNbOを用いたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の一方向性弾性表面波変換器を用いた弾性表面波デバイス。
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